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ORIGIN 神経科学 夏のワークショップ

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ORIGIN 神経科学 夏のワークショップ
第 12 回
ORIGIN 神経科学 夏のワークショップ
平成22年 9⽉5⽇(⽇)〜6⽇(⽉)
担当:奈良組
奈良県⽴医科⼤学 第 2 解剖学講座
奈良先端科学技術⼤学院⼤学バイオサイエンス研究科 細胞構造学
会場:レイクフォレストリゾート
http://www.lfr.co.jp/index.html
問合せ先:ORIGIN2010 事務局
0744-29-8825(TEL/FAX)
⾠⺒ [email protected]
奥⽥ [email protected]
1
概
⽇ 程:
5⽇
要
12:00〜 受付開始:
演題発表:
レイクフォレストリゾート 1Fロビー
13:00
〜
17:05
19:00 〜 ⼣⾷、宴会(懇親会会場)、宿泊
6⽇
8:50〜
集 合:
レイクフォレストリゾート 2F会議室
演題発表: 9:00
12:15〜
参加費:
〜 11:15
専⽤シャトルバスにて近鉄奈良駅へ
スタッフ 15,000 円、学⽣ 5,000 円
(ORIGIN2009 参加費 10,000 円(学⽣無料)、ホテル宿泊費 5,000 円
)
受付にてお⽀払いのうえ、名札・領収書をお受け取り下さい。
演題発表について
1 演題につき発表 10 分、質疑 2 分の計 12 分です。
PC ⽤液晶プロジェクターを⽤意いたします。
動画を⽤いる⽅は、ご⾃⾝のパソコンをお持ちになることをおすすめします。
Macintosh ご使⽤の⽅も、ご⾃⾝のパソコンをお持ち下さい。
¾ パソコンを持ち込む⽅
映像接続ケーブルは、D-sub15 ピン(ミニ)を準備しております。Mac をご使⽤
の⽅は変換コネクタを忘れずにお持ちください。また、電源アダプタは必ずご準
備ください。
¾ メモリにてデータを持ち込む⽅
USB フラッシュメモリをご⽤意下さい。
こちらで⽤意するパソコンは、
1. OS が「Windows XP」、ソフトは「PowerPoint 2003」
2. OS が「Windows XP」、ソフトは「PowerPoint 2010」
の 2 種となります。あらかじめ動作確認をお願いいたします。
その他、不安がある場合は、事務局にあらかじめご相談ください。
表紙の写真: 復元された平城宮跡第⼀次⼤極殿院
⼤極殿は天皇の即位、元旦の朝賀など国家的儀式の時に天皇が出御する建物です。奈良時代の前半
期では、国家的な儀式、つまり即位・朝賀・外国使節の謁⾒といった⾏事を主に⼤極殿院・朝堂院
で⾏ったと考えられています。⼤極殿の復原⼯事は平成 13 年度から 9 ヶ年計画で⾏われ、平城遷
都 1300 年にあたる⻄暦 2010 年(今春)に完成しました。
2
交通案内
●奈良へのアクセス●
● 鉄道でお越しの場合
•
•
•
•
神⼾⽅⾯から 阪神三宮駅〜(直通快速で約 85 分)〜近鉄奈良駅
o Neuro2010 から来られる⽅は 直通電⾞ 阪神三宮駅→近鉄奈良駅 が便利です!
