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平成 26 年度市町村課財政グループ
研修生卒業研究報告書
「住民参加型市場公募地方債のススメ」
市町村課財政グループ
藤井
2015(平成 27)年2月
0
康裕
目 次
はじめに ...................................................................... 2
1.住民参加型市場公募地方債の現状............................................. 3
(1)住民参加型市場公募地方債とは........................................... 3
(2)住民参加型市場公募地方債の発行実績及び推移(都道府県及び市区町村) ..... 3
2.住民参加型市場公募地方債の成功事例 ......................................... 8
(1)事例紹介 .............................................................. 8
①
山形県鶴岡市「加茂水族館クラゲドリーム債」 ........................... 8
②
兵庫県「あわじ環境未来島債」......................................... 9
(2)事例分析 ............................................................. 10
3.住民参加型市場公募地方債の意義............................................ 12
(1)住民参加型市場公募地方債のデメリット .................................. 12
(2)住民参加型市場公募地方債の意義........................................ 13
おわりに ..................................................................... 19
参考文献等一覧 ............................................................... 20
1
はじめに
平成 5 年の衆参両院における
「地方分権の推進に関する決議」から 20 年以上が経過した。
この間、国と地方の役割分担の明確化・機関委任事務制度の廃止・国の関与のルール化
が地方分権一括法の成立によって実現したほか、三位一体の改革(国庫補助負担金改革・
税源移譲・地方交付税改革)や義務付け・枠付けの見直しなど、地方分権を推進する数多
くの改革が実施されてきた。
このように地方分権が着実に進展する中、各地方公共団体は、自らの責任と判断によっ
て住民ニーズや地域の実情に即したまちづくりを進めることが期待されており、限りある
財源・地域資源を有効活用しながら自治体運営(自治体経営)に取り組んでいく必要があ
る。
「資金調達手段の拡充」と「住民の積極的な行政参画」を同時に実現するツールのひと
つとして「住民参加型市場公募地方債」を紹介する本稿がその一助になれば幸甚である。
なお、本稿中の意見に係る部分は筆者の私見であることを予めお断りしておく。
※本稿において特に指定の無い場合、
「府内市町村」とは大阪市及び堺市を除く大阪府内市町村をいう。
2
1.住民参加型市場公募地方債の現状
(1)住民参加型市場公募地方債とは
住民参加型市場公募地方債は、地方債を借入先によって分類した場合の類型のひとつで
あり、資金調達手法の多様化や住民の行政参加意識の高揚を図るため、平成 13 年度から導
入されたものである。
債券発行によって広く投資家に購入を募る方法で資金を調達する市場公募地方債の一類
型であるが、購入者を「当該債券の発行団体内に在住・在勤する個人(法人)」に限定する
ことが多い点で、全国型市場公募地方債と区別される(図1参照)。
図1:地方債の借入先による分類
地方債資金
国内資金
公的資金
財政融資資金
地方公共団体金融機構資金
(特定資金-国の予算等貸付金)
民間等資金
市場公募資金
全国型市場公募地方債
住民参加型市場公募地方債
銀行等引受資金
国外資金
外貨建て資金・円建て資金
(2)住民参加型市場公募地方債の発行実績及び推移(都道府県及び市区町村)
住民参加型市場公募地方債の最初の発行例は、平成 14 年 3 月、群馬県立病院施設整備の
ために群馬県が発行した「愛県債」である1。
全国に先駆けての事例であったこともあり、群馬県と引受先である群馬銀行で発行条件
等についてかなりの議論がかわされたが、5年利付国債の応募者利回りに6ベーシスポイ
ント上乗せした利率設定がなされた結果、発行額 10 億円は、わずか 18 分で完売した。
平成 13 年度はテストケースとしての愛県債1件・10 億円の発行のみであったが、翌平成
14 年度には 34 団体・1,636 億円と住民参加型市場公募地方債は全国的な広がりを見せ、平
