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トリプトファン生合成に関連する単一また は複数の

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トリプトファン生合成に関連する単一また は複数の
JP 2007-515168 A 2007.6.14
(57)【要約】
本発明は、トリプトファン生合成に関連する単一また
は複数の変異遺伝子を含有するトリプトファン産生大腸
菌変異株CJ285(KCCM−10534)および同
菌株を使用するトリプトファンの製造方法に関する。よ
り具体的には、トリプトファン産生大腸菌変異株CJ2
85(KCCM−10534)由来の、トリプトファン
生合成に関連するaroF、aroG、trpR、およ
びtyrRのDNA塩基配列およびアミノ酸配列を開示
し、該変異遺伝子の少なくとも1つを含有する大腸菌C
J285をグルコース含有発酵培地中で直接培養し、こ
れによりL−トリプトファンを培養培地中に蓄積させる
ことができる。
(2)
JP 2007-515168 A 2007.6.14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリプトファン生合成に関連するaroF、aroG、trpR、およびtyrRから
なる変異遺伝子の少なくとも1つを含有するL−トリプトファン産生大腸菌変異株。
【請求項2】
大腸菌変異株が大腸菌CJ285 KCCM−10534である、請求項1に記載の変
異株。
【請求項3】
請求項1または請求項2の大腸菌変異株を使用するL−トリプトファンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
10
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリプトファン生合成に関連する単一または複数の変異遺伝子を含有するト
リ プ ト フ ァ ン 産 生 大 腸 菌 ( E.coli) 変 異 株 C J 2 8 5 ( K C C M − 1 0 5 3 4 ) お よ び 同
菌株を使用するトリプトファンの製造方法に関する。より具体的には、N−メチル−N'
−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(本明細書中、以後NTGと称する)を繰り返し処理
し、トリプトファン産生変異遺伝子CJ285由来の遺伝子、例えばトリプトファンアナ
ロ グ で あ る ヒ ド ロ キ サ ム 酸 ト リ プ ト フ ァ ン ( Tryptophan Hydroxamate) ( 本 明 細 書 中 、 以
後THXと称する)に耐性のDAHPシンターゼのアイソザイムをエンコードするaro
FおよびaroG、trpの調節に関するtrpR、トリプトファン生合成に関連するa
20
roH、mtr、trpR、およびaroLオペロン、およびaroF−tyrA、ar
oG、およびaroPオペロンの調節に関するtyrRタンパク質の塩基配列およびアミ
ノ酸配列を見出す。その後、上記遺伝子(群)を含有する変異株をグルコース含有培地中
で発酵させ、L−トリプトファンを製造する。
【背景技術】
【0002】
トリプトファンは必須アミノ酸の1つであり、多岐にわたる分野で広く使用されている
。前記分野には、飼料添加物、医療用物質、例えば睡眠薬または精神安定薬またはリンガ
ー溶液、および健康食品用物質が含まれる。トリプトファンの典型的な製造方法は、化学
合成、酵素反応、および微生物を使用する発酵である。化学合成の場合、高温および高圧
30
空間で製造が行われ、D−トリプトファンおよびL−トリプトファンがともに生産される
ため、所望のトリプトファンを取得するために追加の精製工程が必要とされる。酵素反応
、 例 え ば Matsui Doatsuiに 付 与 さ れ た 日 本 特 許 ( 韓 国 特 許 公 開 第 9 0 − 0 0 5 7 7 3 号 )
の場合、反応の基質として使用されるインドールおよびセリンが非常に高価であり、また
酵素自体が安全ではない。
【0003】
一 方 、 微 生 物 を 使 用 す る 発 酵 で は 、 多 様 な 微 生 物 、 例 え ば 大 腸 菌 ( E.coli) お よ び コ リ
ネ バ ク テ リ ウ ム ( Corynebacterium) の 栄 養 要 求 株 お よ び 調 節 変 異 株 を 使 用 す る 。 1 9 8
