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Page 1 金沢大学学術情報州ジトリ 金沢大学 Kanaraพa University
Title
Vol.8
Author(s)
金沢大学フレスコ壁画研究センター
Citation
金沢大学フレスコ壁画研究センター Newsletter, 8: 1-11
Issue Date
2014-03
Type
Others
Text version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/2297/37522
Right
*KURAに登録されているコンテンツの著作権は,執筆者,出版社(学協会)などが有します。
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から著作権等管理事業者(学術著作権協会,日本著作出版権管理システムなど)に権利委託されているコンテンツの利用手続については
,各著作権等管理事業者に確認してください。
http://dspace.lib.kanazawa-u.ac.jp/dspace/
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南イタリア 中世壁画群診断調査プロジェクト
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” 調沓
ぢり出年度フイーノj』
石Ⅱ
2013る9.8∼
調査対象
(1)サン・ジョヴァンニ教会(サン・ヴィート・デイ・ノルマンニ)
ChiesadiS.GIovanni
(SanVitodeiNormanni)
N40。38'23.7"/E17。48'18.4'!
サン・ヴィート・デイ・ノルマンニからブリンディジ方向へ10kmほど進んだジャンニ・
ヴィーヴァ氏所有の農園内にある。なだらかな谷あいに掘られた教会入口は聖堂の長
軸(南北)に対して横(西側)に設けられ、階段を下りて身廊部に直接入る。堂内の
空間は1本の大きな柱(折れて現在は石ブロックで補強)で2分され、奥の壁に設け
た3つの壁驫を後陣としている。壁画は、同地域のイタロ・ビザンティン壁画群の
中でも、とくに質が高い。後陣の中央壁壼には「デエシス」、「大天使ミカエル」の描
かれたイコノスタシスの手前の西側壁には「聖母マリア」「洗礼者聖ヨハネ」「聖クレ
メンス」が12世紀末∼13世紀初め頃に描かれたと考えられている。
ChiesadeiSS・AndreaeProcopio
(2)サンティ・アンドレア・工・プロコピオ教会(モノーポリ)
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庵営篭
N4053146.385"/E17"20'23.143"
モノーポリ郊外の小峡谷に沿ったニコラ・パスカーレ氏所有の農園内にある。凝灰岩
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の段丘に掘られた教会で、正面に3つの入口がある。中央入口上に聖アンデレと聖
鴬…篭垂≦,
プロコピウスヘの奉納文がラテン語で刻まれている。堂内に入るとほぼ正方形の広い
#
空間があり、2つの入口と2つの窓をもつ4連アーチの内陣障壁(テンプロン)で仕
早い
切られている。内陣は低い壁で前後2つに分けられ、その奥に2つの後陣が設けら
れている。11∼14世紀の壁画は、ビザンティン美術の系譜に属するもののほかフラ
ンスのアンジュー家時代のものもある。壁画の保存状態は壁面によって異なるものの、
農
いずれも傷みが激しく、断片的にしか残存せず、画像の正確な判読は難しい。
(3)サンタンドレア教会(パラジャネッロ)
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N40。36'59.1!'/E16。58'26.8"
パラジヤネッロの北の外れにある。峡谷の斜面を掘り抜いた洞窟教会で、かつては峡
谷側の入口から出入りできたが、教会一帯の凝灰岩を建築用石材として無分別に切り
出してしまったため、現在の教会は城壁の塔(高さ10m)のように取り残され ている。