成 18 年度には 124 団体・3,513 億円という規模にまで成長した。
府内市町村においても発行の機運が高まり、平成 14~18 年度にかけて、4団体が市民セ
ンターや図書館等、住民生活に密接な関わりのある諸施設の整備を進めるため、住民参加
型市場公募地方債を活用したところである(表1参照)
。
1
平成 13~18 年度まで、県立病院施設整備のために6回発行された。平成 19 年度以降は、
「ぐんま県民
債」と名称を変更し、様々な事業に活用されている。
3
表1:府内市町村の発行状況
発行
年度
発行
団体
名称
発行日
発行額
(億円)
発行条件
応募者利回り 発行価格
償還
期間
対象事業
枚方市 ひらかた市民債
H15.1.31
3 5年満活
0.44% 100円00銭 市立南部市民センター
高槻市 中核市移行記念債
H15.2.25
6 5年満活
0.44% 100円00銭 図書館、老人福祉センター
H15 吹田市 吹田市民さわやか債
H16.3.25
4.089 5年満括
0.60% 100円00銭 消防本部・西消防署合同庁舎建設事業等
吹田市 吹田市民さわやか債
H16.5.28
1.911 5年満括
0.80% 100円00銭
枚方市 ひらかた市民債
H17.1.31
3 5年満括
0.62% 100円00銭 中央図書館整備事業
H19.3.26
1 5年満括
1.40% 100円00銭
H14
H16
H18 和泉市 ゆめ和泉債
消防本部・西消防署合同庁舎建設事業、
味舌水路改良事業
小学校大規模改造事業、消防施設整備事業、
老人集会所整備事業
出所:地方債協会ウェブサイト(http://www.chihousai.or.jp/03/03_03.html)より筆者加工
しかし、発行団体数・発行額ともに、平成 19 年度以降は全国的に減少傾向にあり、平成
25 年度の発行額(1,864 億円)は、ピークであった平成 18 年度(3,513 億円)からおよそ
半減している(図2参照)
。
図2:発行団体数及び発行額の推移
140
3276
2682
120
100
106
80
4000
3513
124
123
88 91
3083
2650
2488
2441
79
10
3500
102
94
1636
60
40
3445
3000
80
78 75
2000
2137
2028
1500
1864
34
20
13
1000
500
1
0
2500
0
14
15
16
17
18
19
20
発行団体数
21
22
23
24
25
発行額(億円)
出所:地方債協会ウェブサイト(http://www.chihousai.or.jp/03/03_03.html)より筆者作成
このように、数値のうえでは減少傾向にあるが、地方債を取り巻く状況に鑑みると、住
民参加型市場公募地方債特有の問題として衰退の一途を辿っているわけではない。
図3-1は、住民参加型市場公募地方債の発行額と地方債発行額(臨財債除く)及び公
共事業関係費予算額の推移を示したものである。本図を見ると、住民参加型市場公募地方
債の発行額だけでなく、臨時財政対策債を除く地方債全体の発行額が減少傾向にあること
4
がわかる。
公共事業関係費予算額については、
「経済財政運営と構造改革に関する基本方針 2006(骨
太の方針 2006)
」において、名目対前年度比▲3%・コスト縮減努力(5年間で 15%のコ
スト縮減)の継続が明言されたところであるが、この公共事業関係費予算額の減少2にとも
ない、地方債(臨財債除く)の発行額も減少していると考えられる。
臨時財政対策債を除く地方債全体の発行量が減少傾向にある中で、その一類型である住
民参加型市場公募地方債の発行量が減少することもやむを得ないと言える。
図3-1:地方債発行額(臨財債除く)及び公共事業関係費予算額との比較
120,000
4,000
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
100,000
80,000
60,000
40,000
20,000
0
13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
地方債発行額(臨財債除く)
公共事業関係費予算額
住公債発行額
(億円)
出所:地方債協会ウェブサイト(http://www.chihousai.or.jp/03/03_03.html)
、
「日本の財政関係資料(平成 26 年 10 月)
」
(財務省ウェブサイト http://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/sy014_26_10.pdf)及び各年
度地方財政状況調査結果より筆者作成
2
平成 21 年度はリーマンショック後の経済危機対策として、
平成 23 年度は東日本大震災への対応として、
補正予算による大幅な増があった。
5
また、平成 14~18 年度における住民参加型市場公募地方債の成長要因としては、ペイオ
フ解禁(平成 14 年4月の凍結解除及び平成 17 年4月の本格解禁)を見据えた動きとして、
預金以外の金融商品への資金運用ニーズの高まりがある。
