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SIA オペレーションカンファレンス - Nomura Research Institute

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SIA オペレーションカンファレンス - Nomura Research Institute
2004 年 6 月
SIA オペレーションカンファレンス
SIA は、2004 年 5 月 4 日∼5 月 7 日の 4 日間、オペレーションカンファレンスを開催した。例年
開催されてきた STP カンファレンスを包含した形での開催ということもあり、参加者数は 700 名と
公表されている。発表されたテーマは、オペレーション全般に渡っていたが、本稿では、STP 化の
進展に触れたセッション(特に John Panchery 氏1の発表)内容を中心に紹介していく。
STP 化対応はより実行ベースへ
2002 年 7 月、SIA 理事会はそれまで取り組んでいた「STP/T+1 プログラム」を「STP プログラム」
に変更することを決定した。その後 2 年間は STP 化達成を目標とした取り組みに専念し、2004 年
6 月に改めて T+1 の方向性を決定するというものであったこと、また、2004 年 3 月に SEC がコン
セプト・リリースを行ったことなどから、今回のオペレーションカンファレンスに対し関心が高かった
のではないだろうかと考えられる。「関係者の多大なる努力により、STP 化実現のため、多くの取
り組むべき目標が達成された」という言葉と共に STP 化対応の進捗状況が Panchery 氏より発表さ
れた(【表1】参照)。
【表1】STP 対応に関する進捗状況
プロジェクト
照合
リファレン
ス・データ
の標準化
1
達成の目標
取引日当日(T+0)に電子的に
取引照合/事前アロケーショ
ン取引入力機能を実現(2004
年中旬まで)
・メッセージプロトコルの共通
化
・リファレンス・データの標準化
(顧客コード、証券銘柄コード
など)
状況
取引承認率
2002 年
2004 年
14%
24.4%
<課題>
・更なる取引承認率の引上げ
・慣行の変更
・ベンダー提供システム機能向上
<目標達成に向けた取り組み>
・マッチング・ユーティリティの機能要件を文書化
・ベンダーによる安価な機能(電子的アロケーションあるいは
照合)を提供開始
<2002 年時点の状況>
・複数のメッセージプロトコルの標準化対応
<課題>
・複数のメッセージプロトコルが存在 (特にクロスボーダー取
引)
<目標達成に向けた取り組み(継続中含)>
・ISO 内部で共通データ用語を開発中
・標準概要ドキュメントの整備
・標準化団体(ISO WG-8、ISO WG-11)への働きかけを継続中
SIA の STP プロジェクトマネージャー
本レポートに掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。すべての内容は日本の著作権法および国際条約により保護されています。
Copyright (c) 2004 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
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2004 年 6 月
プロジェクト
株式の無
達成の目標
物理的券面の削減
券面化/
不動化
貸株のリコ
貸株回収の電子的伝達
ール・バイ
−STP 達成には、手作業中心
イン処理
の当該業務処理を自動化す
ることが必須であるという業
界要請に対応した達成目標
コーポレー
ト・アクショ
ン・プロセス
ストリート
サイド・プロ
セッシング
コーポレート・アクションのライ
アビリティ(権利請求)通知を
含むコーポレート・アクション発
表と通知の電子的伝達
・取引所のロックイン取引
・改定 CNS システムの稼働
・RTTM(リアルタイム取引
照合)の稼働
(DTCC)
状況
2002 年
2004 年
DRS 適格証券
410
665*
(銘柄数)
*NYSE、NASDAQ 証券の約 10%相当
<課題>
・上場要件の変更(DRS 適格証券に変更)
<目標達成に向けた取り組み>
・NYSE、NASDAQ、AMEX に対し、上場要件変更(DRS 適格証
券に変更)を打診
・不動化/無券面化ガイドラインを発行(2004 年 3 月)
・投資家向けペーパーレス教育ツールキットの手当て
<2002 年時点の状況>
・FAX、電話、電子メールを利用した情報伝達
<課題>
・金融機関の早急な ARMS システム採用
<目標達成に向けた取り組み(継続中含)>
・当該業務処理自動化のための ARMS システムに関する提供
準備の最終段階(ベンダー3 社)
メッセージタイプの調整が出来次第、稼働予定
・ベンダー間の互換性を考慮した接続機能を提供(DTCC より)
<2002 年時点の状況>
・コーポレート・アクションの標準化未整備
・リスクの存在(人手介在、事務処理ミス)
<課題>
・コーポレート・アクションの標準化
・株式公開買付発表の標準化と自動化のための規制変更
<目標達成に向けた取り組み(継続中含)>
・DTCC SMART/TRAC が 2004 年第 4 四半期に稼働予定
・株式公開買付発表の規制変更勧告を規制当局に提示
