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平成23年6月9日 報道各位 東日本大震災から3ヵ月 医療救護を中心に、国内外の赤十字が一丸となって活動 今後は長引く避難生活でニーズ高まる高齢者介護、地域医療の復興に重点 3月 11 日の東日本大震災からまもなく3ヵ月。 日本赤十字社は、被災地での医療救護活動、毛布など の救援物資の配付をはじめ、義援金の募集・受付、ボラ ンティア活動、仮設住宅への生活家電セットの寄贈など 幅広い活動を行っています。 これまでの取り組みと今後の活動予定について、ご報 告申し上げます。 活動 医療救護活動 3ヵ月の実績 ・全国からのべ 727 班 4700 人以上を派遣、67,953 人を診療(6 月 3 日現在) ・399 人の看護師などを派遣、7,807 人以上にこころのケアを実施(6 月 3 日現在) ・石巻赤十字病院は1か月余で1万人以上を治療。300 ヵ所以上の避難所を巡回。 救援物資の配付 ・毛布 132,510 枚 / 緊急セット(携帯ラジオなど) 30,132 セット / 安眠セット(マット、耳栓など) 13,500 セット / 衣料品(下着、ジャージなど) 183,500 セット/ 避難所の間仕切り 347 個 ボランティア活動 ・本社、宮城県、岩手県などにボランティアセンターを設置 ・全国でボランティアのべ 64,914 人が活動(炊き出し、救援物資仕分けなど) 献血・血液製剤の供 給 国際赤 十字の 支援 (海外救援金) 義援金の受付 ・岩手県、宮城県、福島県が被災し、献血を休止したが、当該県の医療機関への血 液製剤は全国各地の血液センターから陸路、航路で輸送し、安定供給を確保 ・海外の赤十字社などから「海外救援金」約 273 億円が集まる(6 月 6 日現在) ・仮設住宅などを対象に「生活家電セット」を 20,187 セット提供(計画は約9万世帯) ・給水設備を宮城県石巻市内9ヵ所に設置し、トイレの手洗いで感染症を予防 ・お預かりした義援金は 231 万 2,147 件 2,233 億 5,863 万 5,763 円(6 月 7 日現在) ・送金依頼のあった都道県に 823 億 5,403 万円送金(6 月 7 日現在) 1 1.医療救護活動 初動が速かった医療救護班の派遣 3月 11 日の発災当日、全国の支部・病院から医療救 護班(医師、看護師、事務職員など基本的に6人で構 成)46 班が被災地に向けて出動しました。 現地では、避難所に救護所を開設するほか、点在する 避難所を巡回診療。自治体や他の医療機関と連携・調 整し、効率的に医療サービスを提供しました。 6 月 3 日までにのべ 727 班 4700 人以上を派遣し、 67,953 人を診療。現在も宮城県で 3 班、岩手県で 3 班、福島県で 1 班が活動中です。 活動場所 活動中の 救護班数 これまでの 活動総数 北海道内 0 5 岩手県内 3 253 宮城県内 3 337 山形県内 0 2 福島県内 1 113 茨城県内 0 11 栃木県内 0 2 千葉県内 0 2 長野県内 0 2 合計 7 727 都道府県 救護班の主な活動場所 岩手県内 岩手県立山田高等学校 山田陸中海岸青少年の家 釜石市立旧第一中学校 陸前高田市立第一中学校 鈴子広場救護所 山田町立大沢小学校 渡波地区 旧北上川東地区 東松島市内 石巻赤十字病院 石巻ロイヤル病院内(ショートステイベース) 雄勝地区 牡鹿半島 河東総合体育館 会津若松市 福島市内(巡回) 宮城県内 福島県内 移動薬局チームを結成し、避難所に薬を届ける 発災 10 日後、メロンパンの移動販売にヒントを得た「移 動薬局チーム」を石巻赤十字病院に結成。避難所などから 薬剤ニーズを把握し、地元保険薬局で調剤し、避難所に薬 を届けるシステムで、医療救護班も加わって毎日2チーム、 4月 26 日までに 1400 回、避難所に薬を届けました。 薬を届けながら、服薬指導や避難所の衛生環境調査、他の 医療機関への引継ぎに必要な「おくすり手帳」の作成、被災者との会話なども行います。 高血圧や糖尿病などの慢性疾患をもつ人からは「おくすり手帳を被災後初めて作ってもら った」と安堵の声が聞かれています。 2 市内で唯一、機能を維持した石巻赤十字病院 宮城県石巻市では、2次、3次救急を担う石巻赤十字 病院(402 床)が災害拠点病院としての備え(免震構造、 自家発電、貯水タンク、物資の備蓄、職員の訓練)に よって市内で唯一、医療機能を維持。 当日運ばれてきた患者は 100 人程度でしたが、2日後 には 1200 人を超え、 全国から派遣された医療救護班や 石巻赤十字病院のロビーでの治療 他の医療機関とともに、治療にあたりました。 