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Keysight Technologies N/W9063A アナログ復調測定アプリケーション

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Keysight Technologies N/W9063A アナログ復調測定アプリケーション
Keysight Technologies
N/W9063A アナログ復調測定アプリケーション
によるHP 8901モジュレーション・アナライザの
置き換え
Application Note
02 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
目次
HP 8901モジュレーション・アナライザ .......................................................................................3
N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションの概要 .................................................................4
Keysight Xシリーズ シグナル・アナライザ(ハードウェア).....................................................5
N/W9063Aの初めての使用(デモガイド).......................................................................................5
FM無線トランスミッタに対する一般的測定の実行 ........................................................................9
FM偏移 ..................................................................................................................................10
ハムおよびノイズ比(残留FM)...............................................................................................11
オーディオ歪み(SINAD、THDなど)......................................................................................12
可聴域より下のシグナリングを使用したTxテスト..................................................................13
アタックおよびトランジェント動作.......................................................................................14
RF出力パワー ........................................................................................................................15
RF周波数(搬送波周波数安定度).............................................................................................15
N/W9063AがHP 8901モジュレーション・アナライザよりも優れている5つの理由....................16
1. 柔軟なスペクトラム・アナライザ・プラットフォームと多数のアプリケーション .............16
2. 詳細が分かる強力な表示機能 .............................................................................................16
3. FM偏移を含む優れた確度 ..................................................................................................16
4. ドリフトのない高精度デジタル解析...................................................................................17
5. 内蔵オーディオ解析(SINAD、歪みなど)...........................................................................17
まとめ ..........................................................................................................................................18
FAQ..............................................................................................................................................19
チューニング、ロッキング、トラッキング ............................................................................19
異なる結果 .............................................................................................................................20
オーディオ解析、HP 8903、SINADまたはTHD、変調出力...................................................23
HP 8902、8903、8920.........................................................................................................25
システム、コード互換性 ........................................................................................................26
付録..............................................................................................................................................27
付録A:測定器およびN/W9063Aアプリケーションのブロック図 .........................................27
付録B:アナログ出力.............................................................................................................28
付録C:TIA-603に関する注意事項 ........................................................................................29
付録D:ACPの測定 ................................................................................................................32
付録E:N/W9063AソフトウェアアップデートA.14
(2014年5月)でのソフトウェア
機能拡張 ................................................................................................................................34
参考資料と追加情報 .....................................................................................................................35
03 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
HP 8901モジュレーション・アナライザ
HP 8901A/Bモジュレーション・アナライザは、80年代と90年代における無線テスト用測定器
の「ゴールドスタンダード」でした。これらの測定器により、AM
(振幅変調)、FM
(周波数変調)、
PM(位相変調)の高精度変調測定が可能でした。無線テクノロジーは進化してきましたが、アナロ
グ変調測定のニーズは消えていません。現在でもかなりの数のHP 8901が使用されています。
図1. HP 8901モジュレーション・アナライザ。
HP 8901の代表的な用途は、1300 MHzまでのTx(トランスミッタ)側のRF信号の以下のようなテ
ストでした。
– 搬送波パワー
– 搬送波周波数および安定度
– FM偏移(またはAM変調度)
– ハムおよびノイズ
– 寄生AM/FM
– 変調制限
– オーディオ周波数応答
狭帯域FM無線機の分野で、HP 8901は1 %という驚異的なFM偏移確度と、革新的な内蔵キャリブ
レータによるドリフト対策を備えていました。測定器はGPIBによってプログラム可能であり、自
動テストシステムのコアとして用いられてきました。
HP 8901Bは2002年に販売完了となり、サポート期間は2012年に終了しました。HP 8901A/Bの
後継製品として、Xシリーズ シグナル・アナライザで動作するN/W9063Aアナログ復調測定アプ
リケーションがあります。
04 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションの概要
Keysight N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションは、アナログAM/FM/ΦM変調の特性評
価のためのソフトウェアアプリケーションです。これはXシリーズ シグナル・アナライザで使用可
能なさまざまな測定アプリケーションの1つです。
図2. MXA Xシリーズ シグナル・アナライザで動作するN/W9063Aアプリケーション。
N/W9063Aアプリケーションは、RF搬送波の測定、変調解析、復調後オーディオ解析の機能を内
蔵しています。HP 8901A/Bの後継として最適で、同じ測定をより短時間で、より完全に、より高
い確度で実行できます。
このアプリケーションノートでは、N/W9063Aソリューションについて解説し、実績と信頼があ
るHP 8901A/Bと比較します。ここでは、代表的な狭帯域アナログFM無線機に対する測定例を示
します(ただし、このソリューションには、AM、Φ M、広帯域変調、単純なFSK/PSKなどのその
他の機能もあります)。このアプリケーションでは、TxからのRF信号の正確な解析が可能です。代
表的なアナログ無線機に対する主な結果として、以下があります。
– Tx RF搬送波パワー
– Tx RF搬送波周波数および周波数誤差
– FM偏移(ピークまたはRMS)
(AMまたはΦMも)、および変調制限
– オーディオ(復調後)周波数および歪み(SINAD)
– 残留FM
(ハムおよびノイズ)
測定器ソフトウェア(ファームウェア)は頻繁にアップデートされます。このアプリケーションノー
トの作成時点での最新リリースはA.14.xxです。ここで紹介するいくつかの機能には、このリリー
スが必要です(付録Eを参照)。バージョンを確認するには、[System] >> [Show] >> [System]キー
を押します。新しいバージョンは、www.keysight.co.jp/find/xseries_software からダウンロー
ドできます。
N/W9063Aの機能は、ソフトウェアライセンスによって有効になります。N/W9063Aに関連する
ライセンスを確認するには、[System] >> [Show] >> [System]を押します。特定の要件を満たす
試用ライセンスを入手するには、www.keysight.co.jp でN9063AまたはW9063Aを検索してくだ
さい。
05 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
Xシリーズ シグナル・アナライザ(ハードウェア)
N/W9063Aは、Keysight Xシリーズ シグナル・アナライザのさまざまなモデルで動作します。表
1を参照してください。特長、機能、ユーザーインタフェース(キーとメニュー)、リモートインタ
フェース(SCPIコード)は、すべてのモデルで同一です。ただし、性能は測定器の性能に応じて異
なります。FM測定の場合、最も重要な違いは、LOの位相雑音です。このパラメータは、残留FM、
Txハムおよびノイズ、ACPダイナミックレンジに影響します。詳細についてはこのアプリケーショ
ンノート内の説明を参照してください。
表1. Xシリーズ シグナル・アナライザ
モデル
名前
概要
N9030A
PXA
最も条件が厳しいアプリケーションに対応する最
高の性能。最も優れた位相雑音、最小の残留FM、
最大のACPダイナミックレンジ。
N9020A
MXA
ミッドレンジの性能と汎用性で変化するニーズに
迅速に対応。高速チューニングを可能にするバラ
クタLO。
N9010A
EXA
1つのツールでさまざまなニーズに応える柔軟な
モデル。速度と性能の堅実な組み合わせ。
N9000A
1.
CXA
基本的な信号評価を高いコストパフォーマンスで
実現するための最も低価格のツール 1。
W9063Aアプリケーションは、CXAでのみ使用可能です。N9063Aアプリケーションは、PXA、MXA、EXA
で使用可能です。
N/W9063Aの初めての使用
(デモガイド)
以下は、N/W9063アプリケーションを初めて使用するユーザーがアプリケーションの表示と操作
に慣れるための簡単な「ツアー」です。例は代表的な狭帯域FM信号の測定に基づいています。
1. 信号源をSA入力に接続します。注記:SAに入力するRFパワーレベルが、SAの最大レベルより
下であることを確認してください。必要な場合は外部アッテネータを使用してください。DUT
が実際のFM無線トランスミッタである場合、DUTをセットアップして適切に調整します。こ
の例では、以下の信号源設定を使用します。
a. パワー出力=−10 dBm
b. 周波数=750 MHz
c. 変調=FM
d. 周波数偏移=3 kHz
e. 変調周波数=1 kHz
2. [Mode]キーを押します。モードのリストで、“Analog Demod”アプリケーションを見つけ(必
要な場合、[Next]キーを押してページを切り替えます)、起動します。[Mode Preset]を押して
設定を初期化します。
3. [Meas]キーを押し、[FM]を選択します([AM]、[PM]、[FM Stereo]も選択できますが、このツ
アーではFMを使用します)。
4. [Frequency]キーを押し、RF搬送波の周波数(750 MHz)を入力します。これは実際の信号周波
数に近い必要があります。アナライザが入力信号をスキャンしたり、入力信号にロックオンし
たりすることはありません。入力周波数はユーザーが設定する必要があります。
