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超高層ビルを支える性能とその信頼性

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超高層ビルを支える性能とその信頼性
目次
02
04
10
写真
社会に役立つ構造設計を目指して
鈴木研一
(表紙、P10∼11、P19、P34)
堀内広治
(P12∼ 13)
川元斎
(P16 2段目左)
篠澤裕
(P16 3段目左、P17、P26、P27)
村井修
(P16 4段目左)
庄野啓
(P16 5段目左)
東出清彦
(P22)
古田雅文
(P24)
石黒守
(P25)
エスエス東京
(P28、P29、P36上)
独立行政法人防災科学技術研究所 地震のメカニズムと安全へのソリューション
最先端の建物を支える確かな構造技術
12
ミッドランド スクエア&東京ミッドタウン
18
モード学園スパイラルタワーズ
超高層ビルを支える性能とその信頼性
自由な形態と構造デザイン
22
大阪弁護士会館&淀屋橋山本ビル&コウヅキキャピタルウエスト
軽やかなデザインの系譜
26
30
汐留住友ビル&飯田橋ファーストビル・ファーストヒルズ飯田橋
異なる機能や構造形式を重ねる̶̶中間層免震構造
独立行政法人防災科学技術研究所 兵庫耐震工学研究センター E-ディフェンス
前例のない設計条件に対応する
34
愛知県庁本庁舎&東本願寺 真宗本廟 御影堂
伝統建築の歴史的価値と耐震性能の調和
38
新タワー
兵庫耐震工学研究センター提供
(P30、P33)
東京大学提供
(P31)
エスエス大阪
(P33上)
米倉栄治
(P36下)
(財)
文化財建築物保存技術協会提供
(P37右)
エスエス名古屋
(P45)
沈忠海
(P46下)
高さと機能美の両立
40
42
Nikken Sekkei Technology
42
43
44
45
46
47
挿絵
大泉楯 P40∼41
(うち東京タワー、
千葉ポートタワー、
さいたまスーパーアリーナは
『
「広さ」
「長さ」
「高さ」
の構造デザイン』
より転載)
(2007年建築技術発行)
構造の系譜
耐震診断、
耐震改修
地盤・基礎技術
解析技術
環境技術
海外プロジェクトの構造設計
表紙:モード学園スパイラルタワーズ
Cover : Mode Gakuen Spiral Towers
執筆者プロフィール
Contents
02
04
10
Pursuing Structural Designs that Benefit Society
Earthquakes and Safety Measures
Solid Structural Technology to Support Advanced Buildings
12
Midland Square and Tokyo Midtown
18
Mode Gakuen Spiral Towers
22
26
30
34
38
Structural Design to Support Super High-Rise Buildings
Innovative Forms and Structural Design
Osaka Bar Association Building, Yodoyabashi Yamamoto Building, and Kozuki Capital West
Technologies for Sophisticated Design
Shiodome Sumitomo Building and Iidabashi First Building/First Hills Iidabashi
A Combination of Different Structural Styles
Hyogo Earthquake Engineering Research Center "E-Defense"
Meeting Unprecedented Design Conditions
Main Building of Aichi Prefectural Government and Goeido of Higashi Honganji Temple
Historical Design and Seismic Reinforcement: Maintaining a Balance
New Tower
Height and Beauty in Perfect Balance
40 Structural Design Chronology
42 Nikken Sekkei Technology
42 Evaluation of Seismic Capacity and Earthquake Retrofitting
43 Ground Technology
44 Analytical Technology
45 Environmental Technology
46 Overseas Structural Design Projects
47 Authors
発行
C 2008年4月
〒102-8117 東京都千代田区飯田橋2-18-3
Tel 03-5226-3030
URL http://www.nikken.co.jp
日建設計グループ
株式会社日建設計、
株式会社日建設計総合研究所
株式会社日建設計シビル、
株式会社北海道日建設計
株式会社日建ハウジングシステム
株式会社日建スペースデザイン
日建設計マネジメントソリューションズ株式会社
日建設計コンストラクション・マネジメント株式会社
株式会社ビルディング・パフォーマンス・コンサルティング
企画
日建設計グループ
「構造デザインの最前線」
企画委員会
小堀徹
(日建設計)
、
小野潤一郎
(日建設計)
、
阿波野昌幸
(日建設計)
、
杉浦盛基
(日建設計)
、
福島孝志
(日建設計)
編集
小高淳子
(日建設計) 豊田栄三
(日建設計)
諸隈直子
(日建設計総合研究所)
デザイン:太田徹也
制作:株式会社コスモ・ピーアール
印刷:欧文印刷株式会社
Published by
© NIKKEN SEKKEI LTD., April 2008
2-18-3 Iidabashi, Chiyoda-ku Tokyo 102-8117 Japan
TEL +81-3-5226-3030 (PBX)
URL http://www.nikken.co.jp
NIKKEN SEKKEI GROUP:
NIKKEN SEKKEI LTD., NIKKEN SEKKEI Research Institute,
Nikken Sekkei Civil Engineering Ltd.
HOKKAIDO NIKKEN SEKKEI Co., Ltd., Nikken Housing System CO., LTD.
Nikken Space Design Ltd.
Nikken Sekkei Management Solutions Inc.
NIKKEN SEKKEI Construction Management, Inc.
Building Performance Consulting Inc.
Planned by
NIKKEN SEKKEI GROUP "New Horizons in Structural Design" Planning Committee
Toru Kobori - NIKKEN SEKKEI LTD.
Junichiro Ono - NIKKEN SEKIKEI LTD.
Masayuki Awano - NIKKEN SEKKEI LTD.
Shigeki Sugiura - NIKKEN SEKKEI LTD.
Takashi Fukushima - NIKKEN SEKKEI LTD.
Edited by
Junko Odaka - NIKKEN SEKKEI LTD.
Eizo Toyoda - NIKKEN SEKKEI LTD.
Naoko Morokuma - NIKKEN SEKKEI Research Institute
Designed by
Tetsuya Ohta
Created by
Cosmo Public Relations Corporation
Printed by
OBUN PRINTING COMPANY, INC.
構造デザインの最前線
New Horizons in Structural Design
社会に役立つ構造設計を目指して
Pursuing Structural Designs that Benefit Society
構造計算書偽装事件以来、建築の構造設計に注目が集まっています。安心できる構造設計への注目度は、私たちもこれまで
経験したことのないものです。とはいえ、各地で地震が頻発する日本において、構造の重要性は今に始まったことではありません。
構造設計者の役割は、本来とても幅広いものです。建築の企画の段階からクライアントの皆様とご相談を重ね建物の性能について
議論させていただくところから始まり、多様な調査などをもとに設計方針、基本計画をまとめ、基本設計、実施設計を通じて
図面や計算書を作成し、さらに工事現場に携わり、竣工後も維持管理で皆様のお役に立つことができます。
この特集では、私たちの仕事の多様性をご理解いただくべく、様々なタイプの建物についてご紹介させていただきます。
これらの例から、構造設計者としての思想、哲学、知識、判断などがいかに大切であるかをご理解いただければと思います。
02
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
Today there is a much greater interest in reliable structural design than at any previous time in our experience. However,
the importance of structure is hardly new in Japan—a nation in which earthquakes frequently occur. The role of the
structural designer starts in the architectural planning stage, when ongoing discussions take place with the client about
the performance of the intended building. Then, the designer formulates a design policy and conducts basic planning
based on a variety of investigations. Drawings and calculation sheets are prepared for schematic design and design development. The designer visits the construction site and contributes to the ongoing maintenance of the building, even after
its completion. Thus, the structural designer is involved in many aspects of the architectural process.
In this volume, we introduce a variety of buildings to help you better understand the scope and scale of our assignments. Each of the following cases provides examples of the importance of the policy, philosophy, expertise, and originality that must be demonstrated by the individual structural designer.
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
03
地震のメカニズムと安全へのソリューション
Earthquakes and Safety Measures
め、これらのプレートが接する境界とその近傍では歪みが蓄積し、そのレベ
この二つのタイプの地震が建物や都市に与える影響について整理してみま
震、
台風など建物に一時的にふりかかる大きな力に対する安全性を考えなく
ルが限界を超えた時、
地殻がずれて地震が発生します。
しょう。
「プレート境界地震」
は、震源域が広く、地震規模もマグニチュード8
てはなりません。
中でも世界有数の地震国である日本では地震について知る
このようなメカニズムのため、各プレートが接している境界付近で地震発生
クラスと大きいため被害が広域にわたり、複数の都市が同時に甚大な被害
ことがとりわけ大切です。
ここではその地震についてご説明し、私たちが耐
の頻度が高く、世界の地震分布は下図のようになっています。
太平洋の周囲
を受けることになります。
また、このタイプの地震の揺れは長時間続くため、
耐震安全性について検討する際の建物側の特性を示す指標として「固有周
震設計についてどう取り組んでいるか、ご紹介します。
は太平洋プレートと他のプレートが接しているため“地震の巣”となってい
特に、平野部では、堆積層の影響によってゆらゆらと長い時間揺れる波
(長周
期」
があります。
固有周期とは、建物が右左と一往復揺れてもとの位置に戻っ
構造設計においては、建物自身の重さなど日常的に建物に作用する力や、地
地震のメカニズム
なり、
特に、
中低層建物の被害が大きくなると考えられています。
プロジェクトごとに地震の揺れを見極める
ますが、特に、日本列島近傍は、大陸側のプレートに太平洋プレートとフィリ
期地震動)が発生することが分かってきました。
このような地震を受けると
てくるまでに要する時間を言います。
一般的に高層建物ほど固有周期は長
ピン海プレートと呼ばれる二枚のプレートが沈み込む複雑な構造となって
高層建物は大きく揺れるため、その特性を適正に把握して耐震安全性を確
く、
高さ200m級の超高層ビルでは5秒程度になります。
地震発生のメカニズムについて考えるためには、まず、地球の構造からお話
おり、
地震環境としては大変厳しい状況にあります。
認することはもちろん、長時間の揺れに対する居住性や設備機器の機能維
一方、地震の揺れにも様々な周期の波が含まれています。
これは、音楽が低
しする必要があります。
地球は均質なボールではなく、中心から、核、マント
このような地域で発生する地震は以下の二つに大別されます。
一つは、接し
持などについても検討する必要があります。
音から高音までの様々な音によって成り立っているのと同じで、地震の揺れ
ル、地殻と性質の異なる物質で構成されています。
そのうちのマントルが高
ているプレートの境界面がずれることによって発生する地震で、このタイプ
一方、
「内陸直下地震」
の場合、
その規模は一般的にはマグニチュード7クラス
も周期の短い領域でパワーが強いものや逆に長周期領域でパワーが強いも
温でゆっくりと対流しているため、これに引きずられて表面にある地殻も
のものを「プレート境界地震」
と呼びます。
関東大震災や、最近よく話題にな
で、ある限られた地域における被害は甚大となるものの、その範囲は局所的
のなど、
それぞれ特徴があります。
地震と建物の関係としては、
地震のパワー
ゆっくり動いています。
実際には、マントルの対流と関係して地球の表面が
る南海地震や東南海地震などがこれに当たります。
もう一つは、プレートの
なものとなります。1995年の阪神淡路大震災においても神戸市三宮地区で
の強い周期帯と建物の固有周期が一致すると“共振現象”を起こして建物が
十数枚の板(プレート)となって相対的に移動しています。
つまり、地球は卵
表面に蓄積された歪みが開放される時に発生する地震で、
「内陸直下地震」
震度7の揺れとなりました。
このタイプの地震は震源域が小さく、揺れが発
大きく揺れることになります。
地震波の性質には敷地地盤も影響を与えるの
のように一枚の殻で覆われているのではなく、複数のプレートがマントルの
と呼びます。
阪神淡路大震災や最近の事例では、2007年7月に発生した新
生する領域が限られているため、主要動の継続時間が短い、いわゆる直下型
で、設計時には地震と地盤の条件を適切に考慮して建物の揺れ方を把握す
上に浮かんで、年に数センチずつ相互に動いているというわけです。
そのた
潟県中越沖地震が記憶に新しいところです。
の揺れとなります。
この場合、短時間で衝撃的な力が建物に作用することに
る必要があります。
ユーラシアプレート
Eurasian plate
ユーラシアプレート
Eurasian plate
世界の地震分布
プレート同士の境界付近に地震が集中している
フィリピン海プレート
Philippine Sea plate
Global distribution of earthquakes
太平洋プレート
Pacific plate
Earthquakes frequently occur around the boundaries
at which plates abut each other.
(出典:気象庁ホームページ)
Based on a Japan Meteorogical Agency website map
04
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
05
長周期地震動とは
What is long-period ground motion?
1995年 兵庫県南部地震※(観測点 神戸市)
1995 Hyogoken-Nanbu Earthquake※ (observation point: Kobe)
1000
加速度(Gal)
低層建物の設計では、基本的に建築基準法で規定された地震力を用いるの
小刻みな揺れ
Short-period waves
500
0
0
40
20
60
100
80
時間(秒)
Time (sec.)
×:震源 Epicenter
に対し、固有周期の長い高層建物や免震建物については、地震による揺れの
以上のような理念を実現するため、私たちは数年間かけて設計用入力地震
検証を慎重に行う必要があることから、
実際の地震波を用いた解析を行う必
動システムを開発しました。
このシステムでは、前述したような様々な条件
要があります。
こうした建物は前述したように「プレート境界地震」によって
における地震の揺れを簡便に算定することができるため、
数多くの設計案件
発生する長周期地震動の影響を受けやすいため、設計時には建設敷地に近
における耐震性能をプロジェクトごと個別に説明することが可能となり、耐
い
「プレート境界地震」
を想定して地面の揺れを求めます。
例えば、首都圏で
震性能に関する性能設計を推進することができます。
また、このシステムは
あれば関東地震、関西圏であれば南海地震や東南海地震によって建物がど
新築建物に適用できるだけでなく、
既存建物の耐震診断・耐震改修にも活用
のように揺れるかをコンピュータでシミュレートします。
また、
必要に応じて
「内陸直下地震」
のデータも採用しますが、その採否は、建物の重要度なども
-500
考慮した上、
プロジェクトごとに判断します。
神戸
Kobe
設計用入力地震動システムの導入
内陸直下地震
Inland epicentral earthquake
-1000
2003年 十勝沖地震(観測点 苫小牧市)
2003 Offshore Tokachi Earthquake (observation point: Tomakomai)
150
苫小牧
い、
建物ごと個別に耐震安全性を検証する必要があります。
できるものと期待されます。
もちろん難解な自然現象についてすべてのことがわかっているわけではあ
りません。
私たちは設計時に想定した建物の特性やシミュレーションの結果
を検証する目的で自社ビルに地震計を設置し、観測記録を分析することによ
り、建物の固有周期やシミュレーションに用いた解析モデルの妥当性などを
耐震性能の検討にあたって設計者が行うべきことは、まず、見込むべき地震
確認しました。
今後もデータを蓄積して地震と建物の関係をより明確にする
を選定し、地域ごとに異なる地盤条件も適切に反映して地震の揺れを評価
とともに、得られた知見を反映してより安全・安心な建物を社会に提供して
することです。
そして、得られた地震の揺れを用いてシミュレーションを行
いこうと考えています。
小堀徹・山根尚志
Tomakomai
加速度(Gal)
ゆっくりした揺れ
100
Long-period waves
地震の揺れ方と建物の揺れ方
How a building sways with different types of earthquake motion
50
0
0
60
内陸直下地震
プレート境界地震
(長周期地震動)
Inland epicentral earthquake
Plate-boundary earthquake
(long-period ground motion)
100
80
時間(秒)
Time (sec.)
