...

-サイチョウの研究とその保全-

by user

on
Category: Documents
19

views

Report

Comments

Transcript

-サイチョウの研究とその保全-
基調講演Ⅱ≪未来への提言≫
-サイチョウの
サイチョウの研究とその
研究とその保全
とその保全-
保全-
タイ王国 マヒドン大学 教授
ピライ・プーンスワッド
皆さんおはようございます。
本日はご招待いただきましてありがとうござ
います。本日は、私の知りうる知識と経験を皆
さんと共有させていただきたいと思います。
サイチョウ亜科52種
とジサイチョウ亜科2
種 に 分 類 さ れ、サ イ
チョウ亜科のうち21種
がアフリカ、31種がア
ジアで分布していま
す。
ま ず は、豊 岡 市 長 に「お め で と う ご ざ い ま
す」と申しあげます。コウノトリを豊岡の空へ
と 復帰 させた こと は、大 変素 晴らし いこと で
す。人類にとっても素晴らしい偉業でした。
本日はサイチョウについてお話しします。と
言いますのも、東南アジアの熱帯雨林で暮らす
サイチョウと、湿地で暮らすコウノトリには、
健全な生息地が必要であるという共通点がある
からです。
最初にサイチョウに関する概論をお話しし、
次に同種の生物学と生態学について、そしてこ
の種が直面する様々な脅威や管理の問題につい
て、また市民参加での保全について、そして結
論についてお話ししたいと思います。
偶然ではあるのですが、ジョーカー2枚を含
む54枚のトランプにピッタリの種類が存在して
います。皆さん賭け事をしたいときは、このト
ランプを使えばサイチョウも学ぶことができま
す。私から豊岡市長に、このトランプを贈りた
いと考えています。
まずはサイチョウの分布についてです。オオ
ハシという鳥と混同されることも多いのです
が、オオハシは南アメリカだけに生息し、サイ
チョウはアジアの熱帯やアフリカに生息してい
ます。
36
タイには、アジアに生息している31種のサイ
チョウのうち13種が生息しています。しかし、
生 息地 の破壊 が進ん でお り、2種 が近絶 滅種
(Critically Endangered・絶滅危惧IA類)、5種
が絶滅危惧種(Endangered・絶滅危惧IB類)、3
種が危急種(Vulnerable・絶滅危惧II類)、そし
て3種が近危急種(Near Threatened・準絶滅危
惧種)に指定されています。
タイに生息する13種のサイチョウは、混合落
葉樹林や湿潤常緑樹林、丘陵常緑樹林、熱帯雨
林など様々な生息地に分布しています。
サ イ チ ョ ウ は 1 雌 1 雄、つ ま り 1 夫 1 妻 で
す。一部の雌は2匹の雄とつがいになることも
ありますが、それは非常に珍しいケースで、通
常は雄1匹につき雌1匹というつがいを成形し
ます。
このように、サイチョウはくちばしの上に飾
りのような突起がある、非常に変わった見た目
をしています。サイチョウの「サイ」というの
は、この角のような形の突起物があることから
きています。また、とても大きな鳥で、オオサ
イチョウはくちばしから尻尾まで測ると1.5mも
あります。
サイチョウには、ユニークな繁殖習性があり
ます。雌が巣ごもりのときに穴の中に入るので
すが、こういったかたちで巣を塞いでしまう、
つまり完全に封印をしてしまうんです。他にこ
のような習性を持つ鳥はいません。ですから雄
がしっかりと餌を運んできてくれなければ、雌
は すぐ に死ん でしま うと いう 状態で、そ れが
3ヵ月から4ヵ月続きます。この間、雄はずっ
と餌を運び続けます。
またサイチョウは人間の文化にも取り込まれ
てきました。これはサイチョウの頭骨ですが、
人間はこういった作品をつくるためにサイチョ
ウを捕獲していました。
私は13種のサイチョウを研究するために、3
つの研究拠点を持っています。一番主要なプロ
ジェクトはカオヤイ国立公園(2,168㎢)で、
1978年からずっと続けています。
37
1991 年 に は ホ イ カ ー ケ ン 野 生 生 物 保 護 区
(2,809㎢)に研究を広げ、そして1994年には、