06 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
5. 入力の過負荷やその他のエラー条件(右下コーナー)を確認します。必要に応じて、[AMPTD]
>> [Attenuation]を押して、メカニカルアッテネータの値を増やします。
6. [Meas Setup] >> [Auto BW & Scale]を押します。これにより、アナライザは信号を評価し、
いくつかの設定を自動的に最適化します。最も重要な設定の1つは、チャネル帯域幅です。こ
れは、[RF Spectrum]ウィンドウの緑の縦線で表されます。搬送波と側波帯のエネルギーのほ
とんど(>99 %)が緑の線の内部に含まれることが重要です。チャネル帯域幅を調整するには、
[BW] >> [Channel BW]を押して、値をHzで入力します。
7. デフォルトでは、アプリケーションは4分割表示になっています。ここで、図3の各ウィンドウ
について詳しく見てみましょう。
a
c
図3. 4分割表示。
b
d
07 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
a. RFスペクトラム(FFT)。復調前のRF搬送波のスペクトラム。通常のSAと同様に、開始/終
了または中心/スパン、および分解能帯域幅フィルターを変更できます。このウィンドウ
では、アナライザが信号にチューニングされていて、信号がオンで(十分なパワーがあり)、
変調がオンになっていることを確認できます。チャネル帯域幅を調整して、側波帯のエネ
ルギーのほとんどが緑の線の間に含まれるようにします。
b. 復調波形。オシロスコープで復調後の波形を観察するのに似ています。オーディオ波形が
復元され、歪みがないことを確認します。
c. AFスペクトラム(FFT)。復調後のオーディオ周波数またはテストトーンのスペクトラム。
オーディオスペクトラムの開始/終了周波数とRBWは変更できます。
複数のトーンの歪みとレートをチェックしたり、高調波歪みを表示できます。
d. 指標。数値結果の集まりです。FM偏移が表示されていて、ピークとRMSの2種類のディテ
クターが表示されています。また、内蔵オーディオ・アナライザからのSINAD、THDも表
示されています。
8. RFスペクトラム表示とAFスペクトラム表示には、基本的なすべてのSAコントロールが備わっ
ています。
[BW] >> [RF RBW]を押して、分解能帯域幅を100 Hzに狭めます。RFスペクトラムでFM側波
帯が分解され、ノイズフロアが下がります。[Freq] >> [AF Stop Freq]を押し、5 kHzを入力し
ます。AFスペクトラムの水平軸上の範囲が0 ∼ 5 kHzになります。
9. ウィンドウ制御キーは、N/W9063Aで重要な役割を果たします。特に、[Next-Window]キー
は、明るい緑の境界で示されるフォーカスを次のウィンドウに移動します。一部の機能はウィ
ンドウ固有で、その動作はフォーカスのあるウィンドウだけに適用されます。
マルチ
ウィンドウ
ズーム
次の
ウィンドウ
図4. ウィンドウ制御キー。[Next-Window]キーは、フォーカス(緑の境界)を移動します。ウィンドウ固有の機能は、
フォーカスがあるウィンドウに対して機能します。
例として、AFスペクトラムウィンドウを操作してみましょう。[Next-Window]キーを2回押し
て、AFスペクトラムを緑のボックスで強調表示します。次に、[Y-Scale] >> [Ref Value]を押
し、10 kHzを入力して、AFスペクトラムの一番上のラインの値を変更します(Yスケール機能
は、フォーカスのあるウィンドウに応じて変化するため、RFスペクトラムや復調波形に対し
ては動作が異なります)。次に、[Marker and Peak Search]を押して、AFスペクトラムウィン
ドウにマーカーが表示されることを確認します。
08 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
10. マーカーは、任意のウィンドウの任意のトレースで使用できます。[Marker] >> [Select
Marker]を押してマーカーを選択して、[Normal]、[Delta]、または[Fixed]を押してタイプを
変更します。新しいマーカーは、デフォルトではフォーカス(緑の境界)のあるウィンドウに表
示されます。ただし、任意のマーカーに対して、[Marker] >> [Properties]を押すことにより、
使用するマーカートレースを変更できます。選択したマーカーに関してのみ、読み値がウィン
ドウの右上コーナーに表示されます。図5を参照してください。
図5. マーカーは任意のウィンドウの任意のトレースで使用できます。マーカーのタイプには、ノーマル、デルタ、
固定があります。
11. [Meas Setup] >> [Filters]を押します。ここにはさまざまな種類の復調後オーディオフィル
ターが用意されています。
a. ハイパス(HPF)
b. ローパス(LPF)
c. バンドパス(BPF)。CCITT、CCIR、および各種の雑音/応答加重オーディオフィルター
が含まれています。
d. ディエンファシスフィルター (De-Emph)、FMのみ
e. シグナリング・ノッチ・フィルター、可聴域より下のトーンを除去します。
12. [Meas Setup] >> [Avg/Hold]を押して、アベレージング機能を使用してみましょう。アベレー
ジングは、すべてのトレース、すべての指標のノイズを減らす効果があります。さらに、アベ
レージングを使用すれば、偏移に関するいくつかの最大値ホールド指標と、復調波形の最大値
/最小値ホールドトレースが有効になります。
13. [Restart]キーは、アベレージングがオンの場合に非常に便利です。これを使用すれば、最大値
ホールド列から古いデータが消去され、復調波形の最小値/最大値トレースが整理されます。
この他にも、さまざまな機能、セットアップコントロール、表示機能が使用できます。そのうちの
いくつかは、次のセクションで紹介します。詳細については、内蔵ヘルプまたはマニュアルを参照
してください。
09 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
FM無線トランスミッタに対する一般的測定の実行
双方向無線トランシーバには、トランスミッタ(Tx)部分とレシーバー (Rx)部分があります。図6は、
簡素化したテストダイアグラムです
(注記:アッテネータ、カップラ、コンバイナ、スイッチが必
要な場合がありますが、ここには示していません)。
双方向FM無線機のテスト
CXA 3 GHzシグナル・アナライザ
+W9063Aアナログ復調
(オーディオ解析内蔵)
オーディオ
(マイク)
RF
(アンテナ)
RF信号
RF
EXG信号発生器
(アンテナ)
(オーディオ発生器内蔵)
変調入力
(必要な場合)
オーディオ
(スピーカ)
アナログ出力
(必要な場合
オーディオ解析の
実行
オーディオ
出力
オーディオ・アナライザ (U8903A)
図6. 双方向無線の代表的なテストセットアップ。アンテナは通常TxとRxで共通ですが、
ここでは別々に示しています。
DUT Txには、オーディオ入力(マイクロフォン)と、RF出力(アンテナ)があります。オーディオ
信号源の例として、Keysight U8903Aオーディオ・アナライザを使用します。N/W9063Aアプリ
ケーションはTx出力をテストします。
DUT Rxには、RF入力(アンテナ)と、オーディオ出力(スピーカ)があります。RFはRF信号発生器
から供給されます。ブロッキング/選択度テストには、追加のRF信号源が必要です。推奨オーディ
オ・アナライザはU8903Aです。この後の部分では、Rxテストについては扱いません。
以下の部分では、N/W9063Aによる狭帯域アナログFM Txの代表的なテストについて説明します。
中括弧に囲まれた部分(例:“{2.4.12}”)は、TIA-603-D「Txの測定方法」のパラグラフを表してい
ます。付録Cを参照してください。
注記:SAに入力するRFパワーレベルが、SAの最大レベルより下であることを確認してください。
必要に応じて、外部アッテネータを使用してください。
10 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
FM偏移
FM無線機に対しては、FM偏移は基本的な測定の1つです。TIA-603のいくつかのテストで、FM偏
移測定が必要です。
{2.2.3} 変調制限
{2.2.5} オーディオ感度
{2.2.6} オーディオ周波数応答
{2.2.10} 音響マイクロフォン感度
{2.2.15} オーディオ・ローパス・フィルター応答
{2.4.10} Tx変調制限
この結果は、4種類のディテクターすべてに関して、指標ウィンドウに直接表示されます
(図7を参照)。
– Peak+
(正ピーク)
– Peak(負ピーク)
– (Pk-Pk)/2
(ピークからピークまでの半分、あるいはPeak+とPeak-の平均)
– RMS
(真の実効値)
アベレージングがオンの場合、各ディテクタータイプに[Average]列と[Max Hold]列があります。
これらは、HP 8901の該当するディテクターに似ています。
さらに、FM偏移は、変調波形の格子線の垂直軸(対時間)と、AFスペクトラム応答(対周波数)にも
表示できます。アベレージングがオンの場合、トレースも適切なタイプを使用して平均化されま
す。RFスペクトラムはパワー平均、変調波形はリニア算術平均、AFスペクトラムは対数平均です。
図7. FM偏移測定。右上部分:復調波形の垂直軸は、周波数偏移対時間を表します。スケーリングを変更するか、マー
カーを使用してFM偏移を調べることができます。左下部分:AFスペクトラムは、周波数偏移(RF搬送波の)対周波数(オー
ディオの)を示します。ピークに配置されたマーカーは、その変調オーディオ周波数だけに起因するFM偏移を表します。
右下部分:指標ウィンドウには、HP 8901と同様に、Peak+、Peak-、(Pk-Pk)/2、RMSディテクターがあります。平均
の列は優れた雑音除去を示しています。最大値ホールドの列は、前回のリスタート後のすべての収集履歴の最高ピークを
表します。
11 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
周期変調速度設定。[Yes]
(デフォルト)を選択すると、入力信号が単一の周期波形によって変調さ
れていることを示します。解析アルゴリズムはこのケースに対して最適化されています。入力信号
がマルチトーンまたは複雑なオーディオ信号で変調されている場合(オーディオ成分が高調波関係
にない場合)は、[No]を選択します。この場合、オーディオ変調トーンに関して何の仮定も置かな
い別のアルゴリズムが用いられます。
マルチトーンおよびマーカーテーブル[新機能]。オーディオに複数のトーンが含まれる場合、各
トーンにマーカーを配置し、すべてのマーカーのサマリーをテーブルに表示できます。このた
めには、[Next-Window]を押して、AFスペクトラムにフォーカスを移動します。[View] >> [AF
Spectrum & Metric, then Marker] >> [More] >> [Marker Table]をオンに設定します。マーカー
をオンにして配置します。必要ならピークサーチを使用します。図10を参照してください(A.14お
よび−AFPが必要です)。
ハムおよびノイズ比(残留FM)
Tx入力にオーディオがない場合、RF搬送波はまったく変調されないはずです。残っている変調は
すべて「残留FM」または「ハムおよびノイズ」と呼ばれます。この測定は、RMSディテクターを
使用して、基準FMレベルに相対的に、特定の復調後フィルターを使用して行われます。
{2.2.8} FMハムおよびノイズ比
{2.2.9} AMハムおよびノイズ比
測定の主なステップを以下に示します。
1) Txを「標準テスト変調」用にセットアップします。代表的な値は、ピークFM偏移が
3 kHz、LPF=15 kHz、De-Emph=Offです。
2) N/W9063Aで、HPF=300 Hz、LPF=3 kHz、De-Emph=750 usに設定します。[Average]
列のRMS偏移を読み取ります(通常は440 Hz程度)。この基準偏移は、[View] >> [More]
>> [Metrics Settings] >> [RMS Ratio]を押すと自動的に記録されます。
3) Txへのオーディオ入力をオフにします。
4) RMSディテクターを使用して、残留FMをステップ2の値を基準にdBで測定します。図8を
参照してください
図8. FMハムおよびノイズ。RMSディテクターを使用して、基準値に対するdBで表しています。
12 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
基準値の手動入力[新機能]。多くの場合、ステップ1と2で求める基準値はあらかじめ(3 kHzピーク
というように)わかっています。ピークからRMSへの変換(0.707)と、1 kHz (0.2076)での750 μ s
ディエンファシスの影響もわかっています。したがって、ステップ1と2の代わりに、ユーザーは
単に値(例、0.440 kHz)を入力することができます。このためには、[View] >> [More] >> [Metrics
Settings] >> [Ratio Reference Manual]を押し、440 Hzを入力します(A.14および−AFPが必要
です)。
AMハムおよびノイズ。AM雑音は、RF搬送波の振幅雑音を表しています。TIA-603の手順では、
ダイオードディテクターと電圧計を使用します。ただし、N/W9063Aは、同じ入力接続で、ダイ
オードなしにAMを直接測定できます。
内部雑音の制限。測定器内部の局部発振器(LO)の位相雑音によって、ハムおよびノイズ測定の範囲
が制限されることがあります。パラメータは、Xシリーズ シグナル・アナライザ・ハードウェアの
モデルと構成によって異なります。FAQのセクションを参照してください。
オーディオ歪み(SINAD、THDなど)
Txはオーディオ入力をFM偏移に忠実に変換することが求められます。変調品質をテストするには、
単一の純粋なオーディオトーン(通常は1 kHz)をマイクロフォン入力に印加し、基準復調器にRF出
力を送信して、復元したオーディオの歪みを測定します。
{2.2.7} オーディオ歪み
{2.4.13} CTCSSトーン歪み
{2.4.14} Tx SINAD
N/W9063Aには、復調後オーディオ・アナライザが内蔵されています(これは復調後のRF入力
信号を解析するもので、オーディオ入力はサポートしていません)。測定可能な値は、SINAD、
SNR、歪み、またはTHDです。詳細については、「5つの理由」の章の「内蔵オーディオ解析」を
参照してください。また、一般的なすべてのオーディオフィルターも用意されています。Txテス
ト用に外部のオーディオ・アナライザを使用する必要はありません。図9を参照してください
Txテスト用のマイクロフォン入力をドライブするには、オーディオ信号源が必要です。また、レ
シーバー (Rx)テスト用には、オーディオ入力を持つオーディオ・アナライザが必要です。これら
の目的には、Keysight U8903Aをお勧めします。
図9. オーディオ歪みとAFスペクトラム。
13 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
AFスペクトラム。オーディオ指標の他に、AFスペクトラム表示も、オーディオ周波数の歪み(高調
波)、スプリアス、雑音対周波数の表示にきわめて有効です。図9を参照してください
チャネル帯域幅。歪みの誤差(増加または減少)を防ぐには、チャネル帯域幅が十分に広く、必要な
すべてのRF側波帯が含まれることが必要です。
可聴域より下のシグナリングを使用したTxテスト
初期のアナログFM無線機では、複数の無線機で同じ周波数チャネルを共有するために、単純な
フォーマットの「シグナリング」を使用していました。このシグナリングは、可聴域より下のトー
