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核兵器と軍縮

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核兵器と軍縮
基礎からわかる現代社会
核兵器と軍縮
核兵器に関する条約
名称
部分的核実験禁止
条約(PTBT) 調印 ・発効年 1963 調印
締約国
米・英・
ソ他多数
内容または重要事項 地下を除く、大気圏、水中、宇宙空間に
おける核実験を禁止※仏・中不参加
米・英・ソ(ロ)、仏、中は核保有国と認定。
それ以外の加盟国は核保有禁止、
IAEA(国際原子力機関 1957 年設立)と保
障措置協定を結び、査察を受け入れる義
核兵器拡散防止条 1968 調印 多 数 国 務。ただし、五大国には査察の義務がな
約(NPT) 1970 発効 間条約
い。NPT は 1995 年に無期限延長されて
いるが、NPT に加入していないインド、
パキスタン、イスラエルの核保持、加盟
国でありながら核保有をしているイラ
ン、脱退を表明した北朝鮮の問題がある。
第 1 次戦略兵器制
限条約(SALTⅠ) 量的規制。米ソの現状を承認した上で、
1972 調印
米・ソ
2002 年に失効(アメリカブッシュ政権に
ABM( 弾 道 弾 迎 撃
ミ サ イ ル ) 制 限 条 1972 調印
約 1
恐怖の均衡の固定化を図るもの。
米・ソ
よるミサイル防衛導入のため)
第 59 講
核兵器と軍縮
質的規制。潜水艦発射弾道ミサイル
第 2 次戦略兵器 制限条約 (SALTⅡ) (SLBM)や巡航ミサイルなど、SALTⅠで
1979
未発効
米・ソ
は議論の対象外となった兵器を含めた、
包括的な軍備管理体制を目指す→ソ連の
アフガン侵攻で批准されずソ連のアフガ
ン侵攻を受け、アメリカの上院が拒否。
INF( 中 距 離 核 戦
力)全廃条約 1987 調印
米・ソ
欧州の中距離・短距離ミサイルの両方を
全廃、ソ連による現地査察の受け入れ。
両国の 1 万発の核弾頭を 2∼3 割(約 6000
発まで)削減。7 年間で実施済み。
2009 年 12 月に失効するため、09 年オバ
第 1 次戦略兵器 削減条約 (STARTⅠ) 1991 調印
1994 発効
マ大統領とメドベージェフ大統領が会談
米・ソ
し、両国の配備戦略核弾頭の数をそれぞ
れ 1500∼1675 発、運搬手段である大陸
間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道
ミサイル(SLBM)を 500∼1100 発まで削
減することで合意した。
第 2 次 戦略兵器削減条約
(START Ⅱ) 1993 調印
未発効
米・ロ
2003 年を目処に、両国の核弾頭を 3000
∼3500 発に削減。2007 年まで延長。
包括的核実験禁止 1996 採択 多 数 国 核爆発を伴うあらゆる核実験を禁止(臨
条約(CTBT) 未発効
間条約
戦略攻撃兵器削減
条約(モスクワ条
2002 調印
米・ロ
約・SORT) 界前核実験は禁止されず)
戦略核弾頭を 3 分の 1(1700∼2200 発)に
削減。
戦略核弾頭を 1550 発、核運搬手段配備数
新 START 2010 調印
米・ロ
の上限を 700 基・機(未配備含め 800 基・
機)
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基礎からわかる現代社会
非核地帯条約
南極条約 ラテンアメリカ 非核化条約 (トラテロルコ条約)
南太平洋 非核地帯条約 (ラロトンガ条約)
東南アジア非核地
帯条約 (バンコク条約)
アフリカ 非核化条約 (ペリンダバ条約)
中央アジア 非核地帯条約 (セメイ条約) 3
1959 署名
1961 発効
1967 署名
1968 発効
1985 署名
1986 発効
1995 署名
1997 発効
南緯 60
以南の南極大陸を平和利用するための条
約。第 5 条で南極大陸におけるすべての核爆発と放
射性廃棄物の処分を禁止
アメリカ以南のラテンアメリカ地域の非核化を目指
す。
ムルロア環礁でのフランス核実験を受け、南太平洋
の非核化を目指す。しかし 1996 年にフランスは再び
ムルロア環礁で核実験を行った。
東南アジアの非核化を目指す。
1996 署名
アフリカ全域の非核化を目指す。09 年ブルンジの批
2009 発効
准により発効。
2006 署名
2009 発効
中央アジア 5 カ国(カザフスタン、キルギス、タジキ
スタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)による
