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生体内遺伝子発現を画像化するMRI技術(米国)

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生体内遺伝子発現を画像化するMRI技術(米国)
NEDO海外レポート
NO.955, 2005. 5. 18
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海外レポート955号目次 http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/955/
【産業技術】ライフサイエンス
生体内遺伝子発現を画像化する MRI 技術 (米国)
カーネギー・メロン大学の研究者達は、造影剤を自ら作り出すように細胞を「プロ
グラム」することで、未曾有の高解像度で深部組織における遺伝子発現を画像化した。
本研究の成果は、Nature Medicine 誌 4 月号で報告され、新しく注目されてきている
分子治療学分野での前臨床試験の実施と、治療用遺伝子を投与した患者の経過観察に
多大な期待を持てるようになった。
「この 20 年間、MRI 造影を強化する造影剤の開発は化学者の仕事だった」と、カ
ーネギー・メロン大学メロン理学部エリック・アーレン生物科学助教授は言う。「とこ
ろが今では、私達のアプローチによって、この仕事は分子生物学者の手に渡った。容
易に入手できる既存の分子生物学ツールを活用し、遺伝子操作を行って生体細胞に
MRI 画像のコントラストを変化させることができるのである。」
「この新規画像化法はプラットフォーム技術であり、新しい分子治療法と併せるこ
とで、多くの組織タイプと様々な前臨床的用途に適合できる」と、アーレン助教授。
アーレン助教授の新しいアプローチは、磁気共鳴画像診断装置(MRI)を使用して
遺伝子発現をリアルタイムに観察するものである。MRI は高解像度で深部組織を非侵
襲的に画像化するため、実験動物を犠牲にせず、手間もコストもかかる分析を行う必
要もない。
生体細胞が自ら造影剤を作るように、アーレン助教授はタンパク質フェリチンを細
胞に導入した。フェリチンは、通常、鉄を無毒な形で貯蔵するタンパク質である。こ
の金属タンパク質はナノ磁石、すなわち強力な MRI「 レポーター」のように作用する。
典型的な MRI スキャンは、水分子の水素原子が磁場と高周波パルスに曝されると
放出する信号を検知・分析し、画像に変換する。アーレン助教授の新しい MRI レポ
ーターは近接する磁場を変えて水素原子に全く異なる信号を放出させるため、MRI レ
ポーターの存在は画像の中では暗い部分として現れる。
「私達の技術は様々な組織タイプでの遺伝子発現観察に適用できる。この MRI レ
ポーター遺伝子を、癌や関節炎等の治療用遺伝子や研究対象の遺伝子と結合すれば、
遺伝子発現の場所とタイミングを検知することができる」と、アーレン助教授。
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NEDO海外レポート
NO.955, 2005. 5. 18
アーレン助教授は、これまでの遺伝子発現画像化方法には限界があると言う。生体
被験体への使用、体内深部細胞の画像化、画像の鮮明度等が限定される方法もある。
MRI を使用したアプローチは幅広い用途に実用的ではないものもある。
アーレン助教授らは、一般的に研究されているベクター、非増殖型アデノウィルス
を使用し、MRI レポーター遺伝子を運搬するベクターを作製した。このウィルスは素
早く細胞に侵入するが増殖しない。アーレン助教授は MRI レポーター遺伝子を運ぶ
ベクターを生きているマウスの脳に注入し、MRI レポーターの発現を 1 ヶ月以上に渡
り定期的に画像化した。その結果、マウスの脳には MRI レポーターによる明らかな
毒性は見られなかった。
(1) 緑色は鉄分貯蔵タンパク質(MRI
レポーター)をコード化する遺伝子。
(2) MRI レポーター遺伝子をベクタ
ーに組み込む。(3)ベクターを被験体
(生きているマウス)の脳に注入。(4)
被 験 体 を MRI マ グ ネ ッ ト に 置 き 、
MRI レポーターを含んだ脳を高解像
度で画像化する(矢印)。
アーレン助教授は研究の様々な側面について、ピッツバーグ大学のウィリアム・ゴ
イ ン ズ 研 究 専 任 助 教 授 に 助 言 を 求 め た 。 本 研 究 は Pittsburgh Life Sciences
Greenhouse 米国立生体イメージング・生体工学研究所によって研究費が助成された。
アーレン助教授は、カーネギー・メロン大学とピッツバーグ大学が資金支援する共
同事業、ピッツバーグ生医学研究 NMR センターのメンバーである。同研究センター
は 1986 年に設立され、1988 年以来米国立衛生研究所からの継続的な資金提供を受け、
動物の分子・細胞機能画像化の前進に専念している。
以上
翻訳:御原 幸子
(出典:http://www.cmu.edu/cmnews/extra/050321_mri.html
Copyright 2005, Carnegie Mellon. All rights reserved. Used with Permission.)
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