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New Natural. TH ENEXT GEN ER ATION OF

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New Natural. TH ENEXT GEN ER ATION OF
Natural.
次世代のコンシャス消費
Natural.
ニューナチュラル
ナチュラルの再来— 成 分 か ら テ キ ス ト メ ッ
セージまで、今ブランドは不安を抱える消
費者とつながるために自然由来や自然処
方された新商品を創り出している。ニュー
ナチュラル・ルネッサンス時代の訪れ。
消費者がオンラインで各自商品情報を検索している中、メイ
ンストリームで販売されている商品への疑問が高まってき
ている。近代産業社会で一時期ミラクルだとされてきた一般
家庭用商品は今、疑いの目で細かくチェックされ、有害物質
の可能性や何となく「毒」があるように見られてきている。政
府やブランドを含め、消費者は従来の権威に対する信頼を
失いつつある。
毒性が増してきているように思われる、デジタル主導の文明に対して不
安を高め始めている消費者は、安心と逃避のために自然を求めるように
なり、一時は価値を失い忘れ去られていた自然の恵みへの有り難味を
再発見し始めている。
しかしながら、現代の消費者は過去の世代に比べて、自然を直接体験してきた
機会が少ない。現代の消費者が「自然」を思い浮かべる時、それは幼少期の
キャンプ旅行ではなく、
動画で観るエキゾチックな動物だったりするかも
しれない。自然とデジタルスペースが相反するものではないことを、イノベーティ
ブなブランドはすでに理解しており、自然成分を謳う際にも科学、テクノロジー、
そして科学的進化を組み合わせた言語で語る。
ある一定の年齢の読者にとって、「ナチュラル」と言われても特別新
しいことではないように思うかも知れない。頭に浮かぶイメージとし
ては、健康的、リラックス、反消費主義、 %天然、オーガニック、
ホーリスティック等といったところだろうか。一方現代のナチュラル
の波は消費主義を中心に置き、マスレベルで展開している。
例えば
はもはや年間 億ドルの収益を生み出す
巨大リテールとなった。以前はニッチで隠れた存在であったナチュラル系
ブランドも、マスマーケットへと急速に拡大することが可能なチャネルを
持つようになりつつ、いわゆるこれまでのマスブランドを否定していたり
する。
またニューナチュラルな商品はニッチなオルタナティブではなく、クー
ルで憧れ感のあるイメージを創出している。食品から飲料、美容から
パーソナルケアまで、「ナチュラル」というラベルは、商品をニッチでは
なく、より魅力的に見せるための仕掛けとなっている
自然とデジタルスペース
はもはや相反するもので
はない。新しい商品はそ
の自然価値を科学やテク
ノロジー言語と組み合わ
せて訴求している。
メイクアップからマニキュア、香水からタンポンまでも、今や自然で化学
物質や添加物が含まれていないことが訴求され始めつつ、バクテリア
はもはや払拭されるものではなく培養されるものとなった。女性達はさ
らに「ナチュラル」な避妊アプローチを求め、ピルを捨て、アプリの力を
借りて自らのカラダの声に耳を傾けるようになってきた。
この急速な傾向はすでに疑いの意識を喚起させつつある。本レポートの
為に、
独自の調査部門
では、英国と米国
の消費者
人を対象に調査を実施:回答者の %が「ナチュラル」と
ラベル付けされた商品が本当にナチュラルだとは思わないと考えており、
この意識は全世代で共有されている。
新たに市場に参入するブランドは、もともとはナチュラル商品の存在を
生み出した消費者の懐疑心に直面することになり、皮肉な事に今度は
その懐疑の目が自らに向けられるようになってしまった。ジェシカ・アル
バが
年 月に彼女の
ラインのもとで新たな自然コスメライン
を 発売した際も、商品に自然ではない人工成分が含まれているとの訴
訟を起こされるはめになった。
本レポートではカルチャー・ドライバーや時事トレンドとしてのニューナ
チュラル・ルネッサンスを追求し、特にビューティー・セクターにおいての
深堀りを行った。また、独自の
調査をベースにこのトレンドに
対する消費者の意識を定量的にも観測。なぜ新たなテクノロジーと融合
する自然価値の再来となるニュー・ナチュラルが未来への波となるのか
を検証する。
消費者トレンドのサンプル
