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研究データの保管についてのガイドライン
2013 年 2 月 8 日 立命館大学衣笠キャンパスにおける人を対象とする研究倫理審査委員会 人を対象とする研究における個人情報の保護、並びに研究データの保管についてのガイドライン 人を対象とする研究においては、研究対象者の個人情報の保護を図るとともに、研究上の必要性に鑑 みて適切に研究データを保管する必要がある。 こういった研究対象者の個人情報の保護、並びに研究データの管理は研究者にて責任を持って行なう ものであるが、そのための参考となるガイドラインをこの度策定する。 個人情報の保護や研究データの取り扱いについて研究対象者との同意内容を守ること(研究対象者に 丁寧かつ適切に説明した上で同意を受けること)、不要な個人情報は持たないことを基本とする。 研究分野の特性や扱うデータの内容によっては必ずしもこれに当てはまらないケースがあることも 想定されるが、各研究計画に最適な方法を研究者自身が検討し、研究者の責任として適切に管理しなく てはならない。 尚、法令や研究環境の変化に応じて、あるいは研究者からの提案によって、引き続き本ガイドライン 改訂のための議論を本委員会において重ねていくこととする。 1.個人情報の保護、並びに研究データの保管についての基本事項; ① 研究対象者の個人情報の保護、並びに研究データの保管について責任を持つのは研究者である。 ② 個人情報の取り扱い、研究データの保管等について、研究対象者に明示した上で研究協力の同意 を受けることが望ましい。 ③ 不要な個人情報は持たない、不要になった段階で研究データから取り除くことを基本とする。 ④ 研究対象者からの開示請求については、それが求められるような、研究対象者に利益のある情報 が含まれる研究においては、請求がある前にできるだけフィードバックを行なって研究成果をお 返ししておくことが望ましい。 ⑤ 学会発表や論文発表後、事後の検証ができるように研究データを保管する必要がある。 ⑥ 個人情報や研究データの取り扱いについて研究対象者との約束内容を記録する同意書は、指針に 従い最低でも 5 年間は保管しなくてはならない。 2.保管期間を考えるにあたっての検討事項; 保管期間は研究者にて定めるものとするが、以下の点に留意する必要がある。 ①研究対象者への説明責任からの必要性;この期間は連結可能匿名化にて保管 ・研究対象者からのデータ開示請求や、疑義、同意撤回に対応できる期間について、研究協力の同 意を得る際に研究対象者に明示し、その期間を守る。 ・開示請求に応える期間の目安としては、研究実施期間がある。(研究終了後には連結不可能匿名 化をして個人情報を保護するが、同時に開示請求に応じられなくなるため、その旨の説明が必要) ②研究上の保管の必要性;連結不可能匿名化にて保管 ・論文発表後に、発表した研究データの正確性等について事後の検証が行なえるよう研究データ(生 データ)は必要な期間保管する必要がある。学会や論文掲載誌にて保管期間の定めがある場合は それに従う。 ③将来の研究に用いる可能性; ・将来、同様のあるいは他の研究に研究データを用いる可能性がある等、研究データを廃棄せずに 保管し続ける場合は、それについて研究対象者から同意を受けていること、個人情報については 連結不可能匿名化をしていることが望ましい。 ④説明と同意内容の記録(説明・同意書)の保管の必要性; ・その記録を作成の日から起算して最低 5 年間保管する。説明・同意書は上記①∼③について適切 に説明している記録文書となり、研究データ等の扱いとは別に、保管する必要がある。 立命館大学衣笠キャンパスにおける人を対象とする研究倫理審査委員会 人を対象とする研究における個人情報の保護、並びに研究データの保管についてのガイドライン 3.インフォームド・コンセントにおける留意点 研究対象者から研究協力の同意を受ける際に次の点を説明することを推奨する。 ① 研究データの開示・廃棄(同意撤回)請求が可能な期間、連結不可能匿名化の時期 ・連結不可能匿名化、および論文発表後のデータ修正ができないこと等についても、必要に応じて 説明する。 ②(連結不可能匿名化された)研究データの保管方法・期間、廃棄時期 ③ 他の研究への利用、他の研究者へのデータ提供やアーカイブ等への寄託といった可能性があり 廃棄しない方針である場合は、そのことについて ④ 共同研究者がいる場合は、個人情報・研究データを扱う共同研究者の範囲 4.保管・廃棄の方法 ① 保管 ・個人情報は、同意を受けた人以外がアクセスできないように保管する。 ・紙媒体による保管には施錠できる場所を利用し、電子媒体による保管の場合は、可能な場合はス タンドアローンのパソコンで保存する、それができない場合はデータにパスワードを設定すると いった対応が望ましい。 ・連結可能匿名化をして保管する場合、個人情報が記載された対応表は、個人を識別する情報が除 去された研究データとは分けて保管することが望ましい。 ② 廃棄 ・必要な保管期間を経過した個人情報・研究データについては、速やかに廃棄する。 ・紙媒体の資料についてはシュレッダー、もしくは溶解をする。 ・電子データについてはバックアップ等を含め適切に消去する。扱うデータの内容によっては、電 子データの保存媒体を物理的に破壊することも検討する。 [参考;関連指針抜粋] 1. 立命館大学研究倫理指針 (4) 資料・データ等の収集および管理 ① 研究者は、当該研究に関わる資料・データ等の収集にあたっては、科学的かつ一般的に妥当と 考えられる方法、手段により行う。 ② 研究者は、当該研究のために収集または作成した資料・データ等の関連する研究記録は適切に 保管し、事後の検証が行えるよう必要な期間保存するものとする。 (5) 個人情報の取り扱い ① 個人情報の重要性を認識するとともに、個人情報が個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱 われるべきものであることに鑑み、その適正な取り扱いについて必要な措置を講じる。 ② 研究者は、当該研究に関わって収集した資料・データ等の管理に万全を期すとともに、研究遂 行上知り得た個人情報を本人の同意なしに他に漏らさない。 ③ 研究者は、個人情報の取り扱いに関する苦情等には誠実に対応する。 2. 立命館大学における人を対象とする研究倫理指針 (インフォームド・コンセント) 第 5 条 研究者が、個人の情報またはデータ等を収集・採取するときは、予め研究対象者の同意を 得ることを原則とする。 2 「研究対象者の同意」には、個人の情報またはデータ等の取扱いおよび発表の方法等に関わる 事項を含むものとする。 3 研究者は、研究対象者が不利益を受けることなく研究実施期間においていつでも、同意を撤回 し研究への協力を中止する権利および当該個人の情報またはデータ等の開示を求める権利を有 することを研究対象者に周知しなければならない。 4 研究者は、研究対象者が同意する能力がないと判断される場合は、本人に代わる者から同意を 得なければならない。 5 研究対象者からの同意は、原則として文書により行い、研究者は、その記録を作成の日から起 算して最低 5 年間保管しなければならない。 6 研究者は、研究対象者が同意を撤回した場合は、当該個人の情報またはデータ等を廃棄しなけ ればならない。 立命館大学衣笠キャンパスにおける人を対象とする研究倫理審査委員会 人を対象とする研究における個人情報の保護、並びに研究データの保管についてのガイドライン