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問題解決プロセスを応用した膵臓がん患者の 心理社会的問題と対処法

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問題解決プロセスを応用した膵臓がん患者の 心理社会的問題と対処法
Palliative Care Research
Palliative Care Research 2015; 10(3): 00–00
原 著
Palliat Care Res 2015; 10(3): 186–93
問題解決プロセスを応用した膵臓がん患者の
心理社会的問題と対処法リストの作成:
外来において化学療法加療中の
膵臓がん患者を対象として
塩﨑麻里子1),酒見 惇子2),佐藤 貴之3),江口 英利4),
種村 匡弘4),北川 透4),伊藤 壽記5),平井 啓6)
1)近畿大学総合社会学部,2)神戸大学医学部附属病院腫瘍センター,3)公道会病院地域医療連携室,
4)大阪大学大学院医学系研究科消化器外科学,5)同 生体機能補完医学,
6)大阪大学未来戦略機構次世代研究型総合大学研究室
【目的】本研究の目的は,問題解決プロセスを応用し,膵臓がん患者の抱える心理社会的問題を体系的に整理し,問題
に対する具体的な対処法リストを作成することであった.【方法】17 名の膵臓がん患者を対象に,1 時間程度の半構
造化面接を 2 回行い,問題をとらえ直し,解決可能な目標設定と対処法を分類したリストを,患者と共に作成した.
【結果】問題は,不確実な将来と向き合う(「今の生活・状態を維持する(7 名)」,
「周囲におよぶ変化に備える(5 名)」,
「人生に対するコントロール感を保つ(5 名)」,
「不安な気持ちとつきあう(3 名)」)と,病気による喪失と向き合う(「病
後の生活に適応する(2 名)」)の 2 つに大別され,それぞれに対する具体的な対処法リストが作成された.
【結論】問題
を明確化することで,対処可能な目標設定が可能となることを,リストを用いて情報発信し,患者が機能的な対処を
行えるよう支援していくことが望まれる.
Palliat Care Res 2015; 10(3): 186-93
Key words: 問題解決プロセス,膵臓がん患者,心理社会的問題,質的研究
うつ症状が,また 48%に不安症状がみられるとの報告
緒 言
もあり5),患者の心理社会的問題への対応の必要性が指
膵臓がんはその疾患特性として,初期の段階では無
摘されている.
症状の場合が多く早期発見が非常に困難な上に,進行
膵臓がん患者の心理社会的問題に関する研究は,集
が早い.治癒切除が行われた場合でも約 9 割が再発をき
学的治療が,栄養状態等の QOL 改善に寄与するという
たし,死亡に至る1,2).特に進行膵臓がんの生命予後は
報告6)や,疼痛増加と抑うつが有意に関連しているとい
数年であり,患者は症状が伴う中で,短期間で自分の置
う報告7),個別の心理的過程を追った報告8,9)などがある
かれている状況を把握しなければならない.しかしな
ものの,予後の短い膵臓がん患者の非可逆的病理変化
がら,在院日数の短縮化に伴い,治療が外来にシフト
に伴う心理社会的問題や支援方法を扱った研究は少な
し,医療者や同病者との接点も減少しているため,多く
く,実際に患者がどのような問題を抱え,どのような支
の患者は,診断された直後から,再発・転移の不安,将
援が必要かについての知見の蓄積は非常に少ない.
来に対する漠然とした不安等心理社会的問題に,手さ
一方で,がん患者の心理社会的問題に対する専門的
ぐりのまま直面することになる3,4).その結果,71%に抑
な心理的支援として,様々な方法が開発されている.そ
受付日:2015 年 5 月 18 日/改訂日:2015 年 7 月 2 日/受理日:
2015 年 7 月 5 日
決療法が近年注目されている.この問題解決療法は,う
の中でも,認知行動療法のひとつに分類される問題解
つ病 10,11)の治療を目的に開発され,がん患者やその配偶
者,小児がん患児の母親に対する応用も試みられるよ
Corresponding Author:塩﨑麻里子
近畿大学総合社会学部
〒 577-0813 大阪府東大阪市新上小阪 228-3
TEL 06-6721-2332 FAX 06-6721-2512
E—mail: [email protected]
うになった12~15).有用性が高いことに加え,手続きが
構造化されており,実施が簡便かつ汎用性が高いと
いった特徴を持ち,がん患者が日常的に経験する現実
186
膵臓がん患者の心理社会的問題と対処法リストの作成
的な問題を取り扱うことができるため,がん領域にお
なく,患者自身が問題解決プロセスの考え方を取り入
いて注目されている.
れ,自分の問題について整理し,現実的な目標設定をし
問題解決療法では,問題は,何らかの障害により,
て,解決のための行動を積極的にとることができるよ
「こうありたいと思う状態」と「現在の状態」が不一致で
うに情報を提供していくことも重要といえる.
