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小企業でも社債が発行できる少人数私募債の活用

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小企業でも社債が発行できる少人数私募債の活用
小企業でも
社債が発行できる
少人数私募債の活用
資金調達
Ⅰ 短期間・低コストで資金調達が行える少人数私募債
1.少人数私募債の目的/2.少人数私募債のメリット・デメリット
3.少人数私募債の発行条件/4.発行すべきかの判断基準
5.少人数私募債を支援する補助金制度.
Ⅱ 少人数私募債発行準備のポイント
1.少人数私募債発行の流れ/2.募集要項の作成
3.取締役会での決議/4.事業計画書の作成
/5.申込者の勧誘
Ⅲ 少人数私募債発行手続のポイント
1.社債申込書の作成と受付/2.発行金額の決定
3.募集決定通知の作成と送付/4.申込金額の受領と入金確認
5.社債原簿の記録作成/6.社債申込証拠金預かり証の発行と送付.
Ⅳ 少人数私募債発行後行うべき手続
1.利払い日における利息の支払/2.利払いの際の税金処理
3.満期償還日における元金返済/4.借り換え手続の申請
資金繰り
小企業でも社債が発行できる
少人数私募債の活用
Ⅰ 短期間・低コストで資金調達が行える少人数私募債
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少人数私募債の目的
大企業は株式や社債の発行、銀行からの融資など、多様な資金調達方法がありますが、
中小企業は銀行からの融資により資金調達を行うケースが殆どです。この調達方法の違い
から、中小企業は資金調達で苦戦を強いられることが多くなります。そこで登場するのが
少人数私募債です。少人数私募債とは、中小企業が銀行を頼らない直接金融によって資金
調達が行える画期的な方法です。
2
少人数私募債のメリット・デメリット
少人数私募債は、金融機関からの融資と比べ多くのメリットがあります。少人数私募債
のメリットには、以下のようなものがあります
■少人数私募債のメリット
●担保が不要
●償還期間が決定できる
●実質的な金利を低く抑えられる
●審査が不要
●社債権者にとっては魅力的な金融商品
●金融機関からの信用力アップ
●社債管理者が不要
●信用保証協会への保証料が不要
●月々の返済が無い
●利率を自由に設定できる
●利息を損金(税務上の経費)扱いできる
●経営意識の向上
●社債権者の節税に貢献
●補助金の支給を受けることが出来る
●有価証券届出書または報告書が不要
●発行手続について費用が発生しない
■少人数私募債のデメリット
●償還時の資金負担が大きい
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●結果に対するプレッシャーが大きい
少人数私募債の発行条件
少人数私募債の発行には、以下の条件に該当しなければなりません。条件によっては誤
解しやすいものもあるので、詳細まで把握しておく必要があります。
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小企業でも社債が発行できる
少人数私募債の活用
資金繰り
■少人数私募債の発行条件
①法人であること
②社債購入を勧誘する対象者の人数が 50 名未満であること(適格機関投資家を除く)
③社債総額を1口の金額で割った口数が 50 未満であること
④少人数私募債に譲渡制限を設けること(多数の者に譲渡される恐れを少なくすること)
⑤告知をしない場合、発行総額を1億円未満にすること
■勧誘対象者の人数制限のイメージ
勧誘者の人数
50 人以上
49 人以下
公募
少人数私募債
■少人数私募債と公募の違い
少人数私募債
公
4
募
勧誘者の数
社債権者の数
49 人以下
必然的に 49 人以下になる
50 人以上
たとえ 49 人以下であっても勧誘者の人
数が 50 人以上であれば公募になる
発行すべきかの判断基準
社債はあくまで資金調達方法の一種であり、社債を引き受けてもらった後には必ず償還
期日(一括返済する日)を迎えることになるため、社債の発行は慎重に行わなければなりま
せん。特に以下の3点に注意して社債の発行を検討します。
■社債発行時の注意点
①償還期日の元金返済の見込みがあるか
②会社や社長に信用があるか
③積極的に会社の情報が開示できるか
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小企業でも社債が発行できる
少人数私募債の活用
資金繰り
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少人数私募債を支援する補助金制度
自治体によっては社債(少人数私募債)の発行に対して補助金の制度を設けているところ
があります。一般的には、社債を発行した場合に支払う利息を補助してもらえる制度が多