-50
-100
プレート境界地震(長周期地震動)
Plate-boundary earthquake (long-period ground motion)
※震災の名称は阪神淡路大震災と呼ぶ。
-150
※Referred to as "the Great Hanshin-Awaji
Earthquake"
日建設計が開発した設計用入力地震動を用いて作成した模擬地震動
Nikken Sekkei's earthquake motion simulation system for structural design
内陸直下地震:大阪の直下型地震を想定した際の揺れ
神戸 Kobe
苫小牧 Tomakomai
Inland epicentral earthquake (active fault zone assumed to be beneath Osaka)
加速度︵
800
Amax = 626 Gal
︶
Gal
0
小刻みな揺れ
ゆっくりした揺れ
Short-period waves
Long-period waves
-800
0
50
100
150
200
250
時間(秒)
Time (sec.)
:南海地震を想定した際の大阪の揺れ
プレート境界地震(長周期地震動)
Plate-boundary earthquake (assumption of swaying in Osaka in case of Nankai Earthquake)
加速度︵
800
Amax = 334 Gal
︶
Gal
低い建物が揺れやすい
高い建物が揺れやすい
Low-rise buildings are more likely to sway
High-rise buildings are more likely to sway
0
「内陸直下地震」
は、
がたがたと小刻みに揺れ、
高層建物に比べ、
中低層建物に与える影響が大きくなります。
「プレート境界地震
(長周期地震動)
」
は、
大きくゆらゆらと長い時間揺れ、
高層建物の揺れ幅が大きくなります。
-800
0
06
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
50
100
150
200
250
時間(秒)
Time (sec.)
Inland epicentral earthquakes have short-period waves and are more likely to damage intermediate-sized and low-rise
buildings. Sway induced by plate-boundary earthquakes (long-period ground motion) persists for a longer period of time and high-rise buildings are more likely to sway.
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
07
Earthquakes and Safety Measures
sized and low-rise buildings are more likely to be heavily damaged.
In structural design, it is important to consider protection against
large forces that might impact a building in the event of an earthquake or a typhoon, as well as the everyday forces that act on the
building, including its own weight. Particularly in Japan, which frequently experiences earthquakes, it is important to have a strong
understanding of earthquake phenomena. Here, we explain about
the science behind earthquakes and the concept of aseismic
design.
Project-Based Sway Assessment
In studying earthquake safety, an important indicator for a building
is its "natural period." This term refers to the time taken by the
building to return to its original position after swaying. In general,
higher buildings have longer natural periods. In the case of a 200m-high superskyscraper, the natural period is around 5 seconds.
Various cycles of waves are contained in earthquake motion. In
this way, a seismic event resembles a musical tune, which is composed of various sounds ranging from low pitch to high pitch. An
earthquake is composed of different types of motion, some involving powerful short-period waves and others entailing strong longperiod waves. When the powerful periodic band of an earthquake
conforms to the natural period of a building, "resonance phenomena" are caused and the building sways considerably. The site
ground also influences the properties of seismic waves. Therefore,
it is necessary to understand how a building sways, taking due
account of both earthquake and ground characteristics during the
design process.
A high-rise building with a long natural period and a seismically
isolated building require careful examination of sway. In such cases,
it is necessary to conduct analyses using actual seismic waves. Such
buildings are vulnerable to the long-period ground motion caused
by plate-boundary earthquakes, so we apply the type of ground
motion that would be likely to occur in the event of an earthquake.
For example, we implement computer simulations to check how a
given building would have swayed in the Kanto Earthquake for the
Tokyo metropolitan area and in the Nankai and Tonankai Earthquakes for the Kansai region. We also apply inland epicentral earthquake solutions to buildings when appropriate. We make such decisions based on the nature of each project, taking the importance of
the building in question into account.
The Mechanism of Earthquakes
Our planet is not a uniform sphere but rather a globe composed of
elements that differ in nature—the center core, the mantle, and the
surface crust. The hot mantle experiences convection slowly at high
temperatures, and this forces the crust on the surface to move
incrementally. In fact, the surface of the Earth is divided into dozens
of plates that shift relative to the convection of the mantle. In other
words, the planet is not covered with a shell of crust like an egg but
with plates floating on the mantle that move several centimeters
each year. Consequently, frictional stress accumulates at the boundaries at which these plates come into contact with each other.
When the accumulated frictional stress exceeds a critical value, the
crust undergoes violent displacement to release this stress, triggering an earthquake.
This process frequently causes earthquakes around the boundaries at which the plates abut each other. The map on page 4 shows
the global distribution of earthquakes. Around the Pacific Ocean,
the Pacific Plate makes contact with another plate, producing an
"earthquake nest." Near the Japanese archipelago, the Pacific Plate
and the Philippine Sea Plate descend beneath the continental plate.
This complex structure creates very severe seismic environments.
Earthquakes occurring in this region are roughly classified into
two types. A plate-boundary earthquake is triggered by two plates
that cause a displacement through which they release frictional
stress. The Great Kanto Earthquake, as well as the Nankai and the
Tonankai Earthquakes are examples of this type. The second type is
known as an inland epicentral earthquake, and results from a
release of accumulated stress on a plate surface. This type is represented by the Great Hanshin-Awaji Earthquake and the more recent
Chuetsu-oki Earthquake, which occurred in Niigata Prefecture in
July 2007.
The plate-boundary earthquake, which has a wider focal region
and a larger magnitude (typically of around 8) causes widespread
heavy damage to cities. The motion induced by this type of earthquake persists for long periods. Particularly on plains, waves continue to propagate for a long time (long-period ground motion) due
to the effect of the sedimentary layer. When such an earthquake
occurs, high-rise buildings undergo considerable swaying. Therefore, we need to check inhabitability in the event of long-lasting
sway, as well as the functional status of facilities and equipment. It
is also important to examine earthquake safety by properly identifying the characteristics of a given building.
On the other hand, inland epicentral earthquakes generally have
a magnitude of around 7. Although the damage caused in a limited
area can be extensive, the scope of the damaged area is less widespread. In the Great Hanshin-Awaji Earthquake of 1995, ground
motion with a seismic intensity of 7 hit the Sannomiya area in Kobe.
This type of earthquake, with its smaller focal region, causes ground
motion that is limited in scope. The principal motion lasts for a short
period, which is typical of epicentral earthquakes. In such cases,
devastating forces act on buildings for a short time. Intermediate-
08
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
活断層の分布
Distribution of active fault zones
現在、
政府の地震調査研究推進本部においては、
主要な98断層帯に
ついて活動度を評価しています。
日本は世界でも有数の地震国であり、
そこに建てられる建造物には高い耐震性能が求められます。
The Headquarters for Earthquake Research Promotion continues to evaluate 98 major fault zones. Earthquakes are frequently experienced in Japan and buildings must be designed
with high earthquake-resistant features.
(出典:内閣府中央防災専門調査会ホームページ)
Based on Central Disaster Management Council, Cabinet Office, Government of Japan website.
Introduction of Input Earthquake Motion System
資料:日本の地震活動(地震調査研究推進本部)
"Earthquake Activities in Japan"
Based on Headquarters for Earthquake Research Promotion website
The first thing the designer should do in studying aseismic capacity
is to evaluate earthquake motion after selecting parameters for a
projected earthquake and properly reflecting the ground conditions, which may differ according to area. Then, the designer conducts a simulation using obtained earthquake motion data to verify
the earthquake safety of the particular building.
As a tool for realizing the above process, we have developed
over several years a design input earthquake motion system. This
system allows us to easily calculate sway under different conditions.
Based on the results, it becomes possible to clarify aseismic capacity for different cases in numerous design projects, as well as to
promote aseismic capacity design. This system is not only applicable
to new buildings—it is also useful in evaluating aseismic capacity
and earthquake retrofitting for existing buildings.
Of course, we still have much to learn about complex natural
phenomena. Accordingly, we installed an earthquake recorder in
our own building in order to verify the characteristics of the building that had been projected via the design process and simulation
results. By analyzing the observation data, we could check the natural period of the building and the adequacy of the analysis model
used for simulation. We continue to use our accumulated data and
knowledge to further clarify the relationships between earthquakes
and buildings in order to provide more reliable, safer structures in
all of our projects.
Toru Kobori, Takashi Yamane
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
09
最先端の建物を支える確かな構造技術
Solid Structural Technology to Support Advanced Buildings
高さと安全性を誇る超高層ビル、
建築主の想いを表す自由でユニークでダイナミックなデザイン、
外見を変えることなく行わなければならない歴史的建造物の耐震補強など、
私たち日建設計は、
紹介テーマ ●List of Projects
12 超高層ビルを支える性能とその信頼性
Structural Design to Support Super High-Rise Buildings
時代の要請とも言える様々な課題に取り組んで参りました。
時に複雑とも思われるこれらの課題に対し、
建物を成り立たせるために私たちが導いた解答は、
合理的で、
シンプルで、
理解しやすい考え方をベースとした構造デザインです。
18 自由な形態と構造デザイン
Innovative Forms and Structural Design
ここでは、
構造設計者としての一人一人の粘り強い取り組みと、
組織としての豊富な実績と経験をもとに
生み出された、
構造技術・構造デザイン、
安全性確認のためのプロセスなどを紐解きます。
22 軽やかなデザインの系譜
Technologies for Sophisticated Design
26 異なる機能や構造形式を重ねる
Nikken Sekkei has always been ready to tackle contemporary design challenges.
中間層免震構造
A Combination of Different Structural Styles
We have worked to construct large-scale buildings that are as safe as they are tall,
as well as structures with dynamic styling that fulfill every wish of their owners.
Our ability to impart aseismic retrofitting to historical buildings without altering
30 前例のない設計条件に対応する
Meeting Unprecedented Design Conditions
their appearances is also well known.
In some cases, the challenges we face have been extremely complicated, but all issues
can be resolved through structural design that is rational, simple, and theoretically
easy to understand. In the following material, we look at structural technology,
34 伝統建築の歴史的価値と耐震性能の調和
Historical Design and Seismic Reinforcement: Maintaining a Balance
structural design, and processes used to verify building safety based on Nikken Sekkei’s
vast experience, as well as some of the approaches that our structural designers have
taken to realize an assortment of demanding projects.
10
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
38 高さと機能美の両立
Height and Beauty in Perfect Balance
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
11
ミッドランド スクエア&東京ミッドタウン
Midland Square and Tokyo Midtown
超高層ビルを支える性能とその信頼性
Structural Design to Support Super High-Rise Buildings
阪神淡路大震災以来、建物の安全性について設計の初期段階からクライア
バランスのよい構造計画
ントの皆様とご相談しながら決めていこうという考え方が徐々に浸透して
超高層ビルの構造設計を行う際には、建築計画やそこに生み出される空間
きました。
その中で「性能設計」※「制振構造」※「免震構造」※といった新しい考
と整合させながらバランスの良い合理的な構造計画を行うことが重要で
え方や技術が確実に市民権を得てきたと思われます。
とはいえ、
安全・安心を
す。
構造上はシンプルでわかりやすい仕組みを構築する一方で、
例えば
「骨組
つくり込む構造技術は、過去の一つひとつの経験の積み重ねの上に着実に
み」
、
「壁、ブレース」
さらに
「エネルギー吸収部材」
といった異なる性質を持つ
進歩してきていることもまた事実です。
時代とともに地震や風といった自然
要素を組み合わせることにより、
超大地震など予想を超えた自然現象に対す
現象そのものの知見も増え、それに従い建物に要求される性能も、単に安全
る余裕を確保する視点も重要なのです。
であれば良いということだけでなく、安心・快適といった一つ上の概念も目
1995年の阪神淡路大震災で顕在化した鋼材の破断現象、長時間にわたる共
標になってきました。
振現象と捉えることの出来る長周期地震問題、
東海・東南海といった海洋型
大地震の逼迫、そんな様々な事柄を念頭におきながらどのように構造性能
をつくり込むか、私たちは常に設計から施工段階を通じて多くの問題を考え
Since the Great Hanshin-Awaji Earthquake, there has been a gradual and increasing realization that the safety of a building should
be determined through discussions with the client in the early
stages of the design process. As this awareness has spread, new
concepts and technologies such as "performance-based design,"
"seismic response controlled structure," and "seismically isolated
structure" have become widely accepted. Structural technology
for higher levels of safety and security has also been advancing
step by step based on cumulative experience. Year by year, our
understanding of natural phenomena, including the impacts of
earthquakes and wind, has expanded. Targeted requirements for
buildings have also been upgraded to take account of security and
comfort as well as safety.
続けています。
また単に解析検討を基本にした設計内容確認に限らず、構造
躯体の実際の性能をいかに把握するかということも強く意識しています。
必
要に応じ実大実験や実測を行いながらひとつの回答を求める努力を続ける
とともに、こうした信頼性の裏づけをもとに一歩を踏み出す挑戦を行うこと
も大切だと考えています。
Well-Balanced Structural Planning
In designing the structure of a super high-rise building, it is important to implement rational planning so as to achieve a balanced
structure. The structural mechanisms involved must be simple and
easy to understand. However, it is also essential to take into
account the possibility of unexpected natural phenomena, including massive earthquakes. This can be achieved by combining elements with different characteristics such as building frames, walls,
braces, and materials that absorb the energy of such earthquakes.
In order to attain better structural performance, we are continuously taking into consideration numerous problems that crop up at
every stage, from design to construction. We must also keep a
variety of issues in mind: the fracturing of steel materials that came
to light in the Great Hanshin-Awaji Earthquake of 1995, long-period earthquakes regarded as resonance phenomena that occur
over an extended time, and the imminent likelihood of large-scale
marine seismic events such as the Tokai and Tonankai Earthquakes.
In addition to design verification based on analysis reviews, we are
also strongly aware of the need to understand the actual performance of frame structures. We continue to make every effort to
seek answers by implementing experiments with full-scale parts
and conducting actual measurement when appropriate. We always
seek to take serious and challenging steps forward in this area—
firmly supported by a focus on reliability.