効果的な対処がとれない状態と考える.その上で,日常
そこで本研究は,問題解決プロセスの考え方を普及
生活の中でストレスを感じる様々な問題に対して,そ
させるための資料を得るために,膵臓がん患者の抱え
の問題を取り扱うのに有効な解決策の選択肢を見つけ
る心理社会的問題を整理し,具体的な対処方法のリス
出し,最も有効な手段を見つけ出そうとするプロセス
トを作成することとした.整理するにあたり,問題解決
と定義されている 16).D’Zurilla, & Goldfried の問題解決
プロセスの第二段階を応用し,患者が日常生活の中で
モデルでは,不安や抑うつといった心理的状態を改善
感じている心理社会的問題を,1)
「こうありたいと思う
することに効果的な問題解決プロセスとして 5 つの段
状態」と「現状」との不一致として明確化して再定義し,
階
(第一段階: 問題解決志向性,第二段階: 問題の明確
2)その状態を達成するための現実的な目標を設定し,
化,第三段階: 問題解決策の算出,第四段階: 問題解決策
3)具体的に行っている行動を対処方法としてまとめる
の選択と決定,第五段階: 問題解決策の実行と評価)が
こととした.リストを作成することで,問題の再定義の
あるとされている.第一段階の問題解決志向性は,生活
仕方や,解決可能な目標設定の仕方,そして,膵臓がん
の中で問題を一般的にどのように考え,感じるのかと
患者の状況に即した対処方法といった問題解決プロセ
いう認知-情動スキーマの操作を含むメタ認知プロセス
スを具体的に示 すことが可能となり,患者の機能的な
である.それが肯定的か否定的かによって,問題解決行
対処を増加させることが期待される.また患者の積極
動が促進されたり,抑制されたりする.第二段階では,
的な対処を促すためには,リストを見ることで,自分も
その人にとっての問題を同定し,コントロールできる
取り組めそうだとエフィカシーが高められる効果と,
もの,事実であること,実行可能なものに再定義し,具
自らが何気なく行っている行動が,問題を解決するた
体的にする.また問題の望ましいアウトカムとして現
めの対処方法となり得ることに気づき,対処可能感が
実的な目標を設定する.第三段階では,できるだけ多く
高められる効果を引き出すことが重要であると考え,
の目標を達成するための解決策を算出する.第四段階
対処方法に関しては逐語による詳細な情報を提示する
の意思決定の段階では,自分にとっての重要性を考慮
こととした.
した上で,選択肢の良い点,悪い点を比較し,最も恩恵
が大きい解決策を選択し,第五段階では計画された解
決策を実行し,結果を評価し,自己強化する.このプロ
方 法
セスにおいて非効果的な問題解決を行うものほど,不
1.対象
安や抑うつ症状の程度が強く16, 17),人生満足感や自尊
2010 年 6 月から 2011 年 2 月にかけて,以下の条件を
感情が低いこと が示されてきた.問題解決療法は,こ
満たす膵臓がん患者に調査依頼を行った.
18)
[適格基準条件]
れら一連の過程を通じ,日常生活に支障を来している
問題への対処能力をより効率的に向上させ,「こうあり
1)成人であること
たいと思う状態」へ導くことを目的としている .つま
2)外来において化学療法加療中の患者
り,問題解決プロセスの問題のとらえ方や目標の設定
3)膵臓がんの診断が臨床的もしくは組織学的,病理学
19)
的に確認された患者
の仕方によっては,進行した患者の多くが経験する再
4)調査に際し,患者および家族の同意が得られるもの
発・転移に対する不安や将来に対する不安といった一
[除外基準]
見解決が不可能な問題も,「こうありたいと思っている
1)希死念慮を伴ううつ病が疑われるなど精神科医によ
状態」に向かって対処が可能となると考えられてい
る対応が必要であると主治医が判断する患者
る .結果として,不安や抑うつを減少させ,ひいては
20)
2)せん妄,認知症などの認知障害か統合失調症などの
人生満足感を高めることが期待される.
しかしながら,医療の現場において問題解決療法を
精神疾患を認める患者,すでに精神疾患に対して精
受療するためには,充分な技術を有した治療者が実施
神科治療を受けている患者
する 5 週間の構造化されたプログラムに参加する必要
3)認知機能障害のある患者
がある.また,膵臓がんのように予後が悪い患者や,症
4)日本語の読み書きが困難な患者
状の悪化した患者に対して適用するには,医療環境の
2.手続き
整備やプログラムの改良が課題といえる.このような
調査協力者の同意を得た上で,外来診療の待ち時間
現状を踏まえると,心理療法という形での実施だけで
を利用し,プライバシーを確保できる場所で,約 60 分
187
Palliative Care Research
間の半構造化面接調査を 2 回行った.面接は,問題解決
面接実施が保留となった 3 名,録音データに不備のあっ
療法プログラムのトレーニングを受けた心理士が 3 名
た 2 名を除外した 17 名
(男性 10 名,女性 7 名)を分析対
で行った.