いようです。自治体によって担当している部署は異なりますが、産業支援などを行ってい
る部署が担当していることが多いようです。
社債の補助金の内容に関しても自治体によって異なりますが、補助金制度のある自治体
であっても、補助金をもらえる条件や補助金の支給内容は異なるため、細かい内容まで確
認する必要があります。
■事例
東京都足立区
補助金の内容
●少人数私募債の社債利息の支払の一部を補助
●東京都足立区内に引き続き1年以上法人登記を有する
補助対象者
●少人数私募債を発行することが初めてである
●中小企業基本法に規定する中小企業である
●補助対象額×補助率
※補助対象額:少人数私募債の発行額。ただし、金額の上限
補助金額
あり(上限金額 3,000 万円)
※補助率:年率2%。ただし、社債利息の利率が3%未満の
場合は、設定した利率から1%を差し引いた率
補助対象期間
問合せ先
●少人数私募債を発行した日から2年間(ただし、償還期間が
2年に満たない場合は、設定した償還期間)
足立区役所
中小企業支援課経営支援係
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小企業でも社債が発行できる
少人数私募債の活用
資金繰り
Ⅱ 少人数私募債発行準備のポイント
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少人数私募債発行の流れ
少人数私募債の発行は募集要項の作成、つまり「どのような社債を発行するのか」を決
定することから始まります。
■少人数私募債発行までの流れ
発行作業完了の
40 日前
社債券を発行する場合は
50 日前程度に開始
1.募集要項の作成
2.取締役会での決議
関係者、縁故者を中心に
選ぶ
3.引受人のリストアップ
発行作業完了の
35 日前
4.社債発行趣意書・事業計画書作成
発行作業完了の
30 日前
5.購入者の勧誘
(少人数私募債発行説明回開催)
発行作業完了の
20 日前
6.社債申込証の作成・受付
積極的な情報開⺬を
心掛ける
7.社債引受人の審査
慎重な審査を心掛け関係者
以外の例外を作らない
8.発行総額決定
この時点で初めて少人数
私募債の引受けが成立する
9.募集決定通知書の作成・送付
発行作業完了の
10 日前
10.申込金額の受領・入金確認
発行作業完了の
2 日前∼前日
11.社債申請証拠金預かり証の発行・送付
(社債券・利札の印刷・発行・送付)
発行作業完了
発行作業完了後
2∼6年
現金で持参する
場合もある
発行する場合は 10 日程度
をみておく
社債を管理する
重要な役割を持つ
12.社債原簿の記録作成
13.社債の償還(少人数私募債の完了)
この時点で少人数私募債の発行についての一連の作業は終わります。この後、社債の元金と利息を社債権者へ支払います。
また、10.申込み金額の受領・入金確認で社債発行会社の口座に入金されますが、あくまで預り金です。
12.社債原簿の記録作成を終え、初めて会社のお金として使うことができます。
少人数私募債は行政官庁への届出が不要であるため、自社のペースで発行の手続、作業を進めることができます。ただし、
5.購入者の勧誘、10.申込金額の受領・入金確認は相手のあることですから、十分に時間をとっておきます。
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資金繰り
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小企業でも社債が発行できる
少人数私募債の活用
募集要項の作成
少人数私募債の発行にあたり、まずは募集要項を作成します。募集要項は、社債発行に
関する様々な条件を記載したものです。勧誘対象者に社債の条件を提示し、社債の購入を
検討してもらうための書類です。
募集要項に記載する事項は、以下のようになります。
■募集要項に記載する事項
●会社の商号
●第三者譲渡の方法および譲渡制限
●社債募集総額
●社債の種類
●券面分割制限
●元利金支払場所
●社債の金額
●社債の利率
●発行価額
●償還金額
●社債償還の方法および期限
●利息の支払方法および期限
●中途換金(解約)の方法
●社債元利金請求権の事項
●申込期間
●募集方法
●払込期日
●払込銀行
●発行日
●申込取扱場所
勧誘の際、募集要項のみではなく、発行の趣旨を記載した社債発行趣意書を添付し説明
すると、勧誘される人に対して安心感を与えられます。
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取締役会での決議
少人数私募債の発行は、会社の運営上重要な事項であり、少人数私募債を発行するにあ
たっては、取締役会の承認を得る必要があります。また、取締役会を設置していない会社
は、株主総会で決議します。株主の過半数による承認が必要となり、この承認を得ないと
少人数私募債の発行が行えません。
取締役会の議事に関し、議事録を作成しなければなりません。議事録は会社運営の意思