ƒ 8:23 →
9:49
ƒ 8:53 → 10:22
ƒ 9:13 → 10:39
⼤阪⽅⾯から
o JR 新⼤阪駅〜(約 4 分)〜⼤阪駅〜(直通快速で約 47 分)〜JR 奈良駅
o 近鉄⼤阪難波駅〜(特急で約 35 分・快速で約 40 分)〜近鉄奈良駅
京都⽅⾯から
o JR 京都駅〜(快速で約 44 分)〜JR 奈良駅
o 近鉄京都駅〜(特急で約 34 分・急⾏で約 47 分)〜近鉄奈良駅
名古屋⽅⾯から (近鉄特急をご利⽤ の場合)
o 近鉄名古屋駅〜〜近鉄奈良駅(乗換え時間を含み約 145 分)
● 空港からリムジンバスでお越しの場合
•
•
⼤阪国際空港(伊丹空港)から
http://www.narakotsu.co.jp/kousoku/limousine/nara_itami.html
o 南ターミナル 10 番のりば〜北ターミナル 0 番のりば〜近鉄奈良駅[約 65 分]
関⻄国際空港から http://www.narakotsu.co.jp/kousoku/limousine/nara_kanku.html
o 9 番のりば〜近鉄奈良駅[約 80 分]
3
●会場(レイクフォレストリゾート)へのアクセス●
近鉄奈良駅より ORIGIN2010 専⽤ 無料シャトルバスが出ます。
9/5(⽇) 11:00 近鉄奈良駅発 (11:50 ホテル着)
事前予約は不要です。 11:00 に出発しますので各⾃ご利⽤ください。
Neuro2010 から来られる⽅は
阪神三宮駅→近鉄奈良駅(直通電⾞)からの乗り継ぎが便利です。
その他、JR・近鉄奈良駅-レイクフォレストリゾートの間を、無料シャトルバスが通常運⾏して
います。下記時刻表を参照のうえご利⽤ください。
(6⽇は終了次第、専⽤シャトルバスが近鉄奈良駅までお送りします)
■近鉄奈良駅の乗り場■
これ、重要!!
西改札口から
出ましょう!
■JR奈良駅の乗り場■
(11:00 発のORIGIN2010 専⽤シャトルバスは近鉄奈良駅からのみの出発なのでご注意ください。)
4
■シャトルバス運⾏時刻表(通常運⾏)■
【レイクフォレストリゾート⾏】
JR奈良駅発 近鉄奈良駅発
【JR・近鉄奈良⾏】
LFR 発
LFR 着
1便
7:50
8:00
8:50
2便
9:20
9:30
10:20
3便
10:20
10:30
11:20
4便
13:05
13:15
14:05
5便
16:05
16:15
17:05
6便
17:05
17:15
18:05
7便
18:05
18:15
19:05
近鉄奈良駅着 JR奈良駅着
1便
6:50
7:40
7:50
2便
8:20
9:10
9:20
3便
9:20
10:10
10:20
4便 12:05
12:55
13:05
5便 15:05
15:55
16:05
6便 16:05
16:55
17:05
7便 17:05
17:55
18:05
8便 19:05
18:15
20:05
● ⾞を利⽤の場合
・
⼤阪⽅⾯より:⻄名阪⾃動⾞道「松原インター」 ― 名阪道路「⼩倉インター」 ― ⼤和⾼原広
域農業道路 ―
専⽤道路 ― レイクフォレストリゾート(約 60 分)
・
京都⽅⾯より:京奈和⾃動⾞道「⽊津インター」 ― 国道 369 号(柳⽣街道) ― 専⽤道路 ―
レイクフォレストリゾート(約 90 分)
・ 奈良⽅⾯より:国道 369 号(柳⽣街道) ― 専⽤道路 ― レイクフォレストリゾート(約 30 分)
5
ORIGIN2010 プログラム
9月5日(日)
13:00
座長
遠山 正彌 教授 開会の挨拶
松本−宮井和政 秋田大学大学院医学系研究科 器官・統合生理学講座
13:05‐13:17
齋藤 敦
宮崎大学医学部 解剖学講座 分子細胞生物学分野 アストロサイトの分化における小胞体ストレスセンサーOASISの役割
2
13:17‐13:29
堀 修
金沢大学医薬保健研究域医学系神経分子標的学 小胞体ストレス応答(UPR)の活性化と酸化ストレス制御
3
13:29‐13:41