しかしながら、ペイオフ対策の落ち着き及び市場金利の低下にともない、平成 19 年度以
降は、個人向け国債発行額の減少同様3、住民参加型市場公募地方債の発行額も減少したと
考えられる(図3-2及び図3-3参照)。住民参加型市場公募地方債の利率のベースとな
る国債金利が低下する中、かかる利率のみをもって個人投資家の購入意欲をつなぎとめる
ことは困難である。
このように、平成 19 年度以降、住民参加型市場公募地方債の発行額が減少傾向にあるこ
とは、商品の真新しさが薄れた点や魅力ある対象事業を提示できていない発行団体がある
点は否めないものの、地方債をとりまく情勢の変化や金融市場の大きな流れの中で不可避
の影響を受けており、決して住民参加型市場公募地方債特有の問題のみによって減少して
いるわけではない点に留意すべきである。
総務省においても、住民参加型市場公募地方債の発行が減少していることについては、
「市場金利の低下により、金利絶対値を重視する個人投資家への販売が鈍化していること
が、発行が減少した一因であると認識している。」としており、あわせて、「もっとも、総
務省としては、資金調達の多様化を図る観点から、住民参加型市場公募地方債の発行は引
き続き重要であると考えている。
」と表明しているところである4。
3
平成 23 年度以降は、東日本大震災からの復興のための財源に充当するため、
「個人向け復興国債」及び
「復興応援国債」として発行額が増加された。
4
「平成 26 年度地方財政審議会(9 月 5 日)議事要旨」
(総務省ウェブサイト
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/singi/chizai/02zaisei02_03000599.html)より抜粋。
6
図3-2:個人向け国債発行額との比較
80000
4000
70000
3500
60000
3000
50000
2500
40000
2000
30000
1500
20000
1000
10000
500
0
0
13
14
15
16
17
18
19
20
21
個人向け国債発行額(億円)
22
23
24
25
住公債発行額(億円)
出 所 : 地 方 債 協 会 ウ ェ ブ サ イ ト ( http://www.chihousai.or.jp/03/03_03.html ) 及 び 財 務 省 ウ ェ ブ サ イ ト
(http://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/kojin_suii.xls)より筆者作成
図3-3:10 年国債表面利率との比較
2
1.8
1.6
1.4
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
4000
3500
3000
2500
2000
1500
1000
500
0
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
住公債発行額(億円)
10年国債表面利率(%)
出 所 : 地 方 債 協 会 ウ ェ ブ サ イ ト ( http://www.chihousai.or.jp/03/03_03.html ) 及 び 財 務 省 ウ ェ ブ サ イ ト
(http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/past_auction_schedule/index.html)より筆者作成
7
2.住民参加型市場公募地方債の成功事例
(1)事例紹介
近年、募集額が発行総額に満たない募集残が一部銘柄で生じている中、住民参加型市場
公募地方債の成功例として興味深い事例があるので取り上げたいと思う。
地方公共団体金融機構の「第1回地方公共団体ファイナンス賞5」を受賞した山形県鶴岡
市の「加茂水族館クラゲドリーム債」と兵庫県として初めて特定の事業を対象として発行
され、優先販売した淡路島島内のみで完売した「あわじ環境未来島債」である。
① 山形県鶴岡市「加茂水族館クラゲドリーム債」
(ⅰ)概要
加茂水族館クラゲドリーム債は、クラゲ展示種類数でギネス世界記録の認定を受けた世
界一のクラゲ水族館として有名な鶴岡市立加茂水族館の改築事業費(約 30 億円)の一部(9
億円)に充てるために発行された。
利率は各年3月入札発行の5年利付国債の応募者利回りに 0.266%のスプレッドを上乗せ
して設定され、購入単位は 10 万円単位で上限 200 万円、購入対象者の住所制限なしで発行
され、平成 25 年度の3億円分及び平成 26 年度の6億円分につき、好評のうちに完売した
(表2参照)
。
表2:加茂水族館クラゲドリーム債の発行状況
第1回公募公債
対象事業
発 行 額
加茂水族館改築事業(総事業費 約 30 億円)
3億円
償還方法
発 行 日
利
率
第2回公募公債
6億円
5年満期一括償還
平成 25 年4月 30 日(火)
平成 26 年4月 30 日(水)
0.536%(0.270%+0.266%)
0.470%(0.204%+0.266%)
購入単位
10 万円単位、ひとり 10 万円から 200 万円まで
購入対象者