西側にあった入口は危険なため、下方3分の1ほどが壁で塞がれ、ナルテックス(拝廊)
はテラスのような空間となった。現在は教会の裏側に新たに設けられた階段を上って
入る。堂内の広い四角形の空間は後世の改築で、北面に「聖ヴィート」(1590年)と「聖
ニコラウス」、南面に「聖母子」と「聖アンデレ(サンタンドレア)」の壁画や断片が現存
する。それらの大半は13世紀のものと考えられている。
マテーラ
画
グラヴィーナ峡谷に沿った岩肌の斜面に建設された洞窟都市マ
アオートラント
テーラの4つの教会に残存する壁画を視察。
モザイクや壁画、サン・ピエトロ教会壁画を視察。
イタリア半島のいちばん東の町オートラントに残る大聖堂の舗床
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サン?ピエトロ議会
旨 , 海 尭 - −
CentrodiRicercqsu〃αPittur(IMurqleノ、〃qnq
UDI.8
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金沢大学チームの参加メンバーと担当
調査担当の内容
メンバー
所 属
宮下孝晴
人間社会研究域教授
江藤望
人間社会研究域教授
宮下睦代
センター客員研究員
大石匠悟
人文学類フィールド文化学コース学生
マッシモ・キメンティ
建築家(クルトゥーラヌオーヴァ社)
3Dスキャン(建築空間・壁面)
安藤明珠
センター研究員
空撮
カルロ・バッティーニ
建築家(ジェノヴァ大学)
真田茂
医薬保健研究域教授
宇高鈴夏
人文学類フィールド文化学コース学生
柴田あや
人文学類フィールド文化学コース学生
五十嵐心一
理工研究域教授
藤澤梨菜
人文学類フィールド文化学コース学生
写真撮影(散乱光・斜光)
壁面のマイクロスコープ撮影
色彩計測
壁面診断・環境調査
セッコ法による模写制作
全体のコーディネート
上一村
皆一大
カラーサンプリング
小冬
人文学類フィールド文化学コース学生
雅章
人間社会研究域教授
上口大介
センター・コーディネータ
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カメラをとりつけた気球を釣り竿でコントロールしながら上げる
Pqge6
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CentrodiRiceノ℃qsu"qP/tturqMIJrqノeノtq〃α〃a
[日伊教育研究連携事業]
フレスコ壁面の修復に関する講義と実習:スタッコ法とストラッポ法
本年度の「日伊教育研究連携事業」は、国立フィレンツェ修復
研究所のアルベルト・フェリーチ専任イ│多復士を講師に迎え、人間
社会学域人文学類フィールド文化学コース及び学校教育学類美術
教育に所属する学生30人を対象に、11月5日∼11日にわたって
■講義:イタリアにおける壁画イ│多復の歴史
壁画制作や修復作業における足場の研究
■実習:壁画修復におけるスタッコ法とストラッポ法
フレスコ壁画修復に関する集中講義と壁画の剥がし法であるス
タッコ法とストラッポ法についての実習が行われました。
■期間:11月5日∼11日
スタッコ法とストラッポ法は、4年前に同イ│多復研究所のマリア
ローザ・ランフランキ専任イ│多復士を講師に迎えた第1回目の実習
でも指導してもらいましたが、今回は特別な理由から、あえて繰
り返すことにしました。それは、壁画修復の第一線で活躍するイ
タリア人修復士によるスタッコ法とストラッポ法の「精度」を客
観的データとして測定したいという思いからです。マリアローザ
專任イ│多復士が私たちの目の前で2種の壁画剥がし法をマジック
ショーのように実演してくれるまでは、あれほど確実に、壁面の
凹凸までも正確に壁画を剥がせるとは想像もできませんでした。
「壁画剥がし」のビフォアー&アフターを3Dスキャナで測定し、
スタッコ法とストラッポ法それぞれの精度を客観的に検証したい
という強い願望から、本センターとしてはアルベルト・フェリー
チ專任修復士のお手並み拝見の場を手ぐすね引いて準備したので
す。剥がす対象となる絵は、本センターがずっと技法研究をして
.ま複
口しが
きたサンタ・クローチェ教会の壁画連作「聖十字架物語」(アーニョ