象とした.平均年齢は,65.8±11.4 歳であった.17 名の
初回時は,属性
(年齢,家族構成と家族の年齢,職業,
うち,手術の適用があったものは 12 名
(71%)
,再発・
既往歴)と心理的状態の測定尺度 Hospital Anxiety and
転移があったものは 12 名(71%)
,有職者(専業主婦は除
Depression Scale(HADS)日本語版21)への回答を求めた
く)は 8 名(47%)
,確定診断からの面接までの経過月数
後,治療経過の確認を行い,現在抱えている問題につい
は 1 年未満が 9 名,1 年以上が 8 名(範囲: 2-80 か月)で
て,日々の生活の中でどのようなストレスや悩みを抱
あった.複数回答可で支えになる家族として挙げられ
えているのか,また,これまでどのように対処してきた
たのは,配偶者が最も多く 14 名,次いで子ども 4 名で
のかを,できるだけ具体的なエピソードを引き出すよ
あった.HADS の平均点は 10.24±4.42 点
(中央値: 9,範
うヒアリングした.最後に,がん患者の心理社会的問題
囲: 5-23)であり,10/11 をカットオフ値とした場合の適
として一般的に多く挙げられるテーマを示して,聞き
応障害の基準を満たすものは 6 名(35.3%)
であった.性
漏らしがないか確認した上で,面接を終了した.ヒアリ
別,年齢,再発・転移の有無,確定診断からの経過月数
ングした内容を,次回の面接までに,心理士 3 名で,問
と,HADS 得点に関連はみられなかった.
題-目標-対処の 3 つの次元に整理した.次の外来受診時
2.内容分析の結果
に,再度面接を実施し,社会的問題解決理論の枠組みに
Table は,膵臓がん患者が抱える心理社会的問題を,
ついて説明を行った上で,前回ヒアリングした内容を
1)
「こうありたいと思う状態」と
「現状」との不一致とし
整理した表を提示し,研究者側の理解が対象者の経験
て明確化して再定義した『問題』と,2)その状態を達成
と乖離していないか確認し,対象者と共同で表を完成
するための現実的な
『目標』
,3)目標を達成するために
させた.
具体的に行っている『対処方法』の 3 つに整理したもの
3.分析方法
を示したものである.コントロールが可能な形で再定
内容分析の手法に準じて,本研究の目的に即して,以
義された『問題』を解決するための『目標』と代表的な
『対
下の手順で分析を行った.まずは,2 回分の面接内容か
処方法』を対応させる形で結果を示した.
ら,逐語録を作成した.各対象者と共同で完成させた表
膵臓がん患者の抱える心理社会的問題として語られ
にある問題-目標をもとに,研究者である心理士が 2 名
た内容は様々であったが,大きくは『不確実な将来と向
で,対象者の経験を逸脱しないよう配慮した上で,逐語
き合う(Table1-1, 1-2)
』と現在受けている
『病気による
録の中から具体的な対処方法をすべて抽出した.この
喪失と向き合う(Table1-3)
』の 2 つのテーマに集約され
プロセスは,臨床現場で問題解決療法を実施している
た.
『不確実な将来と向き合う』は,がんと共に生きる残
専門家 2 名によるスーパーバイズを受けながら行った.
された時間をどのように過ごすかに関する心理社会的
さらに研究者とは別の心理士(以下,コーダー)に,逐語
問題であった.この問題を明確化してとらえ直したと
録における具体的な対処方法が,どの問題-目標に該当
ころ,
「今の生活・状態を維持する(7 名)」,
「周囲にお
するかについて,判定を依頼した.研究者とコーダー間
よぶ変化に備える(5 名)
」,
「人生に対するコントロール
で意見が分かれた箇所については,協議を行い,最終的
感を保つ(5 名)」,
「不安な気持ちとつきあう(3 名)
」
の4
に意見を一致させて,最終的な問題-目標-対処法のリ
つの問題に再定義された.つまり,これらの 4 つの問題
ストを完成させた.
を解決していくことが,不確実な将来と向き合うため
4.倫理的配慮
のアプローチになるといえる.『病気による喪失と向き
本研究は,大阪大学医学部附属病院の倫理委員会の
合う』は,病気になったことで,これまでの普通の生活
承認を得て実施した.対象者へは,調査への協力は任意
や自分らしさに影響を受けたことに関する心理社会的
であること,参加を拒否しても不利益は受けないこと,
問題であった.この問題を明確化してとらえ直したと
途中で参加をやめることができること,答えたくない
ころ,
「病後の生活に適応する(2 名)」と再定義された.
内容については答えなくて良いこと,個人が特定でき
つまり,病前と同じでいられるところは維持し,同じで
ない形でデータを管理することなどを事前に文書およ
はいられないところは調整をしつつ折り合いをつけて
び口頭にて説明し,同意を得た上で,調査を実施した.
適応していくことが,病気による喪失と向き合うため
のアプローチになるといえる.
これらの『問題』に対して,現実的な『目標』として,14
結 果
種類が見出された.
