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小5 国語科 「作品を自分なりに捉え、朗読しよう」
H24授業のエキスパート養成事業 小5 国語科 「作品を自分なりに捉え、朗読しよう」 《本単元で重点を置く指導事項》 ● 自分の思いや考えが伝わるように音読や朗読をすること。(読むこと ア) ● 目的に応じて、複数の本や文章などを比べて読むこと。(読むこと カ) 《主な言語活動》 ● 自分の好きな作品について、工夫して朗読すること。 《単元の主なねらい》 ○ 椋鳩十の複数の作品を読み、選んだ作品について、自分の思いや考えを生かして朗読しようとす る。 ○ 作者のメッセージが強く感じられる表現を取り上げ、自分の思いや考えが伝わるように朗読をす る。 ○ 椋鳩十の作品を繰り返し読む中で、作者の言葉の使い方について関心をもつ。 《単元の学習活動》 第一次(9月上旬) ◇ 椋鳩十作品を知り、並行読書に目を向ける。 ◇ 本単元の見通しをもつとともに、「朗読」について知り、学習課題を設定する。 ◇ 読み取りたいこと、疑問に思うこと、みんなで考えたいことなどを出し合い「大造じいさんと ガン」についての自主学習問題「5花オリジナル問題集」を作成する。 <インターバル> ◇ 家庭学習及び休憩時間を利用したクイズ形式の学習に取り組む。 ◇ 他の単元の学習を進める中で、「5花オリジナル問題集」を用いた自主学習の進行状況を確認 し、児童の意欲を高めるよう働き掛ける。 第二次(10 月下旬) ◇ 作品の構成と内容について確認し、「大造じいさんとガン」が大造じいさんの気持ちに寄り添 って書かれたものであることを理解する。 ◇ 「情景描写」と心情の関係について考えながら読み進め、大造じいさんの残雪に対する見方の 変化を読み取る。(「5花オリジナル問題集」の活用) ◇ 自分が好きな場面の朗読の仕方を考え、グループで練習する。 ◇ 朗読を発表し、感想を伝え合う。 第三次(11 月上旬) ◇ 「大造じいさんとガン」を含めた「椋鳩十作品」の中から「お気に入りの一冊」を選び、自分 の思いや考えを伝えられるように、工夫して朗読の練習をする。 ◇ 「朗読発表会」を行う。 ◇ 「情景描写」についての習熟の状況を知る評価問題に取り組む。 授業改善のポイント 本単元では、自分の思いや考えが伝わるように朗読する力を育成するために、多数の作品から自分 の好きな作品を選び、友達や読み聞かせボランティアと関わりながら、工夫して朗読する活動を取り 入れた。 ○ 徹底した読みを経験させるため、多数の本の並行読書に取り組ませた。(「椋鳩十さん本の旅」) ・ 本を手に取ってみたいと思わせる展示の工夫 ・ 「読書郵便」や「ポップ」で本を紹介する活動(書写の時間) ・ 椋鳩十作品チェックリストの活用 ○ 第一次から第二次の間に、1か月半のインターバル期間を設け、第一次で作成した「5花オリジ ナル問題集」を基に、家庭学習及び休憩時間を利用したクイズ形式の学習に取り組ませた。 ○ よみっこさん(読み聞かせボランティア)とともに「出前朗読ライブ」を行うという場を設定し、 班で協力して朗読練習に取り組ませた。 -1- 参考1 <「徹底した読み」を経験させるための手立て」∼「椋鳩十さん本の旅」∼> 9月上旬、学校図書館、西予市民図書館、愛媛県立図書館から集めた椋鳩十の本を子どもたちに 紹介した。どっぷりと椋鳩十ワールドに浸らせ、「徹底した読み」を経験させたいと考えた。 以来2か月間、チェックリストを作って読んだ本を確認したり、友達に紹介し合ったりして、児 童は、これらの作品を意欲的に読み広げていった。 