ストラッポ法で壁画を剥ぎ取る
Ce〃〃・odiRIcercqs"〃qPittL"マaMurqleノtCIhqnq
WOl.8
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漆喰を盛り上げて放射状に筋を刻んだ円光には、ミツロウで幾
何学的に盛り上げ形成した上に金箔を貼った王冠が重なっていま
す。これほど複雑な壁面の凹凸形状をそのままに、あるいはどの
程度まで正確に保存しつつ壁画を剥ぎ取ることができるでしょう
か。これからの壁画保存の方法を決定する時、この検証データは
大いにモノを言うに違いありません。一般的な先入観として、壁
画を剥がしたら平板化してしまうと思われがちだからです。(こ
の実験の結果については、いずれ「研究調査レポート」に掲載し
ます。)
なお、日伊教育研究連携事業として毎年実施されているこの
実習は「夢の実習」であると断言する
のは文化庁文化財部古墳壁画室の建石
懸
微古墳壁画対策調査官で、金沢大学が
長年にわたって培ってきたイタリアと
の友好関係があってこその実現と高く
評価していただきました。当の建石徹
調査官ご自身も東京から金沢に駆けつ
けてきて、実習の最前列で学生たち以
上に興奮してアルベルトの手元を食い
入るように観察していました。
[文化庁連携事業]4者連携ワークショップ
国宅「高松塚占墳壁画」の保存を考える
瞳
期日:11月12日
於:奈良文化財研究所ほか
金沢大学×文化庁×国立文化財機構×伊国立フィレンツェ修復研究所
金沢大学での実習指導を終えた11月12日、国立フィレンツエ
修復研究所のアルベルト・フェリーチ専任修復士を含む当セン
孝
|一重
Q
房
露豐
ターの研究スタッフは奈良文化財研究所を訪問しました。国宝
「高松塚古墳壁画」仮設修理施設の見学では、文化庁文化財部古
墳壁画室の建石徹古墳壁画対策調査官、宇田川滋正文化財調査
官、奈良文化財研究所の高妻洋成保存修復科学研究室長らの案
内で、壁画面に生じた黒色カビのクリーニング作業を見学。印
"
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言
象的だったのは、顕微鏡をのぞきながら作業する小笠原具子技
師長の極限までコントロールされた指先の動きをディスプレイ
で見せていただいたことで、その精妙な作業にイタリア人修復
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雷電扇兵
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士もいたく感動していました。見学後、壁画洗浄の多様な方法
について情報交換し、酵素を利用した洗浄法の可能性について
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国宝「高松塚古墳壁画」仮設修理施設で(写真提供:文化庁)
高松塚古墳前で
も議論を深めました。
奈良文化財研究所にて
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研究者の横顔
【第8回
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Centrod/R/cercqsu〃qPitturqMIJrqノeノtq〃ana
イタリアの研究協力者たち
カルロ・バッティーニ
(CarloBattini)
べき‐一一
その長身の体にトーガをまとわせたら、そのまま古代ローマ人になれそうな雷面の37歳。素顔は純
真ないたずらっ子で誰からも愛され、南イタリアのどんな僻地に赴いても、とにかく誰とでもすぐ
に仲良しになる。フィレンツェ大学建築科を卒業している俊秀であるが、斬新な建築を設計したり
建設したりするわけではない。専門は三次元スキャニングで、南イタリアのフィールドでは当セン
ターの安藤明珠研究員とペアを組んで最新機器のスキャナを自在に操り、洞窟教会内外を3Dデー
タ化する。世界遺産や文化財としての建築ばかりでなく、イタリア有数の港町であるジェノヴァ大
学で教鞭を執るようになってからは船舶やヨットの計測をも手がけている。一見するとフィールド