0年代の遺伝子組換え分野における急速な技術の進歩により、代謝およびその制御メカニ
ズムに関する大量の情報が提供されている。多数の研究者らが注目すべき成功を収め、遺
40
伝 子 操 作 に よ っ て 優 れ た 組 換 え 株 を 開 発 し 、 生 産 性 を 向 上 さ せ た ( Matsui et al, 1988)
。また韓国では、直接発酵に関連するいくつかのトリプトファン製造技術が開示された。
これらの技術は、トリプトファン耐性または栄養要求性変異株(韓国特許公開第87−1
813号、第90−8251号、および第92−7405号)または組換え株(韓国特許
公開第90−5772号および第91−5627号)の使用に基づくものである。主に、
これらのトリプトファンアナログ耐性株はトリプトファン生合成時の酵素のフィードバッ
ク阻害を克服するためのものであり、また、組換え株はトリプトファン生合成時の酵素の
クローニングに使用された。実際に、前記研究は注目すべき成功を収めた。例えば、大腸
菌の人工変異体を使用する従来のL−トリプトファン製造の最大の利点は、L−トリプト
ファンの製造に安価な培養基質を使用することであった。しかし、生産性すなわちトリプ
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トファン収率(量)は非常に低かった。したがって、遺伝子組換えに基づくトリプトファ
ン収率を最大にするために、親株として優れている人工変異体を確保し、調節が解除され
ている遺伝子を取得する必要性が存在する。
【0004】
したがって、本発明は上記問題を考慮して達成されており、本発明の目的は、ホスホエ
ノ ー ル ピ ル ビ ン 酸 お よ び エ リ ト ロ ー ス ( Erythorse) 4 − リ ン 酸 か ら の 、 大 腸 菌 変 異 株 C
J285由来のトリプトファン生合成時の芳香族アミノ酸の第一前駆体である3−デオキ
シ ア ラ ビ オ ノ ヘ プ ツ ロ ソ ン 酸 7 − リ ン 酸 ( 3-deoxyarabionohep-tulosonate 7-phosphate
)(本明細書中、以後DAHPと称する)の合成において使用される酵素であるaroF
およびaroG、およびトリプトファン合成に関連する遺伝子の調節転写に関するtrp
10
RおよびtyrRをエンコードする変異遺伝子の塩基配列およびアミノ酸配列を同定する
ことである。
【0005】
本発明の別の目的は、単一または複数の上記変異遺伝子を含有するL−トリプトファン
産生大腸菌変異株を提供することである。
【0006】
本発明のさらに別の目的は、該変異体をグルコース含有発酵培地中で直接培養すること
に基づく、高濃度および高収率(量)のL−トリプトファンの製造方法を提供することで
ある。
【発明の開示】
20
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一側面では、トリプトファン生合成に関連する変異遺伝子を含有する大腸菌変
異株を提供することによって上記および他の目的を達成することができ、この場合、トリ
プトファン産生親株である大腸菌CJ181(KFCC10902)中でNTGを繰り返
し処理して変異を誘発し、該変異体(CJ285)を、トリプトファンアナログであるT
HXに耐性にし、これにより該変異株のトリプトファン生産を親株と比べて著しく向上さ
せることができる。また、DNA塩基配列およびアミノ酸配列を解析するために、トリプ
トファン生合成時の芳香族アミノ酸の第一前駆体DAHPの合成に関する酵素であるar
oFおよびaroG、trpの調節に関するtrpRタンパク質、トリプトファン生合成
30
に関連するaroH、mtr、trpR、およびaroLオペロン、およびaroF−t
yrA、aroG、aroPオペロンの調節に関するtyrRタンパク質をエンコードす
る遺伝子をクローニングし、そのDNA塩基配列を野生型遺伝子の塩基配列と比較する。
この様式で、遺伝子変異の位置を決定することが可能になる。その後、aroF、aro
G、trpRおよびtyrRの少なくとも1つを含有するCJ285株をグルコース含有
発酵培地中で直接培養する。親株と比較して、CJ285ははるかに大量のトリプトファ
ンを生産した。
【0008】
換言すると、大腸菌CJ285株は遺伝子組換え技術によってトリプトファン収率を最
大にするのに役立ち、決して開示されていない新規株である。
40
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、L−トリプトファンの製造方法であって、下記段階を含む方法を提供する:
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって遺伝子のプライマーを増幅し、この場合、該遺
伝子は3−デオキシアラビオノヘプツロソン酸7−リン酸(DAHP)の合成に関与する
酵素、trpの調節に関するtrpRタンパク質、トリプトファン生合成に関連するar
oH、mtr、trpR、およびaroLオペロン、およびaroF−tyrA、aro
G、およびaroPオペロンの調節に関するtyrRタンパク質をエンコードするもので
あり、pCR2.1−TOPOベクターによって該遺伝子をクローニングして、予想サイ
ズのバンドと反応するプラスミドクローンを検索する段階;双方向塩基配列解析に基づい
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てaroF、aroG、trpR、およびtyrR遺伝子の塩基配列を決定し、この場合
、鋳型として上記4遺伝子を含有するプラスミドクローンを使用し、該塩基配列からアミ
ノ酸配列を決定し、ならびに該遺伝子の塩基配列を野生型遺伝子の塩基配列と比較して変
異の位置を決定する段階;および変異遺伝子aroF、aroG、trpR、およびty
rRの1つまたはそれ以上を含有する大腸菌変異株CJ285をグルコース含有発酵培地
中で発酵させて、L−トリプトファンを製造する段階。
【0010】
本 発 明 で 使 用 さ れ る 遺 伝 子 操 作 は Molecular Cloning Laboratory Manual( T. Maniatis
E.F., Flitch, J. Sambrook) に し た が う 。
【0011】
10
トリプトファン産生親株大腸菌CJ181(KFCC10902)を、トリプトファン
アナログである0.3g/lのTHXを含有するプレート最少培地中、恒温下で5日間培
養した。成長速度を増加させ、THXに対するCJ181の感受性を解除するために、変
異誘発物質である500μg/mlのNTGを培地中に加えた。0.3g/lのTHXを
含有する最少培地中で生育した任意の菌株を一次選択し、0.5g/lのTHXを含有す
る最少培地中でこれらの選択株を再度培養した。最後に、高度にTHX耐性である菌株を
選 択 し 、 C J 2 8 5 と 命 名 し た 。 最 少 培 地 の 成 分 を 下 記 表 1に 示 す 。 そ れ ぞ れ 1 0 0 m g
/lの栄養要求性アミノ酸を培地に加えた。
【0012】
大腸菌最少培地(M9培地)の組成
20
【表1】
30
【0013】
本発明の変異株CJ285を37℃のLB培地中での12時間振盪培養に付した。LB
培地(pH=7.4)は、1%のバクトトリプトン、0.5%のバクトイーストエクスト
ラ ク ト 、 お よ び 1 % の N a C l を 含 有 し た 。 培 地 か ら ミ コ ビ オ ン ト ( mycobiont) を 収 集
し 、 Quiagen染 色 体 D N A 単 離 キ ッ ト を 用 い て 染 色 体 D N A を 取 得 し た 。 こ う し て 得 ら れ
た染色体DNAをエタノールに浸し、乾燥して精製した。鋳型であるこの精製済み染色体
D N A を P C R に 付 し た 。 Quiagenゲ ル 抽 出 キ ッ ト を 用 い て 、 約 1 . 3 k b 、 2 k b 、 5
40
30bp、および1.9kbのaroF、aroG、trpR、およびtyrR変異遺伝
子を1%のアガロースゲルからそれぞれ分離し、その遺伝子断片を精製して、クローニン
グ 用 の 遺 伝 子 リ ソ ー ス と し て 使 用 し た 。 T O P O ク ロ ー ニ ン グ キ ッ ト ( Invitrogen Compa
ny製 ) を 用 い て 、 C J 2 8 5 株 由 来 の 前 記 変 異 遺 伝 子 断 片 を p C R 2 . 1 − T O T O ベ ク
ターにクローニングし、その結果、該遺伝子を含有するクローンを同定した。
【0014】
aroF、aroG、trpR、およびtyrRタンパク質をエンコードする遺伝子の
塩基配列およびアミノ酸配列を決定するために、変異遺伝子(群)を含有するプラスミド
を単離および精製し、プロモーターに続く配列、遺伝暗号領域、タンパク質合成終結コド
ンを含む遺伝子配列全体を決定した。本発明の遺伝子のDNA塩基配列を決定するために