中央アジアの非核化を目指す。
第 59 講
核兵器と軍縮
主要な兵器禁止条約
条約 ジュネーブ 議定書 生物兵器禁止 条約 補足事項 1928 年発効。第一次世界大戦でドイツが化学兵器や生物兵器を
使用したことから、それらの使用を禁止した条約。禁止されたの
は「使用」だけなので不十分な内容だった。
ジュネーブ条約を補完。1975 年発効。生物兵器の開発・生産・
貯蔵・使用を全面的に禁止するとともに、すでに保有されている
生物兵器を廃棄することを求めた条約。
ジュネーブ条約を補完。1997 年発効。10 年間で全廃、査察制度
化学兵器禁止 条約 あり。化学兵器の開発・生産・貯蔵・使用を全面的に禁止し、す
でに保有する兵器の廃棄を求める条約。
湾岸戦争の後にイラクがクルド人に使用したり、地下鉄サリン事
件などの例がある。
1999 発効。NGO の国際地雷キャンペーンが活躍。全会一致制の
対人地雷 ジュネーブ軍縮会議で採択されず、条約賛成国だけで交渉する
全面禁止条約 「 オ タ ワ ・ プ ロ セ ス 」 が採択された。日本も地雷をすべて廃棄
している。
国連特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)締約国会議がクラス
ター爆弾の禁止を議論しなかったため、ノルウェーが「オスロ宣
クラスター爆弾禁 言」を採択。クラスター爆弾の使用や製造、保有を禁じ、8 年以
止条約 内の廃棄、10 年以内の不発弾除去を定める。09 年、日本は批准。
46 ヵ国が批准している。第 1 回締約国会議はビエンチャン(ラオ
ス)で開催された。(2010)
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基礎からわかる現代社会
第二次世界大戦後,様々な方法で平和を構築する活動が行われている。軍備管理・軍縮に
ついて説明した記述として最も適当なものを,次の①∼④のうちから一つ選べ。
〔センター試験〕
① 第二次世界大戦後,軍備管理・軍縮交渉は国連によって主導されており,初の核兵
器削減条約である中距離核戦力(INF)全廃条約も国連軍縮特別総会で締結されたもの
である。
② 核不拡散条約(NPT)では,非核保有国には核兵器を持たないことを約束させ,核保
有国には核実験を行う場合に,条約の加盟国会議に対して事前許可を求めることを約
束させた。
③ 核兵器を開発するために不可欠な核実験は,部分的核実験禁止条約で規制の対象と
なり,1990 年代には包括的核実験禁止条約が結ばれたので,この条約の締結後,核実
験は行われていない。
④ 今日,軍縮の対象となっているのは核兵器だけではなく,その他の兵器も対象とな
っており,例えば 1990 年代には,神経ガスなどの化学兵器の禁止などを定めた化学兵
器禁止条約が採択されている。
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第 59 講
核兵器と軍縮
地雷の禁止や規制に関する「対人地雷全面禁止条約」等の条約があるにもかかわらず,地
雷による犠牲者の発生が続いている原因として適当でないものを,次の①∼④のうちから一
つ選べ。
〔センター試験〕
① 条約に加入するかどうかは各国の自由であり,現実には地雷の使用を継続しようと
している国を強制的に加入させることができない。
② 地雷を多く使用するゲリラ組織や反政府団体は国家組織ではないので,条約には最
初から加入していない。
③ 地雷による犠牲者が多く発生している開発途上諸国は,地雷を適切に撤去,処理す
る能力に乏しく,条約に加入しても,実際の履行は遅れている。
④ 条約に加入しても,国内法で地雷の使用をまだ禁じていない国もあり,そのような
国は国内法が改正されるまで条約上の義務を免除されている。
核兵器の規制に関する記述として適当でないものを,次の①∼④のうちから一つ選べ。
〔センター試験〕
① PTBT が結ばれた背景には,米ソが核戦争寸前の事態に陥ったキューバ危機をきっ
かけに,平和共存の気運が高まったことがある。
② NPT に加盟する非核保有国は,核兵器の保有を禁じられ,国際原子力機関(IAEA)
の査察を受ける義務を負っている。
③ CTBT は,核実験の禁止を目的としており,核爆発を伴わない未臨界実験もその対
象としている。
④ CTBT の採択時に NPT に加入していなかったインドとパキスタンは,CTBT にも反
対し,同条約の採択後に核実験を実施した。
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