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脱石油時代の中小企業経営のあり方に関する調査研究報告書

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脱石油時代の中小企業経営のあり方に関する調査研究報告書
目
第1章
次
問題提起・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
1−1
趣
1−2
調査研究体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
1−3
調査研究スケジュール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
第2章
旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
2−1
環境分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
2−2
福島の産業構造の特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
2−3
中小企業を対象とした地域活性化の意義と目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
第3章
今後の展開方向(目指すべき中小企業の在り方)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
3−1
脱石油のビジネスモデル化の特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
3−2
従来の脱石油対策の限界とその反省点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
3−3
脱石油化を中心とした地域振興策と中小企業の活性化・・・・・・・・・・・・・・・・・27
3−4
環境問題を通した活性化の波及効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
3−5
支援のためのスキーム創立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
3−6
脱石油促進のためのファンドの設立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
3−7
効果の測定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
第4章
ビジネス分野ごとの展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32
4−1
建 設 業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
4−2
農
業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41
4−3
林
業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49
4−4
製 造 業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60
4−5
運 輸 業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72
4−6
梱 包 業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73
4−7
設 備 業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・77
4−8
環境コンサルティング業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82
4−9
事例及び参考ケースのまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85
第5章
具体的な対応についての提言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88
5−1
各ビジネス分野の分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90
5−2
福島地域産業育成への提言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92
5−3
理論的アプローチ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・93
― 1 ―
5−4
第6章
具体的実施についての留意点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・95
結
び・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・98
6−1
課
題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・99
6−2
脱石油、省エネルギービジネスコラボレーションの設立・・・・・・・・・・・・・・100
6−3
グローバル化について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101
6−4
理念、コンセプトの外部への発信・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・102
参考資料
1
フィンランドでの環境問題の対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・103
(1)何故フィンランドに学ぶのか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・103
(2)国の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・103
(3)フィンランドの地球温暖化対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・105
(4)フィンランドにおける行政の分担・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・106
(5)具体的な対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・107
(6)企業事例:NOKIA・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・109
(7)企業事例:YIT・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・113
(8)フィンランドから学ぶべきもの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・115
2
エコビルディング「ハーストタワー」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・118
3
出典参考資料一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・121
4
執筆責任及び学術アドバイザー一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・124
― 2 ―
第1章 問
1-1
趣
題
提
起
旨
日本経済は回復して過去最長の好況と言われておりますが、未だ地方の経済は冷え込
んでいる。特に経済の二重構造的な格差は地方の中小企業を直撃しており、健全な経済
発展のため、政策レベルでのテコ入れが必要となっている。しかし、行政と地域企業お
よび住民との関係において21世紀は、補助金を与えれば良い時代ではなく、知識や知
恵をベースとした政策的な救済と、各企業や個人の自助努力が求められる。
石油価格が高騰して本格的に脱石油時代が到来しており、地域の中小企業はこれに適
応しなければサバイバルできない状況に直面している。更に世界的に環境問題が注目さ
れており、サミットの主要な議題ともなっている。この厳しい状況を逆手にとって、脱
石油(環境)をキーワードとして地方の中小企業を活性化するための方策を検討したい。
行政や地域の中小企業が脱石油に関して危機意識を持つことによって、従来の発想か
ら転換して、新しいビジョンやビジネスチャンスを開拓する良い機会である。日本経済
は「ものづくり」等に余りにも傾倒しすぎており、バランスに欠けつつあり、地域密着
しているその他の産業が本当に衰退し、雇用が悪化しても良いのだろうか。地方の産業
は少しでも知識的な高付加価値を持ったものへと転換すべきである。
農業、林業、建設業等は、日本での地方の衰退産業と誤解されているが、グローバル
に見ると非常に元気に活躍している。この多様性を持たせることにより、産業を再生す
るという見方が現在、日本が直面している格差の問題を解決する一つの鍵になると思わ
れる。国は製造業だけに産業政策を実施し強化させ、反対に林業や農業、建設業は資金
を出すだけの補助を行い過保護にしたために、グローバルに競争を失い衰退しつつある
ので、地域経済ではこれらの既存の産業を含めたトータルかつ複合的に活性化すること
を求められている。
そこで脱石油のソリューションとしての中小企業のビジネスの在り方を、地域に根ざ
した視点から方向付けをし、地域において具体的に何をすべきかということを中心に議
論を展開してみたい。
また学術的な視点から見ると以下の点からのアプローチがなされていないので、この
研究を通じて問題提起と提案をしたい。
1. 地域の中小企業論、およびその戦略
2. 脱席石油および省エネについての産業としてのアプローチ
3. 地域、エリアの産業振興論
4. クラスターとしての地域社会、経済の中の相乗効果とグローカル化の効果
経営学的なアプローチからの地域活性化と環境ビジネス化という二つを目標に検討
したい。
― 3 ―
1-2
調査研究体制
(1)調査研究チーム
株式会社ナレッジチェンジ
同
代表取締役社長 三輪 恵一
上
超学際的研究機構
研究員
川嶋 岳史
事務局長
油井 利和
(2)学術アドバイザー
1-3
いわき明星大学
教 授
東
慶應義塾大学大学院
教 授
青井 倫一
調査研究スケジュール
2006年7月末
基礎リサーチ
2006年9月
中間報告
2006年10月
中間報告
2006年11月
基本提言とりまとめ
2006年12月
学術アドバイスまとめ
2006年12月
中間報告
2007年2月
最終まとめ
2007年3月
最終提出
― 4 ―
之弘
第2章 現
2-1
状 と 課 題
環境分析
脱石油化の動きは最近の石油高騰に伴い、再認識され重要視されるに至っている。従
来、第一次オイルショック以降、日本の産業界は日本が石油を産出しないことから継続
して脱石油という動きを推進してノウハウの蓄積がされていたが、現在程は注目されて
いなかった。
短期的には石油価格が高騰して、また中東の地政学的リスクが高くなり、その対策を
講じなければならないが、長期的には化石燃料資源として石油は枯渇し、脱石油化はせ
ざるをえない。
また、日本企業が従来から蓄積した経験と今後の脱石油化の知識やノウハウがBRI
Cs等の新興国との優位性として重要な差別化要因となりえるし、日本としてはこの知
識や情報を蓄積して、競争上優位に立つことが望ましい。これは国際競争上の大きな武
器となると思われる。また、地域の中小企業はバブル以降の失われた10年間に非常に
体力が低下しており、これが地域の経済に影をおとしているので、これらを踏まえて脱
石油化に関連する現在の社会環境要件と石油の価格推移を検討することにより、現状を
認識し最適な方向付けをしたい。
(1) 社会環境要件
日本は少子高齢化によって人口の減少に直面して、安定的な経済成長を余儀なくさ
れ、そして先進国型のEUタイプの社会状況に近似してくる。特に日本経済をロケー
ションの視点で考えれば、東京一極集中化が進行しているため、改めて地域の経済の
活性化が重要になる。そこで地方の優位性を創り、地方にもっと経済や人を分散しな
ければ、バランスのとれた日本の経済成長は望めなくなるし、反対に経済格差等の問
題が一層拡大するようになると予想される。
福島県の総人口の推移(福島県でも人口減少化)
年次(年)
人口総数(人)
対前回増減率総数
(%)
全国割合(%)
昭和40
1,983,754
△3.3
2.0
45
1,946,077
△1.9
1.9
50
1,970,616
1.3
1.8
55
2,035272
3.3
1.7
60
2,080,304
2.2
1.7
2
2,104,058
1.1
1.7
7
2,133,592
1.4
1.7
平成
― 5 ―
12
2,126,935
△0.3
1.7
17
2,091,319
△1.7
1.6
D-1
①
人口減少の時代の到来
少子高齢化の進展に伴い、労働力不足や労働者の質の低下が始まっている。特に
高齢化は2007年問題のように製造業等のノウハウ伝承の断絶や、大量の退職に
よる労働不足が発生しつつあり、また地方の過疎化は止まらなく、日本で産業革命
以降初めて人口の減少に直面することとなると言われている。米国やヨーロッパ諸
国ではこの人口減少に対し、移民や外国人を導入することで対応していますが、プ
ラス面とマイナス面が生じているが、日本もこの対応を真剣に検討すべきである。
日本の人口動態のシュミレーション
2000年
2030年
100
男
女
90
100
男
80
70
70
60
60
50
50
40
40
30
30
20
20
10
0歳
120
80
40
万人 0
10
0歳
0万人
40
80
120
120
D−2
②
女
90
80
80
40
万人 0
0万人
40
80
120
資料:国立社会保障・人口問題研究所
D-2
石油価格の高騰に伴う脱石油化
長期的に石油資源は有限であることから、石油に依存できなくなることは常識で
あるが、先進国だけでなくBRICs の経済発展によって石油の消費量が急激に拡
大している。従って石油危機としてとらえるのではなく、脱石油をビジネスチャン
スとして捉え、中小企業は柔軟に対応すべきである。
③
人口の首都圏への一極集中化と地域間経済格差の拡大
日本の人口は首都圏に一極集中化しており、これによって首都圏と地域との経済
格差や生活インフラ格差の拡大の一つの要素となっている。残念ながらこの傾向は
現在も続いているし、対策を講じない限りこの傾向は止まりません。
― 6 ―
06年の主な中核都市での人口転入超過
0千人 5
10
三大都市圏別の人口移動
↑転入超過
(第一生命経済研究所試算)
15
東京都区部
横浜市
東京圏
20
名古屋圏
大阪圏
15
77,560人
10
川崎市
5
福岡市
転出超過↓
大阪市
名古屋市
0
−5
80年
85
90
95
2000
06
(注)住民基本台帳の人口移動報告より。06年は第一生命
経済研究所の推測値
D-3
D-3
D-4
D-4
市場経済主義の傾向は当然、経済格差を拡大するとともに、個人間と企業間の格
差や首都圏と地方の地域間の格差も拡大するので、格差を認め、より地域経済のボ
トムアップをしながら格差の縮小を図ることが求められている。ここで福島県とし
ては地域の産業を振興と人口減少をくいとめることで地方の税収入の上位のラン
キングに入れるようにして首都圏との格差の縮小に努力する必要がある。
④
地政学的リスクの増大
イラク戦争の長期化やイランと米国の紛争により中東の地政学的リスクが拡大
している。特に日本は中東地域の石油資源に依存しており、中東の情勢によって石
油の供給が止まれば大きな社会問題となるので、可能な限り、石油に依存しないリ
スクを分散させる社会や経済構造作りをすることが求められる。
⑤
環境問題のグローバルレベルでの深刻化
BRICsが急激な経済成長をしており、これら諸国は成長を優先して環境や省
エネに配慮をしないでエネルギーの浪費と、公害の垂れ流しを行っている。先進国
の製造を移転させてBRICsの工場で生産するのは良いのだが、環境問題を移転
して拡大している。このため、日本だけでなくBRICsを含めたグローバルに環
境問題を解決していくことが必要になっている。そこで中国等BRICsは現状を
反省し、遂に環境技術の重要性を認識して脱石油やエコ技術に対する需要が大きく
なりつつある。従って福島の地域の環境ビジネスモデルが成功すればグローバル市
場を対象とした脱石油と環境問題防止の市場が開けてビジネスが成立する可能性
があると思われる。
― 7 ―
⑥
右肩上がりの成長が終焉して日本の先進国型社会化
日本経済は昭和時代に現状のBRICsのような高度成長を遂げていたが、もう
安定性成長に移行せざるを得ない発展段階となっており、北欧のような安定的な経
済発展と高い社会保障を負担する社会に近づきつつある。
⑦
行政の財政悪化による社会投資の減少
一部地方自治体では、少子高齢化や経済の安定成長のために税収は限定され、北
海道の夕張市のように財政が破綻しているところも出てきている。
⑧
経済の知識化
21世紀は、経済をより付加価値の高い知識化されたものに移行しなければ、生
き残れません。グローバル化により中進国以下の国々とは賃金では競争できないの
で、知恵等で付加価値をつけることで競争せざるを得なくなっている。
以下は米国とインドの賃金比較及び、製造での工場労働者の米国と中国の比較した
ものである。日本においても同様に比較できない程にBRICsとの賃金の格差があ
ることが判る。これは米国のオフショア化の例であるが、これは確実に日本で発生し
ており、知識産業といわれている業務でさえインドと比較すると差が大きくなっている。
― 8 ―
1時間当たりの平均賃金の国際比較
(米国のオフショア化に伴う抗し難い低賃金の魅力)
アメリカ(ドル)
インド(ドル)
コールセンター業務
12.57
1.00
医療記録事務
13.17
1.50∼2.00
給与支払い事務
15.17
1.50∼2.00
法律家助手
17.86
6.00∼8.00
会計士
23.35
6.00∼15.00
金融アナリスト
33.00
6.00∼15.00
アメリカ(ドル)
工場労働者
中国(ドル)
21.11
*0.64
D-6
日本の大企業の従業員の賃金が高く製造業は海外へ移転して空洞化している。地域
の中小企業でも、BRICsから比較すると高賃金であり、人件費が高い日本では経
済の知識化や特徴づけによって付加価値をつけること以外に人件費の安い外国と競
争して生き残る方法はないので、地方においても真剣に知識による経済の価値化を検
討する必要がある。
アジア11カ国・地域の2006年の給与水準(年収)と2007年の予測昇給率
単位:ドル
工場従業員
事務系課長職
予測昇給率(%)
韓国
2万6481
4万3230
5.8
香港
1万6696
4万3130
3.4
シンガポール
1万4851
4万3005
3.7
台湾
1万3688
2万8257
2.7
マレーシア
3910
1万7885
4.8
フィリピン
3721
1万1841
7.0
タイ
3686
1万6619
5.7
中国
2795
1万3014
8.0
インドネシア
2793
1万0565
10.1
インド
2728
1万0717
14.7
ベトナム
1109
5560
10.2
D-7
― 9 ―
(2)自然環境
確実に地球の温暖化は進行しつつあり、このために石油から排出される CO2 を減
少させて、可能な限り CO2 等の温室効果ガスを減少させることが重要になっている。
従って、脱石油の動きは石油価格にもよるが、この温暖化による要素が今後大きくな
っている。特に最近米国もやっと地球温暖化の対策に重い腰をあげ始めた。従って地
球温暖化というアプローチで脱石油、省エネの動きが急激に高まっている。
12月の世界の月平均気温の順位(過去30年平均)
順位
年
平年差(℃)
1
2006
+0.41
2
1997
+0.40
3
2003
+0.37
4
1987
+0.28
5
1979
+0.26
6
1998
+0.24
7
2001
+0.22
7
2004
+0.22
7
2005
+0.22
10
2002
+0.17
D-8
(3)石油価格について
2006年当初、100ドルまでは上昇しませんが、80ドルレベルまで高止まり
して動かないことが考えられた。しかし石油価格は2006年7月ピークに下げに転
じて、60ドルを下回るまで低下した。ただし短期的にはピークアウトしたかもしれ
ないが、中長期的に観ると世界の石油需要は対前年比で一日平均150万バレル程度
増大が予想される。一層の脱石油化が必要であり、EUではコストが高く安全性から
避けられていた原子力発電所がEUで再び建設が始まった。従ってBRICsの利用
量を考慮すると、50ドルを底として、2007年で60ドル∼70ドルと予測され
て、安い価格に戻ることはない。その意味では脱石油化の動きは止められない状況と
なっている。更に、現在為替が円安となっており、石油価格と為替が相乗して日本国
内の石油価格が高くなっている。
特にこの石油価格の上昇は大企業では合理化や商品の値上げで吸収が可能である
が、中小企業では吸収が難しい状況となっており大企業と中小企業の格差を拡大する
要因ともなっている。
― 10 ―
事例
特定規模電気事業者(PPS=Power Producer and Supplier)の石油価格高騰
による撤退
PPSは電力自由化により23社が参入していた。しかしPPSの第6位のジーティ
ーエフ研究所は営業を停止。エネサーブも撤退を検討中。
このように石油価格が高騰してPPSは損害を受けているが、反対に脱石油化の動
きは価格が低くなっても損害を受けることはない。
原油価格の推移
D-9
(4)東京と福島県のロケーションとしての優位性比較
福島県は東京まで90分以内で通勤可能で、住宅や自然環境など、一部部分におい
ては魅力はあるので、を首都圏の企業や従業員に強調していくことが重要である。こ
れにより、首都圏から人口の I、U ターン等の人口移動を促進させるべきである。福
島県としては労働環境や住環境を向上させて、労働可能な人口を増加させないと地域
としての健全性が維持できなくなる。そのため、福島県に欠けているのは文化や教育
の魅力であるので、その整備が望まれる。特に子弟教育のための教育環境の整備をし
ないと、若年層の福島県への人口移転は期待できないと思われる。
― 11 ―
福島県と東京首都圏の比較図
福島県
東京/首都圏
労働
通勤
通勤時間が掛からない
1,0∼1,5Hが通常
現状
住宅土地
安価
高価
雇用
限定されている
労働市場が大きい
社会
人口
過疎化して減少
集中している
現状
教育
選択できない・水準高くな 選択できる・水準高い
文化施設
い
揃っているが混雑している
コミュニティー
程々
クール
自然環境
暖かい・親切
非常に悪い
非常に良い
D-10
2-2
福島県の産業構造の特徴
福島県の特徴、強みを出すためには福島県における産業構造の特殊性を分析して、そ
れに基づいて戦略を構築することが求められている。そこで福島県の特徴として考えら
れるのは、全国的に平均の中の上位に位置しており、可も不可も無い状況で、特徴が無
い。また、残念ながら際立ってNo.1と言われるものもなく、会津地方以外は、あま
り認知度が高くなっていない。
あえて強みと弱みに繋がる福島県の特徴をあげるとしたら、以下の通りである。そこ
でこの産業構造から支援すべき対象を明確にするとともに、最高の支援体制を準備し、
地元の産業に従事しているやる気や志のある経営者を見つけ出すことが重要である。
福島県の規模別事業所数(民営、平成16年)
産業分類(大分類)
中小企業
事業所数
大企業
構成比(%)
事業所数
合計
構成比(%)
事業所数
A
農業
333
100.0
0
0.0
333
B
林業
58
100.0
0
0.0
58
C
漁業
41
100.0
0
0.0
41
D
鋼業
82
100.0