ン(<250 Hz)を音声に重畳するもので、連続トーン・コード・スケルチ・システム(CTCSS)または
連続デジタル・コード・スケルチ・システム(CDCSS)
(FSKシーケンス)が用いられます。これら
の追加トーンが存在する場合のTxの性能を確認するためのテスト手法が開発されています。
{2.4.14} 可聴域より下のシグナリング使用時のTx SINAD
{2.4.16} 可聴域より下のシグナリング使用時のTx FMハムおよびノイズ
どちらのテストにも、可聴域より下のトーンを除去するための復調後ノッチフィルターが必要で
す。すなわち、SINADの場合、2つのノッチフィルターが使用されます。1つは可聴域より下のトー
ン用、もう1つは1 kHzオーディオトーン用です。N/W9063Aアプリケーションは、これらの測定
のためのシグナリング・ノッチ・フィルターを備えています。ユーザーは、シグナリングノッチを
オンまたはオフにし、その周波数を手動で設定します。SINADに使用されるもう1つのノッチフィ
ルターは、残りの最大のオーディオトーンに自動的にチューニングされます(ソフトウェアリビ
ジョンA.14およびライセンス−AFPが必要です)。
可聴域より下のトーンはAFスペクトラムに表示できますが、SINAD結果と、ハムおよびノイズ測
定に使用されるFM偏移RMSディテクターでは除去されます。図10を参照してください
図10. 可聴域より下のトーン用のシグナリング・ノッチ・フィルター。シグナリング・ノッチ・フィルターは123 Hzで
(ハムおよび
有効になります。このトーンは、AFスペクトラムには現れていますが、SINADとFM偏移RMSディテクター
ノイズに使用)の前に除去されます。マーカーテーブルでは、トーン周波数と各トーンの偏移を容易に読み取ることがで
きます(注記:この例では、わかりやすくするために、フィルターとディエンファシスの設定はTIA-603手順を反映して
いません)。
14 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
アタックおよびトランジェント動作
プッシュツートーク(PTT)無線機では、TxオフからTxオンへの短時間の遷移中のパワーと周波数を
定めた仕様を満たす必要があります。また、CTCSSおよびCDCSSトーン用のPTTタイミング仕様
もあります。
{2.2.4} 搬送波アタック時間
{2.2.19} トランジェント周波数動作
{2.4.11} エンコーダ応答時間
{2.4.18} Txスケルチテール除去バースト
従来、これらのテストは、以下のような理由で複雑かつ困難でした。
(a) 信号が過渡的(短時間かつ1回だけ発生)なので、トリガが必要。
(b) 結果をタイムドメインで表示する必要があるので、残光表示(ストレージ)付きのオシロス
コープのような画面が必要。
N/W9063Aでは、新しい「アタック/リリース時間」ビューにより、このようなテストが簡単に
行えます。このビューには以下の2つのグラフがあります。
a) 上のグラフはRF振幅対時間を示します。これは、RF Txがオン(またはオフ)になるときの
「アタック」を表しています。
b) 下のグラフは周波数対時間を示します。これは、周波数セトリング、またはCTCSSトーン
のターンオン、または特殊なFMシグナリングを表しています。
このビューは、通常、PTT信号からの外部トリガに基づく「シングルショット」モードで使用され
ます。上と下のグラフは通常同じ時間軸を共有するので、振幅と周波数の変化を容易に関連付ける
ことができます。垂直軸は振幅または周波数の単位で直接読み取ることができます。何らかの任意
の電圧、あるいは未校正の電圧を測定する量に関連付ける必要はありません。ストレージオシロ
スコープは不要です。図11を参照してください(ソフトウェアリビジョンA.14およびライセンス−
AFPが必要です)。
図11. アタック/リリース時間ビュー。
15 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
RF出力パワー
トランスミッタのパワー出力は基本的なパラメータです。規格文書では、通常パワーメータによる
Txパワー測定が指定されています。
{2.2.1} 伝導搬送波出力パワー定格
これに対して、N/W9063Aは、搬送波パワーレベルを、指標ウィンドウにdBmまたはW単位で直
接表示します。この結果を他の結果とともに観察できるのは非常に便利であり、別の測定器を切り
離したり再接続したりする必要もありません。外部アッテネータを使用する場合、その損失を入力
して表示されるパワーを補正することができます。パワーメータと同様、Xシリーズ シグナル・ア
ナライザは50 MHzのパワー標準を内蔵しています。これを定期的に測定することで調整が行われ、
ドリフトが除去されます。パワーメータとは異なり、Xシリーズ シグナル・アナライザには周波数
選択能力があるため、以下が可能です。
a) N/W9063Aは、高調波、相互変調、スプリアス、およびその他のチャネル外干渉の影響を
受けません(パワーセンサは非常に帯域幅が広いため、その範囲内のすべての信号を検出
します)。
b) N/W9063Aは、きわめて低いパワーレベルを高い確度で測定できます(パワーセンサはノ
イズフロアがかなり高いという性質があります)。
RF周波数(搬送波周波数安定度)
トランスミッタは、高い搬送波周波数確度と安定度でチャネル周波数を維持する必要があります。
テスト手順では、通常、RF周波数カウンタでこれを確認することが要求されています。
{2.2.2} 搬送波周波数安定度
これに対して、N/W9063Aは、搬送波周波数誤差を測定して指標ウィンドウに表示します。重要
な結果をすべて一度に表示できるので非常に便利であり、別の測定器を切り離したり再接続したり
する必要もありません。Xシリーズ シグナル・アナライザはフルシンセサイズドで、IFはフルデジ
タルです。したがって、周波数確度は基準タイムベースと直接関連しています。必要な確度を実現
するには、以下のような方法があります。
a) Xシリーズ シグナル・アナライザの標準仕様を確認します。これがニーズを満たしていれ
ば問題ありません。
b) Xシリーズ シグナル・アナライザを、Ext Ref入力コネクタを通じて、ユーザー提供の標準
にロックします。例えば、10 MHzの社内標準や、GPSベースのクロックなどです。
c) 一部のモデルでは、高精度の内部基準を追加するオプションPFR(高精度周波数基準)が利
用できます。
d) Keysight J7203A原子周波数基準(AFR)を注文します。これは小型のセシウムベースの高
安定度クロックです。AFRはUSB給電で動作し、内部基準を調整することにより、オプ
ションPFRに比べて約100倍高い長期安定度(経時変化)を実現しています。
16 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
N/W9063AがHP 8901モジュレーション・アナライザより
も優れている5つの理由
N/W9063Aアナログ復調測定アプリケーションは、HP 8901A/Bモジュレーション・アナライザ
の後継として最適です。しかも、単なる後継ではありません。N/W9063Aを使えば、さらに高速
で、容易で、完全で、正確な測定が実現できます。
1.
柔軟なスペクトラム・アナライザ・プラットフォームと多数の
アプリケーション
N/W9063Aアプリケーションは、フル機能のXシリーズ シグナル・アナライザ内部で動作します。
いつでも“SA”モードに切り替えて、ACPや放射性エミッションを測定したり、搬送波の高調波や
スプリアス発振を調査したり、干渉を探索できます。
Xシリーズ シグナル・アナライザは、さまざまな性能レベル、周波数レンジ、帯域幅に対応し
ています。必要な性能だけを持つ構成を選択することで、費用を節約できます。どの構成でも、
N/W9063Aアプリケーションの機能、ユーザーインタフェース、リモート・プログラミング・コ
マンドは同一です。アプリケーションの使用方法を何度も覚え直す必要はありません。
Xシリーズ ソリューションは、単なるモジュレーション・アナライザではありません。その豊富な
機能により、テストセットアップが単純になり、時間を節約して誤りを減らし、ベンチやラックの
スペースを節約することができます。付録Cの表C1を参照してください。
APCO、TETRA、LTE、EMCプリコンプライアンス、位相雑音、雑音指数などのさまざまなアプリ
ケーションが、ダウンロード可能なソフトウェアライセンスとして用意され、同じ測定器内で動作
させることができます。
2. 詳細が分かる強力な表示機能
N/W9063Aには、大画面カラーディスプレイ(図3を参照)、4つの結果ウィンドウ、詳細な注釈表
示、明るいトレース、マーカー機能が備わっています。これに対して、HP 8901A/Bには数値ディ
スプレイが1つあるだけです。このように強力な表示機能により、作業が飛躍的に改善されます。
例えばRFスペクトラムを表示することにより、RF搬送波が存在し、安定していて、周波数と側波
帯が正しいかどうかがすぐにわかります。チャネル帯域幅(サンプリングレート)を容易に最適化し
て、雑音を最小化しながらすべての信号側波帯を復調することができます。
復調された波形(偏移または変調対時間)を表示して、トーンの安定度、歪み、ピーキング、雑音を
調べることができます。オシロスコープは不要です。
AFスペクトラムを観察して、歪みや雑音を容易に確認できます。また、マルチトーンの場合、各
トーンから生じるFM偏移を個別に定量化することができます。すべての結果はその場で見られる
ので、時間を節約し、ミスを減らすことができます。
3. FM偏移を含む優れた確度
FM偏移は重要な測定です。HP 8901は、アナログリミッターと電荷カウントディスクリミネータ
を使用して、1 %の確度でこの測定が可能でした。これは当時としては画期的な性能でした。HP
8901は、ドリフトに対処するためのキャリブレータも内蔵していました。
これに対して、N/W9063Aは、サンプリングされたIFからのデータを処理することにより、変調
度(FM偏移など)をデジタルで測定します。デジタル法には、精度が高く、個体変動が少なく、ド
リフトがないという特長があります。ディテクターは4種類あります。Peak+、Peak-、(Pk-Pk)/2、
および雑音や非正弦波を正確に検出するためのRMSディテクターです。表2にこれらの比較を示
します。
17 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
表2: FM偏移確度の比較
FM偏移確度
(保証された仕様)
HP 8901A/B
Xシリーズ シグナル・アナライザ+
N/W9063A
読み値の1 %
(RMSの場合は
PXA:読み値の0.35 %+レートの0.2 %
MXA:読み値の0.9 %+レートの0.2 %
4 %)
+1桁
* 読み値+レート)
(公称値)
PXA:0.2 % (
MXA:0.4 % (
* 読み値+レート)
(公称値)
EXA:0.4 % (
* 読み値+レート)
(公称値)
CXA:0.4 % (
* 読み値+レート)
(公称値)
例:
3 kHz偏移、1 kHz
31 Hz
121 Hz(RMSの場合)
PXA:13 Hz(公称値、RMSも同じ)
MXA:29 Hz(公称値、RMSも同じ)
レート、保証仕様
広いダイナミックレンジ
N/W9063Aは、きわめて広い入力パワーレベルでFM偏移を測定できます。その範囲は、HP 8901
を約25 dB上回ります。
自動搬送波周波数
デフォルトでは、FM復調器はDC結合なので、搬送波周波数の誤差がオーディオ・アナライザに伝
達されます。これが望ましくない場合、自動搬送波周波数機能(A.14および-AFPが必要)をオンに
するか、単に任意のHPFまたはBPFを使用します。
4. ドリフトのない高精度デジタル解析
N/W9063Aはフルシンセサイズドであり、全ての処理がデジタルで行われています。RF信号はIF
にダウンコンバートされてからデジタイズされます。それ以降のすべての処理は数値計算によって
行われます。このため、温度によるドリフトがきわめて小さく、コンポーネント値による変動が少
なく、雑音抑圧が優れています。すべてのフィルターはデジタルなので、測定器間の変動が存在し
ません。IFフラットネスやその他の誤差は、内部調整によって補正されます。時間のかかるアナロ
グ復調器の校正は不要です。これにより、優れた確度と厳密な仕様を、広い温度範囲で長時間にわ
たって維持できます。
5. 内蔵オーディオ解析(SINAD、歪みなど)
ここでオーディオ解析とは、DUTのTxからのRF信号を復調した後のオーディオ信号の歪みの測定
を指します。測定方法と結果に関する用語(しばしば混同されます)は何種類かあります。表3を参
照してください。
HP 8901では、オーディオ解析は通常HP 8903オーディオ・アナライザ(まったく別の測定器)と
組み合わせて行いました。HP 8901は、RFを復調し、復調後のオーディオ信号を変調出力コネク
タからHP 8903に渡していました。
N/W9063Aには、復調後オーディオ解析機能と、必要なすべてのフィルターが内蔵されています。
ノッチフィルターは、見つかった最も強いオーディオ信号(1 kHzまたは400 Hzに限定されません)
に自動的にチューニングされます。フィルターは復調後のRF入力に対して動作します(オーディオ
周波数入力はありません)。等価の測定に関しては表3を参照してください。
18 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
表3. オーディオ解析のタイプ
HP 8901および8903の
N/W9063Aの
式1
歪み指標
歪み指標
SINAD
29.0 SPCL、1 kHz DISTN
29.0 SPCL、400 Hz DISTN
SINAD
(S+N+D)
(N+D)
SIG/NOISEまたはSNR
SNR 3
(S+N+D)
(N)
単位 2
(合計)
dB
(合計−S)
≒(S)
dB
(N)
概要
狭帯域ノッチフィルターでS項を除去します。一般的
なノッチフィルターおよび比測定法です。
HP 8903のオン/オフ法をエミュレートします。SINAD
に似ていますが、D項が復調器から除去されます。こ
れは、オーディオ入力がオフの場合、Sの高調波がDUT
で発生しないからです。
DISTN
AUDIO DISTN
歪み/合計
−
THD
DISTN LEVEL
−
(N+D)
(S+N+D)
(合計−S) %またはdB
(合計)
(D)
(S)
N+D
合計−S
単にSINADの逆数であり、同じノッチフィルター法を
使用します。
%またはdB
高調波H2…H10が加算され、Sとの比が計算されます。
V
振幅測定で、比ではありません。
これらの式は簡略化されていて、分子と分母で用いられる項の概要です。実際に使用される式はもっと複雑です。Sは見つかった最も強い単一のオーディオトーンを
表しています。多くの場合は1 kHzのテストトーンです。Dは高調波歪みを表しています。Nは雑音を表し、実用的には、高調波を除くすべてのオーディオエネルギー
(スプリアス、ハム、相互変調など)を、帯域幅フィルターまたはSINADの帯域幅全体にわたって積分したものです。すべての項はオーディオフィルターとSINAD帯
域幅制御の影響を受けます。Nは、特定の帯域幅にわたって積分された雑音を表しています。実用的には、Nは高調波以外のすべてのソース(ハム、相互変調、サブ
ハーモニクス、スプリアスなど)を含みます。Dは歪みを表し、基本波信号Sの高調波(S自体を除く)の合計です。数列は、第10高調波、フィルター、帯域幅設定のう
ち最も周波数が低いものによって制限されます。すべての項は実効値電圧であり、比には単位がありません。dBへの変換は20*log(x)で行われます。パーセントへの
変換は100×xで行われます。
2. 単位は[View/Display] >> [Distortion & THD Unit/]で選択できます。
3. SNRはHP 8903とHP 8901を組み合わせた場合の機能をエミュレートしています。SNRはDが小さい場合はSINADに近くなります。
1.