〈病院スタッフの話〉 「津波でおぼれた患者さんがビニールシートに覆わ れ、次々と運ばれてきました。体を温めれば回復す る人もいましたが、中にはガソリンと混ざった海水を 吸い込み、肺炎が心配される人もいました」 全国から集まった医療救護班のテント 「石巻圏合同救護チーム」の拠点として 3月 20 日、宮城県により「石巻圏合同救護チーム」が 発足。石巻赤十字病院を拠点に、県から災害医療コー ディネーターを委嘱されていた外科医の石井正医師が リーダーとなって、他の医療機関と連携しながら、市 周辺の医療提供と体制の立て直しに取り組みました。 約 300 カ所の避難所を巡回診療し、行政に代わって水、 トイレ、電気、ガスなどの環境調査や要介護者の調査 1 日の終わりに開かれる石巻圏合同救護 チームのスタッフミーティング。 ©Olav Saltbones(11/03/27) を行い、関係各所に報告しました。 赤十字が開発した移動仮設診療所「dERU」が活躍 通信・浄水・発電機能を備えたテント型の移動仮設診療 所「dERU」(ディー・イーアールユー)を石巻赤十字病院の 前などで展開し、多くの医療ニーズに応えました。 dERUは、以下の 3 つのユニットです。日本赤十字社 が整備しているもので、そのための訓練も行っています。 ① 仮設診療所設備 大型エアテント(9m×9m)、医療資機材(外科用具など)、 医薬品(麻酔、抗生物質など)、診察台、簡易ベッド、担 架、I T・通信機器などを積載。小外科手術を含む外傷 治療、慢性疾患治療、出産などに対応します。 3 ② 自動昇降式コンテナと輸送用トラック トラックには浄水器と給水タンクを積載し、給水車として機能します。コンテナは自動昇 降システムを備えているため、被災地で①の機材を速やかに搬出後、小外科手術室や通信 事務室などに使用します。 ③ dERU職員 訓練を受けた医師、看護師長、看護師、助産師、薬剤師、事務職員の 14 人で構成。 1 日 150 人程度の軽症・中等症程度の傷病者を 3 日間治療可能です。長期にわたる場合は、 医療救護班がローテーションを組み、医療資機材を補給しながら、治療を継続します。 平成 19 年の新潟県中越沖地震でも現地の地域医療が回復するまでの間、活動しました。 今回の震災でも 10 チームが展開し、活動しました。 今後に向けて ≪現在~今後に向けて≫ 津波で家族や家を失うなど、多くの被災者が大きな精神的なダメージを受けており、さ ■こころのケア活動 らに、長引く避難生活などから様々なストレスを抱えています。 避難生活が長引く中、訓練を受けた看護師など 399 人が 6 月 3 日までに 7,807 人以 そこで、被災地に派遣される救護班には、こころのケア要員が同行するように努めまし 上に対して「こころのケア」を実施。今後も活動を続けていきます。 た。 〈こころのケアチームの話〉 「第三者に聞いてもらうことで、症状が軽くなることが あります。決してこちらから聞きだすのではなく、自 分から話し出すのを待つことが重要。周囲の視線を 気にしている様子であれば、2人きりになれる環境を 作り、落ち着いて話せるような工夫もしています」 ■要介護高齢者への支援 自ら被災しながらも福祉避難所(特養や老健施設)など で高齢者の介護にあたっている介護職員らを支援しよう と、 日赤の社会福祉施設で働く介護職員ら 35 人が全国 14 か所から被災地に駆けつけ、5 月 31 日~7 月 1 日、岩手 県大槌町の施設で食事や入浴の介助を行っています。 ■他団体と協働で「ホットタオル」提供 遠野市社会福祉協議会の「遠野まごころネット」と協働 し、4月 20 日から「ホットタオル」を提供しています。 入浴は3日に1回という陸前高田市の避難所で、さっそ くホットタオルを手にした人は「あったかい!」 「きもち ぇー」と自ら顔に押し当てていました。今後も大槌町な どで継続していきます。 4 2.救援物資の配付 平素から全国の日赤支部、施設などに備蓄している救援物資を以下のとおり、避難所や 災害対策本部に配付しました。 活動場所 毛布 緊急セット 安眠セット 衣料品 岩手県内 1,000 11,682 5,000 44,000 宮城県内 88,490 16,236 6,000 139,500 山形県内 9,000 504 福島県内 16,020 1,500 茨城県内 3,000 栃木県内 15,000 秋田県内 合計 避難所の 間仕切り 347 2,500 210 132,510 30,132 13,500 183,500 避難所の被災者に届けた「緊急セット」(携帯ラジオ、懐中電灯、歯ブラシ、三角巾など) 安眠セット(キャンピングマット、枕、アイマスク、耳栓、スリッパ、靴下)と毛布 東京の救護倉庫から搬出される支援物品 毛布などが被災地へ送られた(3/12) 5 347 3.