※性能設計
建物に要求される性能
(機能性・居住
性・安全性・耐久性・経済性など)
を建
物の所有者または管理者と設計者が
協議し、定め、それを満足する性能を
つくり込む設計。
※制振構造
建物の地震・風による揺れを、
部材・
装置で吸収するように配慮した構
造。
常時の荷重を支持する柱・梁では
なく、ブレースや壁などの部材に組
み込むことがある。
※免震構造
建物を地面から切り離して、その間
に免震装置を組み込んで、建物にか
かる地震の力を低減する構造のこ
と。
免震装置には、アイソレータやダ
ンパーがある。
ミッドランド スクエア
建築主 : 東和不動産株式会社 トヨタ自動車株式会社 株式会社毎日新聞社
所在地 : 名古屋市中村区
建物種別 : 事務所・店舗
構造 : 鉄骨造
(制振構造)
階数 : 地上47階、地下6階
延べ面積 : 193,450.74㎡
竣工 : 2006年9月
Midland Square
ミッドランド スクエア。
実性能に迫る検証に取組んだ最新の超高層ビル
Midland Square, designed with experiments to
verify actual performance of frame structures
12
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
Client: Towa Real Estate Co., Ltd.,
Toyota Motor Corporation,
The Mainichi Newspapers
Location: Nagoya, Japan
Major functions: office, commercial space
Structure: S (seismic response controlled structure)
Number of floors: +47, -6
Total floor area: 193,450.74 ㎡
Completion: Sep. 2006
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
13
ミッドランド スクエア&東京ミッドタウン
Midland Square and Tokyo Midtown
超高層ビルを支える性能とその信頼性
Structural Design to Support Super High-Rise Buildings
実大実験に裏付けられた建物性能 ミッドランド スクエア
名古屋市にある最高高さ247mのミッドランド スクエアの構造設計には多
くの特徴があります。
まず第一に建物中央部には五重塔の心柱や人間の背
骨になぞらえることのできる心棒とでも呼ぶべき「連層鋼板壁チューブ」を
ミッドランド スクエアの構造概念図と
実性能に迫る実大実験
多種多様な揺れに対応する3種類の制振システム
Verifying actual performance:
Midland Square
ATMD(Active Tuned Mass
Damper)
建物の頂部で、別の質量(付加質量)
を揺らすことで、建物の揺れのエネ
ルギーを吸収するもの。
このうち、付
加質量の動きをコンピュータで制御
する機構のことをAMD(Active Mass
Damper)
といい、ばねなどにより、建
物の揺れの特性にあらかじめ合わせ
▽44F
ビルに適用してきました。
最近では、低降伏点鋼という強度の低い鉄骨の性
能を利用し地震のエネルギーを吸収する制振壁も開発されてきていますが、
ミッドランド スクエアでは逆に強度の高い高張力鋼780N/mm2鋼板壁の実
た 機 構 のことをTMD(Tuned Mass
Damper)という。AMDとTMDの2つ
の性能を組み合わせた装置をATMD
と呼び、具体的には、ある程度の揺れ
験を行い、高層ビルにおいて極めて重要な足元である1、2階を剛強にする目
※
ATMD(43F)
的のために、
この材料を使用しています。
超高層ビルでは初めてのことです。
ミッドランド スクエアでは制振構造を採用していますが、制振部材、制振装
に対しては、AMDとして働き、大き
置はそれぞれに効果的な領域があり、目的に応じて使い分ける必要がありま
す。
ここでは、
風揺れ・長周期地震から大地震にいたるまで、
多種多様な揺れ
な揺れになると制御を開放し、TMD
として揺れを制御する。
に対する安全性や居住性を向上させるよう計画しました。
巨大な地震に対し
※ダンパー
ては骨組みの粘り強さが重要であり、その上で頂部に設けたATMDという
建物に作用する地震力(エネルギー)
を吸収する装置のこと。
アイソレータ
との併用で、地震時の建物の揺れを
効果的に小さくする。
ダンパーの1種
として、シリンダー内に粘性体を充填
したオイルダンパーなどがある。
装置や3層に設けたアウトリガー方式オイルダンパーが、揺れそのものの大
きさや継続時間を低減させています。
また、揺れ方の異なる高層棟と低層棟
▽27F
をオイルダンパーにより連結することで、強く揺れる低層棟を助ける効果も
利用しています。
最近ではより大きな荷重を支えるためコンクリートを充填した鋼管柱を用
Midland Square, a 247-meter-high building in Nagoya City,
has many notable structural design features. The center of
the building features a multi-story steel plate wall tube that
works like the central pillar of a pagoda providing both
strength and flexibility. Midland Square is the first super highrise building to use high-tensile-strength steel plate walls
(with a surprising strength of 780 N/mm²). This type of wall
rigidly reinforces the first and the second floors, which are
the core bases of a super high-rise building.
In planning Midland Square, a damping structure has
been adopted. It is necessary to use suitable damping members and dampers with different effective ranges. In Midland
Square, we improved safety and habitability for a wide variety of sway types. In the case of a massive earthquake, the
toughness of the framework is important. In addition, the
ATMD on the 43rd floor and the outrigger-style oil dampers
improve habitability by reducing the extent and duration of
sway. Connection of the high-rise building to the low-rise
building using oil dampers also helps diminish sway.
Recently, more building projects have introduced concrete-filled steel tubular columns (CFT) to support larger
loads. Midland Square is the first example of adoption of filling concrete of 100 N/mm² for high-performance steel tubes
of 590 N/mm² for use as columns subject to high axial force.
In super high-rise buildings, it is important to accumulate
data through full-scale verification experiments. For Midland
Square, we were allowed to implement experiments with
critical full-scale parts essential in realizing the required
quake-resistant functions. By confirming their capacities, we
ensured excellent actual performance. Super high-rise buildings must be examined from many perspectives through
design and analysis. Comprehensive formulation of performance based on consideration of total balance is becoming
more important than ever, despite specialization in all design
and construction processes.
※ AMD(Active Mass Damper)
▽47F
設けています。
鋼板壁は強くてしなやかな面状の部材ですが、私たちはこの
部材に着目して早くから実験により、その性状を確認したうえで多くの高層
Building Performance Supported by Actual
Measurements: Midland Square
Three types of vibration-damping systems
※
連層鋼板壁チューブ:建物を支える背骨
アウトリガー方式オイルダンパー(7、26、42F)
Multi-story steel plate wall tube
Outrigger-style oil dampers (7, 26, 42F)
いることも増えてきましたが、ここでは高性能590N/mm2鋼管に、充填コン
クリートとしては初めて100N/mm2を採用し、
高軸力柱に適用しています。
超高層ビルでは、大きな部材を用いることもあり、実大実験による確認や
データの蓄積が求められます。
このミッドランド スクエアでは関係者のご理
解により、耐震性を担う重要な部位の実大実験を行い、建物の実性能に迫る
検証をすることができました。
設計や施工それぞれの細分化が進む中、巨大
構造物である超高層ビルでは、全体のバランスを考え、包括的につくり込む
ことがこれまで以上に大切になってきていると思います。
※
連結オイルダンパー(7F)
Connecting oil dampers (7F)
▽8F
箱形断面柱の性能を確認する実験
Verifying CFT column performance
2
高張力鋼780N/mm 鋼板壁の性能を検証
Verifying high-tensile-strength steel walls
パイルドラフト基礎多段拡径高支持力杭
Piled raft foundation
超高層の大きな荷重を支えるコンクリート充填鋼管柱
CFT columns carry the huge load of the high-rise
building.
14
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
2
高張力鋼780N/mm の鋼板壁。頑丈な足元を構成する。
High-tensile-strength steel walls of 780 N/mm2
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
15
ミッドランド スクエア&東京ミッドタウン
Midland Square and Tokyo Midtown
超高層ビルを支える性能とその信頼性
Structural Design to Support Super High-Rise Buildings
巨大な地下構造が支える
東京ミッドタウン
Massive Underground Structure Supports
Tokyo Midtown
Tokyo Midtown is a complex architectural site comprising six
buildings including the tower, which is the tallest structure
(248.1 m) in Tokyo. Aseismic capacity has been upgraded
through seismic response controlled structures and seismically isolated structures, and unique approaches have been
utilized.
First, the basements of the four high-rise buildings are
designed as one enormous structure of about 230 m², which
is quite rare. In one test, we used microwave technology to
carefully conduct concrete water volume inspection. As a
result, we determined to integrate their basements for better
aseismic capacity and waterproofing performance. We also
introduced a variety of design and construction innovations
such as construction joints to counter shrinkage of concrete.
It was a first for us to implement ultrasound inspection of
a steel framework totaling 80,000 tons under a direct contract with the client. As the architect, we managed inspections that are often collectively controlled by the contractor.
We believe that having the architect head up inspections is
important in order to secure good quality.
着実な検証を積み重ねる
超高層を支える技術と検証の歴史
東京ミッドタウンは高層ビルとして東京一の高さ(248.1m)となるタ
私たちの超高層ビルのための設計哲学や技術は、古くからの大規模工場建
History of technology and experiments
for super high-rise buildings
ワー棟を含め、6棟の建物で構成される複合建築です。
それぞれの建
物の規模や用途などに合わせ制振構造、
免震構造を採用して耐震性能
屋の設計にルーツがあります。
そこで培った鉄骨構造設計の技術をベース
に、
超高層の曙以来、
この分野を先導してきました。
その根底にある設計思想
1959年 八幡製鉄八幡製造所
Yawata Works,
Yawata Iron & Steel Co.,Ltd., 1959
は終始一貫しており、いたずらに無謀な挑戦をするのではなく実性能に迫る
挑戦を一歩ずつ積み重ねてきた結果だと考えています。
ある著名な構造家
の向上を図っています。
加えて、ここでは少し異なる二つの視点につ
いてご紹介します。
まずは5つの建物のうち高層ビル4棟の地下を約230m四方の巨大構
は
「安易な踏襲も安易な独創もともに否定」
という言葉を残していますが、一
造物に一体化したことです。
これほどの巨大な地下構造の実例は極め
歩ずつ着実に前進する姿勢こそ、
今を生きる技術者として大切にしたいポイ
て少ないと思います。
各棟別々の地下構造とする場合と一体構造とす
ントです。
超高層の性能に必要な解析、施工監理といった要素技術について
る場合の双方の比較検討を行うなかで、コンクリートの水量検査に電
も大学等との多様なネットワークを築きながら、
今後も安全で安心な構造設
計とつくり込みを心がけ社会に貢献できればと考えています。
1969年 神戸商工貿易センター
Kobe Commerce, Industry and Trade Center Building, 1969
向野聡彦・小板橋裕一・杉浦盛基
子レンジを使った調査を行うなど細かい点まで綿密に検討を重ねた
結果、耐震性能、防水性能などの信頼性の観点から一体化を選択して
います。
さらにコンクリートの収縮対策のためにコンストラクション
ジョイントを設けるなど、
設計施工上様々な工夫を行っています。
また、総量80,000トンに及ぶ鉄骨の超音波検査に関し、クライアント
から、設計監理者である私たちが直接ご契約いただいたのも新しい試
みでした。
通常であれば施工者が一括管理する検査を、設計監理者が
管理するという体制をとったのです。
私たちは検査の内容を設計監理
PC鋼棒ブレースの実験
者がリードすることは、
品質確保の上で重要なことだと考えています。
Verification experiment:
Prestressing steel bar bracing
Implementing Continuous Experiments and Analysis
The design philosophy and the technology we use for super highrise buildings are rooted in the know-how we have accumulated
from years of designing large-scale factories. Our steel structural
design technology has made us leaders since the very first super
high-rise buildings began to emerge, and the design theory at the
core of our operations has always been consistent.
A famous structural designer once said, "I am against the practice of easily following the trends of the times, as well as 'originality' that is not carefully thought out." As can be seen from this
sentiment, the designers of today must keep in mind that it is
important to advance steadily step by step. Nikken Sekkei endeavors to contribute to society with safe and secure structural design.
And in so doing, we continuously form and augment a variety of
networks with universities and other facilities that enable us to use
the latest in analytical technology and construction work supervision.
Toshihiko Kono, Yuichi Koitabashi, Shigeki Sugiura
Shingo Torii
鳥井信吾
2000年 さいたま新都心合同庁舎
Saitama New Urban Center, 2000
極軟鋼制振壁の加力実験
Loading test of extra mild
steel vibration-damping wall
2004年 日本生命丸の内ビル
Nippon Life Insurance Marunouchi Building, 2004
外装制振部材の実大実験
Experiments for
exterior vibration-damping
members
2004年 新関電ビル
Kepco (Kansai Electric Power Co., Inc.) Building, 2004
鋼材ダンパーの実大実験
Full-scale steel damper
experiment
16
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
東京ミッドタウン
Tokyo Midtown
建築主 : 三井不動産株式会社・全国共済農業協同組合連
合会・明治安田生命保険相互会社・積水ハウス株式会
社・富国生命保険相互会社・大同生命保険株式会社
所在地 : 東京都港区赤坂9丁目7番地1号他
建物種別 : 事務所・住宅・店舗・ホテル他
構造 : 鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造
階数 : 地上54階、地下5階他数棟
延べ面積 : 563,801㎡
竣工 : 2007年1月
Client: Mitsui Fudosan Co., Ltd., Japan Agricultural
Cooperatives, Meiji Yasuda Life Insurance Company
Sekisui House Ltd., Fukoku Mutual Life Insurance Company
Daido Life Insurance Company
Location: Tokyo, Japan
Major functions: office, residential space, commercial space, hotel
Structure: S, RC, SRC
Number of floors: +54, -5
Total floor area: 563,801 m2
Completion: Jan. 2007
4棟の高層ビルを一体の巨大地下構造で支えている東京
ミッドタウン。
その技術は、
実測、
検査等に裏付けられている。
An enormous underground structure supports
the four super high-rise buildings.
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
17
モード学園スパイラルタワーズ
Mode Gakuen Spiral Towers
自由な形態と構造デザイン
Innovative Forms and Structural Design
コンピュータの進歩とともに、以前には考えられなかったような自由な形態
の建築を設計することが可能になってきました。
北京のオリンピックスタジ
アムはかなり極端な例として今後議論を呼ぶものと思われます。
また中東ド
バイにおいてもあらゆる形態の建築が提案され、いわば何でも許される状
態と言えるでしょう。
こうした時代にこそ、私たちは構造設計者としての理
念を明確にすべきだと考えています。
地震力を受けもつインナートラスチューブ
名古屋駅前に建つモード学園スパイラルタワーズは、
「デザイン・コンピュー
タ・医療の3つの学校の学生のエネルギーが絡まりながら上昇するイメー
ジ」
をコンセプトとして、タワーが螺旋状に絡まる形態に特徴があります。
階
段室やエレベータシャフトなどのコア周りのウィングと呼ぶ3つの教室群
が、上階へ行くにつれて回転しながら縮小して取りついています。
回転中心
がずれていることから、
建物の外観は生物的な曲面を描いています。
「捩れた建物は地震のときにどんどん捩れてしまうのではないか」といった
疑問を持たれる方も多いと思います。
実はこの建物は軽快で特異な形態の
外観とは裏腹に、建物中央コアに非常に剛強な筒状の構造を設け、いわば大
黒柱として確実に捩れや地震から建物を守るシステムを採用しています。
イ
ンナートラスチューブと呼んでいるこの筒状の構造はコア周りのコンク
※転がり支承
平面または凹面の上に、剛球やロー
ラーを配置して荷重を支持し、地震
時にはそれらが転がることで、地震
の揺れを建物に伝えないようにする
装置。
※積層ゴムアイソレータ
建物と地盤(下部構造)を絶縁するた
めの装置をアイソレータと呼ぶ。建
物の荷重を支持し、建物の固有周期
を伸ばすことで地震の揺れを建物に
伝わらないようにする。
ゴムと鉄板を
積層した積層ゴムアイソレータなど
がある。
リートを充填した鉄骨の鋼管柱と鋼管ブレースにより、トラス状のチューブ
を構成し、必要な剛性および耐力を持たせて大地震時にも高い安全性を確
保しています。
合理的で簡潔な構造設計
自由な形態のままに構造架構を当てはめ、コンピュータに解析をゆだねて柱
梁などの部材を設計していくという方法も今日の技術では不可能ではあり
ません。
しかし建物の形状に惑わされることなく、計画全体に見合った合理
的な構造骨組を提案し、簡潔な構造計画を行うことこそ、構造設計者の役割
だと考えられます。
この建物では強固なインナートラスチューブと、二つの
制振システムが地震エネルギーを効率良く減衰させることで、高い耐震性
能を確保しています。
粘性ダンパーを用いて効率良く地震エネルギーを吸
収させる制振カラムを外周の26 ヶ所に設置したほか、建物頂部変形が大き
くなることに注目し、建物の1%の重量を屋上に設置したマスダンパーを採
用しています。
そして、このマスを転がり支承※と積層ゴムアイソレータ※に
より建物の固有周期に合うように調整することで、地震時に建物と逆方向に
揺れ、鉛ダンパーで効率良く地震エネルギーを吸収するよう設計してい
ます。
仮に予想を超える大地震が発生しても粘り強く地震に抵抗するため、
最も重
要な部位である基礎およびインナートラスチューブには大きな耐力の余裕
を持たせるように設定しています。
構造デザインの新たな流れをつくる
以上のような合理的な構造システムを採用することで、
外周の柱は自由な形
態を軽快な骨組みで表現することが可能になりました。
スパイラルタワーズは見る角度によって姿を微妙に変え、優美でダイナミッ
クな印象を与えています。3つのウィングの隙間から見えるインナートラス
チューブは力強く、意匠と構造が互いに主張しながらうまく整合していま
す。
このスパイラルタワーズは、複雑な形態の超高層建築における明快で合
理的な構造計画を実現した、新たな構造デザインの流れをつくる建築であ
ると確信しています。
小堀徹・吉江慶祐・山脇克彦
モード学園スパイラルタワーズ
建築主 : (学)モード学園
建設地 : 名古屋市中村区
建物種別 : 各種学校・一般店舗
構造 : 鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋
コンクリート造
階数 : 地上36階、地下3階
延べ面積 : 48,988.96㎡
竣工 : 2008年2月
Mode Gakuen Spiral Towers
Client: Mode Gakuen
Location: Nagoya, Japan
Major functions: school, commercial space
Structure: S, SRC, RC
Number of floors: +36, -3
Total floor area: 48,988.96 m2
Completion: Feb. 2008
合理的な構造システムが生み出した特異とも言える形態は、
建築物の新しい可能性を示している。 This building represents new possibilities for structural design.