『問題』ごとに整理すると 3-9 種類の
『目標』が割り振られる形となった.また,
『目標』を達成
1.対象
調査依頼を行った 22 名のうち,体調を崩し 2 回目の
するための行っている代表的な『対処方法』を語られた
188
膵臓がん患者の心理社会的問題と対処法リストの作成
表 1-1 膵臓がん患者の心理社会的問題と具体的な対処法
(不確実な将来と向き合う)
明確化した問題
今の生活・状態を
維持する
(7 名)
周囲におよぶ
影響に備える
(5 名)
解決可能な目標
具体的な対処法
N
自分らしい時間を過ごす 5 自分のできる範囲で家庭菜園みたいに家で食べる野菜を作ったりな,規則正しい生活の
ためにラジオ体操してみたり,孫と子どもの気持ちになって遊んだりな.夜とか,ビデ
オみたりして,病気のこと考えんと,楽しんでます(No7)
無理をせずに好きなことをやっていきたいなって.お習字もしたいし,本も読みたいと
思って,色々計画してね.全然,飽きませんわ.娘と一緒に京都のお寺とか廻ったりね.
体力はないから,タクシーでいけるところにしたり.お芝居行くのはしんどいから,
DVD
で見てみたり(No2)
深く考えないようにす
る(現状を受け入れる)
5 ま,再発したら,もうしゃあないなって切り替えるしかないよね.考えても仕方ないし.
物事の良い面に目を
向ける
4 肺とか肝臓とか,ほかには全然まだ転移していないみたいで,これもありがたいです.
身体の状態を維持する
4 背中がいたいから,背中の筋肉をつけたいと思って,孫にそんな体操ある?って聞いた
心身の状態に合わせて
行動を調整する
3 意識せんでも身体が自然に横になりたいってなって,横になりますわ.食欲がなかった
ほんとしゃあないなって思う感じ(No3)
自分の一生がこれで終われば万々歳だっていう感じで,のんきに考えて構えて.それ以
上,あれじゃこれじゃって言って考えてみてもしょうがないしね.もうわれわれのよう
な者は,どうなるのか先がわかりませんし,心配ごとがないと言えばうそになると思い
ます.だけども,今のところ,退院してから,元気で回復できたほうじゃないか,もっ
と安楽に考えていったほうがええんじゃないかなとは思っていますけどね(No21)
腫瘍マーカーもそれほど上がってないしね.このままでずっといけたらありがたいしね.
まあ歳とっていくことは,しゃあないけど,自分のことは自分で他人に世話かけんと,
自分のことは自分でちゃんとできて,普通の生活ができたら,こんな幸せなことは無い
と思いますわ.病気して初めてわかったんけどね(No7)
58 のときになったから.ちょっとはやかったけど,仕方がないかって,そこで諦めたと
きもありましたからね.でもそれからもう 6 年ですか,7 年目に入りましたからね.これ
だけ生きられたんやなあって思って.痛みが何にも感じられへんからね,のんきにおら
れるんやけどね(No11)
ら,色々な本を買ってきてくれてね.孫はついでに,がんが治るいろんな食べ物の本と
か借りてきてくれたり,青汁を作ってくれたり.色々教えてもらって,体の力を落とさ
ないようにしてますねん(No2)
食べるものをできるだけ,煮込む形で食べやすくしてもらって,食べて体重や体力を落
とさないようにしています(No18)
ら私だめやから,先生に相談して,これを飲ませてって言ってます.身体の声に合わせ
て生活してます(No11)
食べる量も 5 割くらいにして,体に負担をかけないように.居酒屋も週 2 日行ってたけ
ど,もう行ってませんし,味の濃いもの控えてるかな.多めに食べると,痛くなるんで
すよね(No3)
情報を収集する
2 もし手術ができなかった場合の治療法の医学書とか,新聞の広告にあるジュースとか電
周囲とのつながりを維
持する
1 子どもらとキャンプいったり,体育指導員をやったり,地域健康づくり指導員っていう
話してみたり.先生にも免疫療法やなんやの情報聞いたり.他にも方法あるなら知りた
いし,可能性があるなら色々やってみたい.ネットや本や,テレビで情報をみつけては,
先生に確認してます(No17)
病院の治療もいろいろかもしれませんけどね,なんか他に手立てはないかなって.私は
今,サプリメントを飲んでますけど,そういう組み合わせをね.もっと上手にしている
人たちがあったら聞きたいし.どんな治療をしてきてらっしゃるか知りたいですよね
(No11)
のを続けてるんですけど,いつまで続けられるかな.仲間との交流は,楽しくて,かつ
何か得るものがあって,自分が成長できる.子どもらもすきだから一緒におる.笑顔を
みると,逆にエネルギーもらってます.私の人生っていろんな人に助けてもらって過ご
してきたなと思うね.自然と周りの人が助けてくれる(No18)
周囲が困らないよう
将来に備える
3 急に何かあることもあるから,義務でもないんやけど,やっぱりきっちりしとかんとあ
子どもの将来を考える
2 このまま死んだら,両親のことはきちんとしてきたのにね,我が子のために何もしてあ
