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気づき
1.愛知県の水害特性
愛知県における水とのたたかいの歴史
日本最大のゼロメートル地帯
かじょう ようすい
じ ば んち ん か
濃尾平野は、地下水の過剰揚水によって広域的な地盤沈下が発生し、
かいばつ
日本最大のゼロメートル地帯となっています。海抜0m 以下の地域は
およ
395km2 *にも及んでいます。地盤沈下は、昭和 30 年代から昭和 50 年頃
まで大きく進行し、愛知県内で最大約 1.5m 沈下しました。近年でもわ
ずかな沈下量が記録されています。
本県は、尾張部の広大な地盤沈下区域を含む低平地が多く、洪水の
らん
想定はん濫区域は県土の約 2 割、その区域に 300 万人以上の人々が住
み、40 兆円を超える資産があります。
*ゼロメートル地帯面積:
平成 24 年度全国の地盤沈下地域の概況(環境省 水・大気環境局)
じしん
つなみ
宝永 4 年地震~津波被害~
しんげん
1707(宝永 4)年 10 月 28 日の地震は、東海・東南海・南海沖を震源
とする、地震の規模を示すマグニチュード 8.6 の地震で、死者 5,000
人以上を出しました。渥美半島では午後 2 時過ぎに大津波があり、村々
くず
の漁具は流出し、山は崩れ、谷は埋まり、多くの人が亡くなりました。
か し ょ
被災地は 34箇所に及び、5 ㎞四方の海中に島ができたともいわれてい
ます。
▲濃尾平野の累積地盤沈下図と海水面以下(ゼロメートル地帯)の地域
伊勢湾台風~高潮被害~
1959(昭和 34)年 9 月 26 日、東海地方
を中心にして 5,000 人を超える死者・行方
不明者を出しました。
しゅんかん
この台風は、最大 瞬 間 風速 45.7m/s
(名古屋地方気象台、午後 9 時 25 分)を
記録し、名古屋港において、観測史上最高
となる T.P.3.89mの高潮が発生しました。
高潮被害は、伊勢湾から三河湾沿岸部の
こうはんい
広範囲に及びました。
※T.P.:東京湾平均海面
▲伊勢湾台風による決壊箇所と浸水状況図
参考:伊勢湾台風復旧工事誌 上巻(昭和 38 年 4 月、国土交通省)
伊勢湾台風の体験談
高潮で水は屋根まで迫ってきました。頭の上から波を何度かぶったことか。流木がものすごい勢いで流れていくのも見まし
た。必死に屋根につかまり耐えることしかできません。「助けてくれー」と叫んでいましたが、もちろん誰も来てくれない。流
だ
め
木に当たれば、終わりです。駄目かとも思いましたが、なんとか耐えられました。
逃げるのが少しでも遅かったら、命はなかった。翌朝、周囲を見回せば、多くの家が消えてなくなっていました。うちは建
てて 3 カ月の新築だったのが幸いして、柱と屋根だけ残ったんです。まさかあの堤防が切れ、大量の材木が流れ出すとは想像も
していませんでした。今も時折、記録写真を見ています。50 年の時の流れは早い。若い人には、なかなかあの恐ろしさは伝わ
らないと思いますね。
4
(中日新聞 2009.8 伊勢湾台風-濁流の記憶 50 年)
ごうう
昭和 47 年豪雨災害~土砂災害~
1972(昭和 47)年 7 月の豪雨災害では、特に西三河山間部において
9 日の降り始めから、14 日朝までに 458 ㎜に達する集中豪雨となりま
がけ
した。このため、各地で山崩れ・崖崩れ・河川のはん濫が発生し、こ
まいぼつ
とうかい
れによる埋没・倒壊・流出家屋が続出し、死者行方不明者 68 名、全壊
家屋 271 戸、崩壊土砂量約 200 万m3 の大災害となりました。
昭和 47 年豪雨災害の体験談
・・・
「ゴーゴー ドドドー ドドドー。」という音が続い
ていました。そのうちお父さんが「かどがくずけたぞー。」
といって外を走り回っていました。
やっと夜が明けました。ぼくはかどにとびだしてほうぼう
を見ました。テレビで見た戦争のあとのようなものすごい土
や皮の向けた木や大きな石がごろごろしていて田んぼや道
はなくなっていました。
・・・(当時小学 2 年生)
(「災害の記録 昭和 47・7 豪雨」(昭和 48 年、小原村))
▲豊田市上川口町地内
がいすい
らん
ないすい
らん
昭和 51 年 9 月の水害~外水はん濫・内水はん濫~
1976(昭和 51)年 9 月 8 日~13 日に本土を襲った台風 17 号及び前
線による豪雨の降水量は、連続雨量 644 ㎜という記録的なものとなり
ました。
年間降水量の 1/3 を超える雨量が短期的に集中したため、尾張・海