18
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
19
モード学園スパイラルタワーズ
Mode Gakuen Spiral Towers
自由な形態と構造デザイン
Innovative Forms and Structural Design
Advances in computer technology are making it possible to design
unique, previously unimaginable building forms, such as the Olympic Stadium in Beijing and various buildings seen in Dubai. In
today’s environment, all kinds of structures are finding favor and it
is important to respond to these circumstances by clarifying our
philosophies as structural designers.
Inner Truss Tube Bears Seismic Force
Mode Gakuen Spiral Towers stands in front of Nagoya Station. The
building is twisted in helical forms to demonstrate the concept of
an upwards spiraling of student energy. The three clusters of classrooms, called wings, are arranged around core facilities such as
stairways and elevator shafts. The wings spiral upward, gradually
decreasing in size, while the axes of the spirals deviate from the
centerline.
Some people may raise the concern that "a twisted building
might twist further in the event of an earthquake." However,
despite its unique and light appearance, the central core of the
building is a highly rigid cylindrical structure. Like the central pillar
in a house, this structure securely protects the building against
twisting and earthquakes. This cylindrical structure is called an
inner truss tube and comprises concrete-filled steel tubular columns and braces deployed around the core.
Simple, Rational Structural Design
Today, it is possible to design columns, beams, and the like by
inputting a free-form frame structure for computer analysis. However, it is the task of a structural designer to propose rational
framework structures that are consistent with overall plans and to
design simple structural plans without being compromised by the
form of a building. This building achieves high aseismic capacity
through a strong inner truss tube and two vibration damping systems that efficiently attenuate seismic energy. Vibration-damping
columns that efficiently absorb seismic energy by means of viscosity dampers are installed at 26 points on the periphery. Taking into
account the fact that the top portions of the building deform significantly, 1% of the overall building weight is accounted for by a
mass damper located on the rooftop. During an earthquake, rolling bearings and laminated rubber allow the weight to self-adjust
and sway against the movement of the building according to its
natural period. The lead dampers are designed to efficiently absorb
seismic energy. The foundation and the inner truss tube, which are
the most important elements of the building, have large bearing
force margins. Even if an unexpectedly large earthquake should
occur, the building will consistently resist its impact.
架構概念図
Conceptual diagram of building frame
インナートラスチューブ
Inner truss tube
35階床梁伏図
Floor beam plan for 35F
制振カラム
Vibration
control columns
New Trends in Structural Design
Adoption of a rational structure system has allowed for unique
columns on the periphery. Spiral Towers appears to change shape
slightly when viewed from different angles, giving an elegant yet
dynamic impression. The strong inner truss tube is visible through
gaps between the three wings, highlighting the bold design and
structure and demonstrating the overall consistency. We believe
that Spiral Towers represents an architectural approach that heralds a new structural design trend.
Toru Kobori, Keisuke Yoshie, Katsuhiko Yamawaki
28階床梁伏図
Floor beam plan for 28F
ウィング(外周架構)
Wing
付加質量
Added mass
鉛ダンパー
Lead damper
転がり支承
Rolling bearing
緩衝装置
Shock absorber
積層ゴムアイソレータ
Laminated
rubber isolater
屋上制震(マスダンパー)
:付加質量が建物と逆方向
に動くことで地震エネルギーを吸収
1階床梁伏図
Floor beam plan for 1F
インナートラスチューブ
Inner truss tube
10階床梁伏図
Floor beam plan for 10F
Rooftop damper: absorption of seismic
energy with added moving mass swaying
against the movement of the building
インナートラスチューブは大黒柱。
ここでほとんどの地
震力を受け持つことから、ウィング部分は自由な形態を
とることができる。
制振カラム:伸縮することで地震エネルギーを熱に変換して吸収
Vibration-damping columns efficiently absorb seismic energy.
20
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
Note: The reason why the single building is
named "Towers" is due to the fact that it
houses three different schools; fashion,
computer, and healthcare. The building is
designed to demonstrate the idea that "the
energies of students studying at the three
schools are spiraling upward."
An inner truss tube delivers required rigidity and
stress proofing against seismic forces, enabling
freedom of design for the wings.
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
21
大阪弁護士会館&淀屋橋山本ビル&
コウヅキキャピタルウエスト
Osaka Bar Association Building, Yodoyabashi Yamamoto Building, and
Kozuki Capital West
軽やかなデザインの系譜
Technologies for Sophisticated Design
軽やかで透明感のある建物は、現代の建築デザインのひとつの潮流となっ
に、周辺建物とは一線を画した特徴のあるファサードを表現しています。
耐
ています。
建物の耐震性能と相反するような軽量感のあるデザインを実現
震・耐風設計としてサービスコア部に鉄骨造ブレースを、
建物東面全体には
するため、構造設計者は地震に抵抗する部材を巧妙に建物の中に隠し、あた
大きなM字型を形成する鉄骨耐震パネルを組み込んで、それらが水平力に
かも構造材がないのではないか、
と思わせるようなデザインを可能にしてい
抵抗するよう計画しています。
オフィス床には工場で製作するプレキャスト
ます。
ここでは、細い柱を見せる軽やかなファサードデザインの例をご紹介
部材のST(Single Tee)床版を採用し、ライン照明を直接床版に取りつける
します。
ことにより構造美をそのまま表現するとともに天井高さ3.25mの豊かなイ
ンテリア空間を演出しています。
Quake-Resistant Elements Hidden Inside
耐震要素を内部に隠す
コウヅキキャピタルウエストは大阪駅前の御堂筋通り沿いに面して建つ直
The Osaka Bar Association Building harmonizes with the surrounding landscape, featuring a glass-encased facade that expresses the
Bar Association’s openness to the public.
Aseismic elements are concentrated at two inner cores on typical floors, where most seismic energy is attenuated. In addition,
the building is designed with a focus on total balance that prevents
seismic forces from severely affecting the peripheral frame. This
enables use of a peripheral frame composed of 45-cm-wide columns and beams arranged at 2.7-m intervals that resembles an
outer frame and secure high aseismic capability. The exterior of the
frame is compactly finished with large, richly textured ceramic
plates. Intensive deployment of vibration-damping structures at
first basement level helps to minimize seismic forces and gives the
facade a light appearance.
大阪弁護士会館は、水の都大阪を代表する
「中之島」
の景観との美しい調和、
径19cmの鋼管極細柱を用いたガラスのファサードを持つ建物です。
事務室
そして弁護士会のシンボルとして、市民への開放性を象徴する透明感にあ
空間の奥行きが約10mと通常に比べて浅くなっているため、
デッドスペース
ふれるファサードを持つ建物です。
を少なくし、実質有効率の高い空間と透明性の高い外観を実現するため、柱
基準階内部コアの2ヶ所に耐震要素を集約し、その部分で地震のエネルギー
を小さくできる構造を模索しました。
事務室3面に1.6mスパンごとに配置し
の大半を処理し、外周フレームにはあまり多くの地震力が作用しないように
た直径19cmの極細柱は鉛直荷重のみを受け持ち、東側のコア部で地震力を
全体の構造躯体のバランスを重視して設計を行っています。
これによって高
全て負担しています。
見えないコア部にバランス良く配置した制振ブレース
い耐震性能を確保しながら、2.7mピッチに設けられた直径30cmの柱と
は全ての地震時のエネルギーを吸収する役目を持ち、水平及び捩れ方向の
25cmのせい※の梁(仕上げ寸法は柱梁とも45cm幅)で構成された外周架構
揺れにも抵抗しています。
また前面ファサードの細い鋼管柱には耐火塗料を
をアウトフレームの形で見せることを可能にしています。
このフレームの外
塗布し、耐火性能を持たせるだけでなく、構造材としての細い柱形状をその
装には大型陶板が採用され、コンパクトな仕上げサイズと豊かな質感を兼
まま表現し、
開放的な空間づくりに貢献しています。
ね備えています。 ※せい:梁の高さのこと
また地下1階集中制振構造という構造システムの採用により地震力を低減
していることも、
軽やかなファサードの実現に一役かっています。
「見せる部材」
と
「隠す部材」
の使い分け
私たちは確かな耐震設計技術と最新の高強度材料や制振部材などを駆使
し、デザイナーとエンジニアの密接なコミュニケーションの成果として「見
意匠・設備・空間を活かす設計
せる部材」
と
「隠す部材」
を巧みに使い分けることで、新しい空間を生み出し
淀屋橋山本ビルは構造計画と意匠・設備計画を両立させた作品です。
建物の
ています。
建築計画とのバランスを重視し、通常は仕上げ材として用いられ
外周部には見付け幅150mmのスレンダーなプレキャスト・プレストレスト
ている部材を構造材料として活かすことなども考えながら、
合理的な解決策
コンクリート柱をルーバー状に配置しています。
これによって、日射遮蔽効
を提案することで、より美しいプロポーションを具現化することに挑戦し続
果を発揮しながら、室内には柱のない豊かなオフィス空間を実現するととも
けています。
多賀謙蔵・原田公明・徳田幸弘
resistant and wind-resistant design, steel braces have been adopted for the service core area, and steel earthquake-resistant panels
are incorporated to form a large "M" on the entire eastern face of
the building. Lighting devices attached directly to the floor slabs
enable direct expression of structural beauty while producing a
spacious interior with 3.25-m-high ceilings.
Kozuki Capital West is located near Osaka Station. This glass
facade building has been designed in peristyle, using very thin
steel-pipe columns each 19 cm in diameter. Since the office room
spaces were only 10 m in depth, the dead spaces had to be minimized. We sought column minimization to realize spaces with
larger real effective volumes and highly transparent appearance.
Extremely thin columns deployed on three sides of each office
room bear vertical loads only, while the core section on the eastern
side absorbs all of the seismic force. Vibration-damping braces
arranged in a well-balanced manner in the hidden core section
absorb all seismic energy and resist horizontal and twisting sway
actions in the event of an earthquake. With their structural slenderness, the fire-resistant slim steel-pipe columns of the front
facade gives an image of openess.
Light, glassy buildings are increasingly favored in contemporary
architectural design. By skillfully concealing earthquake-resistant
members, it is possible to give the illusion that no structural materials have been used, resulting in light designs that apparently hide
the aseismic capabilities of buildings. Here, we introduce a good
example of a light-facade design with thin columns displayed.
Artful Use of Exposure and Concealment
We create new spaces by making full use of reliable aseismic design
technologies, cutting-edge materials with high strength, and
damping members. We also skillfully deploy "displayed members"
and "concealed members" after ensuring close communication
among designers and engineers. Focusing on a good balance with
architectural planning, we sometimes consider adopting structural
materials and members that would normally be used for finishing.
By proposing rational solutions, we continue to take up the challenge of materializing better, more aesthetically pleasing proportions.
Kenzo Taga, Hiroaki Harada, Yukihiro Tokuda
Skillful Use of Design, Facilities, and Spaces
In the Yodoyabashi Yamamoto Building, structural planning and
architectural and building service systems planning have been balanced to good effect. Slender precast, prestressed concrete columns each with a visible face width of 150 mm are deployed like
louvers around the exterior of the building. This design, which
delivers highly effective solar radiation shielding, allows for large
expanses of pillar-free office space and clearly distinguishes the
building from neighboring office buildings. To achieve a quake-
大阪弁護士会館の耐震要素の範囲
Aseismic elements of Osaka Bar Association Building
耐震要素
ブレース
Aseismic elements
Braces
16.05 m
CFT 柱
CFT columns
柱:φ=300 mm
梁
Beams
Columns
72.9 m
大阪弁護士会館外観
大阪弁護士会館
Osaka Bar Association Building
軽やかなファサードの大阪弁護士会館。2ヶ所のコアでほとんどの地震
力を受け持つため、
外周フレームには、
あまり地震力が作用しない。
建築主 : 大阪弁護士会
所在地 : 大阪市北区
建物種別 : 会館・事務所
構造 : 鉄骨造・鉄筋コンクリート造
(制振構造)
階数 : 地上14階、地下2階
延べ面積 : 17005.29㎡
竣工 : 2006年7月
Client: Osaka Bar Association
Location: Osaka, Japan
Major functions: hall, office
Structure: S, RC (vibration-damping structure)
Number of floors: +14, -2
Total floor area: 17,005.29 m2
Completion: Jul. 2006
Exterior of Osaka Bar Association Building
Seismic forces are carried mainly by two cores minimizing
seismic forces acting on the facade, composed of slender
members.
22
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
23
大阪弁護士会館&淀屋橋山本ビル&
コウヅキキャピタルウエスト
Osaka Bar Association Building, Yodoyabashi Yamamoto Building, and
Kozuki Capital West
軽やかなデザインの系譜
Technologies for Sophisticated Design
立面概要:M字型に組み込まれた耐震パネル
44.5 m
Elevational view: Earthquake-resistant panels form
a large "M."
特徴のあるファサードを持つ淀屋橋山本ビル
The unique exterior of Yodoyabashi Yamamoto Building
淀屋橋山本ビル
Yodoyabashi Yamamoto Building
建築主 : 株式会社ヤマモト
所在地 : 大阪市中央区
建物種別 : 事務所
構造 : 鉄骨造およびプレキャストコンクリート造・
一部鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造
階数 : 地上12階、地下1階
延べ面積 : 3,685.68㎡
竣工 : 2005年7月
Client: Yamamoto Co., Ltd.
Location: Osaka, Japan
Major functions: office
Structure: S, PC, RC, SRC
Number of floors: +12, -1
Total floor area: 3,685.68 m2
Completion: Jul. 2005
コウヅキキャピタルウエストの極細柱。
耐震要素は東側のコア部で受け持っている。
Extremely thin columns are used for Kozuki Capital West. The core section on the eastern side absorbs seismic energy.
コウヅキキャピタルウエストの耐震要素の範囲
Aseismic elements of Kozuki Capital West
淀屋橋山本ビルの耐震要素の範囲
Outline of Yodoyabashi Yamamoto Building
500φCFT柱
CFT columns
耐震要素
制振ブレース
Damping braces
水平力抵抗用軸力材
Aseismic elements
耐震要素
Axial member
S造大梁
Aseismic
elements
Large steel
beams
水平力抵抗用
鉄骨耐震パネル
耐震ブレース
Seismic braces
17.70 m
Steel braces
16.324 m
Steel earthquakeresistant panels
S造ブレース
PCa・ST床版
S造柱
PCa, ST panels
Steel columns
PCa・PC柱
PCa, PC columns
190φ鋼管柱
Steel-pipe columns
25.6 m
SRC造柱
耐震要素
SRC columns
Aseismic elements
16.86 m
サービスコア部と建物東面に組み込まれた耐震パネルで地震力を受け持つ。
Earthquake-resistant panels are incorporated for the service core
area and eastern face of the building.
