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4情報・案内に関する事項
4情報・案内に関する事項 ∼施設の利用における情報・案内の重要性 ∼ わかりやすい動線計画は、障害がある人などの施設利用の上で 最も大切なことですが、より安全にかつ快適に行動するために は、施設の利用や移動に関する情報を的確に伝える設備が必要で す。なかでも危険回避を示す点状ブロックや光や音による緊急時 の通報・誘導などの情報設備は、視覚障害者や聴覚障害者にとっ ては命を守るための重要な設備といえます。また、誘導や案内の 設備を施設全体の利用計画の中で一体的に整備することも重要 です。 125 (1)視覚障害者誘導用ブロック等 視覚障害者にとって行動するときはたいへん神経を使うため、情報不足を補えれば少しでも不安 の解消になります。視覚障害者誘導用ブロック等は、情報伝達や危険回避のための手段であり、ま た、色づかいなどに配慮することによって、高齢者などにも有効になります。さまざまな状況を考 慮し、視覚障害者などが容易に確認でき、かつ、わかりやすい方法で敷設することが必要です。 視覚障害者誘導用ブロック等の仕様 敷設方法 ●視覚障害者誘導用ブロック等は、線状ブロッ クおよび点状ブロック等を適切に組み合わせ たものとする。<建14の(2)ア> ●線状ブロック等は、線状の突起が設けられて おり、かつ、周囲の床面との色の明度の差が 大きいこと等により容易に識別できるものと する。〈建14の(2)ア〉(図1) ●点状ブロック等は、点状の突起が設けられて おり、かつ周囲の床面との色の明度の差が 大きいこと等により容易に識別できるものと する。<建1の(3)>(図1) ◇点状ブロックと線状ブロックは、触感覚に よる識別が容易なものとする。 ◇点状ブロックは、視覚障害者に注意すべき 位置や誘導対象建築物等の位置を案内す る場合に用い、線状ブロックは、通路等の 方向を案内する場合に用いる。 ◇十分な強度を有し、ぬれても滑りにくい材 質で、歩行性、耐久性、耐摩耗性にも優れ たものとする。 ◇視覚障害者誘導用ブロック等と敷設床面 は、明度や色彩のコントラストのはっきり したものとする。 ◇弱視者に配慮し、黄色・橙色を原則とする が、他の色を選択する場合は、周辺の床材 の色との明度の対比などに配慮する。 ◇視覚障害者誘導用ブロック等を敷設する 部分の周辺床材は視覚障害者誘導用ブロ ック等の凹凸が、触感覚で確認しやすいよ うにできるだけ平坦なものを用いる。 ◇過剰な敷設はかえって混乱を招くので、明 確な経路となるよう基本となる動線に敷 設する。 ◇原則として湾曲しないように直線的に敷 設し、曲がる部分は直角に配置する。(図2) ◇線状ブロックは、線状突起の方向を平行に して、連続して敷設する。 ◇危険の可能性、歩行方向の変更の必要性を 予告する部分には、点状ブロックを設置する。 ◇視覚障害者誘導用ブロック等を一連で敷 設する場合は、視覚障害者の混乱を防ぐた めにできるだけ同寸法、同材質の床材を使 用する。 ◇下肢障害者や車いす使用者の通行の支障 とならないよう、過剰な敷設は避ける。 敷設場所 ●視覚障害者誘導用ブロック等の敷設は、そ れぞれの項目(敷地内通路、廊下等、傾斜 路、階段、歩道等、園路・出入口、改札口・通 路等、プラットホームおよび乗船場など)に定 めるところによる。 (図3) ◇その他必要に応じて視覚障害者誘導用ブ ロック等を敷設する場合は、「視覚障害者 誘導用ブロック設置指針(建設省道路局) 」 等を参考とする。 × 階段端部やドアに接して敷設してあると、転落や衝突の危険性が高い ●条例による整備基準 ◎さらに望ましい基準 (ハートビル法による誘導的基準) ○さらに望ましい基準 (ハートビル法に規定されていないもの) ◇その他の配慮事項 126 図1 形状 線状ブロック 点状ブ 点状ブロック ロック 5列以上 5列以上 4本以上 ※突起の高さは、線状、点状ともに5mm(許容差+1mm) 図2 敷設寸法 図3 敷設位置 127 ※視覚障害者誘導用ブロック び の突起の形状、寸法およ その配列は、JIST9251に よる。 (2)案内標示 施設を利用したり、目的の場所へ行きたい時に、案内表示による情報がなければうまく行動でき ません。だれにもわかりやすい表示をするためには、標示の位置や大きさ、色彩、点字の併用など、 こまやかな配慮が必要となります。また、こうした表示は施設内の移動や利用の面からも計画的に 配慮されることが大切です。 案内標示の仕様 設置場所等 ●案内場所に案内板を設ける場合は、そのうち ●病院・診療所等のうち病院にあっては、診察 1以上は、次に定める構造とする。 および投薬を待つための文字による表示装 〈建23の(1)〉 (図 1) 置(投薬を行わない病院にあっては、投薬に ①案内板の高さ、文字の大きさおよび標示 係る表示装置を除く。)を受付等に設置す 等は、高齢者、障害者等が見やすく理解 る。〈建23の(2)〉 (図2) しやすいものとする。 ○金融機関・郵便局および官公庁舎等のう ②点字による表示または音声その他の方 ち、受付等において呼出を行う施設は、文 法により視覚障害者が当該施設を円滑に 字による表示装置を設置する。 利用できるものとする。 ◇公共施設や銀行などでの受け付けにおけ ●案内板または「2室内に関する事項 (1)便 る順番待ち標示等は、番号札と電光掲示板 所・洗面所(P.90)」に規定する車いす使 等文字との併用とする。 用者便房およびオストメイトや乳幼児のため ◇建物内の施設の配置が複雑な場合は、玄関 の設備を設けた便所の表示その他これらに 付近に見やすく、かつ通行の支障にならな 類する案内または誘導のための標識を設け いように(視覚障害者が位置や方向を確認 る場合は、必要に応じ、かな、ローマ字、絵 しやすいよう、できる限り玄関の正面とす 等による見やすい表示を行う。〈建23の(3)〉 る。建物概要を表示した点字案内板、また ○必要に応じて外国語を併記する。 は触地図案内板を設ける。 (図1) ◇案内板の標示は、弱視者や白内障の黄変化 ◇点字標示の設置場所としては、主に次の場 視界等でも識別しやすいよう色彩や明度 所が挙げられる。 差に配慮する。また、案内板による標示だ ・エレベーターの乗場ボタンおよびかご内 けでなく、床面の色分け等も有効である。 の操作盤 ◇必要に応じ、視覚障害者のために音声また ・案内板 は放送による案内設置を設ける。 ・便所の標示板 ◇記号標示等でわかりにくいものには、可能 ・階段、廊下等の手すり な限り文字の併記をする。 ・玄関の呼出設備(インターホン) ◇逆光や反射グレアが生じないように、案内 板の仕上げや設置位置、照明灯に配慮する。 ◇聴覚障害者のために、手話通訳ワープロや 字幕挿入等による案内にも配慮する。 ◇案内標示は、遠くからでもその存在がわか りやすく、また近寄って確認できるように 配慮する。 明確でわかりやすいサイン ●条例による整備基準 ◎さらに望ましい基準 (ハートビル法による誘導的基準) ○さらに望ましい基準 (ハートビル法に規定されていないもの) ◇その他の配慮事項 案内板設置例 128 図1 音声付き触地図案内板 図2 電光標示による呼び出しカウンターの例 病院(診察・薬局・会計等の窓口) 金融機関 129 (3)緊急時の通報・誘導 緊急の事態が発生した時は、非常時であることを知らせ、安全に避難できるよう誘導しなければ なりません。