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プロフェッショナリズム教育

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プロフェッショナリズム教育
SEAを用いた
プロフェッショナリズム
教育
北海道勤医協 総合診療・家庭医療・医学教育センター(GPMEC)
勤医協中央病院 総合診療センター
川口 篤也
[email protected]
ニポポ指導医講習会 2011年9月24日
なぜ今プロフェッショナリズムか?
 社会と医師の関係の悪化
・ゼロリスク追求、訴訟問題
・メディアとの関係
・救急車たらい回し etc
 市場原理の医療への過剰な介入
・医療費抑制
・経営管理者からの圧力 etc
 最近の若者は・・・
・社会人としての基本ルールが守れない?
プロフェッショナリズムの文献
プロフェッショナルとは?
『高度な知識と技能によってクライアントの依頼
事項をかなえるインディペンデントな職業』
波頭 亮:プロフェッショナル原論. 筑摩書房 2006
みんなが『神の手』
を持たないといけない?
専門的職業(Profession)とは?
医学,法学,聖職者,教育,工学
• 専門的な一連の知識を有する
• 自由裁量に基づいて実践し自己規制する
• 個人や社会に対して利他的に奉仕する
• 専門的な知識やスキルを維持・拡大する
責任がある
Gruen RL et al. Professionalism in Surgery. JAmCollSurg
2003; 197: 605-9.
社会に公約(profess)
「新千年紀のプロフェッショナル憲章」
合同提案(2002年)



米国内科専門認定委員会
米国内科学会
欧州内科学会
患者の福利を第一に考える
 患者の自立性(patient autonomy)を尊重する
 社会正義(social justice)を推進する

プロフェッショナルとしての一連の責務










プロフェッショナルとしての能力に関する責務
患者に対して正直である責務
患者情報を守秘する責務
患者との適切な関係を維持する責務
医療の質を向上させる責務
医療へのアクセスを向上させる責務
有限の医療資源の適正配置に関する責務
科学的な知識に関する責務
利害衝突に適切に対処して信頼を維持する責務
専門職の責任を果たす責務
実際は理想と現実の狭間で・・
さあ正義の話をしよう
ディスカッションシナリオ
あなたは最近家族サービスの時間をな
かなか取ることが出来ていません。
 半年ぶりに家族サービスできそう。子
供達と1泊2日の旅行に行きます。
 朝出発の直前に病棟から電話が・・・。
 長年あなたが外来で診ている患者が軽
い肺炎で入院してました。
 その患者が朝から意識レベルの低下あ
り、呼吸状態が悪いとコールです。

あなたならどうする?
グループで話しあってください
 今のあなたならどうするかを、率直に
話してください
 1人1回は発言してください

様々な意見が出たと思います
が、はっきりしているのは・・・
正解はないということです!
プロフェッショナリズム教育の難点
心ある医師ならどう行動すべきか特に議
論のない領域
⇒ スッキリ領域
例)守秘義務、技術研鑽、利益相反 etc


現実に照らし合わせるとどう行動すべき
か議論が生じやすい領域
⇒ モヤモヤ領域
モヤモヤ領域をどう教育するか
①
背中を見せる
あなたの行動は見られている
良きロールモデルとなる努力を!
 ただし悪い行動も見られています・・

患者の話を傾聴して、患者の気持ちに
なって診療するのが大事と言っていた
医師が、回診中にいろいろ話し出した
患者の目の前で、あからさまに丌機嫌
な顔をして冷たく話を切った・・・
非公式カリキュラムと潜在的カリキュラム
非公式カリキュラム
・先輩や同僚から非公式に伝え聞く
⇒病院の文化は大事
潜在的(hidden)カリキュラム
・教えられたこととは異なることが実際
の現場で行われ、教えられたこととは
別のことをメッセージとして受け取る
⇒行動が非常に大事
②

振り返りを行う
注:ここの写真が一押しです・・・。
なぜ振り返りが大事か?
技術的熟練者(technical expert)
省察的実践家(reflective practitioner)
ドナルド・A・ショーン
「The reflective practitioner-how professionals think in action」
経験を振り返って成長していく
人がプロフェッショナル
振り返り(Reflection)の種類