食と飲料から始まり、今その他の分野にも
広がりつつあるニュー・ナチュラル精神は産
業プロセスや商品に対する根深い不信感を
反映している。
どうやら商品がカラダに近ければ近いほど、消費者はより「ナ
チュラル」を求める傾向があるようだ。
ニュー・ナチュラルというコンセプトはすでにヘルスケア、パッ
ケージ、アパレル、そして建築までにも影響を与えている。生
活によりナチュラルを求めることは、私たちのカラダに入れる
ものや付けるものから始まるが、いずれは私たちの家や持ち
物、そして環境にまで拡大してくるとものと思われる。
Pro-Probiotics
プロ-プロバイオティックス
微生物の活動により生産または保存され
る発酵食品は私たちの病の原因に対す
るソリューションとして見なされ始めてきて
いる。
過去
年以上もの間、人類の文化は発酵プロセスを活用しえチーズ、チャツ
ネ、キムチ、サワークラウト、ワインといった製品を造ってきた。調べによると、
発酵のプロセスにより、有害バクテリアが除外され、胃腸のバランスを整えるヘ
ルシーなバクテリアと栄養たっぷりの食が生まれるとのこと。
年11月にミネアポリスにオープンした
といった店で
は発酵食品を店頭や店の中心に配置している。同店の共同経営者であるカイ
リーン・グース氏は「私たちの食生活は深刻なバランス崩れを起こしています。
最近ようやく発酵による驚くべき健康ベネフィットが理解されるようになってきた
のです。」と語る。
人間の免疫システムはかなり胃腸に頼っており、解毒酵素の生成や
病原菌の中性化といった主要プロセスの %は胃腸で行われる。ま
た、これが肌を始めとする様々な健康に影響を与えることも科学的
に証明されており、これにビューティー分野では食用・塗布用の様々
な発酵商品が発売され始めている。
考察:消費者はより広い文脈として健全な生活の一環として消化機能
の健康に目を向け始めており、胃腸を自然な状態に保つためのプロ
バイオティックス商品を求めるようになってきている。
「ようやく発酵がも
たらす驚くべき健康
ベネフィットが理解
されるようになって
きました。」
Nano-Natural
ナノ-ナチュラル
健康や衛生を維持するためのよりナチュラルな
手法を提供するパーソナルケア商品が台頭して
きている。
年ミラノデザインで、日本のデザイナーである上島弘祥氏は歯磨き粉
なしで歯の汚れを除去する歯ブラシ
を発表した。歯ブラシの毛が
水で活性化するナノ・サイズのミネラルイオンでコーティングされているのだ。
メーカーによると、イオンは汚れを除去し、歯のエナメル質を保護コーティン
グするとのこと。
バイオエンジニアのアーククリティ・ジャイン氏は革新的な生物学的包帯
を開発中。産業デザイナーであるギリアン・グレーヴス氏とのパートナー
シップで生み出されたこの包帯Grouduceは、組み換えられたバクテリ
アとイースト菌を使って自分のセルロース(繊維素)を培養することが可
能となるテーブルトップ「マイクロ・ファクトリー」。それを包帯にすることが
出来るというもの。
「キッチンにあるコーヒーメーカーやトースターのようなものをイ
メージしています。このマイクロファクトリーは産業革命と平行
するようなナチュラル・レヴォリューションの一部となるでしょう」
と、ジャインはWired誌にコメントしている。
考察:ニュー・ナチュラルなコンセプトに伴い 人々は便利な従来
の産業商品へのニーズを減らすために最新テクノロジーの活用
を始めている。衣服と同様に、最も先端をいくハイテクなアプロー
チはこれまでの選択肢よりさらに「ナチュラル」なものとなるかも
知れない。
深堀り:ビューティの
サンプルトレンド
つk
Waterless Washing
水なし洗浄
世界中で水不足が頻発する中で、消費者
は頻繁に洗うことの良さを見直し始めてき
ており、先見のあるブランドはなるべく水を
使わないプロセスや商品への投資を始めて
いる。
「昔は清潔を保つことは病を防ぐことを意味していました。今の時代、
より白く、を求める文化は私たちの免疫システムを弱め、洗剤メー
カーの財布を潤し、さらにはお気に入りの洋服を洗濯するために必
要なエネルギーはその洋服を作るためのエネルギーの約 倍となる
という驚くべき事実にまで発展させてしまいました」とロンドン・ファッ
ション大学のサステイナブル・ファッション・センターのケイト・フレッ
チャー氏は
にコメントしている。
これらの課題に対応するアパレルや用具におけるイノベーションが
台頭し始めている。
の新しい
コレクションでは、初の
