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日本の海洋開発関連産業の 技術上の課題と対策
2012.07.12 国家ビジョン研究会 ガスエネルギー小委員会(GEC) 海底資源開発商業生産に到るまでの探査・掘削およ び海洋設備の課題など、日本の関連産業の技術上 日本の海洋開発関連産業の の課題と解決策 技術上の課題と対策 1 海底石油生産システムの概要 2 海洋開発の歴史 3 海洋産業の特徴 4 世界の海洋産業の現状 5 メタンハイドレートの開発 6 日本の海洋産業の将来 1 1 海底石油生産システムの概要 出典: oilgaspathblogspot HP 2 1.1 海底油田開発の流れ 3 1.2 海底油田探査・掘削および設備 出典:JAMSTEC YOUTUBE 4 1.2.1 海底油田掘削・生産装置一覧 出典:WIKIPEDIA OIL PLATFORM 出典:OFFSHORE ENERGY TODAY HP 出典:HOWSTUFFWORKS HP 5 1.2.2 ジャッキアップリグ(探査・掘削用) 出典:ALIBABA HP 6 1.2.3 ドリルシップ(探査・掘削用) 出典:JAMSTEC HP 7 1.2.4 セミサブリグ(探査・掘削/生産用) 出典:FISHSAFE HP 出典:WIKIPEDIA OIL PLATFORM 8 1.2.5 ジャケットおよびガイドタワー(着定式)(生産用) 出典:SURVIVAL OFFSHORE SYSTEMS HP 出典:MINYAKDANGAS MALAYSIA HP 9 1.2.6 コンクリートアイランド(着定式)(生産用) 出典:ATGUV HP 出典:THE HELPFUL ENGINEER HP 0 1.2.7 FPSO (Floating Production, Storage and Offloading system )(生産用) 出典:TEEKAY HP 1 1.2.8 テンションレグプラットフォーム 出典:MODEC HP 2 1.2.9 スパーおよびモノハル(生産用) 出典:PHOTOTHING HP 出典:offshore-technology 出典:offshore-technology 3 1.2.10 氷海人工島(探査・掘削/生産用) 出典:Stop aq HP 出典:Berger group HP 4 2 海洋開発の歴史 2.1 米国の海底油田開発の歴史 1947 20FT水深の海底油田開発 100FT水深までの海底油田開発 FIXED PLATFORM 100-400FT水深 DRILLING機器の開発 JACKUP RIGの登場 1961 SEMISUBMERSIBLE RIGの登場 •本格的な海底油田開発は戦後から •油田開発の安定した需要から技術開発が促進 出典:WIKIPEDIA SEMISUBRIG •海底油田掘削技術は米国の独壇場 5 2.2 日本の海洋開発の歴史(大型研究開発) 1982-1997 マンガン団塊採鉱システム開発 1979,1980 1998-2002 海明(浮遊式波浪発電) マイティホエール(浮遊式波浪発電) 1986-1990 ポセイドン(浮遊式海洋構造物の実海域実験) 1973- 海洋温度差発電開発(佐賀大学) 1995-2001 メガフロート開発、関西空港、羽田拡張 2000-2005 深層水活用型漁場造成技術開発 「拓海」 上記の開発は残念ながら実用化されていない。 6 2.3 日本の海洋開発の歴史(プロジェクト) 1958 1974 1984 1990 1995 1996 2005 白竜号建造 国内最初のJACKUP RIG 阿賀沖石油生産プラットフォーム 岩城沖石油生産プラットフォーム 岩船沖石油生産プラットフォーム しんかい6500 上五島国家石油備蓄基地 白島国家石油備蓄基地 ちきゅう(DRILLSHIP) わが国の海洋構造物建造実績 86基 (1975-1987 海外向けを含む) 国内向プロジェクト数は 少なく、海外向に依存 7 3 海洋産業の特徴 3.1 海洋産業の特徴と健全な姿 •多品種少量生産、多様な技術ニーズ •多数の技術者と多くの設計時間 •一定の規模以上の継続的な海洋開発 •高いレベルの技術者集団形成 •継続的な技術の発展と継承の循環 0 3.2 欧米の海洋産業の特徴 1)安定した石油開発需要 ・メキシコ湾、カリフォルニア沖、北海など自国内に海底油田が存在。 ・油田開発を求める旺盛な民間需要 ・鉱区獲得に向けた石油会社の競争 2)安定した石油掘削装置の製造 ・ジャケット、ジャッキアップリグ、セミサブリグ ・海外造船所などへの技術供与。 3)技術開発の促進 ・大手石油会社の新領域への展開。 ・エンジニアリング会社による新しいコンセプトの提案。 ・大学での新技術研究と人材教育 ・石油掘削機器の開発、自動化の促進。 (機械メーカーなどの裾野の拡大) 海洋産業が安定して発展するのに十分な環境 1 3.3 日本の海洋産業の歴史 3.3.1 日本の海洋構造物建造の歴史 海外向を主力とした海洋構造物の建造。 