Comments
Description
Transcript
国民生活審議会 総合企画部会 第5回 国民生活における安全・安心の
国民生活審議会 第5回国民生活における安全・安心の確保策に関する検討委員会 議事要旨 1.日時 平成 19 年 3 月 19 日(月)14:00∼16:06 2.場所 三田共用会議所 第3特別会議室 3.出席者 (審議会委員) 小早川委員長、岩田委員、岡本委員、蒲谷委員、瀬尾委員、角田委員、鶴岡委員、中尾委員、 中西委員、廣瀬委員、本田委員、升田委員、山岡委員、山本委員 (説明者) 浦川早稲田大学大学院法務研究科教授 (各省庁等) ※質疑対応のため出席 総務省(消防庁) 幸田 総務課長 文部科学省 前谷 スポーツ・青少年局企画・体育課長補佐 独立行政法人国民生活センター 山形 情報分析部長 他 (事務局) 西国民生活局長、竹林大臣官房審議官(国民生活局担当) 、堀田大臣官房審議官(国民生活局 担当) 、川口総務課長、岩崎企画課長、井内消費者企画課長、西村消費者調整課長、高安総務 課調査室長 他 4.議題 ○ 「苦情相談情報の効果的活用のための検討会議」の検討結果について ○ 事故情報の収集・活用における新たな官民の役割分担について 5.会議経過 (1)審議の流れ 「苦情相談情報の効果的活用のための検討会議」の検討結果について 浦川教授より、 「資料2−1 「苦情相談情報の効果的活用のための検討会議」報告書(概 要) 」に基づき説明の後、意見交換。 事故情報の収集・活用における新たな官民の役割分担について ① 事務局より、リコールの在り方について、「資料3−1 リコールに関する我が国の状況につ いて」及び「資料3−2 リコールに関する我が国の状況について(一覧表)」に基づき説明。 ②「資料4 リコールの在り方についての今後の方向性と官民パートナーシップ」に基づき、 廣瀬委員・升田委員より説明の後、意見交換。 1 ③ 小早川委員長より、委員会での意見も参考にしつつ、廣瀬委員・升田委員からの提案「資 料4 リコールの在り方についての今後の方向性と官民パートナーシップ」を基本に報告書 の原案を作成することについて提案があり、了解が得られた。 ④ 事務局より、関係機関等による事故情報の収集・活用について、 「資料5−1 関係行政機 関による事故情報の収集・提供体制の現状」及び「資料5−2 関係行政機関による事故情 報の収集・提供体制の現状(一覧表) 」に基づき説明。 ⑤「資料6 事故情報の収集・活用における新たな官民の役割分担」に基づき、角田委員・山 本委員より説明の後、意見交換。 ⑥ 小早川委員長より、角田委員・山本委員の、安全安心のための書き込み自由の事故情報デ ータバンク(仮称)の仕組み作りを含めた提案「資料6 事故情報の収集・活用における新 たな官民の役割分担」を基本とし、更に必要な詰めを行いながら報告書の原案を作成するこ とについて提案があり、了解が得られた。 (2)主な意見等 「苦情相談情報の効果的活用のための検討会議」の検討結果について <浦川教授説明(資料2−1)> ○ 悪質事業者の処分・指導の必要性、製品事故等への迅速な対応などのため、国の行政機関 への苦情相談情報の提供の重要性は高まっており、PIO-NET 端末を設置し情報の閲覧を可能 とすべきである、というのが最終的な結論である。その前提条件として、国の行政機関への 端末の設置に当たっては、一定のルールが必要であるとされた。 ○ 苦情相談情報の効果的活用にあたっての課題として、情報収集の迅速化があげられる。 <委員からの意見> ○ 消費生活センターの相談員が苦情を受け付けてから PIO-NET に登録されるまでの日数が、 平均 60 日程度要している理由は何か。 →(国民生活センター)相談員が記録するデータを各自治体において文書化するに当たって 相談員や自治体職員が内容をチェックすることや、国民生活センターに送付するに当たっ て決裁を取っていることなどが主な理由となっている。 ○ 通常の情報と緊急情報とを分けて情報発信することについて、どのように考えているか。 →(国民生活センター)死亡・重篤事故情報は3日以内に送ってもらうよう消費生活センタ ーに依頼している。 その情報を緊急に国民に情報提供する必要があるかどうかについては、 毎週会議を設けて判断しているところ。 2 ○ 企業が情報にアクセスする可能性について、どのような議論がなされたか。 → 検討会議は、あくまでも国の行政機関における苦情相談情報の効果的活用をテーマとし ていたため、その点についての実質的な議論はなかった。 ○ 苦情相談情報の中でも、特に、各事業者の製品等に関する情報の信憑性について、どのよ うな議論がなされたか。 → 苦情相談情報の受け手側である行政機関は、守秘義務があることに加えて、情報の信憑 性について十分考慮したうえで慎重に情報を扱うという前提で議論を進めてきた。 事故情報の収集・活用における新たな官民の役割分担について ①リコールの在り方について <廣瀬委員・升田委員説明(資料6)> ○ 明治以来の公法的規制は良い面をもつ。近年の傾向として、自主的リコールと公法的規制 が組み合わされる例が増加。広い意味での官と民の協働は、特定商取引法等で見られる傾向 と同様の傾向である。 ○ 回収率100%までリコールを行うかという点に関して、危険な製品については最後の一 つまでという発想が大切である。 ○ 修理業者等が関わった後に事故が起きた場合など、関係事業者間の責任の分担が問題とな る場合がある。1970年代からドイツでリコールが重視されるようになった背景には、メ ーカー等関係者の分業化、アウトソーシングが進んだために、危険な製品についての責任が はっきりとわからなくなった点があるといわれる。 こういった法的責任の明確化が特に重要。 ○ 消費者契約法の改正によって団体訴権がはいり、消費者団体が約款等の差し止めができる ようになりつつあるが、危険な契約だけではなく、危険な商品が世の中に出回らないように 差し止めができるような法制度を検討する必要がある。 ○ ヨーロッパでは、一般的な製品安全指令があり、事後的な製造物責任法とワンセットにな っているが、我が国においても、一般に市場におかれた製品は安全でなければならないとい う事前規制の一般法を整備し、そのなかでリコールを位置づける必要があるのではないか。 ○ 団体訴権制度を拡張するかどうかとは別に、消費者団体やNPOがリコール懈怠事業者に 積極的に働きかけることが必要ではないか。 ○ 多数のリコール情報が社会で冷静に受け取られているか。消費者が無関心になっている傾 向があるのではないか。 3 ○ 法律が自主リコールの要件を定めている場合には抽象的な規定が多く、事業者に広範な裁 量が認められる。実際には、事故の態様・原因は多様かつ複数な場合が多く、リコールに関 する社会的判断基準はなお形成途上である。 <委員からの意見> ○ 所管する法律により権限は限定される場合があるが、行政機関が消費者の苦情を直接受け 付けることは重要。苦情の分析官を多くし、国が直接苦情に対処する体制を整備すること、 及び、国がどのように対処したのかがもう少し明らかとなることが必要である。 ○ 大量かつ分業化された製品の安全に関する法的仕組みは不十分。リコールについても保険 制度やシステム全体で対応する枠組みが必要。 ○ 事業者の内部にきちんとした危機意識がなく、リコールが形式的に行われているのではな いか、と感じるケースがある。 ○ 安全監視義務について、1980年代ドイツには、流通後にメーカーが回収する義務を怠 ったなどとして損害賠償責任があるとした最高裁判決がある。日本でいう民法第709条の 不法行為に当たるBGB第823条第1項に基づく交通に関する社会生活上の安全義務のよ うな責任が拡大したもの。 ○ メーカーは、製品を売っただけでよいのではなく、自分の製品が市場でどのように使われ ているかを常時監視し、 危害があるなどの場合に必要な情報を消費者に提供する義務がある。 その義務を怠れば不法行為責任を負うということは、我が国においてすでにある種の裁判で は認められている。 ○ 製品安全に関わるトラブルには、メーカー、販売業者、修理業者という3つの分野の事業 者が関わるものがあるが、どの業者もトラブル情報を入手しうる点で、流通後の安全監視に ついては責任を負うべきである。流通後の安全監視について個別法によって責任のあり方が 分かれている状況があり、法的整理を含めて整備する必要がある。 ○ 消費者がせめて社告をチェックする意識を育てるよう、安全に関する消費者教育を推進す る必要があるのではないか。 ○ 耐用年数とリコールの関係は今後の検討課題。耐用年数を超えた場合の事故について、過 失相殺や誤使用はありうるが、現段階の考え方によれば、誤使用と考えることには慎重でな ければならない。 ②関係機関等による事故情報の収集・活用について <角田委員・山本委員説明(資料6)> 4 ○ すべての事故情報を網羅的に収集する場が必要だが、現状はそのような場がない。このた め誰でも自由に事故情報を入力できるホームページを設置することが必要と考えた。 ○ 一定のフォーマットのもと、記入してもらうだけではなく、自由に書き込める欄も設ける ことが必要ではないかと考えられる。 ○ 安全安心のための書き込み自由の事故情報データバンクの情報を閲覧できる主体は、本来 であれば誰でも自由に閲覧できることが理想であるが、国民生活センターの「トラブルメー ル箱」においては、信頼できる第三者のみが見ているということで安心して書き込めるとい う面もある。このため、当面は、関係行政機関だけがこの情報を活用するとしているが、相 談者名等の情報は伏すなどして、将来的には消費者団体、弁護士会や、更には事業者、国民 一般も活用できるようにする必要があると考える。 ○ 収集した情報の分析について、関係する省庁がない事故情報については、国民生活センタ ー等の分析機関が分析を行い、関係行政機関や企業、消費者にその分析結果を提供するとと もに、関係する省庁がある場合には、当該省庁が分析した結果を国民一般が容易にアクセス できるような形で公表することが望ましいと考えられる。 <委員等からの意見> ○ 国民がきちんと事故情報を入力してくれるのか。また、入力された事故情報を関係行政機 関がきちんと活用することが必要である。 ○ 誰でも自由に書き込めるとなると、ある企業が競争業者を排除しようとして、誹謗中傷等 の情報を書き込んだりすることも考えられるのではないか。このシステムを運営する管理者 は、入力された情報をきちんとチェックする体制を採ることが必要である。このペーパーに よると、閲覧できる主体は、当初は関係行政機関のみとのことだが、企業も閲覧できるよう にしてもらいたい。同時に生情報を閲覧できるだけでなく、情報を解析するソフトも取り入 れて欲しい。 ○ 現状では、事故情報を知った国民は、どこに相談してよいのか分からないと思うので、こ ういった国民が相談しやすい仕組みを作ることはとても意義がある。最近発生した北陸電力 の放射能漏れの事故なども内部告発により国民の知ることとなった。こういった内部告発の 情報等いろいろな情報が集まりやすいような仕組みを作る必要がある。 ○ このシステムの運営機関は、収集した情報をきちんと分析する能力を持った機関で、国民 の信頼が得られ、かつ業界と距離を置いた中立的な機関である必要がある。そういう点から すると、国民生活センターが運営する方が国民の共感を得られやすいではないかと考えられる。 ○ 事故情報には2つのタイプある。1つは、故意、意図的に事故情報を隠そうとするもの。 もう1つは、過失・ミスで発生した事故で、当事者もその事故情報に気付いていないという 5 もの。それぞれのタイプでは、事故情報の収集、活用の仕方が異なると思うので、システム の制度設計に当たってはこれを念頭に慎重に検討する必要があるだろう。 ○ 消防庁が構築予定の事故情報データベースでは、収集したヒヤリハット情報は誰でも見る ことができるが、情報を入力するのは消防職員に限定している。こういったデータベースも 今回提示されたデータベースに加えて構築することも検討したらどうか。また、収集した情 報の分析については、統計的に分析することが困難であるならば、入力された日本語の文法 構造や頻度などを手掛かりに分析することが可能なソフトがあり、それを使うというのも一 計ではないか。 ( 以 上 ) ( 配 布 資 料 ) 資料1. 第4回委員会における主な意見 資料2−1. 「苦情相談情報の効果的活用のための検討会議」報告書(概要) 資料2−2. 「苦情相談情報の効果的活用のための検討会議」検討結果 資料2−3. 「苦情相談情報の効果的活用のための検討会議」報告書 資料3−1.リコールに関する我が国の状況について(事務局説明資料) 資料3−2.リコールに関する我が国の状況について(一覧表) (事務局説明資料) 資料4. リコールの在り方についての今後の方向性と官民パートナーシップ (廣瀬委員・升田委員説明資料) 資料5−1.関係行政機関による事故情報の収集・提供体制の現状(事務局説明資料) 資料5−2.関係行政機関による事故情報の収集・提供体制の現状(一覧表) (事務局説明資料) 資料6. 事故情報の収集・活用における新たな官民の役割分担 (角田委員・山本委員説明資料) 資料7. インターネット・シンポジウム「身近な場における安全・安心」パネ リスト等からの主な発言 資料8. 主要論点に関するこれまで(第2回∼第4回)の審議の概要 資料9. 「国民生活における安全・安心の確保策に関する検討委員会」検討スケ ジュール(案) 以 上 ※本議事要旨は、議事の内容を事務局の責任でとりまとめたものです。 ※本議事要旨は、暫定版のため、今後、修正があり得ます。 [問い合わせ先] 内閣府国民生活局総務課 TEL:03−3581−0385 内閣府国民生活局企画課 TEL:03−3581−2483 6