「予想外の出来事」「心を揺さぶる経験」
⇒ その場から逃げ出したり出来ない
経験や知識
を総動員
テキストを読む
インターネット
経験ある医師
に聞く
なんとかその場を切り抜ぬける
⇒Reflection in action(行為の中の省察)
Reflection in actionでは足りない
事態が終了したあとに振り返る
⇒Reflection on action(行為に基づく省察)
*出来ればチームや同僚で忌憚なく話し
あうのが重要
⇒この振り返りから新たな自分のまとめ
= 実践の理論を導きだす
⇒ Reflection for action(行為のための省察)
Reflective Practitioner(省察的実践家)
予期せぬ出来事
に遭遇
Reflection in
action
なんとかその場
を乗り切る
Reflection on
action
構造的振り返り
疑問点の抽出
文献検索ディス
カッション
Reflection for
action
今後に応用でき
るパールをまと
める
横林 賢一. クリニカルジャズ(Clinical Jazz). 日本プライマリ・ケア連合学会誌.
2010. vol.33,no.3, p.324, 図2より改編
SEA(Significant Event Analysis)
・現実の事例の中で特に重大であると発表者が
感じた点について掘り下げていく方法
(元々第二次大戦中の米国の空軍・航空学領域での心
理プログラムとして開発された
Critical incident technique から発展した)
小グループでファシリテーターの
もとに安全な雰囲気で行う
Significant Event Analysis(SEA)
意義深いイベントの描写(何が起こったのか):
その時の感情
うまくいったこと
うまくいかなかったこと
こうしたら良かったと思うこ
と
次へのアクションプラン
SEA手順
重大な出来事を比較的簡潔に記述
 その時の感情が重要!

・・・ここに焦点をあてて議論する

うまくいったことの記載
⇒うまくいかなかったことに集中しがちなので必ず
うまくいったことを記載する

こうしたらよかったこと
⇒たくさん記述させる

次へのアクションプラン
⇒出来るだけ具体的に!
集団で行うことが有効
SEAの意義
Reflection on action、Refleciton for action
ができる
 小グループで共有することで、共感や暗
黙知を引き出せる
 医療チームの増強、環境改善につながる
 安心(自分だけが間違いを犯したわけで
ない)
 互いの立場や難しさを共有する(多職種
で行う場合)

先程の例で記入してみます
意義深いイベントの描写
半年ぶりの家族サービスに出かける当日に、
外来で自分が長年フォローしている患者の
急変の病棟コールがあった。予期せぬ急変
のため家族に事情を説明し病棟へ向かい、
初期指示と患者家族対応をした。幸い病状
は落ち着きそうだったので、当番医に引き
継ぎ、4時間遅れで家族旅行に出発できた。
その時の感情
なんでこのタイミングなの?
 正直遠くに出発してからなら良かった
のに
 まだ病院の近くにいるので見に行くし
かないか・・・
 家族(特に子供)に、病院に行ってくる
と言うのがつらいな・・・
 すぐに改善すればいいな・・・

上手くいったこと
すぐに対処できたので、その結果患者
の状態は安定した
 患者家族にも病状説明出来た
 遅れることになったが、家族旅行に行
けたこと

上手くいかなかったこと
家族が楽しみにしていた旅行の日にま
で病院に行かなければならなかった
 事前にこのような事態を予想出来な
かった

こうしたら良かったと思うこと
事前に本人、家族に、自分の休暇を知
らせておけば良かったか・・・
 当番医と電話連絡でも良かったかもし
れない
 急変の兆しを尐しでも早く予想できれ
ば良かった

次へのアクションプラン
事前に本人、家族に説明し了承を得ら
れれば、たとえ看取りの際でも当番医
が対応することを病棟で決めるのも一
つの手か
⇒ 完全な病棟当番医制の導入

実際みなさんにSEAして頂きます
① 10分でSEAシートに記載してください
② 一人ずつイベントの描写の部分のみを発表
③ みんなのイベントを聞いて、今回話し合い
したい事例の人を一斉に指さして下さい
④ 一番多く指をさされた人の事例をSEAします
⑤ 司会はタスクフォースが行います
⑥ 最後に発表者は、簡単な事例の紹介と感想
の発表をお願いします
⑦ プロダクトは上記のSEAを行っての感想を
記入したものです
注意点
 とにかく感情面に焦点を
⇒細かい事実関係を問題にする必要
有りません
 自分がそれを経験したらど
う思うか?
 No Blame な雰囲気を
⇒なぜこれをしなかった?などは禁忌です
実際には・・・
1症例に30分以上かけて行ないます
 とにかく感情をさらけ出せる雰囲気が
一番大事
 ファシリテーターの力が重要

⇒SEAの理解、雰囲気、意見の振り方

当院では初期研修医は月1回行っている

総合診療部後期研修医も月1回行っている

多職種でも有効と思われる
⇒他職種の理解、チームビルディング
最後に

プロフェッショナリズムとは進むべき方向
⇒常にその方向に向かっての行動が大事
*ここまで獲得したら良いというものではない

SEAなどを用いて振り返りを行うのも
プロフェッショナルな行為
⇒Reflective Practitioner(省察的実践家)へ
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