ジャケット、ジャッキアップリグ、セミサブリグ、氷海人工島など 第1次海洋ブーム 1988 2 3.3.2 第1次海洋ブームとその終焉 •原油価格の一時的な高騰 •海底油田探索の拡大($20/bblでペイするとも言われていた) •北極海の鉱区獲得競争 •海底油田近傍での建造が間に合わず日本へ発注 (日本からの輸送費用約1~2億円) •ほとんどが海外向け需要 •原油価格低迷により日本への発注はゼロに 3 3.3.3 造船業従事者数の変遷 •第1次海洋ブームの終焉とともに、造船会社の海洋部門は壊滅。 •海洋技術者の数は激減。 •ほとんどが団塊の世代、現在はほとんどの技術者が退職している。 •現在、若手の海洋技術者は非常に少ない。 1988 現在の事務技術系社員数は第1次海洋ブーム(1980-86)時の半分 4 4 世界の海洋産業の現状 4.1 世界の石油・ガスフィールドと開発主体 0 4.2 海洋構造物の生産の現状 近年の海洋構造物受注実績および建造所別受注量(海事プレス記事を集計) 日本のメーカーはMODECとIHIのみ 1 5 メタンハイドレートの開発 5.1 MH21コンソーシアムで開発を推進 JOGMEC, 産業技術総合研究所, エンジニアリング協会 2 5.2 メタンハイドレートの探査 •メタンハイドレートの探査方法 は海底油田探査方法と同じ。 •地層の分析技術が重要課題。 出典:MH21報告書 •メタンハイドレートの探査・分析技術については確立。 •分析技術については更なる開発が進行中。 3 5.3 メタンハイドレートの試掘 出典:JOGMEC報告書 来年1月の試掘では探査船ちきゅうを使用予定 4 5.4 メタンハイドレート回収法 •効率的なメタンハイドレート回収方法の開発がキーポイント。 •メタンハイドレートの集積場所により、回収方法が異なる。 •メタンハイドレート回収方法の開発はこれから。 •さまざまな研究機関で研究開発を推進中。 0 5.5 メタンハイドレート回収方法研究 • JOGMEC、メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(MH21) 東京大学、電力中央研究所 温水循環法、減圧法。減圧法が有力と判断 回収シミュレーション技術の開発(東大) CO2置換法(減圧法との組み合わせ) •メタンハイドレート実用化研究委員会 超音波加熱法 •清水建設 チャンバー法。バイカル湖で水深400mからの回収実験成功 •九州大学 ガスリフト法の研究 出典:経済産業省資料 1 5.6 メタンハイドレート生産イメージ • 生産イメージは海底油田生産と同じイメージであるが、サブシーシステムは 新規開発要素で盛りだくさん。 • 回収方法と同時並行で生産システムの装置、配管、洋上浮体、安全性の 研究開発の推進が重要。 2 5.7 メタンハイドレート開発についてのまとめ 1.探査・試掘・分析 MH21研究テーマはメタンハイドレート開発要素をほぼ網羅し ている。 探査・試掘方法は海底油田探査・試掘方法の応用で対応可能。 埋蔵量の分析技術は開発中。集積帯の分析方法は確立。 メタンハイドレート分布調査は太平洋側が優先。 日本海側の調査も必要。 2.生産 生産技術はメタンハイドレートの分布形式(表層/海底面下)に より、異なった方式が考えられる。今後の研究・開発により効率 的な生産技術を確立する必要がある。 生産技術は海底油田生産技術の応用、応用できる技術の確認 と新技術開発が必要。 3 5.8 メタンハイドレート開発事業フォーメーション 開発事業フォーメーション 実用化には、わが国のエネルギー政策を決定し、 フォーメーションを明確にしてプロジェクトを推進することが重要。 4 6 日本の海洋産業の将来 6.1 日本のEEZにおける資源開発の現状と将来 5 6.1 日本のEEZにおける資源開発の現状と将来(つづき) •海底資源開発に向けた資源分布の調査が精力的に進められているのが現状 •石油・天然ガスは日本海沖で試掘が行われる予定。 •マンガン団塊はハワイ沖に日本の鉱区がある。 •メタンハイドレートは海上試掘を本年度実施予定。 石油・天然ガスを除いて、本格的な開発はこれから 6 6.2 海洋構造物建造能力の現状と将来 •国内で建造の海洋構造物(2005年~) •海洋構造物建造に向けての造船業界の具体的アクション ・IHI愛知工場の海洋分野特化方針 ・USC他の海洋支援船の建造 ・KHIのブラジル造船所への出資 ・IHIMUのブラジル造船所への技術支援 7 6.3 日本の海洋産業強化に向けての課題と施策 日本には海洋産業を構築する根底である「開発すべき海底資源が少ない」 ・日本のEEZ内の海底資源開発は資源探査・掘削段階である。 ・民間資本だけでは海底資源開発は難しい。 将来の海底資源開発に向けて海洋産業の育成を計画 ・海洋立国を目指した「海洋基本法」を制定。 ・「海洋フロンティアへの挑戦」と題した国家予算の増加。 ・大学・研究所・民間企業の海底資源開発、海洋エネルギー開発への注力。 ・日本の海洋産業が育つための健全な環境整備が必要との認識の高まり。 日本の海洋産業の育成には、国がリスクをとって 「海洋開発プロジェクト」を推進することが重要 8 ご清聴ありがとうございました。 9