宝田 美佳
金沢大学医薬保健研究域医学系 神経分子標的学
4
13:41‐13:53
桑原 隆亮
5
13:53‐14:05 秦 龍二
6
14:05‐14:17
1
八木田 和弘
NDRG2の発現とアストロサイトの増殖・形態変化
大阪大学大学院・連合小児発達学研究科分子生物遺伝学 ERストレス下での翻訳後修飾
愛媛大学医学部 機能組織学分野
α―シヌクレインによるマイクログリアの活性化と神経細胞死の誘導
京都府立医科大学 生理学講座
概日リズムと細胞分化
14:17‐14:35 休 憩
座長
八木田 和弘 大阪大学大学院 医学系研究科 神経細胞生物学
7
14:35‐14:47
鵜川 眞也
名古屋市立大学大学院 医学研究科 機能組織学
新規脳変性疾患モデル動物の作製
8
14:47‐14:59
植田 高史
名古屋市立大学大学院 医学研究科 機能組織学
新たなGPCR解析技術の開発とその応用
9
14:59‐15:11
松山 知弘
兵庫医科大学先端医学研究所 神経再生研究部門
ストレス―免疫―再生―うつ
10 15:11‐15:23
松崎 秀夫
浜松医科大学・子どものこころの発達研究センター 自閉症とアブラの関わりをひもとく
11 15:23‐15:35
松本‐宮井和政 秋田大学大学院医学系研究科 器官・統合生理学講座 Ca2+による膀胱上皮からのATP分泌の制御
12 15:35‐15:47
小西 博之
大阪市立大学医学部 第一解剖学
PAP-IIIはN末端切断により線維状構造を形成する
15:47‐16:05 休 憩
座長
松崎 秀夫 浜松医科大学・子どものこころの発達研究センター
13 16:05‐16:17
板東 良雄
旭川医科大学解剖学講座 機能形態学分野
ミエリン形成不全(shiverer)マウスの解析
14 16:17‐16:29
紀本 創平
奈良県立医科大学 精神医学講座
培養下でのオリゴデンドロサイト前駆細胞の抗精神病薬の影響
15 16:29‐16:41
濱田 健吾
奈良県立医科大学 第2解剖学講座
統合失調症モデルマウスを用いた抑肝散の行動薬理学的、組織学的研究
16 16:41‐16:53
宮田 信吾
大阪大学大学院医学系研究科 神経機能形態学講座 慢性ストレスによるオリゴデンドロサイトの機能異常
17 16:53‐17:05
森 泰丈
大阪大学大学院医学系研究科 神経機能形態学講座 神経特異的な分布を示すタンパク質メチル化酵素PRMT8の予測される機能について
9月6日(月)
座長
植田 高史 名古屋市立大学大学院 医学研究科 機能組織学
18 9:00‐ 9:12
田村 英紀
奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科
シナプス可塑性におけるニューロプシンプロテオリシス機構の役割
19 9:12‐ 9:24
畠中 由美子
奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科
大脳皮質における軸索投射の初期形成過程について
20 9:24‐ 9:36
石川 保幸
奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科
ニューロプシンによるシナプス・タグ形成機構 21 9:36‐ 9:48
中村 雪子
大阪大学大学院医学系研究科 神経細胞生物学
神経活動依存的に起こるシナプス形成に関与する分子群の網羅的解析
22 9:48‐10:00
石田 雄介
大阪大学大学院医学系研究科 神経細胞生物学
水の味に関する研究
10:00‐10:10 休 憩
座長
23 10:10‐10:22
泰 龍二 愛媛大学医学部 機能組織学分野
佐藤 真
福井大学医学部 形態機能医科学講座 組織細胞形態学
福井大学での最近のデータ紹介
染色体への導入が可能なTet誘導型ノックダウンベクターの構築と神経回路研究への応用
25 10:37‐10:49
猪口 徳一
黒田 一樹
奥村 雅代
松本歯科大学 総合歯科医学研究所
