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インド:ECB ポリシーの変更
平成 27 年(2015 年)12 月 7 日 BTMU Global Business Insight 臨時増刊号 AREA Report 416 インド:ECB ポリシーの変更 インド中銀は、ECB(対外商業借入)ポリシーの変更を発表しました。対象業種、平均借入期 間等が変更されています。 インド中銀は、2015 年 11 月 30 日付の通達(RBI/2015-16/255、A.P.(DIR Series)Circular No.32)にて、ECB(External Commercial Borrowing、対外商業借入)ポリシーの変更を発表し た。対象業種、平均借入期間などが変更されている。 今後、Official Gazette(官報)での発表後に発効する。なお、一部例外を除き、本ポリシーが 発効前に契約締結済みかつ LRN(Loan Registration Number)取得を条件に、2016 年 3 月 31 日 までは既存の ECB ポリシーに基づいて ECB の実行が可能である。今回のポリシー変更の主な内 容は以下の通り。 【変更後の ECB ポリシー(概要) 】 ECB 種別 金額: 平均借入 期間 借入人 (対象業 種) 外貨建 中期(平均借入期間 3 年 長期(平均借入期間 10 年 以上、5 年以上) 以上) 平均借入期間 10 年以上 USD50 百万相当以下: 金額による区分なし 3 年以上 USD50 百万相当超: 5 年以上 (従来それぞれ USD20 百万相当) ※1 に加えて以下 ・製造業 ・インド政府の指定する ・ソフトウェア開発 リストに基づくインフラ ・海運、航空会社 セクター ・SEZ(特別経済区)内 ・持ち株会社 企業 ・CIC(コアインベストメ (以上、※1) ントカンパニー) ・ REIT 、 INVIT ( イ ン フ ラストラクチャーインベ ストメントトラスト) 1 ルピー建(INR 建) 中期(平均借入期間 3 年 以上、5 年以上) USD50 百万相当以下: 3 年以上 USD50 百万相当超: 5 年以上 ( 従来そ れぞれ USD20 百万相当) 左記に加えて以下 ・ノンバンク ・マイクロファイナンス ・非営利法人 ・マイクロファイナンス に従事する非営利法人 (NGO) ・サービス業(R&D、研 修(教育機関を除 く)、インフラ関連サ ポート、物流サービス ・SEZ/NMIZ(インド国 立投資・製造業集積地 区)デベロッパー ECB 種別 貸付人 上限金利 外貨建 中期(平均借入期間 3 年 長期(平均借入期間 10 年 以上、5 年以上) 以上) ※3 のすべて。 ・外国銀行 ・外国キャピタルマーケ ・但し、インド銀行の海 外支店、子会社を除く ット ・政府系金融機関(外国 政府の保有するもの、 IFC、ADB 等国際金融 機関) ・地域金融機関 ・輸出金融業者 ・設備輸出者 ・外国株主(※2) ・海外長期投資家(認定 金融機関、年金基金、 保険会社、国債、イン ド国内にある国際金融 サービスセンター内の 金融機関) ・インド銀行の海外支 店、子会社(但し、イ ンド国内の貸出規制に 準拠) (以上、※3) ・参照金利+500bps ・平均借入期間 3~5 年:6MLIBOR+300bps ・平均借入期間 5 年超: 6MLIBOR+450bps ・延滞利息:上記金利 +2.00%以下 ・固定金利の場合、 SWAP コストをベース とする 2 ルピー建 中期(平均借入期間 3 年 以上、5 年以上) ※3 のすべて。 ・但し、インド銀行の海 外支店、子会社を除く (ノンバンク、ノンバン ク系のマイクロファイナ ンス、非営利団体、 NGO の場合、条件付で 海外機関、個人からの調 達可能) ・市場実勢による ECB 種別 資金使途 外貨建 ルピー建 中期(平均借入期間 3 年 長期(平均借入期間 10 年 中期(平均借入期間 3 年 以上、5 年以上) 以上) 以上、5 年以上) 以下を除くすべてに適用 ・設備輸入(関連するサ 以下を除くすべてに適用 ・不動産業 ービス料、技術料、ラ ・不動産業 ・キャピタルマーケット イセンス料含む) ・キャピタルマーケット への投資 ・国内設備購入 への投資 ・インド国内企業への出 ・新規プロジェクト ・インド国内企業への出 資 ・既存設備の更新、拡張 資 ・土地購入 ・インド企業の国外への ・転貸(持ち株会社がイ ンフラ事業の SPV に転 JV、独資子会社に向け