オーディオフィルター
N/W9063Aには、HP 8901Aと8903Aのすべての復調後フィルターと、オプションのフィルター
のほとんど(NMTおよびAMPS用フィルターを除く)が付属しています。すべてのフィルターはデ
ジタル的に実装されているため、ドリフトやコンポーネントの変動がありません。CTCSSまたは
CDCSSに用いられる可聴域より下のシグナリングトーンを除去するための専用のノッチフィル
ターが用意されています。このフィルターは、50 ∼ 300 Hz範囲に手動でチューニングする必要
があります。このフィルターは、自動的にチューニングされるSINAD用オーディオノッチフィル
ターに加えて使用されます。
まとめ
N/W9063Aアナログ復調測定アプリケーションは、HP 8901A/Bモジュレーション・アナライザ
(すでにサポート期間が終了)の後継として最適です。このアプリケーションは、すべてのXシリー
ズ シグナル・アナライザで動作し、同じ機能を提供します。性能は構成によって異なります。リ
リースA.14の多くの機能により、TIA-603のほぼすべてのTxテストを1台の測定器で実行できます
(付録Cを参照)。
19 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
FAQ
チューニング、ロッキング、トラッキング
N/W9063Aアプリケーションは入力信号に自動的にロックしないので、手動でチューニングする
必要があるというのは本当ですか。
はい。HP 8901は入力RF信号を自動的に探索し、その信号にロックしていました。入力にドリフ
トがあると、HP 8901はそれをトラッキングしていました。これに対して、N/W9063Aは、予測
されるRF周波数にユーザーが手動でチューニングする必要があります。
搬送波周波数がわからない場合はどうすればよいですか。
周波数がまったくわからない場合、スペクトラム・アナライザ(SA)モードを使用して判定できま
す(SAモードはXシリーズ シグナル・アナライザで常に使用可能です)。SAモードの中心周波数を
アナログ復調モードで共有またはインポートすることもできます。このためには、SAモードを開
始し、搬送波を見つけます。搬送波が強い信号なら、[Freq] >> [AutoTune]、または[Marker to
Peak]、[Marker to Center Freq]が使用できます。その後、[Mode Setup]の下で、[Global Center
Freq]を[On]に設定します。その後、N/W9063Aに切り替える([Mode] >> [Analog Demod]を押
す)と、SAで検出した中心周波数が自動的に継承されます。
N/W9063AはDUTのRF周波数に正確にチューニングする必要がありますか。
いいえ。搬送波と側波帯がチャネル帯域幅の内部にあれば、復調解析は動作します。ほとんどの場
合、アナライザは予期される搬送波周波数にチューニングされ、測定された差は搬送波周波数誤差
と呼ばれます。FMの場合、この周波数誤差はいくつかの指標にデフォルトで含まれています。
搬送波周波数誤差の影響を受けるFM指標は何ですか。
FMは周波数変調なので、一定の周波数誤差(DUTの非変調搬送波周波数とN/W9063Aの中心周波
数の差)は一定のDC周波数オフセットです。この誤差には以下の性質があります。
– Peak+、Peak-、RMS偏移ディテクターに加算されます((Pk-Pk)/2は影響を受けません)。
– AFスペクトラムの0 Hz
(左端)に応答を生じます。
– SINAD、S/N比、歪み比の雑音項(N)に加算され、これらの指標の悪化につながります。
この誤差を除去したい場合、任意のHPFまたはBPFを適用してDC項をブロックするか、自動搬送
波周波数をオンにします(A.14および−AFPが必要)。もちろん、この場合も搬送波周波数誤差指
標にはこの誤差が正しく表示されます。
使用している発振器はフリーラン型でドリフトします。N/W9063Aは低速で変化するドリフトを
トラッキングできますか。
N/W9063Aは、測定サイクルのたびに、あるタイムインターバルのデータを収集して解析します。
自動搬送波周波数がオンになっていると、収集インターバル中の平均周波数誤差がFM測定から減
算されます。この補正は、収集のたびに更新されます。結果はトラッキングと似たものになりま
す。ただし、ドリフトがチャネル帯域幅の範囲内に収まることを確認し、必要に応じてアベレージ
ングをオフにします。
20 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
異なる結果
N/W9063Aでは、HP 8901Bに比べて常にFM偏移が小さく測定されるようです。原因は何でしょ
うか。
多くのお客様が、HP 8901を「正しさ」の基準と見なしています。しかし、N/W9063Aの仕様は
もっと高性能になる場合もあります(Xシリーズ シグナル・アナライザのモデルによって異なりま
す)。「優れた確度」の項の説明を参照してください。これらの測定器の結果を比較する場合、以下
の点に注意してください。
a) N/W9063Aのチャネル帯域幅を最適に調整します。すなわち、すべての側波帯のエネル
ギーを含むのにちょうど必要な幅にします(HP 8901には同等のコントロールはありませ
ん)。
b) 復調後オーディオフィルター(HPF、LPF、BPF)を同じにします。FMでディエンファシ
スを使用している場合、ディエンファシスフィルターを同じに設定し、HP 8901のPREDISPLAYをオンにします。
c) 入力波形に雑音が含まれるか、測定対象の雑音スパイクが存在する場合、アベレージング
をオフにするか、N/W9063のMax Hold指標を読み取ります。[Average]列と異なり、こ
れらの指標は復調後雑音の短時間のバーストを反映します。
d) FMの場合、搬送波周波数誤差(搬送波がN/W9063Aの同調周波数と正確に一致しない)が
Peak+およびPeak-ディテクターに加算されるかどうかを確認します。HP 8901はRF入力
にロックしますが、N9063Aはロックしません。この項を除去するには、以下の手順を実
行します。
-- 新しい「自動搬送波周波数」機能をオンにします。これは平均搬送波周波数誤差を減算
します(PMに対しても同様の機能が存在します)。リリースA.14.xxまたはそれ以降が必
要です。
-- Peak+およびPeak-指標の代わりに(Pk-Pk)/2指標を使用します。この指標では、搬送
波周波数誤差は打ち消されます。
-- 任意のHPFを適用します。これにより、復調後のFMオーディオのDC項は大幅に減衰さ
れます。ただし、HPFを使用するとBPFは使用できなくなります。
N/W9063Aのほうが確度が高いことがどうすればわかりますか。テストに十分な性能を持つ信号
発生器はありますか。
信号発生器のFM偏移仕様は、N/W9063Aの確度を直接テストするにはおそらく十分ではないで
しょう。その代わりに、ベッセルヌル法を使用して、既知の信頼できるFM偏移を持つRF信号を独
立に作成することができます。この方法は、高品質のFMを備えた信号発生器が必要ですが、信号
発生器の仕様には依存しません。参考資料を参照してください。
N/W9063Aの高性能の理由は何ですか。
FM偏移確度に関しては、N/W9063AはHP 8901に比べて以下の3つの利点があります。
a) 復調が完全にデジタルであり、デジタルIFでサンプリングされたIQデータに対してデジタ
ル信号処理(DSP)が用いられます。これに対して、HP 8901では復調と変位の検出にアナ
ログ回路が用いられていたので、条件の変化によってドリフトや変動が生じていました。
b) IF帯域幅がユーザー調整可能(チャネル帯域幅コントロールを使用)であり、比較的狭い帯
域幅(狭帯域FMの場合は15 ∼ 30 kHz程度)に設定できます。このため、IF信号の雑音を減
らし、復調器への入力のS/N比を高めることができます。これに対して、HP 8901では復
調前のIF帯域幅に2つの選択肢しかありません。約2.3 MHzまたは約200 kHzです。これに
より、過大な雑音が通過する可能性があります。
c) デジタルアベレージングがデフォルトでオンになっていて、2つのレイヤで適用されます。
1つめのレイヤでは、復調波形の複数のピークを1回の収集で検出し、Peak+およびPeak指標にアベレージングします。このアベレージングは、[Avg/Hold]の値が1の場合でも適
用されます。アベレージングの2つめのレイヤは、連続する複数の収集に対して動作しま
す。このため、N/W9063AはHP 8901よりも雑音の影響を受けにくく、通常、ピーク指標
がわずかに小さくなります(さらに安定します)。
21 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
2つの異なるオーディオトーンで同時に信号が変調されています。N/W9063Aでこれを正しく測定
できないのはなぜですか。
デフォルトでは、N/W9063Aは1つの周期的な変調トーンが存在すると仮定しています。アルゴリ
ズムとアベレージング機能はこのケースに最適化されています。一方、マルチトーンのケース(高
調波関係がない場合)では、[Meas Setup] >> [Modulation Rate Periodic]を[No]に設定します。
また、アベレージングがオンの場合、最大値ホールドの値がこのケースではHP 8901の結果に近
くなる傾向があります。N/W9063AのRMSディテクターは真のRMSを示すのに対し、他の測定器
はそうではない場合もあります。さらに、AFスペクトラムにはすべてのトーンが表示され、それ
ぞれによる偏移を示すことができます。それぞれに対してマーカーを使用し、マーカーテーブルを
有効にすることもできます。
ハムおよびノイズ結果がHP 8901よりも小さくなります。なぜでしょうか。
ハムおよびノイズは、残留/雑音測定に分類されます。測定値は、DUTからの雑音と、測定器か
らの雑音が組み合わさったものです。同じDUTに対して比較測定を行ったときに、N/W9063Aの
測定値のほうが小さい(優れている)のであれば、DUTの実際の性能がHP 8901の雑音によって隠
されていたことになります。N/W9063Aの結果は、HP 8901の結果と正確に一致するとはいえま
せん。小さい結果が出る方がよいのです(逆のことが言える場合もあります。モデルごとのLO位相
雑音、残留FM、ハムおよびノイズ、ACPの変動については、表Q1と他の場所のコメントを参照し
てください)。
MXA Xシリーズ シグナル・アナライザとN9063AによるFMハムおよびノイズの測定値は、