下歯槽神経切断モデルラットの三叉神経節における遺伝子発現動態
26 10:49‐11:01
加藤 英政
埼玉医科大学ゲノム医学研究センター 発生分化再生部門
神経系に異常を来す疾患メカニズムのiPS細胞を通じたモデリング
27 11:01‐11:13
野口 光一
兵庫医科大学 解剖学神経科学部門
兵庫医大ペインリサーチの現況
24 10:22‐10:37
福井大学医学部 形態機能医科学講座 組織細胞形態学
11:20
人為的抑制性神経細胞を用いた神経回路形成の解析
塩坂 貞夫 教授 閉会の挨拶
11:40
記念撮影
12:15 シャトルバス出発
6
発表抄録 1
アストロサイトの分化における⼩胞体ストレスセンサーOASIS の役割
齋藤 敦(宮崎⼤学医学部 解剖学講座 分⼦細胞⽣物学分野)
⼩胞体ストレス応答シグナルが⼩胞体ストレスによる細胞死の回避だけでなく、細胞分化をはじめとする様々な
⽣理的機能の制御を⾏っていることが明らかになっている。今回は中枢神経系においてアストロサイトで強く発
現している⼩胞体ストレスセンサーOASIS が、GCM1 の活性化を介してアストロサイト特異的遺伝⼦のプロモー
ター領域における DNA 修飾状態を変化させることで、神経前駆細胞からアストロサイトへの分化を促進させてい
ることを⽰す結果を報告する。
2 ⼩胞体ストレス応答(UPR)の活性化と酸化ストレス制御
堀
修(⾦沢⼤学医薬保健研究域医学系 神経分⼦標的学)
⼩胞体関連分解(ERAD)分⼦ Herp を⽋損した細胞(マウス)は⼩胞体ストレスに対して脆弱性を⽰すが、ミトコ
ンドリアストレスに対しては逆に抵抗性を⽰す。パーキンソン病関連薬剤 MPTP やロテノンを⽤いて検討した結
果、Herp ⽋損細胞(マウス)では UPR の1経路 eIF2a が活性化され、抗酸化能⼒が増⼤していることが明らか
になった。現在、eIF2a 活性化剤の神経保護作⽤について検討を⾏っている。
3 NDRG2 の発現とアストロサイトの増殖・形態変化
宝⽥ 美佳(⾦沢⼤学医薬保健研究域医学系 神経分⼦標的学)
アストロサイトは神経障害時に活性化し、神経細胞の⽣存環境に重⼤な影響を及ぼすと考えられる。活性化アス
トロサイトは細胞質の肥⼤化や突起の伸展(GFAP の発現増加)等の形態的変化を特徴とするが、細胞増殖は認め
ないことも多い。我々は、活性化型及び⾮活性化型アストロサイト両⽅に発現する分化関連遺伝⼦ NDRG2 が、
同細胞の増殖を抑制する⼀⽅、突起の伸展を促進することを⾒出したので報告する。
4 ER ストレス下での翻訳後修飾
桒原 隆亮(⼤阪⼤学⼤学院・連合⼩児発達学研究科分⼦⽣物遺伝学)
⼩胞体内に不要タンパク質が蓄積し、タンパク質品質管理機構に不具合が⽣じて引き起こされる⼩胞体ストレス
は、様々な疾患に関与していることが⽰唆されている。我々は、ER ストレス応答として様々な遺伝⼦の発現をス
クリーニングしたことにより、翻訳後修飾酵素であるアルギニンメチル化酵素 の発現上昇が同定した。アルギニ
ンメチル化酵素が転写制御に関与し、また、RNA 結合タンパク質をアルギニンメチル化することにより RNA 代
謝にも関与することが知られており、タンパク質の品質管理に重⼤な役割を果たすことが考えられる。以上から、
ER ストレス下でのアルギニンメチル化の影響を検討することにより、ER ストレスと深く関与する疾患の病態解
明の新たな知⾒が考えられる。
5 α―シヌクレインによるマイクログリアの活性化と神経細胞死の誘導
秦 ⿓⼆、朱 鵬翔、曹 芳、阪中雅広(愛媛⼤学医学部 機能組織分野)
1997 年に常染⾊体優勢遺伝 形式を⽰す若年パーキンソン病家系で α-シヌクレイン(Syn)が原因遺伝⼦である
ことが判明して以来、この蛋⽩質の異常凝集が主要所⾒である疾患群は α-synucleinopathy と総称されるよう
になった。本研究ではアデノウイルスベクターを⽤いて Syn を初代培養神経細胞に強制発現させた後、マイクロ