市内外の個人、法人、団体(住所制限なし)
購入者数
303 人
715 人
募集方法
窓口販売(先着順)
抽選方式
取扱金融機関
荘内銀行、山形銀行、きらやか銀行、鶴岡信用金庫
(市内外の各本支店)
出所:地方公共団体金融機構ウェブサイト(http://www.jfm.go.jp/support/commendation.html)
5
地方公共団体全体のより良い資金調達・資金運用につなげるため、地方公共団体金融機構が模範・参考
となる取組を表彰したものである。
8
(ⅱ)成功要因
鶴岡市では、次に挙げる「3つの K」が加茂水族館クラゲドリーム債の成功要因である
と分析している6。
(イ)共感
・一時は年間入館者数が 10 万人を割り込み経営難に苦しんでいたが、水槽内で偶然発生
したクラゲを展示したことをきっかけに、クラゲ展示種類数世界一の水族館として人
気を博するまでになったという起死回生の物語に共感し、水族館を応援したいという
思いを喚起した。
(ロ)興味
・公募債の説明よりも新水族館の周知に重点を置き、「加茂水族館クラゲドリーム債」と
いうインパクトのあるネーミングを採用した。
・5年利付国債の応募者利回りに上乗せするスプレッドは、新水族館がオープンする「平
成 26 年6月」にちなみ、
「0.266%」とした。
・新水族館オープン前内覧会への招待及び抽選によるクラゲドリームバッグ(加茂水族
館グッズの詰め合わせ)のプレゼントという購入特典を用意した。
・抽選方法は、クラゲが漂い辿りついた数字で選ぶという遊び心あふれる手法を採った。
(ハ)活性
・資金調達の一手段に留まらず、地域をあげた観光振興の旗印・地域振興の起爆剤とし
ての目的を打ち出した結果、新聞・テレビその他のマスメディアで大々的に取り上げ
られ、公募債発表(平成 25 年2月 19 日)後の入館者数(平成 25 年2~4月)は、前
年比 127.8%となった。
なお、リニューアル後の入館者数は、鶴岡市によると改築前の3~4倍に達したと
のことである(平成 26 年6月1日~7月 31 日の入館者は 20 万 5,696 人。1日平均の
入館者は平日 2,400 人、休日 5,600 人)7。
② 兵庫県「あわじ環境未来島債」
(ⅰ)概要
あわじ環境未来島債は、兵庫県及び淡路島島内3市が地域活性化総合特区の指定を受け
て進めている「あわじ環境未来島構想」において、事業者や団体のみならず、島民一人ひ
とりが参画する取組の象徴として実施される住民参加型の太陽光発電事業にかかる財源
6
7
地方公共団体金融機構ウェブサイト(http://www.jfm.go.jp/support/commendation.html)より。
河北新報 ONLINE NEWS ウェブサイト
(http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201408/20140804_55003.html)より。
9
(4億円)に充てるために発行された。
利率は 0.33%に設定され、購入単位は5万円単位で上限 200 万円、購入対象者を兵庫県
在住・在勤の個人として発行され、4億円につき、販売期間終了を待たず、淡路島島内優
先販売期間中に完売した(表3参照)。
表3:あわじ環境未来島債の発行状況
対象事業
住民参加型太陽光発電事業
発 行 額
4億円
償還方法
5年満期一括償還
発 行 日
平成 25 年8月 30 日(金)
利
0.33%
率
購入単位
購入対象者
5万円単位、ひとり5万円から 200 万円まで
兵庫県在住・在勤の個人(募集期間7月 31 日~8月 26 日のうち、
8月 13 日までは淡路島島内にある店舗での優先販売)
購入者数
471 人
募集方法
窓口販売(先着順)
取扱金融機関
三井住友銀行、みなと銀行、JA 兵庫信連、淡路信用金庫、みずほ証券
出所:兵庫県ウェブサイト(https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk08/miraijimasai.html)
(ⅱ)成功要因
兵庫県では、購入者全員に充電式電池付き急速充電器セットを記念品としてプレゼント
するなどの工夫に加え、自治会等の各種団体を通じて購入の呼びかけを行うなど、行政や
関係団体が一体となって「あわじ環境未来島構想」の周知と販売促進を行った結果、環境
問題に対する島民意識の高まりや「あわじ環境未来島構想」に協力しようとする意欲がわ
き上がったことが好調な販売につながったとみている8。
(2)事例分析
鶴岡市の加茂水族館クラゲドリーム債は、こうしたプレミアム特典(新水族館の内覧会
招待・抽選によるプレゼント付与)に加え、住民(利用者)が応援したくなるような事業
性のあるテーマ設定、新水族館リニューアルオープン日にちなんだ利回り設定等の遊び心
ある工夫により付加価値をもたせ、単なる資金調達の一手段に留まらず、地域活性化のた
めのツールとして活用することに成功した好事例であると言える。
また、兵庫県のあわじ環境未来島債は、行政や地域が一体となった公募債の募集を通じ
8
「市町村への地方債情報」2014 年6月号より。
10
て、対象事業が目的に掲げる住民一人ひとりの参画・環境意識の高揚を実現し、販売方法