ボランティア活動 これまでにのべ 64,914 人のボランティアが被災地をはじめ、全国各地で活動しました。 被災地での活動 宮城県支部内に設立したボランティアセンターを拠点に、炊き出し、食事の配膳、給 水作業の手伝い、無線による情報収集、救援物資倉庫の管理、被災家屋の片付けなど を実施。岩手県支部には防災ボランティアが常駐し、遠野市などを拠点に避難所の高 齢者生活支援のサポートなどを赤十字の介護チームとともに行っています。 被災地以外での活動 全国各地で街頭義援金募集、救援物資の仕分け・積込み作業、防災ボランティアの派 遣調整などのボランティア活動を行っています。 ○全国でのボランティア活動状況(3 月 11 日~6 月 3 日現在) 活動内容 地 域 奉 仕 団 計 特 殊 ・ 青 年 奉 仕 団 防 災 ボ ラ ン テ ィ ア 等 青 少 年 赤 十 字 875 651 334 333 奉 仕 団 合 計 活 動 人 数 2,193 6 64,914 炊 き 出 し 12 救 援 物 資 関 連 35 救 護 班 支 援 15 ボ ラ ン テ ィ ア セ ン タ ー 業 務 20 義 援 金 募 金 活 動 40 そ の 他 30 4.献血・血液製剤の供給 ・被災地における献血・供給状況 発災当初、ライフラインの被災により、岩手県、宮城県、福島県では、献血者の受入れ を休止していましたが、医療機関への血液製剤の供給については、全国各地の血液センタ ーからの支援体制により血液製剤の安定供給が確保されました。 その後、検査・製造機能の復旧に伴い、4月 18 日から献血の受入れを逐次再開し、現在 では一部を除き通常の献血受入体制が確保されています。 ・全国の支援体制 全国各地からの血液製剤の支援にあたっては、陸路のみならず花巻空港や庄内空港等を 利用した航空便による血液製剤輸送も大きな効果を上げました。また、宮城県血液センタ ーに対しては、全国各地から支援職員を派遣し東北地区の基幹センターとしての供給体制 の維持と強化を図りました。 発災直後から献血協力者が増加しましたが、全国的には十分な在庫が維持されていたこ とから、日本赤十字社ではホームページ等で、一時に集中することのないよう長期的、安 定的な献血への協力を呼びかけました。 ■ 被災地での献血運搬 事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所から 30km圏内にある福島県赤十字血 液センターの原町供給出張所。 「医療機関で待つ患者に輸血用血液を届けないわけにはい かない」と、同出張所では血液配送業務を続けています。 福島県血液センターの職員は「全国、海外の過剰な報 道に惑わされず、ここ福島で生きている人間がいること を忘れないで欲しい」と訴え、配送を続けています。 ■ 献血ルームの再開 福島市にある福島県赤十字血液センターが4月 18 日、震災で休止していた献血の受 け付けを再開しました。 「献血が始まるらしいと父から聞いて来ました」 という 20 代の2人姉妹は、普段から献血を習慣に していて、献血センターの看護師とも顔見知りです。 「たくさんの人が他人のために何かをしようと思っ ているということですから、良いことだと思います。 福島県は被災地ですが、自分のできることからやっ ていきたい」と静かに熱い想いを語っていました。 7 5.国際赤十字の支援(海外救援金) 今回の災害では、各国の赤十字・赤新月社から日本赤十字社に「海外救援金」の支援・ 協力の申し出を多数受けています。 受付額は 6 月 6 日現在 27,375,558,579 円です。 赤十字では、「海外救援金」を被災国の赤十字社が行う被災者支援活動に活用します。 日赤は 5 月 9 日、この海外救援金を日赤に寄せた 20 の国や地域の支援赤十字社・赤新 月社によって、活用方法を協議する「東日本大震災・支援国赤十字社会議」を東京の 日赤本社で開催しました。 海外救援金の活用事業案(次頁)を 日赤が提示し、満場一致の合意を得 ました。以下の一部事業は既に着手 しています。 仮設住宅の生活家電セットを寄贈 仮設住宅に入居される方が新たな生活を支障なく始めら 洗濯機 れるように、「生活家電セット」を家電メーカーの協力を 冷蔵庫 得て購入し、寄贈しています。 