0
0.0
82
E
建設業
12,381
100.0
4
0.0
12,385
F
製造業
8,935
99.2
74
0.8
9,009
G
電気ガス熱供給水道業
76
98.7
1
1.3
77
H
情報通信業
515
98.1
10
1.9
525
I
運輸業
1,826
99.8
4
0.2
1,830
― 12 ―
J
卸売
K
小売業
28,570
99.0
277
1.0
28,847
金融保険業
1,611
99.9
2
0.1
1,613
L
不動産業
4,126
100.0
0
0.0
4,126
M
飲食店、宿泊業
12,706
99.7
32
0.3
12,738
N
医療、福祉
4,157
97.6
104
2.4
4,261
O
教育、学習支援事業
2,599
99.6
10
0.4
2,609
P
複合サービス業
659
98.7
9
1.3
668
Q
サービス業(他に分類
19,095
99.4
111
0.6
19,206
97,770
99.4
638
0.6
98,408
されない物)
計
D-11
福島県内総生産の産業別構成比の推移
(県内総生産に占める割合は、第一次産業は横ばい、第二次産業は増加し、第三次産業は減少している)
8
9
10
11
12
13
14
15
16
第一次産業
2,226
2,009
1,781
1,776
1,617
1,611
1,544
1,551
1,526
第二次産業
29,878
30,151
29,688
28,245
28,681
25,315
25,329
25,011
26,356
第三次産業
52,280
53,137
53,212
52,922
53,588
54,115
53,050
51,303
52,613
計
84,385
85,297
84,681
82,944
83,886
81,041
79,923
77,865
80,495
項目
年度
※ 民営事業所のうち個人経営の農林漁家、家事サービス業、外国公務に属する事業所は、調査の
対象から除いている
※ 構成比は帰属利子等控除前の総生産額に占める割合 資料県情報統計領域「福島県県民経済計
算年報」(H18.12)
D-12
(1)建設業中心の産業構造
日本の全ての地方に通じるように、地場産業として建設業中心の産業構造になって
おり、この建設業は官の発注の仕事に依存していることが大きい。田中角栄元首相の
「日本改造論」の時代から、地方の産業構造は本質的には変化はなく、建設業が中心
産業となって地域経済が機能する仕組みになっている。国、地方の財政状況の悪化に
より、時代の要請として、箱物行政が続けられないという現実にどう対応するかが課
題であり、建設業は従来の官依存の体質を改善していく必要がある。加えて少子高齢
化によって従来の建設業の市場はこのままでは縮小することが予測されるが、地域を
活性化するため、新たな対策が必要である。
― 13 ―
都道府県別
普通建設事業費の減少度
1999年度(百万円)
2005年度(百万円)
増減率(%)
1
埼玉県
446,964
175,968
▲60.6
2
長野県
365,508
146,212
▲60.0
3
高知県
230,676
93,358
▲59.5
14
福島県
352,251
183,526
▲47.9
47
福岡県
319,720
253,739
▲20.6
全体
15,226,343
8,559,232
▲43.8
∼
都道府県
∼
D-13
建設業の倒産状況
(2006年1月∼8月実績)
都道府県
倒産件数に占める建設業の割合(%)
1
沖縄
62.5
2
青森
52.9
3
島根
48.0
4
長崎
47.6
5
大分
46.8
47
東京
16.3
⋮
順位
全国平均
29.4
D-14
地方の建設業の構造
中央
大手ゼネコン
準大手ゼネコン
民間市場
大企業
官公庁市場
ジョイントベンチャー
下請
地元ゼネコン
個人
大手
ハウスメーカー
下請け
零細企業
D-15
― 14 ―
(2)製造業において大企業の分工場の立地が多い
福島県の製造業においては中小企業が中心で、これらがほとんど下請け企業的な役
割を担っている。福島県は東京に近いことから、大企業の分工場が多い。従ってこの
ような分工場は一般に本社を向いて仕事をしているので、地域貢献に配慮をせずにあ
まり福島県にとってプラスにはならない。大企業の工場は自動化、ロボット化が進ん
でおり、また短期に福島県外から派遣を入れるなどするため、地域の雇用に余り寄与
しなくなりつつある。地域としては大企業の分工場が雇用の場面で空洞化しつつある。
公害対策についてはコントロールが難しくなりつつあるが、反対に大企業については
CSRを非常に尊重している傾向が強いので自分達で十分対応している。福島県とし
ては今後余り石油に依存しない無公害型の産業や、CSRの値の高い企業を誘致すべ
きである。
製造業における福島県の産業構造
福島県外
福島県内
大企業
分工場
下請工場
農業
下請工場
地場産業
建設業
林業
流通業
Etc…
D-16
― 15 ―
(3)地場産業は中小企業で構成されている
福島県内にも東京都大田区の下請け工場型の匠の技を持っている、大手企業の下請
けの工場がある。これに併せて地場産業が中小企業として存在する。このように中小
企業は大きく二つに分類される。そこで中小企業として対策をする場合は、一律に対
策することは難しい。しかし、行政としてはこの中小企業分野を本来優先して支援す
べきであり、ここで中小企業でかつ地場産業を対象とした県レベルの本来の産業政策
が必要になる。
(4) 従来の林業や農業が衰退しつつある
高齢化に伴い林業の従事者が急激に減少しつつあり、環境問題の CO2 吸収の視点
からも、活性化が求められている。しかしこれといった対策は無いのが現状で、農業
もまた同様である。
林業及び農業の減少状況
農業(人)
林業(人)
平成16年
A
3936
588
平成11年
B
4004
735
−68
−147
A−B
D-17
(5) 環境に関する強力な大学が無い
MOTやベンチャーにてこ入れできるような総合大学や工学系大学が弱体である。
このために、良い seeds を見つけたり中小企業の支援のための地域内での独自の技術
が少ない。従って余り福島県内の大学に限定しないで、グローバルに強力な大学との
コラボレーションをして、外部の大学から脱石油についての知識資産を活用させても
らい、そして支援が必要である。残念ながら福島県内の大学だけではビジネスのシー
ズが余り出てきていない。しかし、地域の大学にも参加してもらい、将来実力を養う
ような方策を取るべきであり、既に述べているように、この分野は未開拓であるので、
大学にとっても良い将来のビジネスチャンスや研究テーマとなり得るので今後に期
待したい。
大学の地域貢献度ランキング
順位
大学名(本部所在地)
総合得点
1
宇都宮(宇都宮市)
66
2
北九州市立☆(北九州市)
65
3
鳥取(鳥取市)
63
4
九州(福岡市)
62
5
梅光学院★(山口県下関市)
61
― 16 ―
立命館★(京都市)
60
7
岩手(盛岡市)
59
7
山形(山形市)
59
33
福島(福島市)
49
33
筑波(茨城県つくば市)
49
33
滋賀(滋賀県彦根市)
49
33
長崎(長崎市)
49
33
名古屋学院★(愛知県瀬戸市)
49
38
鹿児島(鹿児島市)
48
38
高知女子☆(高知市)
48
38
広島女学院★(広島市)
48
41
秋田(秋田市)
47
41
山口(山口市)
47
41
熊本(熊本市)
47
41
大阪府立☆(堺市)
47
41
愛知★(愛知県豊橋市)
47
41
大阪産業★(大阪府大東市)
47
47
南山★(名古屋市)
46
48
福井(福井市)
45
48
山梨(甲府市)
45
48
島根(松江市)
45
48
横浜市立☆(横浜市)
45
48
北陸★(金沢市)
45
48
京都産業★(京都市)
45
48
阪南★(大阪府松原市)
45
48
福岡★(福岡市)
45
∼
6
(注)無印は国立、☆は公立、★は私立、同順位は国、公、私の順
D-18
(6) 地域金融機関
産業を振興するためには資金調達の機能として地域の金融機関が不可欠な要素と
なる。福島県内ではバブル崩壊後地域の金融機関が倒産、リストラしてその後は新し
い分野への投資では意欲に欠ける傾向が強くなり、地域のための資金調達を考慮しな
いと産業を振興することが困難になっている。特に中小企業は資金調達をすることが
― 17 ―
難しくなっている。そこで中小企業の活性化ファンドを立ち上げて、リスクをこのフ
ァンドで吸収する方式が考えられる。さらにこの解決策としては地域金融機関を育成
し、また新しい考え方を啓蒙することが必要である。メガバンク(大手都市)銀行は
地域の金融機関より中小企業に対する融資する比率は低く年々減少している現状に
ある。
(企業向け貸出残高:2000年初
220兆円→2006年初 170兆円)
。
出所:日本銀行
地域金融機関は自治体依存が高い(2006年3月期)
順位
銀行名
地方自治体向け貸出金残 地 方 自 治 体 向 け 貸
高(百万円)
出比率(%)
青森銀行
315,174
23.4
2
北都銀行
145,607
19.8
3
秋田銀行
210,512
17.1
4
岩手銀行
191,337
15.6
5
大分銀行
230,392
14.5
5
北洋銀行(単体)
559,280
14.5
5
七十七銀行
443,271
14.5
8
東邦銀行
270,756
14.4
8
鳥取銀行
83,299
14.4
りそな銀行
353,691
1.9
三井住友銀行
735,327
1.4
三菱東京UFJ銀行(単体)
833,649
1.4
みずほ銀行
277,685
0.8
15,277,284
3.7
・・・
1
参考
全銀行
D-19
(7) 福島県内での地域格差拡大の傾向が予測される
首都圏への人口の一極集中化という問題があるが、同様に福島県内でも郡山市だけ
が生産が増加してその他の福島、いわき等の都市部での生産が減少することが下記の
通り予想されている。したがって郡山周辺に人口が集中してそれ以外の地域はさらに
過疎化が進む可能性も出てきている。そこで、より分散して中小企業を活性化する県
レベルの産業構造化の産業政策が求められている。福島県内では、県民に良い生活環
境を提供するには均衡の取れた人口、生産の分布が必要であり、この意味からも、各
産業分野を通じた中小企業の活性化が求められている。
― 18 ―
人口減少化における地域経営について∼2030 年の地域経済シミュレーション∼
都市圏別枠内総生産の変化予測
都市圏名
2000 年(億円)
2030 年(億円)
福島市
15,893
15,484
▲2.6
7,625
6,767
▲6.8
郡山市
22,421
22,501
+0.4
いわき市
15,070
14,349
▲4.8
白河市
4,258
4,082
▲4.1
原町市
2,669
2,298
▲13.9
喜多方市
1,675
1,496
▲10.7
二本松市
1,782
1,685
▲5.5
64,149
66,905
+4.3
1,596,450
1,767,368
+10.7
会津若松市
福島県
参
考
経済産業省経済産業政策局資料に基づいて作成
仙台市
東京都特別区
変化率(%)
上図の前提条件
・ 2000年から2030年まで日本の総人口は1363万人減少する。
・ 生産年齢人口はその1.3倍の1824万人減少する。
・ 65歳以上の人が総人口の3割を占める。
・ 国と地方の長期債務は現在、国内総生産の約1.5倍にのぼり、経済再建へ
の足がかりは、見えない。今後、財政再建を本格化すれば、歳出削減は避け
られず、公共事業に頼っている地域経済ほど苦しくなる。
・ 経済のグローバル化で製造業の海外移転が進み、国内の工場立地件数は減少
傾向にある。
D-20
(8)福島県の現状
事業の従業者数で見ると、主たる福島県の産業である建設業、製造業が全国平均よ
り減少の幅が大きい。たとえば建設業者の廃業者件数は全国で2004年で1万40
00業者、2005年で4万業者と大幅に増えている。既に減少の比率が農業林業に
おいては、止まらない状況にある。特に農業においては、全国平均では増加に転じて
いるにもかかわらず、福島県は減少してその差は12%近くになる。これは農業の企
業化が遅れている理由が考えられる。福島県は現状で見る限り、中小企業の活性化が
緊急の課題である。
― 19 ―
福島県内の産業別就業者増減状況
農業
林業
建設業
製造業
運輸業
その他
計
福島県
(平成
16 年)
人
構成比
3,936
588
91,266
196,046
39,424
491,825
823,085
0.48
0.07
11.1
23.9
4.8
60
100
−1.7
−20
−16.2
−13
2.7
1.9
−4.3
(%)
増加率
(%)
全国
(平成
16 年)
166,338 17,410 4,382,413
人
構成比
9,940,449 2,822,174 34,738,612 52,067,396
0.32
0.03
8.42
19.1
5.42
66.72
100
10.2
−13.8
−13.9
−11.8
−3.2
1.12
−3.2
(%)
増加率
(%)
※ 産業(大分別)別民営事業所数の従業者数 平成16年度
※ 増加率は平成11年度と平成16年度の増加比率を示している
D-21
このため、高付加価値をつけた中小企業の高度化と人材の育成をし、脱石油、脱エ
ネルギーをべースとしての産業振興を図るべきである。
2-3
中小企業を対象とした地域活性化の意義と目標
地域活性化は地元の中小企業(地場産業)を元気にするような誘導的な産業育成政策
が必要であり、脱石油という環境変化をレバレッジ(テコ)にして中小企業の意識改革
をしながら、新しいビジネス分野への展開を図るべきである。具体的には以下の通りで
ある。
(1)ビジネスと環境の両立ができる健全な企業経営を育成する。
・ 脱石油、省エネルギーといった環境技術やノウハウを活用をした利益が出るビ
ジネスの立ち上げを促進する。
・
補助金に依存しないで利益を出してビジネスとして成立させる。
― 20 ―
(2)脱石油、省エネルギーを中心とした環境に優しいビジネスの確立をする。
・
石油に依存しないビジネスを追求する。
・
省資源型のビジネスを追求する。
(3)知識のある高齢者層を活用することにより新しい時代の労働形態や労働資本を追
求する。
・
若年層だけを選択して使う時代は終焉している。
・
高齢者の賃金コストは年金等と並行すれば安くなる。
・
高齢者の人材は豊富であるので福島県内に中高齢者の労働市場を創る。
・
中高齢者の Skilled worker(Knowledge Aging)の再活用モデルとする。
(4)中小企業の特徴と強みを追求してこれを地域活性化の源泉とする。
・
小回りが利く
・
スピード
・
判りやすい
・
地域密着型企業
・
責任が明確
( 5 ) 社 会 と の 連 携 す る た め に 中 小 企 業 レ ベ ル で も C S R (Corporate Social
Responsibility)を充実させるように指導する。
・
浮利を追求すべきでない。
・
中小企業として社会的責任の遂行をする。
(6)企業としての地域や社会に存在価値を追求し共生を図る。
・
何のためにビジネスをするのかという哲学を明確にして地域に貢献し調和す
る必要性がある。
・
人材の育成、人的資源の増強
・
地域だからこそ生き残れる企業
・
福島県地域の資源(モノ、金、人)を活用
― 21 ―
第3章 今 後 の 展 開 方 向
3-1
脱石油のビジネスモデル化
従来、脱石油やエコの分野は産業分野として認知されていなかったが、米国とヨーロ
ッパでは産業分野として勃興しつつある。米国では2006年後半から有力な一流ベン
チャーファンドの分野に積極的に投資を開始しており、ビジネスとして認知されつつあ
る。そこで先駆けてこの新しい分野を福島県の産業の中核と位置づけ、今後50年間は
続くビジネスとして検討したい。
まずここで脱石油モデルを構築するにあたり、福島県という地域性を勘案しながら地
場の産業を振興するという以下の基本的な考え方でアプローチしてみる。
脱石油、エコロジーのビジネス化の構図
脱石油エコロジーの
トレンド
なぜ必要
1.石油価格高騰
・中東の地政学リスク
・BRICsの需要
2.環境問題
・CO2温室効果ガス
3.日本経済の成熟化
・知識産業への移行
[地域活性化のためのソリューション]
脱石油エコロジーと融合した産業の
活性化
市場のニーズ
生き残れる要因
1.脱石油産業化
1.地場産業の高度化
2.省エネルギー化
3.健康、安全指向
4.地域の文化、知識資源の活用
5.新規ビジネス創出
6.地域活性化のファンド創出
4.グローバル競争激化
2.環境にやさしい
3.健康指向
4.グローバルでNo.1化
5.地域の特徴、差別化
地域の直面する環境
地域の衰退の進行
1.東京一極集中化
・人、モノ、金
2.地域産業の衰退
3.高齢化、少子化
4.人材不足
D-21
(1)脱石油・エコロジーのトレンド
2007年になって脱石油、省エネのトレンドは急速に世界的に関心を持たれるよ
うになっている。その原因は2007年の冬は暖冬で、皮膚で地球温暖化に対する危
機感が判ってきた。これに「不都合な真実」のような啓蒙活動が盛んになって、国民
レベルでの問題意識が高くなっている。
次いで、今まで脱石油や省エネに冷淡であった米国政府が中間選挙で敗れて民主党
が大多派となり、環境問題を冷遇できなくなり、2007年1月に米国の環境対策政
策転換を余儀なくされている。従来は EU 諸国が中心に脱石油、エコロジーを推進し
― 22 ―
ていたが、これに米国が加わることによりほとんどの先進国が推進することになり、
この影響は大きい。
このように世の中のトレンドのベクトルは地球温暖化を避けるために、急激に脱石
油省エネへ力を入れるようになってきている。
従って社会的な盛り上がりが今までになく発生しつつある。ここで全ての脱石油、
省エネの対策の傾向を列挙したが、個人レベルで実行すべきものが多い。しかし福島
県の地域内のビジネスとしてできるものは、これらのアイディアから取り入れて全て
検討することとする。
グローバルなトレンド
主な対策
国家レベル
石油から代替
「原子力立国」の実現
エネルギー
「世界最先端エネルギ
企業レベル
個人レベル
エタノール製造
ー需給構造」の実現
グリーン電力
バイオマス由来燃
バイオマス由来燃料
料
太陽光発電
ソーラー発電利用
風力発電
風力発電利用
石油消費量を
リサイクル
減らして節約
再生紙を使う
再生プラスチック
リサイクルを前提
地元産品を購入
として設計製造
3R(reduce,reuse,recycle)
消費量を減らす
長持ちするものを使う
プレリサイクル
包装を避ける
リサイクル
紙を無駄にしない
買い物バッグを持参
マイボトル(ペットボト
ルは使わない)
推肥
食生活を変えて肉の摂取
量を減らす
地場産のものを買う
― 23 ―
地域内流通化
省エネ
[住宅ビルディ
省エネビルディン
省エネ住宅(自宅)
ング]
グ
省エネ型照明
省エネ型電気製品
電気製品のメンテナンス
冷暖房の効率アッ
冷暖房の効率アップ
プ
家屋の断熱
待機電力の効率化
[自動車その他
IT を利用した配送
ライドシュア
交通手段]
して生む
賢く運転
省エネ車の開発
燃費の高い自動車の購入
ハイブリッド車
代替燃料
燃料電池自動車
在宅勤務
在宅勤務
飛行機での移動を減らす
代替材料
CO2 の吸収
非石油系材料
植林をする
植林をする
資源エネルギー獲得の
ための総合戦略
社会活動
啓蒙活動
エコファンドの設
自分の投資のエコへ影響
エコファンド設立への
立と活用
環境団体の支援
協力
政治的な行動
環境団体の活用
気候変動について学ぶ
D-22
― 24 ―
(2)新規ベンチャーだけでなく既存の地場の産業や企業を改革して全体的に地域経済
を活性化させるスキームを検討する。
①
従来の地方の産業を活性化させるために脱石油というインパクトを活用する。
②
製造業だけでなく建設業、農業、林業等の既存の古い基幹産業を活性化させる
ために脱石油化とエコを活用する。
(3)地方を中心に考えることによって地域の独自性を促進する。
①
首都圏中心からの発想を転換して地方から情報を発信する体制作りをする。
②
地方活性化のために何ができるのかを追求する。
③
全国一律でなく地方としての特徴を追求していく。
・
中央省庁の政策の単なるコピーをしないで、さらに地方に最適合化させる
(break down)ようにする。
・
中央省庁の縦割り行政を地域向けに再編成し最適化させる。
・
日本でNo.1を目指す分野を創り出す。
・
ニッチな分野でも良いので特徴を出す。
・
グローバルに通用するものを追求する。
(4)ソリューション型のビジネスを構築するとともに市場経済原理を導入し、これを
育成する。
①
先駆けて市場ニーズを分析しその顧客のニーズに答えることにより市場をリ
ードする。
②
コンサルティング機能が欠けているので補充して能力や人材を開発したり、外
部の人材を活用する。
・
中高齢者の活用をする。
・
知識や知恵はグローバル求めてそれをグローバルに販売する体制づくりを
する。
③
グローカルな視点を導入する
・
グローカルという、グローバルでローカルな発想が必要である
(5)社会システムとしてトータルにメリットを出す。
①
個々のビジネスとトータルの社会システムとしてのバランスを出させながら
利益を出す。ここが地域社会での強みを出せる重要なポイントとなる。
②
教育と人材育成も含めて考慮する。
③
社会のセーフティネットを併せて検討する。
(6)エコロジー及び脱石油についての知識化
①
エコロジー及び脱石油のノウハウを知識化して販売する。
②
エコロジー及び脱石油を知識財産としてみる
(7)モデルの検証
①
常に検証をする。
― 25 ―
②
環境と経済の両立」が達成できるようにモデルを考慮し実行する。
脱石油問題解決のプロセス
一般化
グローバルへ発信
ビジネス化
グローバルレベル
新しい地域産業
知識化
モデル化
提案・
実行
D-23
3-2
従来の脱石油対策の限界とその反省点
今まで1974年のオイルショック以来、日本はいろいろと脱石油化の試みは続けら
れてきた。しかしながら成功もしているが失敗もしている。それらの反省と経験に基づ
いて、より成功の確率を高めていきたい。
(1)目標設定が不明確
(2)プロジェクトに対するフォローアップが不十分
①
実行されたプロジェクトは放置されて評価が不十分であった。
②
分析が必要
(3)ビジネスとしての有効性の追求の不足
①
利益を出るモデルが作られていない。
②
単に補助金に依存するビジネスである。
(4)トータルのアプローチ
①
縦割り行政でトータルアプローチがされていない。
(5)実験中心で終わっている
①
石油価格が下がると興味が薄れて長期に継続する体制を考えていなかった。
ビジネス化に対する熱意に欠けていた。
― 26 ―
3-3
脱石油化を中心とした地域振興策と中小企業の活性化
知識をベースとして地域の中小企業が相互に波及効果と相乗効果を出すようなクラ
スター型にし、単発の企業を成功に導くのではなく、地域全体を活性化するような
win-win な関係を地域として創りたい。
(1)脱石油化をテコにして旧い形態の産業から脱却を図る。
建設業のように従来の官庁受注形態から脱却するためには、新しいアイディアとし
てエコロジー型建設技術を取り入れたビジネスが必要となっている。海外では一般化
しつつあり、既に大手ゼネコン、住宅メーカーは試験中である。ここで中小の建設業
者が地域密着したエコロジー型建設業を検討すべきである。
(2)中核となるのは知識をベースとしたコンサルティングを含めたソリューション型
アプローチすることが必要。
脱石油化による地域に与えるインパクト
エコロジー、技術ノウハウ
産業のクラスター化
既存ビジネス
新規ビジネス
地域の活性化
雇用の吸収
地域の消費拡大
D-24
この事例は社会システムとして捉えるならば非常に参考となる。しかし産業政策や
企業の活性化については余り成功していないので、我々としてはこの段階よりもう一
段上を試みることにする。
3-4
環境問題を通じて活性化の波及効果
地域社会の全体が活性化するために各事業分野の最適化を図りつつ、全体の整合性を
