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切り干し大根 - 北九州市立学校
北九州市立尾倉中学校 校長通信 №86 【ホームページアドレス】 www.kita9.ed.jp/ogura-j 【携帯用連絡ページ】 平成21年 www.kita9.ed.jp/ogura-j/mobile 3月23日 「 切り干し大根 」 校長 江 口 満 小学校の時だったと思う。母が静岡の親戚の祝い事に出席するために、2、3日家を空けたことが ある。何といっても問題は食事だった。まず、母がいなくて誰が夕食を作るのか。残された家族は、 私を含めて男3人兄弟と父。今なら私が喜んで作るところだが、その頃、兄弟は誰一人、食事を作っ うかが た こ と が な い 。 黙 って 様 子 を 伺 っ て いる と 、 どう や ら今 夜 は父 が 作る ら しい 。 キャ ン プな ど でカ レ じゃっかん ーを作っていた父を見ていたが、家庭での食事は、もっぱら母が作っていたので若 干の不安が残る。 「 晩ご 飯 ぞー。」 とい う父の 声が 聞こ えた。「 わー い。」と 、兄弟 そろ って 、少し テン ショ ンの低 い あぶらあ 返 事 。食 卓 に並 べ られ て いた の は、 大 根の 細 切り の 中に 油 揚げ 。 兄が 「 大根 し なび と るや ん。」と 言 っ た 。不 安 がよ ぎ る。 確 かに 大 根が し なび て いる 。 私が 「 この 大 根ど う した ん。」と 恐 る恐 る尋ね る へいぜん かたすみ ざんがい と 、 父は 平 然と 「 そこ に あっ た やろ 。」 と言 っ た。 確 かに 朝 まで は あっ た 。廊 下 の片 隅 に大 根の残 骸 が。あのしなびきった大根を細切りにし、油揚げといっしょに煮込んだのか。 食卓につく。油揚げとしょうゆの香り。しかし、その中になんとなくただよう大根の香りが食欲を はし そそってくる。でも脳裏をかすめるあのしなびた大根の残骸。他におかずはない。勇気を出して箸を 伸 ば す 。「 う ま い 。」 思 わ ず 叫 ん で し ま っ た 。 し か も 大 根 の 歯 ざ わ り が な ん と も 心 地 よ い 。 か み 締 め ると、大根独特の甘みが口いっぱいに広がった。この日、子どもながらも野菜のうま味を認識した、 最初の夜になった。ただ、あの大根の残骸も映像としていっしょに記憶に残ってしまったが。 しょうしんしょうめい 今考えれば父の冗談でした。それは、しなびた大根の残骸を調理したのではなく、正 真 正 銘の「切 り 干 大根 」 料理 だ った の です 。 その 頃 の私 は、「切 り 干し 大 根」 な るも の を知 り ませ ん でし た。た だ 今となっては、それを父が作ったのか母が作り置きしていたのか定かではありません。 てんぴ 「切り干し大根」は、大根を細く切り、天日で干して乾燥させた食材です。太陽の光を浴びること しょくもつせんい で、糖化されて甘味がさらに増します。良質の食物繊維、骨や歯を丈夫にするカルシウム、貧血を予 防する鉄分やビタミンなど、同量の大根と比べた場合より栄養価が非常に高い健康食品だそうです。 このような野菜のよさを知ってもらおうと、1月22 日 ( 木 )、 1 年 生 を 対 象 に 、 養 護 教 諭 の 髙 倉 千 賀 子 先 生が企画して、食育の授業が行われました。講師は、高 たかじょう 上 青 果 の 社 長 高 上 実 さ ん で す 。 高 上 先 生 に は 、「 珍 しい野菜。地元の新鮮で旬・安全な食材。野菜嫌いをな く す 食 べ 方 。 食 に 興 味 ・ 関 心 を 持 つ 。」 な ど に つ い て お 話 を し て い た だ き ま し た 。 ま た 、 2 月 1 2 日 ( 木 )、 性 教育「思春期の心とからだ」では、からだや心の変化と 命 の す ば ら し さ に つ い て 、 2 月 1 9 日 ( 木 )、「 た ば こ と アルコールの害」について、髙倉先生に養護教諭の専門 性を生かした授業を行っていただきました。以下、生徒 の皆さんの感想をお届けします。 プリントを使って野菜の説明をしてくださる高上社長【上】 珍しい野菜を恐る恐る口に入れ、試食する生徒の皆さん【下】 「気をつけて野菜を食べる」 1年1組 森下 昇斗 野菜は、毎日健康に過ごすうえで、とても大事な役割をしてい ることが分かりました。初めにめずらしい野菜の資料が配布され て、そのプリントの中には、僕が見たことのないような野菜が数 多くありました。