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都道府県議会における議会改革に関する取組状況 県議長会資料−3
県議長会資料−3 都道府県議会における議会改革に関する取組状況 全国都道府県議会議長会事務局 ○ はじめに 地方分権一括法施行後、地方公共団体の自己決定と自己責任の拡大等に対応して、意 思決定機関である議会の機能強化が求められる中で、各都道府県議会においては、様々 な議会改革のための取組みを行っている。 本資料は、各都道府県議会における議会改革に関する取組み状況について、平成 16 年 10 月1日現在で調査した結果を基本とし、その後本会が把握した事項を追加し、取りま とめたものである。 1 開かれた議会の推進 (1) 委員会の住民への公開 委員会は 47 都道府県議会で原則公開となっている。この内、20 議会が委員長及び 委員会の許可を得る必要がなく、積極的な公開を行っている。 また、委員長等の許可により傍聴を認めているところも、傍聴に消極的なわけで はなく、委員会室の手狭さなど物理的な問題からこうした手続きをとっている。 10 議会がモニター室を設置するなど常任、特別全委員会の放映を、11 議会が議会 棟ロビーなどにモニターを設置し、常任委員会や特別委員会の放映をそれぞれ行っ ており、委員会の状況を公開するなどの対策を講じている。 ① 委員会の傍聴について(平成 15 年7月1日現在) 委員長及び委員会の許可の有無 有(許可により傍聴) 無(許可なく傍聴) ② 議会数 27 20 委員会記録等の住民への閲覧 閲覧の方法 議会図書室、県立図書館 (議会ホームページによる閲覧1件含む) 議会ホームページ 1 議会数 20 5 (2) 情報公開の実施 情報公開条例は全都道府県(議会)で制定されており、より開かれた議会運営を 目指している。 情報公開条例の実施形態 議会独自の情報公開条例による 議会が知事部局の情報公開条例の実施機関となっている 議会数 17 30 なお、18 議会が知事部局の個人情報保護条例の実施機関となっている。 (3) ホームページの充実 各都道府県議会のインターネット中継等の状況 30 議会が本会議のインターネット中継を実施しており、本会議録検索システム は、45 議会(95%)で実施されている。 本会議のインターネット中継 委員会のインターネット中継 (すべて予算特別委員会及び決算特別委員会) 本会議録検索システムの提供 委員会会議録検索システムの提供 議会数 30 5 45 5 また、次のような試みもなされている。 議員の資産をホームページ上で公開 議会数 2 (4) 議会中継の充実(ホームページ以外) ① 庁内モニターテレビによる本会議、委員会の公開(平成 15 年 7 月 1 日現在) 本会議 委員会 (うち 予算特別委員会及び決算特別委員 会のみ放映) 議会数 43 21 (8) ② テレビ(ケーブル含む)及びラジオでの議会中継等の実施(平成 15 年 7 月 1 日現 在) テレビ(ケーブル含む)による議会中継 ラジオによるCM等 2 議会数 33 6 (5) 議会広報の充実 議会広報は住民に議会活動への理解を求めるツールとして重要であり、次のよう な試みがなされている。 議会数 17 14 点字広報の作成 録音テープ版広報の作成 (6) 傍聴者への配慮 より開かれた議会のために、身障者への配慮など傍聴者の利便を考えた改善の試 みがなされている。 車椅子への配慮 手話通訳の実施 モニター中継(本会議) モニター中継(委員会) 次回定例会開催日を前回定例会の最終日までに 決定するなど日程の早期決定 議会数 39 26 42 21 4 (7) 住民との関係強化 住民の議会への関心、理解を深めるため、以下のような試みがなされている。 こども議会等の開催 一般住民との意見交換の実施(出前委員会) 3 議会数 8 1 2 政策立案機能の強化 (1) 議員提出条例の積極的活用 政策立案機能の強化としての取組みとしては、委員会活動の充実、議員活動への 支援の充実、議会事務局の体制整備等が実施されている。 ① 議員発議条例の提出状況(平成 11 年∼16 年) 平成 11 年∼16 年の6年間で、政策条例は 82 件、議会の権限強化条例は 21 件提 出されている。件数は合計 103 件で、議員提出条例全体の 12.2%ではあるが、そ れぞれ確実に増加傾向を示している。 