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[18F]FES (16α-[18F]fluoro-17β-estradiol) <背景> FES は女性ホルモンの一種であるエストラジオールの誘導体であることからエストロゲン受容体に 特異的に結合する。エストロゲンレセプターは乳房、子宮内膜、卵巣に多く存在しており[18F]FES を使用して画像化することによりエストロゲン依存性の疾患である子宮筋腫、子宮体がん、乳がん などの診断の他、ホルモン療法の治療方針の決定に役立つ可能性がある。 <合成> 以下のスキームにより合成する O O S O MOMO OH O 1)[K/K.2.2.2]18F 2)HCl/90%CH3CN 18 F HO [18F]フッ素イオンを含むターゲット水を QMA カートリッジに通じ、[18F]フッ素イオンを吸着させる。 これを炭酸カリウム/K.2.2.2.の 50%アセトニトリル溶液(0.4 mL)で反応容器に溶出し溶媒を留去す る。再度無水アセトニトリル(0.1mL)を加え、共沸留去し完全に乾固させる。反応容器に合成前駆 体である 3-O-methoxymethyl-16, 17-O-sulfuryl-16-epiestriol (2 mg)の無水アセトニトリル溶液(0.5 ml)を加え、100℃で 10 分間加熱し[18F]フッ素化反応を行う。0.4N HCl/90%アセトニトリル溶液(0.3 mL)を加え、100℃で 15 分間加水分解を行う。反応容器を冷却後 7%炭酸水素ナトリウム溶液(0.25 mL)を加え、反応液を中和し、HPLC にて分離精製する。溶出した[18F]FES 画分は、25%アスコル ビン酸注射液 (0.1 mL)と Tween80(75mL)/EtOH(330mL)を入れたフラスコに回収し、溶媒を留去 後、生理食塩水(10 mL)に溶解させ、[18F]FES 注射液とする。 [HPLC 分取条件] カラム:Intersil ODS-2 (10 mm I.D. ×250 mm, GL サイエンス) 溶離液:CH3CN:H2O = 40:60 流速:5 mL /min 検出器:UV(280 nm)、放射能検出器 保持時間:14.6 分 <分析方法> [放射化学的純度] 1 HPLC カラム:Intersil ODS-3 (4.6 mm I.D.×150 mm 3 um, GL サイエンス) 溶離液:CH3CN:H2O=40:60 流速:1 mL/min 検出器:UV(280 nm)、放射能検出器 保持時間:13.5 分 <合成の特徴と評価> 照射終了後から[18F]FES 注射液の回収までに要した時間は 85 分であり放射化学的収率約 30% 程度で目的物を得ることができる。アスコルビン酸を加えることによって放射線分解を防ぐことがで きる。 <動物評価> [18F]FES の動物での評価を行った。マウス(ddY、♀、7 周齢、32 匹)に対して[18F]FES(放射能濃 度:100μCi/0.2mL)を投与した。一定の時間ごとに以下の臓器を取り出し(1.血液 2.心臓 3.肺 4. 肝臓 5.脾臓 6.腎臓 7.小腸 8.卵巣 9.子宮 10.筋肉(大腿部の上) 11.脳 )放射能およ び重量を測定し、分布を算出した。 各臓器の集積は小腸に最も高い集積が見られた。下図に小腸を除いた[18F]FES のマウスにおけ る各臓器の Time-activity curve を示す。小腸以外の臓器としては肝臓に高い集積が見られるが時 間とともに減少する傾向にある。ターゲット組織である卵巣、子宮への集積は投与後から高い数値 を示し 120 分までほぼ平衡状態を示し、120 分後では小腸を除いた臓器の中で最も集積が高い臓 器となった。 [18F]FES の全身分布を小動物 PET で撮像したが膀胱、小腸への高い集積が見られる他は比較 的低い集積であった。また子宮と卵巣は、臓器の体積が小さく、また近傍の小腸の高い集積から 影響のため明瞭に示されることはなかった。 2 Time-Activity Curve (S. Intestine除く) 18 Radioactivity [%Injection dose/g tissue] 16 Blood Heart 14 Lung Liver 12 Spleen 10 Kidney Ovary 8 Uterus 6 Muscle Brain 4 2 0 0 20 40 60 Time [min] 80 100 120 [18F]FES (ddY mouse, female, 8 w.o.) 0-120 min summation image Brain Liver Bladder L R 3