かんと.いろんな関係者にきちっと話しています(No18)
『幸せのエンディングノート』というようなものも買うて.書こうと思うんですけれど,
なかなかあれは書けないものですね.だけど,急に救急車を呼ぶこともあるでしょうか
ら,私しかわからないことも,全部娘にいってあるんです.その時どうしたらいいかも
(No2)
げられていないっていうことを気づいたんですよ.娘のお産の手伝いと,それから息子
の結婚,これですわ(No11)
娘が私が死んだら,一人になるんです.今更,お嫁に行ったらとも,婚活したらとも,冗
談でも言いにくいけど,娘の将来だけが心配で,ずっと気にかかってる
(No3)
周囲が心配しないように 2 不安というか,会社でもそうですけど,長が不安がっておると,周りが不安になります
んでね.ですからできるだけ出さないように,家庭でもしてるんですけどね.身体のこ
行動する
とも,精神的なことも.だから,家族もあんまり心配してないんじゃないですかね
(No17)
今まで溜めたお金がね,病院とかサプリメントに消えていくなんて嫌やわと思ったんで
すよ.でも,夫がどんなに使ってでもね,ちょっとでも生きてくれたら嬉しいって強く
言うから.じゃあ,少しは使って死んであげようかって思ったんです(笑).夫の気持ち
に応えるためです(No11)
189
Palliative Care Research
表 1-2 膵臓がん患者の心理社会的問題と具体的な対処法
(不確実な将来と向き合う)
明確化した問題
解決可能な目標
人生に対するコント 心身の状態に合わせて
行動を調整する
ロール感を保つ
(5 名)
具体的な対処法
N
4 仕事は一気に無理してダウンするよりも,ましかなということで,少しでも役に立てば
と適当にやらしてもらってます(No5)
今までは出かけて行って,友達とどこかでお茶なんてしてましたけど,もう友達が家に
来てくれたり,メールとか,電話になっちゃいますけどね.とにかく疲れない程度に,
すぐその辺のスーパーへ行って,ぐるっと歩いて帰ってくるくらいにしています(No16)
深く考えないようにする
(現状を受け入れる)
3 もうどういう形でなり,この世を去るのは去るんですからね.だから,ただまあ去るの
に苦しむのは嫌やけど,そうでさえなければね,私は別に,なんともそれほどこの世に
未練があるわけでもないし.受け入れざるを得ないんじゃないですか.あたふたしても
仕方がないし(No16)
たいして,その気にしていないんです.そういう意味で,気にしてないし,年齢的に,
何らかのかたちのがんになる可能性は大だと思っていましたから.上みたらきりない下
みりゃきりないでね,不安といったらどこまで不安かというような話で(No5)
身体の状態を維持する
3 食べる量はすごく落ちてるわけじゃないけど,体重は落ちた.無理にでも食べてる.一
日何千歩も歩いて,筋力つけないとって思ってる(No20)
80 歳以上は開腹手術はできないとか,ベットで寝たりおきたりしている人は,体力的な
面で手術できないとかいうような事が言われているので,それなら手術できるように筋
肉を鍛えないといけないなと.入院中も病室まで一日に 2 回は階段を上り下りしていま
したね(No14)
情報を収集する
3 日本で治らないなら,海外か,新薬か,漢方か.選択肢は非常に多い世の中やからね.
信用できるとあらば,いろんな方法試してみたい(No13)
勉強してますね.いろいろ行き当たりばったりの勉強やろうと思いますけどね.関心を
持ってそれを重点に勉強していると.勉強いうこともないんですけど.知識深めようと
努力してると思う.自分の状態を知るためにですね(No14)
.
自分のことは自分で
決める
3 わからんこと中途半端にしたって一緒やから,自分が行って自分で全部責任とるいう状
態を作っとるから.わざわざ家族立ち会いのもと言われても,いりませんよ.自分のケ
ツは自分で取らざるを得ませんのでね.(No20)
この世でできたことはこの世で全部解決できないことは一つも無い.真正面からぶつ
かっていけばね.だからストレスとか感じたり,暇があったら自分でやったらいい.決
めることはそれだけ実行しないといけないわね.いっぺん実行したら,決断は,即断し
ないと,3秒で決める.決めたら断行する.押し通す.そういう生き方を積み重ねない
とできないわな(No13)
物事の良い面に目を
向ける
2 大部屋で色々な人の話聞いてると色々な苦労があって,私は気楽やなと.家庭に対する
不安,子どもたちに対する不安とか,心配事とか,そんなん別にないですからね.余命
は,一応,3 年あたりをめどにある程度考えておいて,それ以上は本当ラッキーな人生に
なりますからね(No16)
.
発見早かったからね,それで安心してるんですよ.おかげさんでどこにも転移もしてな
かったんで.わかったときは,若干ショックはあったけど,大して気にしてないですね.