向きの男にも思えるが、彼の本領は計測した膨大な量のデータ処理、パソコンに向かっての徹密な
処理作業を、(イタリア人にしては珍しく)徹夜もいとわずに根気強くこなす誠実な頑張り屋でもあ
る。調査ではフィレンツェを離れることが多いのだが、家族の絆は何よりも最優先させる典型的イ
タリア男性で、その絆をスカイプと携帯電話が支えている。ボンタッシエヴェ(フィレンツェ)の
家庭では弁護士の奥さんとの間に2歳半の息子ダリオ君がすくすくと育っている。
◇所属:イタリアヅェノウフフ大学
◇専門分野:建築、3次元レーザースキャニング
マッシモ・キメンティ
(MassimoChimenti)
フィレンツェ大学建築科を卒業したマッシモ・キメンティはカルロ・バッティーニの先輩で、早く
から文化財のデジタルアーカイブ構築を専門としたクルトゥーラヌオーヴァ社を倉│」設、デジタル時
代を先取りする活躍を開始した。美術作品などの文化財に関するあらゆるデジタルデータを百科全
書的に組み上げて多角的に利用できる「モドウス・オペランディ」(ModusOperandi)システムを独
自に開発、その改良に人生をかけている精力的かつ魅力的なイタリア男性である。アレッツォ市の
町外れにある大邸宅の敷地内に、10人ほどの若きクリエーターたちが働くクルトゥーラヌオーヴァ
社のラボ&オフィスがある。ルネサンスの誇り高い精神を受け継ぐイタリア人らしく、彼の手にか
かるデジタルアーカイブは常に「最新」であるばかりか、高い芸術性に裏づけられた独倉│」的「作品」
であることを宿命づけられている。マッシモ・キメンティと半日いればわかるが、衣食住、生活と
人生に関して、どんな些細なことにも徹底した「こだわり」を貫くアーティストである。庭のパン焼
◇所属Culturanuova社(イタリフフフフレッツオ
◇専門分野:建築、テ'ジタルアーカイブ
き窯から壁画撮影用の可動式フレームまで、必要とあらば何でも自分で考案工夫し、労を!│昔しまず
に作り出してしまうところはレオナルド・ダ・ヴィンチのDNAか。
CO 私のおすすめフレスコ壁画
画金沢大学人間社会研究域
教授宮下孝晴
第8回カヴァッリーニの筆力が生む生命に感動
f力が生む生命に感動(フレスコ壁画研究センター長)
「永遠の都」と呼ばれる世界で唯一の街、イタリアの首都ローマを蛇行して
流れるテヴェレ川の対岸は、人なつっこいローマっ子たちの生活と喧哩に包ま
れた下町で、トラステヴェレ地区と呼ばれています。ローマ滞在中、そんな下
町界隈を散策することがあったら、サンタ・チェチリア・イン・トラステヴェ
レ教会に立ち寄って下さい。
でも、教会に入っただけではだめで、教会の左に隣接した尼僧院のベルを押
して、壁画の見学をお願いしなければなりません。教会ファサードの裏側(階上)
に案内してもらうと、そこには1900年の改築の際に発見されたピエトロ・カ
ヴァッリーニの壁画「最後の審判」(1293年)が待っています。壁画は完全な
形で発見されたわけではありませんが、掲載した「審判者キリストを囲む天使」
の−人を見るだけで、ジョットにも大きな影響を与えた画家カヴァッリーニの
雄潭な筆力に圧倒されるでしょう。
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CentrodiRIcercqsu"qPitt"rqM"rq/eノ、〃ana
2013年度7月-3月トピックス&イベント
サンタ・クローチェ教会大礼拝堂の
修復用足場が完全に撤去
精巧な複製陶板作製(セラミック・アーカイブ)に向けて
企業との協力研究開発が本格始動
金沢大学の日伊貢献事業として注目を集めた
昨年度から、本センターは壁面の凹凸を計測する3DスキャナRange5のデー
サンタ・クローチェ教会壁画修復プロジェクト
タを利用して精確な陶板レプリカを作製する挑戦に企業と協力して取り組んで
によって、2005年4月から5月にかけて、高
います。試作品第2号では平均誤差が0.03mmと、第1号に比べて大幅に改善
さ26mの大礼拝堂に壁画修復用の足場が建設さ
されたことを受け、今年度も本センターと大塚オーミ陶業および株式会社サワ
れました。大礼拝堂の中心部には9階までのエ
テツの三者が協力して研究開発を継続しました。
レベータ、地下礼拝堂には資材置き場や更衣室、