グリアと共培養したところ、Syn による神経細胞死にはマイクログリアが重要な役割を果たすと考えられた。
6 概⽇リズムと細胞分化 ⼋⽊⽥和弘(京都府⽴医科⼤学 ⽣理学講座)
概⽇時計の形成が細胞分化に伴っておこることを、ES 細胞や iPS 細胞などの多能性幹細胞を応⽤することで明ら
かにした。この研究は、概⽇リズム研究の分野にとどまらず、発⽣学や幹細胞⽣物学など幅広い学問分野とつな
がることから、今後の研究展開が期待される。今回、概⽇時計と細胞分化の関連についての展望を概説する。
7
7 新規脳変性疾患モデル動物の作製 鵜川眞也(名古屋市⽴⼤学⼤学院医学研究科 機能組織学) 酸感受性イオンチャネル ASIC2a にアミノ酸変異(G430F)を導⼊すると、チャネルが開いたまま閉じなくなり、
このミュータントを発現した細胞は過度のナトリウムイオン流⼊により膨化・変性を来す。我々は、ASIC2a ⾃⾝
のプロモーター下流に ASIC2a-G430F を組込み、これを強制発現させたトランスジェニックラットを作製した。
得られたヘミ接合体に顕著な⼩脳失調が認められたので、形態学的所⾒と合わせて報告する。
8 新たな GPCR 解析技術の開発とその応⽤
植⽥⾼史(名古屋市⽴⼤学⼤学院医学研究科 機能組織学)
G タンパク質共役型受容体(GPCR)は様々な⽣命現象に関わり、創薬研究における重要な標的分⼦である。我々は
様々な G タンパク質に会合する GPCR を単⼀プラットフォームで解析する技術を考案した。今回は、この⽅法を
様々な精神疾患に関わるドーパミンおよびセロトニン受容体に適⽤し、この技術が受容体の薬理学的な解析にも
使⽤可能かどうかについて検索したので報告する。
9 ストレス―免疫―再⽣―うつ
松⼭知弘(兵庫医科⼤学先端医学研究所 神経再⽣研究部⾨)
脳梗塞の衝撃的体験の後、脳代謝の障害、神経ターンオーバーの障害、不安等が続発し、いずれも抑うつ状態、
うつ病病態への関連が推測される。本研究会ではこの脳梗塞後うつ(Post-stroke depression)のメカニズムに
ついて考察したい。うつとは失再⽣なのか。 10 ⾃閉症とアブラの関わりをひもとく 松崎秀夫、岩⽥圭⼦、森則夫(浜松医科⼤学 ⼦どものこころの発達研究センター) 我々は⾼機能⾃閉症の当事者団体の協⼒を得て、⾼機能⾃閉症の⽣物学的マーカーを探索する試みを⾏っている。
その過程で、⾃閉症者では⾎中脂質プロファイルが特異的なパターンを⽰し、早期診断に有⽤であることを発⾒
した。本発表では我々が得た成果をもとに、脂質代謝と中枢の発達の関連について議論を交わし、今後の研究に
ついて⽰唆を得たい。酔う前に。 11 Ca2+による膀胱上⽪からのATP分泌の制御 松本‐宮井和政、河⾕正仁(秋⽥⼤学⼤学院医学系研究科 器官・統合⽣理学講座) 膀胱上⽪は畜尿による伸展に応じてATPを分泌し、上⽪下の求⼼性神経終末に存在するP2X3 受容体に作⽤して伸展
知覚を伝達する。頻尿などの畜尿症状の⼀因は膀胱上⽪からのATP分泌過多と考えられていることから、ATP分泌
の調節機構の解明はその治療法開発に役⽴つ可能性がある。今回はATP分泌調節における⼩胞体からのCa2+放出と
貯蔵量作動性Ca2+流⼊の役割について我々が最近得た知⾒を述べたい。 12 PAP-III は N 末端切断により線維状構造を形成する ⼩⻄博之、松本早紀⼦、⽊⼭博資 (⼤阪市⽴⼤学医学部 第⼀解剖学)
分泌型レクチン PAP-III(Reg IIIγ)は神経損傷時に著しく発現促進するが、その機能は⼗分分かっていない。我々
は、損傷坐⾻神経において PAP-III タンパクの N 末端が切断されている事を発⾒した。N 末端⽋損した PAP-III
は線維状構造を形成する事ができ、培養神経細胞の細胞体や突起に接着する。この線維の機能意義は不明である
が、PAP-III が損傷神経細胞の⽣存や軸索再⽣に関与する可能性が考えられる。
13 ミエリン形成不全(shiverer)マウスの解析