決定の証拠となるため、その作成が義務付けられています。出席した取締役は議事録に署
名または記名押印しなければなりません。
議事録に必要な記載事項は、以下の2点になります。
●取締役会が開催された日時および場所
●取締役会の議事の経過の要領およびその結果
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資金繰り
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小企業でも社債が発行できる
少人数私募債の活用
事業計画書の作成
(1)社債券者への経営情報の開示
社債権者に経営情報を開示することは、会社法上要求されていません。しかし、社債権
者との信頼関係を強化するためには、やはり、会社の業績など情報を開示し、説明する必
要があります。情報開示は決して社債権者だけのためではありません。社債発行会社自身
にも良い効果を及ぼします。
■社債発行会社の情報開示によるメリット
●会社の現状を把握することができ、問題点がわかる
●今後会社として何をすべきか明確になる
●情報開示することにより、経営に対する責任感が強くなる
●会社内部に良い緊張感が生まれ、モチベーションが上がる
(2)会社の目指す方向を示せる事業計画書
社債発行会社は、少人数私募債を勧誘する際、事業計画書を作成し説明します。事業計
画書とは、文字通り事業の計画書のことですが、単なる計画を示すだけではなく、会社の
経営理念を盛り込むなど、会社の目指す方向性を記した書面です。社債発行会社の外部の
人にとっては、社債発行会社から事業計画書の説明を受けない限り、その会社の目指す方
向はわかりません。
せっかく事業計画書を作成しても、読み手に理解されなければ作成する意味がありませ
ん。事業計画書の構成は、以下のようになります。
■事業計画書の構成
①エグゼクティブサマリー(事業計画書の要約)
②会社概要
・沿革
・経営理念
・代表者の経歴
・株主の状況
・役員の状況
・組織の状況
③事業内容
・事業内容の概要
・商品説明、サービス説明
④社債発行の目的
⑤社債発行の資金使途
⑥市場分析
⑦競合分析
⑧自社分析
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資金繰り
小企業でも社債が発行できる
少人数私募債の活用
⑨販売計画
⑩設備投資計画
⑪人員計画
⑫利益計画
⑬資金計画
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申込者の勧誘
少人数私募債の勧誘対象者リストをもとに、勧誘を開始します。勧誘時には、募集要項、
社債発行趣意書、事業計画書を勧誘者に渡し、以下の点について説明します。
■勧誘時に説明すべき内容
●少人数私募債の制度の概要
●少人数私募債の発行条件
●集めた資金の使途内容
●今後の事業計画および資金繰り
少人数私募債は未だ一般的な認知度は低いので、知らない人も多いと考えられます。そ
のため、制度に関して十分に説明する必要があります。制度の説明は、まず「少人数私募
債は法にもとづいた制度である」ということから始めます。他には、元本保証ではない点
と、そのため利率が預金よりも高い点も必ず説明しましょう。
①個別に訪問して勧誘
一人ひとりに会うため、その分時間が必要になるデメリットがありますが、熱意が伝わ
りやすく引き受けてくれる可能性が高まるため、個別に勧誘する方法が一般的です。
②少人数私募債発行説明会を開催して勧誘
説明会は、一般に会社の会議室などで勧誘対象者全員を集めて行います。説明会に参加
した人は全員、勧誘したものとみなされます。
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小企業でも社債が発行できる
少人数私募債の活用
資金繰り
Ⅲ 少人数私募債発行手続のポイント
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社債申込書の作成と受付
(1)社債申込証の作成
社債申込証の作成は、会社法において義務付けられています。社債発行会社は勧誘後、
申込の意思を電話などで確認した後に郵送するなどします。あらかじめ社債申込証を作成
し、勧誘時に反応が良い申込者に対しては配布しておいても良いでしょう。
■社債申込証の記載事項
●申込人の住所および氏名
●発行会社の商号
●社債の総額
●社債の金額
●社債の利率
●社債の発行価額
●社債償還の方法および期限
●利息の支払方法および期限
●実際の社債応募金額が募集金額に達しない場合、実際の応募額を社債の総額とする旨
の注意書き
●最低券面額を複数の人によって共有で購入でき、その場合代表者を定める旨の注意書
き
(2)社債発行条件と趣旨の説明
「実際の社債応募金額が募集金額に達しない場合、実際の応募額を社債の総額とする」
の文言を記載することにより、応募金額が募集金額に満たない場合でも、社債の発行は有