持たせることが必要である。従来は個別に対応していたが、全体としてのアプローチに
― 27 ―
より、相互が win-win 関係になるように需要の掘り起こしが必要になっている。
事業分野
住宅
製造工場
運輸
農業
林業
目標
エコハウス
エコ工場
エ コ ト ラ ン エコ農業
エコ林業
ス
エコパッケ
ージ
波及ビジネス 建設
機器
効果
設備
要素
建設
機器
輸送
設備
梱 包 農家
電器
技術
林業
資材
業
建設 エコ 建設 省エ 自動 紙
技術
資材
農業
ネ機 車
プ ラ 技術
器
スチ
林業
技術
ック
イノベーシ IT技術
製造技術
代 替 エ ネ ル バイオ技術
材料技術開
ョン
IT技術
ギー
発
IT技術
省石油製品
知識
蓄積
蓄積
コンサルテ
蓄積
蓄積
蓄積
ITを活用したソリューション
ィング
経営指導
福島県内で考えられている脱石油及びエコをベースとして産業振興するための具体
的なビジネス対象及び市場を検討し、基本的なビジネス発足を図りたい。
3-5
支援のためのスキーム
脱石油化を成功させるためには地域社会全体で支援、育成するようなスキームが求め
られている。
(1)問 題 点
①
中小企業のため情報量が少ない。
②
新しい環境変化に対する問題意識が低い。
③
経営的なスキルが不足している。
(2)社会システムとして方向づけをする。
①
コンサルティング、経営相談をする。
②
技術情報を共有化する。
③
業界で組合組織の検討する。
(3)中小企業向けの融資制度(エコファンド)を確立して資金面でのフォローをする。
単に補助するのではなく、ビジネスを査定して融資をする。
― 28 ―
3-6
脱石油促進のためのファンド(エコファンド)の設立
民間のやる力と民間活力を引き出さなければ活性化は生じない。従ってこのために民
間の力を引き出すような地域密着したファンドづくりが必要となる。既に米国では20
06年に有力なベンチャーファンド(民間活用)が環境ビジネスを睨んで29億ドル(約
3500億)を投資している。エネルギー中心であるが前年比78%増加している。日
本でもビジネス向けエコファンドを設立する時期が到来している。
(1)目
的
脱石油に特化して事業化や地域活性化をするために円滑に資金を供給する。また補
助金と決別してビジネスとしての可能性や将来性を判断するためにはファンドが最
適である。地元の資金と地元で活用して成功するのが本来の金融の機能であるが、福
島県内での預金が未だ域内で十分に投下されてない。
(2)効
①
果
脱石油に特化することにより、融資判断や事業化に関するノウハウが蓄積され
る。
②
ビジネス化できるかどうか結果が明確に判明する。
③
地域金融機関だけでは対応できないので、社会的に協力体制を組む必要があり、
地域外からも賃金を調達する。
④
リスク分析が明確になる。
― 29 ―
⑤
各融資企業に対してケアやフォローができる。
⑥
経営に対して各専門家が的確なアドバイスができる。
⑦
中高齢者向けの安全な投資先を構築する。
(3)規
模
30億円程度
(4)融 資 額
1億∼5億円程度
(5)機
能
①
地域の金融機関とタイアップして地域の資金供給チャネル作りをする。
②
脱石油企業大手とのコラボレーション
③
経営機能の支援
地域参加型エコファンドの役割分担図
地元金融機関
コンサルタント
ファンド
地元投資者
会計士
査定
融資
経営指導
一般ファンド
中小企業
弁護士
県・地方自治体
リターン(融資、利子又は株)
参考:
【環境配慮企業を対象に債権・証券化】
日本製作投資銀行は工場の省エネルギー促進等の環境に配慮した経営をする企業
向けの再建を証券化して一般に2007年4月から販売する。個人や投資家から幅広
く資金を集めて、環境改善に貢献する企業を育成する。2007年度中に約400億
円の債権を証券化する計画である。今回は非上場企業の債権を証券化するため環境保
護に関心が高い個人の資金が中小企業人も流れるようになる。
更に環境に配慮した経営をする非上場企業に出資するファンドも新設する。201
― 30 ―
0年までに約500億円の投資をする。
3-7
効果の測定
ビジネスを成功させるためには、常に効果を測定してチェックして、支援することが
必要である。単に「絵に描いた餅」に終わらせないために、定期的な効果測定とその結
果に対するフィードバックが不可欠である。
[測定基準]
(1) 売上げ高等の規模の拡大
(2) 利益率
(3) 市場占有率(マーケットシェア)
(4) 潜在市場の規模
(5) 社会に対する貢献度、CSR
(6) 競争力、差別化する能力
[測定判定者]
(1) ファンド及び投資家
(2) コンサルタント
(3) 公認会計士、弁護士
― 31 ―
第4章 ビジネス分野ごとの展開
脱石油及び省エネルギーに対する各分野ごとの取り組みについて見ていくことにし、
各分野はクラスターと言われるように地域で相互に関連し合っており、展開パターンは
以下の通りに分類できる。
地域産業のクラスター展開のパターン
高付加価値
1
他産業
関連産業
3
産業
2
シナジー効果
1.垂直的な高付加価値創造による産業自体の高度化
2.水平的な展開による関連産業とのシナジー(相乗)効果の創出
3.間接的に他産業とのシナジー(相乗)効果の創出
各ビジネスの展開プロセス
付加価値
製造業
目標
高
ハイテク
農業
建設業
低
林業
高
低
面的な集積(多分野とクロスオーバー)
― 32 ―
4-1
建 設 業
(1)現状分析
ここでの環境に関わる市場は大きい。製造業では省エネ対策として改造改築工事が
あり、これは大企業の工場から地元の中小企業まである。また、官庁関連のエコ建物
及び民間個人の住宅も大きな市場となる。従って、建設業は福島県の基幹産業である
ので、やる気のある建設業者を選定して、成功事例を作る必要がある。
元請け・下請けの事業範囲との関係図
元請け・下請けの関係は事業範囲で異なる
事業範囲
中央(全国展開)
元請け
業者間の関係
領域A
中央ゼネコン
地域
領域C
地域ゼネコン
下請け
領域B
大手専門工事
設備・橋梁など
領域D
専門工事
鳶・土工・左官など
(2)市 場 性
福島県内の建築市場は民間、公共ともに市場が縮小してきている。公共市場は別に
しても、民間市場は企業努力によってある程度至上の縮小は挽回できると思われる。
その対策の一つが脱石油であり、省エネルギー型住宅へのアプローチである。
― 33 ―
新設住宅着工数の推移
(単位:件、%)
年
15年
前年比増
項目
16年
減率
前年比
17年
増減率
前年比
増減率
全
持家住宅
373,015
2.1
367,233
△1.6
352,577
△4.0
国
貸家住宅
458,708
0.9
467,348
1.9
517,999
10.8
給与住宅
8,101
△15.1
9,412
16.2
8,515
△9.5
分譲住宅
333,825
5.6
349,044
4.6
370,275
6.1
1,173,649
2.5
1,193,038
1.7
1,249,366
4.7
合計
福
持家住宅
7,035
△4.5
6,926
△1.5
6,590
△4.9
島
貸家住宅
5,428
1.2
5,361
△1.2
5,052
△5.8
給与住宅
111
△24.5
41
△63.1
40
△2.4
分譲住宅
1,167
△19.6
1,153
△1.2
1,176
2.0
13,741
△4.1
△1.9
12,858
△4.6
合計
13,481
D-26
(3)環境との関連及び新規性
①
省エネ、省資源のビル、一般住宅の建設。最新技術による光熱費のかからない省
エネビル、住宅が建設運用時のCO2排出量を減らす
[事例4−1−1] 米国のエコハウス
一般に米国は京都議定書に反対してエコに関して遅れているように考えられている
が、民間レベルでは非常に進んでいる。
A:エコ住宅(米国再利用のケース)
B:省エネハウス(米国省エネルギーのための個人住宅)
① 夏は涼しく冬は暖かになる家に
② 目標60∼70%省エネ
③ 太陽電池パネル蒸発による冷却装置
④ 屋根に反射塗料・・・太陽熱を遮断
⑤ 厚い壁・・・夜間の冷気を蓄える工夫
C:太陽光を利用したオフィスビル(米国NYハースト本社ビル)<別添資料2>
⑥ 22%電力消費量改善
⑦ 太陽光のみ通し、熱は遮断する特殊ガラスを使用する等の工夫により節電効果をア
ップ
⑧ 屋上に降る雨も再利用(水道節約と下水節約)
― 34 ―
[事例4−1−2] 一般個人向けエコ住宅ビジネス
1.会社概要
(1) 会社名:株式会社オクタ(OKUTA Family 一級建築士事務所)
(2) 本社所在地: 埼玉県さいたま市大宮区宮町 3-25 OKUTA FamilyBuilding
(3) 事業内容:
新築・増改築リフォームの企画・設計・施工・アフター管理
(4) 資本金:
50,000千円
(5) 売上げ:
4,507,000千円
(6) 設立:
1992年1月
(7) 代表者:
代表取締役会長:奥田 勇(おくた いさむ)
代表取締役社長:山本拓己(やまもと たくみ)
(8) 従業員数:
167名
(9) 企業ミッション:
OKUTA Family は誠実な社員と理解ある顧客と健全なる取引先との最高の
信頼関係を構築し、地球環境の原則を尊重する企業を目指す
2.ビジネスについて
当初は首都圏の北部を中心に従来通りの新築、リフォームの事業を展開していた。し
かし少子高齢化の時代を迎えて、従来の発想ではビジネスの展開や発展は考えないこと
で、従来のビジネスモデルに見切りをつけて新しいモデルを探した。それは高付加価値
で規模(スケールメリット)を追わないで、エコを中心においてビジネスモデルを考え
出した。
3.環境宣言
「私達はこの度「環境と健康」というキーワードをもとに、地球環境の原則に則って、
建築建材の選定選別や環境住宅リフォーム技術の研究を推進していくため「地球環境の
原則を尊重する住宅リフォームの会社」への転換を宣言します。未来ある子供達の為に
私達は今出来ることから始めなければなりません。
OKUTA では、製造段階や施工時、使用中や廃棄時における有害性のある建材の使用
を今後自主規制していく方針です。まず 始めに2002年9月1日受注分からの塩化
ビニルクロスの受注を禁止し「脱、塩化ビニルクロス」を実施しています。
このことは企業存続における大変なリスクを伴いますが、環境問題だけではなく経済
的にも破局に直面している世界の真実を知らなくてはなりません。物質的な豊かさを追
求してきた私たちは、売上至上主義から環境調和、循環、永続可能な企業へ転換し進化
なければなりません。
OKUTA は創業10年で重要な転換期を迎えています。このことは過去の10年間を
否定することではありません。ここまでたどり着く為の10年間であると考えます。
― 35 ―
我々が勇気を持って挑戦し示していくことに我々の本当の存在意義あると考えていま
す。私達が生業としている住宅リフォーム業などの建築業界がどのような成長を求めて
も、地球環境の原則に従わなくてはいけません。地球環境の原則とは、世界の森林、山、
水をはじめとする繊細な生態系の安定と、人類の活動が地球資源のキャパシティを越え
てはいけないという根本的な原則のことです。
私たちはこのたび「環境と健康」というキーワードをもとに、地球環境の原則に則っ
て、建築建材の選定選別や環境住宅リフォーム技術の研究を推進していくため「NPO
Eco Reform 推進協議会」の設立を行い、「地球環境の原則を尊重する住宅リフォーム
会社」への転換を宣言します」
。
②
グリーン施工:建設時の建設材や廃棄物を削減し建物建設時のCO2を減らす。
[事例4−1−3] グリーンビルディング
1.動向
米国ではほとんど全ての建築プロジェクトについて「グリーンビルディング」は現実
性のある選択肢となった。ハーストビル、バンクオブアメリカ、ジュンサイム、IBM、
トヨタ等、建築例も着実に増加して、世界的な認証基準も設定され始めている。
(1)間接費を削減し、従業員の生産性を向上させ、アブセンティズム(勤労意欲の低
下による長期の欠勤)を減少させ、執務環境としての魅力を高めて従業員の離職
率を低下させる。
(2)住宅建築業者、小売業者、医療機関、政府などにおいて今後5∼10年でグリー
ンビルディングを採用するケースが増加するにつれて、建築業界の主流になり、
欠かせない存在となるだろう。
(3)世界的に拡大している。米国だけでなく、イギリス、ドイツ、インドでも導入さ
れている。
2.普及の理由
(1)新築か改築かを問わず、信頼できる建築物の評価基準と性能測定システムが確立
されたことで、グリーンビルディングへの認識は一変した。例えば2000年、
ワシントンDCにあるアメリカ・グリーン・ビルディング協会(USGBC)は、
厳格な評価基準である「LEED」
(Leadership in Energy and Environmental
Design)を導入した。LEEDはイノベーションや設計プロセスなど六分野か
ら建築物を評価し、この評点に従って、認証、シルバー認証、ゴールド認証、プ
ラチナ認証を与える。LEED以外にも、イギリスの「BREEAM」
(Building
Research Establishment’s Environmental Assessment Method)やオーストラ
リアの「グリーン・スター」といった評価プログラムがある。
― 36 ―
(2)アメリカや海外における数百件の調査結果によって、グリーンビルディイングの
経済性が証明された。
③
既存建物の改修。古くなった建物を省エネルギーに改修しCO2、排出量を減ら
す。
④
古民家等の保存、活用しビジネス化する。東京地区では一部富裕層に古材で建築
する需要がある。
[活動している組織]事例
・ 古材文化の会(http://www.wood.jp/)
・ 日本民家再生リサイクル協会(http://www.minka.gr.jp/)
⑤
福島県産木材の建築への利用し、林業とコラボレーションを図る。
[福島県産木材の建築での活用促進]事例
事業名
「とってお木」利用促進事業
内容
福島県産木材を無償提供
事業主
福島県
地域住宅交付金(地域経済活性化事 地場木材活用促進(商品券の支給) 南会津町
業)
福島県発注建築
福島県産木材の使用を義務付け
福島県
(4)ま と め
従来の建設業とは異なり、箱物(建物、ハードウェア)を作るという発想を捨て顧
客が満足するソフトウェアを含めたサービスを提供するという発想からスタートし
なければなりません。少子高齢化により人口減少となり、量的な建築市場の拡大は期
待できないので、高い付加価値を重視し、そこでエコと健康というサービスの発想に
切り換える必要がある。
高齢化時代を迎えるとロハス、スローといった環境に調和した健康的な生活をした
がっている人達が増加しつつある。木材の活用や土壁の見直しが行わされて、ハウス
シック等を避けるため、新建材等の人工的に加工されたものを避ける傾向が流行して
いる。その意味で日本の建築市場は成熟してきたので、この層や市場のセグメントが
形成されており、これらの層をとらえることが必要である。
また設備業と組んでエコ向けの建築を検討すべきであり、すでにこのような動きを
実施始めた企業があり、これらの企業を参考にしてこれを超えなければならない。こ
の分野での課題はエコハウス、エコビルディングをどうプロモーションしてそれをマ
ーケティングに結びつけるかが重要な課題である。
― 37 ―
建設業界はこの部分が弱いので、外部からの新しい手法やアイディアを積極的に取
り組むべきである。
①
必要な対策
イ. 潜在的な市場はあるが、グリーンビルディングのような技術やマーケティン
グを地域で開発し中小建設業に技術移転するなど、新しい市場を開拓する努力
が必要である。
ロ. 官への依存の脱却および近代的な経営の導入をして企業の体質の改善を図る
など、中小建設業経営者の意識改革をする必要がある。
ハ.技術開発や技術移転するためのコラボレーションの必要がある。
ニ.ゼネコン等大手と地域中小企業建設業とのすみわけを検討する必要がある。
②
公共事業向けのECO建物
公共の建物は今後ECOを優先して建設する時代になっているので、建設業者に
とっては、ビジネスチャンスである。
イ.大手ゼネコンと地元産業の差別化を以下の通り出していく。
・地元に合った特徴ある提案をする。
・アフターサービス面での地元の有利性を出す。
ロ.公共事業でのECO建物やグリーンビルディングを発注する。
③
一般住宅向けのECO住宅
エコロジーと健康指向に合った建物を求めており、特に富裕層ではハウスシック
等にかからない天然素材を中心とした建築に非常に興味を持っている。
既に首都圏ではこれらの市場が形成されつつあるし、この分野をドメインにして
成功している企業の事例がある。
④
福島県産の資源を活用するモデル作り
福島県産の資源を活用することにより、運送等の石油消費が削減されて、脱石油
の効果が上がることが期待できる。エコ、健康をベースとした福島県産のエコ、ロ
ハスの建築資材のブランド作りをしながら、福島県産の資源を拡大すべきである。
近年ハウスシック等から自然素材の木材や壁工法が再び着目されて利用されつつ
あり、これらを一つの体系化して利用できることを紹介して実際に利用実績を作る
ことが必要である。
イ.福島産木材資源を建築分野での活用
[事例4−1−4] 福島市
木造住宅建築
(1) 会社概要
会社名: 会津建設株式会社
代表者: 芳賀
本社
一夫
: 福島県福島市南中央3−2
資本金: 4,980万円
― 38 ―
主たる設備
:製材工場、プレカット工場、職業能力開発校、福島南展示場、
郡山北展示場
従業員数
:74名
累計完工棟数:4,171棟
(2) 会社案内
美しい風土に彩られる日本の気候風土は高温多湿。この四季条件を愛し克服する住
まいが「木の住まい」と私たちは考えます。
また、会津建設の家は「自由設計」。今をどう住むか‥将来をどう住むか‥をお客
様と一緒に考え、お客様の個性を活かした納得できる住空間を作り上げます。
まずは会津建設の家を見てください。そこから「自由設計」+「木の住まい」が始
まります。
大きなリビング、会話が絶えない対面式キッチン。時にはバルコニーで食事・・今
まで考えてきた家のことをすべて私たちにお聞かせください。
日本人にとって親しみ深い木造住宅「自由設計」+「木の住まい」。私たちが、お
客様おひとりおひとりの家を誠心誠意、真心を込めて、 納得できる「家」づくりのお
手伝いを致します。
ロ.福島の伝統工芸の活用
会津の漆塗り等の伝統工芸を使った家、家具作りとタイアップまたはコラボレ
ーションをする。
[事例4−1−5] 会津漆塗り
株式会社
坂本乙造商店
住所:福島県会津若松市大町1−4−51
建築用プロダクトとして漆工芸を下記の通り提供している。
・ 壁画パネル
・ エレベーターパネル
・ 茶室/照明付パネル
・ 双幅パネル:金銀さざれ波
2005年8月経済産業省『第一回ものづくり日本大賞』受賞
2006年5月経済産業省『明日の日本を支える元気なモノ作り中小企業 300 社』
に選定
ハ.労 働 力
−職人(大工、左官、等)の伝統を継承させるための支援プロセスの検討
― 39 ―
⑤
古民家を活用した住宅
これについては十分にビジネス化でき、古民家専門業者がいるので、すぐに参入
できる分野である。また歴史とエコのもったいないというアプローチから、ビジネ
ス化すべきである。
・過疎化した農家の古民家の活用
・モデルルームを作り、紹介
・中高齢のUターンIターンの動きと連動させる
⑥
エコだけに止どまらずその他の付加価値を併せてつけることも検討する。
・耐震建築
・高齢者向けのユニバーサルデザイン建築
― 40 ―
4-2
農
業
(1)現状分析
近年、高齢化は特に農業に影響を強く与え企業化やビジネスという視点でもう一度
見直しを考えるに至っている。
しかしながら農業にもグローバル化の波は高く、米国産、中国産を始めとした世界
中で価格の競争が激化したために、価格分野の競争も必要だが、他の分野での付加価
値や消費者の納得性が満足度を得るようなビジネス戦略が求められている。農作物と
いうより商品というアプローチが必要である。
具体的には、安くても米国産のBSEの可能性のある牛肉や、中国産の残留農薬の
高い野菜を消費者は買わないことで証明されている。
(2)市 場 性
①
エタノール製造農業
エタノールが検討されるが、一般にトウモロコシ、テンサイ、サトウキビ等から
抽出されている。我が国の農業でこれらの作物を大規模に耕作しスケールメリット
を出すことは難しく、現状ではコストで米国やブラジルと競争することは困難であ
り、穀物価格が既に急騰しており、価格的に経済的に競争力が維持できるか難しい
状況にある。また長期的には世界の人口増加により食料の需要が大きくなれば、ト
ウモロコシや大豆等はエタノールより食料で利用することが優先させることも予
測される。
従って福島県としては、資源として豊富にある木材からのエタノール製造につい
てはビジネスとして成立する可能性が高いので、推進すべきである。
― 41 ―
12.1
2006年12月29日
3.9ドル
3.5ドル⇒
シカゴ商品取引所の
11.3
トウモロコシ相場
注:1ブッシェル(約25kg)当りのトウモロコシ
先物価格の終値
3.0⇒
10.6
2.5⇒
3.3
2006年1月6日
2.14ドル
7.7
5.5
9.1
D-27
②
農業の企業化に伴う脱石油化
建設業から農業参入したりして農業の企業化が始まっている。これは単に企業化
するだけでなく、より付加価値をつけるために省エネや環境にやさしい栽培等を推
進するほか、小規模な日本の農業でスケールメリットが出てくるものと思われる。
(3)環境との関連及び新規性
①
環境にやさしい農作物づくり
個人農家として今後生き残れるのは健康の分野で付加価値をつけることが重要
であり、無農薬野菜や有機食品等の健康に良い農産物として、ブランド化が必要で
ある。
消費者は安全であれば少し高くとも購買する層があり、この層をつかむことが必
要である。
農業は個人の農家でも可能なビジネスであり「健康」、
「環境」、
「地域型」、
「伝統」
という要素で差別化すべきである。
個人農家のレベルでも知恵を出せばビジネスとして成功しているし、また地域内
― 42 ―
の農産品を地域内で加工することは省エネにも大きく貢献する。
具体的な事例として会津地域で会津産の農産物を使って商品化している以下の
ケースを紹介する。会津という田舎を逆手にとって、「会津」をブランディングし
てこれが消費者に受け入れられている。このような小さな成功が集合して大きな成
功に繋がるようになる。
[事例4−2−1] 玉梨とうふ茶屋の「青ばととうふ」
1.商品
幻の青ばととうふとして奥会津高森山の雪解け水が百年かけて地下から湧き出す名
水「奥会津百年水」と厳選した「青ばと豆」を融合させた商品。自然と健康をベースに
会津の山奥ということを上手にブランディングしている。
2.内容
山奥ということを逆手にとったマーケティング戦略で、他の商品でもマーケティング
すればこの程度になれるという事例で、ネット販売等有効に利用している。ニッチ戦略
で成功しているが、拡大するとどうなるかは興味がある。
3.会社
会社名:有限会社 玉梨とうふ茶屋
住所:
福島県大沼郡金山町玉梨 363
4.脱石油、省エネとの関係
・自然栽培の大豆を使用
・製造は「まき」と利用して石油は利用していない(脱石油)
・会津産の原料(地域資源の活用)
[事例4−2−2] 会津のべこの乳
1. 商品
・ 会津のべこの乳
・ 会津のべこの乳ヨーグルト
・ 会津のべこの乳醗酵 コーヒー特急
・ 会津の雪
ヨーグルト
2. 内容
会津地区唯一の地元乳業メーカーとして自然、健康をキーワードにしてブランディン
― 43 ―
グに成功している。
①安全と安心を製造として独自性と高品質を基本概念にしている。(会津産牛乳を使っ
た地域内資源活用)
②べこの乳(牛乳)は85℃15分で生乳本来の風味や甘味が生きた“懐かしい”味で
す。
③会津の雪(ヨーグルト)は完全無添加、生乳100%の無糖ヨーグルト。一般のヨー
グルトと比較して乳酸菌の量が約80倍も入っている。
3.会社
社
名:会津中央乳業株式会社
所 在 地:福島県河沼郡会津坂下町大字金上字辰巳19−1
代
表:二瓶 孝也
従業員数:27名
4.脱石油、省エネとの関係
・原料は全て会津産
[事例4−2−3] こだわりの「たまり煎餅」
1.商品
