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看護ケアⅡ(口腔ケア、浮腫のケア)

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看護ケアⅡ(口腔ケア、浮腫のケア)
第9講
看護ケアⅡ
口腔ケア・リンパ浮腫のケア
旭川赤十字病院
緩和ケア認定看護師
蟹谷 和子
あさひかわ緩和ケア講座 2012
あさひかわ緩和ケア講座
2012
あさひかわ緩和ケア講座
あさひかわ緩和ケア講座2011
2012
あさひかわ緩和ケア講座
2012
あさひかわ緩和ケア講座
あさひかわ緩和ケア講座2011
2012
がん患者の口腔ケア
• 看護師による口腔ケアが必要な場合
・がん治療中、倦怠感や嘔気などでセルフケアがで
きない時
・がん手術直後の患者
・造血細胞移植治療や、大量化学療法などによる
副作用が強く、セルフケアができない状況
・がん終末期で予後が月単位から週単位となり、
寝たきりの状態となった場合
など
口腔ケア
あさひかわ緩和ケア講座 2012
あさひかわ緩和ケア講座 2012
セルフケア指導内容
セルフケア項目
ケア用具
口腔内観察
歯磨き
洗口(含嗽)
指導内容
口唇、頬粘膜から舌背部、可動粘膜部など
歯ブラシ
コンパクトなブラシを選択。約1カ月で交換
歯磨剤
低刺激のもの、1回量は歯ブラシの約1/4
歯磨きの方法
歯と歯肉の境目に歯ブラシを当て、歯ブラシ
を振動させるように動かす
舌ケア
舌苔がある場合は、水を湿らせた歯ブラシま
たは、舌ブラシを使用し、奥から手前に掻き
出すように舌背部を擦る
洗口剤(含嗽
液)
アルコールを含有していない低刺激のものを
使用
洗口方法
水、生理食塩水または、洗口剤を口腔全体
にいきわたらせるようにブクブクと循環させる。
6~8回/日実施
あさひかわ緩和ケア講座 2012
がん患者に生じやすい口腔トラブル
口腔トラブル
主な原因
口内乾燥
・脱水や絶食による唾液分泌減少
・口呼吸や酸素投与
粘膜の脆弱
性(口内炎な
ど)
・唾液分泌減少による抗菌作用の低下、日和見感染
・ビタミンや微量元素欠乏による粘膜の脆弱化
・化学療法や放射線治療の有害事象
味覚異常
・低栄養によるビタミンや亜鉛などの微量元素の欠乏
・化学療法や放射線治療の有害事象
・カンジダ症
口臭
・唾液分泌減少やケア不足による細菌の貯留や歯周病の悪化
・吐物、痰、食物残渣などの口内残留や壊死組織
・放射線治療による有害事象
・抗精神薬・オピオイドなど
舌苔・痂皮様 ・口腔乾燥やケア不十分による洗浄不足
痰付着
義歯不適合
・体重減少
・ケア不足による歯肉の腫脹や潰瘍
文献1より引用 一部改変
あさひかわ緩和ケア講座 2012
1
口腔乾燥
口腔乾燥のケア
症状
唾液 ・白く濁り糸を引く、細かい泡状になって粘膜に付着
・義歯粘膜面に唾液がついていない
舌
・舌乳頭が委縮して、舌背は平滑化
・溝状舌がみられ食物残渣が付着
・舌側縁部に歯列の型がつく
・舌苔が多く付着
口蓋 ・乾燥した喀痰や粘膜上皮が付着
頬粘膜 ・粘膜が委縮し伸展しにくい、出血しやすい
歯肉 ・歯垢や食物残渣が多く付着し炎症を起こしている
・出血しやすく、乾燥している
口唇 ・伸展しにくい、口角にびらんや潰瘍がみられる
歯
・急にう歯が増える
文献10より引用 一部改変
 洗口液を用いて含嗽(刺激性の少ないノンアルコールの液を使用)
頻回の含嗽は粘性成分のムチンを失わせるので乾燥を助長させる
 ブラッシング
事前に水で湿らせておく
歯肉にブラシの毛先が当たらないように、毛先の角度を調整する
 口蓋粘膜・頬粘膜・歯肉清掃
口腔の奥から手前に転がすように行う
とくに汚染しやすい口腔底や口腔前庭を丁寧に行う
 口唇口腔粘膜保護
2~4時間毎の定期的保湿が効果的
保湿剤は液体よりジェルタイプの方が口腔内にとどまりやすい
舌背以外にも舌下や頬粘膜に薄く塗りのばす
あさひかわ緩和ケア講座 2012
あさひかわ緩和ケア講座 2012
口腔粘膜炎
原因
・義歯などの物理的刺激
・熱症や薬剤
・口腔乾燥
味覚異常
・感染症
・抗癌剤や放射線照射
・栄養不良
ケア
• 口腔内の清潔保持(歯ブラシで粘膜を傷つけない)
アルコールを含まない洗口液や水などで含嗽
うがいは
『ガラガラ』で
疼痛が強い場合は生理食塩水を使用
はなく『グチュ
• 口唇にワセリンや保湿剤、白ゴマ油などを塗布 グチュ』で!
