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血 中 薬物 濃度 の 測定

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血 中 薬物 濃度 の 測定
教
育
講
演
血 中 薬 物 濃 度 の 測 定
新潟大学医学部附属病院薬剤部
丹
野
慶
紀
Assay of Plasma Concentrations of Drugs
Keiki
TANNO
De
part
me
nto
fHos
pi
t
alm aT
・
maC
y,N2
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Z
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t
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hoo
lo
fMe
di
c
i
ne
は
じ め
に
1. i
nui
u
oに お け る薬 物 の
体内動態測定法
薬物 の bi
oavai
l
abi
l
i
t
y に及ぼす お もな要因 として
紘,薬物の剤形 と性質 ,製造工程 の条件,薬物の物理化
本法は・薬物に放射性同位元素 または安定 同位元素を
学的性質 ,調剤の条件などの医薬品そのものの品質 と'
標識 して,薬物の坪内動態 または疾病の診断に用 いるも
のである.
患者 自身の消化管分泌液の強弱,消化管内での食物な ど
を含む薬剤の移動速度 ,吸収部位における薬物吸収の強
&・
毒物の化学構造に変化を与えない屯の
1
4
C,阜
H,
l
l
C,l
B
C,1
5
0,1
a
l
I
,1
2
5
Ⅰ
,1
2
3
I
,1
8
N,
どの核種
弱などの生理的条件があげられ る.
さらに上記以外の重要な要因 として, 患者の nonc
0
-
4
C と3
H の標識化合物は , ヒ トに 用 いられ
化合物 ・ 1
mpl
i
anc
e(
服薬不履行)があげ られ る・ その頻度は最
ることは な く, 新医薬 品開発の 前臨床試験な どに おい
0-3
0%程度であ り,最高5
0-6
0% に達すること
低で も2
て'実験動物での薬物の吸収 ,分布,代謝 ,排椎 などの
も希ではない.新潟県下の病院における外来患者 の服薬
ファルマ コキネティクスの実験 に用 いる.1
3
C は安定 同
i
anC
e の比率は約2
3%で,
状況については, noncompl
位播で,その標識薬物は ヒ トに授与 して血液 ,尿 などの
病気が よくなった と判断 し
その理 由は 「のみ忘れた」, 「
試料を質量分析計を用 いて測定する.l
l
C は物理的半減
た」が大部分を占めている1
)
・ すなわち患者の自己判断
期の短い B'放射体で,その標識薬物を患者へ投与 して
に よって服薬が中止 されている.しか し薬物によっては
病巣部 または標的臓器における薬物の動態を体外か ら計
服薬中断に よって疾病の増悪や リバ ウン ド現象が起 こる
5
0,1
3
N は, C1
5
0,1
B
NH3な どの化学形 で疾
測する ・1
ことがある.
病の診断に用 いられ る 1 1
3
1
Ⅰ
,1
2
5
Ⅰ
,1
2
3
Ⅰは,化学構造に
薬物療法の 目的は,品質の優れた医薬品を患者-適用
して, 目的 とする治療効果を有益かつ安全に発揮せ しめ
ることにあるが,フェニ トイ ンの ように個 々の患者に よ
り必ず しも同一の有用性を 示 さない場合や noncompl
i
-
ヨー ドを もつ薬物,た とえば造影剤 ,甲状腺製剤 などの
体内動態を動物で調べ るのに用いる.
b. 毒物の化学株遠に変化を与えるもの
1
3
1
Ⅰ
,1
2
5
Ⅰ
,9
9
mTc,1
13皿I
n,1
8
F などの核種化合物 .こ
anc
e に よって有用性が阻害 され る場合がある. また薬
れ らの核種は,薬物に標識 した場合に元の薬物の化学構
物に よっては ジギタ リス製剤や炭酸 リチ ウムのように治
造 に変化を与えるので,一般には薬物の体内動感を調べ
療有効血中濃度の範 囲が狭 く,用量に細心の注意を必要
る目的では使用 されない.主 として検査 ・診断に利用 さ
とするものもある・
3
1
Ⅰと 1
2
5
Ⅰは ラジオイムノア ッセイの標識抗原
れ る. 1
したがって bi
oavai
l
abi
l
i
t
y が問題 となる医薬品の場
1
3
ml
n の化合物は核医学におけるシ
として,的mTc と 1
合は,患者の体液中薬物濃度を測定 しながら,常に有効
ンチ グラフィー用に ,1
8
F は ブ ドウ糖 などに標識 して脳
で安全な畳の薬剤を授与する必要がある.