ブードーという小さな国立公園(340㎢)にまで
広げました。なぜここに広げたかということに
ついては、後でお話しします。
私自身の非常に若い写真が載っていますが、
個体に無線を付けて行動範囲を追跡するという
試みを1984年に始めました。1m以上もある鳥
ですから、多くの人たちが大がかりで作業しな
ければいけませんでした。
ホイカーケンの生息地は、カオヤイ国立公園
のそれとは大きく異なります。混合落葉樹林に
は3種のサイチョウが生息しており、また丘陵常
緑樹林には、世界で最も美しいと言われるナナ
ミゾサイチョウが生息しています。
ここカオヤイ国立公園の湿潤常緑樹林には、
オオサイチョウやシワコブサイチョウ、ビルマ
サイチョウ、そして一番個体数の多いキタカサ
サギサイチョウが生息しています。約150㎢のエ
リアに、約200以上の営巣木があります。
私たちは、カオヤイでは年間3,000を超える巣
を観察してデータを収集しています。
38
またホイカーケンでは1,000以上、さらにブー
ドーでは1,400を超えるデータを収集していま
す。
サイチョウは、非常に大きな生きている木で
営巣するため、私たちは樹木に注目しました。
経済的にも価値の高いフタバガキ科の大木
に、約40%のサイチョウが営巣しています。ま
たクレイストカリクス属の木にも約20%が営巣
しています。この2つの木で、営巣木の約60%を
占めています。
これはどういった餌を食べているかという図
になるんですが、イチジクが一番多く、2種類
のサイチョウがより多く食べています。他に100
種類以上の果物も食べています。またサイチョ
ウは雑食性なので動物も捕食します。私たちの
記録では、70種類以上の動物を食べることが確
認されています。サイチョウは、この熱帯雨林
という生態系の保全にとって非常に重要な役割
を担っています。大きな種を持つ果実を食べる
ことによって、その種を分散させる役割を果た
し てい るため、サ イチョ ウが 絶滅し てしま う
と、これらの植物も絶滅してしまうのです。
サイチョウの巣は木の空洞にあるのですが、
そこには巣の中にまで入ってくるキエリテンや
ビントロング(別名:クマネコ)などの捕食者
がいます。1993年、ナナミゾサイチョウの巣が
3ヵ所襲われ、2羽の雌と3羽のヒナが殺され
てしまいました。この3ヵ所の巣を失ったこと
で、この種のサイチョウはさらに絶滅の危機に
さらされてしまったのです。
またサイチョウが直面している問題として、
巣の不足、そして巣をめぐる競合があります。
と言いますのもサイチョウの巣に適切な木の穴
を見付けることが困難だからです。ですからサ
イチョウ同士で戦って巣を奪い合うこともあれ
ば、ムササビなどの巣穴を使う動物と戦うこと
もあります。では、ここでどういったかたちで
巣の奪い合いをするのかというものを見ていた
だきます。
~ 動 画 ~
この巣穴は、オオサイチョウが使うには小さ
いのですが、シワコブサイチョウがここを使お
うとしたとき、先にいたオオサイチョウの雌が
それを許しませんでした。結果に約1年間、この
巣は誰にも使われませんでした。
39
巣が足りないと申しましたが、だいたい20%
ぐらいの営巣木が減ってしまっています。例え
ば暴風雨やモンスーンで折れてしまったりする
のです。
も っ と も 深 刻 な 問 題 は、70% も の 木 が サ イ
チョウの営巣に適さなくなっているということ
です。そうして放棄された巣を見ると、どのよ
うに営巣地としての適性が喪失されているかと
いうことがわかります。
我々はこれらの放棄された巣を調査するので
すが、30m~40mほど木を登らなければいけま
せん。ここで巣の状況を確認しますと、50%ぐ
らいは巣の底が沈んでしまっていました。です
から我々が、300kgほどの土を入れ、巣穴の床上
げをしたりしています。巣の底が深く沈みすぎ
ていると、雌が雄から餌を受け取ることができ
ないからです。
40
また、これは生きている木ですので、組織が
どんどん成長して入口を塞いでしまうこともあ
ります。この場合は、私たちがそこを切って広
げてやります。あるいは入口が滑りやすくなっ
たりすることもあります。私が補助棒を設置す