一見ルーバーに見えるスレンダーな柱 Slender columns are deployed like louvers.
コウヅキキャピタルウエスト外観
The exterior of Kozuki Capital West.
24
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
コウヅキキャピタルウエスト
Kozuki Capital West
建築主 : コウヅキキャピタル株式会社
所在地 : 大阪市北区
建物種別 : 事務所
構造 : 鉄骨造
(柱一部CFT柱)
一部鉄骨鉄筋コンクリート造・
鉄筋コンクリート造
階数 : 地上13階、地下1階
延べ面積 : 4,865.33㎡
竣工 : 2002年4月
Client: Kozuki Capital Corporation
Location: Osaka, Japan
Major functions: office
Structure: S (CFT pillars in part), partly SRC, PC
Number of floors: +13, -1
Total floor area: 4,865.33 m2
Completion: Apr. 2002
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
25
汐留住友ビル&飯田橋ファーストビル・
ファーストヒルズ飯田橋
Shiodome Sumitomo Building and Iidabashi First Building/First Hills Iidabashi
異なる機能や構造形式を重ねる
中間層免震構造
A Combination of Different Structural Styles
「戸建住宅に代表される木造」
、
「マンションにみられるコンクリート造」
、
「柱
の間隔の大きなオフィスやアリーナなどに用いられる鉄骨造」など、通常ひ
中間層免震で広がる建物の自由
免震装置は果たして建物のどこにあっても有効に働くのでしょうか。
異なる
とつの建物には一種類の構造種別をイメージされると思いますが、
ここでご
構造形式の間に免震装置を設置したらどのような効果があるのでしょうか。
紹介する建物では、複合用途の建物に複数の構造形式を上下に組み合わせ
この技術の発端は、
こんな発想にありました。
免震構造の発展形として、
免震
て用い、適材適所の性能を発揮できるよう工夫しています。
ここでは、これら
装置を建物の中間部に設けて耐震性能を向上させるだけでなく、免震層の
の建物がどんな発想のもとに、
どのような技術を採用して実現されたかご説
上下で異なる建物の用途や構造種別、形状の変化に対応して機能向上とい
明します。
う付加価値を高めたものが、ここでご紹介している技術です。
その実例とし
地震の揺れを低減する免震構造
ります。
建物中間階に地震の揺れを小さくする装置を設けると、上下に柱ス
ては、汐留住友ビルや飯田橋ファーストビル・ファーストヒルズ飯田橋があ
日本の建物は地震に耐えるという課題にいつも向き合わなければなりませ
パンが異なったり構造種別が異なったりする複雑な用途の建物を設計でき
ん。
そのためには、建物の骨組みである柱を太くしたり、数を増やしたりする
るということになります。
飯田橋の例では鉄骨造のオフィスの上にRC造の
といった方法で対処することも可能です。
また、柱と柱の間に入れる斜めの
住宅を重ねています。
部材、筋交いやブレースを追加して建物を丈夫にする方法もごく普通にとら
この技術の大きな長所は、免震層より上の部分に対する地震の影響が小さ
れています。
くなるのはもちろんのこと、その部分が地震の際にうまく揺れることで免震
ただし、太い柱や筋交い、ブレースだけでは、機能やコストの面でクライアン
層より下部の建物に作用する地震の力も通常の建物より小さくなることで
トの期待に応えられない場合もあります。
さらに、非常に高い耐震性能を必
す。
汐留住友ビルの大きなアトリウムもその効果をうまく計画に活かしてい
要とするなら、まず考えられるのが免震構造です。
これは建物と地盤を切り
ます。
構造の技術が耐震性向上だけでなく建築計画の自由度を高めるとい
離して地震から建物を守るという構造です。
つまり、建物と地盤の間に、地
う一石二鳥の役割を担っています。
とはいえ、大きく動く免震層を縦断する
震時の建物の揺れを小さくする装置(免震装置)を介在させているのが特徴
エレベータ等の計画に支障がないことを確認するといった課題もあり、個別
です。
検討が必要なことは言うまでもありません。
免震構造においては、免震装置を基礎と建物の間に設ける手法が一般的で、
これを基礎免震と呼びますが、下部構造を非常に丈夫に設計すれば基礎と
耐震補強にも効果
似た役割を発揮できると考え、下部構造と上部建物間に免震装置を置く構
建物の高さ方向中間部分に免震装置を設置する技術は、ここで紹介した例
造形式が最近では徐々に見られるようになってきました。
この方法は建物の
のような大規模建築において、異なる構造種別が上下に合体するときに用
中間の階に免震層を設けることから、
中間層免震と呼ばれています。
いることができるだけでなく、既存建物の中間にこの仕組みを挟みこむこと
により、
建物の保存を前提とした耐震補強改修等においてもすでに採用事例
があり、
今後のさらなる発展が期待されます。 常木康弘・鳥井信吾・村上勝英
汐留住友ビル断面構造
Structure of Shiodome Sumitomo Building (cross section)
上部構造
6QQFSTUPSJFT
オフィス
0GGJDF
免震層
*TPMBUJPOMBZFS
下部構造
-PXFSTUPSJFT
アトリウム
ホテル
"USJVN
)PUFM
ガラスに覆われた透明感あふれるアトリウムは、地震時に上部の揺れ
が免震層で低減されることから、
可能となった。
The isolation layer at mid-story reduces earthquake effects,
making it possible to design a fully glazed atrium.
基礎構造
'PVOEBUJPO
高層部の大スパンオフィスと、
ホテルからなる低層部は免震層を介して上下に重なる。
An isolation layer connects upper office stories and lower hotel stories.
26
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
汐留住友ビル
Shiodome Sumitomo Building
建築主 : 住友生命保険相互会社・ 住友不動産株式会社
所在地 : 東京都港区
建物種別 : 事務所、店舗、ホテル
構造 : 鉄筋コンクリート造・鉄骨造・
鉄骨鉄筋コンクリート造
(中間層免震構造)
階数 : 地上27階、地下3階
延べ面積 : 99,913.20㎡
竣工 : 2004年7月
Client: Sumitomo Life Insurance Company, Sumitomo
Realty & Development Co., Ltd.
Location: Tokyo, Japan
Major functions: office, commercial space, hotel
Structure: RC, S, SRC (mid-story isolated structural system)
Number of floors: +27, -3
Total floor area: 99,913.20 m2
Completion: Jul. 2004
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
27
汐留住友ビル&飯田橋ファーストビル・
ファーストヒルズ飯田橋
Shiodome Sumitomo Building and Iidabashi First Building/First Hills Iidabashi
異なる機能や構造形式を重ねる
中間層免震構造
A Combination of Different Structural Styles
Different building categories typically call up associations with different types of structure. For instance, a timber structure is usually
selected for family homes, a concrete structure for condominiums,
and a steel structure for large indoor space like a gymnasium. The
multipurpose buildings we introduce here incorporate different
structural styles that have been combined vertically. These buildings are designed to deliver the best performances in the appropriate places.
Seismic Isolation Structure Attenuates Swaying
All buildings in Japan must be designed to withstand earthquake
forces. It is possible to address this need by employing thicker pillars in the framework of a building or by increasing their number.
It is common to achieve strength by adding diagonal members
deployed between pillars, such as struts and braces.
However, we cannot always meet expectations in terms of
function and cost solely through the use of thick pillars, struts, and
braces. When a high aseismic capability is required, we first come
up with a seismically isolated structural system. This structure protects against earthquake effects by isolating in a way, the building
from the ground.
In a seismically isolated structure, it is common to deploy the
seismic isolator between the foundation and the building. This
approach is called "foundation isolation." In recent years, however,
there has been a gradual spread of an approach by which the seismic isolator is installed between the lower and upper stories of a
building. This is because the lower part of the structure, if designed
to be very strong, will work just like a foundation. This approach is
called "mid-story isolation system."
Mid-Story Isolation System Enables Many Possibilities
A seismic isolator deployed at the mid-level of a building improves
its aseismic capability and helps to upgrade the functions of the
building. It also adds value by responding to the different purposes, structures, and shapes of the stories above and below the seismic isolation layer. Good examples can be found in Shiodome
Sumitomo Building and Iidabashi First Building/First Hills Iidabashi.
Installation of mid-story equipment that attenuates earthquakegenerated sway enables us to design multipurpose buildings with
columns deployed in different spans or structures that differ
between upper and lower stories. In Iidabashi First Building, a reinforced concrete residential building has been constructed atop the
steel structured office building.
An important feature of this technology can be noted in the
fact that in the event of an earthquake the stories above the seismic isolation layer experience minimal sway. This in turn reduces
seismic forces affecting the lower stories. The large atrium of
Shiodome Sumitomo Building makes good use of this effect. Such
structural technology plays a key role in improving aseismic capabilities and architectural potential. Nevertheless, it is always vital to
carefully check elements that run vertically through the seismic isolation story, which experiences greater swaying, and to keep sitespecific factors firmly in mind.
飯田橋ファーストビル・ファーストヒルズ飯田橋。
下層部の鉄骨造のオフィスの上に、
免震層を挟み、RC造の住宅を重ねている。
A seismic isolator at the mid-level connects the office floors of Iidabashi First Building and the residential area of First Hills Iidabashi.
飯田橋ファーストビル・ファーストヒルズ飯田橋断面構造
Structure of Iidabashi First Building/First Hills Iidabashi
上部構造
6QQFSTUPSJFT
Yasuhiro Tsuneki, Shingo Torii, Katsuhide Murakami
28
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
)PVTJOH
免震層
*TPMBUJPOMBZFS
上層部居住棟部分 The upper residential area
飯田橋ファーストビル・ファーストヒルズ飯田橋
下部構造
オフィス
-PXFSTUPSJFT
0GGJDF
Effective for Aseismic Reinforcement
Installation of seismic isolators in intermediate stories works very
well in large-scale buildings where different structures are combined vertically. This technique is also being applied for seismic
retrofitting to existing buildings that need to be preserved—an
area that is expected to see further development in the future.
住居
建築主 : 後楽二丁目東地区市街地再開発組合
所在地 : 東京都文京区
建物種別 : 事務所・住宅
構造 : 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造
(中間層免震構造)
階数 : 地上14階、地下2階
延べ面積 : 62,946.87㎡
竣工 : 2000年7月
Iidabashi First Building/First Hills Iidabashi
基礎構造
'PVOEBUJPO
Client: Koraku 2-chome east area’s renewal urban district union
Location: Tokyo, Japan
Major functions: office, residential space
Structure: SRC, RC, S (mid-story isolated structural system)
Number of floors: +14, -2, +1 penthouse
Total floor area:62,946.87 m2
Completion: Jul. 2000
飯田橋ファーストビルの9階と10階の間部分に設置されている免震層ダンパー
Seismic damper located between the 9th and 10th floor of Iidabashi First Building
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
29
独立行政法人防災科学技術研究所
兵庫耐震工学研究センター E-ディフェンス
National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention
Hyogo Earthquake Engineering Research Center "E-Defense"
前例のない設計条件に対応する
Meeting Unprecedented Design Conditions
先端科学技術施設、流通施設、工場などの建築では、一般的なビル建築と異
巨大で頑丈な基礎の構築
なり、厳密で前例の少ない設計条件をいかに解決するかが構造設計のテー
機械装置である震動台を確実に稼働させるためには、震動台を格納してい
マとなります。
場合によっては機械装置に要求されるような、ミクロン単位
る基礎がとても重要です。
試験体とそれを載せているテーブルはあわせて
の条件に対して構造設計者として答えを出さなくてはなりません。
私たちは
2,000トンもの重量となり、これを1/20秒の精度で正確に揺らすためには非
蓄積された技術を応用し、新しいアイディアを付加することで、機能性が高
常に剛強な基礎が必要となります。
また、このような大きな力を発生させる
くローコストな建物を実現させています。
と、
この揺れが地盤を伝達して近隣の地域全体に振動が発生してしまうとい
ここでは、
阪神淡路大震災を契機とした地震災害に強い社会を目指すという
う可能性もあるので慎重な検討が必要です。E-ディフェンスでは、約9万立
基本理念のもとに、実物大の建物が壊れる過程を三次元震動台での破壊実
方メートルのコンクリートを使用した約20万トンの巨大な基礎を計画し、こ
験によって科学的に分析することを目的に建設された実験施設の設計につ
の基礎を敷地の中で谷となっている位置に建設することで、基礎と岩盤が
いてご紹介します。
一体となって働き、近隣での振動を抑えることができるようにしました。
ま
た、設計段階で現地にコンクリートプラントを建設して高品質のコンクリー
破壊を科学的に分析する施設
トを用いることや施工手順についても施工者とともに検討することで、ひび
E-ディフェンスは震動台という装置を使って建物の耐震性能に関する実験を
割れがまったくない頑丈な基礎を構築しました。E-ディフェンスは震動台・
行う研究施設です。
“E”はEarth(地球)を表します。
震動台とは、テーブルに
基礎がその性能を十分に発揮し、
耐震技術の向上に役立っています。
載せた試験体を加振機によってあたかも本当の地震が発生したときのよう
に揺らすことができる装置で、E-ディフェンスにおける震動台は最大1,200
科学技術の進歩にも役立つ構造設計
トンもの試験体を水平にも上下にも揺らすことができるだけでなく、長周期
ここでご紹介したE-ディフェンスだけでなく、ノーベル賞で有名になった
地震動を再現して建物の耐震性を検証できる世界最大の試験装置です。
スーパーカミオカンデなどの先端科学技術関連施設は私たちの得意とする
耐震の研究を行う施設には一般の建物のようなプロトタイプはありません。
分野です。
他にも、
半導体製造工場の振動スペックをはじめ、
様々な厳しい設
施設が完成したのちに企画される様々な実験の試験体製作・運搬・実験・計
計条件を経験し技術的解決を提案してきました。E-ディフェンスは豊富な
測を確実に行える施設を目指して、
数多くの提案を行いました。
経験に裏打ちされた技術の粋を極めた作品で、構造設計が科学の進歩に役
立っている例と言えます。
吉澤幹夫・山野祐司・深井悟
独立行政法人防災科学技術研究所
兵庫耐震工学研究センター
“E - ディフェンス”
建築主 : 独立行政法人 防災科学技術
研究所
所在地 : 兵庫県三木市
建物種別 : 研究施設
構造 : 鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート
造・鉄筋コンクリート造
階数 : 地上2階、地下1階
延べ面積 : 16,642.90㎡
竣工 : 2004年3月
National Research Institute
for Earth Science and Disaster
Prevention
Hyogo Earthquake Engineering
Research Center "E-Defense"
Client: National Research
Institute for Earth Science and
Disaster Prevention
Location: Hyogo, Japan
Major functions: research
laboratory
Structure: S, SRC, RC
Number of floors: +2, -1
Total floor area:16,642.90 m2
Completion: Mar. 2004
E-ディフェンス:実験棟内部では6階建のビルを震動台の上に設置できる。この実験室は3柱組柱と大トラス架構による86m×50.5mの無柱空間
E-Defense: A six-story building can be tested on this shaking table. Designed with a large truss structure, the space is 86 m x 50.5 m with no internal columns.
30
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
スーパーカミオカンデは地下1,000mの天文台。
光電子増倍管もステンレス製の構造体に支えられている。
At Super-Kamiokande, an astronomical observatory
built 1000 m underground, photoelectron multipliers are
supported by a stainless-steel structure.