の病態を調べ る目的で用 いられ る.
1
7
8
新潟医学会雑誌
第1
00巻
第 4号
昭和 61
年 4月
2. i
nu
l
t
r
oでの体液中薬物
濃度測定法
本法にはガス クロマ トグラフィ-などを用いる物理的
:
字
書
≡ ≡
I
.
抗
棟 誠 抗 原 (珊 馳 薬 物 )
体
-一
二
抗原(
紙 料 中 の 薬物 )
方法 とエ ンザイ ムイムノア ッセイなどによる免疫学的方
、
巳
法がある.
&. 物理的方法
\
遊離 の 標 相
搬 虚 雌 の博
4) ma
s
schr
omat
ogr
aphy
5) hi
h perf
g
ormancel
i
qui
d chr
omat
ogr
叩 hy
●
l
:
a.
ミ
講悪
霊 遊離の抗原
じ̀
1
) gaschr
omat
ogr
aphy(
GC)
2) GC mas
ss
pect
r
omet
ry
3) ma
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1二
璽ヨ
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j
園 [
:
璽∃十E
-
原
吉
払
拭
塀
L
E
諾
警
護
原
'
抗
体
(
抗 原 ・抗体 総 合物 )
を宝 丘 す る
を.
A
l
J
宝 Lて抗 原 (拭 料 中 の 薬物 )
・
=f
図 1 ラジオムノア ッセイの原理
(
HPLC)
6〕 at
omi
c叩eCt
r
Ophot
omet
ry
病院で臨床 に 利用 され るおもな方法は, GC,HPLC
の適当な 方法で 分離
お よび原子吸光分析である・
(
B/
F分離) して測定 しなければ
ならないが,EI
A などに比べて1
0倍以上の感度を有 し,
b. 免疫学的方法
抗原 ・抗体反応を利用 して,生体 中に微量に存在す る
か レモ ソ等の物質を測定できるようになったのは約2
5
年
前か らで. 最初に これを 実現 したのは, 医師 Ber
S
On
と女性核物理学著の Yal
l
ow である. 2人は Ia
l
Iで標
lI識 したイ ソス .
)ソの体内動態を調べている過程で , la
イ ンス リンと結合す るものがイ ンス リンに対する抗体で
あることを証明 し, さらに 抗体をめ ぐって
紘,遊離の標識抗原 と抗原 ・抗体結合物 を遠心分離な ど
131Ⅰ
-イ ソス
生体内ホルモ ンなどの定量には必要不可欠の測定法であ
る.
2) 非放射免疫測定法
RIA の有用性が高 まるとともに, その最大の欠点 で
ある放射性物質の取 り扱い上の問題を解決すべ く,非放
射免疫測定法が開発利用 され るに至 った .これは放射性
同位元素の代わ りに酵素,ス ピソ,蛍光物質などを標識
リソとイ ンス リンが競合するとい う事実を発見 して,血
物質に使 う方法 と抗原 ・抗体反応を直接みる方法 とに大
n vi
t
roで測定す るラジオイムノ
液中のイ ソス .
).
/を f
別され る.
ア ッセイ (RI
A)法を 1
95
9年に開発 した2
)
・ 以来, 免
z
L
) エ ンザイム イム ノ7 1
・
/セイ (
EI
A)
疫学的方法によるホルモンをは じめ とする生体微量成分
homogeneo耶 emEyme i
mmunoa舶ay 血 中薬物濃
および 薬物 の 測定法が, RI
A を中心に 数多 く開発 さ
度測定に最 も繁用 されている方法で Emi
t
⑧ が知 られて
れ , 現在では 酵素を利用 しエ ンザイム イムノア ッセイ
いる.本法は図 1と同 じ原理 で,抗原の標識に酵素を用
(EI
A)など種 々の方法が 急速に 開発利用 され るに至 っ
い,基質 と共存 させた場合に酵素標識抗原 ・抗体結合物
た.