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、前記単離精製済みプラスミドDNAをシークエンシングプライマーおよびポリメラーゼ
と混合し、PCRによって増幅した。こうして増幅されたプラスミドDNAをエタノール
に浸して精製し、Hi−Di溶液と混合した。結果として、プラスミドDNAを、一本鎖
を 含 有 す る d s D N A に 変 換 し 、 塩 基 配 列 解 析 装 置 ABI 3100( Applied Biosystem製 ) を
用 い て D N A 塩 基 配 列 の 解 析 を 行 っ た 。 D N A 塩 基 配 列 の 解 析 は 、 U.S. NCBI( National
Center for Biotechnology Information) ウ ェ ブ サ イ ト の BLAST( http://www.ncbi.nlm.n
ih.gov/BLAST/) 検 索 プ ロ グ ラ ム お よ び ExPasyウ ェ ブ サ イ ト の Tools PROGRAM( http://us.
expasy.org/tools/dna.html) に 基 づ い て 実 施 し た 。 そ の 後 、 こ う し て 決 定 さ れ た 遺 伝 子
の塩基配列を野生型遺伝子の塩基配列と比較して、何らかの変異が存在するかどうかを調
べ、翻訳によって変異アミノ酸を同定した。
10
【0015】
変異遺伝子aroF、aroG、trpR、およびtyrRの少なくとも1つを含有す
るCJ285変異株をグルコース含有発酵培地中で直接発酵させ、L−トリプトファンを
生産させた。より具体的には、好気性条件(200−300rpmのフラスコ振盪または
400−1000rpmの発酵槽、および気流の量=0.5−1.5vvm)、発酵温度
=30℃およびpH=6.0∼8.0の条件下で前記変異株を培養し、生じたL−トリプ
トファンを培養培地中に蓄積させた。フラスコを使用する場合、30℃および220rp
mで48−60時間、変異株を培養し、生じたL−トリプトファンを培養培地中に蓄積さ
せ た 。 発 酵 槽 を 使 用 す る 場 合 は 流 加 培 養 法 ( fed batch cultivation) を 使 用 す る 。 そ し
てグルコースを複数回追加供給して、L−トリプトファンを製造した。発酵培地の成分を
20
下記表2に挙げる。
【0016】
発酵培地の組成
【表2】
30
【0017】
培養培地のミコビオントの成長速度を調べるために、600nmで吸光度を測定した。
ま た 、 ベ ル ト ラ ン ( Bertrand) 法 に 基 づ い て 糖 分 析 を 実 施 し た 。 同 時 に 、 H P L C ( 高 性
能液体クロマトグラフィー)を用いてL−トリプトファンの量を分析した。
40
【0018】
本発明の好ましい実施態様を例証のために開示してきたが、特許請求の範囲に開示され
る本発明の範囲および思想から逸脱することなく種々の修飾、付加および置換が可能であ
ることが当業者には認識されよう。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、大腸菌CJ181においてNTGを繰り返し処理することによって新規大
腸菌変異株CJ285(KCCM−10534)を開発する。この菌株は、トリプトファ
ンアナログであるヒドロキサム酸トリプトファンに耐性である。トリプトファン生合成に
関連する変異遺伝子aroF、aroG、trpR、およびtyrRのDNA塩基配列お
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よびアミノ酸を解析することによって、重要な変異を同定することができ、組換え株の開
発において使用するのに適した変異遺伝子を取得することができる。さらに、親株CJ1
81と比較して、該変異遺伝子の少なくとも1つを含有するその変異株CJ285は多量
(約10%増)のトリプトファンを生産する能力を有する。したがって本発明のCJ28
5は、組換え株の開発用の適切な母株として、ならびにアミノ酸発酵産業および医薬品製
造に関して非常に有益に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
【実施例1】
【0021】
10
実施例1:THX耐性変異株CJ285の選択
トリプトファン産生親株大腸菌CJ181(KFCC10902)を37℃のLB培地
中での12時間振盪培養に付し、滅菌生理食塩水溶液中で2回すすいだ。この場合、LB