効に成立し、社債の応募金額=社債の発行額となります。
この記載が無く、募集金額に満たない場合に社債を発行すると会社法違反となってしま
うので、記載漏れに注意しなければなりません。
2
発行金額の決定
(1)記載内容の確認と申込者の適格検査
社債申込証の記載に誤りがないとは限らないため、社債申込証の記載内容に誤りが無い
かを確認する必要があります。
具体的には「社債金額」、「口数」、「住所」、「氏名」、「押印」などの確認を行います。内
容に誤りが無ければ、申込者の審査を行います。審査と言っても探偵会社などを使う身辺
調査ではなく、会社にとって見ず知らずの人が紛れ込んでいないかという観点で確認しま
す。
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資金繰り
小企業でも社債が発行できる
少人数私募債の活用
(2)応募金額の集計と応募金額が募集金額を超えた場合の対応
申込者が基準を満たしていることを確認した後は、応募金額がいくらになるかを集計し
ます。応募金額が募集金額に満たない場合は、集計した額がそのまま社債の発行額となり
ます。
また、社債発行会社の応募金額が募集金額を超えた場合、以下のような対応をとります。
●募集金額の増額
●申込者のうち一部の人に減額要請をするか、断る
●次回の社債発行時に引き受けてもらう
3
募集決定通知の作成と送付
(1)募集決定通知書の送付
申込者の審査を経て、社債発行総額が決定されたら、申込者に対し、募集決定通知書を
送付します。申込者がこれを受け取ることにより、はじめて社債の引受けが決定します。
募集決定通知書は、決定金額を通知すると同時に、申込者に対し払込みを依頼する重要
な書面です。
(2)預り金専用口座の指定
申込者は、この通知書を受け取り、定められた期日までに、指定金融機関口座に引き受
けた社債の金額を振り込みます。
指定金融機関口座を決定する際、社債額の振込は、一種の預り金的要素が強いため、通
常業務で使用している口座とは別の預り金専用口座を指定します。通常業務で使用してい
る預金口座にすると、誰からいくら預かっているかを把握しづらくなります。
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申込金額の受領と入金確認
(1)確認すべき入金形態
募集決定通知を送付したら、それを受け取った社債権者から、社債金額が振り込まれま
す。社債権者が会社の関係者である特殊性を考えると、振込み以外に社債権者のもとに訪
問して社債金額を受け取ることや、社債発行会社へ社債権者が訪問してくるケースなど、
社債金額を受け取る場合のさまざまな入金形態を想定しておきましょう。
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資金繰り
小企業でも社債が発行できる
少人数私募債の活用
■予想される入金形態
●銀行振込
●社債権者が自宅で待っている
●社債権者が社債発行会社へ持参してくる
●社債権者が現金書留を送ってくる
など
●社債権者が小切手を送ってくる
(2)社債金額が振り込まれない場合
社債権者がただ単に振り込みを忘れている場合もあるため、まずは連絡を入れます。再
三の連絡にも関わらず、振込が無い場合は、他で引受けてもらえる人がいないか検討しま
す。また、既に少人数私募債を引き受けている人に対して、口数を増やすことが可能か打
診してみます。少人数私募債は有利な金融商品ですから、口数を増やしてもらえる可能性
は高いです。
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社債原簿の記録作成
(1)社債原簿の作成
社債発行会社は会社法上、社債原簿を作成し管理しなければなりません。
社債原簿の管理を徹底させる必要があります。社債原簿に記載する事項は以下の通りで
す。
●社債権者の氏名・住所
●社債の券面の種類・枚数・金額
●社債の取得年月日
●社債券の番号(社債券を発行していなくても番号は付す)
●社債の償還または譲渡した場合、その譲渡人の氏名・住所
(2)社債原簿の重要性
社債原簿は、社債利息を支払う際の情報であり、償還時の際も必要な情報が記載されて
いる大変重要な書類です。金庫などで管理を厳重に行う必要があります。社債原簿の記録
に関して間違いがあってはならないため、正確に記録する必要があります。また、管理担
当者の人選は慎重に行う必要があります。
社債券を発行しない場合は、この社債原簿が権利関係を証する書面となります。
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資金繰り
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小企業でも社債が発行できる
少人数私募債の活用
社債申込証拠金預かり証の発行と送付
社債権者から社債金額が入金されたら、入金金額に誤りがないか確認します。
