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グローバル化に対応し大学教員の海外派遣に 積極的に取組むインドネシア

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グローバル化に対応し大学教員の海外派遣に 積極的に取組むインドネシア
ウェブマガジン「留学交流」2011 年 8 月号 Vol.5
グローバル化に対応し大学教員の海外派遣に
積極的に取組むインドネシア
イ ン ド ネ シ ア 国 民 教 育 省 高 等 教 育 行 政 ア ド バ イ ザ ー ( JI C A専 門 家 )
和氣 太司
T a i ji Wa ke
はじめに
イ ン ド ネ シ ア の 人 口 は 2 億 3 千 万 を 超 え 、 東 南 ア ジ ア 10 カ 国 で 構 成 す る AS EA N に
おける存在感も高まっている。アジア経済危機やスハルト体制の崩壊後の民主化を経
て 、 2 00 3 年 に は 新 し い 「 国 民 教 育 シ ス テ ム 法 」 が 定 め ら れ 、 近 年 、 多 岐 に わ た る 教 育
改革が進められている。
高 等 教 育 改 革 の 最 優 先 の 課 題 の 一 つ は 、大 学 教 員 の 学 位 取 得 の 推 進 で あ る 。2 00 5 年
に定められた「教師・大学教員法」において、大学の学士課程及びディプロマ課程の
教員は修士号、大学院教員では博士号の取得が必要とされた。これを受けて、国民教
育省は大学教員の学位取得など教員の資質向上に積極的に取組んでいる。
特 に 注 目 さ れ る の は 、 2 0 08 年 に 開 始 さ れ た 「 海 外 大 学 院 奨 学 金 」 や 「 博 士 課 程 サ ン
ドウィッチ・プログラム」など、海外の大学への派遣制度である。これまでインドネ
シア政府の奨学金は、国内の大学院への派遣を対象とし、海外大学における学位取得
は、諸外国が提供する奨学金プログラムに依存していたのが実状であった。
しかし、グローバル化の中、国際競争力を持つ人材養成を図るためには、国際水準
の高等教育を実現する必要があるとの観点から、国民教育省は海外大学での学位取得
に積極的に取組み始めた。
本稿では、先ず、インドネシアの高等教育と教員の現状について述べ、次いで、こ
れまでの学位取得の取組みについて触れるとともに、新たな海外派遣奨学金プログラ
ムについて紹介する。
なお、インドネシアには国民教育省管轄の高等教育機関に加えて宗教省の所管する
イスラーム高等教育機関が存在するが、本稿では国民教育省管轄の機関を対象に述べ
る。また、本稿で示した意見は筆者の個人的な見解である。
1
高等教育の拡大と教員の現状
(1)拡大する高等教育
インドネシアの高等教育人口は近年、着実に増加している。現在、国立及び私立の
高 等 教 育 機 関 に 400 万 人 を 超 え る 学 生 が 学 ん で い る( 図 表 1 )。そ の う ち 58 .4 % は 私 学
に 在 籍 し て い る が 、私 学 高 等 教 育 の 在 学 者 が 全 体 に 占 め る 割 合 は 、2 0 0 6/ 7 年 の 6 8. 0 %
か ら 20 0 9 /1 0 年 の 58. 4 % と 約 10 ポ イ ン ト 低 下 し て い る 。 近 年 の 高 等 教 育 の 拡 大 は 国
立高等教育機関の在籍者の増加によるものと思われる。
ま た 、 高 等 教 育 へ の 粗 就 学 率 ( 1 9 歳 ~ 23 歳 人 口 に 対 す る 高 等 教 育 機 関 在 籍 者 数 )
を 見 る と 、2 0 04 年 の 1 5. 1% か ら 2 0 09 年 に は 21 .6 % へ と 上 昇 し て い る が 、周 辺 国 の タ
イ や マ レ ー シ ア と 比 べ る と 高 い と は 言 い 難 く 、国 民 教 育 省 の 計 画 で は 20 1 4 年 中 に 3 0 %
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に引き上げることとしている。今後とも高等教育の規模は拡大していくものと予想さ
れる。
図表1
インドネシアの高等教育機関在学者数の推移(国民教育省管轄)
資 料 : 国 民 教 育 省 「 イ ン ド ネ シ ア 教 育 統 計 ( 2 0 0 9 年 /2 01 0 年 )」
