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回帰分析 Part-2
計量経済学 講義 第8回 回帰分析 Part 2 2013 年 11 ⽉ 1 ⽇(⾦)2 限 担当教員: 唐渡 広志 研究室: 経済学研究棟4階432号室 email: website: [email protected] http://www3.u-toyama.ac.jp/kkarato/ 1 講義の目的 PCによる単純回帰分析の⽅法について学び ます。 べき乗関数や指数関数の回帰分析について 学びます。 keywords: 分散分析表,⾃由度調整済み決定係数,分析ツール (Excel),両対数モデル,弾⼒性,半対数モデル,変化率 教科書: pp. 94 – 126(第3章) 2 【復習1】回帰分析 (単純)回帰 サンプルサイズ n のデータ X i , Yi について回帰モデル 分析とは Yi X i ui の回帰パラメータ , の推定値を計算することである。 , の推定値の計算公式 ˆ S xy S xx X X Y Y X X i i 2 i ˆ Y ˆ X ˆ ˆ X i 推定回帰直線 Yˆi 残差 残差の特徴 uˆ i Yi Yˆi 3.1 3.2 Ŷi を理論値とよぶ。Yi を実績値とよぶ。 3.3 残差 = 実績値-理論値 ルール1 . uˆ i 0 ルール 2 . X i uˆ i 0 3.5 3.7 3 【復習2】回帰分析 【残差2乗和】残差の ばらつきを⽰す指標 【残差分散】残差の ばらつきを⽰す指標 uˆ 2 i 実績値の ばらつき ˆ 2 3.15を参照 S yy S yˆ yˆ 理論値の ばらつき uˆ 2 i 3.17 n2 【決定係数】推定回帰直線の あてはまりの良さを⽰す指標 R 2 (アール・スクウェア) 【回帰の標準誤差】 Y Yˆi Y または R 2 【決定係数 =相関係数の2乗】 R 2 rxy 2 2 Y 2 i S yˆ yˆ S yy uˆ 1 S yy 2 i ˆ 2 ˆ u i n2 3.9 3.16 3.10 4 分散分析表 (ANOVA) p.107 観測データ(実績値)における変動要 因(ばらつき)を理論値の変動と残差 の変動に分解すること。 3.15 S yˆ yˆ uˆ i2 S yy 理論値の ばらつき 残差の ばらつき 実績値の ばらつき モデル全体の妥当性を測る 指標(後⽇詳しく勉強) 5 自由度調整済み決定係数 自由度 n 2 R2 1 2 ˆ u i 3.16 uˆ i2 S yy S yy の分母・分子を n 1 で割ると 自由度 n 1 2 ˆ u i R2 1 n 1 S yy 自由度調整済み決定係数 uˆ 2 i n 1 ˆ 2 n adj. R 1 1 2 S yy sy 2 残差2乗和の⾃由度 が誤っている 2 3.18 正しい⾃由度に調整した決定係数 n 1 6 例 推定回帰直線 Yˆ 0.5 1.1X i R 2 uˆ i2 1.8 1 1 0.931 S yy i adj . R 2 26 uˆ i2 1 n2 S yy n 1 1 1 .8 2 0.896 26 3 分散分析表 ⾃由度 変動 (偏差2乗和) 分散 観測された 分散⽐ 回帰(理論値) 1 24.2 24.2 26.9 残差 2 1.8 0.9 - 合計(実績値) 3 26 - 7 Excelによる回帰分析:関数 slope 関数 「傾き」 = slope ( Yのデータ, Xのデータ) intercept 関数 「切⽚」 = intercept ( Yのデータ, Xのデータ) rsq 関数 「決定係数」 = rsq ( Yのデータ, Xのデータ) 8 Excelによる回帰分析:近似曲線の描画 散布図上で観測点を右クリック 近似曲線の追加 近似曲線の書式設定 「グラフに数式を表⽰する」にチェック 「グラフにR-2乗値を表⽰する」にチェック 12 y = 1.1x + 0.5 R² = 0.9308 10 8 6 4 2 0 0 2 4 6 8 10 9 Excel「分析ツール」(1) 1. 「データ」タブ「データ分析」 2. 「データ分析」ダイアログの中から「回帰分析」を選択 10 Excel「分析ツール」(2) 3. 「回帰分析」ダイアログ,Yのデー タとXのデータを指定 ラベル(変数名)を含 める場合は,チェック 11 Excel「分析ツール」(3) 4. 「回帰分析」の出⼒結果 分散分析表 11⽉18⽇ごろに勉強 12 Excel「分析ツール」(4) ̂ 11⽉11⽇以降に勉強 ̂ 例題で確認: p.143, 例題12, 表3.18 13 練習問題 (1) 表3.1 (p.95) のデータについて,Excel 関数を ⽤いて回帰直線を推定し,決定係数を計算 しなさい。