政策条例 議会の権 限強化関 係条例 その他の 条例 合 注) 計 ( 11 年 12 年 13 年 14 年 15 年 16 年 合計 5(1) 12(6) 13(11) 15(8) 22(12) 15(13) 82(51) 0(0) 0(0) 2(2) 3(2) 5(5) 11(10) 21(19) 65(65) 62(61) 138(134) 161(148) 112(104) 200(185) 738(697) 70(66) 74(67) 153(147) 179(158) 139(121) 226(208) 841(767) )内は可決件数で内数である。 「政策条例」とは、議会や議員の身分等に関する条例以外の政策的な行政関 係条例とした。 「議会の権限強化関係条例」とは、県行政に関する基本計画を議決事件に定 める条例及び出資法人への関わり方の基本的事項を定める条例などである。 「その他の条例」とは、委員会条例、定数条例及び報酬条例などである。 ② 平成 11 年∼16 年の議員提出による政策条例等(可決分) 以下は、平成 11 年∼16 年の6年間で議員提出され、可決された政策条例等を行 政課題別に分類したものである。 ⅰ 議会の権限強化(13 県 19 条例) 都道府県 神奈川県 条 例 名 青森県行政に係る基本的な計画の策定等を議会の議決すべきものとして定め る条例 県行政に関する基本的な計画の議決に関する条例 宮城県行政に係る基本的な計画を議会の議決事件として定める条例 議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例の一部を改 正する条例 宮城県の公社等外郭団体への関わり方の基本的事項を定める条例 神奈川県行政に係る基本的な計画を議会の議決事件として定める条例 埼 玉 県 埼玉県行政に係る基本的な計画について議会の議決事件等と定める条例 青 森 県 岩 手 県 宮 城 県 4 都道府県 三 重 県 岐 福 滋 香 福 長 熊 ⅱ 阜 井 賀 川 岡 崎 本 県 県 県 県 県 県 県 条 例 名 三重県行政に係る基本的な計画について議会が議決すべきことを定める条例 議会の議決すべき事件以外の契約等の透明性を高めるための条例 県の出資法人への関わり方の基本的事項を定める条例 県が所管する公益法人及び公益信託に関する条例 三重県における補助金等の基本的な在り方等に関する条例 岐阜県行政に係る基本的な計画の議決等に関する条例 外郭団体の健全な運営の確保を図るための議会のかかわり方を定める条例 滋賀県議会の議決事件を定める条例の一部を改正する条例 香川県行政に係る基本計画の議決等に関する条例 福岡県行政に係る基本的な計画を議会の議決事件として定める条例 長崎県行政に係る基本的な計画について議会の議決事件と定める条例 熊本県行政に係る基本的な計画の策定等を議会の議決事件として定める条例 住民参加(1県1条例) 都道府県 条 例 鳥 取 県 鳥取県日野郡民行政参画推進会議条例 ⅲ 名 男女共同参画(3県4条例) 都道府県 条 例 名 宮 城 県 宮城県男女共同参画推進条例 長 野 県 長野県男女共同参画社会づくり条例 鳥取県男女共同参画推進条例 鳥 取 県 鳥取県男女共同参画推進条例の一部を改正する条例 ⅳ NPO(1県1条例) 都道府県 条 鳥 取 県 鳥取県非営利公益活動促進条例 例 名 ⅴ 各種行政課題への対応(24 道府県 45 条例) 都道府県 北 海 道 岩 手 県 秋 田 県 宮 城 県 福 島 県 千 葉 県 条 例 名 北海道空き缶等の散乱の防止に関する条例 北海道プレジャーボート等の事故防止等に関する条例 プレジャーボート等に係る水域の適正な利用及び事故の防止に関する条例 秋田の農林水産業と農山漁村を元気づける条例 秋田県リサイクル製品の認定及び利用の促進に関する条例 みやぎ食と農の県民条例 宮城県ピンクちらし根絶活動の促進に関する条例 宮城県自然エネルギー等・省エネルギー促進条例 宮城県暴走族根絶の促進に関する条例の一部を改正する条例 みやぎ海とさかなの県民条例 宮城県犯罪被害者支援条例 宮城県文化芸術振興条例 ふるさと宮城の水循環保全条例 福島県農業・農村振興条例 千葉県暴走族及び暴走行為者等の追放の促進に関する条例 5 都道府県 栃 木 県 埼 玉 県 長 野 県 三 重 県 岐 富 京 大 奈 滋 広 岡 阜 山 都 阪 良 賀 島 山 県 県 府 府 県 県 県 県 鳥 取 県 島 根 県 条 例 名 栃木県産業再生委員会条例 栃木県産業再生委員会条例の一部を改正する条例 埼玉県中小企業振興基本条例 埼玉県防犯のまちづくり推進条例 長野県治水・利水ダム等検討委員会条例 三重県生活創造圏ビジョン推進条例 三重県リサイクル製品利用推進条例 子どもを虐待から守る条例 岐阜県食品安全基本条例 都市との交流による農山漁村地域の活性化に関する条例 京都府犯罪のない安心・安全なまちづくり条例 大阪府における銀行業等に対する事業税の課税標準等の特例に関する条例 落書きのない美しい奈良をつくる条例 滋賀県環境学習の推進に関する条例 