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【事例紹介】国際教育交流に携わる職員の具体的な能力開発と育成方法

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【事例紹介】国際教育交流に携わる職員の具体的な能力開発と育成方法
ウェブマガジン「留学交流」2011 年 6 月号 Vol.3
国際教育交流に携わる職員の
具体的な能力開発と育成方法
横浜市立大学キャリア支援課長
富田 勇一
Y u i ch i T om i t a
1.大学を取り巻く環境変化と職員の役割
急変する社会情勢や、留学生・社会人を含む学生の多様なニーズに応えるため、大
学はその在り方について改めて問い直されている。例えば国際化の進展により、各大
学は国内外に通用する競争力を備えるための新たな教育制度のデザインを余儀なくさ
れている。また、少子化に伴う一部大学での定員割れに象徴されるように、ユニバー
サルアクセス時代に突入した大学間で、生き残りをかけた競争が激化している。
このように大学を取り巻く環境が大きく変化するなか、海外からの優秀な学生の獲
得および海外への学生派遣プログラムの拡充は、多くの大学で積極的に推進すべき取
組みに位置付けられている。この取組みを成功へ導くには、学部、研究科等教員集団
の 能 力 開 発 ( F D : F ac u l ty D ev el o p me n t) の み な ら ず 、 国 際 教 育 交 流 に 係 る 支 援 を 実 効
的 に 推 進 で き る 事 務 職 員 の 能 力 開 発 ( SD : S taf f D e ve l o p m e nt ) が 不 可 欠 で あ る 。 FD
と SD が 有 機 的 に 連 携 し 、総 合 的 な 学 生 教 育 が 推 進 さ れ る こ と で 、大 学 の 使 命 た る も う
ひ と つ の SD = St u de nt D ev e lo pm e n t が 実 現 可 能 と な る の で あ る 。
以上国際教育交流に携わる職員は、広く大学職員としての職責を果たすと同時に、
当該分野におけるスペシャリスト(専門職)として組織貢献することが、その役割と
して求められている。次に、担当者の具体的能力開発方法を紹介する。
2.担当者の能力開発方法
担 当 者 の 能 力 開 発 に 関 し て は 、 職 場 内 で の 訓 練 ( On t h e Jo b Tra i n in g) と 職 場 外 で
の 訓 練 ( Of f th e J ob T ra i ni ng ) と が あ る 。 職 場 で の 経 験 は 最 良 の 教 師 と 言 わ れ る よ
う に 、 OJT が 能 力 開 発 の 基 本 と な る 。 け だ し 、 読 者 が 大 学 職 員 の 場 合 、 職 場 か ら 離 れ
な く と も 効 果 的 な Of f JT の 機 会 が 残 さ れ て い る 。 な ぜ な ら ば 、 授 業 、 文 献 、 研 究 者 等
の各種リソースがすでに備わっているからである。例えば、自大学の時間割をチェッ
クしてみよう、そのなかで仕事に役立つ授業が開講されているかも知れない。そのよ
うな授業を聴講・科目等履修したり、担当教員の指導を仰いだりすることは可能だろ
う 。 ま た 、 図 書 館 な ど で 国 際 教 育 交 流 に 関 す る 情 報 誌 ( 例 : 「留 学 交 流 」バ ッ ク ナ ン バ
ー 、時 評 社 / ぎ ょ う せ い )、「 月 刊 ア ジ ア の 友 」( 財 団 法 人 ア ジ ア 学 生 文 化 協 会 )、「国 際
人 流 」 ( 財 団 法 人 入 管 協 会 )、 「 異 文 化 間 教 育 」 ( ア カ デ ミ ア 出 版 会 /国 際 文 献 印 刷 社 ))
等を定期的に閲覧することで有益な情報を得ることもできる。このような意味で、大
学 と い う 職 場 は 、 身 近 な 能 力 開 発 の 場 と し て 最 適 で あ り 、 O f f JT プ ロ グ ラ ム の 宝 庫 で
もある。
以下、本人のコミットメント次第で効果的な能力開発へと結びつく自己啓発方法を
紹介する。
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( イ ) 学 位 の 取 得 ( 修 士 、 博 士 課 程 )・ ・ ・ 生 涯 学 習 、 高 度 な 専 門 職 業 人 育 成 と い う 流