ウォーターレス・ファブリックを導入しているが、これは染料の際の水
量を %、仕上げの際の水量を %削減したもの。完成した衣服は
「地球へのケア」を示すタグが付けられ、消費者に洗濯回数を減らす
よう呼びかけている
「マイルドな洗剤と水だけでも肌の酸外套を
破壊してしまい、再生には約4時間かかりま
す」
洗濯機は水の代わりに汚れを吸収するポリマービーズを使うこと
で、水や洗剤の必要性を削減させている。さらに、次世代型洗濯機と言
われるDolfiは既存の洗濯機に比べて 倍少ないエネルギーで洗濯可
能なウルトラソニック技術を活用していると 謳っている。
また、
年 月に出版された学術ジャーナル
によると、洗剤
ベースの商品を使い過ぎることで肌のバリア機能が損なわれることも検
証されており、結果として石鹸や洗剤ベースのクレンザーが主な刺激原
因とされる子供の皮膚病など世界的な皮膚病の増加につながっている
と言われている。
「たとえマイルドな洗剤と水であっても肌の酸外套を破壊してしまい、
再生には約4時間かかります。その間、肌はより公害、埃、紫外線、フ
リーラジカルや病原菌の影響を受け易くなります。」とフェイシャリストの
アレクサンドラ・ソベラル氏は語る。
ソベラル氏は肌洗浄ではなく、肌クレンジングを推奨している。これ
は単なる言葉のあやではない:クレンジングはミセル、花由来の水
分、ローション、オイルやバームといった成分を含む商品を使用す
るが、そのプロセス自体に洗剤や水を使うことを必要としない。
考察:サステイナブル性と健康の観点から、消費者はより少ない水
や洗剤によってより良い結果がもたらされることを認識し始めており、
これらの目的を達成させてくれる商品を求め始めている。
NatureLab Beauty
ネイチャーラボ・ビューティー
美意識、パッケージ、快適な使用感などを達成し
たプレミアム・オーガニック・ビューティー・ブランド
は今、恐らく究極のハードルである効果効能の競
争に直面している。
しかしどうやら多くのブランドがこの目標でさえも達成し始めている。
「臨床テストや新たなテクノロジーに基づく天然成分への投資により、幾
つかのオーガニックブランドがその効果においてメインストリーム商品と
の競争を真剣にリードしていくようになってきています。」とロンドンベー
スのスペシャル・オーガニック・オンラインストアである
の
イメルダ・ブルク氏は言う。
ブルク氏は、
といったいかにも
効果がありそうなネーミングだけではなく、本格的な科学に基づく効能根拠
を掲げる %植物由来の商品を持つドイツのブランド
を例に挙げ
る。
の商品はそれぞれの商品処方の効果効能の根拠となる、第
三者機関であるラボで実施された 日間の
テスト(生体検査)の臨
床データも開示することで消費者に安心をと提供している。
スキンケアでは、ラボが自宅より身近な存在-同社は実際に
オーガニック植物や野生植物成分が栽培されている農地に社を構え、
その地で採れた成分をコスメ製品のために最適化している。同社の
共同創立者であるユン・リ氏がバイオ化学者、皮膚科医、植物学者
からなるチームを率いており、最先端のグリーン技術を活用している。
このトレンドの基盤となっているのは、科学の力によりその潜在的能力
が引き出される植物成分。商品化前の研究プロジェクトでは、リーズ大
学の化学者達がシェットランドの海藻会社
と 年間に渡る研究
を行い、長期的健康効果をもたらすことが検証された髪染め用アミンの
代替となるより安全な成分やサンスクリーン成分を発見した。ロレアル
や
などが一部研究費を負担したこのプロジェクトの主な目的
は、コスメ用に海藻から天然ポリフェノール、ポリサッカリン、そして色素
を抽出する新たなクリーンな手法を発掘することであった。
消費者のグリーン志向が益々高まる中、ラグジュアリーブランドでさえも可
能性のある植物に注目し始めている。イブサンローラン
は民
族植物学者達と協働し、
年 月に発売されたOr Rougeスキンケア
ラインのために高濃度のファイトケミカルを含むサフラン種を特定した。
研究所では、分留科学を活用することでサフランから超高濃度の活性
成分を抽出することに成功。
考察:ニュー・ナチュラルな世界では、科学的手法により自然の
恵みをさらに拡張することで、消費者の心を捉えている。科学研
究の言語とプロセスを適用することで、天然効果をサポートする
クレームを強化することが出来る。
定量検証
サンプル
全体を通して大多数の消費者は美への
最も理想的な道はヘルシーな食だと考
えている。
以下の中で美容により効果があるのはど
れですか?