においても島内優先期間を設けるなど、地域を巻き込む工夫を凝らしている。
先述したように公共事業投資が減少していることから、住民の関心事となる魅力的な事
業も相対的に少なくなっており、また、利率設定のベースとなる国債利率が低迷する中、
発行団体においては、いかにして住民の購入意欲を刺激するかが問われている。
この点において、加茂水族館クラゲドリーム債及びあわじ環境未来島債の例は、住民の
関心が高い事業を選定することの重要性に加え、利率のみならず、プレミアム感を演出す
る創意工夫の必要性を示していると言える。
なお、鶴岡市の加茂水族館クラゲドリーム債や兵庫県のあわじ環境未来島債以外にも、
単なる金銭的な損得を超えて、購入者しか体験できないプレミアム感を持たせる購入特典
を工夫している事例があるので、表4で紹介する。
表4:住民参加型市場公募地方債の購入特典例
団体
東京都
対象事業
特典
港湾・堤防や橋梁の整備等
船上見学会に招待(抽選)
北陸新幹線の開業PR
ピンバッジ(全員)
石川県
北陸新幹線乗車券、能登棚田
米を進呈(抽選)
北九州市
市民太陽光発電所建設事業
発電所見学会に招待(10 万
(福岡県)
鯖江市
表示板への記銘(全員)
円以上購入者)
小学校屋内運動場、体育館整備
(福井県)
特産品の進呈、屋内運動場見
学会に招待(抽選)
出所:
「住民参加型市場公募地方債について」
(地方債協会ウェブサイト
http://www.chihousai.or.jp/05/pdf/05_03_01_01.pdf)より抜粋
11
3.住民参加型市場公募地方債の意義
(1)住民参加型市場公募地方債のデメリット
前章で住民参加型市場公募地方債の成功事例を取り上げたが、実際に発行するにあたっ
ては、決してメリットばかりであるとは言えない。
まず、住民参加型市場公募地方債を発行するためには、引受並びに募集取扱会社(引受
会社)や募集の受託会社(受託銀行)と入念な打ち合わせを重ね、発行条件の交渉を行う
必要がある。
また、銀行からの通常の証書借入であれば契約書締結その他の事務で済むところ、住民
参加型市場公募地方債は市場(住民・投資家)に向けて、販売努力としてPRをする必要
があるので、ポスター・パンフレット制作などの広報活動にも手間や工夫が求められるな
ど、発行事務において人的な面で負担増となることが考えられる。
次に、コスト面でも負担が生じる。
住民参加型市場公募地方債は、通常の国債利回り等にスプレッドを上乗せするのが一般
的であるが、銀行等引受地方債では、銀行等の資金調達コストに利益が加算されることか
ら、住民参加型市場公募地方債の応募者利回り9のほうが銀行等の貸付利率10よりも低く、利
息だけで比較すると住民参加型市場公募地方債のほうが安い場合がある。
しかし、住民参加型市場公募地方債には、受託手数料、引受・募集取扱手数料、元利金
支払手数料といった利息以外の手数料も発生する11(表5参照)。
平成 25 年度における利率及び手数料額の平均値を元にして試算すると、1億円の資金調
達においては、銀行等引受地方債に比べて、住民参加型市場公募地方債のほうが5年間で
約 106 万円コスト高となる見込みである(表6参照)。
このように、住民参加型市場公募地方債にはデメリットが存在するが、同時に多くの側
面から意義が認められるものである。この点につき、次節で詳述する。
9
平成 25 年度発行の住民参加型市場公募地方債のうち、5年物(満期一括償還)の応募者利回り平均は
0.348%。
出所:地方債協会ウェブサイト(http://www.chihousai.or.jp/10/02.html)より筆者分析。
10 平成 25 年度発行の銀行等引受地方債のうち、府内市町村における5年物(元金均等償還)の貸付利率
平均は 0.797%。
出所:「平成 25 年度銀行等引受地方債借入状況調」
(大阪府市町村課とりまとめデータ)より筆者分析。
11 通常、受託手数料及び引受・募集取扱手数料は初年度のみ、元利金支払手数料は償還期間中、支払のた
びに必要となる。
12
表5:平成 25 年度 発行団体別の発行額と手数料額の平均12
(発行額:億円 手数料:銭/100 円)
発行額
都
府
元利金支払手数料
引受・募集取扱手数料
県
44.67
1.73
18.8
23.81
政 令 指 定 市
29.94
1.39
25.74
30.02
市 区 町 村 ( 10 億 以 上 )
17.45
3
22.7
18
市区町村(3億~10 億)
4.47
6.64
16.73
52.91
市区町村(~3億)
1.38
5.65
19.15
49.33
33.33
1
9.1
28.67
共
道
受託手数料
同
発
行
出所:
「市町村への地方債情報」2014 年 12 月号
表6:コスト比較13
住民参加型市場公募地方債
銀行等引受地方債
(5年満期一括償還)
(5年元金均等償還)
元
金
100,000,000 円
100,000,000 円
利
率
0.348%(利払日年2回)
0.797%(半年賦払い)
利
息
1,740,000 円
2,191,750 円
手 数 料
1,507,300 円
利息等合計
3,247,300 円
-