れを受け、社会人でも学位が取得できるようにデザインされた大学院レベルのプログ
ラムが提供されている。例えば、大学経営のエキスパート育成を目指す桜美林大学の
大 学 ア ド ミ ニ ス ト レ ー シ ョ ン 研 究 科 の 通 学 課 程 で は 、現 職 の 大 学 職 員 が 受 講 可 能 な 1 8
時以降の授業や、土曜日および夏期集中授業の開講等工夫がみられる。さらに、物理
的に通学困難な大学職員等を対象に通信課程も提供されている。また、米国の大学で
は、ずばり現役の国際教育交流担当者やそれを目指す学生を対象とした修士課程があ
る 。 例 え ば 、 S I T ( S c h o o l f o r In te r n at i on al T r ai n ing ) , Ma s ter o f Ar ts i n
I n t er n at io n a l E du ca t i on
( h t t p: / /ww w . si t .e du / g ra d ua te / m ai e lr -o v e rv i ew .c f m ) や 、 L ES L EY
U n iv e rsi t y ,
I n t er c ul tu r a l R e lat i o ns P rog r a m ( h t tp : / /w w w. le s l ey . ed u/ g s as s /6 5i r p .h t ml )な ど
の 修 士 課 程 は 、 Lo w R e s id e nc y P r o gr a mも 提 供 さ れ て お り 、 遠 隔 授 業 と ス ク ー リ ン グ を
織り交ぜることで長期間現地に在留しなくても学位が取得できるようなプログラム構
成となっている。
(ロ )資 格 の 取 得 ・ ・ ・ 国 家 資 格 は じ め 各 種 団 体 認 定 の 資 格 を 取 得 す る こ と は 、 キ ャ リ
ア形成における指標のひとつとして有益である。例えば、派遣留学を主に担当してい
る 職 員 に と っ て 、 一 般 社 団 法 人 海 外 留 学 協 議 会 ( J A OS) 認 定 「 留 学 カ ウ ン セ ラ ー 」 資
格 ( h t tp : // w w w. j ao sc c . jp / ) の 取 得 を 目 指 す こ と は 、 職 務 上 の ス キ ル ア ッ プ に 直 結 す
る。この資格は、指定の教材を自己学習後スクーリングと認定試験を受け、審査を経
て認定される。教材は、留学交流の意義、各国の教育制度や渡航手続きなど求められ
る知識、カウンセリングスキルおよび留学関連法規等で構成される。主に留学エージ
ェントに所属する職員がこの資格を取得しているが、年に 2 回ほど開催される認定試
験 に は 、毎 回 大 学 職 員 も チ ャ レ ン ジ す る 姿 が み ら れ る 。こ の 資 格 は 留 学 全 般 で あ る が 、
各国政府機関が認定する特化した資格(研修プログラム)もある。例えば、ブリティ
ッ シ ュ・カ ウ ン シ ル が 主 催 す る Ce r ti fi c a te p ro gr a m me i n Pr o m ot i ng UK E d uc a ti on a n d
T r a in i ng
( h t t p: / /ww w . br i ti sh c o un c il .o r g /j p /j ap a n -e d uc at i o nu k -a ge n t -t r ai ni n g . h t m )
や 、 オ ー ス ト ラ リ ア 政 府 に よ る E du ca t i on Ag en t Tr a in in g Co u rs e
( h t t p: / /ww w . pi e ro nl i n e. o rg /e a t c/ ) な ど は 、 当 該 地 域 の ス ペ シ ャ リ ス ト と し て の 指
標として活用できる。また、学会認定の資格として、日本学生相談学会による「大学
カ ウ ン セ ラ ー 」 資 格 が あ る ( h t t p: / /w ww . g ak u se is o d an . co m/ ? p ag e _i d= 2 7 ) 。
この資格は、留学生の受入れか派遣担当かを問わず、広く学生相談全般のスキルアッ
プに役に立つ。