しかしながら、米国、英国ともにミレ二アル世代は年齢の
高い消費者よりも肌につける商品に対するこだわりを持つ
傾向がある。
カラダに入れるも
の
肌につけるもの
82%
25%
18%
カラダに入れるも
の
肌につけるもの
75%
17%
83%
14%
86%
ほとんどの消費者が過去2年間でシャン
プーの使用を変えていない。しかしながら、
シャンプー使用を変更した人々は、シャン
プーの使用を増やすのではなく、減らして
いると答える傾向が2倍。
過去 年間でシャンプーの使用または習慣を変
えましたか?
ブランドスイッチを行った人のうち、 分の 以上の人々が
%天然シャンプーにスイッチをしており、少数だがそれ
なりの人数が具体的な添加物が含まれないシャンプーに
代えている。
シャンプーの
使用を増加
34%
66%
38%
シャンプーの使
用を削減
20%
35%
%天然シャンプーにスイッチ
硫酸またはパラペンフリーの
シャンプーにスイッチ
洗浄剤フリーのシャンプーにスイッチ
24%
18%
ブランドにとって
の主要ポイント
ナチュラルであれ
自然を拡張すべし
以前は当たり前とされていた従来型の商品が、今はその安全性につい
て消費者の不安や恐怖心を喚起し始めている。これらの不安を払拭す
る商品を生み出すべき。
人々は従来型の商品に背中を向け始めており、代わりにテクノロジーに
よって強化された天然素材を求めるようになってきている。
ゴミ・無駄を削減せよ
透明性は必須
ブランドはその商品に含まれる成分や処方プロセスを説明できるよう
にしておくべき。消費者が厳しい質問をぶつけてくることを想定すべし。
「私のエコ
システム」を受け止めるべし
消費者は今、健康と美容はひとつのホーリスティックなシステムの
一部だと考えており、このバランスを提供してくれるブランドに価値
を感じている。
単に天然商品を開発するのではなく、開発過程や使用後も自然のサ
イクルに組み込めるようにし、その事実を消費者に伝達していくこと
が重要。
ブランドにとって
の主要ポイント
ナチュラルの次元を高めよ
ナチュラル商品はもはやニッチなものではなく、クールで憧れ感のある
ものとなっている。これに対応する商品を開発すること。
洗浄ではなく、クレンジング
自然に肌に含まれる油分や微生物の恩恵を失いたくないと考える
人々はもはや肌をごしごし洗いたがらなくなってきている
汚れを再検討せよ
以前は身の回りを消毒する商品を求めてきたが、今は人工的
に汚れを排除した環境によるネガティブな影響が心配され始
めてきている。
まずは食から
食や飲料から始まったナチュラルトレンドが他の業界にも急速に適
用され始めてきている。
マス化も念頭に
以前はニッチの領域を超えることがなかったナチュラル商品が、今
はこれまでにないスピードでマスにリーチし始めている。
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