また,「分析ツール」の回帰分 析を利⽤して以下の空欄を埋めなさい。 Yˆi R2 , adj.R 2 Xi , , ˆ 14 練習問題 (2) 右のデータ(p.109, 表3.5)につい て,「分析ツール」の回帰分析を利 ⽤して以下の空欄を埋めなさい。 Yˆi R2 , adj.R 2 Xi , , ˆ 15 Excel「分析ツール」(5) 理論値と残差の出⼒ 理論値 Ŷi 残差 ûi 「残差」にチェック 16 Excel「分析ツール」(6) 出⼒先の指定:デフォルトでは新規ワークシートが⾃動で⽣成されてそこに出⼒。 「⼀覧の出⼒先」にチェックをいれて,セル番地を指定すると特定の場所に書き出 すこともできる。 17 150 f(x) 100 100000 0 0 50 50000 f(x) 150000 直線以外での当てはめ 0 5 10 x 15 20 0 5 10 15 20 x y ax b や y ae cxのような式の a, b, c を求めるにはどうしたらよいか? 18 指数関数 0 200 400 y 600 800 1000 (xを指数とよぶ。c > 1 は定数であり,指数の底 [base] とよばれる) -2 0 2 4 6 8 10 12 x 19 【復習】特殊な底 底が e の指数関数(⾃然指数関数) 0 10 20 y 30 40 50 m -2 -1 0 1 x 2 3 4 e 1 2 10 2.59374246 100 2.70481383 1,000 2.71692393 10,000 2.71814593 100,000 2.71826824 1,000,000 2.71828047 10,000,000 2.71828169 100,000,000 2.71828179 1,000,000,000 2.71828203 20 指数関数の逆関数 0 -2 0 200 2 400 4 x y 6 600 8 800 10 12 1000 y が c を底とする x の指数関数であるとき,x の値は c を底とする y の対数に等しい. 指数関数の逆関数をとるとき,指数の底 c は y の対数の底になる. -2 0 2 4 6 x 8 10 12 0 200 400 600 800 1000 y 21 ベキ関数: y = axb の対数線型化 (pp.115-119) x y 110 214.142 317.321 420 522.361 624.495 726.458 828.284 930 1031.623 0 5 10 15 y 20 25 30 35 または 4 6 8 10 log10 x 0 0.301 0.477 0.602 0.699 0.778 0.845 0.903 0.954 1 log10 y 1 1.151 1.239 1.301 1.349 1.389 1.423 1.452 1.477 1.5 4 log_10 y 2.0 5 6 2.5 7 3.0 x 0 0.693 1.099 1.386 1.609 1.792 1.946 2.079 2.197 2.303 ln y 2.303 2.649 2.852 2.996 3.107 3.198 3.276 3.342 3.401 3.454 0 0.0 1 0.5 2 1.0 3 1.5 2 ln y 0 ln x 0.0 0.5 1.0 ln x 1.5 2.0 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 log_10 x 22 両対数モデル (1) 変数の置き換え Yi 両辺の変数に対数が使⽤されているので 両対数(ダブルログ)モデルとよぶ。 ln y と ln x の関係をみている。ln x が1単 位増えると,ln y は b だけ変化する。 Xi 対数変換した上で Yi X i ui を推定 aの求め方 ln a aˆ expˆ 表3.7 (p.117) を参照 23 両対数モデル (2):弾力性 x1 , y1 b の意味: ln x が 1 単位増えるときの ln y の変化量 ? ln y1 ln a b ln x1 ln y0 ln a b ln x 0 引き算 b x 0 , y0 y0 x0 ln y1 ln y0 b ln x1 ln x 0 ln y1 ln y0 y の変化率 の近似 【復習】対数差分は変化率の近似 ln x1 ln x 0 x の変化率 の近似 【重要】x の変化率に対する y の変化率の⽐ (=b) のことを「 y の x (に関す る)弾⼒性」とよぶ。 