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1. 軟X線大規模構造の起源について 2. Cygnus Superbubble
SSCの成果 2014-05-27 All-sky soft X-ray emission symposium @ Riken 木村 公 (JAXA)and SSC team 1. 軟X線大規模構造の起源について 2. Cygnus Superbubbleについて 3. Loop-Iについて 軟X線で見た宇宙(ROSAT) Red:0.1-0.4keV Green:0.5-0.9keV Blue:0.9-2.0keV 軟X線大規模構造の起源 • 超新星残骸(Supernova Remnant, SNR) • 連続超新星爆発(Sequential SN) • 星風(Stellar Wind) • 極超新星爆発(Hypernova) 超新星爆発 超新星爆発:Supernova explosion NGC4526銀河 星が一生の最期に起こす大爆発 → 銀河1つ分に匹敵する明るさ ←SN1994D 伴星 ① Ia型超新星 M = 3 8太陽質量→ C+O白色矮星 爆発的核融合 核反応エネルギー: 1051 ergs 白色矮星 ② 重力崩壊型超新星(II/Ib/Ic型) M > 8太陽質量→ タマネギ状構造 Feコアの光分解 重力崩壊 重力エネルギー: 1053 ergs (neutrino : kinetic = 99% : 1%) → 1051 ergs 超新星残骸 • 超新星残骸(Supernova Remnant, SNR) • 爆発噴出物が衝撃波を形成し、星間物質をかき集めながら膨張し、運 動エネルギーの一部が熱エネルギーに変換される。 • • 数千万度のプラズマとなり、爆発後、数万年間X線で光る • 最終的な大きさは周りの密度にもよるが、数十pc程度 一発の爆発のエネルギーが1051erg程度でその1%程度が熱エネルギー として観測できる。 ∼2.5pc,約350年前 カシオペアA ∼15pc, 約1万年前 シグナスループ スーパーバブル/風 • 数10-100 pc scale の大規模なHII shell。 • O型星やB型星の集まりである、OB associationからの星風 and/or 連続超新星爆発により、周りの星間物質がかき集め られ、SNRより大きな構造を形成する。 50pc • LMC内での観測データ多い。 • 高銀緯 • 距離が既知なので正確なサイズが求まる。 • 従来のX線天文衛星の視野に収まる。 • Thermal Energyは 10 ergs程度。 51 N70 (Hα)@LMC 極超新星爆発 • 一つの星が通常のSNより100-1000倍のエネルギー で爆発を起こす現象。 Paczynsky(1998) • 現在までの観測例は10件以下。ガンマ線バースト との関連も指摘されている(観測件数2件) • いままでのHypernovaの観測から、爆発のタイプ はIb又はIc型の爆発でおこる事がわかっている。 • 観測されたlb/lcの5%程度がHypernovaで我々の 銀河でHypernovaが起こる確率は105-106年に一 回程度(Podsiadlowski et al) 軟X線大規模構造の謎 • 距離がはっきりわかっていない • 近くにあるSNR / 遠くにある巨大な構造 emissionの位置や形は明 • ROSATの観測により、diffuse 確にわかった。ただし、ROSATのスペクトル分解能では 元素からの輝線は見えない • 熱的/非熱的スペクトル • 正確な温度 • 元素組成比 • 従来のX線天文衛星(Suzakuなど)は集光能力はすばら しいが、10 以上広がった構造の観測には向いていない。 → XIS程度の輝線分解能で全天を観測したい!! MAXI/SSC All Sky Map 赤:0.7-1.7keV、緑:1.7-4.0keV、青:4.0-7.0keV 二年半分のデータを使用、銀河座標 MAXI/SSC All Sky Map 赤:0.7-1.7keV、点源を除去 二年半分のデータを使用、銀河座標 MAXI/SSC All Sky Map 赤:0.7-1.7keV、点源を除去 二年半分のデータを使用、銀河座標 Cygnus Superbubble (CSB) • 10 X線観測(HEAO-1)で発見された、大きなシェ ル型の構造、他波長ではこのシェル型に相関する Cyg X-1 Cyg X-3 Cyg Loop Cyg X-2 構造は見えていない。 • 中に数々のOB associationがあり構造は複雑。 • 大きさが非常に大きく、従来のX線観測衛星では 全体像を把握するのは難しい 赤:0.7-1.7keV 緑:1.7-4.0keV 青:4.0-7.0keV • ROSATとSSCのデータを使う事で、CSB の起源を探る。 過去の観測 最初に発見されたHEAO-Iの結果では、 熱的スペクトルを仮定し、 温度 =0.17keV。 星間吸収が、Cygnus Loop(距 離:800pc) より数倍高かった。また、 Cyg X-2 距離2kpcにCyg OB2があることな Cyg X-1 G65.2+5.7どから、Cygnus Superbubbleまで の距離を2kpcと決め、 電子密度= Cygnus Loop 0.02/cc、Thermal Energy = HEAO-Iの観測結果 51 ergsと決めた。 6 10 0.5-1.0keV (Cash et al. 1980) North East 1-3kpc Cyg X <5kpc ROSATでの観測 Uyaniker et al.らはROSATで得ら れたイメージと電波での観測、及び、 近傍のOB associationの分布を比 East 10 較し、Cygnus Superbubbleが一 つの構造ではなく、距離の違う幾つ S-Arc1 >1-3kpc S-Arc2 <1-3kpc ROSAT PSPC 0.5-1.2keV Region name and distance by Uyaniker et al. かの構造であると主張した。 それぞれの領域は1-5kpc程度の間 に分布し、それぞれ別のOB association起源の星風などから形 成された。 North East 1-3kpc Cyg X <5kpc ROSATでの観測 Uyaniker et al.らはROSATで得ら れたイメージと電波での観測、及び、 近傍のOB associationの分布を比 East 10 較し、Cygnus Superbubbleが一 つの構造ではなく、距離の違う幾つ S-Arc1 >1-3kpc S-Arc2 <1-3kpc ROSAT PSPC 0.5-1.2keV Region name and distance by Uyaniker et al. かの構造であると主張した。 それぞれの領域は1-5kpc程度の間 に分布し、それぞれ別のOB association起源の星風などから形 成された。 North East 1-3kpc Cyg X <5kpc ROSATでの観測 Uyaniker et al.らはROSATで得ら れたイメージと電波での観測、及び、 近傍のOB associationの分布を比 East 10 較し、Cygnus Superbubbleが一 つの構造ではなく、距離の違う幾つ S-Arc1 >1-3kpc S-Arc2 <1-3kpc ROSAT PSPC 0.5-1.2keV Region name and distance by Uyaniker et al. かの構造であると主張した。 それぞれの領域は1-5kpc程度の間 に分布し、それぞれ別のOB association起源の星風などから形 成された。 いままでの観測では、Cygnus Superbbleからの放射が 熱的であるか、またその元素組成などはわかっていない SSC Spectrum Background 白いドーナッツ上の領域から スペクトルを作成 SSC Spectrum Ne Fe 白いドーナッツ上の領域から スペクトルを作成 Mg SSC Spectrum Ne Fe Mg 白いドーナッツ上の領域から スペクトルを作成 Cygnus Superbubbleから輝線が初めて確認され、 熱的な放射である事がわかった。 SSC&ROSATの同時フィット Local Hot bubble ROSAT CSB CXB SSC ROSATのスペクトルは分解 能が悪く、輝線は見えない ROSATのデータにはLHBと CXBをバックグランドモデル として入れている。SSCはそ れらのバックグランドは差し 引かれている。 Model:星間吸収 衝突電離平衡プラズマモデル(APECモデル) NH:(0.30 0.01) 1022cm-2 kT:0.228 0.007keV 元素組成比:0.26 0.1 CSBの詳細な NHと 元素組成比 が決まった。 領域別の解析 N 10 CSBまでの吸収 Full galactic N 10 温度(keV) Cyg X 0.27 0.04 0.8 0.21 0.03 East 0.28 0.03 0.9 0.23 0.03 NorthEast 0.33 0.03 0.8 0.20 0.02 S-Arc1 0.23 0.03 0.5 0.22 0.02 S-Arc2 0.23 0.03 0.4 0.22 0.02 銀河内でおこる吸収(電波観測) どの領域でも温度や吸収に大差が無い事がわかった。 