• 口腔内保湿
ワセリン、グリセリン入り含嗽や保湿剤・白ゴマ油などの使用
• 疼痛コントロール
キシロカインを使った含嗽+NSAIDS
モルヒネの使用
原因
・薬剤~抗がん剤や抗ヒスタミン薬、抗うつ剤など
・放射線治療~味蕾細胞の破壊、口腔粘膜の炎症、唾液
腺分泌機能の低下
・セルフケア能力の低下~カンジダや舌苔が発生し、味孔
(味蕾の入り口) が塞がる
・亜鉛欠乏~食事摂取量の低下
あさひかわ緩和ケア講座 2012
あさひかわ緩和ケア講座 2012
口臭
味覚異常
口臭の原因 (6割が舌苔で生産)
食事の工夫
食事内容の工夫
味覚鈍麻
悪味症・
異味症
味覚過敏
・濃い味付け
・はっきりした味の料理
・だしをきかせたり、薬味・香辛料・酸味などを利用
・亜鉛を含む食品を摂取
・感じにくくなっている味覚を通常より濃い味付けにする
・苦味や金属味など違う味がしたり、嫌悪感を覚える食
品は避ける
・塩味を控えてだしをきかせたり、ゴマ・ゆずなどの香り
や酢を利用
・薄味または素材そのもので食べる食品・料理を選択
文献11より引用 一部改変
あさひかわ緩和ケア講座 2012
口腔内 未治癒のう歯、不良充填物内での腐敗、歯周病、舌苔、
口腔乾燥、口腔内のがん、義歯に付着している歯垢
全身性 耳鼻咽喉・肺・上部消化管の疾患、耳鼻咽喉のがん、重
症の糖尿病・肝硬変・尿毒症
ケア
文献10より引用
・舌苔・口腔内のケア~保湿剤や洗口液などの使用
10~20倍に希釈したオキシドール液の使用
・口腔内嫌気性菌を抑制する口臭予防剤を3~4回/日使用
例:ハイザック®(揮発性硫化物をキレート化して消臭)
・腫瘍による口臭の場合は、嫌気性菌への対応としてメトロニダゾ
ールの投与が有効
あさひかわ緩和ケア講座 2012
2
口腔トラブルに応じた薬剤
出血傾向のある場合のケア
柔らかい歯ブラシかスポンジブラシを使用
ケア前後に保湿剤を粘膜に塗布し、全体を湿潤
出血している時は、頻回に含嗽しない
歯肉を傷つけないように、歯ブラシ、スポンジブラシは
湿らせておく
• 出血時はガーゼや綿球で圧迫止血(ボスミンやオキシ
ドール使用)
• 血餅を無理に剥がさない。
•
•
•
•
血餅が自然に落ちるのを待つ。それまでの間は
血餅の上から保湿剤をのせて、湿潤させておく。
口腔乾燥
口腔用保湿
剤
ウエットケアプラス、オーラルバランス、ビ
バジェルエット、リフレケアH、マウスウォッ
シュ、グリセリン、絹水、オーラルウエット
口内炎
ステロイド
外用薬
ケナログ、デキサルチン、アフタッチ、
サルコート
口腔内カンジダ
抗真菌薬
フロリードゲル、イトリゾール、ファンギゾン