700/800 MHzバンドではHP 8901と同程度ですが、VHFバンドではそれより悪くなります。
その理由は何ですか。
HP 8901A/BとXシリーズ シグナル・アナライザは、どちらも局部発振器(LO)でドライブされるミ
キサーを使用して、RF入力信号をIF周波数に変換します。測定器のLOの位相雑音は、ミキサー内
で入力信号の位相雑音と結合されます。測定される雑音は両方の信号源の組み合わせであり、分離
できません。内部で発生する雑音によって、有意な測定フロアが制限されます。
HP 8901A/Bの位相雑音は明示的に仕様化されていないので、Xシリーズ シグナル・アナライザと
の直接の比較は、残留FM仕様に基づいてしか行えません。さらに、HP 8901A/Bの残留FMは入力
周波数に応じて変動します。
残留FM
(50 Hz ∼ 3 kHz帯域幅)
<8 Hz RMS
(1300 MHz)、<1 Hz RMS
(100 MHz以下)まで周波数に対して
直線的に減少
これは、一次発振器の範囲が320 ∼ 650 MHzで、RF入力信号とミキシングされる前に2nで乗算
または除算されることにより、1.5 MHzのIFを発生するからです。乗数/除数によって、位相雑音
は2倍/2分の1ごとに6 dBだけ増加/減少します。したがって、RF周波数が低いほど、測定器の残
留FMも小さくなります。Xシリーズ シグナル・アナライザの場合、位相雑音は周波数によって変
化しません(入力<3.6 GHzの場合)が、モデル/構成によっては変動します。これは、各モデル/
構成でLOデザインがまったく異なるためです。
測定器のLO位相雑音は、FM無線機にとって重要ないくつかのテスト(残留FM、FMハムおよび
ノイズフロア、ACP)のフロア(測定可能な最小値)を決める主要な要因の1つです。表Q1に、HP
8901とXシリーズ シグナル・アナライザの各モデル/構成の比較を示します。
22 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
表Q1. LOの位相雑音に関連する主な仕様
Xシリーズ シグナル・アナライザ1
HP 8901A/B
1 GHz以下
135 MHz (VHF)
750 MHz
−
−
約2 Hz RMS
約6 Hz RMS
Txハムおよびノイズ(dB)
HPF=50 Hz
LPF=3000 Hz
ディエンファシス=750 μs
基準=3 kHz偏移
−79 dB
(公称値)
−79 dB
(公称値)
PXA:
MXA EP2:
MXA:
EXA EP3:
EXA:
CXA:
−93 dB
(公称値)
−82 dB
(公称値)
−72 dB
(公称値)
−72 dB
(公称値)
−69 dB
(公称値)
−72 dB
(公称値)
ACPダイナミックレンジ(dB)
測定帯域幅=14 kHz
90 dB 2
90 dB 2
PXA:
MXA EP2:
MXA:
EXA EP2:
EXA:
CXA:
87 dB(推定値)3
71 dB(推定値)
61 dB(推定値)
61 dB(推定値)
57 dB(推定値)
57 dB(推定値)
位相雑音(dBc/Hz SSB)
1 GHz、10 kHzオフセット、20 ∼ 30 ℃
残留FM(Hz RMS)
HPF=50 Hz
LPF=3000 Hz
チャネル帯域幅=15 kHz
1.
2.
3.
PXA:
MXA EP2:
MXA:
EXA EP3:
EXA:
CXA:
−129 dBc/Hz
−113
−103
−103
−99
−99
PXA:
1.2 Hz RMS(公称値0.1)
MXA EP2: 1.7 Hz RMS(公称値0.2)
MXA:
4.2 Hz RMS(公称値0.4)
EXA EP3: (公称値2 Hz RMS)
EXA:
(公称値2 Hz RMS)
CXA:
(公称値1 Hz RMS)
EP2とEP3は、MXAとEXAでのLO位相雑音改善を示します。これらは2013年8月よりMXA/EXAモデルに標準装備されています。これらのコードは[System] >>
[Show] >> [System]テーブルに表示されますが、新規購入の場合にオーダーの必要はなく、この変更以前に出荷された機器をアップグレードする方法はありません。
HP 8901のACP測定には、12.5または25 kHzの帯域幅で設計されたオプションの隣接チャネルフィルターが使用されていました。750 MHzの場合、公表された仕様
を満たすには、HP 8901の内蔵LOの代わりに、超低位相雑音の外部信号源を使用する必要があります。
ACP測定は、N/W9063Aアプリケーション内部ではなく、SAモードで実行されます。ここに示すXシリーズ シグナル・アナライザのACPダイナミックレンジは推定
値であり、次の式から計算されています:{位相雑音(1 GHz搬送波、10 kHzオフセット)}+42 dB。この推定値は、ACPオフセットが10 kHz前後の場合に当てはまり、
位相雑音が測定帯域幅内でフラットであると仮定しています。係数42 dBは10 log (14 kHz)から求めた値で、14 kHzとはTIA-603あるいはその他の規格で規定されて
いる測定帯域幅です。他の測定帯域幅の値に対しても、同様の推定を行うことができます。これらの推定値は保証された仕様ではありません。付録Dを参照してくだ
さい。
23 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
オーディオ解析、HP 8903、SINADまたはTHD、変調出力
N/W9063AとHP 8903オーディオ・アナライザを組み合わせて使用するにはどうすればよいです
か。変調出力コネクタはありますか。
HP 8901A/BはHP 8903Aオーディオ・アナライザと組み合わせて使用されることが多くありまし
た。HP 8903Aはオーディオ信号源の役割を果たし、変調出力(フロントパネルBNC)に対するTx
復調後オーディオ解析を実行します。N/W9063Aには、復調後オーディオ解析機能が内蔵されて
いますその機能としては、復調後オーディオ振幅、オーディオ周波数、オーディオ歪み(SINAD、
THD(高調波)、または歪み/合計比)、オーディオ・スペクトラムがあり、さまざまなオーディオ
フィルターを備えています。したがって、解析対象の信号がRF
(Txアンテナ出力からの信号)の場
合、復調後アナライザは内蔵されています。ただし、他の場合には真のオーディオ・アナライザが
必要になることもあります。以下の用途にはU8903Aをお勧めします。
– Txのマイク入力をドライブするオーディオ信号源
– Rxテスト用にRF信号発生器の変調入力をドライブするオーディオ信号源(内蔵変調信号源を
使用しない場合)
– Rxテスト時のスピーカ出力からのオーディオ信号のオーディオ解析(RFから始まるのではな
くオーディオ周波数の信号の場合)
S/N比の測定にはHP 8903(またはU8903A)が必要なのではありませんか。
HP 8903A/Bには、HP 8901と組み合わせて使用するSIG/NOISE機能がありました。オーディオ
信号源のトーンがオンとオフに切り替わり、信号がTxに通されて、2つの状態のオーディオ出力パ
ワーの比がTxのS/N比として表示されます。
N/W9063Aの内蔵オーディオ・アナライザは信号源の状態の変化に同期できませんが、代わりの
方法として以下があります。
a) SINAD結果を代わりに使用します。実際には多くの場合に結果は近い値になります。
b) SNR結果を使用します。これはリビジョンA.14の機能で、このモードをエミュレートするこ
とが目的です。これは、ノッチフィルターを使用して信号を除去しますが、分母の高調波も
無視されます(高調波はマイクロ入力トーンがオフのときには存在しないため)。
c) オーディオ信号源を手動で制御し、RMS比機能を使用して、信号の偏移と雑音を(別々に)
測定してその比を計算します。
アナログ出力の使用は可能ですが、お勧めできません。ユーザーはこの方法が自身の用途に適する
かどうかを評価して検証する必要があります。付録Bを参照してください。
24 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
テスト仕様で特殊なCCITT重み付きフィルターの使用が要求されています。そのためには真のオー
ディオ・アナライザが必要なのではないですか。
N/W9063Aオーディオ・アナライザには、HP 8901、8902、8903、8920で提供されていたすべ
てのオーディオフィルターが装備されています。表Q2を参照してください。
表Q2. オーディオフィルターのリスト
HPF
LPF
BPF6
ディエンファシス1、2
オフ
オフ
オフ
20 Hz
50 Hz
300 Hz
400 Hz 1、2
300 Hz 3
3 kHz 3
15 kHz 3
30 kHz
80 kHz
300 kHz
>20 kHzベッセル 1、4
CCITT
A特性 1、7
C特性 1
Cメッセージ評価雑音 1
CCIR-1k 1、8、9
CCIR-2k 1、10
CCIR重みなし 1、9、11
オフ
25 μs(6366 Hz)
50 μs(3183 Hz)
75 μs(2122 Hz)
750 μs(212 Hz)
手動 1、5
1.
2.
3.
4.
A.14の新機能。ライセンス−AFPが必要です。
CTCSSおよびCDCSSトーンと、50/60 Hzのハムを減衰するために使用します。
フィルターは以前は3極デザインでしたが、HP 8901のエミュレーションを改善するためにリビジョンA.14
で5極デザインに変更されました。
ベッセルフィルターは群遅延が最もフラットなので、CDCSS、FSKなどの方形波変調の場合に、高調波系
列の遅延歪み(オーバーシュート、リンギング)を避けるために適しています。
高レートFM用にユーザー設定可能
BPFをオンにすると、HPFとLPFはすべてオフになります。
以前はFMステレオ専用でしたが、リビジョンA.14からAM、FM、ΦMで使用可能になりました。
ITU-R 468-2またはDIN 45 405とも呼ばれます。
一部のCCIRフィルターは、準尖頭値検出(QPD)を用いるように指定されています。N/W9063Aのフィルター
は真のQPD応答を示しませんが、代表的な信号条件で正確な結果が出るように補正されています。
10. ITU 468平均値応答型計器(ARM)、またはDolbyフィルターとも呼ばれます。
11. ITU-R 468重みなしとも呼ばれます。
12. FM復調のディエンファシスのみ。μsの時定数で記述されていますが、記載されたコーナー周波数を持つ1
極LPFと等価です。
5.
6.
7.
8.
9.