Discussion •Cyg X, East, North EastのNHは誤差の範囲で一致して いる。この領域での銀河吸収は∼0.8 1022cm-2。SArc1,2は20%ほど低い値がでたが、銀河吸収は∼0.5 1022cm-2。同じ距離にあると考えても問題ない。 ! •NH = 0.2 1022cm-2は Yoshida et al. (2011)らが SuzakuでCyg OB2内の星を観測した、 NH = 0.2-0.4 1022cm-2という値と一致するため、CSBはCyg OB2付 近(距離:1.7kpc)にあると考えられる。 Discussion(2) •CSBまでの、距離を1.7kpcとすると、半径=330pcとなる。 •CSBの形をトーラス(ドーナッツ)と仮定すると、体積が求まる。 •モデルフィットからEmission Measure( nHnedl)がわかっているた め、体積を仮定すると、電子密度が求まる。 電子密度= 0.02個/cc、質量=6700M◎ Thermal energy= 9 1051 ergs このエネルギー量からCSBの起源を 探っていく。候補としては 超新星爆発 ->エネルギー的に 星風 連続超新星爆発 極超新星爆発 • • • • 星風説 10 CSB付近にはいくつものOBアソシ エーションがあるが、Cygnus OB2 からの星風が一番強い。 ! Cyg OB2はCSBの中心部から離れ ており、星の平均速度はも10.3km/ s(Kiminki et al.) →3Myrで30pc→ 約1 でやはりoff center Cygnus領域のOB assoc.の分布(実線) ROSATのデータ(コントア) Cyg OB2からの星風でCSBが 形成されたとは考えにくい。 連続SN説/極超新星爆発説 • 一般的なSNRで観測できるThermal Energyは∼1049ergsで観測 できる爆発エネルギーは∼1051ergs。爆発エネルギーの約1%が Thermal Energyとして観測できる。 (Tsunemi et al. 2004)。 • これをCSBに当てはめると、爆発エネルギーは1054ergs • • • 通常のSNe1000個分もしくは Paczynsky(1998)らのHypernovaの爆発エネルギーと一致。 連続SNR説では0.2Myrに一回程度SNが起こる(Tomisaka et al. 1981) 千個のSNeを起こすには200Myrかかる。 • 2Myrの間に10個のSNeを起こしたシュミレーション (Tenario-Tagle et al.)によると0.05-2kevの温度分布を 持った構造が期待される。 連続SN説/極超新星爆発説 • 一般的なSNRで観測できるThermal Energyは∼1049ergsで観測 できる爆発エネルギーは∼1051ergs。爆発エネルギーの約1%が Thermal Energyとして観測できる。 (Tsunemi et al. 2004)。 • これをCSBに当てはめると、爆発エネルギーは1054ergs • • • 通常のSNe1000個分もしくは Paczynsky(1998)らのHypernovaの爆発エネルギーと一致。 連続SNR説では0.2Myrに一回程度SNが起こる(Tomisaka et al. 1981) 千個のSNeを起こすには200Myrかかる。 • 2Myrの間に10個のSNeを起こしたシュミレーション (Tenario-Tagle et al.)によると0.05-2kevの温度分布を 持った構造が期待される。 Hypernova説が一番現実的 まとめ • MAXI/SSCで観測した、広がった構造の一つである、CSBを 詳細解析をした所、Fe, Ne, Mgからの輝線がみつかり、熱的 な放射であることが初めてわかった。 • CSBのThermal EnergyはCyg OB2の2-3Myr相当であること がわかったが、Cyg OB2はCSBの中心にはなく、CSBを形成 したとは考えにくい事がわかった。 • CSBのThermal Energyから爆発エネルギーを推定すると、 Hypernovaの爆発エネルギーとよく一致することがわかった。 • CSBはHypernovaを起こした、一つの星の爆発で形成された Hypernova remnantだと言える。 MAXI/SSC All Sky Map 赤:0.7-1.7keV、点源を除去 二年半分のデータを使用、銀河座標 MAXI/SSC All Sky Map 赤:0.7-1.7keV、点源を除去 二年半分のデータを使用、銀河座標 巨大構造の起源 • 近傍( 100pc)SNR説 • 構造中心付近にあるSco-Cen association ( 170pc) か らの星風+SNで形成された。