2,191,750 円
(2)住民参加型市場公募地方債の意義
住民参加型市場公募地方債は、地方債協会が設置している「地方債に関する調査研究委
員会」において、地方分権・住民参加の促進及び資金調達手法の多様化に資するものとし
て、平成 13 年度に創設を提言されており14、総務省において、同年度内に制度化がなされ
ている。
この背景には、当時進められつつあった地方分権改革及び財政投融資改革があったと考
えられる。
地方分権改革は、平成5年の衆参両院における「地方分権の推進に関する決議」から 20
年以上が経過し、第4次一括法(平成 27 年4月施行)により、地方分権改革推進委員会の
12
手数料は年額、100 円あたりの金額である。
元利金支払手数料は5年間、受託手数料及び引受・募集取扱手数料は初年度のみとして、平成 25 年度
の前掲各種利率・手数料額平均値ベースで筆者試算。なお、前掲元利金支払手数料は様々な契約形態が
ある中での単純平均であるが、本試算では、
「元金につき5年間で必要となる元利金支払い手数料の1年
あたり平均金額」として概算している。
14 「地方分権、
住民自治の推進という観点から、コミュニティボンドのように住民参加を促す方策として、
また、資金調達手法の多様化のため、以下のような『住民参加型ミニ市場公募債』を提案する。
」
(「地方分権時代における地方債制度の将来像について」より)
13
13
勧告事項については一通りの検討・対処が行われるに至るが、住民参加型市場公募地方債
の創設が提言された当時は、地方分権一括法(平成 12 年4月施行)により、国と地方自治
体が対等な関係となって間もない頃であった。
すなわち、機関委任事務制度の廃止と事務の再構成、国の関与の新しいルールの創設な
どの第1次地方分権改革が実施され、三位一体改革(国庫補助負担金改革・税源移譲・地
方交付税改革)等、さらなる改革のための準備を進めなければならない時期であったと言
える。
また、平成 13 年4月からスタートした財政投融資改革により、それまでは郵貯・年金資
金が資金運用部に義務的に預託され、これを原資として地方公共団体への資金の配分が行
われる仕組みであったものが、政府資金の中心である財政融資資金の財源が国債となり、
国が地方公共団体へ転貸するという仕組みに変わった。
これは、言わば「国が地方のために借金をして地方に転貸する」という構図であるため、
国は地方公共団体への融資に抑制的となり、地方公共団体が自らの力により市場から資金
を調達することが一層強く求められることとなった。
このように、地方公共団体は、地方分権改革の進展によって、国への依存から脱却し、
自己決定・自己責任のもとで知恵や創意工夫を活かしながら、地域の実情にあったまちづ
くりを進めていくことが求められるようになるとともに、財政投融資改革により、地方債
に市場原理をより一層導入し、市場から地方公共団体自らの力で資金を調達すべきである
との流れが示された。住民参加型市場公募地方債の創設は、こうした社会経済状況の変化
を踏まえたものであった。
この点に関し、総務省では、住民参加型市場公募地方債の主たる制度目的として、次の
5点を掲げている15。
・住民の行政参加意識高揚
・住民に対する施策の PR
・資金調達手法の多様化
・個人金融資産の有効活用
・市場公募化のためのノウハウ習得
以下、各項目についての見解を述べる。
① 住民の行政参加意識高揚
近年、まちづくりにおいて「市民参加」や「協働」というキーワードが重要視されてい
ることは、新聞・ニュース等からも窺い知れるところであり、各種報道を通じて、ひろく
15
「地方債資金をめぐる最近の動きについて」
(総務省ウェブサイト http://www.soumu.go.jp/main_content/000313707.pdf)より
14
住民全般に「協働」の精神が浸透しつつあるように思われる。
行政の世界においても、各地方公共団体の総合計画中に協働の理念が盛り込まれたり、
自治基本条例を制定する動きが広がるなど16、多くの地方公共団体で「協働」に対する意識
面・規範面の整備が進んできた。
しかしながら、それを具体的に実現する手段としては、総合計画実施計画等においても
さほど触れられていないのが実情ではなかろうか。
多くの地方公共団体が、行政に対する住民意見の反映という観点から、広報広聴機能の
充実策(広報紙やモニター制度等)を挙げているが、協働の精神を具体的に実現するため
の施策としては、一部地方公共団体で実施されている NPO 法人等に対する助成金(公益的
活動助成金や協働事業提案制度)など、
「促進」という観点からの側面的な支援や応援とい
った内容が中心であると思われる。
このような状況の中、とりわけ NPO 法人等に所属していない住民にとっては、行政参加
するための手段が充実しているとは言いがたい。
この点、住民参加型市場公募地方債は、NPO 法人等に所属していなくても、関心のある施
策に対する資金提供という方法で行政に参加できるものであり、また、対象事業の選択や
住民がイベント等に参加できるような特典内容の工夫によって、住民が事業に直接参加で
きることから、住民の行政参加意識高揚を図り、住民と行政がともにまちづくりに取り組
