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第三期・展示資料解説 縦版

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第三期・展示資料解説 縦版
展示期間:2013 年 11 月 18 日~11 月 30 日
ラファエロ・サンツィオ
《署名の間》
1509~1511 年 横幅 770×670 cm
ローマ ヴァティカン宮殿
■出典 世界美術大全集 : 西洋編 イタリア・ルネサンス
■出版事項 東京 : 小学館 , 1992.12-1994.12
■請求番号 L-708-Se22d-12
■資料 ID 395640527
解説
1508 年、25 歳のラファエロは、教皇ユリウス二世に招聘されフ
ィレンツェからローマへ移った。ローマでの最初の仕事は、ヴァテ
ィカン宮殿内のユリウス二世の居室を装飾することだった。この
770 センチ×670 センチほどの小さな居室は私的な図書室であった
が、教皇がここで書類の署名や捺印するのを常としていたために
「署名の間」と呼ばれるようになった。
装飾計画は中世以来の図書室の装飾伝統に根ざすもので、人間の
知識を「神学、哲学、法学、詩」の四つの能力に分け表現している。
天井には、この四分野を司る美女像が描かれている。それに呼応し
て、壁面には真善美を表す壁画が描かれている。
右項は「署名の間」の壁画を二面づつ撮影したものである。扉や
窓をよけながら、半円形式の壁画を作成したが、壁面の制約をむし
ろ効果的に構図に利用している。
上段右から「聖体の論議(教会の勝利)」、「正義の壁」
下段右から「アテネの学堂」、「パルナッソス」
展示期間:2013 年 11 月 18 日~11 月 30 日
ラファエロ・サンツィオ
《アテネの学堂》
1509-10 年 横幅 770cm
ヴァティカン ヴァティカン宮殿署名の間
「署名の間」の写真、下段の右側の壁面に描かれているのが「ア
テネの学堂」である。この教皇の私的な図書室で表現しようとした
「神学、哲学、法学、詩」のうち、「哲学」を主題にした絵画であ
る。
中央にアリストテレスとプラトンがそれぞれ手に書物をもち何
事か議論している。二人の周囲にはソクラテス、ユークリッド、ヘ
ラクレイトスなど、ルネサンスの憧れた古代の知的世界が展開され
ている。
ラファエロ・サンツィオ
《パルナッソス》(部分)
1510-11 年 横幅 670cm
ヴァティカン ヴァティカン宮殿署名の間
「署名の間」の写真、下段の左側の壁面に描かれているのが「パ
ルナッソス」である。「詩」を主題に描かれた絵画である。
聖なる芸術の山の上に集うアポロンとミューズ(詩神)たち、そ
の左右にミューズの恵みを受けた詩人たちを巧みにまとめて描き
出した。
■出典 ラファエロとヴェネツィアの絵画(グランド世界美術;12)
■出版事項 東京 : 講談社 , 1977.6
■請求番号 L-708-G77-12
■資料 ID 181927004
展示期間:2013 年 11 月 18 日~11 月 30 日
ラファエロ・サンツィオ
《聖体の論議(教会の勝利)》
1509 年 底辺約 770cm
ローマ ヴァティカン宮殿 署名の間
■出典 The Complete work of Raphael / Raphael
■出版事項 New York : Reynal in association with William
Morrow , c1969
■請求番号 L-723.37-R217
■資料 ID 182981169
解説
ヴァティカン宮殿内の「署名の間」の四壁画の一つ。
「アテネの学堂」が人間の理性による真理の探究、すなわち「哲学」
の世界を描きだしたのに対し、その向かい側にあるこの「聖体の論
議」は人知を超えた神の世界、すなわち「神学」を表現している。
ラファエロは画面を天上界と地上界の二層に分け、天上には中央に、
光り輝く円光を背景としたキリスト、その上に父なる神、キリスト
の足許に精霊の鳩という三位一体、またキリストの両側に聖母マリ
アと洗礼者ヨハネという中心グループをおき、その左右に預言者、
聖者たちが侍座している構図をとった。
それに対し、地上の世界では教皇、司教、修道士らが中央の祭壇に
置かれた聖体をめぐって、さまざま論議している様子が描かれてい
る。
ラファエロはこの「署名の間」の見事な壁画と天井画で高く評価
され、教皇ユリウス二世は他の画家を解雇してラファエロに宮殿内
の他の居室の装飾も命じたのである。ラファエロのローマでの大活
躍はこうして始まり、その名声は確立したものとなっていった。
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