培 地 ( p H = 7 . 4 ) は 、 1 % の バ ク ト ト リ プ ト ン ( Bacto-Trypton) 、 0 . 5 % の バ ク
ト イ ー ス ト エ ク ス ト ラ ク ト ( Bacto-yeast extract) 、 お よ び 1 % の N a C l を 含 有 し た
。このCJ181を0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝液(pH=5.5)中で希釈し、最
終的にOD=1.0にした。0.3g/lのTHXを含有する最少培地(表1を参照のこ
と)中で5日間、CJ181を培養した。成長速度を増加させ、THX耐性CJ181を
作成するために、変異誘発物質である500μg/mlのNTGを培地中に加えた。溶液
を37℃恒温槽に入れて30分間反応させ、0.1Mリン酸緩衝液(pH=7.0)中で
20
3回すすいだ。次いで、0.5g/lのTHXを含有する最少培地(表1を参照のこと)
中で5日間、CJ181を培養し、その結果、約100コロニーを取得した。こうして得
られた変異株および元の親株をフラスコ中のトリプトファン発酵試験の対象とした。結果
的に、元の大腸菌親株CJ181より優れたトリプトファン生産能力を特徴とする大腸菌
CJ285を選択することができた。該菌株からL−トリプトファン生産用の最良の菌株
を単離し、三角フラスコに入れた。フラスコ中の菌株に関してトリプトファン生産試験を
実施した後、下記実施例6に記載のように5L発酵槽中で発酵実験を実施した。
【0022】
新規開発の人工変異株についてのフラスコ中での実験結果
【表3】
30
【0023】
表3に見られるように、大腸菌変異株CJ285から生産されるL−トリプトファンの
濃度は元の親株大腸菌KFCC10902より高濃度であった。CJ285は、2003
年 1 1 月 2 8 日 付 け で K C C M ( Korean Culture Center of Microorganisms) に 寄 託 さ
れ、番号KCCM−10534を付与された。
40
【実施例2】
【0024】
実施例2:変異株CJ285のaroF遺伝子クローニングおよび配列解析
CJ285から単離された染色体DNAを鋳型として使用するPCRによってaroF
遺 伝 子 を 増 幅 す る た め に 、 下 記 プ ラ イ マ ー ( 2 1 量 体 ) を 使 用 し た 。 5'-GTATTTACCCCGTTA
TTGTC-3'を セ ン ス プ ラ イ マ ー と し て 使 用 し 、 5'-CACTTCAGCAACCAGTTCCAG-3'を ア ン チ セ ン
スプライマーとして使用した。PCRでは、約30ngのCJ285ゲノムDNAおよび
25pmolの各プライマーを、DNAポリメラーゼ、dNTPおよび反応バッファーを
含 有 す る Accupower PCR HL-Premixに 加 え 、 終 濃 度 を 2 0 μ l に し た 。 P C R プ ロ グ ラ ム
を25回実行した。このプログラムは94℃で5分間で開始され、その後35秒、55℃
50
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で40秒間、および72℃で90秒間であった。最後に、最終伸長を72℃で7分間実施
した。次いでその結果を1%アガロースゲル電気泳動によって検査した。
【0025】
遺 伝 子 断 片 を p C R 2 . 1 − T O P O ベ ク タ ー に ク ロ ー ニ ン グ す る た め に 、 Quiagenゲ
ル抽出キットを用いて約1.3kb(aroF変異遺伝子のサイズに相当する)の遺伝子
断片を1%アガロースゲルから単離した。次いで、こうして得られた遺伝子断片を精製し
、 ク ロ ー ニ ン グ 用 の 遺 伝 子 リ ソ ー ス と し て 使 用 し た 。 T O P O ク ロ ー ニ ン グ キ ッ ト ( Invi
trogen Company製 ) を 使 用 す る こ と に よ っ て 、 C J 2 8 5 株 か ら 得 ら れ た 変 異 遺 伝 子 断 片
をpCR2.1−TOPOベクター溶液と1:4の割合で混合した。その後、1μlの生
理食塩水溶液を混合物に加え、室温で20分間反応を継続した。この反応溶液を、キット
10
に含まれる40μlのTOP10コンピテント細胞と混合し、氷中に20分間置いた。以
後、42℃で30秒間熱ショックを適用し、すぐに、再度氷中に2分間溶液を入れた。2
50μlのSOC培地を加え、37℃で1時間変異遺伝子を培養した。50μg/mlの