の酵素活性が消失す るので,遊離の酵素標識抗原の酵素
1〕 ラジオ イム ノ7 ッセイ (RI
A)
活性を測定す ることに よって試料中の抗原 (
薬物)の量
本法は免疫反応の基本的な原理に基づ くものである・
/
F分離の必要はない.
を知 る方法であ り,B
図 1のように試料の抗原 (
血中薬物)に一定量の抗体 と
c
ompet
i
ti
ve bi
ndhg emZ
;
yme i
T
r
L
mt
l
hOAS
姐y 本法
標識抗原を加えることによ り,抗原 ・抗体結合物が生成
紘,抗体 と結合 した酵素標識抗原の量あるいは結合 しな
す るが,この とき抗原 と標識抗原が一・
定量 の抗体 に対 し
かった酵素標識抗原の量を測定することによって試料中
て競合的に結合す る.すなわち抗体 と結合 しなか った遊
/
F分離を 行 った
の抗原 (
薬物)を定量す る方法で, B
離 の標識抗原が多 く存在す る場合は,試料中の抗原 (
莱
のち仁,その酵素活性を吸光度法で定量する.Mar
ki
t
㊦
物)は少な く,遊離の標識抗原が少ない場合は試料中の
が市販 されている.
抗原は 多 くなる. したが って 遊離 の 標識抗原あるいは
B
ubs
tmte・
l
Abel
ed At
1
0reSCenCe i
mmunoz
L畠8
Ay
抗原 ・抗体結合物の放射活性を測定することによ り抗原
(SLFI
A)本法は, 抗原を酵素で標識す るのではな く,
(薬物)の量を 知 ることができる. RI
A 以外の 免疫学
酵素の基質で標識 して,これ と試料中の抗原 〔
薬物) と
的測定法 も原理的にまった く同様である. RI
A の場合
を共通の抗体 に対 して競合的に反応 させる方法である.
1
7
9
丹野 : 血中薬物濃度の測定
基質の ウソべ リフェロン L
S
-D-ガラクシ ドを標識 した抗
お よび 肝疾患患者 1
0
)の血清中には 内因性の ジゴギシソ
原は, それ 自身無蛍光性であるが, 1
3
-ガラク トシダー
様免疫反応物質が存在するとされ ,そのみかけ上の濃度
ゼで水解 され発蛍光性のウソべ 1
)フェロ/を遊離する.
3-1
4nmol
〃 と治療濃度域 に匹敵す るため, この
は 0.
この ものは抗体 と結合 した状態では標識基質は
A または EI
A に よるジゴキ シン
よ うな 患者での RI
酵素氷解を受けない.したが って試料中の抗原 (薬物)
濃度測定では,その有用性が損なわれ る危険がある・現
の量が増す と,結合型の割合は減少 し,道に遊離型が多
在 の ところこの妨害物質の正体は明らかにあれていない
しか レ
くなるので酵素水解 によって蛍光は強 くなる.この原理
が ,Na
nj
iと Gr
e
e
nwayは,蛍光偏光法 f
luor
oe
B
C
e
nC
e
を応用 した ものにエームス TDA⑧ がある.
pol
ar
i
Z
=
a
t
i
o
n'
si
mmunoa
s
s
ay では ジゴギシソ様免疫反
t
I
〕 f
luor
oe
B
C
eT
L
C
e POl
ari
Z
:
a
t
i
on'
良i
mmunoaS
B
Z
L
y
応物質に影響 されない としている10)・
(
FPI
A)
4. 7 ェン トイン (
DPⅡ)の
本法は, 抗原の 標識に酵素や 基質を 用いるのではな
血簾中濃度
く,フルオルエ ッセ ンを抗原に標識する方法である.標
識抗原が抗体 に結合す るとその結合量によって フルオル
DPH の抗てんかん薬 としての治療濃度範 囲は成人の
エ ッセ ンの蛍光偏光値が変 化するので,その蛍光偏光値
血策中で 1
0-2
0j
L
g/ml
,唾液中で 1.
