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2016年3月11日 3月ECB(欧州中央銀行)理事会
りそな 経済フラッシュ ◎注意事項をよくお読み下さい。 3 月 ECB(欧州中央銀行)理事会 (2016 年 3 月 11 日) りそな銀行 総合資金部 チーフストラテジスト 高梨 彰 • 追加金融緩和決定、預金金利▲0.40%、量的緩和は月 800 億ユーロなど • 期間 4 年の新たな資金供給策も導入 • データ改善まで、ECB への信認には危うさ残る 3 月 10 日に開催された定例理事会にて追加金融緩和を決定。3 つの政策金利を全て引 概要 き下げたほか、資産買入れ規模拡充や新たな長期資金供給策も導入した。 追加金融緩和決定 主要金利は 0.00%、預 金金利▲0.4% ECB は各政策金利を引き下げ、主要リファイナンス金利は 0.00%(従来、以下同じ 0.05%)、中銀預金金利▲0.4%(▲0.30%)、中銀貸出金利 0.25%(0.3%)とした(図表 1)。 資産購入プログラム(量的緩和)について、これまで月間 600 億ユーロ規模での買い入れ 資産購入プログラム、月 規模だったものを月 800 億ユーロへと拡大。また買い入れ対象として新たに非金融機関が 800 億ユーロへと拡大 発行する投資適格債が加えられた。一方、買い入れ期間は 2017 年 3 月末までと据え置き。 期間 4 年の資金供給オ ペ(TLTRO Ⅱ)導入 加 え て 、 新 た な 長 期 資 金 供 給 オ ペ ( TLTRO Ⅱ : Targeted Longer-Term Refinancing Operations)も導入。期間は 4 年。実施は 2016 年 6 月から四半期毎に 2017 年 3 月まで (2017 年 3 月実施の TLTRO の期限は 2021 年 3 月となる)。適用金利は、主要レファレンス 金利(現行 0.00%)となるが、金融機関の融資規模拡大に合わせ、預金金利の水準(▲ 0.40%)まで引き下げられる仕組みとなっている。 経済見通し下方修正、 リスクは「下向き」 ECB 理事会と同時に公表されたスタッフ見通しでは、今後 2 年の GDP 成長率・インフレ 率見通しを下方修正(図表 2)。ドラギ総裁は「リスクは下向きにある」と述べている。 前回の理事会にて追加緩和の可能性は指摘されていたため、今回は緩和の規模が注目 ECB 理事会が米雇用統 されていた。各政策については概ね市場予想を上回る中身だった反面、量的緩和の期間を 計化 変更しなかった点が若干期待外れ。加えて、理事会後の会見にてドラギ総裁が「更なる利下 げが必要とは想定していない」「マイナス金利については様々な見方がある」と追加緩和に 否定的な見方を示したことも、市場に失望感を植え付けることとなり、追加緩和決定後にユ ーロ安・株高・債券高となったものの、会見での発言を受けて全て逆(ユーロ高・株安・債券 安)に動いてしまった。緩和策そのものは金利低下を促すものであり、今回の動きはドラギ総 裁の立場の不安定さと、緩和策が実体経済へと確かに波及するか疑問視すること等によっ て起きた現象と考えられる。不安心理が変動率上昇を呼び、リスク資産価格下落・ユーロ高 へと繋がった形だが、これは米雇用統計後の反応と類似したものである。短期的な相場変動 データ改善まで ECB へ の呼び水となってしまうため、中長期的には効果がある政策を導入しても、その効果が剥落 の信認には危うさ残る しやすい。これは日銀も同様だが、事態の打開にはインフレ率上昇などデータ改善で示すし かなく、それまではどんな政策をもってしても ECB への信認には危うさが残ろう。 図表1: ECB 政策金利の推移 2.0 % ECB主要政策金利 図表2: ECB スタッフ見通し(3 月時点) ECB預金金利 2016年 1.5 実質GDP成長率 1.0 2017年 2018年 +1.0 ∼ +1.8 +0.7 ∼ +2.7 +0.6 ∼ +3.0 12月時点の見通し +1.1 ∼ +2.3 +0.9 ∼ +2.9 0.5 HICP 0.0 -0.5 2010年 -0.2 ∼ +0.4 +0.6 ∼ +2.0 +0.8 ∼ +2.4 12月時点の見通し +0.5 ∼ +1.5 +0.9 ∼ +2.3 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 出所:Bloomberg、りそな銀行 前年比、% 出所:ECB、りそな銀行 お問い合わせは、取引店の担当者までご連絡ください ◎注意事項 *当資料に記載された情報は信頼に足る情報源から得たデータ等に基づいて作成しておりますが、その内容 については明示されていると否とに拘わらず、弊社がその正確性、確実性を保証するものではありませ ん。また、ここに記載された内容が事前の連絡なしに変更されることもあります。 *また、当資料は情報提供を目的としており、金融商品等の売買を勧誘するものではありません。取引時期 などの最終決定はお客さまご自身の判断でなされるようお願い致します。