アンピシリンを含有するLB寒天培地上に100μlの培養培地を塗布し、37℃で約1
2時間、変異遺伝子を培養した。白色コロニーのみを選択し、50μg/mlのアンピシ
リンを含有するLB液体培地中で再度約12時間培養した。プラスミドを単離し、Eco
RI制限酵素で2時間処理し、1%アガロースゲル電気泳動によって展開した。UVイル
ミネーターを使用して、変異遺伝子(群)を含有するクローンを同定した。
【0026】
遺伝子のDNA塩基配列を決定するために、前記同定クローンからプラスミドを単離し
20
、精製した。その単離精製済みプラスミドを下記物質と混合した:相補的水素結合によっ
て a r o F 遺 伝 子 と 結 合 で き る 2 p m o l の 配 列 解 析 用 プ ラ イ マ ー 、 2 μ l の Big dye含
有ポリメラーゼ、および1μlのプラスミドDNA(約200ng)。次いで、はじめに
96℃で30秒間、50℃で15秒間、および60℃で4分間で、25回、PCRを実行
した。プラスミドDNAをエタノールに浸して精製し、10μlのHi−Di溶液と混合
した。結果として、プラスミドDNAを、一本鎖を含有するdsDNAに変換し、塩基配
列 解 析 装 置 ABI 3100( Applied Biosystem製 ) を 用 い て D N A 塩 基 配 列 の 解 析 を 実 施 し た
。 D N A 塩 基 配 列 の 解 析 は 、 U.S. NCBI( National Center for Biotechnology Informati
on) ウ ェ ブ サ イ ト の BLAST( http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/) 検 索 プ ロ グ ラ ム お よ
び ExPasyウ ェ ブ サ イ ト の Tools PROGRAM( http://us.expasy.org/tools/dna.html) に 基 づ
30
いて実施した。その後、こうして決定された遺伝子の塩基配列を野生型遺伝子の塩基配列
と比較して、何らかの変異が存在するかどうかを調べ、翻訳によって変異アミノ酸を同定
した。
【実施例3】
【0027】
実施例3:変異株CJ285のaroG遺伝子クローニングおよび配列解析
CJ285から単離された染色体DNAを鋳型として使用するPCRによってaroG
遺 伝 子 を 増 幅 す る た め に 、 下 記 プ ラ イ マ ー ( 2 1 量 体 ) を 使 用 し た 。 5'-GTATTTACCCCGTTA
TTGTC-3'( 配 列 番 号 5 ) を セ ン ス プ ラ イ マ ー と し て 使 用 し 、 5'-ACTCCGCCGGAAGTGACTAA-3'
(配列番号6)をアンチセンスプライマーとして使用した。PCRでは、約30ngのC
40
J285ゲノムDNAおよび25pmolの各プライマーを、DNAポリメラーゼ、dN
T P お よ び 反 応 バ ッ フ ァ ー を 含 有 す る Accupower PCR HL-Premixに 加 え 、 終 濃 度 を 2 0 μ
lにした。PCRプログラムを25回実行した。このプログラムは94℃で5分間で開始
され、その後35秒、55℃で40秒間、および72℃で2分20秒間であった。最後に
、最終伸長を72℃で7分間実施した。次いでその結果を1%アガロースゲル電気泳動に
よって検査した。
【0028】
遺 伝 子 断 片 を p C R 2 . 1 − T O P O ベ ク タ ー に ク ロ ー ニ ン グ す る た め に 、 Quiagenゲ
ル抽出キットを用いて約2kb(aroG変異遺伝子のサイズに相当する)の遺伝子断片
を単離した。次いで、こうして得られた遺伝子断片を精製し、クローニング用の遺伝子リ
50
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ソースとして使用した。この時点以後の実験手順および塩基配列の決定後の塩基配列解析
は実施例2と同一である。
【実施例4】
【0029】
実施例4:変異株CJ285のtrpR遺伝子クローニングおよび配列解析
CJ285から単離された染色体DNAを鋳型として使用するPCRによってtrpR
遺 伝 子 を 増 幅 す る た め に 、 下 記 プ ラ イ マ ー ( 2 1 量 体 ) を 使 用 し た 。 5'-CGCCACGGAATGGGG