0-2.
2pg/mll
l
)
,
を測定 して試料中の抗原 〔
薬物)を定量する.この シス
小児の血鰹中で 5
-2
0
pg/mll
乞
'と狭 い. 一方個体間に
t
t
-TDX⑧ がある.
テムに Abbo
おけ る DPH の血照中濃度は きわめて大 きな 差が生 じ
C) c
ompe
t
i
t
i
vene
phel
ome
t
ici
r
mmuT
L
OaS
S
ay
本法は抗原抗体反応を直接みる方法である.試料中の
抗原 (薬物) と多価抗原が共通の抗体 に対 して競合的に
結合するが,多価抗原 ・抗体結合物は不溶性沈降物 とな
る・この不溶性微粒子は光散乱を示すので レーザー ・ネ
プロメータを用いてその 散乱光 の 強度を 測定 して 試料
中の抗原 (
薬物)を定量 する. この システム としては
i
-Pi
T⑧ がある.
3) r
adi
or
e
c
e
pt
orz
L
朋ay(
RRA)
抗体の代わ りにホルモンなどの受容体を用いる方法で
やすい18). この原因の 一つ として DPH の物理的性質
と生体側の 要因 との 相互作用が あげ られ る・ すなわち
DPH は水に 難潜で, かつぬれが 悪 いことである・ こ
の ことは 経 口投与に おける DPH の消化管 吸収には,
DPH の粒子径 と賦形剤が 関与す る ことを 意味 してい
る. 一般に DPH は散剤 よ りも 錠剤の方が よく効 くと
いわれ るが,これは錠剤中の賦形剤に よってぬ九が良 く
なって吸収 されやす くなるためである.原未単味の投与
の場合は,ぬれが悪 く消化管内で塊 となって分散を悪 く
して吸収 されに くくなる.粒子径 との関係では, DPH
の原末 (平均粒径 1
9
0
L
L
m) と徴末 (平均粒径 4.
1
F
Z
m)
A が免疫活性物質を測定す るのに対 し,RRA
あるtRI
をてんかん症例に服用 させると,DPH の最高血蝶中濃
は生物活性を対象 とするため,薬物のあらわす薬効の解
度は徴末投与が原末に比べて約 3倍高い値を示す1
4
)
.
・ま
析によ り適切な情報が得 られ る.
-(p-hy
dr
oxyphe
nyl
)
5
・
-phe
nyl
h・
た DPH は体 内で 5
ydant
oi
m(p
-HPPH)に代謝 され る過程が飽和 され るこ
3. ジゴキシンの血濃中濃度
とか ら, 体 内動態の 解析にはお もに消失を Mi
dl
a
el
i
s
-
経 口剤の投与では,一部は 胃か ら吸収 されるが,大部
Me
nt
e
n 速度過程 で 近似 の ト コンパー トメt
/ トモデル
分は 小腸 よ り吸収 され る8
). 錠剤の 吸収速度 と 吸収率
が用いられ る.すなわち,てんかん症例の薬物療法は厳
紘,薬剤 の調製法,薬物の粒子径や結晶形 ,賦形剤や添
密な 臨床観察 とともに, 定期的な 抗てんかん薬 の 血中
加剤によって異な り,製品間で bi
oa
va
i
l
a
bi
l
i
t
y が大 き
l
i
ni
c
al
濃度測定を 必要 とし, 最終的 には 症例 ごとの C
く異なることが知 られている4
)
. ほ とん どの患者で満足
phar
ma
c
o
ki
ne
t
i
c
Sに基づいた 投与方法の検討が必要で
8-2.
0
mg/mlと
すべ き治療効果を得 る血華中濃度は 0.
ある.