口腔内の痛み
ハチアズレ・キシロカイン含嗽液、アズノール・キシロカイ
ン軟膏
口臭
ハイザック
舌苔
オキシドール
OPTIM ステップ緩和ケアhttp://gankanwa.jp/tools/step/skill/oral_care.html
より引用 一部改変
あさひかわ緩和ケア講座 2012
口腔ケアに使用される含嗽剤、鎮痛薬(1)
使用方法
含嗽液・
鎮痛薬
食塩水
オキシ
ドール
ハチアズ
レ・グリセ
リン
性状
適応
含嗽・使用方法
Nacl9gを水1000mlに
溶かす
含嗽水
重症口内炎、
口腔乾燥
5~8回/日使用、粘膜
の刺激が少ない
口内局所消毒時は2
~3倍希釈、洗口時
は10~20倍希釈
含嗽水
粘膜消毒、口
内炎洗口、舌
苔
5~8回/日またはケア
時。粘膜出血、痂皮付
着、舌苔付着時の口内
清掃または洗口、痂皮
をはがしやすくする
ハチアズレ5P、グリセ
リン60ml、水500ml
含嗽水
口内乾燥、唾
液分泌減少
5~8回/日、グリセリン
の味が少し甘い。疼痛
時キシロカイン併用
あさひかわ緩和ケア講座 2012
口腔ケアに使用される含嗽剤、鎮痛薬(2)
含嗽液・鎮
痛薬
使用方法
性状
適応
含嗽・使用方法
食塩水・キ Nacl9g、水1000ml、4%
シロカイン キシロカイン10ml or
20ml or30ml
含嗽水
口内炎、咽頭炎 毎食直前に含嗽、
10ml/回をグチュグ
チュ含嗽2分
ポンタール 10ml/回
シロップ
シロップ
口内炎の痛み、 食事前15分に服用、
咽頭炎による嚥 食事前の粘膜痛、嚥
下痛
下時痛に有効
アルロイドG
内用液
粘膜炎
アルロイドG 10ml~
20ml/回
キシロカインゼリー1本
アズノー
ル・キシロ (30ml)と、アズノール
カイン軟膏 軟膏150gを混合
軟膏
嚥下痛がある場合、
粘膜保護作用、止血
作用、食前服用で痛
みの緩和
口唇部、頬粘膜 直接塗布、持続は10
部の粘膜炎
~15分と短い、口内
炎が限局し局所使用
時有効
静岡がんセンター歯科・口腔外科で使用されている含嗽剤・鎮痛剤資料より引用、一部改変
あさひかわ緩和ケア講座 2012
あさひかわ緩和ケア講座 2012
終末期がん患者への口腔ケア
目的 :
口腔トラブルによる苦痛の予防、
または苦痛の緩和
・倦怠感や呼吸困難などによりケア時間や体位に制限がある
・口腔トラブルの原因が除去しきれない(オピオイドや酸素投与等)
・口腔トラブル以外の苦痛な症状に注意やケアが集まりやすい
ので、口腔トラブルへの対応が後手に回りやすい
口腔トラブルは“食べる・話す”を奪
い、QOL低下の大きな要因!!