東京大学宇宙線研究所
スーパーカミオカンデ
Institute for Cosmic Ray Research,
University of Tokyo:"Super-Kamiokande"
建築主 : 東京大学
所在地 : 岐阜県吉城郡神岡町
建物種別 : 研究施設
竣工 : 1996年3月
Client: University of Tokyo:
Location: Gifu, Japan
Major functions: research laboratory
Completion: Mar. 1996
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
31
独立行政法人防災科学技術研究所
兵庫耐震工学研究センター E-ディフェンス
National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention
Hyogo Earthquake Engineering Research Center "E-Defense"
前例のない設計条件に対応する
Meeting Unprecedented Design Conditions
Projects involving specialized structures such as advanced scientific
technology facilities, distribution facilities, and factories present
unique challenges and often demand micrometer-level precision.
With its accumulated expertise, Nikken Sekkei is able to realize
advanced and highly functional structures at low costs.
The vital importance of creating a society resistant to seismic
hazards became apparent following the Great Hanshin-Awaji
Earthquake. In keeping with this goal, the experimental facility
described below was constructed to scientifically analyze the process by which a full-scale building collapses. In addition to making
use of other forms of advanced technology, it employs a powerful
3D shaking table to conduct fracture experiments.
The Science of Structural Collapse
E-Defense is a research facility for conducting experiments on the
aseismic capacities of buildings using a device known as a "shaking
table." The letter "E" in this case stands for "Earth." The shaking
table is used to send vibrations through a test building to simulate
the effects of a real earthquake. Due to its massive capacity, the
table has the power to shake a test building of up to 1,200 tons,
and tests involving both horizontal and vertical movement are possible. In addition, this shaking table is the world's largest example
of test equipment used for verifying the aseismic capacity of buildings by reproducing long-period ground motion.
When beginning this project, there were no prototypes for
facilities used to conduct aseismic research. Before work commenced on E-Defense, we presented numerous proposals with the
aim of realizing a facility that would allow test buildings to be
securely constructed, transported, experimented upon, and measured for the variety of experiments that would take place following completion of the facility.
A Truly Massive Foundation
To securely use the shaking table as a mechanical device, the foun-
実験棟
&YQFSJNFOUCVJMEJOH
dation on which the table is installed is critical. With a test building
in place, the table can weigh up to 2,000 tons. In order to precisely shake the building to an accuracy of 1/20 second, a highly
rigid foundation is required. In addition, there is a possibility that
such a massive, artificially produced force could cause vibrations
throughout the entire neighboring area, with tremors being transmitted via the ground. Therefore, careful study was essential. For
E-Defense, we planned a massive foundation of approximately
200,000 tons, using 90,000 cubic meters of concrete. We controlled the risk of neighborhood vibration by positioning the foundation in a valley-shaped location in order to enable the foundation and the bedrock to work together. Furthermore, we
constructed a concrete plant on the site in the design stage to
produce high-quality concrete, and we studied the construction
procedure in collaboration with the builder. The result was a strong
foundation with no cracks. E-Defense contributes to the progress
of aseismic technology by providing a shaking table and a founda-
tion that deliver high performance.
Structural Design for Continued Scientific Progress
Nikken Sekkei's specialized expertise has resulted in advanced scientific facilities such as Super-Kamiokande, which came under the
spotlight for its Nobel Prize-winning research contributions, as well
as the E-Defense facility introduced here. We have also proposed
technological solutions involving a range of stringent design conditions, including vibration specifications for semiconductor manufacturing plants. E-Defense is a product of today's most sophisticated technologies supported by our cumulative experience. It is
an excellent example of one way in which structural design can
contribute to scientific progress.
Mikio Yoshizawa, Yuji Yamano, Satoru Fukai
U クレーン(基)
5XPUDSBOFT
油圧源棟
)ZESBVMJDQSFTTVSFFRVJQNFOUCVJMEJOH
計測制御棟
.FBTVSFNFOUDPOUSPM
CVJMEJOH
震動台実験室
4IBLJOHUBCMF
FYQFSJNFOUBMSPPN
E-ディフェンス空撮
Aerial view of E-Defense
震動台
4IBLJOHUBCMF
配管ピット
1JQFXPSLQJU
次造成ライン 1SJNBSZMBOEQSFQBSBUJPOMJOF
次造成ライン 1SJNBSZMBOEQSFQBSBUJPOMJOF
51+
51+
震動台基礎 容積:N 重量:t
'PVOEBUJPOGPSTIBLJOHUBCMF
$VCJDDBQBDJUZN8FJHIUU
実大6層鉄筋コンクリート造建物の震動台実験
(2006年1月・文部科学省
『大都
市大震災軽減化特別プロジェクト』
)
A shaking test was conducted on a six-story reinforced concrete
building to verify actual performance.
E-ディフェンス計測制御棟・実験棟・油圧源棟の断面。正確な震動をつくり、
かつ施設外に振動を伝えないため巨大な基礎が構築されている。
E-Defense is built on a highly rigid foundation.
資料提供:独立行政法人防災科学技術研究所 兵庫耐震工学研究センター
32
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
33
愛知県庁本庁舎&
東本願寺 真宗本廟 御影堂
Main Building of Aichi Prefectural Government and
Goeido of Higashi Honganji Temple
伝統建築の歴史的価値と耐震性能の調和
Historical Design and Seismic Reinforcement: Maintaining a Balance
私たちは長年にわたって培ってきた耐震設計技術を、新築建物の設計だけ
私たちはこれまでにも1990年代後半から立教大学礼拝堂や国際子ども図
木組みを考慮した伝統木造建築の耐震補強
る本瓦葺き屋根を巨大な小屋組が支えており、木造軸組としては極めて大
でなく既存建物の耐震診断・耐震補強などに活かし、
多くの実績を上げてき
書館など、わが国における免震補強の黎明期からの技術発展に貢献してき
こうした近代建築の保存のほかに、
私たちはこれまでに重要文化財周防国分
きな建物重量となることから、耐震性能については慎重な検討が必要です。
ました。
ここでは、
近代の名建築や、
伝統木造の社寺建築の保存・耐震補強例
ましたが、その中でも愛知県庁本庁舎は、延床面積28,314㎡、地上6階・地下
寺金堂、
国前寺本堂、
東本願寺御影堂など伝統木造建築の耐震診断及び補強
京都大学防災研究所の研究グループと連携をとり、
梯子状木造梁・乾式土壁
についてご紹介します。
1階に及び、文化財建物の免震補強として、国内最大規模の改修工事となり
設計にも参画してきました。
伝統木造軸組は地震のように横方向に揺れるこ
パネルの設置など、伝統木造の変形能力を損なわない補強を考案して設計
ます。
とについては必ずしも丈夫でありませんが、伝統的仕口構成からなる木組み
に反映し、
工事を行っています。
のしなりやめり込み特性により、粘り強く大きな変形に耐えるという特長を
文化財としての価値を守りつつ耐震性を重視
この計画では複数本の柱を集約してひとつの免震部材で支持することで、
愛知県庁本庁舎は、近接する名古屋城との意匠の調和を図った代表的な帝
周期4秒という文化財建物の免震改修としては珍しい長周期化を図った点
持っています。
免震構造に通じるこのしなやかな構造特性を様々な実験を
冠様式の建物です。
登録有形文化財でありながら現役の庁舎として機能し、
に特徴があります。
日の字型に配置された基礎の大架構の上に上部構造を
経て適切に評価することで個々の耐震性能を把握し、
さらにそこに建物に適
伝統建築には文化財としての側面があり、その耐震安全性を確保するだけ
災害時の防災拠点施設としても位置づけられています。
そのため東海・東南
しっかりつくり、地震時にはゆっくりと安定した揺れ方になるよう設計する
した安全性向上のアイデアを付加することで、歴史的意匠を保ったままでの
でなく、美観を損ねることなく、建物の歴史的価値を守るという目的があり
海地震といった巨大地震への対策として、文化財建物としての保存を考え
ことで、文化財的価値のある上部構造に全く手を加えることなく、巨大地震
耐震補強を実現しています。
ます。
また伝統木造建築は独特の架構形式であり、現代の新築建物の設計手
るだけでなく、
高い耐震性を付与した免震建物とすることがまず第一の方針
にも耐える建物としての改修を実現しています。
真宗大谷派の本山・東本願寺に現存する御影堂は、幕末
(1864年)
の蛤御門
法とは異なる技術力が不可欠です。
今後もこの分野での実績を増やし、日本
の変による焼失後、1895年に再建され、完成後113年が経過しています。
平
文化の継承発展に貢献したいと考えています。
となりました。
日本文化の継承のために技術力を磨く
大野富男・田代靖彦・西澤崇雄
面規模で東大寺大仏殿を上回る世界最大の木造建築です。8,000㎡ を超え
転がり支承
Rolling bearing
積層ゴム
Laminated rubber
新設免震層
New seismic isolation layer
0
2
5
10m
地上6階・地下1階の本庁舎を地下の免震装置が支える。
The underground seismic isolator supports the entire building.
登録有形文化財であり、災害時の防災
拠点でもある愛知県庁本庁舎の免震
補強は、こうした文化財建築としては
国内最大規模の改修工事となった。
The Main Building represents
the most extensive application
of seismic isolation retrofitting
for a cultural property in Japan.
34
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
愛知県庁本庁舎
Main Building of Aichi Prefectural Government
建築主 : 愛知県
所在地 : 名古屋市中村区
建物種別 : 庁舎
構造 : 鉄骨鉄筋コンクリート
階数 : 地上6階、地下1階
延べ面積 : 28,314㎡
竣工 : 1938年3月
Client: Aichi Prefecture
Location: Nagoya, Japan
Major functions: government office
Structure: SRC
Number of floors: +6, -1
Total floor area: 28,314 m2
Completion: Mar. 1938
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
35
愛知県庁本庁舎&
東本願寺 真宗本廟 御影堂
Main Building of Aichi Prefectural Government and
Goeido of Higashi Honganji Temple
伝統建築の歴史的価値と耐震性能の調和
Historical Design and Seismic Reinforcement: Maintaining a Balance
Nikken Sekkei has achieved notable success with aseismic design
technologies developed over many years, making advanced evaluation of seismic capacity and aseismic reinforcement improvements
possible. Nikken Sekkei has helped to preserve and protect a number of traditional wooden temples and shrines, as well as noted
masterpieces of modern architecture.
Earthquake Protection for Cultural Landmarks
The Main Building of the Aichi Prefectural Government, built in the
Teikan (Imperial Crown) style, is designated as a key shelter in the
event of disaster The structure still functions as a government
office building, even though it is registered as an important cultural property. Therefore, we gave top priority to enhancement of
its aseismic capacity as a seismic-isolated building able to resist the
effects of massive earthquakes while also taking its historical
importance into account.
In planning this project, we specified several columns that
would be collectively supported by a single seismic isolation member in order to give the upper structure a natural period of four
seconds—an extremely long cycle for this kind of structure. Large,
rectangular foundation frames were deployed for the upper structure, so that the building would be able to sway slowly and stably.
This allows the building to resist large-scale earthquakes without
any compromise of design integrity or the building's value as a
cultural property which is particularly notable in the upper portion
of the building.
Opening an Aseismic Future for Traditional Structures
Nikken Sekkei has been involved in examination and reinforcement
design for traditional wooden structures that often have great historical value such as the Kondo of Suo Kokubunji Temple and the
Main Building of Kokuzenji Temple. Some traditional timber frames
are not particularly effective against lateral swaying, such as that
generated by earthquakes. However, timber frames with traditional joint architecture consistently resist large deformations due to
their flexibility and the unique property of compressive strain
achieved with the artful use of wood. Using a variety of experiments, we test the aseismic capacity of each building by properly
evaluating flexibility. We introduce further safety improvements
based on the nature of each building and implement aseismic reinforcement improvements in keeping with historical design.
The 110 year-old Goeido of Higashi Honganji Temple is the
world's largest wooden building. A tiled roof of over 8,000 m² is
supported by giant roof trusses—a structure that imposes a tremendous weight on the wooden frame. Therefore, we had to carefully examine the aseismic capacity of the structure. We adopted
reinforcement approaches that would not decrease the deformation-resistant capacity of the traditional wooden building, such as
ladder-structured timber beams and dry earth-wall panels. The
restoration work, which involves design that reflects these sophisticated concepts, is being carried out in cooperation with the
Disaster Prevention Research Institute of Kyoto University.
Helping to Preserve Japan's Cultural Legacy
In enhancing the earthquake security of traditional buildings, we
are required to protect their historical value as cultural properties
while also maintaining their beautiful design features. Traditional
wooden structures, built in their original frame styles, require us to
apply technologies that are completely different from the modern
design approaches applicable to contemporary buildings. We aim
to realize further achievements in this area in order to make a significant contribution to the preservation and development of Japanese culture.
Tomio Oono, Yasuhiko Tashiro, Takao Nishizawa
国立国会図書館「国際子ども図書館」
。
旧建物の構造と空間を可能な限り活か
しながら、耐震性を高めるため、レトロ
フィット工法を採用。
基礎下に免震層を
設けて地震力を吸収する。
International Library of Children’s
Literature in Ueno: Seismic isolation retrofitting technology was
used to maintain the existing
structure.
東本願寺御影堂 Goeido at Higashi Honganji Temple
周防国分寺金堂 Kondo at Suo Kokubunji Temple
真宗本廟両堂御修復・御影堂
建築主 : 宗教法人真宗大谷派
建設地 : 京都市下京区
建物種別 : 宗教施設
構造 : 木造
階数 : 地上1階
延べ面積:2,891.98㎡
竣工 : 2008年12月
立教大学礼拝堂。
レンガ造建物として、
日本で初めての免震レトロフィット工法
による耐震補強。
The Chapel of Rikkyo University
saw the first use of seismic isolation retrofitting technology for a
brick structure in Japan.
Restoration of Goeido
(Founder's Hall),
Higashi Honganji Temple
Cilent: Shinshu Otani-ha
Location: Kyoto, Japan
Major functions: Religious structure
Structuer: W
Number of floors: +1
Total floor area: 2,891.98 m2
Completion: Dec.2008
2
東本願寺御影堂の8,000m を超える本瓦
葺き屋根を支える巨大な小屋組。
耐震性能
についても慎重な検討の末、
補強している。
Aseismic capacity was examined for
the giant roof trusses that support
the tiled roof (over 8,000 m 2 ) of
Goeido.
36
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
37
New Tower
新タワー
高さと機能美の両立
Height and Beauty in Perfect Balance
高さに対する人間の興味は古今東西を問わず共通の感覚として存在し、高
い建造物への興味もまた尽きないものがあります。
私たちは東京タワー以
来、多くのタワーの設計に携わってきましたが、洗練された機能美が求めら
れるタワーの設計は構造設計者の腕の見せ所でもあります。
A fascination with lofty structures is shared by people of all ages.
Since working on the original Tokyo Tower, Nikken Sekkei has
designed a number of similar structures. Sophisticated blends of
beauty and practicality provide excellent opportunities for structural designers to show off their skills.
世界一の自立型鉄塔の特徴
The World's Tallest Self-Supported Steel Tower
新タワーは、
首都圏の地上デジタル放送用電波塔として、
墨田区押上・業平橋
The New Tower has been planned as a terrestrial digital broadcasting facility for the Tokyo metropolitan district. The 610-m-high
structure will be the tallest self-supported steel tower in the world.
Its silhouette, echoing the "warp" and "arch rise" seen in traditional Japanese structures, will feature soft lines that shift gradually from the base toward the top. This is achieved by a unique
design involving the use of triangular and circular plane shapes at
different heights. The legs form three open gates, designed to
encourage bustling activity in the neighboring Asakusa area. In
addition, observatories and restaurants are planned for the floors
350 m and 450 m above the ground.