3Dスキャニングデータを利用して壁面のいっそう複雑な凹凸構造(たとえば
各フロアの床板は開閉式、各階すべて上下水道
積層した漆喰断面)の再現と、本センターが独自開発して特許出願中の「カラー
完備、6階のパソコンや各種機器を設備した研
チャートを利用した色補正プログラ
究スペースなど、壁画修復用の足場としては最
ム」を利用した陶板印刷での色調再現
先端モデルとしてイタリアでも話題を呼びまし
への挑戦です。本センターが計測した
た。また、金沢大学の強い主張で、養生シート
壁画のデジタルデータを活用し、失わ
や板などで修復の現場を隠さない「開かれた足
れゆく壁画のセラミック・アーカイブ
場」が実現したこと、つまり秘密めいた修復世
を目指そうとする夢に向け、今また新
界をガラス張りにした点でも革命的な足場でし
たな一歩が踏み出されました。
た。大礼拝堂周辺の壁画にも修復プロジェクト
の範囲を拡大したため、9年近くも足場が設置
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されていましたが、昨年の12月3日にようや
」ICA北陸・金沢大学地域別研修で
く完全に撤去され、修復が完了した14世紀末
本センターが開発した現地調査の手法をレクチャー
の大礼拝豈壁画「聖十字架物語」(アーニョロ・
ガッディ作)の鮮やかな色彩が姿を現しました。
国際文化資源学センターの中村誠一教授が担当されている」│CA「中米地域資
源としてのマヤ文明遺跡の保存と活用」プログラムの一行が10月3日に金沢
大学に到着、各種レクチャーに参加したり、能登の農業遺産や五箇山の世界遺
産などを視察しました。本センターも10月8日の午前中2時間半にわたって、
「サンタ・クローチェ教会の壁画修復と復元プロジェクト」と「南イタリアの
中世洞窟教会群の壁画調査プロ
ジェクト」についてレクチャー
を行いました。
4号館3階のフレスコ壁画実
験用テラスで行った実際の機材
を使ってのデモ(LED斜光線の
照射、壁面用の3Dスキャナ
Ran9e5による凹凸記録など)
では、活発に質問する姿が見ら
れました。
2013年度7月-3月の活動一覧
2013年度7月-3月の報道記録
7月
大塚オーミ陶業㈱および㈱サワテツと3Dスキャンデータを利用した高精度な複製陶板
《国内メディア》
▼イタリアの壁画修復
9月
作製に関する研究交流
パラジャネッロにてカラニャーノ教授による特別講義を受講
パラジャネッロのサンタンドレア教会で色差計による計測
南伊プロジェクト現地調査実施(サン・ヴィート・デイ・ノルマンニ、モノーポリ)
11
狙月
マテーラ、オートラントの教会壁画を視察
10月 」│[A北陸・金沢大学地域別研修で、現地調査の手法をレクチャー
11月 伊壁画修復士を招聰し、スタッコ法とストラッポ法の講義・実習指導
文化庁連携事業4者連携ワークショップ「壁画の保存・修復」
名古屋市朝日ホールにて写真展・講演「壁画からみたイタリア美術史」
金沢大学先端科学・イノベーション推進機構協力会第2回特別セミナーで発表
古墳壁画の保存活用に関する検討会
2月
大塚オーミ陶業㈱および㈱サワテツと研究交流
かぼく市民大学講座で講演「イタリア壁画の魅力を訪ねて」
3月
東京学術総合センターでの金沢大学文化資源学シンポジウムで宮下センター長がパネラー
として参加
古墳壁画の保存活用に関する検討会
2013.9,30北國新間
▼伊壁画修復士を招賠し、講義・実習指導
2013.11.8北陸中日新聞/北國新間
2013.12.6朝日新問
▼伊壁画修復士が高松塚古墳壁画の修復士と意見交換
2013.11.13読売新聞/産経新間/毎日新聞
2013.12.11朝日新聞
▼キトラ古墳壁画の保存について
2014,1.10朝日新聞
《海外メディア》
▼モノーポリの洞窟教会で現地調査
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「金沢大学先端科学・イノベーション推進機構協力会第2回特別セミナー」で
安藤研究員が本センターの活動を紹介
1月27日(月)の午後、KKRホテル金沢で金沢大学先端科学・イノベーショ
ン推進機構協力会が主催する第2回特別セミナーが開催され、第2部のシー