るように依頼したのですが、そうするときちん
と止まり木として使ってくれました。
また、あまりにも入口が大きすぎて使われな
い巣穴もあります。雌は、自分のフンを使って
穴を塞いだり、中にある腐った木を使って埋め
たりするわけですけれども、あまりにも入口が
大きすぎるとかなり労力がかかってしまうの
で、やはりサイチョウはこの穴を使ってくれな
いんです。そこで入口の改良を試みますと、な
んとか我々が改良した巣穴を雌が使ってくれる
ようになります。
このように、多くの巣穴を改良したり修理し
たりしています。
私が危惧しているのは、現在、オオサイチョ
ウのヒナの50%が改良、あるいは修理された巣
穴で生まれるということです。これはもしもそ
のまま放っておけば、個体数が減少してしまう
ということを表しています。
カオヤイやホイカーケンのような熱帯雨林で
研究していますと、危険な生物と遭遇します。
例えばマラリアを媒介する蚊に刺されたりし
ますし、ムカデなどの節足動物も存在していま
す。また、乾いた空気の所にはマダニがいます
し、じめじめした所にはヒルがいます。
サイチョウの調査に向かうとき、3回ほどゾ
ウに追いかけられたことがあります。あるいは
クロクマやトラ、キングコブラなども存在しま
す。
皆さんにも是非来ていただき、この非常にエ
キサイティングな場所を楽しんでもらいたいと
思います。リスクは通常は50%ぐらいですが、
皆さんだと25%ぐらいでしょうか。25%の方々
が追いかけられるかもしれませんね。
ここはブードー国立公園ですが、ここで私は
地 域に 密着し た、市民参 加型 の保全 活動に 当
たっています。非常に小さなブードー山脈と言
われている地区になっています。200㎢と面積は
小さいのですけれども、6種類のサイチョウが
生息しています。
~ 動 画 ~
これは非常に大きなオオサイチョウです。こ
れはオナガサイチョウです。こちらは硬い突起
のついたサイチョウです。低い位置にある果実
を取るため、非常に高い木の上からこのように
下に降りたちます。
これはシワコブサイチョウ、こちらはシロク
ロサイチョウ、そしてムジサイチョウです。
1994年、密猟が非常に深刻な問題になってい
るという情報を受けました。ヒナが密猟され、
ペットとして売られていると聞いたのです。そ
れだけでなく森の違法伐採もありました。当時
は、正式な国立公園として指定されていなかっ
たからです。
41
1994年以前、貧しかった住民たちにとって、
サイチョウのヒナから得られる追加収入はとて
も魅力的でした。
~ 動 画 ~
密猟はこのように行われていました。
非常に長い話なんですけれども、簡潔に述べ
ますと、まずは密猟をやめなければいけないと
いうことで、密猟者やハンターに会いに行きま
した。そして「密猟をやめてくれ。そして私た
ちに協力し、一緒にサイチョウを保全していこ
う。」と説得しました。
そ し て、「あ な た 方 の 子 ど も た ち の た め に
も、サイチョウを保全しなければならない。も
しそうしないのであれば、皆さんが亡くなった
ときに、子どもたちによって骨が掘り返され、
呪 わ れ る こ と に な り ます よ。」と も 言 い ま し
た。私には子どもがいないので、私自身全く心
配する必要は無かったのですが、私はバンコク
に 戻ら ず、彼らと 一緒に 保全 活動を 始めま し
た。
~ 動 画 ~
私は、カオヤイでメインプロジェクトを組織
して活動を始めました。当時はこのようなスラ
イドを使って講演をしていました。これは、繁
殖期のサイチョウが群れになって飛んでいる様
子です。カオヤイの森林で見られた本当に感動
的なシーンでした。
42
これを見た密猟者たちは非常に感銘を受けま
して、活動に参加することに同意してくれまし
た。そこで我々は彼らに、どういうふうにデー
タを取ったらいいかということなどを教えて、
様々な活動、科学的な研究にも参加してもらう
ことになりました。
また繁殖シーズン以外のときは、巣の改善や
修復などをしてもらっています。違法伐採が多
く、サイチョウが将来営巣する可能性のある木
まで倒されてしまうことが、非常に深刻な問題