(2)インドネシアの高等教育機関
インドネシアの高等教育機関は、アカデミー、ポリテクニク、単科大学、インステ
ィテュート、総合大学の 5 種類である。アカデミー及びポリテクニクは職業教育を提
供し、単科大学、インスティテュート及び総合大学は職業教育又は学術教育を提供す
る 。 2 0 09 /1 0 年 現 在 、 3 ,0 1 1 の 高 等 教 育 機 関 が 存 在 し て い る が 、 単 科 大 学 が 最 も 多 く 、
全 体 の 4 3. 7 % を 占 め 、 以 下 、 ア カ デ ミ ー 、 総 合 大 学 の 順 と な っ て い る ( 図 表 2 )。 全
体 の 9 7 .2% は 私 立 の 高 等 教 育 機 関 で あ る 。
図表2
イ ン ド ネ シ ア の 高 等 教 育 機 関 数 ( 20 09 / 1 0 年 )
総合大学
インスティテュート
単科大学
アカデミー
ポリテクニク
計
国立
48
6
2
0
27
83
私立
412
47
1 , 3 14
1 , 0 15
140
2 , 9 28
計
460
53
1 , 3 16
1 , 0 15
167
3 , 0 11
資 料 : 国 民 教 育 省 「 イ ン ド ネ シ ア 教 育 統 計 ( 2 0 0 9 年 /2 01 0 年 )」
(3)大学教員の学位の取得状況
高 等 教 育 機 関 の 教 員 総 数 は 25 7 , 44 9 名 で あ る ( 20 0 9 年 )。 こ の う ち 、 非 常 勤 の 教 員
が 8 6, 9 29 名 で 全 体 の 3 分 の 1 を 占 め て い る 。
最 終 学 歴 別 の 教 員 数( 図 表 3 )を 見 る と 、国 立 で は 、修 士 以 上 の 学 歴 の 者 が 68.0%
と な っ て い る 。 一 方 、 私 立 で は 、 修 士 以 上 の 学 歴 の 者 が 3 8. 6% に と ど ま っ て い る 。 非
常 勤 で は 、 修 士 以 上 の 学 歴 の 者 は 22 .2 % で あ る 。
以 上 の よ う に 国 立 と 私 立 の 格 差 は 大 き い 。 国 民 教 省 高 等 教 育 総 局 が 2 003 年 に 策 定
し た 「 高 等 教 育 長 期 戦 略 ( HE L T S) 20 03 年 - 2 010 年 」 に お い て は 、 修 士 号 以 上 の 大 学
教 員 を 2 0 09 年 に 7 0% 以 上 に 引 き 上 げ る こ と を 目 標 と し て 掲 げ た 。 国 立 に つ い て は 、
ほぼ目標に到達したが、私立については、まだ目標とは開きがあることが分かる。ま
た、非常勤教員は主に私立高等教育機関で教育に携わっていると推測されるが、修士
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以上の学歴の者が最も少ない。高等教育全体の質の向上のため、私立高等教育機関の
教員の学位取得を通じた資質の向上は大きな課題である。
図表3
最 終 学 歴 別 の 教 員 数 ( 2 0 09 年 )
国立高等教育機関
私立高等教育機関
非常勤
学士課程
1 8 , 13 5
28.8
6 1 , 00 0
56.7
6 2 , 95 9
72.4
修士課程
3 3 , 30 5
52.9
3 8 , 08 5
35.4
1 7 , 05 7
19.6
博士課程
9 , 5 26
15.1
3 , 4 79
3.2
2 , 2 68
2.6
その他
2 , 0 20
3.2
4 , 9 70
4.6
4 , 6 45
5.3
6 2 , 98 6
1 0 0 .0
1 0 7 ,5 3 4
1 0 0 .0
8 6 , 92 9
1 0 0 .0
合
計
資 料 : 国 民 教 育 省 高 等 教 育 総 局 「 イ ン ド ネ シ ア の 高 等 教 育 機 関 ( 2 00 9 年 )」
2
インドネシアにおける大学教員に対する奨学金プログラムの展開
( 1 ) BPPS に よ る 学 位 取 得 の 推 進
イ ン ド ネ シ ア 政 府 は 、 1 9 76 年 に 「 大 学 院 教 育 奨 学 金 ( BP P S )」 を 創 設 し 、 大 学 教 員
の学位取得の促進に本格的に取組み始めた。この奨学金は、国立及び私立の高等教育