されてい が
・ 血中からの 消失は, 一次速度 過程 に従
)
6
時間 即 であ り, 体内動態の 解析
い, その半減期は約3
は 2-コンパー トメン トモデルで表わ し得る.
臨床では 一般に 患者の 血渠中ジゴキシン濃度測定を
古. テオ7 ィ リンの血凍中濃度
テオフィ1
)ンの治療 血渠中濃度 範囲は 5-2
0
F
l
g/ml
である15日 6).2
伽g/ml以上の濃度で悪心 ,頭痛 ,下痢
RI
A または EI
A によって行 っている. しか し腎障害
がみ られ ,さらに高濃度になると畷吐,消化管出血 ,発
患者 7
)
,未熟児 ・満期産児 8
)
,異常血清タンパ ク患者 恥,
作,心不整脈が生 じる・テオフィリンの投与方法 として
1
80
新潟医学会雑誌
第1
00巻 第 4号
和和 61
年 4月
0
(
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0
1
l
5
20h
r
.
5
図 3 各種基剤 を用 いた ア ミノフィ リン坐 剤の
直腸 吸収 (家兎 20mg/kg〕
t
Uu
OU a
u!lJ
tq
d
o
aqL 吋E
a
I
O
(
U
H-1
5 使用時 の血弊中濃度が最 も大 き く,ついで S-5
5,
カカオ脂 , ポ リエチ レン グ リコール (
PEG)の順 にな
る.
S t!ld
さらに ヒ トに おける 連続投与 では , カカオ 脂基剤 の
ア ミノフィ リン坐剤 2
5
0mg を1
2時間 ごとに授与 した場
i
L
g/mlの血華中濃度を示 しプ
令 ,投与 3 日目よ り 5-8
ラ トーに達す る .
また ,油脂性剤 のア ミノフィ リン坐剤 では ,保存期間
5
1
0
1
5
2
0
2
5
3
0
Ti
me (
h
r
)
図 2 健常男子 3名 にア ミノフィ リソ 500mg を
経口 (
錠剤)お よび直腸投与 (カカオ脂坐
剤 ) した ときの血渠中 テオ フィ リン濃度
の影響 を受け ,室温保存 で経 目的に融点 の上昇 ,溶融時
2か月で融点 が
間の著 しい延長 が認 め られ ,調製後 6-1
330 か ら 40-500とな り19)
, 坐剤 の bi
oavai
l
a
bi
l
i
t
yは
著 しく低下す る と考 え られ る.
6. 桂皮デ リバ リー製剤の
は静注 ,経 口,直腸投与 な どがあ り,一般 には テオ フィ
血凍 中濃鹿
リソの約 20倍 の水溶解性を もつ ア ミノフィ リンの形 で使
近年 ,各種 の長時間作用型 の持効性製剤 の開発が進 め
用 され る. この ものは テオ フィ リンと ェチ レソ ジア シ
られ ている・これ らの剤形 は治療有効濃度範 閏に薬物を
ソか ら成 り テオ フィ リンを 8
4-86% 含んでいる. ア ミ
長期間滞留 させ る ことに よって ,薬物 の副作用を軽減 さ
ノフィ リンの 経 口 ・直腸投与 に おけ る bi
oavai
l
abi
l
i
t
y
せ る とともに ,のみ忘れ な どに よる no
nc
ompl
i
a
nC
eを
紘 ,個体 間お よび剤形 の性質 に よ り著 しく異 なる . 園 2
防止 して薬物 を有効かつ安 全に患者 に適用す るための も
は健常男子 3名 に 錠剤 と カカオ脂を 基剤 とした 坐剤 の
のである・ 経 口用 の 浸透圧剤形 20㌧ ブ ドウ糖 セ ンサ ー
0
0mg を 1回投与 した ときの血華 中濃度 であ
それぞれ 5
)
,眼治療 シス テムの ピロカル ビ
付 のイ ンス リンポ ンプ21
る17)・この ときの最高血 中濃度 に到達 す る時間は ,経 口
オキ ュサ ー ト22)お よび 経度治療 システムの 経度性 ス コ
で 2時 間 ,直腸投与 で 3時間である.また最高血 中濃度
ポ ラ ミン製剤 23) な どが あるが, ここでは 最 も利用度 が
は経 口で 9.