ACGTCG-3'( 配 列 番 号 7 ) を セ ン ス プ ラ イ マ ー と し て 使 用 し 、 5'-CCGCGTCTTATCATGCCTACC3'( 配 列 番 号 8 ) を ア ン チ セ ン ス プ ラ イ マ ー と し て 使 用 し た 。 P C R で は 、 約 3 0 n g の
CJ285ゲノムDNAおよび25pmolの各プライマーを、DNAポリメラーゼ、d
10
N T P お よ び 反 応 バ ッ フ ァ ー を 含 有 す る Accupower PCR HL-Premixに 加 え 、 終 濃 度 を 2 0
μlにした。PCRプログラムを25回実行した。このプログラムは94℃で5分間で開
始され、その後1分、60℃で30秒間、および72℃で1分間であった。最後に、最終
伸長を72℃で7分間実施した。次いでその結果を1%アガロースゲル電気泳動によって
検査した。
【0030】
遺 伝 子 断 片 を p C R 2 . 1 − T O P O ベ ク タ ー に ク ロ ー ニ ン グ す る た め に 、 Quiagenゲ
ル抽出キットを用いて約530bp(trpR変異遺伝子のサイズに相当する)の遺伝子
断片を単離した。次いで、こうして得られた遺伝子断片を精製し、クローニング用の遺伝
子リソースとして使用した。この時点以後の実験手順および塩基配列の決定後の塩基配列
20
解析は実施例2と同一である。
【実施例5】
【0031】
実施例5:変異株CJ285のtyrR遺伝子クローニングおよび配列解析
CJ285から単離された染色体DNAを鋳型として使用するPCRによってtyrR
遺 伝 子 を 増 幅 す る た め に 、 下 記 プ ラ イ マ ー ( 2 1 量 体 ) を 使 用 し た 。 5'-GGATTGACGATGACA
AACCT-3'( 配 列 番 号 9 ) を セ ン ス プ ラ イ マ ー と し て 使 用 し 、 5'-CTGGTGGATGAAATCACCAC -3
'( 配 列 番 号 1 0 ) を ア ン チ セ ン ス プ ラ イ マ ー と し て 使 用 し た 。 P C R で は 、 約 3 0 n g
のCJ285ゲノムDNAおよび25pmolの各プライマーを、DNAポリメラーゼ、
d N T P お よ び 反 応 バ ッ フ ァ ー を 含 有 す る Accupower PCR HL-Premixに 加 え 、 終 濃 度 を 2
30
0μlにした。PCRプログラムを25回実行した。このプログラムは94℃で5分間で
開始され、その後1分、53℃で30秒間、および72℃で2分20秒間であった。最後
に、最終伸長を72℃で7分間実施した。次いでその結果を1%アガロースゲル電気泳動
によって検査した。
【0032】
遺 伝 子 断 片 を p C R 2 . 1 − T O P O ベ ク タ ー に ク ロ ー ニ ン グ す る た め に 、 Quiagenゲ
ル抽出キットを用いて約1.9kb(tyrR変異遺伝子のサイズに相当する)の遺伝子
断片を単離した。次いで、こうして得られた遺伝子断片を精製し、クローニング用の遺伝
子リソースとして使用した。この時点以後の実験手順および塩基配列の決定後の塩基配列
解析は実施例2と同一である。
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【実施例6】
【0033】
実施例6:5L発酵槽での変異株CJ285の発酵
実施例2∼5に開示される塩基配列を有する変異遺伝子の少なくとも1つを含有する大
腸菌CJ285、および親株CJ181(KFCC10902)を5L発酵槽で流加培養
した(発酵温度=30℃、培養pH=6.9−7.1(pHはアンモニア水によって調節
できる)、気流の量=0.5−1.0vvm、および撹拌速度=500−700rpm)
。CJ285の発酵濃度は28.2g/lであり、親株CJ181の発酵濃度は25.1
g/lであることが判明した。したがって大腸菌CJ285の発酵時間はわずかに減少し
、L−トリプトファン生産性の毎時約10%の増加が生じた。
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(9)
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【0034】
5L発酵槽でのCJ285変異株の発酵
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0035】
10
上記および他の本発明の目的、特徴および他の利点は、添付の図面と併せて解釈される