機関の常勤教員を対象として、インドネシア国内の大学院で学位を取得することを目
的としたプログラムである。今日に至るまで大学教員の学位取得に主要な役割を果た
してきた。国民教育省が毎年、国内の受入れ大学院及び派遣高等教育機関を指定して
運 用 さ れ て い る が 、 2 01 1 年 の 受 入 れ 大 学 院 数 は 58 と な っ て い る 。
2 0 03 年 時 点 の 修 士 以 上 の 高 等 教 育 機 関 教 員 は 全 体 の 5 0 % に と ど ま っ て い た が 、 先
に 述 べ た よ う に 国 民 教 育 省 は 長 期 戦 略 ( HELTS) に お い て 、 修 士 号 以 上 の 大 学 教 員 を
2 0 09 年 に は 70 % 以 上 に 引 き 上 げ る こ と を 目 標 と し て 掲 げ 、 B P PS な ど に よ る 学 位 取 得
の 推 進 に 取 組 ん だ 。 2 00 2 年 か ら 2 0 06 年 の 間 に 、 B P P S に よ る 奨 学 金 の 交 付 数 の 合 計 は
2 0 0 2 年 か ら 2 00 6 年 の 間 に 約 1 万 7 千 と な っ て い る 。
( 2 )「 教 師 ・ 大 学 教 員 法 」 の 制 定 と 新 た な 海 外 派 遣 奨 学 金 制 度 の 創 設
前 述 の よ う に 2 005 年 に 成 立 し た 「 教 師 ・ 大 学 教 員 法 」 で は 、 高 等 教 育 機 関 の 教 員
の学位について、学士課程とディプロマ課程では修士号、大学院では博士号が必要と
され、国民教育省は更なる奨学金プログラムの充実に取組んでいる。
B P PS に つ い て は 、 20 0 7 年 か ら 、 従 来 国 立 に 限 ら れ て い た 受 入 れ 大 学 院 に 私 立 の 大
学院が加えられ、受入れ体制の充実が図られた。また、高等教育のグローバル化に対
応 し た 国 際 水 準 の 高 等 教 育 を 目 指 す 観 点 も 踏 ま え て 、2 0 0 8 年 か ら 後 述 す る 新 た な 海 外
派遣プログラムが開始された。
( 3 )「 国 民 教 育 開 発 戦 略 計 画 ( 2 0 10 年 ― 2 0 14 年 )」 の 策 定
2 0 1 0 年 、 国 民 教 育 省 が 発 表 し た 教 育 計 画 ( 20 10 年 ~ 2 0 14 年 ) に よ る と 、 学 士 ・ デ
ィ プ ロ マ 課 程 の 教 員 の 修 士 号 取 得 者 を 2 00 9 年 の 5 7. 8% か ら 2 0 14 年 の 8 5% に 、大 学 院
教 員 の 博 士 号 取 得 者 を 2 00 9 年 の 5 6. 2% か ら 2 0 14 年 の 9 0% へ と 大 幅 に 増 加 さ せ る と し
て い る ( 図 表 4 )。
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図表4
国 民 教 育 開 発 戦 略 計 画 ( 20 10 年 ― 2 014 年 )
2009 年
2010 年
2011 年
2012 年
2013 年
2014 年
学 士・デ ィ プ ロ マ 課 程 教 員 の 修 士 取 得 率
57.8
62.5
67.5
73.5
79.5
85.0
大学院教員の博士号取得率
56.2
60.0
65.0
72.5
80.0
90.0
( 出 典 ) 国 民 教 育 大 臣 令 20 10 年 第 48 号
こ の た め 、 国 民 教 育 省 は 、 20 1 1 年 に お い て も 、 図 表 5 の 奨 学 金 交 付 を 目 標 と し て 、
BPPS に よ る 国 内 大 学 で の 学 位 取 得 や 後 述 す る 海 外 派 遣 留 学 プ ロ グ ラ ム の 充 実 に 取 組 ん
でいる。
図表5
国 民 教 育 省 の 奨 学 金 交 付 目 標 ( 2 0 11 年 )
プログラム名
派遣対象
目 標 数 (人 )
国内大学の修士課程
3 , 0 00
国内大学の博士課程
3 , 0 00
海外大学院奨学金
海外大学の博士課程
1 , 0 00
優 秀 者 奨 学 金 ( BU)
国内大学の修士・博士課程
1 , 0 00
海外大学の修士・博士課程
100
海 外 大 学 博 士 課 程( 4 カ 月 以 内 )