(ハ )学 会 、 関 連 団 体 へ の 所 属 ・ ・ ・ 学 会 等 へ の 所 属 は 、 関 連 分 野 の 専 門 知 識 を 深 め
るために効果的である。単なる入会、学会誌の購読や研究会への参加だけでなく、積
極的に委員を引き受けたり、論文寄稿や研究会での発表を行ったりすることが能力向
上の近道となる。特に国際教育交流分野は比較的新しい領域として、実務サイド(現
場)からの実践的検証や提言が期待されている。また、同じ問題意識をもつ担当者同
士の人脈形成の場ともなる。国際教育交流分野に関連する専門団体として、以下のよ
う な 組 織 が あ る 。 JA F S A( Ja pa n Ne t wo rk f or In te r n at i on al E du c at io n = 国 際 教 育 交
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流 協 議 会 )、 N A FS A ( A ss o ci at i o n o f In t e rn a ti on a l E d uc at o r s )、 E AI E ( E ur o pe an
A s s oc i at io n fo r I nt e r na t io na l Ed u ca ti o n )、 日 本 認 定 留 学 カ ウ ン セ ラ ー 協 会 ( 上 述
J A OS 認 定 の 有 資 格 者 が 自 動 的 に 入 会 )、 異 文 化 間 教 育 学 会 、 日 本 比 較 教 育 学 会 、 異 文
化 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 研 究 会( S I ET A R- J A PA N )、日 本 カ ウ ン セ リ ン グ 学 会 、日 本 語 教 育
学会、留学生教育学会、大学行政管理学会、日本高等教育学会、多文化関係学会等で
ある。ちなみに留学生教育学会は、設立当初留学生受入れ支援に関する研究をメイン
としていたが、現在では短期派遣プログラムなどの学生派遣に関しても積極的に議論
されている。
3.組織的な能力開発支援
2.で述べた能力開発方法は、あくまでも個人的な自発的取組みである。このよう
な取組みに対して、組織が制度的に支援できる環境を整備することによって初めて活
きた人材育成へと結びつく。以下、組織的支援の具体的活用方法を挙げる。
(イ)学内研修規程の活用及び見直し・・・まずは、法人内で制定されている職員研
修関連規程を洗い出し、制度的な支援の枠組みを最大限利用しよう。例えば、研修・
講 習 会 参 加 や通 信 教 育 および資 格 取 得 等 に関 する金 銭 面 での支 援 が明 記 されていれば、
担 当 者 の 経 済 的 負 担 は 軽 減 さ れ よ う 。ま た 、経 済 的 支 援 は 望 め な く と も 、研 修 等 O ff J T
に費やす時間を職免あるいは業務扱いと位置付けるスキームがあるだけでも、担当者
の意識は高まるだろう。このような支援の枠組みだけで不十分な場合は、上司や人事
部 門 へ 規 程 の 見 直 し や 追 加 を 提 案 す る 必 要 が あ る 。例 え ば「 職 員 の 学 内 授 業 聴 講 規 程 」
を整備することで、担当業務に関連する有益な授業を業務扱いで受講でき、その成果
を 組 織 還 元 す る こ と が 可 能 と な る 。も ち ろ ん こ れ は 、国 際 教 育 交 流 担 当 者 だ け で な く 、
他 部 門 の 職 員 全 体 の ス キ ル ア ッ プ へ も 応 用 で き る 。ま た 「
、 海 外 留 学 規 程 」に 関 し て は 、
殆どの大学で対象が教員に限定されているのが現状だが、教員に加え職員も対象とす
る旨の規程改正を行えば、上述の米国大学院における国際教育交流担当者育成プログ
ラムへ大学費用(公費)で留学でき、修了後は身に付けた知識や技能を職場で活かす
ことができる。
(ロ)学内(課内)勉強会の企画、開催支援・・・上述(イ)のような枠組みに基づ
き、有益な知識や情報を得た職員による課内および関連部門への還元の場づくりも効
果 的 で あ る 。 例 え ば 、 J A FSA の 初 任 者 研 修 に 参 加 し た 職 員 が 、 本 人 自 ら 講 師 と な る 報
告会や研修会をオフィシャルに設けてみることである。このような場の設定自体、研
