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千葉大学
pg. 01
表紙
自然エネルギーを活用した持続可能な
プラスエネルギー住宅『ルネ・ハウス』
国立大学法人千葉大学
①コンセプト・アイデア(1)
そのとき、どんな家があればいいんだろ
うか。
あの震災で気付かされたことがあります。
電力会社から送られる電力だけに頼る生
活では,いざというとき,安心で安全な
生活が保てないこと。
被災後には,コミュニティの崩壊,孤独
死といった多くの困難が待ち受けている
ことを知りました。
自然災害は,なくならない。だからこそ,
エネルギーの使い方,ライフスタイルの
在り方,そして家づくりの方法から,改
めて問い直さなければならない。
そう強く思ったことが,「ルネ・ハウス」
を考案したきっかけです。
pg. 02
「ルネ・ハウス」は、自然エネルギーを活
用したエネルギー自立型の住宅です。
エネルギーを創り,溜め,融通し,災害
によるライフラインの破壊やコミュニ
ティの崩壊を防ぎます。大断面木造ユニッ
トは,耐久性・耐震性に優れ,大空間が
ライフスタイルの変化に対応します。木
造ユニットの流通は,わが国の林業・製
造業を活性化させ,グローバルな生産シ
ステムの構築へと展開してゆきます。
自然エネルギーを活用し、住まい手の変
化に対応し、コミュニティ再生の幹細胞
となる家。森林資源の循環を活性 化 し、
グローバルな生産・流通・施工システム
を展開する家。それが「ルネ・ハウス」です。
エネルギー
ライフ
自然素材、
自然エネルギーを
ベースにした
エネルギー自立住宅
多様化する住まい方に
対応しつつ新しい
ライフスタイルを
触発する住宅
アジア
将来への展開
アジアの気候や
社会に配慮しつつ
世界展開を考慮
した住宅
国立大学法人千葉大学
エネルギー
●コンセプト
自然素材,自然エネルギーをベースにしたエネルギー自立型住宅
●アイデア
①パッシブ技術と先進アクティブ技術で80%省エネルギーを実現する住宅
②蓄熱、蓄電、蓄湯による超自立型住宅
③木材を積極的に利用し森林資源の再循環に貢献する建築
1-1 パッシブ技術と先進アクティブ技術
で80%省エネルギーを実現する住宅
ルネ・ハウスは,既存住宅(2004 年)と
比較して 80% 強の省エネルギー化を達成
しています(図 1-1)。その内訳は,まず
暖冷房と給湯負荷を抑制し,次に家電と
照明を高効率機器に切り替えています。
また,太陽光・太陽熱の再生可能エネル
ギーを活用し,年間 10.2GJ の余剰電力
を生み出すプラス・エネルギー住宅です。
1-2 蓄熱、蓄電、蓄湯による超自立型住宅
ルネ・ハウスは,四季や昼夜の外気変動
に耐える高断熱・大容量蓄熱の外壁、潜
熱蓄熱材により安定的な温熱環境を実現
します。また,燃料電池・ヒートポンプ・
太陽熱を活用したマルチ熱源システムの
導入により自然エネルギーを最大限活用
する蓄湯、太陽光発電により発電した電
力を蓄電池にて蓄電し、住宅におけるエ
ネルギーの完全自立を目指します。
1-3 木材を積極的に利用し森林資源の再
循環に貢献する建築
ルネ・ハウスはわが国の森林資源の循環
の活性化を目指し,木材を躯体だけでな
く断熱材や窓枠に使用することで,断熱
性能の確保と地球環境への配慮を両立さ
せた住宅です(図 1-3)。
GJ
55.0
45.0
20.9
給湯負荷抑制
35.0
25.0
80.2%
削減
2.9
14.3
14.3
8.4
8.4
8.4
8.3
8.3
8.3
空調負荷抑制
3.0
15.0
LED照明
1.7
5.0
8.3
省エネ家電
2.6
-5.0
再エネ利用
-2.3
ルネ・ハウス
既存住宅
図 1-1 既存住宅とルネ・ハウスの年間一次エネ
ルギー消費量の比較
太陽熱パネル
太陽光パネル
光ダクト
全熱交換機
照度センサ
通風センサ
ガス
床暖房
潜熱蓄熱材
エアコン
マルチ熱源
システム
図 1-2 マルチ熱源システムと潜熱蓄熱材を用い
た高断熱・大容量蓄熱の概念図
図 1-3 国産材を使用した木製窓(左)と,国産
間伐材を使用した木質繊維断熱材(右)
