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「介護」を育む緊急全国集会を開催

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「介護」を育む緊急全国集会を開催
特集
1
March Vol.26 No.12
「介護」を育む緊急全国集会を開催
「介護」
を育む緊急全国集会を開催
142万筆の署名集まる
届けこの声、政府へ、国会へ!
全老健は1月8日、東京・日比谷公会堂にて
幕を開け、本間達也副会長が司会を担当した。
「介護」を育む緊急全国集会を開催した。新年の
開会の挨拶で、東憲太郎会長はまず、新年の
松の内が明けた直後の寒い朝であったが、空は晴
多忙なこの時期に全国から集結した参加者に感謝
れ渡り、昨年 11 月に実施した「介護従事者の生
とねぎらいの言葉を述べ、
「医療と介護の連携こ
活と人生を守り、利用者へのサービスの質を確保
そが、これからの日本の高齢社会を支える源であ
するための署名」活動の集大成ともいえる本集会
る。そのためにも現在、厳しい条件のなかで懸命
へは、全国から現場の仲間たちのより切なる思い
に働く介護職員の方の給与も含めた社会的地位の
を託された 2,000 名を超える老健施設職員らが駆
向上が必要不可欠であり、国にはその責務があ
けつけた。
る」と強調。
「今日は、皆さんに介護の仕事は辛
本集会の趣旨に賛同する関係団体、衆参両院
くきついだけではない。むしろ楽しく、やりがい
の国会議員も多く参加し、その週末に控えた介護
のある仕事なのだということを声を大にして叫ん
報酬改定率の最終決定に向け、政府へ・国会へ最
でいただきたい」と会場に呼びかけた。
後のアピールを行うその様子は、多くの報道陣が
続いて登壇した平川博之副会長が、本集会の
取材し、新聞各紙、NHK をはじめテレビニュー
趣旨を説明した。本集会に先立ち昨年に実施され
スでも取り上げられた。
た署名は、わずか1か月という短い期間にもか
現場の危機感から必死の思い
関係者だけでなく国民全体へ
集会は全老健の四藏直人副会長の開会宣言で
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かわらず全国で計 142 万筆もの膨大な数を集め、
平川副会長は「これは、現場の危機感からくるや
むにやまれぬ必死の思いの現れ。この事実は極め
て重く、介護関係者だけでなく国民全体へも大き
東会長
平川副会長
四藏副会長
本間副会長
な意味をもつことと認識しなければならない」と
智大学の栃本一三郎教授による提言(提言内容
述べた。集会趣旨は以下の通り。
の詳細は 14頁に記載)を経て、折茂賢一郎副会
<集会趣旨>
全老健は、前回の実質マイナス改定、
そして今回でもマイナス改定が実施さ
れれば、多くの老健施設の経営は危機
的状況となり、国民の介護を担う体制
が崩壊すると強く危惧している。
介護職員等の適切な給与体系を可能
にするには、介護報酬の増額改定が前
提となるべきである。そこで、次年度
予算が確定するこの時期に、全老健の
呼びかけにより介護現場で働く者が一
同に会し、この思いを、声を、国会・
官庁に、さらには国民に届けるべく全
国集会をここに開催する。
本集会へは39関係団体の賛同
約100名の国会議員の応援を受ける
国際医療福祉大学大学院の中村秀一教授、上
長が進行を代わり、賛同団体の紹介を行った。
本集会へは 39団体の賛同を得ており、代表し
て公益社団法人日本医師会をはじめとする 7団
体が挨拶の言葉を述べた(各団体の挨拶は 15頁
以降に概要を記載)
。
続いて行われた、応援メッセージを述べる国
会議員の紹介を、老健連盟の内藤圭之副委員長
が担当した。
挨拶に立った老健連盟の手束昭胤委員長が、
全老健とともに取り組んできたこれまでの介護
従事者の人材確保と処遇改善のための要望活動
を振り返り、
「まだまだ現場の悲鳴が行政へ届
いていない。現行の介護報酬でさえすでに限界
を超えているのに、ここでさらに介護報酬が引
き下げられるようなことがあれば、日本の介護
は完全に崩壊してしまう。単に表向きの財政上
の理由だけで介護報酬を引き下げることには、
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特集
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March Vol.26 No.12