部地域及び知多半島の中小河川は相次いで堤防の決壊、はん濫、ため
しんすい
池の決壊などが起こり、各地で浸水被害が発生しました。
あんぱち
◆安八豪雨
昭和 51 年 9 月の水害は、同年 9 月 12 日、岐阜県安八郡安八町で
長良川右岸の堤防が 50m にわたって決壊し、約 1,200 世帯に浸水
被害を及ぼしたことから、「安八豪雨」ともいわれます。
む く い
▲目比川合流地点(愛西市)
平成 12 年東海豪雨~外水はん濫・内水はん濫~
2000(平成 12)年 9 月 11 日、名古屋市をはじめとする東海地方は
猛烈な集中豪雨に襲われました。11 日 19 時に時間最大雨量 93 ㎜を記
録、降り始めから 12 日までの総雨量は、年間降水量の 1/3 に及ぶ 567
㎜となりました。
名古屋市及びその周辺の庄内川・新川・天白川・境川では、堤防の
決壊や浸水被害などの都市型水害が発生しました。死者 7 名、床上・
床下浸水 62,478 戸となるなど、伊勢湾台風以来の大きな被害となりま
した。
▲清須市西枇杷島町
東海豪雨の体験談
私の自宅周辺は、川の水があふれることによる浸水被害ではなく、内水はん濫(下水や排水路などから水があふれる現象)に
よる浸水被害を受けました。幸い、自宅の 2 階で避難生活ができ、命を守ることができましたが、嫁いできたときに持参したア
ルバムなど、思い出がたくさんつまった品々が水に浸かったことはとても辛い出来事となりました。水害は、お金では取り戻す
しゅんじ
ことのできない、大切なものを瞬時に奪ってしまうのです。(清須市・70 代・女性)
5
ごうう
がいすい
らん
ないすい
らん
平成 20 年 8 月末豪雨~外水はん濫・内水はん濫~
2008(平成 20)年 8 月 28 日から 31 日にかけて、東海地方・関東地
方を中心に大雨による災害が発生しました。東海地方では愛知県に被
しんすい
害が集中し、死者 2 名、全半壊 6 戸、13,000 戸以上の床上・床下浸水
被害となりました。
えっすい
岡崎市では 1 時間雨量 146.5 ㎜を記録。伊賀川では越水、内水はん
濫による多数の浸水被害が発生し、特に中橋下流では堤外家屋が 5 戸
ぜんかい
全壊しました。記録的な豪雨に加えて雷もひどく、落雷による停電が
多数発生しました。また、幸田町を流れる広田川の堤防が 40mにわた
って決壊しました。
▲伊賀川(岡崎市)
平成 23 年豪雨災害~外水はん濫・内水はん濫~
2011(平成 23)年は、7 月~9 月にかけ、豪雨災害が度々発生しま
した。台風第 6 号は、7 月 20 日、西三河地方に大雨を降らせ、岡崎市
では乙川の堤防から水があふれるなど、23 戸の浸水被害が発生しまし
た。また、8 月 23 日の集中豪雨では、尾張北西部の一宮市や江南市を
中心に住宅 1,399 戸が浸水被害を受けました。さらに、9 月の台風第
15 号では、尾張東部で大雨となり、庄内川の越水及び支川である八田
川下流部での越水など、大きな浸水被害が発生しました。
水害が増えてきているような気が
して心配だな。
▲八田川(春日井市)
じ し ん
[アメダス]1時間降水量50㎜以上の年間観測回数
高まる大雨・地震の危険性
増加傾向にある大雨
大雨は増加傾向にあります。いつ、どこで、記録的
な豪雨が発生するかを予測するのは難しいことです。
激しい雨は、川の水を突然上昇させることがあります。
高まる地震の危険性
大雨以外にも、地震の危険性も高まっています。東
海地震(マグニチュード 8.0)が今後 30 年以内に単独
で発生する確率は 88%と予測されています。東海地震
するがわん
おまえざきおき
あんせい
の震源となる駿河湾から御前崎沖では、1854 年の安政
東海地震以来、大地震が 160 年くらいきていない
くうはくいき
出典:気象庁ホームページ
「空白域」となっています。
南海トラフを震源域とするマグニチュード 9.1 の最
過去の主な地震の発生間隔
大級の地震が起きた場合、最大 32 万 3 千人が死亡する
との想定を、内閣府中央防災会議の有識者会議が平成
24 年 8 月に公表しました。死者数は愛知県で 2 万 3 千
人に上ると想定されています。
最近は、災害の「想定」、「想定外」
ということが言われていますが、現実
の災害が想定通りに来るとは限りませ
ん。大雨にも地震にも注意しておくこ
とが必要です。
6
出典:愛知県防災局ホームページ
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