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広報文化交流部総合計画課勤務を通して
広報文化交流部総合計画課勤務を通して 平成 23 年 7 月 外交実務研修員 森 拓郎 (神奈川県より派遣) 平成 22 年 4 月より、神奈川県庁から外務省に派遣され、広報文化交流部総合計 画課で勤務をしています。本稿では、私が外務省で携わっている「海外広報」と は何かを少しでもご理解いただくために、配属先の総合計画課の業務及び私の担 当業務を紹介させていただきます。 ●総合計画課の業務 近年、インターネット等の情報通信手段の発達や各国における民主制の発展に 伴って、諸外国における「一般国民」が外交政策に与える影響が拡大しています。 そのため、伝統的な外交(「外国政府」への働きかけ・交渉)だけではなく、広く 外国の国民・世論を対象に働きかけて、対日理解を促進して、対日理解を図る「パ ブリック・ディプロマシー(広報文化外交)」が重要となっています。 外務省では、平成16年8月に「広報文化交流部」を発足させ、海外広報と文 化交流を有機的に組み合わせて、パブリック・ディプロマシーを推進しています。 総合計画課は、外交政策を含む日本政府の施策の広報や、政治・経済・社会・文 化といった包括的な日本事情の紹介等の「海外広報」を主として担っている部署 です。また、3月に発生した東日本大震災後は、原発や日本産品等に関する海外 での「風評被害」を防ぐべく、迅速かつ正確な情報発信=「危機管理広報」を省 内関係課及び在外公館と担ってきました。今後は、日本(東北)の復興に向けた 海外広報活動が肝要になってきています。 ●担当業務 私は、課内で地域班に所属しています。地域班では、各自が担当地域を持ち、 在外公館の各種広報活動とその支援、広報環境調査(「対日世論調査」)、招へい• 派遣事業などを行っています。これまで、中東、アフリカ、西欧地域を担当して、 様々な事業に携わらせていただきました。 印象に残っている事業としては、昨年 5 月に担当したケニアのテレビ局(国営 KBC)の取材チーム(ケニア人 3 名)を日本に招いた「外国テレビチーム招待」 です。この事業は、外国のテレビ局の取材チームに対して訪日する機会を与えて、 日本の文化・社会事情・国民生活・政治や経済等、ニュース性を持たない一般的 な日本事情について取材やインタビューを行ってもらい、帰国後に当該国でテレ ビ番組を作成・放映してもらうものです。まずは取材チームが訪日する前に、在 外公館(在ケニア日本国大使館)や日本での取材先をアレンジしてくれる委託業 者と一緒になって、訪日プログラムを作成します。取材期間が約 10 日間と短期間 であるため、初めての海外取材で日本のこともあまり詳しくない取材チームがど うしたら満足してくれるかを考えると、取材先の取捨選択には苦労しました。 取材チームが訪日してからは、1 日取 材に同行し、NHKや、昨年 2 月に横浜 に支店をオープンした「ブラックゴール ドエクスポート・インポート」という ケニアで生産しているバック等を販売 している会社の取材を視察しました。 リポーターのモニカさんは、「ケニアの 国民が何を知りたがっているのか」を常 に取材の軸として積極的な質問を行って おり、様々な日本の生活習慣や文化を知りたいという好奇心が旺盛で、短い日本 滞在を少しでも内容の濃いものにしようという姿勢に好感が持てました。 10 日間の取材を終えて帰国した後、取材チームは合計 150 分の日本特集番組を 作成してくれました。ケニア人の視点からみる日本紹介は、日本人では見過ごし てしまいがちな視点・光景が入っていて、大変興味深いものになっていました。 また、取材チームとは今でもメールのやりとりが続いており、東日本大震災の後 も何度かお見舞いのメールをいただきました。 ●最後に 上記のように、本省では、地方自治体ではなかなか経験できない業務に携わら せていただき、自分の視野が大変広がっていると感じております。来年度からは 在外公館での勤務が予定されていますので、国際的な視野を身につけるとともに、 神奈川県に戻った際には、オールジャパンとして国際的な取り組みに貢献できる よう努力していきたいと考えております。 最後になりましたが、このような研修の機会を与えてくださった外務省、特に 私を温かく支えてくださっている総合計画課の皆様に心から感謝申し上げます。 (了)