9-1
2.
8
pg/ml
,直腸投与 で 8.
2-1
2.
4pg/
高 い と思われ る経 度 デ リバ リー製剤 につ いて述べ る,こ
mlで , 消失半減期は経 口 ・直腸投与 ともに 7-1
0時間
1
5-0.
2mm の貼付粘着剤 で, 薬物貯
の製剤は 厚 さ 0.
である.
蔵層 ,放 出速度制御膜 お よび粘着剤か ら構成 され る多層
また , ア ミノ フィ リン坐剤 の基剤 と血策 中波度 との
構造 になっている .
関係に つ いては , ヒ トあ るいは 動物 の 個体差が 影響 し
図 4は , この シス テムに よる ニ トログ リセ リンとタロ
て明確 で ないが , 図 3に 4種類の 基剤 を 使用 した ア ミ
n vi
vo
ニジ ンの予測 された血華 中濃度 とヒ トにおける i
ノフィ リン坐剤 の 1回投与 後 の 家兎 血渠中 テオ フィ 1
)
実験 データを比較 した ものである24).両者は合理的に一
t
eps
ol
ン浪度 (各群 5例)の例を示す 18). す なわ ち W i
致 し,予測 データは これ らの薬物 の ヒ トの皮膚 での透過
1
81
丹野 : 血中薬物濃度の測定
(
b)
(
l
L
u
J
6U)uo! 書a
a
u
O
3E
届
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2
1
2
3
4
5
6
7
Ti
me(
d
a
y
s
)
Ti
me(
h
)
図 4 経度デ リJI1
)-システムによる (a) ニ トログ リセ リンと (
b) タロニジンの血華中濃度
:実験値
- :理論値 ,
研究において 兄い出された 生物学的 偏差内に 入 ってい
が起 こる薬物にあっては,つねに患者の体液中濃度をモ
る.したが ってニ トログリセ リンでは 1日 1回, タロニ
ニターして適切 な薬物療法を行 うことが望 まれ る・
ジンでは 7日に 1回の貼付で治療有効濃度範囲に維持す
参 考
ることが可能である.
文 献
1
)丹野慶紀,ほか : 医薬品相互作用使用研究 ,7:7
9
7. 薬物の血凍中非括台形
濃度の測定
多 くの果物は血華中で血策 タンパ クと結合 して存在す
(
1
9
83).
2〕入江 寛 : I
s
ot
opene
ws
,No.335,p.1
6,日本ア
1
9
82).
イ ソ トープ協会 (
るが,その結合状態は薬物に よ り異な り,薬物 ごとに一
3)Do
her
t
y,J.
E.
: Ann.I
nt
.Me
d.
,7
9:2
29(1
9
73).
定 の結合率を示す .た とえば血糖降下薬の ダリペ ソタラ
4)l
J
i
ndenhum,J.
,e
tal
.
: Ne
w Engl
.I
.Med.
.
9% のタンパ ク結合率を示すが,病態によ りある
ミドは9
いは併用薬物 によ り,分子型 の非結合形の薬物濃度が高
まると血糖降下作用は増強 され る.このように薬物の作
28
5:1
3
4
4〔1
9
71
)
.
5)A
hl
l
i
s
,a.
I.
,e
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る・しか し結合形 と非結合形 の分離技術に難点があ りあ
ま り普及 していない・分離法 としては平衡透析法,限外
櫨適法,超遠心分離法お よび ゲル波過法があるが,臨床
的には限外涯適法が操作が簡単であ り,所要時間が短か
くて済む ことか ら繁用 されている.
お も
り に
以 上,血 中薬物濃度測定 と医薬品の剤形 ・製造法の相
違 による血華中濃度差について述べたが,特に治療有効
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または服薬を中断することに よって リバ ウン ド現象など
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3)間中信也 ,ほか : 脳 と神経 ,2
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