意味弾⼒性 b は x が1%変化したときの y の変化率を⽰している。b > 1 な らば弾⼒的,b < 1 ならば⾮弾⼒的。 例. 需要の価格弾⼒性:(需要関数において数量の変化率/価格の変化率) 24 練習問題 (3) 表3.7 (p.117)のデータについて,従業員数 x,売上⾼ y を⽤いてベキ乗関数 y = axb を推定しなさい。 1600 8.000 1400 7.000 1200 6.000 1000 5.000 ln y x y ax b ln y ln a b ln x 800 4.000 600 3.000 400 2.000 200 1.000 0 0 500 1000 1500 0.000 0.000 y aˆ expˆ exp 0.8944 0.409 ln y = −0.8944 + 1.0884 ln x R² = 0.3916 2.000 4.000 ln x 6.000 8.000 yˆ i 0.409 x 1i .088 25 自然指数関数: y = aecX の対数線型化 (pp.119-122) 4 0 200 2 600 y ln y 1000 6 1400 8 X が 1 単位増えると,ln y は0.5増加する 0 2 4 6 x 8 10 0 2 4 6 8 10 x 26 半対数モデル (1) 変数の置き換え Yi Xi 左辺にだけ対数が使⽤されているので半 対数(セミログ)モデルとよぶ。 ln y と x の関係をみている。x が1単位増 えると,ln y は c だけ変化する。 x はそのまま使える 表3.8 (p.120) を参照 27 半対数モデル (2):変化率の測定 c の意味: X が 1 単位増えるときの ln y の変化量 ? ln y1 ln a cX1 引き算 ln y0 ln a cX 0 ln y1 ln y0 c X1 X 0 X1 X 0 1 ならば c ln y1 ln y0 【復習】対数差分は変化率の近似 【重要】半対数モデルの回帰パラメータ c は X が 1 単位増えるときの,変化 率の近似値になっている。 28 練習問題 (4) 表3.8 (p.120)のデータについて,年次 X,⼈⼝ y を⽤いて指数関数 y = aecX を推定 しなさい。 推定結果 ˆ ln yi ln a cX i ui Yi 27.612 0.021X i ˆ ln aの推定値からaの推定値を計算する aˆ expˆ exp 27.612 1.0195E-12 以上より指数関数は yˆ i 1012 1.0195 e 0.021X i パラメータ c の意味 ln yi ln yi 1 c X i X i 1 ln yi c X i X i 1 yi 1 yi e c X i X i1 yi 1 yi yi 1 e c X i X i1 1 yi 1 0.0000000000010195 = 10-12 ×1.0195 E-12⼩数点12桁⽬以降にゼロ以外 の数値が初めて出る⼩さい値 cˆ 0.021, X i X i 1 5 年 より yi yi 1 e 0.0215 1 0.1107 yi 1 5年あたりの⼈⼝成⻑率は11.07% 1年あたりは e0.021−1 = 0.0212 (2.12%) 29 練習問題(5) [1]. y: 一人あたりGDP,x: 一人当たり資本装備率とする.1980-2008年のデータ(サン プルサイズは29)を利用してべき関数 y = axb,両対数モデルで回帰分析を行ったとこ ろ次の結果が得られた.一人あたり資本装備率が 1% 増えると,一人当たりGDPは 何%増えるか? また, y の x に関する弾力性の値を答えなさい. [2]. 関西地方の2012年7月平日(n = 23日)の最高気温(℃) X と電力消費量(万kwh) y を用いて指数関数 y = aecX を推定する。 半対数モデルで回帰分析を行ったところ次の 結果が得られた。気温が1度上昇すると,電力消費量は何%変化すると言えるか? 30 まとめ Excel で(単純)回帰分析を⾏う場合,関数 を利⽤する⽅法,散布図に直接書き込む⽅ 法,「分析ツール」を利⽤する⽅法があ る。 変数に関して⾮線型であっても,変数変換 によって標準モデルに直すことができれ ば,最⼩2乗法が適⽤可能である. 両対数モデルから変数間の弾⼒性を求める ことができる。 ⾃然指数関数を対数化した半対数モデルの 傾きは成⻑率(変化率)に対応している. 31