ズ発表会で本センターの安藤明珠研究員が(美術史的な観点ではなく)壁画
の各種デジタル計測やデータ解析に従事する理系研究員の立場から「南イタ
リア中世壁画群診断調査プロジェクト」を紹介しました。安藤研究員が開発
した「カラーチャートを利用した色補正プログラム」が本学から特許を申請
することになり、今回のセミナーでの発表メンバーに加わることになったよ
うです。
理工研究域や医薬保健研究域の開発に関わる発表ばかりの中で、文系であ
る人間社会学域の本センターからの発表は少なからぬ驚きをもって迎えられ
ましたが、本センターの取り組む(歴史的文化遺産としての)中世壁画保存
に関する研究プロジェクトは、本来、総合大学の文理融合型プロジェクトを
に関する研究プロジェクトは、本来、総合大学の文理融合型プロジェクトを目指してきたものです。
なお、シーズ発表会に先立ち、芝浦工業大学教授の安齋正博氏の「モノづくりはかわるのか?3Dプリンターの可能性」と題した
特別講演がありました。偶然にもこれは、本センターが4年前から実施している「南イタリア中世壁画群診断調査プロジエクト」において、
3Dスキャナで計測記録した壁画面及び壁画空間の3Dデジタルデータの活用として取り組んでいる「3Dプリンタによるレプリカ製作」
とも深く関わる内容でした。
P
フレス
■
一
八
旱旱
連載
第八景
この連載「フレスコ八景」は、フレスコ画の創始者とされるジョッ
トのスクロヴェーニ礼拝堂(パドヴァ)から始めた。とすれば、最
終回はミケランジェロのシスティーナ礼拝堂で終止符を打たねば収
まりがつかない。フレスコ画の時代とは、14世紀のジョットから16
世紀のミケランジェロまでの2世紀にほかならないからである。も
ちろん、事実はそれほど単純ではない。ジョット以前からフレスコ
画法完成への長い試行錯誤の時代があり、いくら偉大な画家であっ
てもフレスコ画法の発明をジョットー人の手に帰すことはできない
し、フレスコ画制作がミケランジェロ以後まったく顧みられなくなっ
てしまったわけでもないからである。しかし、この2世紀がフレス
コ画の黄金時代であったことは確かで、画家として称賛されるため
には何よりもフレスコ壁画の制作で卓抜した技呈を発揮する必要が
あった。大壁面に足場を組み、くる日もくる日も新鮮(フレスコ)
な漆喰を塗り継ぎながら、漆喰が乾燥するにつれて変化する色調を
想像しつつ、迅速かつ確実に描写を進めなければならないフレスコ
えたであろう。それに、漆喰の水分は重力で画面kに下
画法は、画家が従事する各種絵画技法の中でもっとも難易度の高い
りてくるから、漆喰はなかなか乾燥せず、せっかくの画
画法であったからである。
面にカビが生えてくることも少なくない。ローマ法王ユ
フレスコ画を描く画面はいつも垂直な壁とは限らない。広い天井
リウス2世の命を受け、30代半ばのミケランジェロは
壁にも画家は果敢にチャレンジしなければならなかった。天井空間
1509年から3年の歳月をかけて、この困難な天井画制
の遠近法的な処理は奥行き空間の透視図法とは異なり、「下から見上
作を完成させた。|日約聖書の「創世記」を−大絵巻として、
げた空間」は仰視遠近法を駆使しなければならない。天井に向かっ
1000niのシスティーナ礼拝堂の天井に300人もの人物
1000rYiのシスティーナ礼拝堂の天井に300人もの人物
て首を曲げ、腕を上げて絵筆を揮うのは画家たちに拷問的苦痛を与
を登場させて描ききったのである。(宮下孝晴)
表紙:サン・ジョヴァンニ教会西側壁に描かれた「洗礼者聖ヨハネ」(サン・ヴィート・デイ・ノルマンニ)撮影:宮下孝晴
郷堀銅溌嬬識典
Cmt『◎
nffre"co
金沢大学人間社会研究域フレスコ壁画研究センターニューズレター(年2回発行)
編集発行金沢大学フレスコ壁画研究センター
〒920-1192金沢市角間町金沢大学人間社会研究域
電話(076)264-5550/5472Eメール[email protected]
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e-mailアドレスを添えてご連絡ください。本ニューズレターの内容を無断転載することを禁じます
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