A traditional Japanese five-story pagoda has independent floors
and uses the central pillar as an axis. It is said that the interaction
caused between the central pillar and each story of the pagoda
skillfully attenuates swaying in the event of an earthquake or a
strong wind. The structural system of the New Tower could be
seen as an attempt to reproduce the vibration-damping system of
the five-story pagoda using the latest technology. Seismic energyabsorbing dampers are installed between the steel trussed tower
body and the reinforced concrete central staircase (acting as the
central pillar), allowing control of sway and enhancing the structure’s TV broadcasting capabilities.
地区に計画されており、約610mの高さは自立型鉄塔として世界一となりま
す。
伝統的日本建築などに見られる「そり」や「むくり」を意識したシルエット
は、頂部から足元に向かって変化するしなやかな曲線に特徴がありますが、
これは足元から頂部に向かうにつれ平面が三角から円へと変化する斬新な
デザインによって生み出されたものです。
浅草に近く伝統的な江戸文化の
残るこの地域に、
新たな賑わいをつくることを意図し、
脚部は開かれた3つの
ゲートを構成しています。
また、地上350mと450mには二つの展望台が設置
され、
レストランなどが計画されています。
日本古来の五重塔は、心柱を軸に
各層が独立した構造となっており、
地震や強風時には心柱と塔体各層との間
に生じる相互作用で、巧妙に揺れを低減する役割があると言われています。
新タワーの構造システムはこの五重塔にみられる制振システムを最新の技
術で再現しようとするものです。
鉄骨を籠状に組んだ「塔体」
に加え、中央階
段をRC造の「心柱」として構築し、相互の間にダンパーを設置して揺れのエ
ネルギーを吸収する制振構造で、強風時や地震時の揺れを抑え、電波鉄塔と
しての機能向上を図っています。
タワーの技術
1980年代後半から塔状構造物には,強風時に生じる周期の長いゆっくりと
した揺れを抑える目的で,頂部に制振装置を設置したものが多く見られるよ
は,
わが国で最初に
うになりました。
千葉ポートタワー(1986年、125.15m)
を採用しています。
先進技術の粋を集めて
Harmony through Advanced Technology
ハーフミラーガラスで覆った中空状の塔で、居住性能を高めるための制振
技術開発への道を開いた建物です。
福岡タワー(1989年、234m)にも制振
装置が設置されていますが、これらの展望塔に導入された新たな機構は、揺
れを制御する装置としての有効性が確認され、その後の高層建物に用いら
れる設計手法へと展開されていきました。
タワーの形状もバラエティに富ん
だものが見られるようになりました。
その一例としての瀬戸デジタル放送所
(2003年、244.7m)は、地区の放送範囲に地上波デジタル放送の電波を発
信するための施設として、斬新で合理的なシステムとデザインを目指して設
計しました。
周辺環境への影響を考慮し、最高高さ250mの威圧感を感じさ
せないよう、送信塔頂部までの幅に対する高さの比が7.5というスレンダー
な形状とし、オフホワイトに塗られた膨らんだ曲線を持つ柔らかなフォルム
タワーは科学技術の進歩とともにその高さを伸ばし、
利用方法も、
電波塔、
観
光・展望塔、
広告塔などへと拡がっています。
ドバイでは800mを超すと言わ
れている超高層建築の工事が進められていますが、高さ1,000mを超すタ
ワーの姿を見られるのもそう遠い日のことではないかも知れません。
いずれ
にせよこれからも時代の技術を見定め、タワーの歴史の中にしっかりと位置
づけられる作品を生み出していきます。
慶伊道夫・加賀美 安男・小西厚夫
東京タワー
神戸ポートタワー
千葉ポートタワー
福岡タワー
大連タワー
秋田ポートタワー "セリオン”
瀬戸デジタルテレビ放送所
竣工年 : 1958年10月
高さ : 332.6m
竣工年 : 1963年11月
高さ : 108m
竣工年 : 1986年3月
高さ : 125.15m
竣工年 : 1989年2月
高さ : 234m
竣工年 : 1990年5月
高さ : 190.5m
竣工年 : 1994年2月
高さ : 143.6m
竣工年 : 2003年11月
高さ : 244.7m
Nagoya TV Tower
Tokyo Tower
Kobe Port Tower
Chiba Port Tower
Fukuoka Tower
Dalian TV & Radio Tower
Akita Port Tower SELION
Seto Digital Tower
Completion: Jun. 1954
Height: 180 m
Completion: Oct. 1958
Height: 332.6 m
Completion: Nov. 1963
Height: 108 m
Completion: Mar. 1986
Height: 125.15 m
Completion: Feb. 1989
Height: 234 m
Completion: May 1990
Height: 190.5 m
Completion: Feb. 1994
Height: 143.6 m
Completion: Nov. 2003
Height: 244.7m
日建設計 タワーの歴史 機能と美しさ
The History of Tower Design at Nikken Sekkei : Function and Beauty
Tower Technology
Since the late 1980s, many tower structures have incorporated
top-mounted dampers to control the slow long-period sway
caused by strong winds. Chiba Port Tower (125.15 m and built in
1986) was the first observation tower in Japan to be equipped
with dampers. It is hollow and features a rhombic-plane steel brace
structure surrounded by half-mirror glass. This tower opened the
door to development of vibration-damping technology that enhances habitability. Fukuoka Tower (234 m and built in 1989) also has
dampers, and this design approach has been used extensively in
subsequent high-rise buildings. The Seto Digital Tower (244.7 m
and built in 2003) was planned using innovative, rational systems
and design. Considering the effects on the environment surrounding the tower, we adopted a slender shape with a height-to-width
ratio of 7.5:1, so as to avoid creating an overpowering impression.
The tower also has a soft form, with an off-white color and swelling curves.
制振装置を装備した展望塔です。菱形平面の鉄骨ブレース構造の周囲を
名古屋テレビ塔
竣工年 : 1954年6月
高さ : 180m
Towers have grown taller with progressive advances in scientific
technology, finding new uses as facilities for TV broadcasting,
observation points, and promotional structures. In Dubai, superskyscrapers over 800 m in height are being constructed. We may
even see a tower that reaches a height of over 1,000 m in the notso-distant future. Through our ongoing focus on emerging technologies, Nikken Sekkei will continue to create projects that will
come to be viewed as architectural milestones.
Michio Keii, Yasuo Kagami, Atsuo Konishi
新タワー 竣工予定年:2011 年 高さ:約 610m New Tower: scheduled for completion in 2011 with a height of approximately 610 m.
38
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザイン最前線
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
39
Structural Design Chronology
1950
生産系
This chronological table features notable towers and buildings constructed
Junichiro Ono, Takashi Fukushima
from 1950 to 2008.
本年表は、2008年までに竣工した建物を中心にまとめたものです。建物選定に当たっては、社会的に評価(受賞実績)された建物など、
中でも特筆すべき建物について取り上げております。そのため本年表の構成上の理由により割愛させていただいた建物も多数あります。
また、新しい技術に重きを置き1950年以前の建物については取り上げておりません。(小野潤一郎・福島孝志)
構造の系譜
1960
1970
1980
1990
2000
1958
1959
2004
秩父セメント
第2工場
住友金属
和歌山工場
独立行政法人防災科学技術研究所
兵庫耐震工学研究センター "E-ディフェンス"
Manufacturing
Facilities
東京都中央卸売市場
大田市場
1989
大スパン
Large Span
Structures
大空間
Large Open
Spaces
1964
1971
宮城県スポーツ
センター
日本サイクル
スポーツセンター
東京厚生年金会館
1961
全日空大阪
第一格納庫
1966
1972
1988
1990
NHKホール
東京ドーム
咲くやこの花館
船橋市中央卸売市場
新東京国際空港
旅客ターミナル
1967
大阪城ホール
1973
アトリウム
Atrium
Structures
大阪府立体育館 1987
1983
1992
1993
2004
所沢航空発祥
記念館
茨城県立
カシマサッカースタジアム
中部国際空港
“セントレア”
旅客ターミナルビル他
パシフィコ横浜展示ホール
関西国際空港旅客ターミナルビル
大阪市中央体育館
大阪ドーム
さいたまスーパーアリーナ
1991
1994
1996
1997
2000
1995
1996
新宿NSビル
ソリッドスクエア
1982
SOLID SQUARE
東京ガスアース
ポート
ポーラ五反田ビル
1971
松下電器産業情報通信
システムセンター
日本長期信用
銀行本店ビル
1992
1993
新潟スタジアム
「ビッグスワン」2001
茨城県立カシマサッカースタジアム
2001
2002
泉ガーデン
1954
1963
1986
1994
2003
2011(予定)
名古屋テレビ塔
神戸ポートタワー
千葉ポートタワー
秋田ポートタワー
瀬戸デジタルテレビ放送所
新タワー
タワー
Towers
東京タワー
福岡タワー
1958
1989
高層ビル
High-Rise
Buildings
超高層ビル
1969
1971
1973
1973
1977
1982
神戸商工
貿易センター
日本アイ・ビー・エム
本社ビル
全国勤労
青少年会館
三和銀行
東京ビル
東京堂
千代田ビル
トヨタ自動車
東京ビル
Super High-Rise
Buildings
静岡県庁
東館
1970
朝日東海ビル
新宿住友ビル
1971
1974
住友生命 三井物産
仙台ビル ビル
神戸ポートピア
ホテル
1974
1981
1976
1988
1984
1989
特許庁 1989
庁舎
神戸市新市庁舎
OBPキャッスル
タワー
大正海上火災保険本社ビル
日本電気本社ビル
1990
1993
イスラム
開発銀行
1995
1996
聖路加ガーデン
大阪WTCビル
りんくうゲートタワー
アジア太平洋
トレードセンター
キーエンス本社・
研究所ビル
1994
1995
JTビル
1995
晴海アイランド
トリトンスクエア
制振によるスレンダータワー
超高層に制振ダンパー使用
2006
汐留住友ビル
ミッドランド スクエア
モード学園
スパイラル
タワーズ
パシフィックセンチュリー
丸の内
プレイス
(PCP)
日本生命
丸の内ビル
NEC玉川
東京ミッドタウン
ルネッサンスシティ
1997
2001
2004
2005
2007
飯田橋ファーストビル・
ファーストヒルズ飯田橋
エニックス本社ビル
Damping and Seismic
Technology
2004
クイーンズ
スクエア横浜
1996
特筆すべき免震/制振技術
2008
2001
1994
免震
吊ブレースに
制振ダンパー使用
信濃毎日新聞 ソフトファースト
ストーリー制振
2002
2000
中間層免震
2005
ポーラ美術館
制振ブリッジ
免震
免震
中間層免震
免震
大阪弁護士会館 アウトリガー
方式ダンパー
「五重塔」
制振システム
2006
レトロフィット改修
1999
Retrofitting Solutions
静岡県庁舎耐震改修
立教大学礼拝堂 1999
国立国会図書館
「国際子ども図書館」2002
京都大学医学部
百周年記念施設芝蘭会館
1998
1994
愛媛県歴史文化博物館
宇治市源氏物語
ミュージアム
2004
中高層ビル
Medium High-Rise Buildings
三愛ドリームセンター
パレスサイドビル
愛媛県美術館
日本科学未来館
1962
1966
1998
2001
新東京国際空港開港
時代背景・経済・社会
東京オリンピック
日本万国博覧会
札幌冬季オリンピック
Events in Society
1964
1970
1972
新潟地震
(M7.5)
地盤の液状化
地震
1964
Earthquakes
法規
Building Laws
40
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
十勝沖地震
(M7.9)
津波被害
1968
建築基準法改正公布
1963
高さ制限撤廃
1964
1978
神戸ポートピア博
1981
つくば科学万博
ソウルオリンピック
日本構造技術者協会設立
関西国際空港開港
長野冬季オリンピック
1985
1988
1989
1994
1998
宮城県沖地震
(M7.4)
RC被害・津波被害
兵庫県南部地震
(M7.2)
1978
1995
アメリカ同時多発テロ
2001
鳥取県西部地震
(M7.3)
芸予地震
(M6.7)
2000
2001
建築基準法施行令大改正
(新耐震)
耐震改修促進法成立
1981
1995
建築基準法改正 性能設計へ
1998
コウヅキ
キャピタルウエスト
淀屋橋山本ビル
2005
2002
京都議定書発効・中部国際空港開港
耐震強度構造計算書偽装事件・愛知万博開催
FIFA World Cup KOREA/JAPAN開催
2002
2005
宮城県沖地震
(M7.1)
宮城県北部地震
(M6.2)
十勝沖地震
(M8.0)
2003
新潟県中越地震
(M6.8)
釧路沖地震
(M7.1)
2004
福岡県西方沖地震
(M7.0) 伊豆半島東方沖地震
(M5.8)
能登半島地震
(M6.9)
宮城県南部地震
(M7.2) 2006
新潟県中越沖地震
(M6.8)
三陸沖地震
(M7.1)
2005
2007
建築基準法改正
(性能基準)
建築基準法改正
建築確認・検査の厳格化
2000
2007
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
41
Nikken Sekkei Technology
耐震診断、
耐震改修
地盤・基礎技術
Evaluation of Seismic Capacity and Earthquake Retrofitting
Ground Technology
1995年の阪神淡路大震災は建築物に多大な被害をもたら
各種耐震改修方法の考え方
基礎構造は、建物の重量を安全に地盤に伝える役割を担う
Various types of earthquake retrofitting measures
直接基礎
杭基礎
パイルド・ラフト基礎
しましたが、それらの大部分は1981年の改正基準法施行
重要な構造部分です。建物を支える地盤は一般に支持層と
Spread foundation
Pile foundation
Piled raft foundation
以前のいわゆる旧基準法によって設計された建物でした。
既存建物の活用やリニューアル等を計画する場合、耐震診
断と耐震改修が重要です。人命の安全確保を確認するとと
呼ばれています。
(耐力の向上)
強度増強型改修
Measures to reinforce strength
改修前
改修後
Before
After
基礎構造には、大別すると、支持層が浅く建物重量が直に
もに、建物の付加価値向上を図ることができます。
壁・ブレース
を新設
物重量が杭を介して支持層に伝えられる杭基礎形式があり
耐震診断:旧基準法で設計された建物が現行基準法並み
New walls
and braces
ます。支持層の深さが比較的浅い場合は杭に代えて地盤改
の耐震性を有するかを確認します。建物の耐震性の本格的
基礎スラブ
(ラフト)
支持層に伝えられる直接基礎形式と、支持層が深いため建
良を用いる場合があります。
杭
な評価と判定には、設計図書確認や建物調査、モデル化と
昨今、新しい基礎形式として、直接基礎と杭基礎を併用し
診断計算、結果の分析と脆弱箇所の把握といった総合的な
たパイルド・ラフト基礎が注目されており、実際に採用さ
技術検討が必要です。
Foundation slab
(raft)
Pile
れる事例が出てきています。
診断に際しては、様々な建築構造設計の経験や耐震性のノ
建物の剛性・耐力不足。
Rigidity and strength are lacking.
建物の剛性・耐力を増やす。
Rigidity and strength are reinforced.