リンパ浮腫ケア
最小の苦痛で、最大の効果が得られるようなケアを早期から検討
あさひかわ緩和ケア講座 2012
あさひかわ緩和ケア講座 2012
3
リンパ系の特徴(1)
リンパの働き
<リンパ液の成分>
細胞で不要になった老廃物や白血球などに分解された
蛋白成分、リンパ球などの細胞成分、侵入してきた細菌、
脂肪など
1.リンパ管の自動運搬能:
一定のリズムで自律的な収縮運動(10回/分)
2.弁構造:集合リンパ管には弁があり逆流を防ぐ
過剰な組織液を血液中に戻す
血液中のタンパク成分量を維持
細菌・ウイルスや異物が血液循環に進入するのを防ぐ
あさひかわ緩和ケア講座 2012
あさひかわ緩和ケア講座 2012
リンパ系の特徴(2)
浮腫の種類
浮腫の種類
3.筋肉ポンプ:筋肉運動や関節運動、マッサー
ジなどで流れが促進(10~20倍)
どの一つが欠けてもリンパ運搬に支障がでる
慢性静脈機能 リンパ浮腫
不全症
4.その他:腹式呼吸、動静脈血流や胃腸運動も
リンパ運搬を補助
全身性浮
腫
種類 概念
原因
特徴
皮下組織に細胞外液
が過剰に貯留
腎での排泄障害、毛 ・急速に拡がる
・両側性浮腫
細血管から間質へ
の体液漏出
・皮膚は柔い、押すと凹む
・治療で浮腫が軽減
静脈還流に関する慢
性的な問題の総称
・下肢静脈瘤や深部
静脈血栓症による還
流不全
・全身性浮腫が長期
にわたる
・足先の浮腫が強い
・静脈瘤や毛細血管の怒張、
擦過傷、下腿潰瘍
・皮膚の硬化・色素沈着
・治療で浮腫は軽減
リンパ管の障害により
皮下組織内に高蛋白
性の液が過剰に貯留
リンパ管の損傷、手
術、外傷、感染
・ゆっくりと拡がる
・片側の浮腫
・角化し、硬化する
・鋭い痛みはない
・完全な消失はできない
あさひかわ緩和ケア講座 2012
あさひかわ緩和ケア講座 2012
リンパ浮腫~定義
浮腫を見分ける
リンパ管の障害があるために、リンパ管によって吸収・
運搬・排除する能力が低下することにより、皮下組織内
に組織間液が過剰にたまった状態
別紙資料1 フローチャート参照
• 原発性(一次性)リンパ浮腫
発症の原因疾患が確定しない~リンパ管の発育不全・
形成不全など
• 続発性(二次性)リンパ浮腫
悪性腫瘍に伴う手術・放射線治療、リンパ管炎、
悪性腫瘍の増悪など
あさひかわ緩和ケア講座 2012
あさひかわ緩和ケア講座 2012
4
リンパ浮腫の臨床分類
リンパ浮腫による影響
期
皮膚の状態と特徴
リンパ管シンチなどでリンパ管の閉塞はあ
るが、臨床的には浮腫がない状態
Ⅰ期
浮腫が軽度で水分が多く、指で押すと圧迫
(可逆期)
痕が残る 安静臥床で浮腫が軽減する
Ⅱ期
浮腫が強く硬くなり、繊維化や脂肪増生で
(不可逆期) 圧迫しても痕が残らず、安静では改善しな
い
Ⅲ期
皮膚が硬さを増して角化がみられ、放置す
(象皮期)
ると潰瘍を形成したり象皮症になる
視覚的
な影響
0期
(潜伏期)
自立性
の低下
セクシャ
リティへ
の影響
自尊心
の低下
リンパ
浮腫
楽しみ・
趣味の
制限
経済的
負担
職場で
の困難
あさひかわ緩和ケア講座 2012
あさひかわ緩和ケア講座 2012
リンパ浮腫の合併症
 蜂窩織炎(発赤・発熱・炎症)
 リンパ漏・・・蜂窩織炎を来しやすい
 象皮症・皮膚硬化・・・感染を起し
やすい
 急性皮膚炎
蜂窩織炎
 白癬・皮膚感染症・・・蜂窩織炎を起しやすい
 色素沈着
 関節機能障害
 褥創・・・感染を起しやすい
リンパ浮腫は炎症をきっかけに悪化しやすい
ケアの立案と看護介入
1.情報収集~疾患の状態、浮腫の原因や状況、
データ(リンパ管造影・エコ-など)、
禁忌の有無、患者の認識など
2.信頼関係~面談、視診、触診、ADL、生活状況、
の構築
ケアへの意欲など
3.ケア効果~ケアによりどこまで浮腫が改善できるか、
の予測
ケアすることで生命に危険を及ぼさないか
あさひかわ緩和ケア講座 2012
あさひかわ緩和ケア講座 2012
ケアの立案と看護介入
4.ケア目標決定・ ~具体的な計画立案
計画立案
5.患者・家族に~ケアの内容と限界を説明・指導、セル
説明
フケア継続の必要性、生活スタイルに
合わせたケアの工夫
6.ケア実施~記録、計測値や写真などのデータ保存
7.ケアの見直し、評価
あさひかわ緩和ケア講座 2012
QOLの
低下!!