TIA-603では、テストレシーバーの出力を、オシロスコープ、カウンタ、およびその他の測定器へ
の入力として使用していました。だから復調出力は必要なのではないですか。
ほとんどの場合は必要ありません。N/W9063Aでは、復調波形トレース、すなわちFM偏移対時間
が内部的に表示されます。これはオシロスコープよりも便利です。垂直軸が偏移に比例した何らか
の電圧ではなく、偏移のHzまたはkHzで直接読み取れるからです。垂直軸と水平(時間)軸は必要
に応じて調整でき、マーカーを使用することもできます。さらに、必要な場合は指標ウィンドウに
トーン周波数も表示できます。これに加えて、いくつかのTIA-603測定では、PTT
(プッシュツー
トーク)ボタンが押されるか放された時点の過渡信号を観察する必要があります。N/W9063Aアプ
リケーションには、新しいアタック/リリース時間ビューがあります。これにより、テストレシー
バー、オシロスコープ、水晶ディテクターなどからなる複雑なセットアップを、1台の測定器で
置き換えることができます(「FM無線トランスミッタに対する一般的測定の実行」のセクションの
「アタックおよびトランジェント動作」を参照)。
AFスペクトラムの高い周波数の部分に急激なステップや低下が見られます。このような低レベル
のトレースは実際にはありえません。何が原因でしょうか。
AFスペクトラムは、復調後のオーディオのFFTです。最大周波数はサンプリングレートによって制
限されます。サンプリングレートは、RFスペクトラムに連動したコントロールによって設定され
ます。具体的には以下のようになります。
FreqMaxAFSpectrum = (1/2) * max [チャネル帯域幅, RFスパン]
AFスペクトラムはこのポイントより下で有効です。この最大値を大きくするには、チャネル帯域
幅またはRFスパンを増やします。さらに、AF Stop Freq
([Freq]キーの下)を小さくすることで、
AFスペクトラムの有効範囲だけを表示することができます。なお、復調後フィルター(LPFやディ
エンファシスなど)は、高い周波数の雑音を減少させます(ただし、ロールオフは緩やかです)。
25 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
HP 8902、8903、8920
N9063AはHP 8902Aの後継にもなりますか。
HP 8902A測定レシーバーは、主に信号発生器の校正に用いられてきました。これは、HP 8901A/
BのAM/FM/PM測定と、パワーセンサ/メータの絶対パワー確度、および同調RFレベル(TRFL)機
能によるきわめて低いレベルまでの正確なパワー測定を兼ね備えていました。これらすべてを実現
するためのHP 8902の後継製品としては、Keysight N5531Sマイクロ波測定レシーバー (MMR)を
お勧めします。
ただし、N/W9063Aは、HP 8902のパワーメータとTRFL測定を除く変調測定(AM/FM/PM)は実
行できます。PXAで動作するN9063Aの復調仕様は非常に優れていますが、現時点ではハード仕様
の上限は3.6 GHzです。
N/W9063AはHP 8903の後継になりますか。
RF入力の復調後のオーディオ品質を解析する用途では、オーディオ・アナライザが内蔵されてい
るので後継になります。ただし、N/W9063AにはRxテストに必要なオーディオ入力の解析機能が
なく、オーディオ信号源は備わっていません。オーディオ解析に関するFAQを参照してください。
N/W9063AはHP 8920A/Bの後継として使用できますか。
HP 8920A/Bは、フルアナログ型のトランシーバテスタであり、22種類の測定器を1台に統合する
ものとして宣伝されていました。N/W9063Aは、Txテスト用のすべてのRFアナライザ機能と、Tx
用のAFアナライザ機能の大半(オーディオフィルターとSINAD/歪みを含む)に加えて、スペクトラ
ム・アナライザおよび復調後オシロスコープ表示を備えています。ただし、N/W9063Aには以下
のような機能が備わっていません。
– デュプレックス「RF IN/OUT」ポート、60 ∼ 100 Wのハイパワー処理
– RFジェネレーター
– マイク入力などからのAFアナライザへのオーディオ入力(復調後RF入力のみ)
– オーディオ発生器
– SSB変調
– スケルチ
– シグナリングエンコーダ/デコーダ(トーン、DTMF、CDCSSなど)
– スクリプト機能
したがって、N/W9063Aは部分的な後継にしかなりません。
仕様、校正、トレーサビリティ
N/W9063Aには保証される仕様やハード仕様がありますか。
2014年4月現在、3.6 GHzまでのXシリーズPXAまたはMXAシグナル・アナライザで動作する
N9063Aには、保証された仕様があります。詳細については、具体的なXシリーズ シグナル・アナ
ライザ・モデル(PXAなど)の仕様ガイドを参照してください。
仕様はトレーサブルですか。
はい。保証された仕様は、NISTおよびその他の国家規格にトレーサブルです。
N/W9063AソリューションにはFM用の内蔵キャリブレータがありますか。
HP 8901には革新的な内蔵キャリブレータが備わっていて、精密な既知のAMまたはFM信号を供
給することにより、復調測定をオフセットすることができました。N/W9063Aにはこのようなア
ナログキャリブレータは不要であり、(Xシリーズ シグナル・アナライザのモデルに応じて)より正
確な偏移測定が可能です。
26 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
システム、コード互換性
N/W9063Aはシステム内の置き換えに使用できますか。
さまざまなHPシステムが、HP 8901、8903、および信号発生器(HP 8656など)に基づいて構築さ
れてきました。HP 8953トランシーバ・テスト・セットがその1つの例です。N/W9063Aを組み込
んだXシリーズ シグナル・アナライザは、Tx側の機能的置き換えとして最適です。HP 8903の置
き換えにはKeysight U8903Aが使用でき、最新の信号源はRxをテストすることができます。
HP 8954Aトランシーバインタフェースは、単一接続でのトランシーバテストに必要な、オーディ
オルーティング、RFスイッチング/結合、プッシュツートーク(PTT)シグナリングを実現していま
した。キーサイトには直接の後継となる製品はありませんが、必要に応じて注文生産は可能です。
多くのお客様は独自にインタフェースを構築しています。オーディオ・アナライザが内蔵されてい
るため、Txテスト用のオーディオルーティング機能はかなりシンプルになります。
N/W9063Aのドロップイン・プログラミング・コードはHP 8901と互換性がありますか。
いいえ。すべての機能はプログラマブルですが、最新のSCPI規則に従っています。『Keysight
N/W9063A User/Programmer Guide』を参照するか、内蔵ヘルプ機能を使用してください。
DUTのレシーバー(Rx)側をテストするにはどうすればよいですか。
このアプリケーションノートでは、Rxテストについては説明していません。テストによっては、1
台または2台のRF信号発生器(RxへのRF入力の発生用と、干渉源)と、オーディオ・アナライザ(Rx
オーディオ出力の検証用)が必要です。Tx側と同様、アナログFMの狭帯域のチャネルには、位相
雑音がきわめて小さい測定器が必要です。構成の例を以下に示します。
Keysight N5181B MXG信号発生器
– オプション503、周波数レンジ100 kHz ∼ 3 GHz
– オプションUNT、AM、FM、位相雑音
– オプション303、内蔵ファンクションジェネレーター
– オプションUNXまたはUNY、位相雑音性能の向上
27 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
付録
付録A: Xシリーズ シグナル・アナライザおよび
N/W9063Aアプリケーションのブロック図
アナログ復調のブロック図
デジタルIF
RF
IF
RT復調
H
アナログ出力
スピーカ/イヤフォン
IQ
キャプチャ
バッチ
復調
RAM
ディスプレイ
復調(ソフトウェア、バッチ)
RFスパン
シングルIQレコード
(バッチ)
CPU
FFT
RF
アベレー
ジング
補間
RFスペクトラム
搬送波パワー
デシメー
ション
フィルター
チャネル
帯域幅
復調
AF
フィルター
アベレー
ジング
検出
AM
FM
fM
LPF
HPF
BPF
Peak+ Peak(Pk-Pk)/2
RMS
ディエンファシス
補間
Peak+、Peak(Pk-Pk)/2、RMS
搬送波周波数誤差
変調周波数
アベレー
ジング
FFT
AF
ノッチ
SINAD
歪み
復調波形
現在、平均、最大、最小
アベレー
ジング
ピーク
補間
アベレー
ジング
AFスペクトラム
SINAD、
歪み/合計、
THD
図12. Xシリーズ シグナル・アナライザおよびN/W9063Aアナログ復調測定アプリケーションの簡素化した
ブロック図。
アナライザ・ハードウェアは、通常のスペクトラム・アナライザ・フロントエンドです。入力信号
はミキサーを通じてアップ/ダウンコンバートされ、途中でローパスおよびバンドパスフィルター
に通されます。最終的なIF
(アナログ)はサンプリングされて、デジタルIF(DIF)でデジタルIQペア
(データ)に変換されます。データは収集中にキャプチャメモリ(RAM)に記録され、CPUに読み取
られて処理されます。これらのバッチ収集は、通常は短時間で繰り返し行われます。ただし、必要
に応じて、長時間の捕捉を使用したり、トリガを使用して特定の時点で収集を開始したりすること
もできます。IQサンプリングレートと捕捉時間は以下のように設定されます。
実際のサンプリングレート=1/(1.25×情報帯域幅)=1/(1.25×max [RFスパン, チャネル帯域幅])
実際の収集時間=max [2.0/(RF RBW), 2.0/(AF RBW), 2.2×復調波形掃引時間, 復調時間]
N/W9063Aの主要な解析アルゴリズムはCPUでデジタル的に実行され、結果が表示されます。デ
ジタル法の使用には、さまざまな利点があります。例えば、過去の測定器に使用されていたアナロ
グロガーに比べて、対数忠実度誤差がきわめて小さくなります。RMS検出は常に真のRMSであり、
強い信号にもノイズに似た弱い信号にも対応できます。工場校正データや、温度ドリフト、コン
ポーネントの許容値、フラットネス、雑音などを補正する内蔵ランタイム調整ルーチンにより、確
度も向上しています。
上記に加えて、DIFにはリアルタイム(連続)AM/FM/PM復調器が備わっています。付録Bを参照し
てください。
28 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
付録B:アナログ出力
Xシリーズ シグナル・アナライザには、FPGAベースのリアルタイム(連続)デジタルAM/FM/ Φ M
復調器と、スピーカ/イヤホンジャックをドライブするための復元DACが備わっているため、復
調したオーディオを再生することができます。信号は、リアパネルの多目的アナログ出力BNCコ
ネクタにもルーティングされます。デフォルトでは、N/W9063Aの実行中は、FPGA復調器は有効
であり、スピーカがオフであってもアナログ出力にルーティングされます。
信号はHP 8901の変調出力に似ていますが、Xシリーズ シグナル・アナライザのアナログ出力は
指標品質の出力としては設計されていません。また、アナログ出力の信号処理経路はN/W9063A
のメインのアルゴリズムとまったく異なるため、アナログ出力の機能と忠実度はN/W9063Aの結
果と一致しない場合があります。
ソフトウェアリビジョンA.14の時点では、この復調器出力の品質は大幅に改善されています。ス
ケーリングがより安定し、ほとんどのFMでクリッピングとグリッチがなくなっています(AMと
ΦMに関してもリビジョンA.14.5で同様に改善されました)。
キーサイトでは、N/W9063Aの内蔵オーディオ解析機能(波形オシロスコープ、AFスペクトラム・
アナライザ、歪み/SINADメータ)の使用をお勧めしています。この出力を特別な用途に使用する
場合、アプリケーションに適合するかどうかを慎重に検討し、以下を考慮する必要があります。
– アナログ出力の歪み、フラットネス、およびその他のパラメータは仕様化されていません。
– スケーリング利得(例、V/f Dev)およびDCオフセットはHP 8901と同じではなく、Xシリーズ
シグナル・アナライザのモデルとオプション構成に応じて異なります。
– フィルタリング(HPF、LPF、BPF)とディエンファシスはきわめて限定されていて、アプリ
ケーションのフィルター設定を大まかに近似するだけです。
– 搬送波の復元と位相ランプトラッキングはアプリケーションと異なっています。
– その他の問題が存在するか発生する可能性があり、当社ではすべての問題には対応できません。
29 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
付録C:TIA-603に関する注意事項
さまざまな組織が発行する規格文書に、無線機の性能が定義されています。その目的は、(a)無線
機間の相互運用性の確保、(b)干渉の防止とスペクトラム割り当てへの適合の保証にあります。こ
れらの規格は時間とともに変化し、地域によっても異なる可能性があります。
TIA-603はアナログFM無線機の一般的な基準です。テスト手順は1980年代に利用可能だった測定
器に基づいて作成されていますが、この規格はテスト機器の選択の指針の役割を果たし、使用する
テスト機器の選択は製造者に任されていると述べています。
表C1に、TIA-603-DでTxテスト用に規定されている測定器と、Xシリーズ シグナル・アナライザ
およびN/W9063Aを代わりに使用する場合の注意事項を記します。
表C1.