下記の詳細な説明からさらに明確に理解されよう。
【0036】
【図1】図1は、aroF遺伝子の内部配列中のCCTが[TCT]に変異し、その結果
、280番目のアミノ酸プロリンがセリンに変化している変異遺伝子(配列番号1)を示
す;
【図2】図2は、aroG遺伝子のプロモーター領域のT塩基が[C]塩基に変異し、該
遺伝子の内部配列中のGTGが[GCG]に変異し、TGCが[CGC]に変異し、その
結果、それぞれ、57番目のアミノ酸バリンがアラニンに変化し、61番目のアミノ酸シ
ステインがアルギニンに変化している変異遺伝子(配列番号2)を示す;
【図3】図3は、trpR遺伝子の内部配列中の704番目のG塩基が欠失し、その結果
、 タ ン パ ク 質 翻 訳 時 の フ レ ー ム が 変 化 し 、 野 生 型 遺 伝 子 と 比 べ て 2 3 ア ミ ノ 酸 [cgattgatt
ttgtaggcctgataagacgtggcgcatcaggcatcgtgcaccgaatgccggatgcggcgtga]が 追 加 さ れ て い る
変異遺伝子(配列番号3)を示す;ならびに
【図4】図4は、tyrR遺伝子の内部配列中のGGCが[GAC]に変異し、CTGが
[CTA]に変異し、その結果、25番目アミノ酸グリシンがアスパラギン酸に変化し、
86番目のアミノ酸ロイシンがナンセンス変異に変化している変異遺伝子(配列番号4)
を示す。
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【図1】
【図2】
【図3】
【配列表】
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【図4】
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【国際調査報告】
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(12)
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(13)
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フロントページの続き
(81)指定国 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),
EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LU,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,
CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,
CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M
A,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG
,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW
(72)発明者 パク,ヨン−フン
大韓民国,キョンギ−ド 463−703,ソンナム−シ,ブンダン−グ,クミ−ドン,111−
102 ムジゲデリム エイピーティー.
(72)発明者 リム,サン−チョ
大韓民国,キョンギ−ド 449−845,ヨンイン−シ,チュクチョン2−ドン,103−16
02 ドンソン 1チャ エーピーティー.
(72)発明者 キム,ビョン−フン
大韓民国,インチョン 405−741,ナムドン−グ,マンソル−ドン,2ダンジ,205−1
205 サムファン エーピーティー.
(72)発明者 キム,ソン−ジン
大韓民国,キョンギ−ド 441−390,スゥオン−シ,クォンソン−グ,クォンソン−ドン,
1235,307−1001 プンニムシナン エーピーティー.
(72)発明者 リム,ホ−スー
大韓民国,キョンギ−ド 467−812,イチョン−シ,マチャン−ミョン,ドクピョン 1∼
2−リ
Fターム(参考) 4B024 AA03 BA75 CA03 CA09 DA06 EA04
4B064 AE34 CA02 CA19 CC24 DA01 DA10
4B065 AA26X AA26Y AB01 AC14 BA02 CA17 CA41 CA43 CA44
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