300
大 学 院 教 育 奨 学 金 ( B PP S)
博士課程サンドウィッチ・プログラム
(注)国民教育省高等教育総局資料による。
3
国民教育省の新たな海外派遣留学プログラム
高等教育のグローバル化が進展する中で、世界水準の高等教育を実現し、国際競争
力を備えた人材を養成するためには、大学教員の水準を引き上げることが極めて重要
と い う 観 点 か ら 、国 民 教 育 省 は 海 外 大 学 で の 学 位 の 取 得 を 促 進 し て い る 。現 在 、
「海外
大 学 院 奨 学 金 」、
「 優 秀 者 奨 学 金 ( B U )」、
「 博 士 課 程 サ ン ド ウ ィ ッ チ ・ プ ロ グ ラ ム 」な ど
に取組んでいる。
(1)海外大学院奨学金
こ の プ ロ グ ラ ム は 、20 08 年 、グ ロ ー バ ル 化 に 対 応 し た 人 材 養 成 の た め に は 国 際 水 準
の高等教育を目指す必要があるとの考え方に立ち、海外の大学院における学位取得を
促 進 す る こ と を 目 的 と し て 開 始 さ れ た 。国 民 教 育 省 は 20 14 年 ま で 、年 間 1 , 000 名 の 海
外 留 学 派 遣 を 計 画 し て お り 、2 0 1 1 年 に お い て も 海 外 大 学 の 博 士 課 程 に 1 , 000 名 の 大 学
教員を新たに派遣することを目標としている。
この奨学金の実施に当たって最大の課題は、奨学金の交付目標に対し、留学条件を
満たす高等教育機関教員を確保することである。留学には、学力、英語力、受入れ大
学のレターが必要とされるが、大学教員にとって最もハードルが高いのは英語能力で
ある。このため、国民教育省は、今年から全国 5 大学(インドネシア大学、バンドン
工科大学、ガジャマダ大学、マラン国立大学、マカッサル国立大学)に英語訓練セン
タ ー を 設 け 、 各 セ ン タ ー で は 4 カ 月 コ ー ス ( 10 0 名 ) を 年 2 回 開 講 し て 訓 練 を 実 施 す
ることとしている。
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こ れ ま で の 日 本 へ の 派 遣 実 績 を 見 る と 、 2 0 0 8 年 か ら 2 010 年 の 間 に 、 こ の 奨 学 金 を
交 付 さ れ て 日 本 で 学 ぶ 学 生 は 合 計 3 1 1 名 で あ る 。最 も 多 い の が 九 州 大 学 の 3 5 名 で あ り 、
以 下 、 佐 賀 大 学 19 名 、 熊 本 大 学 1 6 名 、 東 北 大 学 15 名 、 広 島 大 学 14 名 、 京 都 大 学 1 4
名 、 岐 阜 大 学 10 名 、 北 海 道 大 学 10 名 の 順 に な っ て い る 。
このように、日本は主要な留学受入れ先の一つとなっているが、去る 5 月にジャカ
ルタで開催された「日インドネシア副学長クラス会合」において、インドネシア側か
ら、日本の大学に対し、大学院への入学に際し、通信技術等を活用した渡日前入試を
実施し、研究生を経なくても日本の大学院に入学できるよう検討してほしいとの要望
があった。この奨学金制度ではこれらの研究生の期間の学費・奨学金・入試費用は支
払われないため、日本の大学院への派遣の障害となっているという事情がある。
( 2 ) 優 秀 者 奨 学 金 ( B U)
この奨学金は、
「 優 れ た 者 」を 対 象 と し た 奨 学 金 で あ り 、高 校 か ら 修 士 課 程 に 至 る ま
での優秀な学生から、外国人留学生など、幅広い対象が含まれるプログラムである。
一 定 の 学 業 成 績 が 求 め ら れ る と と も に 、 修 士 課 程 で は 38 歳 、 博 士 課 程 で は 40 歳 ま で
と年齢制限が設けられており、国立及び私立高等教育機関の教員候補者(公務員では
な い )や 常 勤 の 事 務 職 員 を 対 象 と す る 点 で B P PS や 上 記 の 海 外 大 学 院 奨 学 金 と は 異 な っ
ている。
大学関係については、インドネシアの大学とのダブルディグリーが条件になってい
る 。日 本 へ の 派 遣 実 績 は 20 10 年 2 4 名 で あ り 、オ ラ ン ダ( 30 名 )、マ レ ー シ ア( 2 6 名 )