(Egger et al. 1995) • 銀河中心起源説 (Sofue et al. 2000, Su et al 2010) • 構造は銀河中心の過去の活動によるもの。 過去の観測 XIS 田原+片岡, XMM-Newton Willingale et al. 2003 XIS Miller et al. 2008 過去の観測 XIS 田原+片岡, XMM-Newton Willingale et al. 2003 XIS Miller et al. 2008 kT=0.26keV abund<0.5 過去の観測 XIS 田原+片岡, kT=0.26keV abund<0.5 XMM-Newton Willingale et al. 2003 XIS Miller et al. 2008 今までの観測はNorth Polar Spurと呼ばれる、 構造の一部分に集中しており、他の領域はあまりstudyがされていない。 また、この巨大構造が一つの構造だという証拠もない。 過去の観測 XIS 田原+片岡, XMM-Newton Willingale et al. 2003 XIS Miller et al. 2008 今までの観測はNorth Polar Spurと呼ばれる、 構造の一部分に集中しており、他の領域はあまりstudyがされていない。 また、この巨大構造が一つの構造だという証拠もない。 スペクトル解析 NH : (0.6 0.3) Gal kT:0.29 0.03 NPS Abund:0.3 0.1 NH : (0.7 0.2) Gal kT:0.29 0.03 North Mg Ne Fe Abund:0.3 0.1 NH : (0.6 0.3) Gal kT:0.27 0.03 Model:wabs apec フィット結果はSSC South Abund:<0.1 Mg?? とROSATの同時フィット (ROSATは非表示) CXB,LHBなどのBGは除去済み 3領域に分け、スペクトルを作成した結果、北側の2領域からは、 Fe, Ne, Mgの輝線を検出し、スペクトルが熱的であることがわかった。 星間吸収の影響を補正 •天体からのX線は、我々の銀河系内を通過してくる間に銀河系内の星 間ガスによって光電吸収を受ける。この吸収量は水素柱密度で表せる 銀河系内の水素柱密度分布! (Dickey&Lockmanらの電波観測)! MAXI/SSC 0.7-1.7keV! 白枠で示した部分からの放射がkT=0.29, Abund=0.3で表せると仮定すると、吸収量を補正 できる! ! 中性ガス 水素柱密度低い! ! ! ~200pc 水素柱密度高い 銀河面 太陽 8.5kpc 銀河中心 補正後 吸収量を補正するとシェルのような構造が見えなくなり、 銀河中心から離れるにつれて暗くなる構造が見える。 議論 • 三つの領域からのスペクトルフィット結果を比べると、温度はす べての領域で一定という結果になった。 • NHの値は(0.6 0.3) Gal程度だが、系内吸収量に構造があり、エ ラーも大きく、この値だけでは、距離の推定が難しい。 • 構造が銀河中心付近にあるとすると、その熱的エネルギーは、 10^55-56ergs程度 • • エネルギー源としてはSgr A*の過去の活動などが考えられる。 現在のaccretion rate では説明できないエネルギーだが、300 年前、Sgr A* が105-6 倍明るかったとの報告もある。(Koyama et al. 1996, Murakami et al. 2000, Nobukawa et al. 2011) Fermi Bubbleとの関連 Finkbeiner et al. 2010 Fermi Bubbleとの関連 Finkbeiner et al. 2010 Fermi Bubbleとの関連 Finkbeiner et al. 2010 Fermi Bubbleとの関連 Finkbeiner et al. 2010 北側のみ見ると、Fermi Bubbleを覆うシェルの様にNPSが光っ ている。 Fermi Bubbleとの関連 Finkbeiner et al. 2010 Fermi Bubbleとの関連 Finkbeiner et al. 2010 まとめ • MAXI/SSCとROSATのデータを用い、銀河中心方向 のDiffuse emissionの解析を行った。 • 三つの領域にわけ、スペクトルフィットした結果、ど の領域も温度一定である事がわかった。 • 吸収の値のみでは距離の推定が難しい。 • Loop-IとFermi Bubbleを比較すると、無関係とはい いがたい -> 他波長にわたる統一的な描像が必要