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第4章 汚水処理構想の推進
第4章 汚水処理構想の推進 1. 施策体系 現状での課題に対応するため、以下の対策を講じていきます。 (1) 未普及地域の解消 本構想に基づき整備すべき区域が明らかになり、各地域に応じた整備手法により適正な整 備が可能になります。 汚水処理施設の未普及地域においては、本構想を基本に、各種補助制度などの活用を検討 し、早期普及に向けた計画策定を図ります。 集合処理区域における市街地もしくは人口や産業が集中している区域は、生活排水や事業 所排水が公共用水域の汚濁の主な要因であると考えられるため、各戸の汚水を汚水処理施設 へ集めるための管渠(面整備管)の整備を急ぐ必要があります。特に、面整備の進捗が遅れて いる中小規模市町村については重点的に面整備を促進します。 (2) 各種整備手法による効率的な整備促進 市街地に比べ、住居が散在している農山漁村地域は、本構想に基づいて、農・漁業集落排 水事業、特定環境保全公共下水道及び小規模集合排水処理施設整備事業等による効率的な整 備を促進します。 また、集合処理が困難な住居が散在する地域や下水道等の整備が遅れる地域、緊急に公共 用水域の改善が必要な区域については、個別排水施設整備事業や浄化槽市町村整備推進事業 を含めた浄化槽の整備事業を推進します。 このように、本構想の策定により整備手法ごとの分担すべき区域が明らかになり、整合の とれた整備が可能となりますが、事業の実施計画段階においては、県及び各市町村での個別 の調整が必要です。また、汚水処理施設の整備を図るためには、各種補助事業制度の積極的 な運用により、更に効率的な整備が期待されます。 27 (3) 新技術の活用 汚水処理施設整備をより経済的、効率的に推進するために、汚水処理技術に求められてい る今後の開発テーマとしては、以下のものがあります。 良好な水環境の創出のための汚水処理技術 中小市町村に適した汚水処理方式や管渠の効率的な整備に関する技術 汚水処理施設の維持管理の効率化に関する技術 循環型社会形成のための汚水処理の資源、エネルギー、施設の多目的利用に関する技術 汚水処理施設の処理水質向上(高度処理)に関する技術 また、国土交通省では平成 18 年度より、早急かつ効率的に下水道の未普及地域を解消す ることを目的として、「下水道未普及解消クイックプロジェクト」を発足させ、社会実験等 を通し、下水道を広く普及させる技術の開発に取り組んでいます。 今後は、本県における汚水処理の技術的ニーズに適応する新技術情報や研究成果について、 幅広く収集・検討し、積極的な活用を行います。 (4) 維持管理の効率化 汚水処理施設がその機能を十分に発揮するためには、事業の円滑な推進とともに、処理場、 ポンプ場、管渠等の適切な維持管理が不可欠です。 このため、中核処理場を拠点として周辺処理場を遠隔監視するシステムや、巡回方式によ り総合的に管理する方法、地域住民の協力により維持管理を行う方法、さらに、維持管理業 務の委託等により、適切、かつ、効率的な維持管理を進めます。 浄化槽に関しては、個人による維持管理の徹底を図るとともに、浄化槽市町村整備推進事 業等により、自治体による効率的な維持管理を推進していく必要があります。 (5) 汚水処理事業の経営の適正化 汚水処理事業は独立採算が原則であり、適切な経営がなされなければなりません。そのた め、企業会計の導入による経理内容の明確化及び透明性の向上を図るなど、使用料算定のル ールや経営状況等についての情報を県民に対して積極的に公開し、理解と協力を求めるとと もに、経営の効率化として汚水処理料金の適正化や、維持管理の効率化等に努めます。 (6) 県民意識の啓発 汚水処理施設の円滑な整備促進及びその機能を効果的に発揮するためには、県民の理解と 協力が必要不可欠です。そのためには、汚水処理施設のもつ役割とその効果、必要性を県民 にわかりやすく PR する必要があります。 このためには、インターネットや冊子などの広報媒体、教育の場を通じて、今後一層の広 報活動をすすめるとともに、県民からの意見を幅広く聴取し、「県民に見える汚水処理施設 整備」の推進に努めます。 28 2. 国・県・市町村の役割 本構想により定められた各種施策を効率的に推進するため、国、県、市町村及び、県民は、 それぞれ次に示すような役割を果たしていく必要があります。 (1) 国の役割 国においては、汚水処理施設整備をより強力にまた柔軟に推進していくために、補助制度 の拡充や良質な地方債の確保等による財政的支援の拡大と事業採択条件の弾力的な運用を 図っていく必要があります。 また、汚水処理施設整備をより効率的に実施していくため、新技術の開発とその実用化に 向けた研究をさらに推進することが必要です。 (2) 県の役割 県においては、汚水処理構想を実現させるため、各市町村と連携し汚水処理施設の整備を 推進するとともに、本構想に基づいて計画的、効率的な整備が図られるよう市町村に対し適 切な助言を行います。特に普及率の低い市町村については、積極的に助言を行う必要があり ます。 また、広域的な処理、維持管理体制の構築や新技術の導入にあたっても、率先して情報収 集を行い、助言を行う必要があります。 県民に対しては、汚水処理に対する意識の向上を図るため、積極的な PR を行う必要があ ります。 (3) 市町村の役割 市町村においては、本構想と整合のとれた汚水処理施設の整備計画を策定し、それに基づ く着実な事業の推進を図るとともに、執行体制の構築、財源の確保及び維持管理の効率化に 努め、水洗化促進のための補助・融資制度等の充実について検討する必要があります。 また、住民に対しては、汚水処理施設を身近に感じることができるよう、必要な情報を適 切に伝え、また、広く意見を聴取する必要があります。 (4) 県民の役割 県民は、汚水処理施設の機能を最大限に発揮させるため、面整備の推進に合わせたトイレ の水洗化や宅地内排水設備の接続を速やかに行うとともに、処理施設を長く効率的に使用す るため、悪質な汚水を流さないことなどが求められます。 29