老健連盟の手束委員長
老健連盟の内藤副委員長
「介護」を育む緊急全国集会を開催
三根副会長の音頭で頑張ろうコール
頑張ろうコールは参加者全員で
いただきたい」
(沖縄県・介護老人保健施設パー
しているといわざるをえない。
クヒル天久)と述べると、会場より「そうだ!」
全老健は、今後とも未来に向け「介護」をよ
との大きな同意の声が上がり、それをきっかけ
り豊かに育むための要求活動を継続していく姿
に、発言の途中にもかかわらず拍手がわき起
勢だ。
こった。
その後、老健連盟の成尾洋之副委員長が「現
場の頑張りだけでは介護報酬は上がらない。必
介護従事者が生の声を届けた
最後まで断固として反対したい」と、その決意
老健連盟の成尾副委員長
介護従事者の声を代弁すべく登壇したのは、
要なのは力と団結。われわれは最後まで頑張る
所存である」と述べ、
「緊急集会宣言」を読み
上げた(右参照)
。宣言は大きな拍手とともに
を熱く語った(与党議員からの応援メッセージ
昨年の緊急署名活動に精力的に取り組んだ全国
は 17 頁以降に記載)
。
の支部を代表し、福島県・東京都・大阪府・沖
最後に、
「頑張ろうコール」の指揮をとったの
本集会に列席した約 100 名の国会議員、議員
縄県の老健施設職員の方々。このセッションの
は全老健の三根浩一郎副会長。三根副会長は、
事務所を、全老健人材対策特別委員会 人材確
進行を全老健総務・企画委員会 総務部会の小
保部会の荒舩丈一部会長が紹介した。荒舩部会
川勝部会長が担当した。
満場一致で採択された。
「介護の明るい未来のため、この会場の裏にある
厚労省、またその裏の財務省、さらにその向こう
長は国会議員からの応援メッセージへの謝辞を
途中、まさに介護報酬をめぐる最後の攻防の
の首相官邸にまで届くように」と呼びかけ、
「頑
述べ、
「われわれ介護従事者と事業者を、今後
最中を抜け、衛藤晟一内閣総理大臣補佐官、自
張ろう!」の音頭をとり、集会を締めくくった。
とも強力にご支援いただきたい」と訴えた。
由民主党の細田博之幹事長代行の両氏が駆けつ
介護報酬引き下げは、現場の士気
を下げる。いまこそ一致団結を!
壇上に立った議員からは、皆、口々に「介護
の仕事は魅力ある仕事であると現場が誇りをもち、
け、衛藤氏の「何とかプラスマイナスゼロまで
もっていくべく、いま、自民党幹事長や政調会
長、厚労大臣・財務大臣との最終段階の打ち合
わせにおいて、懸命に努力している」との弁に
は、会場から大きな拍手が巻き起こった。
超高齢社会を支える介護の基盤
づくりは、いまにかかっている
政府は1月 11 日、介護報酬 2.27%引き下げを
閣議決定した。
2025 年、団塊の世代が 75 歳以上となり、世界
安心して将来の夢と希望が語れるようにしなけれ
また、壇上で老健施設職員が「われわれ介護
がかつて経験したことのない超高齢社会を迎える
ばならない。ともに頑張りましょう」と、現場で
職員は全国各地の現場で、サービスの質の向上
まで、もはや猶予は 10 年しかない。いまこそそ
働く介護職員へのエールが送られた。続く全国の
をめざしスキルを積み、自身の能力の底上げを
のための安心・安全な介護の基盤づくりを固めな
介護従事者たちの生の声が、その呼びかけをさら
すべく日夜努力をしている。次は国がわれわれ
ければならないときであるのに、一方で介護報酬
に現実感あるものとした。
の処遇の改善に目を向けた取り組みを実行して
はマイナス改定という国のこの決断は、甚だ矛盾
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<緊急集会宣言>
本集会は、先の署名活動で集められ
た 140 万人を超える魂の叫びを受けて、
「介護従事者の処遇改善」と「介護サー
ビスの質の確保」を求めるものです。
私たちは、介護にたずさわる者とし
て、自分の仕事に誇りと情熱を持ち、
現場で働き続けるため、
1.
「介護・障害福祉従事者の人
材確保のための介護・障害福祉
従事者の処遇改善に関する法
律」の趣旨に基づき、介護従事
者の人材確保や処遇改善につな
がる施策が講じられること。
2.介護サービスの質を確保する
ため、平成27年度介護報酬改定
における介護報酬の増額。
以上2点を強く求めることを、ここ
に宣言します。
平成27年1月8日 「介護」を育む緊急全国集会
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