楽天家なんかな(No5)
今までしてきたことを
継続する
2 もう何しとるかわからんぐらいやったら,もうさっさと仕事も辞めますやん.そうじゃ
なしに,現場を任しとっても,お客さんが喜んでくれるさかいにね,ほんでこれ,ゆっ
たりもして,病院も来れるんよ.これまでのスタイルは何も変わらん(No20)
自分で自分のことは今までもしてきたから,病気になっても同じ.できないことは仕方
ないですけども,できる限りはね.私はしてもらうよりも自分がしてあげるほうの立場
にいたかった人やからね(No16).
今できることを済ませてお 1 私の人生に対してちゃんとすべきことはしておきたいなと.もしものときのためにね.
く
何がどこにあるとか,大事なことは言うときたい.着物なんかも,娘のピアノの舞台衣
装にドレスに変えたりとかもしてます (No16)
不安な気持ちと
つきあう(3 名)
状況を理性的に把握する
1 感性だけで動くというんじゃなしに,自分の理性と感性を合体させないと,答えが出な
い.今までの長い間の経験で,感性と理性は車の両輪やと.感情的に色々を理解しない
ように,理性がコントロールするんやと.うまいことなかなか行かんけれども,努力し
て穏やかにすると(No14)
自分らしい時間を過ごす
3 友達と食事にいったり,カラオケいったり,韓ドラみたり,とにかくぱーっと気分を変
える.気晴らしは大切にしてる(No4)
家族が普通にしてくれているのが楽です.一緒にどよんとして欲しい人もいるかもしれ
ないけど,僕は横で笑ってくれている方がいい(No12)
情報を収集する
3 やっぱり経験しないと分からないね.同じような状況の人から,色々聞いて,安心材料
を探したいんやと思うわ(No10)
検査の結果なんかも,確実にわかっていることがあれば,教えて欲しいし,起こりうる
症状の可能性なんかも知っておきたいと思います(No12)
今できることを済ませてお 3 とりあえず自分のことは自分でしようと言うのがありますね.歩ける間は歩こうとかね,
く
食べれる間は食べようとかね(No12)
何かするべきこと,身辺整理,自分の服の整理とかね,ごじゃごじゃしてるから(No4)
深く考えないようにする
(現状を受け入れる)
物事の良い面に目を
向ける
2 あまり大そうに考えない人やからね,余計いいのかな.こうやからこうでっていろんな
こと,言われたらいわれたで怖いしね.ないわけじゃないけど,深くは考えないように
してるんやと思うよ(No10)
先が見えないこと,解消されない症状,ネットの情報に対する不安,見落とされている
んじゃないかという不安,痛みが出たときの不安,色々ありますよ.予後についても,
考えてしまうとつらいことしかない.払拭することはできないけど,一瞬一瞬忘れてい
るときはある(No12)
2 楽しいことを考える.それに尽きるかな.楽しいことってそんな楽しいことなんてない
けどな,ある程度考えないと仕方が無いもんね.ほんとそうよ,大切なことでしょ.だ
からここまでこれたんちゃうかと思うけどね,自分でね(No10)
看護師さんには色々してもらって本当に感謝.それに,手術も先生の技術でここまでこ
れた.本当にありがたい話です(No10)
190
膵臓がん患者の心理社会的問題と対処法リストの作成
表 1-3 膵臓がん患者の心理社会的問題と具体的な対処法
(病気による喪失と向き合う)
明確化した問題
病後の生活に
適応する
(2 名)
解決可能な目標
具体的な対処法
N
自分らしい時間を過ごす 2 この病気になってから,写経を初めて,毎月欠かさず,奈良の大親友と通ってるん
です.無心になれて,気持ちがいいんです.帰りはすっきりしています(No22)
今までできなかったことができるっていう面はあって,病気は良いことではないけ
ど,楽しむことは愉しんで,遊びはしっかり遊んで.そこは唯一嬉しい部分なんで
すよね.そういう時間を大切にするようにしています(No19)
物事の良い面に目を
向ける
2 これまでは不満ばっかりでしたけど,大病をして,なるようにしかならないなら,
前向きに頑張りたいなって思うようになったんです(No22)
病気に対してというよりは,社会的な部分ではよい方向というか,普通こんな休め
る人もいないでしょうし.子どもと過ごす時間も格段に増えた.そういう意味で
は,いい経験にもなっているんでしょうね(No19)
身体の状態を維持する
2 体力を戻すために,体重を戻したいですね.今までどおりの,普通のことができれ
ばそれでいいんです.(No22)
体力は落としたくないんで,できるだけ外にでて,出かけるようにしています(No19)
心身の状態に合わせて
行動を調整する
2 インスリンを,朝晩食べた後に打てば,食べたいものは食べられる.今までのよう
な生活ができると思ってたんですが,なかなか難しい.2-3 ヶ月もすれば慣れると
