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序 文

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序 文
序 文
「救急外来や受け持ち患者の急変時に動ける医師になりたい!」
そんなふうに思っている,あるいはかつて思っていた方も少なくないと思います.
かく言う私も,医師国家試験さえ合格すれば急患対応はカッコ良くこなせると本気で
考えていたのです.そんな幻想は,働き始めてすぐに打ち砕かれました.私が初期研
修を受けたのは麻生飯塚病院という1,000 床規模の病院で,毎日たくさんの救急患者
さんが来院され,多くの受け持ち患者さんが急変しました.
「血液検査オーダーしてく
ださい」
「輸液,何を準備したらいいですか?」
・・・看護師さんから催促されても何をオ
ーダーしたらいいかわからない.
.
.
「この血ガスの解釈は?」
「心電図・胸部X線を読んで
みて」
・・・指導医に聞かれても全くわからない.
.
.そんな日々が続くなか,先輩医師・看
護師さんたちに聞きながら,いろんな本を読みながら,必死に生き抜いてきました.
皆さんは,自分の臨床能力を上,中,下で評価したとき,どのくらいだと考えますか?
私自身は,中の上くらいかなと思っています.他科専門医や看護師など他のメディカ
ルスタッフの力を借りることで実際には上の中くらいのパフォーマンスを提供している
状態でしょうか.医療は一人では完遂できないので,チームの力で上の医療を提供す
ることが大切だと考えます.しかしながら,医師自身の力が不十分だと,周りの力を借
りても上にはなれません.この書籍で勉強すれば,研修医を終える頃,救急外来や急
Ⅳ
変対応に関してのスキルは
「中の中」
以上の状態になれるよう意識して製作しました.
さて,病歴や身体所見が大切なのは言うまでもないですが,研修医にとってまずは,
「目
に見える検査のオーダー・解釈の仕方や,とりあえずの処置の方法を知りたい!」
という
のが本音ですよね.そんな研修医のニーズに応えるべく生まれた本書は2部構成になっ
ています.第1部は初期研修が終わるまでに必ず身につけておきたい検査・処置につい
て,第2部はできれば初期研修が終わるまでに,あるいは後期研修の間にマスターして
おきたいスキルについてまとめています.また,現場で必要なエッセンスを凝集した
「レ
ジポケ」
を白衣のポケットに入れておくことで,急変時に必要な情報を瞬時に得ること
ができます.執筆は,ERおよび各関連領域で専門的な医療に従事する傍ら,研修医の
気持ちも熟知した卒後10 ~ 20年目の精鋭にお願いしています.救急外来や急変の現
場で必要な内容に絞り込まれており,他書には載っていない生のpearlも満載です.こ
の一冊が
「どうしていいかわからず救急現場で固まってしまう」
研修医の,そして
「固まっ
てしまう研修医に困っている」
指導医の皆様のお役に立てば,望外の喜びでございます.
最後になりましたが,本書の前身である『ER マガジン Vol.10 No.1 特集 レジデン
ト技術全書』の製作時から今まで温かくサポートし続けてくれたCBRの長沢慎吾さん,
編集・執筆に際し尋常じゃない汗をかいていただいた兄貴分の市場先生,惜しげもな
く
「現場のpearl」
を教えていただいた執筆者の皆様に,心より御礼申し上げます.
2015年3月 編者を代表して 横林賢一
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