ひろしま教育の日を定める条例 岡山県中山間地域の振興に関する基本条例 鳥取県暴走族根絶条例 鳥取県民に迷惑をかける犬又は猫の飼育の規制に関する条例 島根県中山間地域活性化基本条例 しまね教育の日を定める条例 島根県附属機関等の設置及び構成員の選任等に関する条例 香 川 県 香川県における県外産業廃棄物の取扱いに関する条例 徳 島 県 とくしま教育の日を定める条例 高知県合併処理浄化槽設置推進に関する条例 高知県放置自動車の発生の防止及び処理の推進に関する条例 高知県暴走族等の根絶に関する条例 高知県緊急間伐推進条例 高知県うみがめ保護条例 あったか高知観光条例 愛媛県漁業者等ホルマリン使用禁止等条例 高 知 県 愛 媛 県 6 (2) 委員会活動の充実 ① 参考人制度の活用状況(平成 11 年∼16 年) 参考人制度は、平成 11∼16 年でみると、毎年約半数の都道府県議会で活用され ており、参考人の6年間の延べ人数は 1,079 人となっている。 議会数 委員会数 17 19 22 23 21 22 31 64 80 97 82 133 平成 11 年 平成 12 年 平成 13 年 平成 14 年 平成 15 年 平成 16 年 合 ② 計 参考人の 延べ人数 111 197 189 182 172 228 1,079 議会改革の一環として次のような委員会改革が図られている。 議会数 3 1 知事に対する政策提言 請願提出者の願意聴取と現地調査 「知事に対する政策提言」の方法は、1議会が政策討論会議、1議会が常任委 員会、1議会が特別委員会で提言を取りまとめ、いずれも提言書として知事及び 関係部局に提出している。 (3) 議会事務局の体制整備 分権時代に対応した議会の補佐機能を果たすため、次のような議会事務局の体 制整備が図られている。 法務部門の設置・充実 調査専任職員の配置、調査部門の独立等 衆・参議院事務局との人事交流、研修の実施 7 議会数 6 4 3 3 監視機能の強化 監視機能の強化としての取組みとしては、決算審査の充実、執行部との関係の改善等 が実施されている。 (1) 法 96 条2項の活用による議決事件の拡大 平成 16 年 12 月議会終了までに以下の 11 県が、県行政に関する基本的な計画を議 決事件に追加している。その後、平成 17 年2月議会で福島県が議決している。 都道府県 青 森 県 岩 手 県 宮 城 県 神奈川県 埼 玉 県 三 重 県 岐 阜 県 香 川 県 福 岡 県 長 崎 県 熊 本 県 条 例 名 青森県行政に係る基本的な計画の策定等を議会の議決すべきものとして定め る条例 県行政に関する基本的な計画の議決に関する条例 宮城県行政に係る基本的な計画を議会の議決事件として定める条例 神奈川県行政に係る基本的な計画を議会の議決事件として定める条例 埼玉県行政に係る基本的な計画について議会の議決事件等と定める条例 三重県行政に係る基本的な計画について議会が議決すべきことを定める条例 岐阜県行政に係る基本的な計画の議決等に関する条例 香川県行政に係る基本計画の議決等に関する条例 福岡県行政に係る基本的な計画を議会の議決事件として定める条例 長崎県行政に係る基本的な計画について議会の議決事件と定める条例 熊本県行政に係る基本的な計画の策定等を議会の議決事件として定める条例 (2) 本会議運営等の改善 わかりやすい傍聴に配慮するなど、次のような本会議運営の改善を図っている。 また、予算審査の充実を図るために、決算審査を重視する動きもでてきている。 ① 本会議運営の改善 議会数 4 2 一問一答方式の導入 再質問の回数制限の見直し ② 予算特別委員会の設置 議会数 22 予算特別委員会の設置(条例設置) ③ 決算特別委員会の設置 議会数 47 決算審査特別委員会の設置 平成 13 年以降、次年度予算への反映のため決算認定の時期を早めるなど決算審 査の迅速化を図っているところがみられる。(12 議会) なお、三重県は、予算と決算を同一の特別委員会で審査することとしており、 「予算・決算特別委員会」を設置している。 8 4 その他の取組み (1) 議会の政策決定に関する取組み 知事を始めとする執行機関との間に緊張感ある関係を築き、本会議等を通じて徹 底的な政策決定に係る議論を行う動きが見られる。 議会数 1 3 17 政策討論委員会の設置 本会議場での対面式演壇の採用 議員研修会等の開催 (2) 議員への情報提供に関する取組み IT を使い、迅速に政務調査参考資料などの情報提供を行う動きが見られる。 議会数 11 15 全議員にパソコンを貸与 各会派にパソコンを貸与 (3) 議員報酬の削減 現在、30 議会が、今日の厳しい財政状況にかんがみ、議員報酬条例を改正し暫定 的に削減を行っている。 9