そして、申込金額が入金されたことを証する書面である社債申込証拠金預り証を作成し、
社債券者に送付します。社債原簿と割印を押し、厳重な管理のもとで発行するようにしま
す。社債申込証拠金預り証に記載する事項は以下のようになります。
社債券を発行している場合は、社債発行日に社債申込証拠金預り証と引換えに社債券を
渡す場合もあります。
■社債申込証拠金預り証の記載事項
●申込金額の受領日
●受領金額
●社債の券面金額と枚数
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小企業でも社債が発行できる
少人数私募債の活用
資金繰り
Ⅳ 少人数私募債発行後行うべき手続
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利払い日における利息の支払
社債発行後、社債発行会社は社債権者に対し、募集要項で記載した日付に従って社債利
息を支払う必要があります。利息の支払い日の前に、社債利息支払通知書を送付します。
利息は、税金(源泉所得税、住民税利子割)を差し引いて支払います。源泉所得税は、法人、
個人を問わず行います。支払後は社債利息受取確認書を送付し、必要事項の記入後、返送
してもらいます。
2
利払いの際の税金処理
(1)利子等の支払調書を作成
社債利息を支払ったら、利息を支払者ごとに、以下の事項を記載した利子等の支払調書
を作成する必要があります。
■利子等の支払調書の記載事項
●申込金額の受領日
●受領金額
●社債の券面金額と枚数
(2)社債利息の税金の納付
社債利息の支払日の翌月 10 日までに源泉所得税は所轄税務、住民税利子割は都道府県
税事務所に納付しなければなりません。
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満期償還日における元金返済
(1)元金返済の資金をストック
償還とは、元金返済のを意味します。社債を発行する際、募集要項で社債を償還する期
限、つまり償還日を定めています。社債の場合、借入金と違い償還日になるまでは、社債
発行会社には利息のみの支払で元金の支払が原則ありません。そのため、借入金と比べる
と資金繰りは非常に楽だと言えますが、一方で償還日に一括で元金を返済しなければなら
ないため、資金を計画的にストックする必要があります。
(2)満期償還についてのお知らせ
償還する社債権者の情報は、社債原簿に記載されています。償還日が近付いてきたら、
社債原簿に記載されている社債券者に対して、満期償還についてのお知らせを送付します。
送付するのは償還日の1ヵ月前程度が目安となります。
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資金繰り
小企業でも社債が発行できる
少人数私募債の活用
(3)償還金が準備出来なかった場合の対応
当然のことながら、社債の償還時、資金が無いという状況は絶対に避けなければなりま
せん。しかし、懸命な経営努力にも係らず、償還資金が準備出来なかった場合、社債権者
に対して協力を仰ぎ、借り換えの手続を行います。借り換えとは、再度償還期日を設定し、
同じ社債権者の人たちに少人数私募債を引き受けてもらうことを言います。
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借り換え手続の申請
(1)借り換えの手続
社債発行会社が償還期日に社債を返済できない場合、社債権者にその旨を説明し承諾を
得たうえで、借り換え手続を行います。借り換え手続とは、償還不能となった社債を再度
引き受けてもらうことです。
いわゆる手形のジャンプのようなものです。借り換え手続により償還期限が延長される
ことになります。社債を償還する金額と、新たに発行する社債の引受け金額を同額にして、
金銭のやりとり自体は行いません。
(2)社債権者集会の開催
社債権者は社債発行会社を信用して社債を引き受けてくれているので、借り換え手続を
お願いする際、信用を損なわないように十分に会社状況の説明を行い、理解してもらう必
要があります。
社債権者が借り換え手続を引き受けてもらえるかどうかは、今まで築いてきた信頼関係
次第です。信頼を得るためには、下手に言い訳しない、質問に誠実に対応するなど、当た
り前のことに加えて事業計画書などを交付し、今後の展望を説明し今後返済可能であるこ
とを理解してもらう必要があります。
(3)社債権者集会での決議
社債発行会社は社債権者集会において、満期償還が出来ない理由や今後の事業展開を説
明し、借り換えの手続について社債権者から賛同を得る必要があります。社債権者集会、
借り換えなどの重要な事項の決議に関しては、出席者の3分の2以上の同意が必要です。
同意が得られない場合は、金融機関から融資を受け償還資金に充当する方法も考えなけれ
ばなりません。集会には相当の準備が必要となります。
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