ノンバンクについては以 貸する場合を除く) た再投資 下に適用 ・インド政府による国営 ・土地購入 ・インフラセクターへの 企業の民営化に対する 貸付 株式購入 ・国内の設備投資(有担 ・既存貿易金融(設備輸 保貸付) 入)に対するリファイ ・国内のリース用設備の ナンス 提供 ・船積み後/輸入後であ るが未決済のもの ・残存期間の短縮を伴わ ない既存 ECB のリファ イナンス ・海運/航空会社におい ては船舶、機体の輸入 に限定 ・外国株主(※2)によ る General Corporate Purpose(運転資金を 含む)の ECB に関して は、平均借入期間 5 年 以上とする (※2)25%以上の直接出資、51%以上の間接出資、親会社が同一の子会社間。 1. 上記以外の注目点 ・年間借入上限額が業種により細分化。インフラ関連企業、製造業の ECB 上限金額は USD750 百 万相当、ソフトウェアは USD200 百万相当、マイクロファイナンスは USD100 百万相当、それ以 外は USD500 百万相当までを上限とする ・ルピー建 ECB の為替レートは、ローン契約日の為替レートを使用する(明文化) ・借入通貨の変更可。ただし、ルピーから外貨への変更は禁止(明文化) ・建値変更(ルピーから外貨を除く)の為替レートについても変更契約時の為替レート未満とす る ・業種別上限額には海外で発行したルピー建社債を除く ・過去対象外であった物流サービス業者が ECB 利用可能 3 ・外貨建長期、ルピー建において、REIT、INVIT の ECB 利用許容 ・SEZ/NMIZ デベロッパーは、ルピー建の場合のみ自動承認ルート適用 ・従来許容されていたホテル、病院については適用除外となった ・LLP(有限責任事業組合)についても適用外(従来どおり) ・中古設備の輸入に関しては承認ルートとする ・海外長期投資家を ECB の対象先に追加 ・外国株主に関する出資比率、直接間接出資等の定義については変更ないが、間接出資企業から の運転資金供与が可能となった ・ルピー建 ECB において、親会社以外の貸出人は、インドの AD 1 銀行(承認取引者カテゴリー1 銀行)からスワップ/市場取引を利用してルピーを調達する ・借入期間を短縮せず、かつ All-in Cost を下げることを条件に、全部/一部リファイナンスを認 める 2. 留意点 ・担保について、ローン契約に担保条項があり、既存の貸出人からの NOC(No Objection Certificate)を受け入れる等の条件に従うことにより動産、不動産、金融資産に設定可能、また、 法人、個人の保証受入も同様 ・ECB における DE 計算(ECB/資本:負債資本比率計算)のための資本には、直近の監査済み決 算書に示された、払込み済み資本金、剰余金(含むシェアプレミアム)を使用 ・複数株主がいる場合の計算において、剰余金額は貸出人の資本金シェアを使用する ・ルピー建の設備購入資金は実行即時に AD 1 銀行のルピー口座に留置する。その場合最大 12 ヶ 月まで定期預金として留置可能(従来は 6 ヶ月) レポート作成: ・ 三菱東京UFJ銀行 国際業務部 北村 広明 [email protected] 情報室 本資料は情報提供を唯一の目的としたものであり、金融商品の売買や投資などの勧誘を目的としたものではありません。本資料 の中に銀行取引や同取引に関連する記載がある場合、弊行がそれらの取引を応諾したこと、またそれらの取引の実行を推奨する ことを意味するものではなく、それらの取引の妥当性や、適法性等について保証するものでもありません。 ・ 本資料の記述は弊行内で作成したものを含め弊行の統一された考えを表明したものではありません。 ・ 本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、その正確性、信頼性、完全性を保証するものではありませ ん。最終判断はご自身で行っていただきますようお願いいたします。本資料に基づく投資決定、経営上の判断、その他全ての行 為によって如何なる損害を受けた場合にも、弊行ならびに原資料提供者は一切の責任を負いません。実際の適用につきましては、 別途、公認会計士、税理士、弁護士にご確認いただきますようお願いいたします。 ・ 本資料の知的財産権は全て原資料提供者または株式会社三菱東京 UFJ 銀行に帰属します。本資料の本文の一部または全部につい て、第三者への開示および、複製、販売、その他如何なる方法においても、第三者への提供を禁じます。 ・ 本資料の内容は予告なく変更される場合があります。 4