複合的理学療法
•
•
•
•
スキンケア
医療徒手リンパドレナージ
圧迫療法
運動療法
※医師の診察を受けてから許可のもとに治療を開始
※知識と技術を習得したセラピストの協力を得る
※症状に合わない弾性圧迫衣の着用や無理な圧迫療
法は、症状悪化や炎症を招く
あさひかわ緩和ケア講座 2012
5
複合的理学療法の禁忌
複合的理学療法
スキンケア
リンパドレナージ
免疫力の低下、皮膚乾燥、
傷などにより感染を起こし
やすいため清潔や保湿を
保つ
患肢に溜まっているリンパ
液を側副路を介して、健
康なリンパ節から深部リン
パ管に誘導する
圧迫療法
運動療法
患肢を外部から適度に
圧迫することで、リンパ
液の再貯留を防ぐ
弾性包帯や弾性圧迫
衣を用いた状態で筋肉
ポンプ作用を促す
原則的禁忌
感染症による急性炎症、心性浮腫・心不
全、深部静脈血栓症、急性静脈炎など
相対的禁忌
悪性疾患(症状緩和として状況に応じて
可能)、高血圧、狭心症、不整脈など
(基本的には禁忌
だが、状況により治
療を行える場合)
局所的禁忌
(治療できるが、局
所的に行ってはい
けない場合)
(頸部)甲状腺機能亢進症、頸動脈洞症
候群、重症な不整脈、頸部の急性疾患
など
(腹部)急性・慢性疾患、開腹手術の既
往、腸閉塞、放射線治療後、大動脈瘤な
ど
あさひかわ緩和ケア講座 2012
あさひかわ緩和ケア講座 2012
リンパドレナージ
スキンケア
1.皮膚の清潔を保つ
弱酸性~中性の洗浄剤、愛護的な洗浄、擦らない
2.皮膚の乾燥を防ぐ
保湿剤塗布による皮膚保護
3.皮膚の損傷をまねく行為は避ける
採血や血圧測定、粘着・医療用テープ、虫さされ、
日焼け、カミソリなどを避ける。ペットによる掻き傷に
注意
方向:流したい方向のリンパ節にむかって行う
圧力:優しく撫でるくらいの軽い圧で行う
手のひらを皮膚に密着させ、ゆっくりと伸張させる
速度:2~3秒間に1回程度
セルフケア指導が大事!!
あさひかわ緩和ケア講座 2012
リンパドレナージ
あさひかわ緩和ケア講座 2012
リンパドレナージ手技
静止クライス
指もしくは手掌全体で皮膚に接触し、
皮膚と皮下部分に円運動を加える手
技(身体のいたる部分に用いることが
出来る)
ポンプ手技
母指と示指の間の部分を排液方向に
向けて置き、手掌全体で圧を加える手
技(主に四肢や乳房に用いられる)
あさひかわ緩和ケア講座 2012
あさひかわ緩和ケア講座 2012
6
リンパドレナージ手技
シェップ手技
リンパドレナージ注意点
•
•
•
•
•
•
•
四肢後面を手掌全体で交互にすくう
ような手技(主に前腕・下腿に用いる)
ドレ一手技
手掌全体を体表に接触させ、適度に
圧をかけながら前方へ柔らかく皮膚
を動かす手技(主に体幹部など広い
面のところに用いる)
もまない
さすらない
たたかない
強すぎない
痛くない
早くなりすぎない
手をまわすことにこだわらない
あさひかわ緩和ケア講座 2012
リンパドレナージ~前処置
1.両肩後ろ回し、または両上肢の上下運動
(静脈角の流れを促す)
2.腹部マッサージ、または腹式呼吸
(乳び槽に流入するリンパの流れを促す)
3.健康なリンパ節のマッサージ
(リンパ液を流す時に、受け入れ先となるリンパ節を
刺激しておく)
4.患肢と健康な主要リンパ節を結ぶ体幹のマッサー
ジ
(主要リンパ連絡路を刺激する)
あさひかわ緩和ケア講座 2012
リンパドレナージ~具体例
• 別紙資料 2.左上肢リンパ浮腫、
3.左下肢リンパ浮腫 参照
・ DVD視聴
あさひかわ緩和ケア講座 2012
圧迫療法
あさひかわ緩和ケア講座 2012