になっているからです。
また植物種の目録をつくったり、サイチョウ
の鳴き声のデータを取ったりしますし、月例会
議を開いたりもしています。その他にも、エコ
ツアーガイドとして働いていただいたり、教育
活動にも参加していただいています。
私たちは、ブードーの小さなエリアに200本以
上の営巣木を確認していましたが、約20%の木
がモンスーンで倒れてしまいました。
さて、元密猟者や元不法伐採者や元反政府勢
力のゲリラたちが、どのようにして研究のアシ
スタントに変身していったかということをお見
せします。
~ 動 画 ~
我々の研究のアシスタントに変身した人たち
です。どういうふうに記入をするか、記入の仕
方もこのようなかたちで練習します。特にこの
地方では、通常表記にアラビア文字を利用する
ので、タイ語での表記の仕方を教えたりもしま
す。また、タイ語が書けない人たちは子どもに
頼んで表記をしてもらったりもしています。
餌の情報もこのようにして集めています。こ
れはヒナを育てている期間に何を食べているか
というデータです。
また毎月会議を開催して、収集したデータや
問題を共有し解決策を探ります。また素晴らし
い観察をした人たちに対して賞を授与するとい
うこともしています。
~ 動 画 ~
他にも人工の巣の設置などもしています。こ
れらはファイバーグラスでつくられていて、床
を底上げするために中に土を入れています。こ
のようにフタバガキ科の木に、地上から30mの
高さの所に設置します。そうしますとサイチョ
ウがこういうふうに人工の巣を使ってくれてい
るという状況です。
また、地域の人たちは、私がサイチョウの営
巣木に興味があるということを聞き、ブードー
では約50%の営巣木として使われている、フタ
バガキ科の木のデータも集めてくれました。
私たちは19個の人工の巣を据え付けました。
しかし広い森林の中では19というのはとても少
ない数です。
43
特に実際にサイチョウが訪ねたのは9つの巣
だけで、また実際に使用したのが5つの巣であ
ることを考えると、19というのは無にも等しい
数です。1つは巣としての適性を試した硬いく
ちばしを持つオナガサイチョウによって、非常
に強く叩かれて壊れてしまいました。彼がこの
巣をデザインしてくれた若い同僚です。大学で
製品デザインを勉強している学生です。
ここはサイチョウの保護村です。村人の所有
する果樹園の中にサイチョウの巣があったの
で、所有者から、ここでデータを取ってほしい
と提案がありました。
またサイチョウ保護センターを建設するため
の土地を、寄付してくれた村人もいます。そし
て保護センターは、教育や様々な村の活動の拠
点としても使われています。
長期的な戦略として、持続可能な個体群をど
うやって形成するか、ということをお話ししま
しょう。
まず地域の人々の、サイチョウの密猟と保全
に関する意識の変化がありました。今までは密
猟していた人たちが保全をするようになったと
い うこ とです。密 猟は完 全に ストッ プしま し
た。か つて は最大 の密猟 集団 だった 村がサ イ
チョウの保全に取り組むようになり、他の村も
その村に倣うようになりました。
最終的にこういった活動は、若い世代へ継承
していかなければなりません。親から子へ、兄
から弟へと知識を継承する必要があるのです。
私たちは活動の次のステップとして、将来の世
代への保全活動の継承を行っています。
また若者たちを招いて一年中ユースキャンプ
をしています。子どもたちはここで、サイチョ
ウについて学びます。
44
南部で政治不安があったとき、子どもたちが
移動することで危険に晒されないように、移動
教室をつくりました。2008年から2009年にかけ
て、我々自身が学校を訪問して2,000人の子ども
に向けて教育を行いました。
またサイチョウの壁画を描いてほしいという
声もありまして、学校のフェンスなどにこのよ
うな絵を描きました。このようなかたちで子ど
もたちがサイチョウのことを学び、子ども以外
の村人もここを通ることでサイチョウの学習を
することができるというわけです。
生息地を回復させるための、啓発活動も行っ
ています。子どもたちと一緒に、年間100本程度