商品は全て昔ながらの手焼き煎餅。喜多方で生産されるレンガをくみ上げた「レンガ
窯」と会津産のナラ炭で焼かれている。原料は会津のササニシキ米、醸造蔵で醸した天
然醸造のたまり醤油を使って素材にもこだわっている。喜多方地方の伝統文化を尊重し
て作られているせんべいである。第四回「醤油名匠」に選ばれている。
2.内容
会津盆地産の素材や材料使うこだわりを持つことによって、付加価値をつけている。
手作りで1日3000枚しか焼けないという、大量生産できないことを売りにしている。
3.会社
社名:山中煎餅本舗
住所:福島県喜多方市字1−4643
4.脱石油、省エネとの関係
・原料は全て会津産(地域内資源活用)
・製造は「炭」を使い石油は使っていない(脱石油)
― 44 ―
販売戦略上、立地先の地域イメージをブランドとして商品のマーケティングに活
用するために食品企業の工場が進出するケースが増加している。消費者のこだわり
が強まっている中、地方の特産品や名水をイメージとして活用している。特に農産
物とのコラボレーションして振興策となりえると思われる。
②
有機食品(オーガニック食品)
有機食品というと個人の趣味とか反体制的な団体の趣味的なビジネスと思われ
ているが、現在は、市場として拡大し、既に確立している。米国の事例を紹介する
が、我が国でも必ず同様なことが発生すると予想される。従って先行してこの市場
に向けて参入する準備をすべきである。
・有機食品は今後市場として拡大が予想されている。例えば米国でのオーガニッ
ク食品の2005年小売上高は146億ドル(1兆6千億円)で前年比17%
も増加している(全米オーガニック取引協会調査)。米国ではオーガニック食
品は巨大産業となっている。
③
企業化された農業と脱石油化
本来の農業の企業化というのは単なる農家に法人格を与えるというのではなく、
科学的にビジネスを出来る組織体制を作る必要がある。マーケティング、ファイナ
ンスは当然として、下記の要素を含めて展開すべきである。
(1)商品作物や省エネ農業を導入する
(2)工場生産方式の農業の導入
(3)ITを活用した農業
(4)他業種からの参入や人材の移転に対してオープンにする
既に鹿島建設のように大手ゼネコンの一部では農業をビジネスとして取り込む実
験をしている。ここまで行かなくとも、中小企業レベルとしてビジネスを早急に検討
すべきである。福島県にはこのほかに下記の農産物工場がある。
・TSファーム白河(サラダ菜、レタス)
・白河フーズ(半結球レタス)
[事例4−2−4] パソナの農業研修を通じた農業参入インフラ整備
農業インターンプロジェクト2003
目的:パソナが03年から始めた農業分野の雇用を創出しようというプロジェクト。中
高齢層を中心に農村にベンチャー精神を持った人材が行けば農業革命が起きます。パソ
ナはその仕掛け仕組みづくりができます。
参加者:企業に在籍したままの約60人
期間:2004年9月、10月の2ヶ月間
2004年、2005年、2006年と続いている。
― 45 ―
場所:秋田県大潟村
内容:1週間のうち3日が座学で3日が農家で実習
④
新しい高付加価値商品作物の開発とそのビジネス化
福島県の土壌気候に合った新しい商品作物を開発して高付加価値商品を創り出
す。これが農業としての、オーソドックスなアプローチである。いろいろと付加価
値の高い農作物を作り出す工夫をすべきであり。これによりあまり石油を使わない
脱石油型農業にもなる。
イ.薬草作り
会津地区や阿武隈山脈の山寒高地で漢方薬で使われる薬種を育成することは、
福島県の気候、土壌に合っているし、少量生産に向いているので、産業として成
立する可能性が高い。一部会津地区では朝鮮人参の栽培している農家が存在して
いる。現状では和漢方薬ブームで市場が拡大しているので、良い機会である。
ロ.薬草向けの研究所又は研究施設建設を誘致する
ハ.レア農作物の栽培
・行者にんにく
・イタリア料理向け野菜
・新しい果物や高付加価値な果物
ニ.そば等の伝統作物の商品化
・会津の水そば等のイメージでブランド化してそばを売る
・会津や阿武隈山地の山間地で栽培
・そば粉の品質認定制度の導入
喜多方地方のそばブランド化
そばの名称
雄国そば
そばのこだわり
雄大な雄国山麓は冷涼な気候により風味の良い良質なそばの産地で
す。確かな技術を持つ会員が打ち上げるそばは、コシがあり、風味
と喉越しの良さが特徴です。
ひめさゆりそば
地元産のそばを使い、ひめさゆりのように可憐で繊細なそばを手打
ちで丁寧に仕上げます。美味しいそばを食べさせたい、そんな思い
がいっぱい詰まったそばです。
会津駒形そば
雄国山麓の駒形地区は良質のそばの産地として知られ、会員による
自家栽培、自家製粉に徹底的にこだわったそばです。のし板にトン
トンと打ちながら伸ばしていく伝統のそば打ちで、きめ細やかで抜
群にコシの強いそばとなります。
― 46 ―
会津山都そば
冷涼で、昼と夜の温度差が著しい山都の気候と飯豊山の豊富な伏流
水の恵みが良質のそばを育みます。そば粉100%で、やや透明が
かった品のよいそばで、さわやかな香りと喉越しが特徴です。
「寒晒
しそば」は、玄そばを厳冬の清流に浸し、寒風に晒して作る。通常
のそばより甘味が増し、江戸時代には将軍に献上されていた幻の味。
雷神そば
地元産のそば粉100%で、引き立て、打ちたて、ゆでたての3た
てのそばを提供いたします。色白でやや太目の繊細でありながら食
べ応えのあるそばに仕上げます。
上高天満そば
喜多方でも方向の高いところで栽培した、良質で厳選されたそばの
実を使用し、そば痛をも満足させる、細めで喉越し良く、風味の強
さも自慢の十割そばです。
塩川そば
雄国山麓で栽培されたそばで、昔ながらの会津流の打ち方にこだわ
り、幻のそばを心をこめて打つ。やや細めのそばは、十割で風味良
く、喉越しが良い。
D-29
ホ.山菜の商品作物化
ヘ.バイオ技術を導入した農業
(4)ま と め
このように、消費者の意識は成熟しているので、健康やエコロジーに非常に気をつ
けるようになっているのが、最近の傾向である。また一部の農産物は新鮮さが求めら
れているので、日本国内での競争力は潜在的に存在する。そこで企業化、ビジネス化
と安全、健康とエコを組み合わせた農業の方向性こそが福島県の農業を救うことにな
る。言い換えれば市場の需要が多様化しており、高い商品から安い商品まで購入する
ようになっているので、マーケティングによりこれを的確にとらえて商品作物を供給
できるようにすべきである。
― 47 ―
新しい農業の形成プロセス
首都圏に近い
新鮮さ
ビジネス化
福島産の
新しい農業
ブランド化
エコ
安全、健康
マーケティング
・ 企業化
・ IT の活用化
[農業に求められているゴール]
[具体的な対応]
D-30
― 48 ―
4-3
林
業
(1)現状分析
環境問題を考えるならば山林資源の保全が必要不可欠であり、その CO2 を吸収す
る山林資源の保全をするのが林業である。従って林業自体の再生とともに環境問題の
解決を推進するという二つのことを同時に実行しなければならないので難しい課題
がある。
(2)市 場 性
林業は特殊な事情により衰退しているが、グローバルに見ると決して衰退産業では
なく大きなビジネスであり、活性化できる可能性は大きい。
木材・木製品・パルプ・紙製品(2006年9月末)
時 価 総 額 売 上 高 営業利益
順
社名
位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
国名
(100 万ド (100 万ド (100 万ド PER(倍)
ル)
キンバリークラ アメリカ
ーク
インターナショ アメリカ
ナルペーパー
ウエアハウザー
アメリカ
UPMキュンメ フ ィ ン ラ ン
ネ
ド
ストラ・エンソ
フィンラン
ド
マスコ
アメリカ
SCA
スウェーデ
ン
プ ラ ム ・ ク リ ー アメリカ
ク・ティンバー
ウエンデル
フランス
エイブリィ・デニ アメリカ
ソン
ル)
ル)
30,164
15,903
2,566
19.6
16,983
24,097
1,386
19.6
15,086
22,629
1,950
25.9
12,433
11,633
449
38.0
11,899
16,411
271
−
11,490
12,642
1,640
13.2
10,715
12,935
921
185.8
6,270
1,576
450
18.9
6,140
3,462
423
20.5
6,001
5,474
491
20.7
11
エンプレサス
チリ
5,741
1,953
276
26.1
12
王子製紙
日本
5,505
10,737
654
29.6
D-31
― 49 ―
福島県は全国に先駆けて平成18年度から森林環境税を導入したが、この貴重な財
源をもっと森林資源を活用したビジネスの立ち上げに利用、投資されることも検討す
べきである。本来、森林環境を保全するのであれば、林業をビジネスとして立て直し、
振興することによって初めて資源は保全できるようになると思われる。
1950年∼70年代に植林された山林(第二次世界大戦後の建築ブーム)の保全
を目標にするならば、単なる環境保全運動、ボランティアやNPOで対応するには限
界があり、ビジネスとして成立させるモデル作りが必要なのである。もう少し正面か
ら林業をどうすべきかを考えない限り森林環境の適正化は難しい。
しかし、輸入材が値上がりしてそれに伴い国産材も値上がりしており、値上がりす
ることによって、国産木材産業がビジネスとして成立する可能性が拡大している。こ
れらの原因は中国や中近東での木材の需要の拡大とグローバルな環境保護で、インド
ネシア等南洋材の乱伐が難しくなっているために、木材の供給が逼迫しているからで
ある。
これはグローバルに見ると脱石油と表裏一体の関係になっており、長期的には日本
産材が利用されるような市場状況になりつつある。従ってこの機会に国産の材木の活
用を推進させて定着させるべきである。
国産スギ丸太と南洋材丸太の価格
(南洋材はメランティレギュラーの対日価格、本船渡し。国産スギは国内卸値、農林水産省調べ)
220
15000
180
160
14000
立方メートル・
円
140
1
立方メートル・
ドル
200
1
120
13000
12000
11000
2003年
2004年
2005年
2006年
D-32
― 50 ―
(3)環境との関連及び新規性
①
エタノール製造
既に農業でのエタノール化は難しい面があるということを述べたが、木材資源は
スケールメリットという面から、競争力があり、国際競争に耐えうる。
[事例4−3−1] 廃材からのエタノール化
建設後の廃材を利用してエタノールを製造するプラントを実験している。実験プラン
トは清水建設が実験中。
[事例4−3−2] スギからのエタノール化
木質バイオマスを有用な化学資源として利用するため、木材を分解するキノコ(白色腐
朽菌)の動きを遺伝子工学、生化学有機化学的手法を用いて解明している。
スギからエタノール(京都大学生存圏研究所バイオマス変換分野)
②
材質バイオマス(生物資源)発電
[事例4−3−3] 株式会社白河ウッドパワー
施設概要
発電出力:11,500kw
敷地面積:22,00㎡
雇用人員:10名前後
― 51 ―
燃料条件:木質チップ
燃料使用量:年間約10万トン
建設着工:平成17年6月
運転開始:平成18年10月2日
森林系土木残材や建設副産物などから製造する木材チップを燃料とする発電所である。
CO2 削減にどの程度貢献できるかという、これは実験であり今後について見守りたい。
③
強化された合成木材及び合板
[事例4−3−4] リサイクル合成木材
100%廃プラスチック、及び木材の廃材を原料とし、耐久性、耐水性に優れかつ木
材と同等の質感を持つ。松下電器が商品化して販売中。
― 52 ―
[事例4−3−5] 異樹脂集成材「ハイブリッド・ビーム」
1.会社概要
資本金:1億円
事業内容:木材の製材および販売、乾燥材の製造販売、集成材の製造販売、プ
レカット加工、その他付帯する業務、バイオマス発電事業
社員数:1,258 名
所在地:広島県呉市広多賀谷3丁目1番1号
設立:1955年1月20日
2.「ハイブリッド・ビーム」
古くから日本人の生活に深く関わってきた国産材を代表するスギ。曲げ応力負担の
大きい外層部に硬くてたわみにくいベイマツを使用し、内層部には軽くて粘りのあ
るスギを使用した新しい構造用集成材です。ハイブリッド・ビームは、日本で初めて
JAS認定を取得した構造用異樹種集成材です。
スギ
ベイマツ
●柔らかくて粘り強い
●硬くてたわみにくい
+
●耐久性が高い
●軽くて加工しやすい
●曲げ性能が高い
●圧縮性能が高い
↓
ハイブリッド・ビーム
両樹種の優れた点を融合さ
せた次世代の構造用集成材
― 53 ―
④
木材を金属並強度にする技術
[事例4−3−6] 植物繊維で金属並み強度
(1)内容
植物の繊維を原料とした金属並みに頑丈で軽い新素材を開発しました。植物に含ま
れる繊維「セルロース」をナノテクノロジーで強化した。石油系プラスチックや金属
材料の代替材料としての実用を狙う。
(2)特徴
・新素材は石油系プラスチックに比較して、環境負荷が小さく、金属より軽量の高度
構造材が実現できる。
(3)用途
自動車の車体や家電、モバイル機器の構造体などへの応用
(4)開発チーム
・京都大学
矢野博之教授
・松下電工
・自動車関連メーカー
⑤
杉から虫の忌避剤を精製する技術
ゴキブリの忌避剤は商品化が難しいとされていたが、杉から採れる精油にゴキブ
リを寄せ付けない効果があることが実証された。杉精油は材料を人工的に乾燥させ
る際に出る蒸気を冷やせば採取できるので、コストはほとんどかからない。宮崎県
木材利用技術センターが特許出願中である。
山森はGHG2を吸収しており、これをビジネスとする。フィンランドはこれに
補助金を支給している。
GHG2 とは:温暖化効果ガスの中で2番目の多く排出されているガス。メタンのこと。メタ
ンは二酸化炭素の21倍の温暖化効果がある反面、気体燃料として使用できるという、CO2
にはない特徴を有するガス。
(4)ま と め
①
課
題
山林資源の位置づけとしては CO2 を吸収する重要な資源であるので、このため
には林業を活性化しなければなりません。
山林から木を切り出したり植林をして、山林資源を保全する労働力が不足してお
り、この労働力の不足を解消しない限りは問題解決が難しい。さらに第二次世界大
戦後、植林をした杉等を伐採する時期に来ています。伐採しなければ森林は崩壊す
る危険性が大きく、またエコロジーの視点からも大きな損失となってしまう。市民
― 54 ―
レベルでの対応がいろいろと試行されているが、企業としての対応が必要なのであ
る。
②
対
応
イ.人的資源を導入して活性化させる
グローバルな視点から、山林労働者を導入すべきである。自動車工場のライ
ンの60%非正規従業員である程度の比率は外国人労働者だといわれている。
山林産業として外国人労働者の導入を積極的に検討すべきである。
ロ.日本の伝統的木造建築を健康や環境の視点から消費者に再認識してもらう。
[効果]
・ ハウスシックにならない。健康に良い。
・ 木材はリラクゼーションになる。
・ 日本の気候風土に合っている。
・ 木材はリサイクルでき易く環境にやさしい。
・ 日本産を使うことにより、山林の環境保護になる。
[事例4−3−7] 住友林業
・木造住宅の大手
・植林から建材開発、住宅販売まで一貫住宅メーカー
・「マイフォレスト」シリーズの場合は国産材比率が50%で北海道地域の販売分に限
れば100%
・森林保全で生じる間伐材や小径木などを粉砕して固めた集成材を建材に使っている。
「スーパー檜」等を創っている
ハ.建築資材として新しい活用
国産材の強みを活かして、弱みを補強して建築資材として利用範囲を拡大す
る。建設業者は安易で楽な外国産材に走っていたが、この意識をもっと改革す
る必要がある。特に中小建設業者は大手との差別化のために国産木材の利用や
日本建築をもう一度見直す必要がある。
[事例4−3−8] 株式会社ふるせ
1.会社概要
資本金:2000万円
事業内容:建築・土木工事の設計企画および施工
役員:代表取締役 古瀬
雅章
社員数:5名
所在地:東京都世田谷区代田4-2-7
― 55 ―
設立:平成18年5月
2.事業分野
北山杉や自然材を利用して首都圏で新築や再生を行い注目されている。
(1) 和のマンション再生
現代のマンションの建築素材は 90%以上が石油化学製品で構成されている。我々は
マンションの建築素材の 60%以上を自然素材で構成することを提案する。自然木でマ
ンション再生を行うと、住み手は健康になる。土壁や木の調湿機能や癒し効果は、住み
手に快適空間をもたらす。
(2) 自然素材を活かした戸建て住宅の再生
昔の家は自然素材で出来ている。こうした建物には 50 年以上の役割を果たしても、
尚、骨組みはしっかりしている。この木造建築にもう一度魂を吹き込み蘇生することが
我々の仕事である。自然素材で再生を図ると本来の味がもう一度生まれ変わる。
(3) 自然素材を活かしたオフィスの再生
執務空間であるオフィスは、多くの場合ビニールクロスや化繊維のカーペット仕上げ
である。この内装素材を自然材に変えると、労働環境が一変する。土壁が呼吸し、木が
香りを発することによってしっとりと落ちついた環境が生まれ、執務や会議に集中でき、
人間関係が柔らかく円満になる。
(4) 自然素材を用いた新築住宅、新築建物
無垢材の家は、新建材の家づくりに比べて多少の費用がアップする。しかし、その居
住空間の快適性は、費用対効果を裏切らない味が生まれる。一口に木造住宅と言えない、
「木の温もり」を実現する設計及び材料調達、職人技に自信を持っている。
③
日本の建築以外での木材の新しい活用
以下のケースはひのきの間伐材を利用した健康に良い畳を開発したケースであ
る。このように日本材の良さや特徴を引き出した商品を創り出すことが重要である。
[事例4−3−9] 健康ひのき畳
1.商品の概要
(1)ひのきの健康
ひのきの健康効果に着目して開発した、ひのきを使った畳。
さまざまな実証試験を行い、健康住宅実現に自信を持っておすすめできる、人にやさし
い畳。接着剤など有害物質を一切使用していない畳ですので、地球にもやさしい畳であ
る。
(2)ひのき畳の森林浴効果
ひのき畳から放たれる木の成分が、イライラを抑え、心の鎮静剤として作用し、脈拍
の乱れの減少や、ストレスホルモンを減少させるなど、森林浴効果と同様の効果を発揮
― 56 ―
する。
①ひのき畳の防虫効果(ダニ抑制)
ひのきにはダニを抑制する成分が含まれている。自然の力でダニを抑制するひのき
畳は、赤ちゃんやお年寄りのおられるご家庭にぴったりの畳である。
②ひのき畳の湿度調整効果
調湿機能を備えた素材を使用することは、健康住宅の大切なポイント、ひのき畳は
ワラ畳や建材畳に比べ調湿効果が高く、部屋を快適に保つ。
③ひのき畳の断熱効果
快適な住空間には、断熱も大切な条件。ひのき畳は断熱性試験を実施し、その熱伝
導率の低さが実証された。ひのき畳は、高い断熱効果も期待できる。
(3)原料
①畳の芯の部分は国産ひのきのスライスチップを使用
②その他のパーツも有害物質を利用していない
(4)環境と木材資源の融和
①ひのきと東濃ひのきの間引きされる間伐材や小径木から作られて資源の有効活
用である
②シックハウスや家ダニを防止して健康に良い
③畳を処理する場合、有害物質を出さない
④従来の畳の4∼5倍の価格でも販売でき、ビジネスモデルとして成立する
2.会社
会社名:飛騨フォレスト株式会社
住所: 岐阜県下呂市萩原町古関 248 番地の 2
④
コラボレーションや地方自治体によるマーケティング及び販売促進体制整備
いろいろな対応を産、官、民、学の共同化によって各地で試みられているが、残
念ながらもう一歩不足している。ビジネスモデルとしてどう産業振興するかという
より、単なる補助金事業的なものが多い。これらは体制や組織をもう一歩進めるこ
とが必要です。
国産木材利用促進の動向
北海道
今金町は今年度から町内産カラマツを使った住宅に最大65万円を助成、平
取町も20万円の助成を開始
秋田県
県内の森林所有者や施工業者など、木造建築にかかわる11社が9月に有限
責任事業組合(LLP)
「秋田スギ夢工房」を設立。LLPが受注窓口になり、
参加企業に仕事を振り分ける
― 57 ―
宮城県
製材や流通など県内38業者が連携し、2006年7月に県産材の利用を促
す「みやぎ材利用センター」を仙台に開放した。センターは県内で伐採した
品質の良い木材を「優良みやぎ材」と認定したり、工務店からの注文を受け
る共同受注センターの役割を担う
栃木県
構造材に県産木材を6割以上使う木造住宅に、今年度から1戸あたり40本
の柱を無償提供
群馬県
群馬県やその周辺の建築製材などの12事業者で県産材加工共同組合を組織
している。群馬など北関東3県や福島の原木を製材し、東北、関東、甲信越
へ出荷する工場を2006年5月から稼動させた生産能力は年間2万立方メ
ートルを生産でき国内最大級
東京都
都が多摩地区の林業振興の一環として、木材の認証制度を開始。木の断面に
「多」の字を刻印するなどブランド化推進
岡山県
県北部の製材会社が集まり10月末に協同組合設立。2008年春の操業開
始を目標に、乾燥や仕上げ加工をする共同工場を建設。組合員企業の木材を
一ヶ所に集めて加工しコスト削減。競争力強化を目指す
宮崎県
2006年11月に東京で県産木材の販売促進フェアを開催
D-33
福島県内での福島県産木材利用促進の動向
事業
内容
オープンハウスで福島県
森林見学会等福島県産木
伊達市
産木材の良さを PR
材について理解を深めて
ふくしま家づくりネット
もらう取り組みを実施
ワーク
福島県産木材を無償提供
福島県
「日本の木の家づくりサ
国産材を使って家作り
NPO 法人「環境共棲住
ミット」
木の家づくりに関するノ
宅・地域の会」
(H18.5.22 セミナー実
ウハウ等情報交換
「とってお木」利用促進事
事業主
業
施)
郡山市
D-34
⑤
木材、間伐材及び廃材からエタノール製造を促進する
福島県内の山林資源の量から考慮するならば、十分に木材からのエタノール製造
のビジネスの可能性は高い。特に間伐材や廃材等不要とされてきた木材資源を有効
― 58 ―
活用することにより、コスト削減が達成される。
⑥
最後に福島県産の木材の利用促進は脱石油、環境の上から運送のための石油燃料
の削減ができるし、また山林のサイクルをすることにより CO2 の吸収の活性化を
促進できるという二つの大きな効果が生じる。
― 59 ―
4-4
製 造 業
(1)現状分析
福島県内における製造業はおよそ大企業の分工場及び地元の中小企業に分類され
るが、ここでは地元の中小企業に対して支援する必要がある。
本来脱石油や省エネは製造業を中心に展開されており、各製造会社にいろいろとノ
ウハウや工夫、改善が蓄積されている。そこでこれらの知識を水平的に拡散して、知
識を共有することによって各中小企業の改善することが必要になる。大企業のノウハ
ウ、知識を中小企業へ移転拡張させて、脱石油や省エネの知識を共有するような仕組
みや資金調達をサポートするような地方自治体の施策が必要となる。
また地域レベルで脱石油や省エネを追求することは中小企業の体力を強化し、製造
業の空洞化を防止することに繋がり、単に労働力のコストの安さだけでなく、公害防
止やエコ、脱石油の知識の部分で付加価値をつけることによって、中国等と競争が十
分にできるような企業体質ができてくる。
福島県にある中小企業の製造工場は、未だ十分に対応できていない状況にあるが、
一方で、中国等へ工場移転をしていない製造部門は、未だに福島県内に幸いにも残っ
ている。これらの製造工場にさらに脱石油や省エネという付加価値をつけて強化すべ
きである。
― 60 ―
(2)市 場 性
大企業は既に脱石油、省エネルギー対策を実施している工場が多い。しかしながら
中小企業では未だ実施しているが不十分である。従って地元の中小企業を対象とした
脱石油省エネルギーの余地が未だある。
①
製造工程や工場内の設備を改善することによって、脱石油化や省エネルギーを推
進する。
②
商品自体を設計段階からリサイクルできるような設計にして、商品のリサイクル
を推進し、これが脱石油や省エネルギーに結びつける。
【強み】
・地域性
・きめ細かい対応
【弱み】
・公的な資格等の差別化の要素低い
・地域性
・納得性が低い
③