75 冊読んだ児童が最高であった。また、平均は 38 冊であった。 参考2 <教材文を自ら進んで読ませるための手立て∼インターバル期間の自主学習問題づくり∼> 第一次の学習で、読み取りたいこと、疑問に思うこと、 みんなで考えたいことなどを出し合い、「大造じいさんと ガン」についての「5花オリジナル問題集」を作成した。 A【大造じいさんについて】が 21 問、B【残雪について】 が 20 問、C【大造じいさんと残雪の関係】が 35 問、D【そ の他】が 31 問。第二次が始まるまでの1か月半をインター バル期間として位置付け、自主学習として 107 問の問題に 取り組んだ。 自分たちの「?」や「!」を読みの視点としたことで、 問題を解きたくて、家で何度も何度も読み、自分なりの答 えを導き出そうとしていた。やらされる宿題ではなく、解 きたくなる問題、そのために読みたくなる教材文となった。 参考3 <思いや考えを伝え合う楽しさを味わわせる手立て∼「問題集」から「バトルゲーム」へ∼> 「5花オリジナル問題集」を基に、家庭 学習及び休憩時間を利用したクイズ形式 の学習(1対1で、設定した時間内で「質 問→解答」を繰り返す。)に取り組ませた。 子どもたちは「残雪バトルゲーム」と名 付け、問題を出したり答えたりすることを 楽しみ、本学級児童の弱点であった「自分 の思いや考えを自分の言葉で伝え合う」力 の育成につながった。また、友達と関わる 楽しさ、意見を戦わせる楽しさを味わいな がら、立ちどまって読もう、こだわって読 もうとすることもでき始めた。 -2- 参考4 〈並行読書を授業に結び付けていくための手立て∼大きな本づくり∼〉 並行読書を始めて1か月経った頃、児童に「お 気に入りの本」を聞くと、①「山の太郎グマ」、 ②「金色のあしあと」、③「マヤの一生」、④「三 本足のイタチ」、⑤「黒ものがたり」、⑥「片耳 の大シカ」、⑦「栗野岳のぬし」の順で人気が高 いことが分かった。③の「マヤの一生」はあまり に長かったため、代わりに「ツルのおどり」を入 れて、「大造じいさんとガン」を含めた8作品を 「共通図書」とし、これらを全員に読ませること にした。そこで、全作品をパソコンで打ち、ボー ドに貼って、「大きな本」を作り、複数で読める ようにした。ボードは、その後の朗読練習や発表 の際にも活用した。 参考5 <自分たちの手で課題を発見し、解決させるための手立て∼「みんなで見つけた朗読のコツ」∼> 一人一人異なるワークシートを用意 した。 上段には、朗読発表会で自分が読むパ ートを書き込んだあと、自分で工夫する 点を考えて、線を引いたり印を付けたり していった。 下段には、「みんなで見つけた朗読の コツ」が書かれている。これがベースに なり、日に日に「コツ」が増えていった。 朗読の技法を教え込むのではなく、自 分たちでポイントを発見するよう促し たことで、児童は、様々なポイントを意 識するようになった。児童同士がアドバ イスをし合う際にも、共通のものさしが できた。 参考6 <朗読意欲を高めるための手立て∼読み聞かせボランティア(よみっこさん)とのコラボ∼> 本校では毎週火曜日の朝、15 分間を 「よみっこタイム」として、読み聞かせ ボランティアの方(よみっこさん)に全 学級に入っていただいている。 今回の授業では、そのよみっこさんと ともに、他学級の教室に出向き、「出前 朗読ライブ」を行うという企画を取り入 れた。これにより、児童の意欲を高める ことができた。 8名のよみっこさんに授業に入って いただき、随所で、的確なアドバイスを していただいた。