板東良雄、吉⽥成孝(旭川医科⼤学 解剖学講座 機能形態学分野)
旭川医科⼤学解剖学講座では、オリゴデンドロサイトが産⽣するプロテアーゼ Kallikrein 6 の脱髄時における機能
解析を中⼼に⾏っているが、ミエリン形成不全マウス(shiverer)を⽤いて跳躍伝導におけるオリゴデンドロサイト
やミエリンの機能についても併せて検討している。本年度の ORIGIN では、shiverer マウスにおけるグリア細胞
の動態とイオンチャネルの局在を中⼼に最近の我々のデータを紹介したい。
8
14 培養下でのオリゴデンドロサイト前駆細胞の抗精神病薬の影響 紀本創兵1、⿃塚通弘1、⼭内崇平1、奥⽥亜弥2、奥⽥洋明2、⾠⺒晃⼦2、和中明⽣2、岸本年史1
(奈良県⽴医科⼤学 精神医学講座1・第⼆解剖学講座2)
統合失調症の死後脳所⾒や脳画像所⾒において、オリゴデンドロサイト(以下 OL)の異常が報告されている。わ
れわれの教室では、統合失調症様の動物モデルを⽤いて OL の解析を⾏ってきた。最近では、オリゴデンドロサイ
ト前駆細胞(以下 OPC)が脳の発達段階だけでなく成熟脳でも存在することが知られ、OL への増殖、成熟や再⽣
(remyelination)に重要な役割を担っていることがわかってきている。もし、OL の機能低下が統合失調症の病
因に関与するなら、この種の細胞が、抗精神病薬による治療過程で何らかの反応や影響を及ぼすと考えることが
できる。そこで、今回は in vitro で仔ラットの視神経から OPC を細胞培養し、各種抗精神病薬に対する反応性を
検討した。
統合失調症モデルマウスを⽤いた抑肝散の⾏動薬理学的、組織学的研究 濱⽥健吾1、⾠⺒晃⼦1、奥⽥洋明1、⼭内崇平2、紀本創兵2、岸本年史2、和中明⽣1
(奈良県⽴医科⼤学 第⼆解剖学講座1・精神医学講座2) cuprizone は脳梁・前頭前野を中⼼に⼀過性の脱髄を起こす薬剤であるが、近年、PPI 低下・Social interaction
の低下・不安⾏動などの従来の統合失調症モデル動物と共通した⾏動異常を引き起こすことが報告されている。
この事は cuprizone モデルが統合失調症とオリゴデンドロサイトの関係を解析する上で有⽤である事を⽰してい
る。我々は統合失調症に対する効果が論じられている抑肝散に着⽬し、このモデルマウスを⽤いて⾏動学的、組
織学的に検討したので報告する。
15 慢性ストレスによるオリゴデンドロサイトの機能異常
宮⽥信吾(⼤阪⼤学⼤学院医学系研究科 神経機能形態学講座)
慢性ストレス負荷特異的に発現上昇を⽰す因⼦として Serum/glucocorticoid regulated kinase 1(Sgk1)を同
定し、この Sgk1 の発現上昇が脳梁オリゴデンドロサイトでおこること、ストレスにより Sgk1 リン酸化の上昇が
認められること、さらにリン酸化 Sgk1 は相互作⽤因⼦の⼀つである NDRG1 のリン酸化レベルを亢進させ、オ
リゴデンドロサイトにおける接着因⼦発現や形態の変化をもたらすことを⾒出した。これらの事実は、ストレス
によるうつ病発症に上記メカニズムが深く関与していることを⽰唆するものである。
17 神経特異的な分布を⽰すタンパク質メチル化酵素 PRMT8 の予測される機能について
森 泰丈(⼤阪⼤学⼤学院医学系研究科 神経機能形態学講座)
PRMT8 は神経特異的な発現パターンを⽰すタンパク質アルギニンメチル化酵素であり、postmitotic な神経細胞
にしか発現を認めない。増殖期の神経細胞や神経系由来の癌細胞には発現を認めないことから、細胞周期の調節
に関与していると考えられた。そこで PC12 細胞に PRMT8 を強制発現させたところ、PC12 細胞の増殖には影響
を与えることなく NGF による突起伸展を阻害することが分かった。細胞⾻格系の変化を検討したところ、PRMT8
強制発現細胞では neurofilament(NF)の発現が有意に低下していた。NF は heterogeneous nuclear RNP K