さらに、日本人の食生活に変化があらわれ、癌が増えてきていることを、正確なデータで教えて くださいました。しかも野菜には、薬効果があることも知りました。最後に野菜を試食したとき、糖分が増してい ておいしかったです。毎日使える野菜の知識は、とても大切なんだと感じました。これからは、少しでも気をつけ て野菜を食べたいです。 「ちょっと好きになった野菜」 1年1組 竹﨑 海美 食育の学習をして、今まではあんまり野菜が好きでなかったけど、今は、前よりもちょっと好きになりました。 野菜の知らないことがたくさん分かって、いい所がいっぱいあるから、これからはもっとたくさん野菜を食べてい きたいと思います。日本は、昔、たくさん野菜を食べていたそうです。しかし、今は食べていない人の方が多いか ら、みんなが昔みたいに野菜をたくさん食べるようになったらいいなと思います。病気にならないように、毎日野 菜を食べたいです。珍しい野菜を見て、ちょっと食べてみたいと思いました。これからは、野菜やお肉をバランス よく食べるようにしていきたいと思います。 「野菜に興味を持つ」1年2組 白水 秀弥 ぼくは、野菜があまり好きではありません。最初に「野菜について少し説明したいと思います。 」と言われた時、 おもしろくないなぁと思いました。カリフラワーを見た時に、めずらしかったので興味を持ちました。そして、話 をきいていると、ほとんどがぼくたちに関係があって、すごく分かりやすく学習ができました。質問をたくさんし てくれたので、とても楽しかったです。それと野菜には、いろいろなことに役立つんだなぁと思ってびっくりしま した。いろんな色や形の野菜があり、とてもびっくりしました。こんなにいろいろ野菜があり、いろんなことに役 立ち、もっといろんなことを調べたいなぁと思いました。野菜に興味を持ちました。とても楽しかったです。 「人生を少しでも長く」 1年1組 大嶋 優雅 たばこの害、アルコールの害の話を聞いて、僕は大切なことを知ることができました。前からも思っていたけど、 たばこを吸ったりお酒を飲んだりすると、あんまり長く生きられない。だからたばこを吸ったりお酒を飲んだりす るのは、将来絶対したくないです。長生きして、これからの人生を少しでも長く生きていきたいと思いました。僕 は、この話を聞いて本当に良かったと思いました。それに、たば こをできるだけ吸わないという気持ちが一層固くなりました。 「迷惑で有害なたばこ」 1年2組 内村 優衣子 私たちがふだん身近にあるたばこやお酒。私は、たばこやお酒 がこんなに人間の体にとって有害なものだとは思いもしませんで した。たばこは早ければ早いほど年を取ったときの死ぬ確率が高 いそうです。また、たばこを吸っている期間が長ければ長いほど、 たばこをやめにくいと定村先生がおっしゃっていました。私は、 大人になってもたばこなんか絶対に吸いたくないと思います。た ばこを吸えば、人にも迷惑をかけることになるし、自分にも有害 人体模型を使ってたばこの害を実験する髙倉先生 だからバカバカしいと思います。そんなことにより、そのたばこ 代を自分の好きなものに使ったほうが、私は絶対にいいと思いました。 「地球に生まれた奇跡に感謝」 1年2組 楢木 諒 性の話を聞いて、生命の大切さやすばらしさを改めて感じた。自分がこの地球に誕生したときのことは、全く覚 えていない。僕がお母さんのお腹の中にいたとき、頭が上のままだったそうだ。僕は思う。生まれたときは、けっ こう大きかったのに、なぜ今小さいんだろう…?現在、親にいろいろなことで反抗するようになってきた。でも親 には感謝している。この地球に生まれた「奇跡」 。本当に感謝している。この「諒」という名前には、思いが込めら れていた。 「嘘をつかない」という思いだ。僕は、この命をこれから先ずっと、大切にしていこうと思った。 「みんながいるから私がいる」1年2組 榊原 由季 私は、最初、 「性」と聞いて大切とは思っていませんでした。だけど、高倉先生の話を聞いたり、ビデオを見たり して、「大切なんだぁ」と、性についても考え方が変わりました。 精子と卵子の受精の話を聞いて、私が今ここにいるのは、奇跡的 なことなんだなぁと実感しました。ビデオの中で、ある女性の出 産のシーンがありました。その女性は、汗だくになりながら必死 に赤ちゃんを産もうとしていました。私のお母さんもこんな経験 をして私を産んでくれたと思うと、これからはもっと感謝しなが ら生きていこうという気持ちになりました。今日の話を聞いてこ れからは、「みんながいるから私がいる」ということを忘れずに、 生きていこうと思いました。 思春期を迎えた1年生に、からだや心の変化と 命のすばらしさについて熱く語る養護教諭 髙倉 千賀子 先生