む協働の精神を実現するツールのひとつとして有益であると考える。
② 住民に対する施策の PR
住民参加型市場公募地方債は、住民に出資してもらうために必要な情報の周知及び取組
の PR が必要となる。必要となる経費を示し、住民とともに取り組みたい施策を各地方公共
団体が明らかにして住民に周知することは、施策の PR のみならず、財政運営状況に関心を
持ってもらう機会にもなりうる。
また、魅力的な施策を打ち出せば、新聞やニュース番組で取り上げられることにもつな
がる。発行団体の広報紙やウェブサイトで住民に施策を周知することは当然のことである
が、各種マスメディアによる報道がなされれば、大きな PR 効果を期待できる。
なお、効果の金銭換算は困難であるが、例えば新聞朝刊の地方版に1段広告を出すには、
一般に、25~30 万円の経費を要する17ことを追記しておく。
16
17
平成 26 年4月時点で府内市町村 41 団体中 16 団体が策定済み(大阪府市町村課調べ)
。
朝日新聞及び読売新聞の大阪府内地方版における1段あたり広告料金平均は 267,500 円。
出所:平成 27 年1月 15 日現在朝日新聞社広告局ウェブサイト
(http://adv.asahi.com/modules/ad_rate/index.php/local.html)及び読売新聞広告ガイドウェブサイト
(http://adv.yomiuri.co.jp/yomiuri/rate/local/osaka.html)より筆者分析。
15
③ 資金調達手法の多様化
図4は地方債計画(当初計画)における地方債資金区分別構成比の推移をあらわしたも
のであるが、本図をもとに、先に述べた財政投融資改革の実施を受けて、地方公共団体の
資金調達状況がどのように変化してきたのかを以下に示す。
・平成 15 年度:共同発行市場公募地方債の発行が開始され、以後、市場公募地方債の割合
はほぼ毎年度、前年度数値を上回る(平成 26 年度:過去最大の 32.8%)。
・平成 16 年度:公的資金と民間等資金の割合は、財政投融資改革が実施される直前の平成
12 年度にはおよそ6:4であったが、初めて民間等資金の割合(58.8%)
が公的資金の割合(41.2%)を上回った。
・平成 23 年度:資金区分の中で初めて市場公募地方債が最も高い割合(30.6%)を占めた。
図4:地方債計画(当初計画)における地方債資金区分別構成比の推移
100%
90%
民
間
等
資
金
80%
70%
60%
50%
40%
30%
公
的
資
金
20%
10%
0%
6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26
政府資金
出所:
「平成 24 年度
公庫/機構
市場公募債
その他民間等資金
地方債のあらまし」及び総務省ウェブサイト(http://www.soumu.go.jp/iken/zaisei.html)より
筆者作成
地方債計画18においては、平成 16 年度に「地方債資金については、地方分権の推進や財
投改革の趣旨を踏まえ、公的資金の重点化・縮減を図りつつ、その所要額を確保している。
また、公的資金の縮減に対応し、民間等資金の円滑な調達を図るため、市場公募団体の拡
大や共同発行市場公募地方債及び住民参加型ミニ市場公募地方債の拡大等を推進すること
とし、市場公募資金を3兆 1,600 億円計上している。」と明記され、公的資金の重点化・縮
減と民間等資金の拡大を進める方針が示された。
18
各年度「地方債計画」
(総務省ウェブサイト
筆者。
http://www.soumu.go.jp/iken/zaisei.html)より、下線部
16
その後、平成 24 年度には「公的資金については、前年度と同じ割合の公的資金を確保す
るとともに、民間等資金については、その円滑な調達を図るため、市場公募団体の拡大や
共同発行市場公募地方債及び住民参加型市場公募地方債の発行を引き続き推進することと
している。
」となり、また、平成 26 年度には「公的資金については、前年度と同程度の公
的資金を確保するとともに、民間等資金については、その円滑な調達を図るため、共同発
行市場公募地方債及び住民参加型市場公募地方債を含めた市場公募地方債の発行を引き続
き推進することとしている。」と表現が変わってきており、「公的資金の重点化・縮減」が
達成されたのち、
「縮減された公的資金の維持・確保」へとシフトしている様がうかがえる。
このように公的資金の重点化・縮減が達成された状況下では、地方公共団体にとっては、
民間等資金の調達の安定性を向上させることが重要となってきている。
公募債の市場規模からすると、住民参加型市場公募地方債は、個々の発行団体にとって
事実上量的な発行制約がなく、販売努力によって必要な事業に必要な量の調達を可能とす
ることから、銀行等引受地方債の補完・代替として資金調達手段の多様化に資するもので
ある。
それまでは全国型市場公募地方債を発行しうる比較的大規模な地方公共団体以外は自ら
市場から資金調達できなかったが、住民参加型市場公募地方債制度の創設により、事実上
すべての地方公共団体が公募形式によって資金調達可能となった。