思って頑張っています(No22)
しんどかったら,すぐに横になりますし,無理はしないようにしています(No19)
情報を収集する
2 低血糖の話を先輩患者さんに聞いた後に低血糖を起こして,慌てずに済んだ.だか
ら,これからも色々と聞こうかなと思ってます
(No22)
本やネット,看護師をしていた母親や知り合いの先生なんかにも色々聞いていま
す.それこそ勉強っていうか,病気や治療法について勉強じゃなくて何かせなあか
んなとは思うんですけどね.だから,できるだけ本を読んだり,色々しています(No19)
今までしてきたことを
継続する
2 甥っ子の嫁も,友達も,
「何かあったら飛んで行くよ」
「大丈夫?今からいくよ」と気
にはしてくれてるんですけど.迷惑かけたくない,心配させたくないと思ってます
のでね.できるだけ今までやってきた普通の生活は続けたいです(No22)
症状は今のところないんで,普通の生活をしようと.また,復帰してからの準備に
もなるかなと(No19)
深く考えないようにする 1 死やネガティブなものは,当然頭には浮かぶけれど,でも,日々考えれば元気なん
(現状を受け入れる)
ですよね.日常を過ごしていれば,忘れるし,一応達成感みたいなものもあるし生
活していけてる.そんなことなんですかね.逃げているのかもしれないけど,深く
考えないようにしています(No19)
周囲とのつながりを
維持する
1 病棟で知り合った友達から,「私たち,大変な病気しているんだから,無理したら
駄目よ」みたいなメールが返ってきて.「うん,そっかあ」っていう感じ.同じ目線
で話せて,明るいから,心強い.大事にしたいと思っています(No22)
まま逐語化したものを提示した.
に備える」,
「人生に対するコントロール感を保つ」,
「不
安な気持ちとつきあう」に,
『病気による喪失に向き合
う』は,「病後の生活に適応する」に再定義することがで
考 察
きた.社会的問題解決に関する先行研究において,問題
本研究の目的は,膵臓がん患者の抱える心理社会的
を解決不可能な大きな脅威ととらえ,自分には問題を
問題を,問題解決プロセスを応用して明確化し,具体的
うまく解決する能力がないと思い,問題に直面すると
なリストとして整理することであった.その結果,予後
解決しようとしない性質を示す消極的問題解決志向性
が悪いといわれる膵臓がん患者の抱える一見,曖昧で
が高いほど,不安や抑うつが高く人生満足感が低く,逆
解決不可能な問題も,問題を明確化して,とらえ直すこ
に,問題は解決可能であり,自分には上手に解決する能
とで,その状態に向けての現実的な目標設定と対処が
力があると信じる性質を示す積極的問題解決志向性が
可能となる問題解決プロセスを示すリストを作成する
高いほど,不安や抑うつが低く人生満足感が高いこと
ことができた.
が示されている 18,22).たとえ予後不良で,できることが
まず,対象者により治療経過や家庭状況,症状等は異
現実的に少なくなってきている状態であったとしても,
なるため,患者によって語られた心理社会的問題は
リストにあるように問題を解決可能な形にとらえ直し,
様々であったが,大きくは『不確実な将来と向き合う』
明確化することで,「ありたいと思う状態」に意識を方
と『治療の影響と向き合う』という 2 つのテーマに集約
向づけることができる.その結果,解決のための行動が
された.この問題を,問題解決プロセスの第二段階を応
生じ,対処可能感が高まることが期待される.
用して明確化することで,『不確実な将来に向き合う』
また,明確化した問題を解決するための現実的な目
は,
「今の生活・状態を維持する」,「周囲におよぶ変化
標が具体的に明らかとなった.これらの目標は,設定す
191
Palliative Care Research
る際に重要な 5 つのチェック項目である SMART(Spe-
をまとめたものである.人数は多くはないが,身体的に
cific-Measurable-Achievable-Relevant-Timed; 具体的で,
は予後不良といわれる状態であったとしても,最期ま
できたかどうかを測定でき,達成できそうで,目標を達
で自分らしく闘病を続けるためのヒントとなる事柄が
成したら気分が楽になり,短期間で取り組める)19)を満
含まれる貴重な資料を作成することができた.これら
たしており,膵臓がん患者の状況に即した現実的な目
の結果を踏まえ,ウェブ等での情報発信を行うことで,
標設定の代表例といえる.明らかになった目標は,問題
膵臓がん患者自身が問題解決プロセスの考え方を取り
に特異的なものもみられたが,その多くは問題によら
入れ,目前の心理社会的問題に対する対処可能感を高
ない共通のものであった.つまり,「こうありたいと思
める一助となることを望む.