修 に 参 加 し た 本 人 の 頭 の 中 を 整 理 し 、プ レ ゼ ン 能 力 を 高 め る た め に も 役 に 立 つ 。ま た 、
このような場を義務付けることで、本人の研修参加に対する事前の心構えや姿勢も違
ってくるであろう。さらにこのような場を関連する他部門の職員も巻き込んで設けた
り、同時に専門家を外部招聘することで内容をグレードアップしたりすれば、国際教
育交流に関する業務への理解や学内コンセンサスを得る有効なツールともなり得る。
(ハ)海外協定校の活用・・・実務研修の場として、海外協定校というリソースを積
極 的 に 活 用 す る 方 法 も あ る 。例 え ば 、海 外 大 学 と の 協 定 書 の 文 面 に は 、St u de nt E x ch a ng e
や F ac u lt y E x ch a ng e が 通 常 明 記 さ れ て い る が 、 さ ら に 、 St a f f E xc ha n g e を 盛 り 込 ん
で、職員同士の交流を実施する大学がある。交換留学担当者が、一定の期間互いに派
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遣先大学のオフィスで実習を積むことは貴重な機会である。このような交流を通じ、
実 習 先 で 学 生 が ど の よ う に 学 習 、生 活 し て い る か を 把 握 す る こ と が で き る 。実 習 後 は 、
説得力あるオリエンテーションや相談・アドバイジング能力が格段に身につくことに
なる。あわせて実習先で使用される言語能力の向上にもつながる。また、職員交換と
までいかなくとも、一方的にインターンシップとして職員を派遣したり、協定校から
の職員を受入れたりすることは可能である。あるいは、夏休みに実施される協定校へ
の短期語学研修に引率として職員を派遣する方法もある。引率業務も兼ねながら、研
修先の教育状況を学んだり、語学を学んだりできる一石二鳥の能力向上策である。
(二)報奨制度の導入、人事考課への反映・・・これは人事的な取組みとなるが、モ
チベーションを高めるために結果や成果に対する評価制度を導入する大学もある。例
え ば 、 TOEFL や TOEIC に 関 し 、 一 定 の 水 準 を 上 回 る 得 点 を 取 得 し た 職 員 に 対 し て 受 験
料の一部あるいは全額を助成したり、資格手当を支給したりする制度がある。また、
学内報奨制度を設け、専門能力を駆使し、顕著な実績をだした職員を表彰したり、そ
れを人事考課に反映させたりする大学もある。
以上、個人的な自己啓発とそれをバックアップする組織的支援について紹介した。
しかし、国際教育交流担当者として育成された職員もその殆どが、好むと好まざると
にかかわらず学内他部門への異動対象者となりうる。仮に担当者がこの分野での仕事
を究めたいと希望する場合、人事異動は逆にモチベーションの低下につながりかねな
い。この点に関し、現在の担当業務のみならず、将来の目標やそれを目指すためのキ
ャリアアップを視野に含めたデザインが描けるようなプランが立てば、担当者にとっ
て も 上 司 に と っ て も 、 あ る い は 組 織 に と っ て も 個 人 に と っ て も よ り WIN-WIN の 関 係 と
なろう。
次に、国際教育交流に携わる職員のキャリアデザインについて話を進める。
4.担当者の育成とキャリアデザイン
筆者がここ十数年、国際教育交流のフィールドにおける「ヒト」の流動性を見る限
り、キャリアデザインの方向性として図 1 に示されるような志向(タイプ)に類型化
される。
① アドミニストレーター志向(管理職タイプ)
このタイプは、組織内における各部門の異動を積み重ねていくことで、管理・監督
者へ向けての昇進を図る従来型「ゼネラリスト」育成モデルである。ここでは、職場
リーダーや係長⇒課長⇒部長⇒トップマネジメントへといった出世コースを歩むこと
になる。
② アカデミック志向(教育職タイプ)
このタイプは、国際教育交流分野における研究や教育に従事することで、学術的な
専門性を深めていくキャリア形成モデルである。例えば、国立大学法人で配置される
留学生専門教育教員および短期派遣プログラム担当教員、日本語および日本文化関連
の教員、あるいは異文化間教育、国際理解教育等の教員等がこの領域に該当する。実
際に、私立大学の国際交流部門でキャリアを積んだ職員が、国立大学の留学生センタ
ー等の教員として活躍するといったキャリアパスがみられる。