政府としても、住民参加型市場公募地方債を含む市場公募地方債の推進を重要視してお
り、地方債計画上においても、
「民間等資金の拡大」については、一貫して共同発行市場公
募地方債及び住民参加型市場公募地方債の推進が掲げられている。
なお、資金調達手段の多様化がもたらす結果として、市場へのネーム浸透や取引金融機
関の拡大にともない、銀行等引受地方債の借入条件改善につながることが期待できる。
住民参加型市場公募地方債の実践は、その後の銀行との借入交渉においても有益である
と考える。
④ 個人金融資産の有効活用
個人金融資産に占める現金・預金の割合は、アメリカでは 13.5%であるのに対し、日本で
は 52.6%を占める19。
小泉政権の発足以降、
「貯蓄から投資へ」のスローガンのもと、先に言及したペイオフ解
禁や株式等の売買益・配当金・分配金に対する課税率を時限的に引き下げる証券投資優遇
税制などの施策が実施されてきた。
19
平成 26 年9月末時点。
「資金循環の日米欧比較」
(日本銀行ウェブサイト
http://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjhiq.pdf)より。
17
これは、預金を通じて銀行主導で企業に融資する間接金融から、個人投資家が証券会社
等を通じて主体的に企業に融資する直接金融へとシフトし、個人金融資産の構成バランス
を現金・預金からリスクマネーである株・投資信託などへシフトするよう促すものであっ
た。
「貯蓄から投資へ」の意味するところは、間接金融主体の金融市場から直接金融にもお
金を流すことで経済の成長をより活力あるものにしていこうというものであり、住民参加
型市場公募地方債についても、同様の観点から個人金融資産の活用方法のひとつとして機
能すると考えられる。
⑤ 市場公募化のためのノウハウ習得
総務省では、住民参加型市場公募地方債には、満期一括償還という方式に慣れる、引受・
募集という形態を金融機関と議論してその事務に慣れる、資金調達手法(ルート)の多様
化を実感するといった意味・効果があり、全国型市場公募債のテストケース・練習である
という見方もしている20。
実際に栃木県、徳島県、福島県などが住民参加型市場公募地方債の発行を経て全国型市
場公募債を発行しており、担当者のインタビューなどから、住民参加型市場公募地方債の
発行事務を通じて金融機関との個別条件交渉のノウハウを蓄積するなど、住民参加型市場
公募地方債をステップとして全国型市場公募債の発行に至ったことがうかがえる21。
20
21
「地方財務」2002 年3月号より。
「地方債月報」2008 年7月号、2008 年9月号、2009 年3月号等より。
18
おわりに
住民参加型市場公募地方債には人的負担・コスト面でデメリットが存在することは否め
ない。
しかし、デメリット(発行に係る事務量の増加、各種手数料、スプレッド、ポスター・
パンフレット作成)よりもメリット(市政参加意識の高揚、施策の PR、観光客の増加、地
域の活性化)を重視した鶴岡市22のように、住民参加型市場公募地方債を活用してまちづく
りを成功させた事例があることも事実である。
意識面・規範面で「協働」が浸透し、当たり前になりつつある今、我々行政は、
「まちづ
くりの主役」である住民を黒子として支え、ともにまちづくりを進めていくことが求めら
れている。
住民参加型市場公募地方債がそのための有効なツールのひとつであることは間違いない。
デメリットがあるから取り組めないのではなく、その多大なるメリットを享受するため
に、職員が創意工夫(魅力ある事業創出、住民の心に響く PR、プレミアム感のある特典や
遊び心のある仕掛け)により仕事に取組み、住民及び議会に対して明確な目的及び費用対
効果を説明するという責任を果たすことが重要である。
今回、
「住民参加型市場公募地方債のススメ」と題して、住民参加型市場公募地方債の有
用性を説いたが、本稿が皆さまの目にふれ、より一層協働のまちづくりが進むことを願い
擱筆する。
22
地方公共団体金融機構ウェブサイト(http://www.jfm.go.jp/support/commendation.html)より。
19
参考文献等一覧
題名
経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006
地方財政状況調査
日本の財政関係資料(平成26年10月)
平成26年度地方財政審議会(9月5日)議事要旨
市町村への地方債情報(2014年6月号、2014年12月号)
地方分権時代における地方債制度の将来像について
平成24年度 地方債のあらまし
地方財務(2002年3月号)
地方債月報(2008年7月号、2008年8月号、2009年3月号)
編者等
閣議決定
総務省
財務省
総務省
一般財団法人地方債協会
地方債に関する調査研究委員会
地方債制度研究会
株式会社ぎょうせい
財団法人地方債協会
20
年度
2006
2001~2013
2014
2014
2014
2002
2012
2002
2008、2009
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