の植樹を行い、森を育てています。
また、子どもたちはサイチョウの生態や生活
史をよく理解して、サイチョウの演劇をつくっ
てくれたりしています。
1997年にタイで経済危機が起こったため、私
たちのプロジェクトの資金が底をついてしまい
ました。このときこのプロジェクトのアシスタ
ントとチームは、「バンコクから1,000㎞も離れ
た非常に遠いところでの活動は、もうやめたほ
うがいい。」と私を説得しようとしました。そ
れほど状況は絶望的だったのです。でも私は、
「嫌だ。もし、ここでやめてしまったら、私は
安らかに死ねない。悔いが残る。」と言ったん
です。そして、私は都市の人々から資金を集め
て、サイチョウの里親制度を始めることを思い
ついたのです。
都市部の人々に、1つのサイチョウの巣につ
いて150USドルを寄付してくださいというふうに
働きかけまして、このお金を元に村人たちにア
シスタントになってもらうということにしまし
た。サイチョウの世話をする村人からは、私た
ちにデータを提供してもらいます。この制度の
下で、里親は、繁殖シーズンが終わると、里子
のサイチョウ自身やそのサイチョウを村人が世
話をしている写真、そしてどんなものを食べて
いたかというデータとともに、里子のサイチョ
ウのレポートを受け取ります。
45
またエコツーリズムのプロジェクトも運営し
ており、日本からのグループがこのように見に
来てくださいました。
他にもこのプロジェクトを通じて来てくれる
観光客は増えていたのですが、2004年にまた大
きな社会不安状況が発生してしまいました。非
常に残念なことだと思っています。
我々は現在、サイチョウの繁殖についてかな
り詳しくわかっています。繁殖シーズンは、カ
オヤイとホイカーケンでは1月から5月です
が、ブードーだけ2月から7月、時々10月まで
延長することもあります。
繁殖の期間は、6ヵ月あるオナガサイチョウ
を別にすれば、3ヵ月から4ヵ月になっていま
す。サイチョウは1年に1回しか繁殖できませ
んし、大型のサイチョウでは1回に1匹のヒナ
しか育てることができません。これらのことか
ら、非常にゆっくりとした繁殖サイクルだとい
うことがわかります。
サイチョウは人里近くに住む鳥であり、その
生息地の保全とその将来は、地域住民、特に若
い世代の人々にかかっているのです。
私がカオヤイで4種類のサイチョウを研究し
ている間に、1,600羽以上のヒナが誕生したこと
に誇りを持っています。繁殖の成功率は86%で
す。
46
ホイカーケンでのデータは完全ではありませ
ん。十分なマンパワーがありませんので全部が
チェックできなかったわけですけれども、400羽
以上が誕生しています。72%の成功率です。
ブードーでは17年間研究していますが、500羽
以 上の ヒナが 誕生し たと 思わ れます。こ れも
データが完全ではありません。というのも、一
部の巣が我々のアクセスできない所、つまり軍
隊の占領によって、立ち入りが制限されている
所にあるからです。
密猟を撲滅し、サイチョウを増殖させるとい
う直接的な目標を達成することができました。
しかし、サイチョウの繁殖率は70%にとどまっ
ています。
カオヤイでの土地利用の形態は変化してお
り、少しずつ森林が増えています。しかし、西
部のほうでは、人間の活動、特に農業用地の確
保のために森林が減っていっている所もありま
す。で す か ら、ど う す れ ば サ イ チ ョ ウ が 生 き
残っていけるか、戦略を練らなければなりませ
ん。
サイチョウは愛の象徴、そして誠実と信頼の
象徴なのです。
ナショナルジオグラフィックやBBCにも取り上
げられています。
これはテロリストのように見えるかもしれま
せんが、様々な機関に所属する我々の研究仲間
です。このような仲間たち、そしてスポンサー
に支えられて我々はやってきました。
ご清聴ありがとうございました。
バ ン コ ク に お い て も、家 族 や ボ ー イ フ レ ン
ド、ガールフレンドや夫に対する愛と同じよう
に、サイチョウにも愛を捧げてくださいという
ことを訴えるために、バレンタインデーの前日
にサイチョウの記念日をつくっています。
47
Fly UP