原材料、不良品、廃液等薬品をリサイクルして活用する。特にレアメタルの需
要は高くビジネスとして成立する。
注1
産業用レアメタル
(備蓄対象と要注視対象に指定されている金属)
鉱物名
主な用途
備蓄対象鉱種
要注視対象鉱種
Ni
ニッケル
ステンレス鋼、特殊鋼、めっき
Cr
クロム
特殊鋼、スーパーアロイ、耐火煉瓦
Mn
マンガン
特殊鋼、乾電池、ペンキ、肥料
Co
コバルト
リチウムイオン電池、磁石、特殊鋼
W
タングステン
超硬工具、電球フィラメント、電子部品
Mo
モリブデン
石油化学触媒、特殊鋼、顔料
V
バナジウム
高張力鋼、触媒
Nb
ニオブ
工学レンズ添加剤、超伝導材料
Ta
タンタル
コンデンサー、電子機器フィルター
Sr
ストロンチウム
磁石、セラミックコンデンサー
Pt
プラチナ
自動車触媒、宝飾品、電子部品
Ga
ガリウム
発光ダイオード、太陽電池、集積回路
In
インジウム
液晶パネル用透明電極、歯科合金
RE
レアアース
磁石、蛍光体、研磨剤、電池
D-36
④
大企業からの地元の中小企業へのノウハウ移転をする。更にはこのノウハウを中
― 61 ―
国等の BRICsへ知識財産として販売する。
⑤
政府による支援され助成もされている
省エネルギー法による工場・事業場対策①
○省エネルギー法に基づき、対象となる工場・事業場に対し、エネルギー使用
状況の定期報告と省エネ目標達成のための中長期計画の作成・提出、エネ
ルギー管理者の選任等を義務付けることにより、計画的・自主的なエネル
ギー管理を徹底。
エネルギー使用量が多い工場・事業場
(第一種エネルギー管理指定工場)
)
エネルギー使用量が中規模の工場・事業場
(第二種エネルギー管理指定工場)
)
・年間燃料(熱)使用量:3000原油換算kl以上
・年間燃料(熱)使用量:1500原油換算kl以上
・年間電気使用量:1200万kwh以上
・年間電気使用量:600万kwh以上
○工場
○事業場
○工場・事業場
措置事項
措置事項
措置事項
・エネルギー管理者の選任
・エネルギー管理員の選任
・エネルギー管理員の選任
(エネルギー管理士の資格
(エネルギー管理員講習の受講が必要)
が必要)
・定期報告の作成・提出
・定期報告の作成・提出
・中長期計画の作成、提出(作成に当たっ
・中長期計画の作成・提出
てエネルギー管理士の参画が必要)
・定期報告の作成・提出
事業場
工場
デパート
学校
オフィスビル
ホテル
省エネルギー法による工場・事業場対策②
○平成13年度から第一種エネルギー管理指定工場を対象とした現地調査(工
場総点検)を実施。
○工場・事業場判断基準の基準部分の遵守状況を調査し、客観的基準に基づ
く評価結果により指示の要否を決定。
○エネルギー使用合理化が著しく不十分な場合は、立入検査を実施した後、
合理化計画の作成・提出や合理化計画の実施等について指示。
総点検のフロー
― 62 ―
公表・命令
評点が50点
未満の場合
判断基準に
照らし、著
しく不十分
な場合
合理化計画指示
立入検査
判断基準に基
づき、管理標
準の設定状況、
記録、保守点
検簿等を確認。
工場現地調査
②.①を返送
経済産業局
調査対象工場
①.事前調査票送付
指示に従わ
ない場合
(3)環境との関連及び新規性
①
大企業の事例について
ここで福島県で2006年度優良事業所に選定された富士通㈱の会津工場につ
いて紹介する。半導体工場では石油から製造されている素材、材料薬品等を大量に
消費することから、脱石油、エコについてはその効果が大きいために積極的に組ん
でいる。
[事例4−4−1] 半導体製造工場における脱石油、省エネルギー対策等について
1.会社概要
(1)社名
富士通株式会社
(2)代表者
黒川
(3)本社
神奈川県川崎市中原区上小田中4−1−1
工場
博昭
福島県会津若松市門田町工業団地3
(4)資本金
3246億2507万5685円
(5)従業員
36,820名
(6)年商
2兆8502億3500万円
2.実施内容
『富士通では、創業以来「自然と共生する"ものづくり"」という考えのもと、環境問
題を経営の最重要課題の一つとして位置付けています。この考えをより明確にコンセプ
ト化し、策定した「すべてをグリーンに」をもとに、製品の研究・開発からリサイクル・
廃棄に至る事業活動の各段階で持続可能な社会の実現を目指すため、以下の地球環境保
全の取り組みを推進している。
・ 各工場環境経営報告書(環境会計の導入)
・ グリーン製品の開発(生分解性プラスチックの実用化、鉛フリー)
・ 廃棄物減量化対策(ゼロエミッション)(注)
・ グリーンプロセス(グリーンプロセスの導入)
・ 省エネルギー対策(NAS 電池システム)
・ 化学物質対策(化学物質の排出削減)
・ グリーン調達(RoHS :欧州有害物質使用規制対応)
化学物質の管理
化学物質管理システムを導入し、化学物質の登録管理、MSDS(製品安全データシー
ト)情報の収集、工場や製造ラインごとの使用状況の管理、及び購入から廃棄に至るま
での収支集計を実施している。
これらの情報は、イントラネットを用いて各端末より登録・閲覧・集計などの管理を
行うことができる。
― 63 ―
PRTR 法への対応
PRTR 法(注)では、第一種指定化学物質(354 物質群)の取扱量が 2003 年度より
1ton 以上(2002 年度までは 5ton 以上)のものを報告の対象としているが、富士通グ
ループでは行政への報告とは別に、取扱量が 100kg 以上の第 1 種指定化学物質まで管
理している。
2005 年度の電子デバイス部門の取扱量、排出量、移動量は下表のとおり。
2005 年度 PRTR 法対象物質の集計結果(単位:t)
物質
物質名
番号
16
2- ア ミ ノ エ タ
取 扱
量
大 気 公共用水 下水道 当 該 事 業 その他(消費量・
へ の 域への排 への移 所 の 外 へ 除去処理量・リサ
排出
出
動
移動
イクル量)
265.7
0.0
0.0
0.0
265.7
0.0
2.0
0.2
0.0
0.0
1.8
0.0
2.2
0.0
0.0
0.0
2.2
0.0
47.7
3.3
0.0
1.2
43.2
0.0
0.6
0.0
0.0
0.0
0.6
0.0
1.4
0.0
0.0
0.0
1.2
0.2
0.3
0.0
0.0
0.0
0.3
0.0
283 び そ の 水 溶 性 157.6
0.8
19.3
0.2
4.0
133.2
0.5
0.0
0.0
0.0
0.0
43
ノール
エチレングリ
コール
エチレングリ
45
コールモノメ
チルエーテル
63
101
207
キシレン
酢酸 2-エトキ
シエチル
銅水溶性塩(錯
塩を除く)
266 フェノール
フッ化水素及
塩
310
ホルムアルデ
ヒド
0.5
2005 年度 PRTR 法対象物質の収集結果:テキストページ
(注)PRTR 法:化学物質排出把握管理促進法
― 64 ―
リスク対応
当社では、製品やサービスについてのトラブル、自然災害、事故などへの対応に加え、
環境保全に対するリスクにも対応するため、万全の体制を整えている。
地震などの自然災害対策として大規模な想定訓練の実施などを、地球環境や地域環境
などの環境保全対策としてオゾン層破壊物質の全廃、及びダイオキシンの発生原因とな
る焼却炉の全廃を実施してきた。
さらに、環境リスク教育として、2002 年度から「環境リスク感性向上教育」をスタ
ートし、すべての従業員の意識とスキルを高めることを積極的に進めている。
グリーン製品の開発
富士通グループでは、1993 年から独自の製品環境アセスメントを実施し、環境配慮
型製品の開発を推進している。1998 年には「グリーン製品評価規定」を制定し、基準
に適合する製品を環境配慮に優れた「グリーン製品」として認定している。さらに、2004
年度からは新規開発する電子部品、半導体などの製品を対象として、グリーン製品を超
えたスーパーグリーン製品の開発にも取り組んでいる。
スーパーグリーン製品評価の仕組み
スーパーグリーン製品とは
富士通グループの「グリーン製品」であることを前提条件とし、
「省エネルギー」
「3R
設計(注 1)
・技術」
「環境貢献材料・技術」などの環境配慮要素のいずれかに おいて、
環境配慮レベルがトップランナー水準(注 2)であり、自社製品または市場製品との比
較において極めて優れた製品のことである。
― 65 ―
グリーン製品評価の仕組み
グリーン製品とは
設計・製造段階にとどまらず、製品のライフサイクル全体で「リデュース・リユース・
リサイクル」
「省エネルギー」
「化学物質の削減」に取り組むため、グローバルな環境対
策を取り込んだ社内規定「製品環境グリーンアセスメント規定」に基づいて開発された、
環境面で特に優れた製品のことである。
電子部品に適用する
大項目
小項目
「製品群別基準」
評価判断基準
電 子 デ バ (1)製造に係わるすべての拠点で、ISO14001、または、これ
環境 ISO イ ス 全 製
品
に準じた環境マネジメントシステムを構築し、運用して
いること。
(2)当社が含有を禁止している化学物質に関し、不使用証明
書の発行が可能であること。
化学物質
情報開示
LSI
(3)製品に係わる下記の化学物質について、その含有量の開
示が可能であること。
砒素・ハロゲン化合物・アンチモン化合物・有機リン・
ニッケル
化学物質
含有規制
LSI
(4)無鉛はんだ対応が可能であること。
鉛フリー
地球環境問題の重要課題として、エレクトロニクス製品の鉛フリー化がある。
鉛は、はんだとしてエレクトロニクス製品の接合材に広く使用されているが、製品が廃
― 66 ―
棄された場合に、土壌や地下水を汚染する恐れがある。
これに対して、当社では、鉛を使用しない『鉛フリーはんだ』への転換にいち早く着
手し、LSI 製品については 2004 年 1 月以降、鉛フリー製品を出荷することが可能にな
った。
また、LSI のパッケージ部分のプラスチックに難燃剤として使用されているハロゲン
化合物やアンチモン化合物も、焼却した場合に人体への影響が懸念されるため、これら
の化合物を含まないプラスチックの使用を推進している。
廃棄物ゼロエミッション
使用した薬品、包装材などの廃棄物は、発生工程や性状を分析した上で、下記のよう
にその特性を活かした有効活用をしている。
省資源対策
富士通グループで開発した硫酸回収精製装置を導入して、シリコンウェーハの洗浄な
どに使用した硫酸を、新品と同じ品質まで蒸留・精製し、再利用している。
この結果、硫酸の購入量が低減されるとともに、廃棄量も削減されるため、環境負荷
の低減に大きく寄与する。
グリーンプロセス活動のしくみ
グリーンプロセス活動とは、生産ラインごとに資材投入量(薬品、ガス、水、エネル
ギー)を把握し、使用量を減らすことにより、環境負荷とコストを削減する活動のこと
である。
グリーンプロセス活動の主な特色は、当社独自の管理手法(コスト・グリーン指標[CG
指標])により、コストと環境負荷の両観点から、削減効果の高い資材を抽出し、さら
にラインごとの使用量を定期的に見直すことによって、各製造工程で使用される原材料
の投入量、石油系燃料、電気等の使用量を削減できる。
グリーンプロセス活動のしくみ
― 67 ―
省エネルギー対策(地球温暖化対策)
当社では、地球温暖化の原因となる CO2 の発生を抑えるため、工場や事業所で使用
する電力や燃料の削減を進めている。電子デバイスビジネスグループでは、エネルギー
使用量の多い半導体製造工場を中心に第4期環境行動計画の目標(注1)達成に向けて、
CO2 削減計画を策定し、様々な設備の省エネルギー対策を実施している。
(注1)エネルギー消費 CO2 を 2010 年度末までに 1990 年度実績以下に抑制(2006
年度末までに 2000 年度実績比の 15%削減)
。
実施事例
会津若松工場では、設置から 20 年以上経過した古い冷凍機を省エネ型の高効率ター
ボ冷凍機へ更新した。冷媒フロン対策と併せて温暖化ガスの削減に大きく貢献している。
NAS 電池
当社では、瞬時電圧低下・停電対策として、あきる野テクノロジセンターに『NAS
電池』を設置し、2002 年 7 月より運用を開始した。さらに、2005 年 4 月には、三重工
場にも『NAS 電池』を導入し、地球温暖化防止に取り組んでいる。
NAS 電池(ナトリウム・硫黄電池)は蓄電池の一種で、鉛蓄電池の約 3 倍の蓄電能
力があり、夜間電力を蓄えて昼間の電力として使用することが出来る。また、NAS 電
池は、従来、同じ用途に使用されてきたコ・ジェネレーションと比べて、燃焼を伴わな
いため、大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)を発生しないと
いう特長がある。CO2 の発生量も 1,000KVA 級 1 台で、年間 14,000ton 削減すること
に貢献している。
このように、NAS 電池の導入により、環境負荷の低減と生産設備の安定稼働を実現
することが可能になった。
グリーン調達基準
グリーン調達とは、環境に配慮した部品、材料、製品を優先して購入する取り組みの
ことで、富士通グループでは、グリーン調達基準を策定し、取引先の皆さまのご協力の
もと、以下の基準を満たすお取引先からの調達を推進している。
・ 環境保全活動を積極的に推進している、お取引先からの調達
・ 環境負荷が少なく、有害物質を含まない製品の調達
富士通グループの取り組みについて
富士通グループでは、お取引先からの購入品について、統一したフォーマット(調査
票)を作成し、含有化学物質調査および RoHS 指令(注)への対応調査を実施してい
る。
― 68 ―
②
小中規模の企業の事例について
次いで中規模企業の事例としてデジタル一眼レフの一貫生産工場が会津地区で
生産している。これは低開発国へ工場移転をしないで、逆に日本国内で一環生産し
ている。従って全ての部品等が会津で生産されており、この企業も最近やっと脱石
油、省エネに対応する余裕が出て、対応を開始した。
[事例4−4−2] デジタルカメラ工場における脱石油省エネルギー対策等について
1.会社概要
(1) 社名
株式会社シグマ
(2) 代表者
山木
(3) 本社
〒215-8530
神奈川県川崎市麻生区栗木2−4−16(技術センター)
工場
〒969-3395
福島県耶麻郡磐梯町大字大谷字日知坂6594
(4) 資本金
道広
4億4千4百万円
(5) 従業員数 888名(平成17年8月末現在)
(6) 年商
190億円(平成17年8月期:連結)
(7) 事業内容 デジタル一眼レフカメラ、一眼レフカメラ用交換レンズ、その他光学
機器の製造、販売
2.内容
高級デジタル一眼レンズを福島の工場で治工具から完成品まで垂直的に一貫生産し
ている。一般の製造工場は中国等に展開したり、工場移転したりしているが、この会社
は逆バリ戦略として日本国内で一貫生産することにより、差別化し成功している。
― 69 ―
最近はキャノンが中国から生産を日本国内(宮崎)に戻して、シグマ日本国内一貫生
産戦略に追従しています。製造の一つの戦略モデルとして福島県にとって興味あるモデ
ルであり参考になる。
一貫生産しているために石油価格の上昇の影響が大きい。材料生産工程、設備、ロジ
スティクスのあらゆる部分において省エネ、脱石油等の対策を講じなければならなくな
っています。しかし、反対に国内にあるために、コミュニケーションを良くし、知恵を
絞って対策を創造している。
その戦略と対策を分析することによって、製造業における脱石油について検討したい。
3.実施状況
現在進行中であるが、トータルに脱石油、省エネ対策を開始している。
(1) 重油を利用した発電を動力としているものから、電力を動力に変更
(2) 設備、工程の脱石油、省エネ型に見直しを推進
(3) 製品のリサイクル化見直しのための設計
(4) ロジスティクス過程の省エネ化の対応
新製品の包装の見直し
地元のロジスティクス業者の活用
(5)企業全体の省エネビジョンの策定
(4)ま と め
製造業の脱石油、省エネについては大きく三つに分類されてこれをトータルに対応
しなければ成果が出ない。
①
製造工程における省エネ、脱石油
製造工程で改善、工夫をして少しずつ省エネを積み重ねていく方式である。
②
製造原料を脱石油製品に代替するようにしたり、エネルギー効率を良いものに
する工夫をする。
③
商品自体を最初からリサイクルを前提として設計、製造するようにする。
・リサイクル可能な部品で構成する商品を製造する。
④
イノベーションによって新しい省エネ脱石油製品を創造する。
⑤
企業全体の省エネルギー、環境問題への取り組み
最後に半導体製造工場を例として産業のクラスターの関係と環境問題への対応に
ついてわかりやすくまとめた。
― 70 ―
半導体製造工場における環境対策の流れ
環境問題解決戦略
【半導体工場】
設計段階
での省エネ
環境対応施策
建設業
+
環境改良
工事
製造プロセス
の環境問題
改善
建屋関連
設備業
製品
環境機器
納入
配送
顧客
原材料
リサイクル
原材料
運送業
+
施設関連、プロセス
梱包材業
+
エネルギー源
石油業
不良品
省エネルギー
脱石油
電力会社
材料
ガス会社
リ
サ
イ
ク
ル
排出
薬品
排気
リサイクル
浄化
リサイクル
業者
排水
リサイクル
業者
リサイクル
浄化
自社
D-37
特に半導体関連産業は、半導体クラスターとして福島県半導体関連産業協議会を、
2007年3月に設立しているので、これらの動きと環境分野でコラボレーションす
ることが重要になっている。
― 71 ―
4-5
運 輸 業
(1)現状分析
運輸業は中小企業と個人企業が中心で他産業の縁の下の力持ち的な役割を果たし
ている。特にトラック運送中心であることから、直接脱石油、省エネ効果が出る。
(2)環境との関連及び新規性
①
代替エネルギーエタノールを利用する。
②
省エネ、省CO2車両の利用をする。
③
ITを活用した配送ロジスティクスを利用する。
[政府の対応]
運輸分野における省エネルギー対策の導入
義務対象者
運輸分野において、輸送事業者に対し省エネルギーの取組についての義務付けを行う。
運輸分野において、輸送事業者に対し省エネルギーの取組についての義務付けを行う。
また、自家物流を行っている事業者に対しても同様な義務付けを行う。
・自らの事業活動に伴って、他人又は自らの貨物を
輸送している者、旅客を輸送している者のうち、
、旅客を輸送している者のうち、
・自らの事業活動に伴って、他人又は自らの貨物を輸送している者
輸送区分ごとに保有する輸送能力が一定基準以上の者
輸送区分ごとに保有する輸送能力が一定基準以上の者 (営業用トラック、自家用トラック、鉄道、海運、航空等)
1.計画の策定(国土交通
大臣への提出)【
【年1回】
1.計画の策定(国土交通大臣への提出)
年1回】
・低燃費車、低公害車、エコシップ等の導入
義務の内容
項目の案
・エコドライブ等の推進
策定した計画の達成ができなかった
場合はその理由を提出
・車両、コンテナの大型化
・輸送ロットの適正化による輸配送回数の低減のマニュアル策定
・輸送ロットの適正化による輸配送回数の低減のマニュアル策定
・巡回配送、帰り荷の確保のマニュアルの策定
・巡回配送、帰り荷の確保のマニュアルの策定
・効率的配車システムの導入
等
※これらの項目については判断基準(告示)に明記。
報告の内容
2.定期の報告(国土交通
大臣への提出)【
【年1回】
2.定期の報告(国土交通大臣への提出)
年1回】
・輸送に係るエネルギー使用量(kl)=ガソリン、軽油等の使用量
・輸送に係るエネルギーの使用に係る原単位=輸送に係るエネルギー使用量(kl)÷ 輸送量等の合
計
・輸送に係るエネルギーの使用に係る原単位が前年度比1% ※以上改善できなかった場合
の理由 等
※輸送に係るエネルギーの使用の合理化の実態を踏まえて検討。判断基準(告示)に明記。
法的措置
○取り組みが著しく不十分かつ原単位が改善していない場合 → 必要な措置をとるべき旨勧告。
○その勧告に従わなかった場合 → 企業名等を公表
。
企業名等を公表。
○正当な理由がなくてその勧告に係る措置を講じなかった場合 → その勧告に従うように命令
。
その勧告に従うように命令。
○その命令に違反した場合 → 罰金(100万円以下)を科す。
罰金(100万円以下)を科す。
― 72 ―
(3)ま と め
運輸業は他の産業と連携することにより省エネ効果をあげることが可能である。例
えば地域で一緒に配送システムを構築するなどすれば、非常に効果を出すことができ
る。
[事例]
会津地域半導体共同出荷センター
地域半導体製品を共同で出荷できるように、会津若松市が中心になって、㈱スパンシ
オン等製造会社が参加して、会津若松インターの近くに半導体関連製品の出荷センター
を設立している。
4-6
梱 包 業
(1)現状分析
梱包業は中小企業で地域密着型産業である。また従来資源利用型産業なので、ここ
でいろいろと工夫をすることによって、脱石油やエネルギーの効果を上げることが可
能である。
(2)市 場 性
石油価格上昇と中国の古紙買い上げにより、原材料費は確実に上昇している。その
反面、商品価格に転嫁できない苦しい事情から、脱石油、省エネの経営努力が求めら
れている。
国内のダンボール古紙価格
15
輸出価格(関東商組)
1キロ・
円
10
国内取引価格(古紙再生促進センター調べ)
5
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
D-38
― 73 ―
(3)環境との関連及び新規性
①
脱石油の材料の利用推進
[事例4−6−1] ウォールマートのケース(米国の流通業における省資源の動き)
①4種類の農産物の包装を石油系から、トウモロコシから作ったラップに替えるだけで、
ガソリン3000キロリットルの節約
②おもちゃの箱を中身に合った大きさにすれば、年間350万ドルの搬送費と5000
本の木が節約
③オーガニックコットンの購入
→7年間で二酸化炭素排出量を20%減らす
②
リサイクル
[事例4−6−2] 再生紙の拡大
・製紙原料の主流であるチップ(木片)に比較して7∼8割の価格
・古紙の利用を拡大
・古紙はリサイクル資源であるために森林をチップ化する場合と比較して、自然環境へ
の負荷も少ない
① 日本の古紙回収率は68.5%(2004年度)
③
梱包材の再利用
ダンボール箱を1回だけの使い捨てでなく50∼60回再利用するようにするこ
とで、資源の有効利用が可能である。
[事例4−6−3] 富士ゼロックスのリターナブル包装箱
富士ゼロックス株式会社とスターウェイ株式会社は、富士ゼロックスが全国 500
箇所のサービス拠点へ供給する補修用部品の輸送に利用するリターナブル包装箱と
その空箱の回収システムを共同で開発し、8 月 28 日から順次導入を開始しました。
これまで富士ゼロックスは補修部品の供給に通常の段ボール箱を使用し、新品の供
給、使用済み品の返送の往復利用を行なっており、これらの段ボール箱は往復 2
回までしか使用できなかった。
今回開発した 100 回以上繰り返し利用できるリターナブル包装箱を利用すること
により、2010 年注までに累計で梱包材投入量を 1294t 削減(従来投入量の 74%に
相当)、梱包材購入コストを 55%削減することが可能になった。同時に、梱包材の
― 74 ―
製造・リサイクル時に発生する二酸化炭素を 2010 年までの累計で約 658t、窒素酸
化物を同じく約 0.82t 削減でき、物流領域の環境負荷軽減を実現する。
注: 部品出荷量の約 7 割にリターナブル包装箱を利用。
このリターナブル包装箱はスターウェイが提供しているイースターパック® (以
下 ESP と略)をベースとし、富士ゼロックスの補修用部品輸送に適した仕様に改
善したもので、耐久性に優れ 100 回以上繰返し使用が可能であり、従来の ESP の
特性に以下の特徴を新たに追加しております。1.については特許を共同出願中であ
る。
コンパクトに折り畳め、元の箱に 9 枚収納し、計 10 枚を 1 セットで回収すること
が可能。これにより空き箱回収費は 1/10 に圧縮できる。
強度を満たす範囲で薄肉化し、当初 5kg 以上あった質量を 3.1kg まで軽量化した。
RFID(Radio Frequency Identification:無線電子タグ)を活用した、トレーサビ
リティシステム(スターウェイ開発:「ESP-take II」)を導入し、リターナブル包
