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龍ヶ岳町大道の地質と古環境 セ

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龍ヶ岳町大道の地質と古環境 セ
龍ヶ岳町大道の地質と古環境
セ
上天草市立大道中学校 3年 選択理科 川端 鬼塚 1 研究の目的
自分たちが住んでいる龍ヶ岳町からはアンモナイトの化石が出るが、御所浦島ではアンモナイト
だけでなく恐竜の化石も出る。龍ヶ岳町からはなぜ恐竜の化石が発見されないのか。龍ヶ岳町大道
の地層はどのようになっており、どのようにして形成されたのか、また、そのメカニズムや古環境
についても考える。
2 研究の方法
海岸、崖、山の沢など露頭がある場所を観察する。観察地点の位置を地図で確かめ、現れている
露頭をスケッチしたり、写真を撮る。地層の走向と傾斜が調べられるところでは、クリノメーター
で測定する。1つの地層の中で粒の大きさや色の違いはないか、上下の地層との境が平らかどうか
を調べる。化石が見つかったらていねいに掘り出し、化石の種の判別ができるものは判別をする。
すべての露頭で柱状図をつくり、さらに柱状図をもとに地質図をつくる。また、全域で観察した内
容をまとめる。リップルマーク、断層、褶曲、柱状節理が見られたら、どのようにして形成された
かを実験し、古環境を推測する。
3 研究の結果及び考察
⑴ 龍ヶ岳町の地質図は図1のよう
になった。
⑵ 龍ヶ岳町では姫浦層群、赤崎層、
白 岳 砂 岩 層、 教 良 木 層 が 見 ら れ、
赤崎層は姫浦層群を不整合に覆っ
ている。赤崎層、白岳砂岩層、教
良木層は整合関係である。赤崎層、
白岳砂岩層、教良木層は、二枚貝・
巻き貝・巣穴の化石が多数産出す
図1 龍ヶ岳町の地質図及び、地質断面図
る。姫浦層群ではイノセラムスとアンモナイトの化石が産出する。
⑶ 龍ヶ岳町の地質構造として向斜・背斜などの褶曲構造が見られる。砂岩や泥岩中にはタマネギ
状風化が見られる。また、断層も数多く、流水によって形成された、リップルマークやフルートキャ
スト等も見られる。
⑷ 龍ヶ岳町の樋島には花崗岩が松ヶ鼻には閃緑岩が分布している。
⑸ 龍ヶ岳町の地層は次のようにして形成されたと考えられる。
ア 龍ヶ岳は中生代の時代には海底にあった。海底に姫浦層群のもとになる堆積物が堆積した。
主に砂や泥である。海進や海退を繰り返した。
イ 海底に堆積した地層が陸上に隆起する。このとき海底地滑りによって姫浦層群に見られる
しゅう曲(スランプしゅう曲)ができあがった。陸上に現れた部分は流水のはたらきにより侵
食され、不整合面ができあがる。侵食された部分はれきとして残る。このれきが赤崎層の最下
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部を形成するれき岩となる。
ウ 再び、大地は沈降し海底に沈む。その後、海進や海退を繰り返し、海底に赤崎層、白岳砂岩層、
教良木層が堆積する。海進したとき砂の中には二枚貝が棲息していた。
エ 再び、これらの地層が地殻変動により、しゅう曲(背斜と向斜)しながら隆起し、陸上に現れる。
⑹ 化石で種が判別できたものは、白岳砂岩層から Callista、Anomia、Turritella、Faunus、赤
崎層から Corbicula、姫浦層群から Ammonite、Inoceramus、Glycymeris amakusensis(二枚貝)、
Genus Cretolamna Gluckman(ネズミザメの歯)、ツノガイであった。
⑺ 断層・褶曲・柱状節理のメカニズム
ア 断層ができるメカニズムは、固まった地層に、地殻変動により、両サイドから「引く」、あ
るいは「押す」と断層ができあがることがわかった。その際、「引く」と正断層、「押す」と逆
断層になる。断層が形成される場合は、地震が発生することがわかった。
イ 褶曲は地層がまだ柔らかいときに、地殻変動により両サイドから押されるとできあがる。ス
ランプ褶曲(層内褶曲)は地層が柔らかいときに、地殻変動や海底地滑りなどによりできるこ
とがわかった。
ウ ペットボトル内に砂場の砂を 200g と水を 1.2 リットル入れて、ペットボトルを横にして砂
が沈んでしまうまで待つ。沈んでしまったら図2のようにつねにペットボトルを静かに数分間
左右に揺らし、ペットボトル内の砂を観察する。すると砂の表面にリップルマークと同じ模様
(図3)ができた。模様の感覚は
1.5cm であった。ペットボトル
を揺らした向きに垂直にリップ
ルマークの模様ができあがった。
これらの結果からリップルマー
クは波によって海底の表面につ
けられた模様であることが考え
図2 ペットボトルを揺らしている様子
られる。宇土市の御輿海岸の干
潟の模様と類似している。また、
リップルマークの模様は波の方
向と直角にできることがわかっ
た。このことより、リップルマー
ク(図4)から当時の陸地を推
図3 実験後の砂の表面の様子
測することができる。波は陸地
(海岸線)に対して垂直にできる
ため、そのことを利用して陸地
の方角を推測すると中生代白亜
紀の時代には陸地は龍ヶ岳から
見て、北西か南東の方角にあっ
たと推測される。
図4 姫浦層群に見られるリップルマーク
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