(hnRNP K)により転写後制御を受けていることが報告されており、hnRNP K は PRMT1 によりメチル化を受ける
ことが知られていることから、PRMT8 が hnRNP K のメチル化を制御することにより NF の発現レベルに影響を
及ぼしている可能性が⽰唆された。 16 シナプス可塑性におけるニューロプシンプロテオリシス機構の役割 ⽥村英紀(奈良先端科学技術⼤学院⼤学 バイオサイエンス研究科) 記憶は、ある特定の細胞集団群で作られた機能的な神経回路内に符号化される。このような機能的回路形成には
シナプスにおける可塑的な変化が重要である。そこで、ダイナミックに変化するシナプス接着機構およびその分
⼦メカニズムを探る。今回、質量分析によって細胞外環境を制御しているニューロプシンの結合蛋⽩質および基
質の同定に成功しましたので、その活動依存的なプロテオリシス機構を紹介する。 18 9
19 ⼤脳⽪質における軸索投射の初期形成過程について 畠中由美⼦(奈良先端科学技術⼤学院⼤学 バイオサイエンス研究科) ⼤脳⽪質の軸索は⽪質外に投射するものに加え、⽪質内を結合する交連・連合線維が⾮常に発達している。これ
らの軸索がどのように形成されているかについて調べるため、マウス脳の少数の興奮性神経細胞を標識し、その
軸索形成過程を固定切⽚ならびに培養系を使ったタイムラプス観察で解析したところ、ほぼすべて細胞が移動初
期に軸索を形成すること、交連・連合線維はまず共通して、脳梁線維を形成することが考えられた。このような
早期軸索伸⻑の役割について考察したい。 20 ニューロプシンによるシナプス・タグ形成機構 ⽯川保幸(奈良先端科学技術⼤学院⼤学 バイオサイエンス研究科) Frey と Morris (1997)は、
「印象的な出来事と⼀緒に⽇常的な出来事までが⻑い間記憶に残る」といった現象の細
胞 レ ベ ル の モ デ ル と 考 え ら れ て い る 現 象 (lateassociation) を 報 告 し ま し た 。 こ れ ま で 、 わ れ わ れ は late
association に Neuropsin が関与することを明らかにした。今回
『どのようなシナプス・タグ形成機構に neuropsin
が関与しているか?』を調べたところ、LTP 特異的シナプス・タグ形成に関わり NMDAR, CaMKII, integrinB1
の活性化を介することが明らかとなり、さらには領域特異的な late association に関わることが明らかになった。
神経活動依存的に起こるシナプス形成に関与する分⼦群の網羅的解析 中村雪⼦(⼤阪⼤学医学部 第⼀解剖) シナプス形成は発⽣期のみでなく、成熟期においても神経活動に依存して起こることが近年明らかとなってきま
した。神経刺激後数分という⾮常に早い段階で情報の受け取り⼿であるスパイン構造が変化し、シナプス機能が
上昇することが報告されています。シナプス形成は、認識、接着、安定化のステップを介すると考えられますが、
それぞれに関与する分⼦については現段階ではほとんどわかっておりません。そこで、シナプス形成のメカニズ
ムを明らかにするために、シナプス形成時に関与する分⼦群を網羅的に同定することを試みました。 22 ⽔の味に関する研究 ⽯⽥雄介(⼤阪⼤学⼤学院医学系研究科 神経細胞⽣物学講座) のどで味わう「喉越しの味」は、主に⽔や炭酸によってもたらされるものとされている。実際、喉を⽀配する上
喉頭神経は、塩⽔よりも⽔や炭酸に対してよく活性化すると報告されている。しかし⽔や炭酸の受容および伝達
のメカニズムに関してはわかっていないことが多いと思われる。我々は、まず⽔の知覚とそのシグナル伝達に関
して検討を始めたところであるので、ここまでの成果を報告させていただきたい。 23 福井⼤学での最近のデータ紹介
佐藤 真(福井⼤学医学部 形態機能医科学講座 組織細胞形態学・神経科学領域)