に 次 ぐ 第 3 位 と な っ て い る 。日 本 の 受 入 れ 大 学 で は 、千 葉 大 学 が 最 も 多 く 18 名 、次 い
で 、 山 口 大 学 ( 11 名 )、 名 古 屋 大 学 ( 10 名 )、 岐 阜 大 学 ( 4 名 )、 三 重 大 学 ( 4 名 )、 東
京大学(4 名)の順となっている。
(3)博士課程サンドウィッチ・プログラム
このプログラムは、教員の科学的な視野を拡大し、その質を国際水準に高めること
を 目 的 と し て 2 0 08 年 に 開 始 さ れ た 。そ の 内 容 は 、国 立 及 び 私 立 の 常 勤 大 学 教 員 を 対 象
として、インドネシア国内の大学の博士課程に在学しながら 4 カ月間以内の期間、海
外 の 協 定 大 学 に 在 籍 し 、博 士 の 学 位 を 取 得 す る も の で あ る 。2 0 08 年 に は 国 内 の 博 士 課
程 に 在 学 す る 7 82 名 の 現 職 教 員 が 世 界 27 カ 国 に 派 遣 さ れ た 。
先 般 、 2 0 11 年 の 同 プ ロ グ ラ ム 参 加 予 定 者 2 65 名 が 発 表 さ れ た 。 国 別 に 見 る と 、 最 も
多 い の が オ ー ス ト ラ リ ア で 72 名 、 以 下 、 米 国 71 名 、 オ ラ ン ダ 3 7 名 、 日 本 28 名 、 ド
イ ツ 1 3 名 、英 国 9 名 の 順 に な っ て い る 。分 野 別 に 見 る と 、オ ー ス ト ラ リ ア や 米 国 は 理
工 系 か ら 経 営 、言 語 ま で 多 岐 に わ た っ て い る が 、日 本 の 大 学 で は 理 工 系 が 中 心 で あ る 。
おわりに
以上のように、インドネシアは大学教員の海外派遣に積極的に取組んでいるが、留
学 生 の受 入 れを始 めとする大 学 間 交 流 のパー トナー として日 本 の大 学 への期 待 は高 い。
筆 者 は 今 年 5 月 16 日 、日 本 か ら 17 大 学 、イ ン ド ネ シ ア か ら 22 大 学 が 参 加 し て 開 か れ
た「日インドネシア副学長クラス会合」を傍聴する機会を得たが、その際に多数の日
本留学経験者がインドネシアの大学の中核として活躍する姿を見て、日イの交流の深
さを改めて実感した。また、この会合に前後して、ジャカルタ、バンドン、ジョクジ
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ャカルタの 3 カ所において日本留学説明会が開催された。東日本大震災の影響が懸念
されるところであったが、各会場は活気に溢れ、多数のインドネシアの学生が各大学
のブースで熱心に質問する姿に日本留学への関心の高さを再確認した。
一 方 で 、 副 学 長 ク ラ ス 会 合 で 筆 者 に と っ て 最 も 印 象 的 だ っ た の は 、「 イ ン ド ネ シ ア
で 学 ぶ 日 本 人 留 学 生 は 少 な い( 約 150 名 )。最 近 は 英 語 の プ ロ グ ラ ム も 増 加 し 、イ ン ド
ネ シ ア 語 の 研 修 プ ロ グ ラ ム も 充 実 し て い る の で 日 本 人 学 生 の 増 加 を 望 む 。」と の イ ン ド
ネ シ ア の 大 学 関 係 者 の 発 言 で あ っ た 。決 し て 日 本 で 学 ぶ イ ン ド ネ シ ア 人 留 学 生 数( 2 ,1 9 0
名)は十分とは言えないが、相互の交流という視点に立った新しいパートナーシップ
を構築する時代に入ったのではと感じたところである。
同会合を総括して日本側議長の田中明彦東京大学副学長は「高等教育が大きくグロ
ーバル化する中、如何に国際競争力を身につけ、外国人留学生を引きつけていくかは
大学共通の課題であり、本日の会合は、日イの大学が今後更に大学間・学部間等様々
なレベルでの学術・学生交流を進めていく大きなステップになるのではないか」と発
言 さ れ た 。 今 後 10 年 、 20 年 先 を 見 つ め た 、 新 た な 交 流 の 歴 史 を 構 築 す る た め 、 日 本
とインドネシアの大学関係者の活躍が期待される。
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