う状態」と「現在の状態」との間で不一致を起こして,日
常に支障を来している内容は様々であっても,向き合
うためにできる現実的な目標は限られており,共通す
結 論
る要素が多く含まれているといえる.複数の問題にま
本研究により,膵臓がん患者の抱える心理社会的問
たがっていた目標は,「自分らしい時間を過ごす」
,「深
題は,問題を明確化することで,現実的な目標設定が可
く考えないようにする(現状を受け入れる)」,「物事の
能となり,その結果,各人の状況にあった対処方法が幅
良い面に目を向ける」,
「身体の状態を維持する」,
「心身
広く創出されることを示す資料が作成された.患者が
の状態に合わせて行動を調整する」,「情報を収集す
問題解決プロセスを取り入れて,自らの問題に積極的
る」
,
「今までしてきたことを継続する」,
「今できること
に取り組めるよう,本資料を用いて,情報発信をしてい
を済ませておく」,の 8 つであった.膵臓がん患者に
く必要がある.
とって「不確実な将来と向き合う」ということは,でき
謝辞 インタビューにご協力いただきました対象者に方々に心
ることは段取りを整えて対処する(「身体の状態維持す
より感謝申し上げます.また,本岡寛子先生(近畿大学),吉崎
る」
,
「心身の状態に合わせて行動を調整する」,
「情報を
亜里香先生(大阪大学),青江智子さんには貴重なご助言をいた
収集する」)が,考えても仕方がないことは「深く考えな
だいたこと感謝いたします.本研究は,厚生労働科学研究費補
い(現状を受け入れる)」ようにして,「自分らしい時間
助金 がん臨床研究事業 成人がん患者と小児がん患者の家族に
を過ごす」,
「物事の良い面に目を向ける」ことが効果的
対する望ましい心理社会的支援のあり方に関する研究班(H20-
な対処となることがわかる.また,残された時間が少な
がん臨床・若手-023)の助成を受けて実施しました.
いからと特別なことをするのではなく,「今までしてき
たことを継続する」ことや,これから悪化することに備
著者の申告すべき利益相反なし
え
「今できることを済ませておく」ことで心の安定をは
かる様子は,当事者ならではの現実的で意義深い目標
文 献
といえる.
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さらに,膵臓がん患者が日常の中で行っている対処
方法をまとめたことにより,現実的で具体的な情報を
資料として作成できた.患者会の少ない膵臓がん患者
にとって,同病患者が日々をどのように過ごし,どのよ
うに気持ちに折り合いをつけ,不確実な将来や治療の
影響と向き合っているのかを知ることのできる貴重な
資料といえる.さらに,これらの資料は患者に提供する
だけでなく,家族に提供することも有用であると考え
る.それは,
「患者のために何かしてあげたいのだけれ
ど,してあげられることがわからない」という家族に
とって,問題解決プロセスの考え方の枠組みで患者の
心理社会的問題をとらえ ることが有用と考えられるか
らである.患者の気持ちが楽になり,自分らしく現状と
向き合えるような問題のとらえ直し方,そしてその問
題を解決するための目標を,患者と家族で共有するこ
とは,残された時間を同じ方向を向いて過ごすための
きっかけとなることが期待される.
本研究は 17 名の膵臓がん患者の半構造化面接の結果
192
Creating a list of psycho-social problems and solutions for patients with pancreatic cancer
9)伊藤登茂子,浅沼義博,白川秀子,他.膵臓がん術後長
期生存者のサバイバー体験の検証とケアの一考察―健
康生成論的視点から―.秋田大学大学院医学系研究科
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Original Research
Creating a list of psycho-social problems and solutions
for patients with pancreatic cancer
by applying the social problem-solving process
Mariko Shiozaki1), Atsuko Sakami2), Takayuki Satoh3), Hidetoshi Eguchi4),
Masahiro Tanemura4), Toru Kitagawa4), Toshinori Ito5), and Kei Hirai6)
1)Department of Applied Sociology, Kindai University, 2)Cancer Center, Kobe University Hospital,
3)Medical Relationship Office, Kodokai Hospital,
4)Department of Gastroenterological Surgery, Osaka University Graduate School of Medicine,
5)Department of Complementary and Alternative Medicine, ditto,
6)Division for the Study of Next-Generation Research University, Institute for Academic Initiatives, Osaka University
Purpose: The aim of this study was to create a list of psycho-social problems and solutions for patients with pancreatic cancer by applying the social problem-solving process. Methods: A semi-structured interview of approximately 1 hour was conducted on two occasions. The participants were 17 patients with pancreatic cancer.
Results: Psycho-social problems were divided into two themes: “facing the future uncertainty” and “facing the
effects of treatment received”. A list of problems and solutions was created for each problem theme. Realistic
goals for “facing the future uncertainty” were ‘maintaining this living condition(n=7)
’, ‘preparing for changes to
the environment(n=5)’, ‘keeping a sense of control over my own life(n=5)’ and ‘dealing with anxiety(n=3)’.
Realistic goals for “facing the effects of treatment received” were ‘restoring the self of pre-illness(n=2)
’. Conclusion: For seemingly unsolvable problems, patients can formulate realistic goals that they want to have clarified,
and then the problems can be recaptured as solvable problems.
Palliat Care Res 2015; 10(3): 186-93
Key words: social problem-solving process, patients with pancreatic cancer, psycho-social problems,
quantitative research
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