TIA-603で推奨されている
テスト機器(Tx用)
Xシリーズ シグナル・アナライザおよび
N/W9063Aで代替可能か
RFパワーメータ
場合によっては可能。N/W9063Aは搬送波パワーを非常に
高い確度で測定できますが、パワーメータとの適合性を仕
様で確認する必要があります。
RFカウンタ
おそらく可能。搬送波周波数確度はほとんどの場合に十分
です。
テストレシーバー
可能。FM偏移を、Peak+、Peak-、(Pk-Pk)/2、RMS検出で測
定します。
RFディテクターおよび
可能。N/W9063Aにはアタック/リリース時間ビューがあ
り、何種類かの測定器の代わりとなります。
ストレージオシロスコープ
(2.2.4搬送波アタック用)
RFディテクターおよび
可能。内蔵AM復調器を使用します。
オシロスコープ
(2.2.9 AMハムおよびノイズ用)
歪みメータ(オーディオ)
(SINAD、歪み%、THD%、
またはSNR)
スペクトラム・アナライザ
隣接チャネル漏洩電力(ACP)
アナライザまたは測定レシーバー
(2.2.14 ACPR用)
可能。復調後オーディオ品質解析機能が内蔵されています
(これはTxからのRF信号に対して動作します。N/W9063Aは
Rxからのオーディオ出力を解析できません)。
可能。側波帯スペクトラム、エミッション、ACPなどを測
定できます。
可能。SAモードと積分チャネル法で、内蔵RBWフィルター
を使用します。特殊なチャネルフィルターは必要としませ
んが、優れたLO位相雑音性能が必要です。付録Dを参照し
てください。
可能。復調後オーディオのFFTスペクトラムを含みます。
オーディオ・スペクトラム・
アナライザまたはオーディオ周波数
/レベルメータ
モジュレーション・ドメイン・
アナライザ(2.2.19過渡信号用)
可能。アタック/リリース時間ビュー。
30 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
表C2およびC3に、TIA-603-DのTxテスト用の個々の手順と、Xシリーズ シグナル・アナライザお
よびN/W9063Aの機能に関する注意事項を記載します。表C3は、可聴域より下のCTCSSおよび
CDCSSトーンを追加した場合に当てはまります。
表C2. TIA-603。Tx測定方法(可聴域より下のシグナリングを除く)
概要
Xシリーズ シグナル・アナライザまたは
N/W9063A、またはその両方の適合性
2.2.1
伝導搬送波出力パワー 負荷に伝達されるRFパワーを測定します。手順ではパワーメータを使用
定格
します。
パワーメータの代わりにシグナル・アナライザ
を使用できます。仕様を参照してください。
2.2.2
搬送波周波数安定度
理想値に対する搬送波周波数誤差(ppm)。時間的安定度は考慮せず、単に
理想値に対する確度だけです。
可能。搬送波周波数誤差仕様はほとんどの場合
に十分です。
2.2.3
変調制限
FM偏移を、300 ∼ 3000 Hzオーディオに関して動的(大きいオーディオ入
力ステップで)および定常状態で測定し、+iveおよび-iveピークFM偏移を
求めます。
可能。Peak+およびPeak-ディテクターを最大値
ホールドで使用します。動的信号の捕捉にトリ
ガが必要な場合があります。
2.2.4
搬送波アタック時間
PTTボタンでトリガし、最大パワーの50 %に達するまでの時間を測定し
ます。
可能。1台の測定器で実行できます。アタック/
リリース時間ビューを使用します。
2.2.5
オーディオ感度
定格FM偏移の60 %を達成するのに必要な入力レベルを調べます。
可能。FM偏移を測定します。
2.2.6
オーディオ周波数応答 方法1:1 kHzトーンと定格FM偏移の20 %を基準として、同じ偏移を達成 可能。FM偏移を測定します。ただし、オーディ
するのに必要なオーディオレベルを300 ∼ 3000 Hzの範囲のオーディオで オ信号源が別に必要です。
測定します。
方法2:1 kHzトーンと定格FM偏移の20 %を基準として、300 ∼ 3000 Hzの
オーディオを一定振幅で掃引し、FM偏移を測定します。どちらの場合も
結果は対数比の20倍です。
2.2.7
オーディオ歪み
1 kHzトーンと定格FM偏移の40 %で歪みを測定します。
2.2.8
FMハムおよび
フル定格FM偏移を基準に、オーディオ入力がない状態で残留FM偏移を測 可能。RMS比機能を使用し、基準偏移を測定す
定します。
るか手動で入力します。
2.2.9
AMハムおよび
非変調RF搬送波のエンベロープを測定します。定格TxパワーでのRF出力
からのピーク検出Vdcを基準として、残留AM(Vac成分)を測定します。結
果は対数比の20倍です。
可能。N/W9063Aを使用しますが、Meas = AMを
選択し、RMSディテクターで変調経路を測定し
て、10進数に変換し、20 log {1/m}を計算します。
マイク入力への指定されたオーディオ結合を使用して、定格FM偏移の
可能。FM偏移を測定します。
ノイズ比
ノイズ比
2.2.10 音響マイクロフォン
感度
2.2.11 側波帯スペクトラム
60 %を達成するのに必要なオーディオレベルを調べます。
可能。オーディオ・アナライザが内蔵されてい
ます。
SAを使用し、RBWを100または300 Hzにします。オーディオなしで0 dB
可能。SAモードを使用します。
基準を設定します。定格FM偏移の50 %に必要なレベルより16 dB上で
2500 Hzオーディオを印加し(リミット付き)、適切なマスク形状に対して
スペクトラムをチェックします。
2.2.12 不要エミッション:
EMCに似た測定で、SAへのアンテナ入力を使用します。
可能。SAモードを使用します。
2.2.13 不要エミッション:
定格FM偏移の50 %に必要なレベルより16 dB上で2500 Hzオーディオを印
加します(リミット付き)。搬送波をノッチフィルターに通し、適切なマ
スク形状に対してスペクトラムをチェックします。
可能。SAモードを使用します。
2.2.14 不要エミッション:
ACP比
2トーンオーディオ入力(650 Hzと2200 Hz)を印加し、レベルをハイに設
可能。SAモードで内蔵ACP測定またはバンド・
パワー・マーカーを使用します。付録Dに基づ
いて帯域幅を調整します。
放射スプリアス
伝導スプリアス
定します。下と上の隣接チャネル漏洩電力を測定します。チャネル間隔
は12.5、20、25、または30 kHzです。比を計算します。
2.2.15 オーディオ・
オーディオを3 kHzより上の領域で掃引し、1 kHzを基準として、TxのLPF
ローパス・フィルター 周波数を求めます。
応答
2.2.16 相互変調減衰
RF干渉源を、方向性結合器経由でTx出力にドライブし、IMDを測定し
2.2.17 放射パワー出力
標準アンテナを使用した無線パワー測定。
2.2.18 VSWRへのトランス
ミッタ安定度
2.2.19 トランジェント
周波数動作
ます。
反射率が高い可変負荷をドライブしながらTxスプリアスを測定します
(ロードプル)。
可能。SAモードを使用してIMDを測定します。
可能。SAモードを使用します。
可能。SAモードを使用します。
RF搬送波の周波数の時間変化を測定し、Txのターンオン時(t1、t2)とター 可能。アタック/リリース時間ビューを使用し、
ンオフ時(t2)の遷移中に制限内に収まることを確認します。オーディオ
PTT信号でトリガします。
入力は使用しません。
注記:
1.
2.
可能。オーディオ入力周波数を変化させてFM偏
移を測定します。
2.1.1から2.1.22までのRx測定方法についてはここでは説明していません。
2.3.1から2.3.9までのユニット特性の測定方法は、RF指向テストではありません。
31 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
表C3. TIA-603。可聴域より下のシグナリングに対する測定方法
概要
Xシリーズ シグナル・アナライザまたは
N/W9063A、またはその両方の適合性
2.4.10 Tx変調制限
オーディオ入力がオーバードライブされたときのFM偏移を測定します。
オーディオ入力の突然のステップ増加による動的応答を含みます。低周
波CTCSSトーンを含む総偏移を測定します。
可能。FM偏移を測定します。最大値ホールドを
使用し、CTCSSトーンを含めるために収集時間
を十分長くします。ステップを捕捉するために
トリガまたは繰り返しが必要な場合があります。
2.4.11 エンコーダ応答時間
PTTイベントからCTCSSまたはCDCSSトーンの出現までの時間を測定し
可能。アタック/リリース時間ビューを使用し、
PTT信号でトリガします。
2.4.12 CTCSSエンコーダ
1つのCTCSSトーンのみの周波数を測定します。
可能。CTCSSトーンが最も強いオーディオであ
れば、変調周波数はそれを示します。
2.4.13 CTCSSトーン歪み
CTCSSトーンのみの歪み(高調波)を測定します。
可能。CTCSSトーンが最も強いオーディオであ
れば、THD指標はその歪みを示します。
2.4.14 Tx SINAD
可聴域より下のトーンと1 kHzテストトーンの両方が存在する状態で
SINADを測定します。
可能。シグナリング・ノッチ・フィルターを使
用して、1 kHzトーンのSINADの前にCTCSSトー
ンを除去します。
2.4.15 CDCSS波形歪み
CDCSSを可聴域より下のトーンにエンコードするスクエアトップFSKのド 可能。復調波形でマーカーを使用してドループ
ループを測定します。
の影響を調べます。
2.4.16 Tx FMハムおよび
可聴域より下のトーンと1 kHzテストトーンの両方が存在する状態で残留
ノイズを測定します。
可能。シグナリング・ノッチ・フィルターを使
用して、残留ノイズ測定の前にCTCSSトーンを
除去します。
2.4.17 Tx可聴域下偏移
可聴域より下のトーンのみによるFM偏移。
可能。CTCSSトーンのみでFM偏移を測定します。
周波数
ノイズ
ます。
2.4.18 Txスケルチテール除去 PTTを放してからCTCSSリバースバーストまたはCDCSSターンオフコード
バースト
までの時間遅延を測定します。
注記:
1.