しかし、障害がある人などの中には情報の伝達や迅速な行動が困難な人もいるため、 こうした人にも、正確な情報伝達と安全な誘導体制に十分配慮した施設づくりが必要です。 くぐり戸 警報装置(誘導灯) ●公会堂・集会場、劇場・映画館等および旅館 等における緊急時の避難設備として、自動火 災報知設備(消防法施行令(昭和36年政令 第37号)第21条に定める基準の設備をい う。)を設ける場合は、視覚障害者や聴覚障 害者に配慮し、非常時を知らせる点滅灯およ び音声誘導装置を設ける。〈建24の(1)〉 (図1,2,3) ◇安全に移動できるよう、高輝度誘導灯を使 用する。 ◇非常時に不点灯にならないよう、電池内蔵 型の誘導灯を使用する。 ◇警報装置は、光および音によって非常事態 の発生を告げる装置とし、自動火災報知器 と連動させる。 ●公会堂・集会場、劇場・映画館等および旅館 等における緊急時の避難設備として、廊下、 階段その他の通路において、防火戸(建築基 準法施行令(昭和25年政令第338号)第11 2条第14項に定める特定防火設備または防 火設備として設ける戸をいう。)にくぐり戸を 設ける場合は、当該くぐり戸は次に定める構 造とする。〈建24の(2)〉 ①幅は、車いす使用者が通ることができる よう、80 ㎝以上とする。 ②戸の下部は、またぐ必要のないものとす る。 一時避難施設(一時避難スペース) ◇車いす使用者等は、階段を利用して避難す ることが困難なため、安全に救助を待つた めの一時避難施設(一時避難スペース)を 階段に隣接したバルコニー、階段の付室等 の安全な場所にできる限り設置する。 緊急時の誘導 ◇緊急時の誘導は、放送による誘導案内とと もに電光文字標示装置を設置するなど視 覚障害者や聴覚障害者にも配慮する。 ◇避難時には煙を避けるために、伏せる等姿 勢が低くなることから、低い姿勢からもわ かりやすい誘導に配慮する。 避難経路 ◇想定される避難経路は、段を設けない。 ◇避難経路は、だれもがスムーズにかつ、で きる限り自力で避難できるように、わかり やすい動線や防火ドアの構造、安全区画等 に配慮する。 ●条例による整備基準 ◎さらに望ましい基準 (ハートビル法による誘導的基準) ○さらに望ましい基準 (ハートビル法に規定されていないもの) ◇その他の配慮事項 130 図1 警報装置(高輝度誘導灯)の例 誘導音付点滅型誘導灯(電池内蔵型) 点滅型誘導灯(電池内蔵型) 音声装置 点滅装置 点滅装置 光の点滅により避難口の場所・方向を的確に知 らせる為の誘導灯。自動火災報知設備と連動して ランプが点滅する。煙霧等により、避難口の誘導 灯が確認しにくい、看板等で誘導灯との判別がつ きにくい、高齢者や身障者等の安全な避難を考え たいなどの場合に非常に有効である。 点滅型誘導灯に誘導音を加え、自動火災報知 設備と連動し、非常時には音声とランプの点滅 によって避難口の位置や避難方向を的確に知 らせ、より積極的な誘導を行う。視覚障害者等 が出入りする場所での誘導やまた他の設備な どにより避難口が見えにくい場所での誘導な どに効果がある。 図2 非常用文字表示装置の設置例 図3 光走行式避難誘導装置の設置例 131 ◆トピックス ∼音声誘導案内の現在∼ 聴覚障害者等に配慮した音声誘導案内は、主に施設内の案内や緊急誘導を目的とする優れた設備 として大変不可欠なものとなっています。また、その情報提供方式は、施設内容や規模の違いなど から、以下の二つの方式に分かれます。 ・施設側に設置した装置から案内が流れる方式や手元の携帯端末から案内が流れる方式 ・携帯端末を使用する方式や使用しない方式 こうした情報提供方式を採用し、現在もなおさまざまな企業でより利便性の高い音声誘導案内の 開発が行われています。 132 133