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③ スペシャリスト志向(専門職タイプ)
このタイプは、国際教育交流分野における特定かつ専門的な業務に従事することで
組織貢献する「スペシャリスト」としてのキャリア形成モデルである。例えば、留学
生アドバイザー、留学カウンセラー、国際交流担当専門職等の肩書きを持つ職員や、
肩書きを持つまでもなく同様の職務を担う場合はこの領域にあてはまる。実際に、米
国 に お い て は S t u d y A b ro a d A d v is o r 、 F o r ei g n St u d en t Adv i s or あ る い は 広 く
I n t er n at io n a l S tu de n t A d vi so r と い う 肩 書 き が 付 与 さ れ た 専 門 職 領 域 が 確 立 し て い
る。一方日本では、このような領域はまだ確立しているとは言い難く、その意味で図
1 の 専 門 職 枠 は 破 線 で 囲 ん で い る( 図 の 起 業 家 枠 も 同 様 )。こ の 不 安 定 な 領 域 に お い て 、
各大学は試行錯誤を重ねながら戦略的に「ヒト、モノ、カネ」を投資している。ちな
み に 筆 者 は 、 2 00 5 年 度 に 法 人 化 し た 横 浜 市 立 大 学 の 「 大 学 専 門 職 規 程 」 に お け る 国 際
交流分野の任期・年俸制専門職として、留学生支援、学生海外派遣を中心とする国際
化推進業務に携わってきた。また、文科省等の外部資金を獲得し、当該プロジェクト
のなかで専門家やコンサルタントなどの必要な人材を確保する例も多くみられる。さ
らに、稀ではあるが、国際交流部門に人事権が一部委譲されており、当該部門が独自
に採用した専門職を配置している例もある。最近では、国際交流に係る専門的な領域
( 協 定 校 と の 交 渉 、 渡 航 手 続 き 、 オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 、 住 居 確 保 等 ) を 、「 ヒ ト 」 レ ベ
ル で な く「 業 務 」レ ベ ル の 委 託 契 約 に よ り ま る ご と ア ウ ト ソ ー シ ン グ す る 大 学 も あ る 。
④ アントレプレナー志向(起業家タイプ)
このタイプは、独立した自己完結型の職を追求するキャリア形成モデルである。例
え ば 、留 学 斡 旋 事 務 所 を 開 設 し た り 、国 際 教 育 交 流 に 関 す る 会 社 や NP O を 設 立 し た り 、
国際教育交流コンサルタントを目指したりすることで自己実現を図る起業家がこの領
域に属する。実際に国際教育交流分野に長年携わった先輩諸氏が、現在コンサルタン
ト 業 を 手 が け た り 、 関 連 NPO を 立 ち 上 げ た り し て 活 躍 し て お ら れ る 。
もちろん、このような類型はあくまでもモデルであり、はっきりと分類される訳で
はない。各々タイプがオーバーラップするような領域もあるし、これらの方向性以外
を 目 指 す こ と も あ る( ⑤ )。ま た 、方 向 性 も 図 の よ う な 直 線 と い う 訳 で は な く 、実 際 に
は紆余曲折を描く場合もある。
大 切 な こ と は こ れ ら の 方 向 性 を 踏 ま え 、自 分 は「 何 が 得 意 な の か 」「 何 を や り た い の
か 」あ る い は「 ど の 領 域 で 生 き て 行 こ う と し て い る の か 」を 自 問 し て み る こ と で あ る 。
この点に関し、担当者としては積極的に上司と相談し、逆に上司の立場としては上述
の組織的支援による指導・育成を心掛けることで、互いにコミュニケーションを図っ
ていく必要がある。そうすれば、担当者の自己実現へ向けた見通しがたち、上述の能
力開発方法が価値あるものとなってくる。
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図1 担当者のキャリアデザイン
<アントレプレナー志向=起業家タイプ>
<アカデミック志向=教育職タイプ>
<アドミニストレーター志向=管理職タイプ>
<スペシャリスト志向=専門職タイプ>
③
④
①
②
<現在の担当者>
⑤
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