児童は、よみっこさん に温かく見守られ、工夫して朗読練習に 取り組むことができた。 -3- <参考> 並行読書「椋鳩十さん本の旅」で使用した図書 ∼学校図書館、西予市民図書館、愛媛県立図書館の蔵書より∼ ○小さい小さいこいものがたり ○はずかしかったものがたり ○いたずらわんぱくものがたり ○ほらふきうそつきものがたり ○フォア文庫 ねしょんべんものがたり ○フォア文庫 ほらふきうそつきものがたり ○フォア文庫 いたずらわんぱくものがたり ○日本の動物記シリーズ紙芝居 かわうそ ○日本の動物記シリーズ紙芝居 おうむのしろちゃん ねこのしろちゃん ○山の民とイノシシ (以上、童心社) ○椋鳩十の名犬物語 ○椋鳩十の愛犬物語 ○椋鳩十の野犬物語 ○椋鳩十のネコ物語 ○椋鳩十のクマ物語 ○椋鳩十のキツネ物語 ○椋鳩十のシカ物語 ○椋鳩十のサル物語 ○椋鳩十のイノシシ物語 ○椋鳩十の小動物物語 ○椋鳩十の野鳥物語 ○椋鳩十の小鳥物語 ○画文集 太陽の匂い ○椋鳩十の動物アニメ絵本① 少年 むくはとじゅう物語 ○椋鳩十の動物アニメ絵本② 金色の足あと ○椋鳩十の動物アニメ絵本③ 山の大将 ○椋鳩十の動物アニメ絵本④ 片耳の大シカ ○椋鳩十の動物アニメ絵本⑤ 山へ帰る ○椋鳩十の動物アニメ絵本⑥ 山の太郎グマ ○椋鳩十の動物アニメ絵本⑦ 黒いギャング ○椋鳩十の動物アニメ絵本⑧ 白いサメ ○椋鳩十の動物アニメ絵本⑨ カワウソの海 ○1年生のどうわ① ぷりぷりぼうのおこりんぼう ○1年生のどうわ② へびとおしっこ ○1年生のどうわ③ お月さまの見たどうぶつえん ○2年生のどうわ① ひとりぼっちのつる ○2年生のどうわ② じねずみの親子 ○2年生のどうわ③ 森のばけもの ○3年生のどうわ① 母ぐま子ぐま ○3年生のどうわ② ほうまん池のかっぱ ○4年生のどうわ① 大造じいさんとガン ○4年生のどうわ② 片耳の大しか ○アニメ絵本 むくはとじゅうの名犬物語 ○ アルプス動物記1《 く ろ い 星 》 よ ! = 山 の 大 将 ○アルプス動物記2 この愛のめざめ=野生の谷間・第1部 ○アルプス動物記3 王国に生きる=野生の谷間・第2部 ○アルプス動物記4 よみがえる愛=野生の谷間・第3部 ○アルプス動物記5 えらい奴だ=山の太郎グマ ○アルプス動物記6 猟犬ものがたり=アルプスの猛犬 ○アルプス動物記7 空の王者たち=アルプスのワシ ○ アルプス動物記8 谷 間 の け も の み ち = 金 色 の 足 あ と ○アルプス動物記9 ヤタギツネのおや子=アルプスの四季 ○アルプス動物記10 わが心のアルプス=懐かしい村の想い出(以 上 、 理 論 社 ) ○ 椋鳩十えぶんこ1 な き む し た ろ う ○ 椋 鳩 十 え ぶ ん こ 2 ど ん ぞ か ん べ ん ○椋鳩十えぶんこ3 片耳の大シカ ○椋鳩十えぶんこ4 金色の川 ○椋鳩十えぶんこ5 ゾウのたび ○椋鳩十えぶんこ6 月の輪グマ ○椋鳩十えぶんこ7 三ぼん足のイタチ ○椋鳩十えぶんこ8 大造じいさんとガン ○椋鳩十えぶんこ9 ちょこまかギツネ なきギツネ ○椋鳩十えぶんこ10 金色の足あと ○椋鳩十えぶんこ11 母グマ子グマ ○椋鳩十えぶんこ12 アルプスのキジ ○椋鳩十えぶんこ13 山の太郎グマ ○椋鳩十えぶんこ14 栗野岳のぬし ○椋鳩十えぶんこ15 黒ものがたり ○椋鳩十えぶんこ16 モグラものがたり ○椋鳩十えぶんこ17 森の王者 ○椋鳩十えぶんこ18 片足の母スズメ ○椋鳩十えぶんこ19 やねうらのネコ ○椋鳩十えぶんこ20 愛犬カヤ ○椋鳩十えぶんこ21 山へかえる ○椋鳩十えぶんこ22 はねのある友だち ○椋鳩十えぶんこ23 カイムのいずみ ○椋鳩十えぶんこ24 デデッポ ○イノシシの谷 ○人間・出会いのすばらしさ ○感動は心の扉をひらく ○るり寺ものがたり ○椋鳩十・梶山俊夫ものがたり絵本1 におい山脈 ○椋鳩十・梶山俊夫ものがたり絵本2 お日さまのうた ○椋鳩十・梶山俊夫ものがたり絵本3 日がくれる ○椋鳩十・梶山俊夫ものがたり絵本4 山の子ども ○どうぞかんべん ○三ぼんあしのいたち ○イタチのまち ○もりのなかのシカ ○アルプスのくま ○ピョンのうた(以上、あすなろ書房) ○椋鳩十動物童話集第1巻 片耳の大シカ ○椋鳩十動物童話集第2巻 月の輪グマ ○椋鳩十動物童話集第3巻 きえたキツネ ○椋鳩十動物童話集第4巻 栗野岳の主 ○椋鳩十動物童話集第5巻 屋根うらのネコ -4- ○椋鳩十動物童話集第6巻 大造じいさんとガン ○椋鳩十動物童話集第7巻 子ザルひよし ○椋鳩十動物童話集第8巻 金色の足あと ○椋鳩十動物童話集第9巻 カモの友情 ○椋鳩十動物童話集第10巻 たたかうカモシカ ○椋鳩十動物童話集第11巻 ツルのおどり ○椋鳩十動物童話集第12巻 三日月とタヌキ ○椋鳩十動物童話集第13巻 おかの野犬 ○椋鳩十動物童話集第14巻 太郎とクロ ○椋鳩十動物童話集第15巻 やせ牛物語 ( 以 上 、小 峰 書 店 ) ○月の輪グマ ○子ジカのホシタロウ ○金色のあしあと ○黄金の島 ○読書の時間によむ本 小学5年生 ○読書の時間によむ本 小学6年生 ○クロのひみつ ○マヤの一生 ○子グマのくろすけ ○子ギツネのおかあさん ○子だぬきと子ねこ ○のうさぎのおかあさん ○キリンの詩 ○白い鳥 ○けむり仙人 ○海上アルプス ○ポプラ社文庫A4 月の輪グマ ○ポプラ社文庫A5 片耳の大シカ ○ポプラ社文庫A6 山の大将 ○ポプラ社文庫A7 アルプスの猛犬 ○ポプラ社文庫A8 白いオウム ○ポプラ社文庫A9 大空に生きる ○ポプラ社文庫A10 孤島の野犬 ○ポプラ社文庫A11 たたかうカモシカ ○ポプラ社文庫A13 ひとりぼっちのツル ○ポプラ社文庫A15 自然の中で ○ポプラ社文庫A16 日高山伏物語 ○椋鳩十全集21 海上アルプス ○ヤマネコと水牛の島(以上、ポプラ社) ○大造じいさんとガン ○新版子ども図書館 マヤの一生 ○アニメ版 マヤの一生 ○ふしぎな玉 ( 以 上 、大 日 本 図 書 ) ○人間はすばらしい ○ネズミ島物語 ○山のぬし ○森の少女 ( 以 上 、偕 成 社 ) ○愛蔵版県別ふるさと童話館20 長野の童話 ○愛蔵版県別ふるさと童話館46 鹿児島の童話 ( 以 上 、リ ブ リ オ 出 版 ) ○椋鳩十 未刊行作品集〈上〉 ○椋鳩十 未刊行作品集〈下〉 (以上、一草舎) ○命ということ心ということ ○自然と人間のものがたり②犬のくんしょう ( 以 上 、家 の 光 協 会 ) ○カラスのクロと花子 ○ゆかいなばけくらべ ( 以 上 、ひ く ま の 出 版 ) ○新日本動物植物えほん⑪ とかげのしっぽ(新日本出版社) ○りかとねこのアン(秋書房) ○ガラッパ大王(岩崎書店) ○カガミジシ(講談社) ○ヤクザル大王(南方新社) ○すっとびこぞうとふしぎなくに(金の星社) ○ガラッパとススキの矢(西日本図書館コンサルタント協会) ○ほうまんの池のカッパ(銀河社) ○「戦争と平和」子ども文学館11(日本図書センター) ○不思議なビン(新学社) ○チビザル兄弟(学研) ○石になってしまったあ(国土社) ○はらっぱのおはなし(PHP研究所) ○白いなみ白いなみイルカが行く(フレーベル館) ○おしどりものがたり−ひなをまもるたたかい−(小学館) -5-