我々の教室では、脳の成熟過程とその破綻を分⼦レベルで解明することを⽬指し、細胞⾻格系の解析を軸に、細
胞移動による脳構築、さらにはスパイン形成と機能的回路形成について研究を進めている。特にスパイン形成に
ついては、謝助教が中⼼となり、その成熟過程で、LL5 分⼦が形態のみならず機能分⼦の制御をも担うことを⾒
いだしている。オリジンでは、実際のデータをもとに、今後の⽅向も含め議論できればと考えている。
21 染⾊体への導⼊が可能な Tet 誘導型ノックダウンベクターの構築と神経回路研究への応⽤ 猪⼝徳⼀1,2、⿊⽥⼀樹1,2、謝敏カク1,2、⼋⽊秀司1,2、佐藤 真1,2
(福井⼤学医学部 形態機能医科学講座 組織細胞形態学神経科学領域1・⽣命科学複合研究教育センター2) 特定分⼦の神経回路での働きを研究する場合、遺伝⼦改変動物を使えばよいが、複数の分⼦を解析したい場合に、
作成の煩雑さを考えると適した⼿法とはいえない。我々は、トランスポゾンによる染⾊体組込み能⼒を備えた、Tet
誘導型ノックダウンベクターを構築したので紹介する。⼦宮内電気穿孔法と組み合わせれば、特定の神経細胞に
導⼊して、任意の時期に遺伝⼦発現を制御できるため、神経回路発⽣の研究に⼤変有⽤であると思われる。 24‐1 10
24‐2 ⼈為的抑制性神経細胞を⽤いた神経回路形成の解析 ⿊⽥⼀樹1,2、猪⼝徳⼀1,2、謝敏カク1,2、⼋⽊秀司1,2、佐藤 真1,2
(福井⼤学医学部 形態機能医科学講座 組織細胞形態学神経科学領域1・⽣命科学複合研究教育センター2) ⼤脳⽪質は六層の神経細胞層から成り、興奮性と抑制性神経細胞が回路を形成して⾼度な情報処理を⾏っている。
しかし、抑制性神経細胞には多様性が有り、両者による神経回路形成の詳細な分⼦機構は明らかにされていない。
最近、マウス線維芽細胞から興奮性神経細胞への形質転換が可能であるとの報告がなされた。我々はこれらの⽅
法を改良して抑制性神経細胞への形質転換法を検索し、これらの抑制性神経細胞を⽤いて神経回路形成の理解を
⽬指している。 25
槽神経切断モデルラットの三叉神経節における遺伝⼦発現動態
奥村雅代1、⾦銅英⼆1,2
1
(松本⻭科⼤学総合⻭科医学研究所 、松本⻭科⼤学⼝腔解剖学第⼀講座,2) ラット三叉神経第Ⅲ枝の⼀部である下⻭槽神経を切断すると、切断された神経細胞における遺伝⼦発現が⼤幅に
変動すると同時に、第Ⅱ枝の⽀配領域に感覚異常が発症する。これはヒトの症例における神経因性疼痛のモデル
とされている。ヒトの症例において有効とされる薬剤を中⼼にこのモデルラットに投与し、⾮損傷神経が関わる
感覚異常と、損傷神経における遺伝⼦発現動態の関係について解析を進めている。 26 神経系に異常を来す疾患メカニズムの iPS 細胞を通じたモデリング
加藤英政(埼⽟医科⼤学 ゲノム医学研究センター 発⽣分化再⽣部⾨)
遺伝背景が異なっても、同様の症状が⾒られることは、多くの神経疾患において経験されている。当該遺伝⼦は
違っても、ALS、パーキンソン病、ミトコンドリア脳症などのように、症状によって病型分類がされている。我々
は、ある特定の疾患にて、様々な遺伝背景を持つ患者 iPS 細胞由来の神経細胞を創出することで、この「謎」を
解明することが出来ると考えている。我々が取り組んでいる例を通じて、このコンセプトを紹介したい。
27 兵庫医⼤ペインリサーチの現況
野⼝光⼀(兵庫医科⼤学解剖学神経科学部⾨)
当教室では、各種疼痛関連病態における神経系での各種活性物質の発現動態と、神経情報伝達の変化,感覚受容・
⾏動の変化との関連を追求し、基本的疼痛伝達機構と各種疼痛病態の解明を進め,基礎的疼痛研究から臨床的応
⽤へのシーズとなる結果を得ることを⽬的としてきた。今回は、
「Revisiting:疼痛伝達における脂質メディエータ
ー」、及び「⼀次知覚ニューロンにおける TRPA1 の新規調節機構」に関する最近の知⾒を報告する。
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