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第21回の解答・解説
解説編です。問題文を正しく理解し、図示し、解答が書けたでしょうか。そしてその解答の英文は、正し く書けているでしょうか。 【Problem】 Let s be any arc of the unit circle lying entirely in the first quadrant. Let A be the area of the region lying below s and above the x-axis and B the area of the region lying to the right of the y-axis and to the left of s. Prove that the sum of these areas, A + B, depends only on the arc length, and not on the position, of s. <問題文を和訳> 【問題】 第1象限内の単位円上にある弧を s とする。s の下、x 軸の上にある領域の面積を A とし、y 軸の右、s の左 にある領域の面積を B とする。これらの面積の和 A + B が弧 s の長さにのみ依存し、s の位置に依存しない ことを示せ。 <解法の流れを確認> 弧 s の両端をそれぞれ M、N とし、x 軸、y 軸それ ぞれに垂線をおろし、交点をそれぞれ右図のように 定めます。また、線分 MP と線分 NR の交点を T と します。 M すると、A は PQNM の面積、B は SRNM の面積で S あり、これらの面積の和が弧 s の長さにのみ依存す R s T N ることを示せばよいことになります。 また、PQNM の面積は TNM の面積と四角形 PQNT P Q の面積の和に等しく、四角形 PQNT の面積は TNQ の面積2つ分に等しい。さらに等積変形から △TNQ の面積 = △TNO の面積であることが分かるので A = TNM の面積 + △TNO の面積 × 2 となります。 同様に B についても、△TMS の面積 = △TMO の面積という等積変形を用いれば B = TNM の面積 + △TMO の面積 × 2 となります。ゆえに A + B = ( TNM の面積 + △TNO の面積 + △TMO の面積 ) × 2 すなわち、扇形 ONM の面積2つ分であることが分かります。扇形 ONM は半径1なので、その面積は中心角 のみに依存、すなわち弧 s の長さにのみ依存し、その位置には依存しないと言えます。 1 <英語で解答を作成> 【図形の名前】 まずは様々な図形の名前を英語で何と言うか、おさえておきましょう。 三角形 triangle 平行四辺形 parallelogram 正三角形 equilateral triangle ひし形 diamond 二等辺三角形 isosceles triangle 台形 trapezoid, trapezium 直角三角形 right triangle 円 circle 四角形 quadrangle 単位円 unit circle 正方形 (perfect) square 楕円 oval 長方形 rectangle 扇形 sector 【図示】 垂線を下ろし、交点に名前をつけましたので、解答でこれを述べておきましょう。垂線、交点はそれぞれ 英語で a perpendicular line、a point of intersection of intersection(又は an intersection point)と表現します。 「図 のように」は慣用的な表現として as shown in figure を用います。図が2つ以上ある場合は figure 1 などと名付 けて as shown in figure 1 と書けばよいですね。 また、等積変形は難しく用語を使おうとするのではなく、 「面積が等しい」と表した方が明確に意味が通じ ます。 「面積が等しい」は例えば be equal to the area of ~などです。今回の解答では area(面積)という語を何 度も使うのは面倒なので、[ ]が面積を表すと定めて使いました。 「記号が~を意味する」は denote を用いるの が適切でしょう。ちなみに[ ]は square bracket または単に bracket と言います。 【証明に用いられるつなぎ言葉】 証明の解答を英語で書くときは、つなぎ言葉に注意が必要です。consequently「従って」、similarly「同様に」、 conversely「逆に」、if and only if「~のときに限り」 (これは以前取り上げましたね)、namely「明確に言えば、 すなわち」、suppose (that)「~とすると」などです。もう少し深く見てみましょう。suppose that と provided that の違いは何でしょうか。どちらも if の代用だが、前者は仮定法とともに使う?そんなことはありません。 suppose は「仮定する」、provided は「与えられる」の意なのですから、当然その語の含む意味は異なります。 数学において「与えられる」のは条件ですから、 「〜という条件下では」という意になります。また、suppose は前提として「〜と仮定して」いるわけですが、 「非現実」であることを示す仮定法を使う理由がありません。 直接法を用います。実際、suppose that は確実性が高い場合は直接法現在を使う、などと辞書にも表記されて います。以下に具体的な使われ方を示しておきます。 Suppose that a fair coin is tossed 3 times. What is the probability that 3 heads come up? 「公正な歪みのない硬貨を3度投げると仮定する。表が3度出る確率はいくらか」 Prove that the following function is continuous, provided that a is real. 「a が実数という条件下で次の式が連続であることを示せ」 また、証明において口語的表現は極力避けましょう。and や but、so ばかり使うのではなく、書き言葉で書 2 くべきです。例えば and ではなく moreover や further を、but ではなく however や nevertheless、so の代わりに therefore や hence を用いるようにしましょう。また、moreover や however は接続詞ではなく、接続副詞です ので使い方にも注意が必要です。接続詞は文章と文章を繋ぎますが、接続副詞で文同士を繋ぐ際には接続詞 などの助けが必要です。 ○ I caught a cold, and therfore I took the medicine. ○ I caught a cold. Therefore, I took the medicine. ○ I caught a cold; therefore, I took the medicine. × I caught a cold, therefore I took the medicine. 【仮定法】 せっかく仮定法を少し取り上げましたので、こんな話をしましょう。仮定法で「まだ起きておらず、起き る可能性の低いこと」を述べる際に were to や should を用いますが、その違いをどう理解していますか。were to の方が、より起こる可能性の低いことを述べる?いえいえ、それでは不十分です。were to は「議論上の仮 定をする」際に使われます。例えば、以下は理科のとある問題文です。 If you were to drop a bowling ball and a ping-pong ball at the same time, which ball would hit the ground first? 「ボウリングとピンポンの玉を同時に落としたら、どちらの玉が先に地面に着くだろうか」 ここではもちろん、起きる可能性が高いか低いかが問題なのではなく、hypothetical な議論をしたいだけです ので were to が用いられています。 <あとがき> 論理を示す言葉や文法を状況に合わせて適切に用いる力は、英作やこのような数学・理科を「英語で解く」 というように、英語を道具として使う際に特に必要になってきます。さらなる知識を広げ、そして深め、こ の英語という道具を使いこなせるようにしていきましょう。 【Solution】 Let M, N be the ends of the arc s. Draw perpendicular lines from each end of the arc s to the x-axis and the y-axis, and let P, Q, R, S be four points on the x-axis or the y-axis as shown in figure. Let T be the intersection point of MP and NR. Using brackets to denote areas, we have [△TNQ] = [△TNO] Therefore, A = [TNM] + [PQNT] = [TNM] + [△TNO] × 2. In a similar way, we have B = [TNM] + [△TMO] × 2. Thus, A + B = [sector OMN] × 2, which is dependent only on the central angle of the sector OMN since its radius is 1. As there is a proportionate relationship between the central angle of the sector and its arc length, we can say that A + B depends only on the arc length. 3