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生 ` 数ー万以下をめざして
生 菌数 1万 以下 をめ ざ して ○ -157や サルモネラ菌 による食中毒をきっか けに、食品の安全性 に対す る消費者や流通 業者 の関心が高 まって きています。 こうした中、生産、製造過程での衛生管理はもちろん、 日 頃の飼養管理や環境整備をあらためて見直 し、 より生菌数を減 らす努力が必要 となって きて い ます。 1.生 乳 に分布す る主な細菌 1 (1)細 菌 の 分 類 表 細菌 は増殖で きる温度 によつ 低 温 細 菌 温度 による細菌の分類 て分類 され ます。 乳質改善上 問題 となる細菌 は、 バ ル クク ー ラー が普及 した現在 中温 細 菌 は、低温細菌がその対象 とな り ます。生乳 中 に低温細菌が 106 /mlオ ー ダ ー以上増殖す ると、 7℃ 以下 の低温で増殖可能 な細菌群。多 く は好気性グ ラム陰性拝菌 に属す るが、グ ラ ム 陽性菌 に も低温性 の ものが ある。 生 育 の最適温度 が25∼ 40℃ で、 5∼ 7℃ 以下あるい は50℃ 以上の温度域では増殖で きな い細菌。 高温細菌 55℃ 以上で増殖。適温 は55∼ 70℃ で30℃ 以下で は生育 しないため冷蔵 した牛乳や乳 製 品な どで は問題 とな らない。 耐熱性細菌 40℃ 以上で生育 し、低温 殺菌 (63℃ 、 30 不快臭や異常な風味が発生 しま す。 分加熱 )で 生 き残 る細 菌。好気性細菌 と嫌 気性細菌 に大別 され る。 (2)病 原性細 菌 細菌の中には食中毒な どを引 き起 こす病原性細菌 もあ ります。 これ らの細菌は生乳中に含 ま れてはならない ものです。その主 な もの を示 します。 ① サルモネラ 食中毒菌 として一般的。口か ら感染。牛 の主要なサルモネラの菌種 としては、S.テ ィフ ィム リウム (ネ ズ ミチフス)、 S.ダ ブ リンなどがある ` ② リステ リア 品質の悪 いサイ レージ、土壌、汚水など自然界 に存在する。食 中毒 によって妊婦が感染 す ると、流産や死産を引 き起 こす場合 もある。 ③ 病原大腸菌 通常腸管 内に常在する菌の一種。病原性大腸菌、細胞侵入性大腸菌、毒素原性大腸菌及 び腸管出血性大腸菌 (○ -157な ど)の 4種 に区分 される。 ④ カンピロバ クター 。ジェジュニ/コ リ この菌 による食中毒は、下痢、腸炎、発熱などの症状を呈する。 C。 ジェジュニ は主 として人や動物の消化管内 に生息 してお り、菌を含んだ糞 に よって水 や食品を汚染、それを摂取 して また排菌す るサイクルで伝播する。 ⑤ エルシエア 。エ ンテ ロコ リチカ エル シニア属は現在7菌 種あ り、 この菌は海水、河川水などに広 く生存 している。 ⑥ 黄色 ブ ドウ球菌 ミク ロコッカス科スタフィロコ ッカス属 のグラム陽性球菌で自然界に広 く分布 している。 食中毒 、乳房炎の起 因菌 として知 られている。 2.牛 乳 ・乳製品の管理 目標 表2 HACCP導 入 にあた って、牛乳 ・乳製品 牛乳 ・乳製品の管理 目標 ①腐敗性微生物、細菌数 … 5万 以下 … 含有しない ②抗菌性物質 殺菌剤、洗浄剤 … 含有しない ③異物、 ④黄色ブドウ球菌 (SAl … 陰 性 …陰 性 ⑤サルモネラ菌 ゛ …陰 性 ルリ ア・フサ イレ 枢 ⑥リ …陰 性 ⑦病原大腸菌 …陰 性 0‐・エン 効 ③工 "り ージェジュニ/コ リ… ・陰 性 ⑨カンピロバクタ (*④ ∼⑨は通常の殺菌温度で死滅 に関 して、今 まで総細菌数だけで考 えら れて い ましたが、黄色 ブ ドウ球菌やサ ル モネ ラな どの細菌 に関 して、 新た に陰性 が求め られ るな ど、 よ り厳 しい条件 をク リア しなけれ ばな らな くな りました。 表 2は 牛乳 と乳製品 に関す る管理の 目 標です。 ) 3.細 菌数の目標はなぜ 1万 以下なのか 道外移 出輸送時の細菌増殖の多少 口 低温細菌 ■ 中温細菌 圏耐熱性細菌 □細菌計 は、 出発時点での生菌数のほか、輸 雪 尻 よ 馨 翠 Fタ ン の ク に 左 50 保 冷̀能 l■ (1)輸 送 時 間 と細菌数 生乳の道外移出輸送時間は、第 2 ホクレン丸の就航によって、関東方 墨 面 の 9割 、関西方面の約 5割 が48時 間 とな りました。残 りは72時 間の輸 10 送体制 とな ってい ます。 この輸送時間 と細菌 の増殖倍率 を 図 に示 しました。細菌数 は道 外移 出 72時 48時 間 輸送 中 に48時 間 で 6倍 、 72時 間で 間 図 1輸 送時間 と細菌 増殖倍率 28倍 にな ります。 (北 海道酪農検定検査協会 :1995.7∼ 9月 ) (2)生 菌 数 は 1万 以 下 に 現在、細菌数の取引規制 は全 国飲用乳公正 取引協議会の飲用乳の表示 に関連 し、 30万 / ml(総 菌数 )以 上 の使用制限を行 つてお り、 全 国的 には30万 /ml以 下 の対応 とな ってい ます。 移 出開始時 に生 菌数 が 3万 (総 菌数 12万 ) の場合、 48時 間輸送 で到着 時 18万 (総 菌数 72万 )、 72時 間輸送で は84万 万)に もな ります。 しか し、 これを 1万 以下 にす ると、48時 間の場合 は生 菌数 6万 (総 菌数24万 )と な り、都府県の地 場 の生 乳 の 細菌数 と肩を並べ ることがで きます。 このよ うに、都府県到着 時点で細菌数 を30万 以下 にす るためには、生乳生産段 階で生菌数 1万 以下でなければならないことにな ります。 (総 菌数 340 3 生菌数 1万 以下をめざ して