装箱の回転率を高めることが可能なほか、内容物の在庫や回収などの Web 上での
管理を可能にした。
リターナブル物流システムはいかに早く確実に、最小限のコストで空き箱を回収で
きるかが、収益性を確保する上で最も重要なポイントであり、本包材開発と回収物
流システムはこの課題を解決するものである。
これまで、一般的に、包装箱のリターナブル化はこれまで部品メーカーと工場とい
うような、比較的近距離で大量の貨物が動くところで限定的に実施されてきたが、
今回、全国規模で、比較的少量多頻度の物流のリターナブル化が実現した。
富士ゼロックスは、物流分野における地球温暖化対策を効果的に実現するために、
「グ
リーン物流パートナーシップ会議」に参加しており、単独で環境対応に取り組むだけ
ではなく他事業者と互いに知恵を出し合い、連携・協働する(パートナーシップ)事
により、社会の一員として地球環境保護の責任を果たしていくことを目標としてい
る。
― 75 ―
④
梱包サイズの適正性化
ダンボール箱を品物の大きさに合わせることによって、梱包在や箱の材料を削減
可能となる。
⑤
梱包材料のリサイクル化とリサイクル原料の再活用
・梱包材料をリサイクルできるものを利用する
・リサイクル原料の再活用
東京築地市場では発泡スチロールの魚箱を再生紙で再利用している。市場内に再
生設備を持って運用している
⑥
梱包財のレンタル
・企業が自ら梱包財を購入し、一回使っただけでなく廃棄することが無くなり、
資源やエネルギーを節約できる。
(4)ま と め
梱包業は代表的な小さな積み重ねによる脱石油、省エネ効果が出てくる産業である。
従って作業プロセスの中での通常からのプロセス改善努力が必要となっている。また
梱包を利用する製造業や農業等のユーザーと一緒に知恵を絞って、新しい梱包方法を
開発することも必要である。
[事例4−6−4] 福島県内の梱包材料会社
1.会社概要
(1)社名
東北工業株式会社
(2)代表者
兼子アン・パトリシア
(3)本社
〒963-8583
福島県郡山市方八町1−12−5
工場
(4)資本金
同上
19百万円
(5)従業員数 113 名(平成 18 年1月 1 日現在)
(6)年商
(7)事業内容 梱包資材(ダンボールシート、ダンボールケース、美粧ダンボール)
製造販売、包装資材(ポリ袋、各種プラスティックフィルムなど)、
物流資材及び物流機材製造販売、総合コピーサービス、フィルム(住
友スリーエム)出力、印刷、CAD入出力、デジタル入出力、ファイ
リング、各種用紙(感光紙、CAD用紙、コピー用紙、設計用紙)及
びOA機器販売
― 76 ―
2.実施状況
福島県内で大手梱包材の加工販売をしている。省エネを含めた新しい梱包ソリュ
ーションを目指している。今後積極的に投資して新しいビジネスを展開しようとし
ている。
(1) 脱石油、省エネの設備投資を実施予定(平成19年度)
(2) 脱石油、省エネ梱包資材ソリューションを中心としたビジネスを展開
(3) 梱包資材のリサイクルの徹底
(4) 資源最少利用の梱包商品の開発
4-7
設 備 業
(1)現状分析
建設業や製造業、コンサルティングと一緒に見られてしまい、余り表面に出ないこ
とから無視されがちである。しかし、脱石油やエコを実行する上では、この設備業の
ノウハウが無いと実行が難しい。また建設業や製造業、コンサルティングとの連携を
取りながら、脱石油、省エネを推進しなければならない。
(2)市 場 性
エコに関する機器の流通、販売、据付工事、メンテナンス等の一連の仕事があり市
場規模としては大きいし、継続して仕事がある。これらを総合的にサービス、ソリュ
ーションするようなビジネス形態にすれば、独立したビジネスとして成立する。例え
ば従来の家電販売店はチェーンの量販店との競争を避けてこのような業態にすべき
でる。
また知的な部分を蓄積し、高い付加価値にするためには、コンサルティングを含め
たものが求められつつある。
(3)環境との関連及び新規性
①
企業や家庭向けのITを活用したエネルギー管理やビル管理システムサービス
― 77 ―
[事例4−7−1] ITを活用したエネルギー管理
HEMS(家庭用ホームエネルギーマネジメントシステム)の確立
HEMS(家庭用ホームエネルギーマネジメントシステム)の確立
○ IT技術の活用により、人に代わって家電機器等(エアコン、冷蔵庫等)の
最適運転や、エネルギーの使用状況のリアルタイム料金表示等、家庭に
おけるエネルギー需要のマネジメント(省エネ行動)を支援するシステム確
立に向けた取組を促進。
フィールドテストの例
― 78 ―
[事例4−7−2] 脱石油型省エネルギー型のビル管理サービスをITを活用して、ビ
ジネス化に成功している米国のトップ企業と位置づけられている。脱石油型として自動
車の電池の分野でもトップ企業になっており、最近、省エネ型関連の企業をM&Aしな
がら成長して成功している。
1.会社概要
(1)会社名:ジョンソンコントロールズ株式会社
(2)本社所在地:米国ウィスコンシン州ミルウォーキー(日本にも子会社がある)
(3)設立:1885年
(4)売上高:3兆8400億円(06年9月末)
17%増
(5)利益:1200億円(06年9月末) 14%増
(6)従業員数:137,000人
2.事業内容
(1)省エネルギー型ビル管理システムサービス(売上高の38%)
①コンピューター、センサー、カメラから成る無線ネットワークシステムを利用し、
エネルギー節約型のメンテナンス出来るインテリジェントビルに変身できる。天気
の良い日は自動的に照明を落とし、入り口で社員証を返すと自分のブースのエアコ
ンがオンになり、これでエネルギーコストの大幅な削減になる。
②インターネットで世界中のビルをモニターできるようになっている。
③エネルギー節約率は10∼80%に上る。
1997年フロリダ州立大学は10年契約(16億8000万円)で節約した費用
は15億円以上と言われている。
(2)バッテリー(売上高の11%)
①ハイブリッドカー向けのバッテリー技術でリード
(3)自動車の内装
②
省エネルギー型家電へ転換し消費電力を減少させる
[事例4−7−3] 発光ダイオード(LED)を利用した照明
・電流を流すと発光する半導体を用いた照明。レーザーと同じ原理
・蛍光灯、白熱電球と比較して、それぞれ約2割、約8割のエネルギー削減。寿命は3
倍、30倍
(注)家庭の電力消費量の約15%が照明に要するもの
・今年度から市場化され、価格も効率も向上中
・輝度の高い点光源。現在、信号機のLED化が行われている
― 79 ―
③
信号機、工事表示、表示装置等の公共物も省エネルギーに転換させる
[事例4−7−4] 有機ELを利用した照明
・電流を流すと発光する有機物質を用いた照明
(注)エネルギーを受けて物質が自ら発光する現象を「エレクトロルミネセンス(E
L)」という
・蛍光灯、白熱電球と比較して、それぞれ約2割、約8割のエネルギー削減。寿命は同
程度、10倍
・技術開発段階にあり、更なる高効率化、低コスト化が可能
・面光源
・薄く出来る(1mm以下も可能)、曲げられるなど、応用性が高い
④
環境に優しい、脱石油の建材、資材の利用、活用する
⑤
製造業向けの省エネルギー、リサイクル設備及びサービス
製造業で発生する廃材料、廃水から貴金属を回収のリサイクルを代行したり、処
理を代行します。更にこれらに関するコンサルティングを行っています。福島県内
で成功しつつあるベンチャーの事例としてアサカ理研の事例を上げます。
[事例4−7−5] 製造から発生する廃材、廃水のリサイクル
1.会社名:アサカ理研工業株式会社
所在地:福島県郡山市田村町金屋字マセロ47番地
TEL:024−944−4744 FAX:024−944−4749
資本金:3億1000万円
従業員数:200名
平成9年から11年度に新規産業創造技術開発費補助金(経済産業省)を受けた
2.事業内容
(1)環境事業部
①エッチング液の販売と廃液のリサイクル
②銅粉の回収
・エッチング廃材からの銅の回収
③水理処理剤の製造販売
(2)貴金属事業部
①貴金属の回収
製造工程時に発生するスクラップ、電子部品、装飾品や歯科材料等から金、
白金、銀、パラジュームを抽出、精錬、回収する。
― 80 ―
②精密洗浄
電子部品のドライメッキに使用される防着板やマスク等の各種冶具の洗浄、
再生をする。
③機能部品のリサイクル
・水晶発信子の再生
・ハードディスク基盤の再生
・モニター水晶の再生
(3)システム事業部
①自動計測検査システムの構築
②計測ネットワークシステムの構築
③特注システムに関するコンサルティング及びエンジニアリング
[事例4−7−6] いわき化水株式会社
1.
会社概要
会社名:いわき化水株式会社
設立:平成11年4月2日
所在地:福島県いわき市勿来町酒井酒井原50−1(本社&工場)
2.
事業内容
(1) 環境エンジニアリング
① 水
・無機廃水処理設備
・有機廃水処理設備
② ガス
・排煙、排ガス、悪臭処理設備
③ 廃棄物
・脱水機
(2) システムエンジニアリング
・造水、空調、給排水等システム
(3) テクニカルサービス
・エンジニアリングコンサルタント
・メンテナンスサービス
― 81 ―
(4)ま と め
脱石油、省エネルギーを実施するために設備業にもっとスポットライトを当てて、
育成すべきである。特に製造業との相乗効果が著しく出るので、地場産業として育成
できるように仕事の発注等の面でも検討すべきである。この事業のノウハウ蓄積も重
要である。また既にベンチャーで成功しつつある企業もあるので、これらの支援と新
しいベンチャーの育成が必要である。
更に次に述べるコンサルティングと一体化することで大きなビジネスチャンスが
ある。
4-8
環境コンサルティング市場
(1)現状分析
環境コンサルティング市場は全体的かつ社会的なアプローチができるコンサルテ
ィングファームとESCOのような専門分野に特化したコンサルティングファーム
の2つの要素が必要となっている。これらのファームを利用して市場の開拓と需要の
創造をすることが成功のポイントとなる。また脱石油化、エコロジーを知識化するた
めの司令塔の役割を負っている。
(2)市 場 性
①
環境コンサルティング
・環境問題に関するソリューションをコンサルティングして対応をアドバイス
する。
・環境問題関連のノウハウを吸収する。
・官でカバー出来ないので大学、民間を活用する必要があるし、この分野では人
材を育成する必要がある。
②
IT関連ソリューション
・ITを利用した省エネソリューションを提案するビジネス
・環境コンサルティングをベースとしたソリューションビジネス
③
ESCO(Energy Service Company の略)事業の中で省エネに関するコンサル
ティング部門のノウハウを活用することを検討し、これを提供する
・省エネルギーに関する包括的サービスを提供し、その顧客の省エネルギーメリ
ットの一部を報酬として享受する事業
・2005年市場規模303億円:潜在市場は2兆円超がある(ESCO推進協
議会調査)
― 82 ―
ESCO事業
の形態
ESCO事業の形態
○顧客が事業資金を調達する「ギャランティード・セイビングス契約」とESCO事業者が
事業資金を調達する「シェアード・セイビングス契約」の2種類の契約形態があり、顧客
のニーズに応じた対応が可能。
ESCO事業の概要
ESCOの経費
返
済
分
金利
初期投資
省エネルギ ー効果
顧客の利益
ギャランティード方式
サービス料
サービス料
顧客の利益
リース会社
金融機関
顧客
リース・融資
光熱費支出
シェアード方式
光熱費支出
光熱費支出
初期費用負担なし
顧客
④
ESCO
設備費用負担
ESCO 事業者が
保証
ESCO事業
実施前
省エネ保証
ESCO事業
実施中
契約期間
終了後
35
設備設置
設備費用負担
ESCO
リース・融資
リース会社
金融機関
サービス料
BRICs等の公害や急成長している国々への地域の脱石油と省エネのノウハウを
販売することが可能である。
(3)ま と め
まずこのコンサルティングビジネスが脱石油、エコロジーをレベレッジとしたクラ
スター化された中小企業の活性化の指令塔の役割を担って中心となるべきであり、重
要な位置づけにある。
環境問題のソリューションとして全ての環境問題解決するという位置づけが重要
で、環境問題のソリューションを提供しつつも、併せて地域の中小企業を育成すると
いう、新しいコミュニティ型のコンサルティングサービスを目指すべきである。量よ
り質を重視した地域密着型のコンサルティングサービスを目指すべきである。
・地域に対応した、脱石油エコをベースとした中小企業へのトータル的な経営コン
サルティングおよび経営支援をする。
・地域に焦点を絞ったクラスター型エコロジーモデルをベースとしたコンサルティ
ングサービスを実施して企業間のシナジー効果を出す
・地場産業へ対するコンサルティングサービスおよび指導
・企業、自治体、住民を含めたコミュニティ全体への脱石油、エコロジーのコンサ
ルティングサービス
①
国際標準化機構(ISO)が認定する環境マネジメント規格「ISO14
000」の取得支援
②
取得後のコンサルティング
― 83 ―
③
経費削減と省エネルギーを進める「ESCO事業」的なアプローチの指導
④
環境アセスメント関連支援
⑤
ITを利用したエコソリューションビジネスの支援
・環境保護のためのソフトウェア開発
・省エネ、省資産、コスト節約でのITの活用とソフトウェア開発
クラスターモデルのゴール
ISO14000
ESCO事業
新しい
環境問題
コンサルティング
コンサルティング
サービス
地域コミュニティ型
コンサルティング
地域中小企業
育成
地域コミュニティ
活性化
ITの
活用
現在日本のコンサルタント企業では、潜在的には新しい環境分野におけるビジネス
ドメインに一番近い。また、福島県内にも潜在的にコンサルティングができる会社も
以下のとおり存在している.
[事例4−8−1] 株式会社 クレハエンジニアリング
所在地:福島県いわき市錦町落合135番地
資本金:2億4千万円
従業員数:313人
事業内容:
・エンジニアリング
・ 各種プラント事業
・ 設備、施設の総合エンジニアリング
・ 設備、施設の技術コンサルティング
・ 機器、装置の設置に関する工事
・総合メンテナンス
・設備、装置等の研究、技術開発
・システムエンジニアリング等ソフトウエアの取得、開発、販売
― 84 ―
・ いわき化水株式会社
・ アサカ理研工業株式会社
(7.設備業の章で詳細既出)
述べた3社のエンジニアリング会社の業態に近いので、これらと純粋な経営コンサ
ルティングの要素を加えて、環境ソリューション化することが重要である。
この種のコンサルティング実施グループは今後、官民で地域で地域密着型コンサル
ティングを展開しつつノウハウを蓄積して、高い付加価値を創り出すビジネスとなる
可能性が大きい。地域活性化クラスターの中核としての司令塔として位置づけて育成
すべきである。
4-9
事例及び参考ケースのまとめ
脱石油及びエコロジーのビジネスについて福島県内での事例を調査したが、当然なが
ら全てを福島県の事例でカバーできなかった。従って日本国内や海外の事例も加えて研
究するになった。調査を実際にしてみると福島県内で予想していた以上に事例があり、
福島県の潜在力があることが判った反面、福島県民としてPRをもっと推進することと、
これらの潜在的な実力を活用すべきであることも判った。
特に中山間地である会津に成功事例が多いが、各個人や各企業が単発で成功している
だけで止まっているのが残念である。地域としてこれら情報と知識を認識して個々の知
恵や力を統合化すると、大きな力になる可能性が大きい。福島県には地域として高い潜
在能力があるにもかかわらず自己の実力を認知していないだけであり、我々はこの潜在
能力を引き出して地域の活力の源としたい。
― 85 ―
事業分野
コンサルティン
製造業
建設業
梱包業
農業
林業
設備
グ
福島県内事業所
中小企
業
シグマ
坂本乙造商 東 北 工 玉 梨 と
店
業㈱
う ふ 茶
会津建設㈱
屋
山 中 煎
餅本舗
会 津 中
央乳業
大企業
富士通
㈱会津
工場
鹿 島 建
設㈱
小 名 浜
菜園
パソナ
日本国内
㈱ファーストエ
企業
スコ
海外企業
㈱オクタ
ノキア
ゼ
ク
ー
ブ
住友林業
清水建設
廃 材 エ
タノール
松下電器
リサイ
クル合材
料
飛騨フォ
レスト㈱
古材文化の
会
日本民家再
生リサイク
ル協会
海外
米国エコ住
宅
米国省エネ
ハウス
米国ハース
トビル
グリーンビ
ルディング
ジョ
ンソ
ンコ
ント
ロー
ルズ
㈱
京大
杉エタ
ノール
植物繊
維強化技
術
考
ケ
ー
ス
㈱ファー
ストエス
コ
白河ウッ
ドパーク
YIT
日本
参
富 士
ロ ッ
ス リ
タ ナ
ル化
アサ
カ理
研
いわ
き化
水
― 86 ―
ウ ォ
ル マ
ト
ト ウ
ロ コ
紙
包 装
理化
ー ウ ォ
ー ル マ
ト
モ オ ー
シ ニ ッ
コ ッ
合 ン
オ ー
ー
ー
ガ
ク
ト
ガ
ニ ッ ク
食品
― 87 ―
第5章 具体的な対応についての提言
地域資源とエコロジーを組み合わせて、これを活用した地域(地場)産業の発展によ
り地域経済の柱となる中小企業を育成すべきである。地域の中小企業が脱石油エコロジ
ーというキーワードにして、クラスター(果実の房)のように集中し、シナジー効果が
出せるように、検討する価値がある。またエコロジーや脱石油は小さな積み重ねと継続
することが重要で、これは日本人、特に福島県人には向いていると思われる。クラスタ
ー(果実の房)化をするには束ねる力が必要になるが、これは地域社会と地方自治体で
サポートする必要がある。
そこで脱石油モデルについての各産業分野別実証実験とクラスターモデルのビジネ
ス化が課題である。
環境ビジネスクラスターモデル
農業
建設
[社会化要因]
1.石油資源の枯渇
2.地球温暖化
3.日本経済の成熟化
4.グローバル化の進展
製造業
脱石油
林業
その他
設備
[地域の衰退]
1.首都圏一極集中化
2.地域産業の衰退
3.少子高齢化
運輸
コンサル
ティング
地域活性化
効果
環境改善
産業振興
雇用上昇
D-39
[上記の図の説明]
1.脱石油及びエコを中核として各地場産業を刺激するようにする。
①製造業では脱石油、エコのために設備投資、建設投資が発生し、それが建設業、機
器設備業へ発注が生じる。
実例:大手半導体メーカーが脱石油、省エネに投資すると設備業者に機器を発注し
工場を改造するために、地元建設業へ開業を発注する。
②エコ住宅、エコビルディングの需要があれば建設業や機器設備業へ発注が生じる。
③流通段階で脱石油、エコで投資すれば省エネのトラックや省エネ梱包材料や代替エ
ネルギー等の需要が発生してくる。
― 88 ―
④エコ農業が導入され売上げが出てくれば流通に対する需要が拡大してくる。
⑤エコ林業が導入されれば木材の切り出しの設備、流通に対する需要が拡大してくる。
⑥①∼⑤は各産業からの波及効果であるが、その産業自体も活性化する。
2.産業間のシナジー効果と波及効果が出てくる。これを総合的にとりまとめるように
プランニングする。
3.活性化しつつある産業は以下の波及効果を作り出す。
①雇用の拡大
・雇用についてはクラスターの中の中小企業のほうが吸収力が大きいので、クラス
ターの中の企業の活性化により雇用効果が大きくなります。
②消費者市場の需要拡大
・消費者の意識が相乗的に高くなることにより、マイバッグ運動レベルからエコ住
宅、エコカーといった高額な商品まで需要が大きくなります。
③脱石油、エコの経済効果の拡大
・単に石油の消費量が減少するだけでなく、排出権等の収入の効果が発生します。
脱石油、エコの利用により、より高い付加価値産業へ転換できます。
④情報、知識のアウトプット
・地域内での脱石油、エコに関する情報・知識を交換、交流したりするとともに、
知識財産化して域外へ販売するようにする。
4.地域内で産業が相互に影響してくる。
・脱石油、エコに関する情報、知識の共有化により各産業の高度化、知識化が促進
できる。
5.これらの産業を束ねてクラスター化することにより、実際に地域全体が活性化して
くる。
― 89 ―
5-1
各ビジネス分野の分析
各ビジネス分野のビジネス展開の方向付けを「産業の高度化」(垂直化)と「シナジ
ー効果」(水平化)という二つのベクトルに分類した結果が以下の通りである。
各産業のビジネスの方向
建設業
農業
産業の高度化(垂直化)
シナジー効果(水平化)
1.エコ住宅
1.建設業の農業分野参入
2.グリーンビルディング
2.地元産木材利用
3.木造住宅(健康住宅)
3.廃材処理→エタノール製造
4.省エネのためのリフォーム
4.地域内流通化
1.環境と健康に良い農業
1.農業の企業化(他産業から参
2.省エネ農業
林業
入)
3.環境ブランド化農業
2.地域内流通化
4.地域内流通商品化
3.農業工場化
1.林業振興による Co2 吸収増加 1.建設業との連携し木造家屋
2.木材からのエタノール製造
2.地域内流通化
3.木材の材質強化
4.新しい木材利用(健康)
製造業
1.省エネ技術
1.IT ノウハウ発信
2.リサイクル
2.納品、部品等 Just in Time
3.代替エネルギーの利用
3.大企業から中小企業へのノウ
4.設計−製造の一貫した省エネ
運輸
ハウ共有化
1.IT 配送システムによる合理化 1.地域共用配送
2.トラックの省石油化
2.各産業との連携
3.エタノールの使用
梱包
1.省エネ型梱包技術
1.各産業との連携
2.リサイクル
設備
1.環境設備機器の利用
1.建設業との連携
2.省エネ太陽エネルギー、風力 2.製造業との連携
発電設備
コ ン サ ル テ ィ 1.環境問題の知識の集積化
1.各産業の連結する役割
ング
2.地域クラスターの集積化
2.地域密着型ノウハウ蓄積
3.地域脱石油、省エネの知識財 3.地域内での知識の交換
産の販売
D-40
― 90 ―
そしてビジネスの視点から地域として取り組むべきことは以下の通りである。
(1)脱石油と環境市場の一部はニッチ市場で参入障壁が高くなっていることから大企
業が参入することは難しい。大規模企業は環境関連分野での市場規模が小さいた
めに、ビジネスとして存続することが現状では難しいからである。
(2)中小企業が市場のセグメンテーションをニッチに策定すれば、大企業の参入が難
しくなり、さらに福島県内の小規模企業にとっては地域に密着すれば有利である。
(3)マーケティングに成功して潜在的な市場ニーズを掌握すれば小規模企業が有利で
ある。小規模企業のほうが、運用コストが低く、小回りが利きスピードがあるか
らである。しかしこれらの企業は併せて流通改革や加工プロセスの改善を実施す
る必要がある。
(4)既存のビジネスと新しい脱石油と環境の要因を組み合わせることにより、既存ビ
ジネス再生型のベンチャーと定義することが可能である。ITやハイテクだけが
ベンチャービジネスのシーズになる訳ではないので、特徴に基づいた地域発のベ
ンチャーとして発信できる。
(5)福島県としての地域の特徴、環境分野の知識、知恵と企業家精神が加わることに
よって新しいスモールビジネスができる。これを大きなビジネスに育成すること
より、企業は適性な規模におさえるべきであり、そして成功した企業数を増やす
ことにより、全体の総計として地域の経済効果を上げるべきである。
(6)知識集約型スモールビジネス化をする。この場合に中山間地である会津地区のス
モールビジネスのように福島県の地域文化、伝統を加えることにより、独創性を
出すことが一つの解決策であり、これが地域産業の強みを産み出す。
(7)大企業が福島県でビジネスを展開する場合には地元企業とのタイアップ、コラボ
レーションすることにより、大企業のノウハウ知識を地元で吸収する必要がある。
これは大企業と中小企業の間が対等な関係であるべきであり、この間の仲介を行
政がすべきである。
(8)従来の地域振興策は、地域に関する施策は政府の政策と組織の指揮命令に従って
いるために地域にとって必ずしも、最適になっているとは限らない。そして一過
性で定着しない傾向が強い。地方自治体はこれらを地域として「縦割り行政方式」
から「地域統合化方式」に転換し連続性を維持し政策実施することが成功の鍵で
ある。
(9)将来的には脱石油と省エネ、エコはグローバル市場となりうるし、知識やノウハ
ウを海外へ販売の可能性も高い。
(10)ネットワークやITを活用することが不可欠であるが、これも地域や企業規模