2.4.1から2.4.9までのRxテストについてはここでは説明していません。
可能。アタック/リリース時間ビューを使用し、
PTT信号でトリガして、FM波形を観察します。
32 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
付録D:ACPの測定
隣接チャネル漏洩電力(ACPまたはACPR)は、目的のチャネルに隣接するチャネルにあるトランス
ミッタからの不要なエネルギーを測定するものです。無線コンプライアンス規格では、搬送波から
のさまざまなオフセット周波数での、特定の帯域幅内の、目的のチャネルのパワーに対する最大許
容ACPをX dBと定めています。仕様は、バンド、チャネル間隔、デバイスのタイプによって異な
ります。
ACPの測定に使用する測定器は、周波数選択度が非常に高いことが必要です。すなわち、測定器自
体による目的のチャネルから隣接チャネルへのリーケージが小さくないと、測定に意味がありませ
ん。このためには、優れた選択度(阻止帯域のロールオフが急峻)を持つフィルターと、優れた位相
雑音、および十分に低いノイズフロア(DANL)が必要です。
TIA-603、ETSI EN 300、およびその他の規格では、ACP測定の2つの方法が使用できます。
1) 指定された選択度特性(マスク)を満たす固定IFフィルターを備えたACP測定レシーバーと、
パワー測定デバイスを使用する方法
2) スペクトラム・アナライザで狭帯域RBWフィルター(チャネル間隔よりはるかに狭い帯域
幅を持つもの)を使用して、これらのRBWサブバンドでパワーを積分することにより、隣
接チャネルの全パワーを求める方法
HP 8901では方法(1)が使用されていましたが、Keysight Xシリーズ シグナル・アナライザでは(2)
が使用されています。
Xシリーズ シグナル・アナライザでは、ACP測定はSAモードで(N/W9063Aアナログ復調アプリ
ケーションではなく)以下のいずれかの機能を使用します。
a) SAモードで[Meas] >> [ACP]を押し、オフセットとチャネル幅のセットを入力します。こ
の測定のセットアップには時間がかかりますが、多数のオフセットを一度に測定できます。
終了後、測定状態を保存して後で呼び出すことができます。
b) SAモードでマーカー機能を代わりに使用します。バンドマーカーとインターバルマーカー
のデルタペアによって、ACPと同じ結果が得られます。セットアップはこのほうがはるか
に簡単ですが、一度に1つのオフセットしか測定できないため、随時測定する場合に適し
ています。
ACPの測定には2種類のオプションがあり、(a)にも(b)にも適用できます。
i.
ACP測定に使用するRBWフィルターをユーザーが選択します。狭帯域FM無線機の場合、
フィルターの急峻な選択度仕様に合わせるために、RBWフィルターをきわめて狭く設定
する必要があります。いくつかの規格文書では、方法(2)に使用するRBWが規定されてい
ます。例えば、100 Hzあるいは測定帯域幅の2 %未満などです。ただし、キーサイトの調
査では、Xシリーズ シグナル・アナライザのフィルター形状を前提とした場合、RBWを
1.0 kHzあるいは1.3 kHzにしても選択度要件が満たされ、掃引がはるかに高速になります。
もちろん、必要に応じて100 HzのRBWを使用することもできます。一部の規格では掃引
または掃引モード測定が明示的に規定されていますが、最新のSAの場合は、あえてこの掃
引モードを使用する必要はありません。
ii. スペクトラム・アナライザは、ある範囲の周波数でパワーを積分することにより、測定帯
域幅を満たします。この範囲はACPチャネル幅と呼ばれ、ACP測定の際に入力するパラ
メータの1つです。規格文書では、使用する測定帯域幅が定義されています。ただし、ほ
とんどの規格
(TIA-603、ETSI 300など)では、帯域幅を−6 dB帯域幅(レシーバー測定で
一般的)で定義しているのに対し、スペクトラム・アナライザの帯域幅は−3 dB帯域幅に
基づいています。このため、この違いを考慮して測定帯域幅を少し狭く調整するために、
以下の単純な補正係数が使用されます。
MeasBwAdj=MeasBwNom−(0.536×RBW)
33 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
ここで、MeasBwNomは規格で定義されているチャネル幅、RBWは(i)に示されている実際に使用
するRBWフィルター設定、MeasBwAdjはACP測定をセットアップするための調整済みチャネル
帯域幅です。RBWが1.0または1.3 kHzで、測定帯域幅が狭い場合、違いはかなり大きくなります
(10 %前後)。表D1を参照してください。(ii)に記述されている補正は、狭帯域のRBWフィルター
(100 Hzなど)を使用する場合には無視できます。
表D1. 測定帯域幅調整の影響
バンド
チャネル間隔
(kHz)
測定帯域幅
(公称値)(kHz)
測定帯域幅
(RBW=1.3 kHzに
合わせて調整)
注記
(kHz)
700 MHzを
除くすべて
700 MHz
>25.0
16
15.256
20.0
14
13.256
15.0
12.5
8.5
7.756
9 %の変化
12.5または25
6.25
5.506
12 %の変化
25.00
24.256
100.00
99.256
30
29.256
キーサイトでは、上記のACP測定方法と、Xシリーズ シグナル・アナライザのRBWフィルターの
選択度が、TIA-603、ETSI EN 300、およびその他の同等のACP規格に適合することを保証します。
ACPのダイナミックレンジは、最終的に測定器LOの位相雑音によって制限される可能性がありま
す。これは、(1) ACP測定レシーバーと(2)スペクトラム・アナライザの両方に当てはまります。規
格では位相雑音は規定されていません。ただし、測定器が「自己雑音の測定結果への影響が無視で
き、低雑音非変調トランスミッタの隣接チャネル漏洩電力の測定値が、発振器の搬送波を基準とし
て、チャネル間隔が20 kHz、25 kHz、30 kHzの場合に≦−90 dB、チャネル間隔が12.5 kHzの場
合に≦−80 dBとなるように設計されていること」を要求しています[TIA-603-D, 1.5.8より]。言
い換えれば、測定器の性能は、テスト方法により記述されます。この方法では、隣接チャネルの雑
音が無視できることが知られている(低位相雑音)トランスミッタ(信号発生器)を使用することによ
り、測定器(スペクトラム・アナライザ)のACPダイナミック・レンジをテストしています。SAの
位相雑音を検証するには、Keysight PSGとオプションUNYの組み合わせ(変調は不要)を使用しま
す。ACP測定をセットアップし、信号発生器を目的のチャネルの中央にチューニングし、隣接チャ
ネルを測定します。
同様のテストで、1.0または1.3 kHz RBWによる選択度が(100 Hz RBWに比べて)十分かどうかを
検証できます。
もちろん、SA位相雑音仕様からACPのダイナミックレンジを推定するほうがはるかに簡単です。
100 MHz ∼ 1 GHzの範囲で、チャネル間隔に等しいオフセットの搬送波の位相雑音仕様(dBc/
Hz)を求めます。その後、10*log(測定帯域幅)(dB)を加算して、周波数で積分します。この計算で
は、位相雑音が当該オフセット付近でおおむねフラットであることを仮定しています(例:PXAの
1 GHz搬送波、10 kHzオフセット付近の位相雑音の公称値は約−133 dBc/Hzです。ここでは位
相雑音はオフセットに対してフラットです。10*log(8500 Hz)は39.3 dBです。−133に加算して、
推定ACPダイナミックレンジは93.7 dBとなります)。その他の例については表Q1を参照してくだ
さい。
34 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
付録E:N/W9063AソフトウェアアップデートA.14でのソフトウェア機能拡張
A.14より前の履歴については、 www.keysight.co.jp/find/xseries_software を参照してください。
(
)
– アタック/リリースビューが追加されました。これは、RF搬送波パワーと復調後FM波形のラ
ンプの時間変化を、上部と下部に表示するものです。これは、TxアタックおよびTxリリース
測定や、信号源設定/スイッチング/ステッピング応答に使用できます。波形の水平分解能
が高いため、エンコーダ応答やスケルチテール除去バーストを表示できます。AMおよびPM
では使用できません。ユーザー指定ファイルからのリミットラインのインポートをサポート
します(合否判定テストは未サポート)。
– AFスペクトラムのマーカーテーブルが追加されました。これにより、マルチトーンオーディ
オ(CTCSS、DTMF等)、オーディオフラットネス応答、指令破壊遠隔測定などの解析を短時
間で容易に実行できます。
– 多くの復調後オーディオフィルターが追加されました。これにより、N/W9063Aは、HP
8901A/B、8903A、8920A/Bのすべてのフィルターのスーパーセットを提供します。既存の
オーディオフィルターの一部は、これらのHP製品との一致性を高めるために変更(極の数)さ
れました。すべてのフィルターはデジタルです。
– SINAD/ハムおよびノイズ測定で可聴域より下のCTCSSまたはCDCSSトーンを除去するため
のシグナリング・ノッチ・フィルターが追加されました。
– RMS比の基準値をキーパッドからユーザー入力できるようになりました(従来、基準値は測定
によって確立することしかできませんでした)。
– 帯域幅が測定器の能力の上限、すなわちオプション構成に応じて10、25、40、80、160 MHz
まで拡張されました(従来と異なり、8 MHzには制限されません)。ユーザー定義LPFが追加さ
れました。これにより、FM復調雑音を任意のカットオフ周波数で帯域幅制限できます。
– 自動帯域幅およびスケール機能が改善され、フィルターがリセットされることがなくなりま
した。
– 単位の選択肢が追加されました。RFパワーはWまたはdBm、AFスペクトラムはリニアまたは
対数単位(FMの場合はdBHzなど)、ΦMはラジアンまたは度、歪みは%またはdBです。
– 長時間の復調後波形(最大3.6 Mサンプル)をSCPIクエリでエクスポートし、ファイルに保
存できるようになりました。FMの場合のみ、アタック/リリース時間ビューを使用します。
エクスポート配列に対するデシメーションや切り捨てがなくなりました(表示トレースに対
して)。
– SINAD帯域幅制御が追加されました。
– 自動搬送波周波数および自動搬送波位相が追加され、一定の周波数または位相オフセットを
省略できるようになりました。
– オーディオSNR
(S/N比)指標が追加されました。これはHP 8903オーディオ・アナライザの
信号/雑音機能をエミュレートします。
– アナログ出力信号が改善されました(安定度が向上し、収集ごとの不連続性が解消されまし
た)。FM出力のユーザースケーリングが追加されました。8 MHz帯域幅に制限されます。
– いくつかのXシリーズ シグナル・アナライザ・モデルの保証(ハード)仕様が改訂されました
(詳細については個々のモデルの仕様ガイドを参照してください)
。いくつかのケースで公称
仕様の更新や追加が行われました。
35 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
参考資料と追加情報
– N9063A アナログ復調測定アプリケーション Technical Overview、カタログ番号5989-
6535JAJP
– PXA/MXA/EXA/CXA仕様ガイド(該当するモデル用のもの)。N/W9063Aアナログ復調測定ア
プリケーションに関する章を参照。
– Application Note 150 スペクトラム解析の基礎、カタログ番号5952-0292JAJP
– Application Note 150-1 Spectrum Analysis: Amplitude and Frequency Modulation、
カタログ番号5954-9130
– 技術論文Make Adjacent-Channel Power Measurements、Joe Gorin著、Microwaves &
RF、1992年5月
– 技術論文Using The Bessel Null Method To Verify FM Deviation Measurements by Dave
Engelder、RF Globalnet、2014年5月1日
36 | Keysight | N/W9063A アナログ復調測定アプリケーションによるHP 8901モジュレーション・アナライザの置き換え - Application Note
myKeysight
www.keysight.co.jp/find/mykeysight
ご使用製品の管理に必要な情報を即座に手に入れることができます。
www.lxistandard.org
LXIは、ウェブへのアクセスを可能にするイーサネットベースのテストシステム
用インタフェースです。Keysightは、LXIコンソーシアムの設立メンバーです。
www.keysight.com/go/quality
Keysight Electronic Measurement Group
DEKRA Certified ISO 9001:2008
Quality Management System
契約販売店
www.keysight.co.jp/find/channelpartners
キーサイト契約販売店からもご購入頂けます。
お気軽にお問い合わせください。
www.keysight.co.jp/find/N9063A
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www.keysight.co.jp
© Keysight Technologies, 2015
Published in Japan, June 22, 2015
5991-4913JAJP
0000-00DEP
www.keysight.co.jp
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