ルネ・ハウス
①コンセプト・アイデア(2)
pg. 03
ライフ
アジア
●コンセプト
多様化する住まい方に対応しつつ新しいライフスタイルを触発する住宅
●コンセプト
アジアの気候や社会に配慮しつつ世界展開を考慮した住宅
●アイデア
①多様な住まい方に対応
②変化する住まい方に対応
③住まい手と協働した省エネルギーと健康促進
●アイデア
①72 億人のための住宅̶世界各地の気候に対応
②災害復旧対応
③工業化したセルフビルト方式
1-4 多様な住まい方に対応
垂直に伸びる「コア」と水平に伸びる「パ
ネル」の組み合わせによる大断面木造ユ
ニット「CUJ ユニット」を自由に配置す
ることで,世界の異なる住まい方や,幅
広い年齢層,大家族・核家族などの多様
な住まい方に対応します(図 1-4)。
1-5 変化する住まい方に対応
CUJ ユニットを無数に組み合わせてゆく
ことで,ルネ・ハウスはひとつの都市を
形成します(図 1-5)。CUJ ユニットは,
10m を越す大スパンと自由な階高が可能
なため,自由に間仕切りを変更し,オフィ
スや学校といった他用途に更新すること
も可能で,将来の住まい手のライフスタ
イルの変化に柔軟に対応します。
1-6 住まい手と協働した省エネルギーと
健康促進
ルネ・ハウスでは HEMS によって環境情
報を見える化し,住まい手が風や光をモ
ニタリングしながらコントロールします
(図 1-6)。住まい手の健康上やエネルギー
の需給状態もリアルタイムでモニタリン
グしデータを共有することで,コミュニ
ティ内で互いの健康に気遣いエネルギー
をシェアする,健康で快適かつ自律的な
生活を促進します。
南北に風が抜ける空間
南側に開いた空間
南東に開放的な空間
閉鎖的な内部空間
入り組んだ空間
積み上げることも可能
図 1-4 「コア」とその間をつなぐ「パネル」を自
由に配置することでさまざまな空間構成が可能
図 1-5 「ルネ・ハウス」が集合した様子
住まいの環境情報
House Environment
風向
光量
温度・湿度
生活リズム・快適性情報
Life Rhythm&Comfort
血圧
心拍・呼吸
体温変化
住み手を啓発する可視化
Visualization & Control
健康増進
エネルギー情報
Energy
発電
消費電力
蓄電
コミュニティ内での情報共有
Intelligence Sharing
HEMS による可視化と
ソーシャルネットワーク
自律促進
図 1-6 HEMS を用いて健康で快適かつ自律的な
生活を促進するルネ・ハウスの概念図
国立大学法人千葉大学
1-7 72 億人のための住宅̶世界各地の
気候に対応
アジアの住宅は,蒸暑地域だけでなくそ
の他の気候区にも多く建設されています
(図 1-7)。我々はこの多様な地域のどこ
でも対応でき,更に全世界に通用する住
宅を提案します。
1-8 災害復旧対応
自然災害が発生すると,住民の安全とコ
ミュニティを確保するための住居が必要
です。ルネ・ハウスのユニット化された
コアは,仮設シェルターとして被災地に
迅速に供給することで,既存の仮設住宅
とは異なる高品質で恒久的に住める災害
復興住宅となります(図 1-8)。
アジア以外
40%
31%
29%
アジア
蒸暑地域
アジア
蒸暑地域以外
図 1-7 世界 72 億人の居住地分布(2012 年国連
推計)(出典:(独)建築研究所池田司)
図 1-8 既存の仮設住宅では,温熱環境,結露,
防犯性能などの課題が挙げられる
1-9 工業化したセルフビルト方式
ルネ・ハウスの製造に巨大な工場は必要
ありません。全国の工務店で製作したユ
ニットをコンテナに積み込み,トラック
や船でアジアをはじめとした世界へ輸送
することができます(図 1-9)。内外装や
設備はその土地で入手できる材料で施工
し,組立もシンプルにすることで,諸外
国でのセルフビルドを可能にします。
図 1-9 大規模な工場を持たずに,工業化したユ
ニットを世界へ輸送しセルフビルドで建設
ルネ・ハウス
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