・54 フィールド(コーポレート・アクション関係のメッセージ項目)
の情報標準化請求の書簡を SEC へ送付
・株式公開買付発表の規制変更勧告を規制当局に提示
<2002 年時点の状況>
・ストリートサイドの継続的なイニシアティブ
<目標達成に向けた取り組み>
・取引所のロックイン取引実施(株式取引のほぼ 100%で実現)
・システム(QSR、リアルタイム・トレード・キャプチャー、トレー
ド・レポーティング)2を稼働
・CNS 再設計第一フェーズ完了
・RTTM:2004 年 6 月稼働予定
(出所)SIA カンファレンス資料/プレゼンテーション内容を元に野村総合研究所にて作成
上表のとおり、STP 化の進捗については着実な成果が出ているものの、達成すべき課題も多い。
最大の懸案ともいえる決済期間の短縮(T+1)化については、現時点でこれに移行するビジネス環
境や効果がはっきりしているとは言いがたく、STP 化の達成を睨みながらその評価を行う位置付
2
DTCC にて取り組み、稼働したシステム
本レポートに掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。すべての内容は日本の著作権法および国際条約により保護されています。
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2004 年 6 月
けに引き続き変わりないとの認識にある。なお、本件に関連した SEC コンセプト・リリース3へのコメ
ント公表時期については、2004 年 6 月16 日に向けて鋭意準備中であることも併せて紹介された。
より実行ベースに移る STP 化
2004 年 7 月からの委員会・小委員会の新体制(【表 2】参照)の決定について報告された。STP
の各種委員会にはオペレーション委員会に吸収されるものや必要に応じた開催となるものがある
一方、『ビジョン 20104』策定のためのタスクフォース設置の決定や今後 5 年間で業界に必要なテク
ノロジーとオペレーションなどの公式調査を役割とした業界横断的なテク/オプ次世代チーム5の
新設なども宣言されている。これらの動向は、証券業界だけでなく業界横断的に STP 化の促進を
実行ベースに移していくことに主眼を置いたものと考えられる。
【表2】主な委員会の活動概況
委員会名
ステータス
備考
STP エグゼクティブ委員会
Target 2010 エグゼク
ティブ委員会に移行
STP 検討委員会(ステアリング・コ
ミッティ)
任務完了
機関投資家監督小委員会/
物理券面小委員会
SIA のオペレーション委
員会が吸収
コーポレート・アクション小委員会
SIA のコーポレート・ア
クション部門に戻る
従前進めてきた STP 化推進の活動は完了し、メンバー金
融機関と協力しながら、業界が必要としているイニシアテ
ィブ、優先順位を探り、目標設定を実施する。STP 実行
委員会のコアとなるスタッフが、2010 実行委員会のメン
バーとして、今後数週間中に、業界がこの先必要とする
目標の詳細を設定予定。
STP 化の水準を現状レベルまで引上るために多大な仕
事を遂行し、2004 年 6 月で任務を完了。STP 運営委員会
は、オペレーション委員会の一部門であったが、STP タス
クが大きくなり過ぎたため、独立したもの。
法規制小委員会も SIA オペレーション委員会が吸収し、
STP のための法規制タスクが必要となるまで、オペレー
ション委員会の管理下で活動する。
95%の作業は、コーポレート・アクション部門が実施してき
た。
資金決済小委員会
SIA グローバル・トレジ
ャリー管理委員会を 7
月に新設
過去 2 年間、活動の中
心だった DTCC が活動
を継続。
必要に応じて活動
必要に応じて活動
ストリートサイド小委員会
標準化/プロトコル小委員会
バイサイド小委員会
過去 2 年間に活動の中心だった、DTCC が活動を継続。
業界専門性を SIA が提供。
─
─
─
(出所)SIA カンファレンス資料/プレゼンテーション内容を元に野村総合研究所にて作成
本レポートは、日本証券業協会証券決済制度改革推進センターからの委託に基づき、㈱野村総合研究所
金融IT研究センターが作成したものである。
2004 年 3 月に SEC より公表されたもの。概要については、証券決済制度改革推進センターホームページ(マン
スリー(2004 年 3 月号)を参照のこと。(http://www.kessaicenter.com/kaigai/monthly12.pdf)
4 SEC の協力の元、SIA が業界にとっての重要事項を検討し取りまとめる。先ずは、2004 年末までの『ビジョン
2010』に関する白書を策定・発表予定。1994 年に当時の業界にとっての重要事項を検討・取りまとめた『ビジョ
ン 2000』を策定したが、今年はその後 10 年目の節目の年にあたる。
5 証券会社、取引所、照合機関、業界サービスプロバイダー、バイサイド業界、カストディアンなどが構成。
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本レポートに掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。すべての内容は日本の著作権法および国際条約により保護されています。
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