にあった利用が重要である。
― 91 ―
5-2
福島地域産業育成への提言
元来、衰退産業として認知されている農業、林業、建設業、中小の下請け製造業は経
営の仕方によっては脱石油と環境という視点から見ると、今後活性化の可能性として潜
在力がある。従ってこれら産業や企業や個人の潜在能力を引き出す経営をすることが地
域の活性化への近道である。
また農業、林業、建設業、中小の下請け製造業を復活させなければ、地域経済の回復
はありえない。さらに国家戦略上からも均衡のとれた成長が望ましいので、地域経済と
首都圏の経済は差別化して育成していかなければならない。
しかしながらグローバル化とIT化の波は大企業、中小企業の差をつけないで受けて
いるので、中小企業の防波堤として脱石油、環境が必要であり、
。またグローバルな競
争の時代だからこそ、地域性の強みも出せるのである。
福島県の中小企業を活性化して雇用を拡大するためには「脱石油」、
「省エネルギー」
を中核として産業を再生しなければならない。それも各企業が個々というより小企業が
シナジーを持ちながら相互に刺激し、切磋琢磨しながら再生拡大をするような地域ぐる
みのクラスター仕組みを創るべきである。
従ってシナジー効果(相乗効果)を出すための以下のような地域戦略のマスタープラ
ン作りをする必要がある。
地域の連携
企業
雇用
環境
脱石油
個人
― 92 ―
ファンド
5-3
理論的なアプローチ
前に述べたように、中小企業向けの弱者の戦略の策定が必要である。弱者の戦略とは
何であるかというと、大企業が中心となってビジネス化を推進している自動車産業の省
エネやオイル産業の代替エネルギー等とは異なるニッチで中小企業の規模に合った産
業セグメントを見つけることである。従って弱者の戦略は大企業の戦略のフォロアーで
なく創造的に中小企業が自分達の知恵で考察し策定すべきである。
ここで重要な視点はマーケティング戦略であるが、福島県内の企業の最大の弱点はマ
ーケティングや顧客志向に欠けていることである。ここで検討している脱石油、省エネ
というドメインは事業的には現在は魅力あるものではなく、本格的な大企業の参入も非
常に少なく、無風無競争に近い状況になっている。また公共事業という位置づけに近く、
一部では政府や自治体の補助でビジネスを維持しているようなビジネスの構造である。
しかし反面、この市場は現在一般的になっている「ブルー・オーシャン」の市場と定義
されている。言い換えれば、このような「ブルー・オーシャン」の市場を探せばグロー
バルの競争や大企業との競争に勝ち残れるはずである。
脱石油及び省エネルギーの市場と組織と戦略について
ブルー・オーシャン戦略とは
ブルー・オーシャン戦略は見えざる需要を掘り起こすためのフレームワークであり、
また組織メンバーのマインドセットを改革し組織の若返りを促す変革ワークでもあ
る。
・競争相手や潜在的な競争相手が気付いていない領域へ進出する。
・差別化と低コスト化のトレードオフを解消する(これまでの戦略論は「二者択一」
もしくは同時実現を主張している)。従って人件費の低減化に対する対策を考えら
れる。
・W・チャン・キム(INSEAD教授)、レネ・モボルニュ両氏が「ブルー・オーシ
ャン戦略」(ハーバード・ビジネススクール・プレス出版)で提唱しています。
本市場の特徴とは
・ブルー・オーシャン(競争の無い未開拓市場)であると言っても過言ではない。
・現在の市場は小さい(ミクロ市場)しかし潜在市場は大きい。
‐グローバルレベルで環境が悪化しこれに対応するために需要は拡大する可能性
大
・地域性が高く、密着性がある。
‐環境問題が一次的に実感できるから
利益
― 93 ―
社会貢献
企業組織として現在適合する形態とは
・小またはミクロ企業、ベンチャー企業が適している。
・社会貢献と利益の追求の二つを同時に求めるタイプの企業であるべき。
−P.ドラッカーの言う21世紀の企業の形態は「NPO的公共的な企業の形態」
を指向している
戦略の策定と実行の方法とは
・個々の企業レベル戦略と地域としての総合的基本戦略との整合性を追及した相乗効
果を重視。
・デマンドサイドからの戦略策定の必要性(顧客中心、潜在的市場ニーズ掌握)
。
・ブルー・オーシャン市場としての戦略策定の必要性。
・脱石油及び環境問題はCSRそのものであることから、地域での認知度を向上させ
る。
・ITの活用した効率化と能力向上。
・福島県の地域文化、伝統を付加価値として加えることによりブランド化に活用する。
知識の概念化と場づくり
・イノベーションの創出させるような場をつくる。
・イノベーションと併せて蓄積された知識を活用する。
・地域の文化、伝統を見直し知識化しながら商品と融合する。
・ビジネスのプロセスで獲得した知識を形式知化により知財化して、伝書や情報発信
をする。
・分散された情報や知識の統合化、ネットワーク化。
地域型エコロジービジネスの相関図
市場
コンセプト先行
未成熟
採算性が低い
ブルー・オーシャン
企業組織
ミクロ企業、ベンチャー
NPO的企業
CSR重視
戦略
地域型
エコビジネス
企業と地域の相乗戦略
デマンドサイドの視点
ブルー・オーシャン戦略
イノベーション
分散型
地域文化、伝統尊重
知識
D-39
― 94 ―
5-4
具体的な実施についての留意点
(1)基本戦略と地域政策の整合性と統合性の追求
各企業が企業の戦略に地域の特徴を反映させるには、地方自治体の地域政策と整合
性を持たせることが重要になってくる。各企業と行政は地域に最適な基本戦略を創出
しなければならない。それが脱石油であり省エネで、これに従って企業を育成すべき
である。それは以下のチャートで示してあるようなプロセスが考えられる。
環境関連小規模企業育成プロセス
地域内
知識化
地域外
企業家精神
環境関連
Seeds
小規模企業
マーケティング
ブランド
作り
グローバル
水準
地域のニーズ
新しいビジネスの芽
拡大、育成
大学、研究所
福島地域市場
日本全国市場
グローバル市場
ブルーオーシャン
(2)サポート体制
行政と地域は地域の中小企業に対してビジネスの立ち上げの際の困ったことや問
題を相談に乗って一緒に解決してやるような支援体制を整える。行政は補助金という
よりも知恵の面でサポートすることが重要である。
― 95 ―
①
地域で本ビジネスを育成するという支援の輪(ビジネスインキュベーター)を作
りこれに人、物、金を出す。
②
アドバイザーズ制度
・福島県出身で、県外で活躍しているシルバー世代のアドバイスを受けて、経験、
知識、人脈等を活用をする。
・一流の学識経験者の意見やアドバイスを受けることにより一般化させる。
・市場における顧客のニーズを掌握し、分析してビジネスに繋げるような情報収集
方法をITを活用し検討する。
③
マーケティング支援
一番必要なのはマーケティングによって売上げを促進することであるが、福島県
の中小企業は一般にこの部分が弱いので、テコ入れする必要がある。
・まず地域の地元で試験的に市場実験トライアルをできる仕組みづくりをする。
・全国展開をするためのマーケティング戦略や組織作りをする。
・マーケティング戦略をアドバイスする。
・グローバルに展開するための援助をする。
・ネットワークを利用した通信販売、マーケット情報、ITシステムの構築。
・ブランドづくり
−福島の共通ブランド化の検討
−福島品の認定制度の展開
④
情報交換SNSの開設
市場のセグメントが小さいニッチ市場の場合にはネットワークを利用して、顧客
に商品を訴求することが重要になる。このため、ネットワークを活用して商品やサ
ービスの情報を福島県から発信する。ネットワークの活用が既存の販売チャネルの
限界を打破して流通改革や加工プロセスの改善に繋がり、そしてネットワークを利
用することによって、直接顧客の声や意見を聞けるというメリットがある。
・一般の顧客向けのネットワーク上で情報交換や物販をできるようなサイトをして
いく。特にレアな商品を売る仕掛け作りをする
・ネットワーク上で脱石油、省エネ等の学術ビジネス上の情報交換を
グローバル
に展開できるようにする。ブログで情報交換の場をつくる
・他の情報とミックスすることにより付加価値を付けシナジー効果をつける
⑤
知識や情報の共有化
成功したノウハウや知識は知的財産としては重要である。しかし大きな視野にた
って地域発展のためには、成功した事例や失敗した事例からの知識や情報を地域
として共有することが求められる。
⑥
ITの活用
低コストで使い易いシステムを開発する。余り大規模システムは必要ないし、コ
― 96 ―
ストが高く維持できない。
― 97 ―
第6章 結
び
最近になって脱石油、省エネ等の環境問題が非常に注目されて、環境問題はビジネス
になるという認識が一般的になっている。
福島県内での脱石油、省エネに対する中小企業のあるべき姿と方向づけについて検討
してきた。福島県内では、独立的、分散的にいろいろと対応している実績や努力がある。
しかし、これはあくまで点や線のレベルで、地域という面のレベルに持っていくことに
よって、脱石油、省エネのビジネス化が社会的に実現できるはずである。これらに整合
性と方向性を持たせるために、行政の推進力と調整力が不可欠になっている。
従来の脱石油、省エネルギーの対策は狭い範囲での製造業に対する対策であるが、本
提案はこれらとは異なり、地域社会全体と既存産業を活性化することを目標としている。
ここに難しさはあるが、これを解決しなければ、地域経済は活性化せず、日本でのリー
ディイングケースにもならない。
我が国の産業は高い労働コストというハンディキャップを持っていることから、大量
生産方式を維持することは放棄して、新しく何かをしなければならない。その答えの一
つは独自のノウハウ、知識を活かすことと、ニッチの市場で高付加価値をつけることで
ある。まさにこの戦略に対する答えの一つが脱石油、省エネルギーを中核に利用した活
性化策である。脱石油、省エネルギーをハンディキャップとしてではなく、プラスの付
加価値としてとらえることが必要である。
また中小企業の柔軟性とスピードが中小企業の強みであり、地域の中小企業と産業は
今であれば脱石油、省エネルギーに関して先行して努力すればまだ生き残りが可能なの
である。
いろいろと述べてきたが、もうひとつの大きな解決策は地域での人材育成である。明
治時代から、福島県は素晴らしい人材を輩出しているにも関わらず、県外に人材を供給
するだけで、地元にはあまりプラスにならなかった。しかしながら、福島県から中央に
行った人材や地元の人材も含めて新しい人材、人的資源を活用することにより、広い視
野を持った新しい人材の育成をする必要がある。少子高齢化だからこそ人材の育成が急
務なのであり、地道な努力が必要である。
そこで地域の人々が志を持って新しいビジネスを開拓すれば、グローバル競争に生き
残ることは十分に可能なので、他の地域より可能な限り早期にこのプロジェクトに行政
が中心になり、着手すべきである。
既に脱石油、省エネは実験の段階ではなく、実際のビジネス段階に突入しており、企
業としての自助努力が必要なのであり、利益をあげビジネスとして確立しなければなら
ない。
― 98 ―
6-1
課
題
このプロジェクトの実施にあたっての考慮すべき課題は以下の通りである。これらの
課題を解決しつつ、福島県において実際のビジネスを展開していくことが求められる。
(1)全国水準、グローバル水準へのレベルアップをするためのプロセス管理。
・提案だけに止まらないで実施して、そのプロセスノウハウを蓄積することが必要
・脱石油の新規ビジネスのシーズを探すための大学や研究機関とのコラボレーショ
ン
・半導体クラスタープロジェクト等とのコラボレーションの強化
(2)ビジネスとしてのリターンを追求する。
・ビジネスとして成立するのかをよく検討する。
・地元にとってのメリットをどう展開するのかを検討する。
(3)地域経済への寄与度を測定する。
クラスター内部
効果
装置産業
税収の増加
新規ベンチャー
非装置産業
雇用の拡大
地域の活性化
既存企業
・雇用の拡大へつなげる
一部の産業は装置産業のために、雇用が拡大しないので地域の雇用を吸収する
には、雇用を伴う地場産業を育成する必要がある。
・地域経済改善効果
地域経済に対する貢献や寄与度をよく検討する必要がある。
・地域の特徴を発揮できるような人材育成
・税金収入の拡大
装置産業は税金収入増加の分野で貢献すべきであり、評価されるべきである。
― 99 ―
(4)成功事例としてのリーディングケースとなるような企業を育成
・成功事例が無ければ地域のメンバーに納得させられないので成功事例を早急に作
ることが必要である。
(5)MOT(Management of Technology)と新しい環境技術を組み合わせることによっ
て、地元の大学の活性化も含めてコラボレーションを検討すべきである。
・地域の水準のレベルアップを図るべき。
(6)知識ノウハウの継承。
・貴重なノウハウや知識となるので蓄積して知的財産として管理して販売すること
も検討すべき。
(7)柔軟に対応すべきである。
・民間の活力を利用すべきで、官はあくまでフォローに止めるべき。
(8)スピードを持たせる。
・失敗しても良いから早期に結果が判るようにして、失敗した場合は迅速に方向転
換する。
(9)グローバルな視点から見直しをする。
6-2
脱石油、省エネルギービジネスコラボレーションの設立
産・学・民・官が集まり、早期に実施検討する支援組織を立ち上げるべきである。
特に補助金というよりは知恵と知識の面や営業の面でサポートすることが本プロジ
ェクトのために重要である。この意味では既にNPO組織としていくつかの団体がある
ので、これらの組織と連携するなど、有効活用すべきである。
【メンバー】
・地方自治体(県、市、町村)
・地元中小企業
・地域商工農の団体
・地元企業
【事務局】
・調査研究、コンサルティング組織
― 100 ―
プロジェクト関係
地域をベースとした研究、コンサルティング組織
国
コンサルタント
半導体クラスター
地方自治体
[サポータ]
県
コラボレーション
他のプロジェクトとの
連携
市町村
地域商工農
団体
地域社会
大学
ファンド
脱石油、省エネコラボレーション
[実施主体]
地元企業
マーケティング
[市場]
地元企業
地元企業
地元企業
コミュニケーション
グローバル
販売
日本国内
地域
ブルー
オーシャン
グローカル化
[参考]
【今後活用を検討すべき地域二法案】
経済産業省は地方の中小企業を支援する、1「中小企業地域資源活用促進法」と国の
規制を見直し、企業誘致と産業集積を促す、2「地域産業活性化法案」を「地域二法」
と位置づけ推進している。
「中小企業地域資源活用促進法」では民間企業や地方自治体と共同出資ファンドも設
立する予定で予算税制でも優遇し、地方交付税も用意している。
6-3
グローバル化について
脱石油、省エネについてはグローバルな視点から検討しなければ問題解決にはならな
い。日本だけが努力してBricsの中国やインド等が日本の数十倍の石油を浪費した
り、公害の垂れ流しをしたとしたらトータルでは何も意味が無いことになってしまう。
中国は国民総生産の3%が公害で損失を受けているという報告がされているが、中国の
公害は南シナ海やジェット気流によって日本にも損害を与えているのである。既に酸性
雨、黄砂、越前クラゲ等が我々の実感として肌で判る範囲で現象として発生している。
福島県という地域だけで考えても本質的に問題決しない。反対にここにビジネスチャ
ンスとして脱石油、省エネ、公害防止等の日本の知識がグローバルに知的財産として販
売する機会である。
この知的財産が単純に人件費の低さだけで競争を仕掛けてくる中国等のBrics
との競争の差別の優位性に繋がってくるので、この分野で福島としてオリジナリティを
確立し、知的財産として販売する体制を確立しなければならない。このプロジェクトが
― 101 ―
福島県におけるグローカル化(ローカルの中でのグローバル化)の先鞭をつけることに
なる。
6-4
理念、コンセプトの外部への発信
これらを実施するに至っては理念コンセプトを外部へ発信することによって、福島県
としての存在価値を高めることが必要である。理念、コンセプトを発信することによっ
て、福島県以外の外部資源の活用や支援を受けることができるようにすべきである。
例えば福島県内の大学には中国等の留学生が数多く学んでいる。彼らにこれらの理念
やコンセプトを紹介してグローバルにPRすべきである。
― 102 ―
参 考 資 料
資料1
Ⅰ
1
フィンランドの環境問題対応
何故フィンランドに学ぶのか
フィンランドはノキアに代表されるようにハイテク産業が発展している一方で、国
土の約6割を森林が占める森林資源(GDPの8%、輸出の26%)の豊富な国で環
境保護にも取り組んでいます。この豊富な森林資源を活かしてバイオマス分野での再
生可能エネルギー利用のリーディングカントリーとなっており、この分野の技術は輸
出されています。山林はGHGs排出量の20%を吸収しています。従ってフィンラ
ンドの主な政策は知識をベースとした環境問題の解決と、ハイテク産業育成を推進し
ています。
そしてフィンランドは1990年に世界で最初に炭素税を導入した国であり、「2
006年環境持続可能性指標(ESI)」では146か国中第一位となっています。
福島県は森林資源が豊富であると共にハイテク産業等も存在しており、環境が類似
しておりまた他県に先駆けて森林税を導入しています。特に一つの地域としてみる場
合は、スケール的にも参考にすべきです。従ってフィンランドから学ぶべきことが多
数あります。
またフィンランドは人口5百万人で、福島県の2倍強の人口で規模的にも余り大き
な差が無く参考となります。このような規模でノキアのようなグローバルな企業がな
ぜ誕生するのかということも興味があります。
2
国の概要
(1)政治経済の概要
国名
フィンランド
正式国名
フィンランド共和国(スオミ共和国) Suomen Tasavalta (英語名
Republic of Finland) (スウェーデン語名 Republiken Finland)
国歌
「我が祖国(Maamme)」
面積
33 万 8145km2
人口
約 520 万(2005 年)
首都
ヘルシンキ
元首
タルヤ・ハロネン Tarja Halonen(2006 年 3 月再任。任期 6 年)
政体
共和制
Helsinki
― 103 ―
民族構成
フィンランド人、スウェーデン人、サーメ人。
宗教
プロテスタント(福音ルーテル派)。
政治
一院制の議会制民主主義国家。大統領は直接選挙で選出され、任
期は 6 年。現在の大統領は、2000 年に選出されたフィンランド史
上初の女性大統領のタルヤ・ハロネン。
一院制議会は 4 年ごとに普通選挙で選出される 200 人の議員から
なる。
(内、女性議員は 74 人)2003 年 3 月の総選挙の結果、中央
党が第一党となった。世界で最も政治家の汚職の少ない国として
も評価されている。
外交政策
1955 年国連加盟以来、多くの平和維持活動に参加してきた。いか
なる軍事同盟にも属さず、独自の防衛力を保持している。NATO
(北大西洋条約機構)とは平和のためのパートナーシップ協定(P
fP)を締結、WEU(西欧同盟)及び北大西洋協力会議にはオブザ
ーバーとして参加。1995 年に EU 加盟となり、2002 年より通貨を
ユーロとする。
経済
農林業国から先進工業国に急成長。雇用の 3.4%が第一次産業、
32.6%が工業、64%がサービス業に従事。
(2002 年)世界経済フォ
ーラムの国際競争力報告で 2001 年度は 1 位、2002 年度はアメリ
カに次いで 2 位。経済活動の 1/5 を貿易が占める。対日本は輸出
2.2%、輸入 4.4%。
環境
すべての国民は公私有地を問わず森の中に入って自然に親しむ権
利があり、同時に自然を守る義務がある。2002 年度世界経済フォ
ーラムの環境維持可能指数で 142 ケ国中トップにランク。2003 年
度国連世界水開発レポートでは世界一水がきれいと評価。
― 104 ―
(2)マクロ経済指標、エネルギー、温室効果ガス(GHGs)
3
フィンランドの地球温暖化対策
国家的に取り組んでおり、小さな国家であることから、日本のような縦割り行政で
なく、トータルにアプローチし問題解決にあたっているのが特徴です。また民間企業
レベルでも自主性を持って環境問題に取り組んでいます。このように社会全体で環境
問題にそれぞれの役割を尊重しながら取り組んでいます。
フィンランドの地球温暖化対策の系譜
― 105 ―
4
フィンランドにおける行政の分担
フィンランドにおける地球温暖化対策担当省庁
― 106 ―
5
具体的な対策
(1)地球温暖化対策の概要
― 107 ―
(2)再生可能エネルギーの促進
― 108 ―
(3)NAPの策定
以上フィンランドにおける取り組みを検討して、福島県として参考になることもあり
ますが、フィンランドで限界も判っています。これらの強みと弱みを参考にしたい。
6
企業事例【1】ハイテク企業 NOKIA
(1) 会社概要
会社名:ノキアコーポレーション(Nokia Corporation)
設立: 1967年
代表者:Olli-Pekka Kallasvuo
本社: Keilalahdentie 2-4
P.O. Box 226 FIN-00045 Nokia Group Finland
売上げ:34.2億ユーロ(2005年度)
従業員:58,900人(2005年度)
企業目標:
『" Connecting People " という私たちの使命は、単なる宣伝文句ではありませ
ん。それは私たちの行動であり、通信事業者や顧客企業、消費者、社会への貢献を表現
しています。また、私たちの存在意義と企業理念でもあり、進むべき方向への指針であ
るといえます。私たちはその使命に基づきビジネスを推進し、顧客の皆様に価値をお届
けしていきます。』
― 109 ―
『地球を大切にしよう。かけがえの無い唯一の惑星なのだから。ノキアのイマージング
地域への働きかけは、重要な環境政策の一部なのです。ノキアが持つ海外の工場設備は、
現地の基準に関係なく、厳格さで知られるISO(世界標準規格)9000をはじめと
する審査基準に準じた環境基準の採用を念頭に入れているのです。』『環境問題へのコ
ミットメントはノキアの企業文化の一部なのです。環境に悪影響を与えることなく、か
つエネルギー・天然資源効率に優れ、その保存にも寄与する高度デジタル技術、製品、
サービスを開発することが当社の目標です。』
エレクトロニクスランキング (2006年9月末)
時 価 総 額 売 上 高 営業利益
順
社名
位
1
(100 万ド (100 万ド (100 万ド PER(倍)
国名
ル)
シスコシステム アメリカ
ル)
ル)
139,236
28,484
7,087
25.3
ズ
2
インテル
アメリカ
121,754
38,826
12,230
14.5
3
ヒューレットパ アメリカ
104,097
86,696
4,960
44.2
102,663
78,806
7,404
12.5
82,873
42,549
5,711
18.4
69,586
34,158
5,305
19.9
ッカード
4
サムスン電子
韓国
5
ノキア
フィンラン
ド
6
キャノン
日本
スタンダード&プアーズのCompustatによる
(2) 環境問題に関する取り組み
A.基本方針
① ビジネスを成功に導くためには、製品のライフサイクル全体にわたって環境パフォ
ーマンスが要求される
② 環境保護に対する積極的でオープン、かつ倫理的なアプローチこそが、環境問題に
おける「Nokia Way」である
③ 国際商工会議所(ICC)ビジネス憲章に基づいた持続可能な発展を目的とする
B.具体的な取り組み
① 地球温暖化の防止
・省エネルギーの推進。主に電力消費の効率化等による削減。
② 資源の節約と再利用
・省資源の推進。主に用紙削減等による。
― 110 ―
③ 廃棄物発生の抑制
・環境負荷物質の排出量削減に配慮し、地域から信頼される事業経営を行う。分別
及びリサイクル化の推進等による。
④ 法規制等要求事項の遵守
・環境側面に関する適用可能な各種法規制、条例、その他ノキアグローバルベース
での自主規制、また、顧客よりの要求等ノキア・ジャパンとして同意するその他
の要求事項を遵守し、環境保護・保全活動に取り組む。
⑤ 環境パフォーマンスの継続的改善