運動療法
複合的理学療法の中で、最も効果的
• 弾性圧迫包帯
• 弾性圧迫衣
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7
悪性リンパ浮腫
緩和ケア領域でのリンパ浮腫
• 悪性腫瘍の進行や再発・転移に伴うリンパ浮
腫をいう
• がん細胞がリンパ管内に浸潤したり、再発・
転移したリンパ節や腫瘍がリンパ管を直接圧
迫閉塞し、浮腫の増悪を招く
• 静脈を圧迫・閉塞すれば静脈うっ滞による浮
腫も出現や、がん性胸膜炎・腹膜炎を合併す
れば胸腹水も出現し、コントロールは困難に
なる
「リンパドレナージを受けると気持が良い」
しかし
• 施術後間もなく腫脹したり、体液の移動が
腫瘍浸潤部を刺激し、不快感を感じる
• 胸水や腹水が貯留している場合は、呼吸困難
や腹満感をさらに感じる
⇒リンパドレナージや圧迫療法は負担がかかる
あさひかわ緩和ケア講座 2012
あさひかわ緩和ケア講座 2012
症例
緩和ケア領域でのリンパ浮腫
• 30歳代 女性
胃がん(リンパ節切除後) がん性腹膜炎
• 目標
QOLの維持・向上と合併症の予防
1.苦痛になることは行わない
2.スキンケアとタッチング程度の軽いドレナージ
と圧迫治療(刺激や圧迫力の少ない包帯)が
中心
3.心地良さの提供、傍にいてくれるという感覚
あさひかわ緩和ケア講座 2012
行ったケア
・スキンケア(保湿・外傷予防)
・安楽な体位の確保
・ドレナージのリスクを説明し、ケアプラ
ンを作成
・刺激の少ない柔らかいマッサージ
・スキンケアと外果部周囲のほぐし
手技を中心
・死亡後に最期のマッサージ
⇒ おだやかな柔らかい表情へ変化
あさひかわ緩和ケア講座 2012
Take Home Message!
Take Home Message!
 口腔ケアの基本はセルフケアである。セルフケアが
適切に行われるように支援を行う必要がある。
 適切なリンパ浮腫治療を行うためには、解剖・生理
から発生のメカニズムまで正しい知識を習得し、個々
の病態に即した治療法を選択しなければならない
 緩和領域でのリンパ浮腫は、循環不全や低蛋白血
症などによる浮腫と混在しやすく、両方の浮腫に対
応することが必要となる
 緩和ケア領域でのリンパ浮腫ケアは、心地良さとケ
アされているという安心感、人とのつながりを実感で
きるケアであり、また最期まで提供可能なケアである
 患者の「食べる」楽しみや「話す」楽しみにつなげる
ために、口腔内環境を整える必要がある
 口腔ケアは一つの単なるケアではなく、生きること
の尊厳を支援するケアである
 リンパ浮腫治療を行うには、複合的理学療法と日常
生活指導を加えた複合的治療が標準治療である
あさひかわ緩和ケア講座
2012
あさひかわ緩和ケア講座 2012
あさひかわ緩和ケア講座
2012
あさひかわ緩和ケア講座 2012
8
リンパ浮腫指導管理料
リンパ浮腫診療ガイドライン
診療報酬改定 100点/回
リンパ浮腫診療ガイドライン作成委員会(2008)
1.病院に入院中の患者で、子宮悪性腫瘍、子宮付属器悪性腫瘍、
前立腺悪性腫瘍または腋窩部郭清を伴う乳腺悪性腫瘍に対する
手術を行ったものに対し、手術を行った月、またはその前月もしく
は翌月のいずれかに、リンパ浮腫に対する適切な指導を実施した
場合に、1回限り算定できる
2.当該保険医療機関入院中にリンパ浮腫指導管理料を算定した
患者であって、当該保険医療機関を退院したものに対して、当該
保険医療機関において、退院した日の属する月またはその翌月
にリンパ浮腫の重症化等を抑制するための指導を再度実施した