テレビ 被災県に行ったニーズ聞き取り調査などで支援要請があ 炊飯器 ったもので、自治体が建設する応急仮設住宅、及び同様に 電子レンジ 活用する公営住宅、民間賃貸住宅などに入居される被災者 電気ポット 約 9 万世帯を対象としています。対象となる方は、各自治 体が決定します。 生活家電セットの納品状況(5月 23 日現在) 納入場所 岩手 宮城 福島 納品数計 3県以外 4月 643 1,035 655 0 2,333 5月 4,895 6,025 4,767 338 16,025 6月 374 687 768 0 1,829 5,912 7,747 6,190 338 20,187 計 8 避難所に給水設備を設置し、感染症を予防 長引く避難生活で衛生状態の悪化が懸念さ れる中、石巻市内 9 ヵ所の避難所で仮設トイ レの近くに給水設備を設置し、手洗いができ るようにしました。 石巻赤十字病院の医師は「避難所のトイレで は排泄物をビニール袋に包んで捨てていた。 手を洗うことができず、下痢などの感染症が 広がるだろうと懸念していた」と今回の給水 ©Nobuyuki Kobayashi 設備の設置の意味を語ります。 給水設備は、赤十字が国際活動の経験を活かし、これまで海外の災害現場で使われて きたものを初めて日本国内で活用したものです。 ≪現在~今後に向けて≫ 今後も海外からの支援状況に応じて、さらなるニーズ調査を行い、被災県の赤十字支 部、自治体、被災者の方々などと協議を進め、支援事業を進めてまいります。総額約 300 億円超が見込まれる海外救援金の活用案(主な事業)は次のとおりです。 ■医療インフラの応急復興支援(約 50 億円) 石巻赤十字病院を含む石巻市周辺の医療インフラが、本格復興するまでの間の応急 復興支援 ■被災者の生活再建支援(約 225 億円) ・避難所の環境整備事業(給水設備の設置、空気清浄器などの整備など) ・応急仮設住宅への生活家電セット寄贈事業(建設が進められている仮設住宅等お よそ9万世帯) ・福祉車両寄贈事業(要介護高齢者、障がい者などに対するサービスなどへのアク セス手段の提供) ・介護用ベッド整備事業(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など) ■その他(25 億円) ・救援物資の購入・補充(毛布、緊急セット、パーテーション等の購入補充、保管 倉庫の設置など) ・医療救護班活動の充実(仮設診療所設備の更新など)。 9 6.「義援金」による支援事業 日本赤十字社にお寄せいただいた「義援金」は、被災県に設置される義援金配分委員 会に全額送金され、同委員会で定める配分基準に従って被災者へ届けられます。 義援金が国や自治体が行う復旧事業や、日赤の災害救護活動・被災者支援活動などに 使われることは、一切ありません。 義援金の受付状況(6 月 6 日現在) 231 万 2,147 件 2,233 億 5,863 万 5,763 円 今回の災害は複数県にわたる大規模災害であったことから、4 月 8 日に厚生労働省の協 力を得て、 「義援金配分割合決定委員会」が開催され、第一次の配分金額が決定しまし た。構成メンバーは、学識経験者、被災都道県、日本赤十字社、中央共同募金会です。 義援金の第一次配分基準(義援金配分割合決定委員会による) 住宅全壊・全焼・流失/死亡、行方不明 35 万円 住宅半焼・半壊 18 万円 原発避難指示・屋内退避指示圏域の世帯 35 万円 日本赤十字社では、この配分基準に従い各被災都道県から申請された額を直ちに当該都 道県に送金しており、市町村を通じ順次被災者の方々へ義援金をお届けしています(右 表参照) 。 義援金の各都道県配分委員会への第一次配分送金額は 6 月 7 日(火)現在:823 億 5,403 万円 6 月 6 日に第 2 回の「義援金配分割合決定委員会」が開催され、義援金の迅速な配分を 最重要課題と位置づけ、第一次配分の際の対象者を指標として、これによる各都道県の 被災の程度に応じて義援金を各被災都道県に送付することとなりました。各被災都道県 に送付された義援金は、各被災都道県の義援金配分委員会において地域の実情に応じて 被災世帯への配分額、対象世帯を決定することになります。 日本赤十字社では、引き続き多くの人々の協力が得られるよう、義援金の受付を継続 します。 また、被災された方々の直接の窓口である市町村も大きな被害を受ける中で、被災者 に迅速に行き届くよう被災県への速やかな送金、公平な配分を各県へ要請するなど、 義援金受付団体としての役割を果たしてまいります。 10 ■本件に関するお問い合わせ 日本赤十字社 企画広報室 TEL:03-3437-7071/FAX:03-3432-5507 11