・通常のマネジメントプロセスの一環として構築した EMS の効率的かつ効果的な
運用を目指す。EMSは必要に応じて文書化され、実行され、維持されるものと
する。目的・目標を設定、最高経営層による見直しを定期的に実施し EMS を継
続的に改善する。
⑥ 環境関連情報の公開。
・ 環境方針は、教育及び啓蒙活動を通じてノキア・ジャパン全従業員またノキア・
ジャパンのために働くすべての人に周知徹底するものとし、一般の人にもパン
フレットやインターネットを通じて入手可能なものとする。
(3) 具体的事例としての携帯電話のリサイクル等の取り組み
A.基本的な考え方
携帯電話には、環境的に持続可能な物とそうでない物があり、NOKIAで
はエコフレンドリーな携帯の製造に力を入れている。携帯電話のリサイクルや、
自然に悪影響な物質の不使用も徹底しており、その結果は数字にも表れてきて
いる。
NOKIAでは携帯電話をデザインする段階からエコフレンドリーに取り組
んでいる。
B.具体的実施状況
① 設計、デザイン
・ エネルギー消費量が低く、省エネモード搭載する
・ 材料は人権、動物の権利を侵害せず、かつ環境に与える影響が最小限なものと
する
・ カバー部分はリサイクル可能なもの
・ 鉛と水銀の利用は最小限にする
② 製造
・ エネルギー消費が最小限にする
・ 従業員は環境に優しい方法で製造する訓練を受ける
・ 廃棄物、CO2排出量、水の使用量が最小限にする
― 111 ―
③ 使用(エンドユーザーが出来ること)
・ 使わないとき充電器の電気を切る
・ 携帯電話が入っていたパッケージをリサイクルする
・ 回収ポイントに使用済み携帯電話及び付属品を返す
④ 回収とリサイクル
・ NOKIAは携帯電話及び付属品の回収ボックスを街中に設置。リサイクルに
努めている
(4)ノキアから学ぶべきこと
このように設計→製造→利用→回収と商品の全体の流れの中で、環境に配慮した商品
政策を講じており、これは単にフィンランド市場だけでなくグローバル市場に展開して
います。特に中後進国向けにNOKIAは市場を拡大しており、この市場でこの環境に
対する考え方を啓蒙するというインパクトは大きい。
日本の企業はNOKIAのようにもっと環境へ前向きに対応すべきです。従来、日本
企業は環境にあまり配慮しておらず、他社見合いで余り突出していません。
長期的な視点から見るとリサイクル、社会的責任とイメージから十分に環境をビジネ
スとして利益回収しています。
― 112 ―
7
企業事例【2】
新しい業態としての建設業 YIT Corporation
(1)会社概要
YIT はフィンランド国内外の住宅、不動産、商業、インフラ投資の導入管理を請け負
っています。オペレーションの全てのセクターにおいて、YIT のサービスはプロジェク
トの始まりから終わりまで全てをカバーしています。YIT の主要市場区域は、北欧、バ
ルト諸国及びロシアです。
YIT グループの事業は3つのセグメントに分かれています:ビルディングシステム、
建設サービス、産業及びネットワークサービス。国際的な存在感を高めるための YIT
の戦略としては、バルト諸国とロシアにおいて建設サービスを、北欧とバルト諸国にお
いてビルディングシステムを、そして全ての市場エリアで産業及びデータネットワーク
サービスを、それぞれ強化させることです。
2004年、YIT グループの正味売上高は30億ユーロ、そして営業利益は1億3千
5百万ユーロでした。
YIT は8カ国に約2万2千人の従業員を抱えています。
(2)事業内容
①
建設サービス
YIT はフィンランドで最も大きな建設会社です。フィンランドのほか、バルト諸国、
ロシア、そして中央アジアも主要市場エリアです。
・ 不動産ビジネス
・ 居住施設の建設
・ ビル建設
・ 工業建設
・ 土木工学/工事
特長:
YIT では、ArchiCAD の3Dデータベースを活用しており、2次元設計図書の枠を超
えた、バーチャルのモデルによるコンストラクションプロセスマネジメントを行ってい
ます。ArchiCAD は、COVE(Cost & Value Engineering)と呼ばれる画期的なインフ
ォメーションマネジメントシステムの基盤として機能しています。
COVE は、YIT 社の開発担当者 Jarmo Laitnen 氏の博士論文研究に基づいて開発が
行われました。このシステムで既に完成したプロジェクトの結果から、YIT 社では
COVE システムを使用する事により建設段階における経費を少なく見積もっても4%
削減することができました。
②スペシャルサービス
・ 水と環境サービス
― 113 ―
YIT は水及び環境に関する様々なプロジェクトとサービスを数多く抱えています。
主にフィンランドにある YIT Environment Ltd と、スウェーデンにある YIT
Miljoteknik Ab という YIT グループの2社で請け負っています。
環境サービスは YIT の歴史の始めから重要な役割を担っています。YIT は元々、
地方自治体と工業用の給水設備の一括請負契約業者としてスタートした会社です。
1912年にスタートした YIT の最初の契約は、Porvoo 市の水のタワーでした。
最近では YIT は、水と排水処理、廃棄物処理、ガスシステムのアップグレードに
関するエンジニアリング、供給、及びメンテナンスサービスを提供しています。こ
れらに関する作業は、環境ビジネスのノウハウと、長く様々な経験に基づいて行わ
れています。YIT の製造技術は、極度に寒い冬と、暑い熱帯性気候の両方で使用さ
れています。
YIT のキーバリューの一つは、クライアントのニーズに合った処理工程のコンビ
ネーションを探し、提供することです。YIT は設備全体のサービスも、一部分のみ
のサービス提供も行っている。また、実際に作業を行う人材へのトレーニングも実
施し、長期的なメンテナンスと、作業工程のサービスを提供しています。
提供しているサービス:
・ 処理プラント
・ 製造技術に関するコンサルティング
・ プロセスデザイン
・ 設備の供給
・ プラントの導入、トレーニング、試運転の指導
・ プロセスパラメーターのメンテナンスサービス
・ 建設、所有、運営、運搬サービス
(3)YIT から学ぶべきこと
フィンランドだけに限らず、先進国の建設業は業態変化をしているので参考になり
ます。日本で言うところの大企業ゼネコンだけでなく、中小企業で付加価値をつけて
高利益を出している企業が多い。
YIT はフィンランド国内だけでみれば中規模企業であるが、建設業という本業のビ
ジネスドメインから、建設+環境+サービスというビジネスドメインは拡大すること
によって、成功させています。さらにヨーロッパは人件費が高いことから、積極的に
IT を導入して、付加価値を創造しています。日本も先進国に仲間入りをしているの
で、建設業だけ遅れて良いわけも無いし、単に官に依存して自助努力をしないでこの
ままでは生き残りは難しい。大手ゼネコンは多角化しているが、中小企業はその能力
から旧態依然の企業も多い。
― 114 ―
その意味で YIT は一つの福島の地域に応用できるリーディングケースであると考
えられます。
8
フィンランドから学ぶべきもの
まず現在日本で話題になっているのは、フィンランドの教育である。フィンランド
は人材の育成に力を入れており、この教育が、環境問題への取り組みやハイテク産業
育成に関しての波及効果が大きい。社会の基本は教育であるという認識を改めて知ら
されます。
(1) 社会行政レベルとして
① 国民全体が時間を掛けて環境問題に対して啓蒙されており、問題意識が高い
② 行政は環境問題を縦割り行政でなく、総合的なアプローチに努めている。このトー
タルなアプローチが重要である
③ 官だけでなく民のレベルでも問題意識が高く、自発的に環境問題に取り組んでいる
④ 官と民間の役割分担が明確になっている
⑤ 目標設定を明確にして数値目標をフォローしている
⑥ 環境をビジネスとして成立できるような努力をしている
⑦ 企業レベルでもCSR(Corporate Social Responsibility)として積極的に受けて
いる
⑧ フィンランドも一国だけでは環境問題は解決しないことは承知しており、フィンラ
ンドの知識をグローバルに展開して、問題解決しようとしている
(2) 企業レベル
① 環境を企業の重要な戦略として捉えている
② 環境をビジネスとして捉えており、ビジネスが成立することにより永続性を求めて
いる
③ 積極的に環境問題を主なCSRのテーマとしている
④ 企業の全体レベルとして捉えて、トータルアプローチで環境問題に取り組んでいる
⑤ 環境に関する数値目標、経済効果を明確にして従業員や株主に対してオープンに報
告している
⑥ 環境問題をテコにフィンランドの企業と差別化する重要な要素となっている
⑦ 環境に関する知識をグローバルにオープン化してグローバルに貢献している
⑧ 環境問題を追求して短期的に競争力が低下する可能性もあるが、長期的なビジョン
からはプラスになると信じて取り組んでいる
(3) 福島県が大企業を企業誘致する際に今後考慮すべきこと
脱石油や環境問題に関して企業がCSRとして責任を持っている大企業を誘致す
― 115 ―
ることが望ましい。その指標として以下の企業が候補となりうるし、また福島県内で
工場やビジネスをしている企業もある。例えば東芝、NEC、富士通である。しかし
3社とも環境では12.5点で満点を取っていないが、国際水準に達しているので評
価できる。
社会的責任評価(CSR)の上位30社
順位
2006
1
2
企業統治 従業員
2005
会社名
国名
業種
2
アストラゼ イ ギ 医薬バ
ネカ
リス
バイエル
ド イ 化学
環境
合計
(15 点満 (15 点 (15 点 (15 点 (60 点
点)
1
社会
満点)
満点)
満点)
満点)
13.6
13.8
15.0
15.0
57.4
13.6
13.8
14.0
15.0
56.4
13.6
13.8
15.0
12.5
54.9
13.6
11.3
14.0
15.0
53.9
12.3
12.5
14.0
15.0
53.8
13.6
12.5
15.0
12.5
53.6
13.6
12.5
15.0
12.5
53.6
12.3
11.3
15.0
15.0
53.5
10.9
15.0
15.0
12.5
53.4
13.6
15.0
12.0
12.5
53.1
13.6
12.5
14.0
12.5
52.6
イオ
ツ
3
10
BTグルー イ ギ 通信サ
プ
4
4
リス
ービス
インペリア イ ギ 化学
ルケミカル リス
インダスト
リーズ
5
6
18
6
アングロア イ ギ 鉱業
メリカン
リス
BASF
ド イ 化学
ツ
7
20
セントリカ
イ ギ 電気ガ
リス
8
99
ス等
ゼネラルモ ア メ 自動車
ー タ ー ズ リカ
部品
(GM)
9
23
トタル
フ ラ 石油ガ
ンス
10
8
ユミコア
ス等
ベ ル 化学
ギー
⋮
13
46
東芝
日本
エレク
トロニ
クス
― 116 ―
13
89
NEC
日本
エレク
13.6
12.5
14.0
12.5
52.6
13.6
13.6
13.0
12.5
51.6
12.3
12.3
13.0
12.5
51.5
トロニ
クス
⋮
26
90
富士通
日本
エレク
トロニ
クス
⋮
28
132
大日本印刷
日本
商業サ
ービス
用品
英国調査会社EIRIS(Ethical Investment Research Service)
Newsweek 2006年6月21日号
― 117 ―
資料2
Ⅱ
1
省エネビル:ハーストタワービル
建物の概要
住所:8th avenue, West 56th Street, Clinton, Manhattan, New York City, U.S.A.
総面積:856,000 フィート/79,500 ㎡
総床面積:20,000 フィート/1,900 ㎡
高さ:597 フィート/183m
階数:46 階建
2
ビルに関する情報
・ ハーストタワーはニューヨークシティで最初の"コア&シェル&インテリア" とい
う評価で LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)から金賞をも
らっている。(その他にも米国の Green Building Council から評価を得る予定)
・ 海外から仕入れた材料の費用は、タワーの構造の費用自体の 10% 以下。
・ タワーの"diagrid"(対角線模様のグリッドの略) フレームは、従来の周囲フレー
ムよりもおよそ20%少ない鋼鉄量(大体2000トンの鋼鉄の節約になる)を可
能にした。同時にデザインにおいて斬新さが出せた。
・ diagrid の各三角形の高さは4階建て分、または 54 フィートである。
・ 照明を制御し、エネルギー使用を減らす日光センサー
・ 1 マイルのガラスのオフィスフロント
・ 構造スチールの 90% にリサイクルされた材料を含んでいる
・ 15 の乗客エレベーター
・ 7 マイルのファイル貯蔵スペース
・ Wi-Fi 可能
・ 14,000 の照明設備
・ 16,000 枚の天井タイル
・ 最新式の実験室及びテストキッチン
・ 高速光ファイバーによるデータ送信−今より10倍ほど速い
・ フルサービスのテレビスタジオ
・ 専用ビデオ供給ネットワーク
3
グリーンに関する情報
ハーストタワー: 環境維持のパイオニア
2001年秋、ハーストコーポレーションの幹部達は、元々あった6階建ての基盤(建
― 118 ―
物)の上にさらに46階建てのビル(ノーマン・フォスター卿デザイン)を建築すると
いう大胆なプランを、2000人の従業員とニューヨークシティに公約しました。
しかしハーストコーポレーションによるこの宣言は、ただの建物改築というだけでは
ありませんでした。設計から構造、設備および実際の使用に至るまで、ハーストはニュ
ーヨークシティの歴史上最高の環境フレンドリーな、“グリーンオフィスタワー”を創
ることをも公約していました。
新しいこのハーストのタワーは、環境に優しいデザイン&建築物として国内での第一
人者となっています。これは、ニューヨークシティにおいて環境に優しい高層建築物を
建てられることを証明してみせたことになり、またこれによって環境に優しい建物−グ
リーンビルディング−に関して高水準を設定したことになります。
ニューヨークシティにとって、これは様々な利点をもたらしています:汚染の減少や、
水や電気を含む重要な資源の保全の拡大です。
ハーストで働く従業員や訪問客にとっては、より生産的で働き易い環境になり、健康
的で来やすい場所になりました。
ニューヨークシティにある大手企業や建設業者にとっては、ハーストはグリーンに関
して高水準を設定したことになります。
環境を意識したアプローチは構造前に始まりました。既存の6階建ての部分の内部を
整理したとき、リサイクル出来る物とそうでないものを徹底的に分け、その結果、元の
構造の約85パーセントは未来の使用のためにリサイクルされました。
ハーストのエグゼクティブ達は、建物の外面を包むガラスに革新的なタイプのものを
選びました。“Low-E”と呼ばれるコーティングがされており、室内が自然光で溢れる
と同時に、熱が溜まる原因となる太陽光の放射を遮る機能を持っています。
ハーストは、その時々で室内に溢れている自然光の量によって、人工光の量をコント
ロールする光センサーも導入しました。自然光は、人間の体、生活の質や生産性を高め
るのに有効という研究結果が出ています。
ハーストはまたアクティビティレベルを感じ取る技術を利用しています。例えばラン
チタイムで、何人かの従業員がコンピュータを使用していない場合、センサーはこれを
検出し、システムをそれに応じて調節します。また、センサーが部屋に誰もいないと感
知すると、ライトやコンピュータの電源が切れます。
― 119 ―
さらに、ハーストは外の空気を利用する空気調節装置及び高性能の暖房を、一年のう
ち75%使用しています。この装置及び他の設備の使用によって、標準的なオフィスビ
ルと比較して、22パーセント程度エネルギー効率を高め、また省エネが期待できます。
これは急速に増えている電気使用量が、地元の電気供給を圧迫しているニューヨークシ
ティにおいて、歓迎されている革新です。
ハーストはまた、水に関しても新しい技術を取り入れています。ハーストの屋根は雨
水を集めるよう設計されていて、これによりニューヨークシティの下水道に流れ込む水
量をおよそ25%減少しています。
雨水はタワーの地階に取付けられた14,000ガロンの再生利用タンクに集められ
ます。オフィスの冷暖房システムで蒸発された分の水を取り替えるのに、この雨水が使
用されます。また、ポンプ装置が設置されており、建物の内外の植物や木にやる水も、
この雨水が使われています。集められた雨水で、必要とされている水の需要の半分を満
たせると期待されています。
この雨水はまた、建物内にある壮大なアトリウムにある、彫刻が施された水の建築物
−Icefall−にも利用されている。おそらく国内で最も大きいこの水の作品は、建物に
とっての素晴らしい入口として役立つことに加えて、必要に応じてアトリウムのロビー
に適度の湿度をもたらし、冷やすことによって環境機能に役立っています。
自然光を最大限利用するため、内壁がなるべく少ない設計になっているが、それでも
ある程度存在している内壁には、蒸発レベルの低いペンキが塗られています。ワークス
テーション及びオフィスで使われている机、椅子、及び他の家具は、ホルムアルデヒド
が使われていません。コンクリートの表面は、低い毒性の密封剤が使われています。
環境保全のため、床および天井のタイルはリサイクルされた物を使用しています。
― 120 ―
資料3
出典参考文献、資料一覧
1
参考文献及びHP
(1) 石油情報センターHP(http://oil-info.ieej.or.jp/cgi-bin/index.cgi)
(2) 総務省HP(http://www.soumu.go.jp/)
(3) 環境省庁HP(http://www.env.go.jp/)
(4) 農林水産省HP(http://www.maff.go.jp/)
(5) 京都大学生存圏研究所バイオマス変換分野
HP(http://www.rish.kyoto-u.ac.jp/W/LBC)
(6) 東北大学太陽地球計測学分野新妻研究室(http://niweb.kankyo.tohoku.ac.jp/)
(7) フィンランド政府観光局HP(http://www.moimoifinland.com/)
(8) ノキアHP(http://www.nokia.co.jp/index.shtml)
(9) YITコーポレーションHP(http://www.yit.fi/)
(10) 株式会社オクタ(http://www.okuta.com/index.html)
(11) 古材文化の会(http://www.wood.jp/)
(12) 日本民家再生リサイクル協会(http://www.minka.gr.jp/)
(13) 富士ゼロックスHP(http://www.fujixerox.co.jp/)
(14) 鹿島建設HP(http://www.kajima.co.jp/)
(15) 坂本乙造商店(http://www.eyes-japan/co.jp/otozou-html/)
(16) 北九州エコタウンHP(http://www.kitaq-ecotown.com/)
(17) ESCO推進協議会調査(http://www.jaesco.gr.jp/)
(18) ㈱ファーストエスコHP(http://www.fesco.co.jp/)
(19) 経済産業省HP(http://www.meti.go.jp/)
(20) 国土交通省HP(http://www.mlit.go.jp/)
(21) 古紙再生促進センター調査(http://www.prpc.or.jp/)
(22) ㈱船井総研HP(http://www.funaisoken.co.jp/)
(23) 住友林業HP(http://sfc.jp/)
(24) 全米オーガニック取引協会調査
(25) 株式会社シグマ(http://www.sigma-photo.co.jp/)
(26) 東北工業株式会社
(27) 会津建設HP(http://www.aizukensetu.co.jp/top/company/index.html)
(28) ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2006年11月号
(29) 山中煎餅本舗HP(http://www.aizu.com/org/aizu/yamanaka/)
(30) 玉梨とうふ茶屋HP(http://aobato.jp/)
(31) ハーストコーポレーションHP(http://www.hearstcorp.com/)
― 121 ―
2
表及び図の出典
D-1
福島県県民経済計算年報(2006/12)
D-2
国立社会保障/人口問題研究所
D-3
第一生命経済研究所
D-4
日本経済新聞 2007/01/12
D-5
IEA Energy Balance 週刊エコノミスト 2006/11/21
D-6
BARDHAN&KROLL 及び米国労働省労働統計局
D-7
日本経済新聞 2007/02/19
D-8
日本経済新聞 2007/01/12
D-9
石油情報センター
D-10
㈱ナレッジチェンジ資料より作成
D-11
総務省「平成16年事業所・企業統計調査」(2005/10)
D-12
福島県県民経済計算年報(2006/12)
D-13
週刊ダイヤモンド 2007/01/28
D-14
週刊ダイヤモンド 2006/11/21 出所:東京商工リサーチ
D-15
㈱ナレッジチェンジ資料
D-16
㈱ナレッジチェンジ資料
D-17
総務省「平成16年事業所・企業統計調査」
D-18
日経グロ−カルが東京都を除く全国の国公私立大135校を調査 2006/06/05
D-19
週刊エコノミスト 2006/11/21
D-20
経済産業省 調査
D-21
㈱ナレッジチェンジ資料
D-22
㈱ナレッジチェンジ資料
D-23
㈱ナレッジチェンジ資料
D-24
㈱ナレッジチェンジ資料
D-25
福島県県民経済計算年報(2006/12)
D-26
福島県土木部「建築工統計」:国土交通省「建築着工統計調査」
D-27
週刊エコノミスト 2007/03
D-28
日本経済新聞 2007/03/19
D-29
喜多方市:喜多方そばフェスタに出品されたそばブランドパンフレットより
(2007/02/17)
D-30
㈱ナレッジチェンジ資料
D-31
スタンダード&プアーズ社
D-32
日本経済新聞 2006/10/23
D-33
日本経済新聞 2006/10/23 より作成
Compustat
― 122 ―
D-34
福島県広報より㈱ナレッジチェンジが作成
D-35
(p68)
D-36
(p69)
D-37
㈱ナレッジチェンジ資料
D-38
日本経済新聞
D-39
㈱ナレッジチェンジ資料
D-40
㈱ナレッジチェンジ資料
D-41
㈱ナレッジチェンジ資料
3
参考とした経営学理論
(1)「知識理論」をプラットホームとして構成した。
一橋大学大学院名誉教授 野中 郁次郎
(2)ブルーオーシャン戦略論をマーケティング戦略を検討する上で参考とした。
INSEAD教授W・チャンキム、レネ・モボルニュ
― 123 ―
資料4
執筆責任者及び学術アドバイザー
1
執筆責任者
(1) 三輪
恵一
【現職】㈱ナレッジチェンジ 代表取締役社長
日本地域活性化研究会事務局長
【学歴】慶應義塾大学大学院修士課程卒
【略歴】富士通㈱、JAIMS副所長 等
2
学術アドバイザー
(1) 東
之弘
【現職】いわき明星大学
教授
科学技術学部システムデザイン工学科
産学連携研究センター長
【学歴】慶應義塾大学大学院工学研究科機械工学専攻博士課程修了
(2) 青井
倫一
【現職】慶應義塾大学大学院教授 慶應ビジネススクール前校長
【学歴】東京大学大学院、ハーバード大学DP卒
― 124 ―
特定非営利活動法人
福島県福島市三河南町
(
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)
超学際的研究機構
番
号
(
コラッセふくしま
)
階
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