場合に、1回に限り算定する。
・リンパ浮腫重篤化予防の弾性着衣の購入費用は、療養費払い
の対象
クリニカルクエスチョン
推奨グ
レード
1.リンパ浮腫に弾性着衣による圧迫療法を行った場合、行わなかっ
た場合と比べてリンパ浮腫を軽減させるか
C
2.リンパ浮腫に多層包帯法を行った場合、行わなかった場合と比べ
てリンパ浮腫を軽減させるか
C
3.リンパ浮腫に対するリンパドレナージを行った場合、行わなかった
場合と比べてリンパ浮腫を軽減させるか
C
4.リンパ浮腫患者に間欠的空気圧ポンプを行った場合、行わなかっ
た場合と比べてリンパ浮腫が減少するか
D
5.リンパ浮腫患者に対して運動療法を行った場合、行わなかった場
合と比べて治療効果が良好か
D
6.リンパ浮腫患者に対する肥満の評価は有用か
C
あさひかわ緩和ケア講座 2012
参考文献
リンパ浮腫診療ガイドライン
リンパ浮腫診療ガイドライン作成委員会(2008)
クリニカルクエスチョン
あさひかわ緩和ケア講座 2012
推奨グ
レード
7.リンパ節切除後の蜂窩織炎は、リンパ浮腫の発症増悪の危険
因子となるか
B
8.リンパ浮腫患者に対する心理社会的介入を行った場合、行わな
かった場合と比べて患者のQOLを改善するか
D
9.リンパ浮腫患者に薬物療法を行った場合、行わなかった場合と
比べてリンパ浮腫の軽減に有効か
E
10.リンパ浮腫患者に外科治療を行った場合、行わなかった場合と
比べてリンパ浮腫の改善に有効か
D
11.リンパ浮腫患者に複合的治療(弾性着衣、弾性包帯、MLD、運
動、スキンケア)以外の治療を行った場合、行わなかった場合と
比べてリンパ浮腫の改善に有効か
D
あさひかわ緩和ケア講座 2012
1.神津三佳:口腔内と口唇のケア,がん看護14(7),772‐776,南江堂,東京,2009
2.篠原明子・有賀悦子:終末期における口腔ケアの重要性,臨床養,113(5),2008
3.OPTIM ステップ緩和ケア
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4.柿木保明・山田静子編著:看護で役立つ口腔乾燥と口腔ケア,医歯薬出版,東
京,2007
5.岸本裕充:ナースのための口腔ケア実践テクニック,照林社,東京,2008
6.門田和気・戸谷美紀他編:がん患者の消化器症状マネジメント,がん看護13(2)
増刊号,98‐114,南江堂,東京,2008
7.太田洋二郎他:根拠がわかる口腔ケア,がん看護15(5),南江堂,東京,2010
8.佐藤佳代子:リンパ浮腫治療のセルフケア,文光堂,東京,2008
9.小川佳宏・佐藤佳代子:リンパ浮腫の治療とケア,医学書院,東京,2007
10.西川史江:口腔乾燥,がん看護13(2),増刊号,南江堂,東京,2008
11.川地香奈子:味覚異常,がん看護13(2),増刊号,南江堂,東京,2008
あさひかわ緩和ケア講座 2012
参考文献
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京,2008
14.北村 薫他:基礎から最新知識まで最前線のリンパ浮腫ケア36(7),臨床
看護,へるす出版,東京,2010
15.増島麻里子他:リンパ浮腫ケア,がん看護13(7),南江堂,東京,2008
16.リンパ浮腫診療ガイドライン作成委員会編:リンパ腫診療ガイドライン
2008年度版,金原出版株式会社,東京,2009
あさひかわ緩和ケア講座 2012
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