ウハウ、豊富な診断実績を活かし、構造を熟知した専門技
パイルド・ラフト基礎は、
支持層となる地盤が深い場合に、
支持層まで杭を打たず、杭支持層にたどり着く前の比較的
術者による確実な評価を実施します。日建設計では1995
柔らかい地盤までとし、その地盤に建物を支持させる形式
年の阪神淡路大震災以降だけで2,000件を上回る診断を実
で、一定の沈下量は許容した上で安全性と経済性を実現す
施しています。また、多くの建物を保有するお客様の場合
には、個々の建物の診断に加え、診断や改修の優先順位を
定める耐震改修事業計画の策定も行います。
(粘り強さの向上)
靭性増進型改修
Measures to enhance ductility
改修前
改修後
Before
After
る基礎形式です。
ただし、パイルド・ラフト基礎は現時点では通常の建築確
雑壁
(耐震壁ではない)
Ordinary wall 耐震
スリット
耐震改修:耐震診断結果を慎重に評価分析し、耐震上の問
題点と対策を明確にします。その際、地盤や地震、そして
多種多様な建物構造に対する幅広い見識と技術力を活か
耐震スリット
Aseismic slit
す。また、この基礎形式を採用できる地盤は限定され調査
等にも時間がかかるため、沈下量の制御が重要なポイント
となるので、設計にあたっては詳細な検討がされます。
Aseismic slit
し、お客様のご要望に合わせて最適な耐震改修対策をご提
査のそれぞれの専門家からなるチームの協働により、地盤
や制振構造を取り入れて建物の振動性状を改善する補強
特性についての高度な知識、最新の解析技術を用いて設
長瀬悟・角田義雄
In planning the utilization or renewal of existing
buildings, earthquake retrofitting and evaluation of
seismic capacity are vital for both safety and added
value.
変形に弱い部分が先に壊れ、
健全
な部材の性能が発揮されない。
Strong parts do not exhibit
strength, allowing for weak
parts to collapse.
建物全体を変形に追随しやす
い状態に変える。
Building flexibly adjusts to
deformation.
(制振構造化)
振動性状改善型改修
Measures to create vibration-damping structure
改修前
改修後
Before
After
ダンパー
Damper
Evaluation of Seismic Capacity
This is aimed at confirming that buildings have the
aseismic capacities required under the current law.
For full-scale evaluation and determination of the
aseismic capacity of a building, an overall technological examination is necessary. This involves confirmation of design drawings and documents,
building investigation, evaluation modeling and
calculations, analysis of results, and identification
of vulnerable points.
(免震構造化)
振動性状改善型改修
Seismically isolated structure
Earthquake Retrofitting
改修前
Results of seismic capacity evaluation are carefully
analyzed to identify problems in and measures to
be taken for earthquake resistance. We propose
optimal earthquake retrofitting solutions in accordance with client requests, utilizing our wealth of
knowledge and proven technologies. It is important to select the most effective reinforcement
approaches for each building. Measures include
upgrading of strength and ductility and fortification to improve vibration performance with the
introduction of either a seismically isolated structure or a vibration-damping structure.
Satoru Nagase, Yoshio Tsunoda
ダンパーがエネルギーを吸収
し、建物の揺れを小さくする。
The damper absorbs the
energy and diminishes sway.
Before
加速度
の大きさ
Extent
of sway
支持層 Bearing layer
支持層 Bearing layer
支持層は、岩盤やよく締まった砂礫層、砂層及び固結した粘性土層などで地盤の
固さ・強さほか、建物の規模などに応じて選定される。
The type of bearing layer is chosen in accordance with the scale of
the building and the necessary solidity and strength of the ground.
日建設計では、グループ内の建築構造、地盤工学、地盤調
案します。建物の強度や粘り強さを高める補強、免震構造
等から、建物に最も効果的な補強方法を選択します。
支持層 Bearing layer
認では認められていないので特別な審査が必要となりま
改修後
After
支承
Bearing
ダンパー
ゆっくり大きく揺れることで
安全性、居住性を向上させる。
Safety and habitability are
improved by allowing slow
and gentle sway.
計を行っています。
パイルド・ラフト基礎の解析例
Analyzed example of piled raft foundation
原克巳・二宮利治
The foundation is a critical part of every structure,
serving to safely transmit the weight of the building
to the ground. The ground that supports the building is generally called the bearing layer.
Foundation structures can be classified as
"spread foundations," with the building weight
directly applied to the shallow bearing layer; and
"pile foundations," with the building weight transmitted to the deep bearing layer through piles.
Recently, new "piled raft foundations," which are
combinations of spread foundations and pile foundations, have also been attracting attention. In a
piled raft foundation, when the bearing layer is
quite deep, piles are only driven into the relatively
soft ground above such layer. A certain degree of
settlement is allowed, which satisfies safety and
economic criteria.
In designing this type of foundation, which is
not yet authorized in standard building certification, careful examination is required in order to
control the degree of settlement. Nikken Sekkei
assembles a collaborative team of specialists drawn
from building construction, geotechnique, and
ground investigation groups in order to implement
efficient designs using sophisticated knowledge
and advanced technology for analysis of ground
characteristics.
Katsumi Hara, Toshiharu Ninomiya
中央の沈下量
中央の沈下量
Central settlement
45 mm
Central settlement
25 mm
直接基礎形式の変形
パイルド・ラフト基礎形式の変形
Deformed spread foundation
Deformed piled raft foundation
直接基礎とパイルド・ラフト基礎の有限要素法による
(FEM)による解析結果の一例。
パイルド・ラフトでは沈下が緩和されていることがわかる。
Examples of spread foundation and piled raft foundation analyzed by the
finite element method (FEM): Settlement is improved with the piled raft foundation.
建物沈下量の解析値と実測値の比較
Comparison of analyzed and actual values for building settlement
鉛直変位量 (mm)
20
Vertical displacement
マットスラブ施工 Mat slab
地下躯体施工 Underground building frame
10
低層躯体施工 Low-story building frame
中層躯体施工
Mid-story building frame
0
掘削
Excavation
高層躯体施工
High-story building frame
供用時
Placed in service
-10
解析結果 Analyzed Results
実測 Actual
-20
-2
0
1
2
3
4
5
6
施工ステップ Construction process
パイルド・ラフト基礎を採用した建物の工事開始から竣工直前までの基礎の沈下状況
の実測と解析結果を比較すると、両者は良い一致を示している。この例では、パイル
ド・ラフト基礎の採用で杭基礎に比べ全建設コスト2%の縮減が可能となった。
The above chart shows the process from start of construction to completion of a building using the piled raft foundation method. A reduction in
construction costs of about 2% was achieved compared with a case using
the pile foundation method.
42
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
43
解析技術
環境技術
Analytical Technology
Environmental Technology
全ての建築物は、法に定められた安全性を保持しているこ
振動解析結果のアニメーション画像
地球環境問題が危惧される現在、構造計画の面から環境
とを検証し、設計者が意図した通りの性能を有しているこ
Animated results of vibration analysis
保護への取り組みは重要な課題となっています。環境負荷
とを確認する必要があります。建築物が自身の重量や地震
低減への貢献を構造の視点から考えると、①長寿命、②リ
や風に対してどのように抵抗しているか、柱や梁などの部
サイクル、リユース、③建築・設備計画との調和(架構の
材がどの程度の力を受けてどのように変形するか、部材か
工夫)などがあげられます。各プロジェクトの特徴・条件
ら部材へどのように力が伝達するかなど、力学原理に基づ
に合わせて取り組むことが重要です。
いた計算を行うことで検証します。これらの解析には一般
最近のプロジェクトにおいて、構造計画の面から環境親和
に膨大な計算量を伴い、
コンピュータが不可欠となります。
に取り組んだ事例を紹介します。図1は既存躯体の地下外
設計過程においては、条件や目的に応じて様々な角度から
壁を山留壁に利用しながらさらに補強を施して本設の地下
検証を行う必要があります。①構造形態の多様化、②構造
外壁に使用した例の地下断面図です。また、図2は既存杭
規模の大規模化、③構造物に求められる性能や法的要求の
を新築建物の杭として利用した建物の地下断面を示してい
多様化、④制振システムなど最新技術の導入、⑤コンピュー
ます。これらの例のように既存建替えプロジェクトにおい
タの高性能化などの要因により、解析プログラムに要求さ
て既存地下躯体・杭の解体は、コスト低減、工期短縮はも
年代よりプログラム開発に取り組み、これまで様々な解析
▽ 1FL
地面
▼Ground
▽ B1FL
既存躯体補強範囲
Existing frame reinforcement scope
▽ B2FL
とより、環境負荷の観点からも重要なファクターになりま
れる機能も時代とともに拡大し続けています。時代のニー
ズや新しい試みに柔軟に対応するため、日建設計では1960
図 1 環境既存躯体壁
Figure1: Existing frame used for new frame
一貫構造計算プログラム
「BUILDING3D」
のインプット画面
Input screen of the "BUILDING3D" consistent structure calculation program
す。既存躯体・杭の積極的再利用は、大量のコンクリート
既存躯体のうち
本設利用する範囲
がらの発生、解体時の消費エネルギーを抑え環境負荷低減
Scope of existing
frame used for
the new frame
プログラムを自社開発してきました。設計者としての視点
に大きく貢献します。しかし、既存躯体を本設利用するた
を取り入れたり、
出力のわかりやすさのために改良を重ね、
めには既存躯体の健全性の確認や杭の載荷能力などの評
新設躯体
New frame
既存躯体のうち仮設利用する範囲
Scope of existing frame
to be used temporarily
オーダーメイドのプログラムをつくり上げてきました。
価が難しく、実施例はまだごく僅かです。下写真は外壁面
近年では多種多様の解析ソフトが市販されるようになり、
のルーバーを構造柱として設計した建物です。自然採光を
図 2 環境既存杭
自社開発を行う設計会社は少なくなりました。同時に、設
十分に確保しつつ遮光にも配慮したルーバーを構造柱と兼
計者が力学原理に基づいて考える機会が減り、解析ソフト
用することで、豊かな広い室内空間を確保しています。こ
Figure 2: Existing piles
used for new frame
はブラックボックス化している傾向にありますが、このこ
れは「光と熱環境」と「建築・構造計画」との融合を図った環
とが構造計算偽装事件の遠因となっているとも言われてい
境配慮型建築を実現させた建物の例です。
大竹透・阿波野昌幸
ます。日建設計では、構造設計の先駆者として様々な構造
計姿勢を保ち続けるためにも自社開発にこだわり続けてい
石井正人・篠原達巳
All buildings must be checked to verify that they
satisfy the safety levels specified by law and deliver
the intended performance characteristics. Calculations based on the principles of mechanics are vital
tools for achieving this purpose. We check ways in
which buildings resist their own weight and stand
up to earthquakes and wind. Computers are essential for such work, which generally requires calculation on a massive scale.
Over time, the functions required of analysis
programs have increased in number. Since the
1960s, Nikken Sekkei has progressively developed
analysis programs to flexibly address changing
needs while also fostering innovation. We have formulated original programs, constantly introducing
improvements to make processing easier.
Recently, numerous forms of analysis software
have become available, and today only a few companies still develop their own programs. Too much
reliance on such software could spoil structural
designers. As a leader in structural design, we continue to develop our own software in order to
maintain design that is firmly rooted in the principles of mechanics.
Masato Ishii, Tatsumi Shinohara
▼Ground
既存躯体
Existing frame
形態や技術にチャレンジし、一方で力学原理に根ざした設
ます。
地面
日建設計東京ビルの解析例
Analysis of Nikken Sekkei’s Tokyo office building
The implementation of environmental protection
measures is a key task in structural planning. Factors that help to reduce environmental impacts in a
structure include: (1) long building life, (2) recycling
and reuse, and (3) harmonization of architectural
and facility planning.
Fig. 1 depicts a situation in which the underground exterior wall of an existing frame is used as
a bracing wall, with further reinforcement introduced to provide for additional use as the exterior
wall of the new frame. Fig. 2 is an underground
sectional view of a new building in which existing
piles have been reused. As these examples show,
dismantling of the existing underground frame and
piles is a key factor in terms of environmental
impact, cost reduction, and shortening of work
time. However, it is difficult to evaluate the soundness of the existing frame and the load capacity of
the piles in such a situation. Therefore, this approach
has been put into practice in only a few cases. The
third example, Fig. 3, shows a building in which the
louvers of the exterior wall are designed as structural columns. Such measures allow for natural
lighting and a roomy and comfortable interior
space. This is a good example of an environmentally friendly building in which the surrounding light
and heat environment is efficiently integrated with
the architectural and structural plans.
既存杭
Existing piles
焼津信用金庫新本部ビル
(2007年)
New Head Office Building of Yaizu Shinkin Bank, 2007
Toru Ootake, Masayuki Awano
ルーバーを構造柱として利用
Louvers used as structural columns
44
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
45
執筆者プロフィール
海外プロジェクトの構造設計
Authors
Overseas Structural Design Projects
海外の建築物の構造設計においては、日本と大きく異なる
小堀 徹[こぼり・とおる] P4. P18
常木康弘[つねき・やすひろ] P26
自然条件や建設事情への対応が必要です。私たちは、単に
1954年生まれ。1982年入社。常務執行役員 構造設計部門代表
1956年生まれ。1979年入社。執行役員 構造設計部門副代表 1964年生まれ。1989年入社。構造設計室主管
TORU KOBORI
Born: 1954 Joined: 1982; Senior Executive Officer
Principal, Structural Engineering Department
YASUHIRO TSUNEKI
Born: 1956 Joined: 1979; Executive Officer
Deputy Principal
Structural Engineering Department
JUNICHIRO ONO
Born: 1964 Joined: 1989; Senior Structural Engineer
Structural Engineering Section
村上勝英[むらかみ・かつひで] P26
1978年生まれ。2005年入社。構造設計室
設計基準に頼るのではなく、地震危険度等の自然条件を分
析し、各国固有の状況を把握した上で、国内実績を通じて
培った技術力と経験を、海外の多種多様な建築の構造設
山根尚志[やまね・たかし] P4
計に適合させています。そうすることで、建築主が日本の
1958年生まれ。1983年入社。構造設計室 主査
技術者に求める高品質で信頼性の高い建築空間への期待
TAKASHI YAMANE
Born: 1958 Joined: 1983; Senior Structural Engineer
Structural Engineering Section
に応えています。
ドバイなどの中東地域では、地震や風の作用が日本に比べ
て小さく、また事務室空間は小部屋分割が中心なので、超
向野聡彦[こうの・としひこ] P12
高層建築をRC構造とすることが適しています。耐震壁な
1957年生まれ。1987年入社。構造設計室長
どの横力抵抗要素をコア周りに集約限定し、一般居室は無
TOSHIHIKO KONO
Born: 1957 Joined: 1987; Chief Structural Engineer
Structural Engineering Section
梁板構造とした、フレキシブルで経済的な構造計画を進め
ています。一方で、最近、超高層ビルに求められる都市
ICONとしての象徴性を実現するため、鋼構造による最新
小板橋裕一[こいたばし・ゆういち] P12
設計技術を採用した計画にも取り組んでいます。
1963年生まれ。1988年入社。構造設計室主管
中国では、これまで、無梁板構造に比べ、型枠手間はあり
YUICHI KOITABASHI
Born: 1963 Joined: 1988; Senior Structural Engineer
Structural Engineering Section
ますが使用材料が少ないRC柱梁構造が主流でした。近年
では、中国国内の鉄鋼生産量の急増に比例して、鉄骨梁を
用いた大部屋空間対応の要望が増えています。尚、日本の
杉浦盛基[すぎうら・しげき] P12
超高層ビルは、耐震基準が大地震時の耐力確保を主眼に
1968年生まれ。1991年入社。構造設計部門 主管
置いているため、高靱性で変形追従性の高い鉄骨造を用い
SHIGEKI SUGIURA
Born: 1968 Joined: 1991; Senior Structural Engineer
Structural Engineering Section
ていますが、中国では比較的小規模な地震における損傷
(変
形)制御を重視するため、水平剛性の高いRC造のセンター
鳥井信吾[とりい・しんご] P17. P26
コアと外周鉄骨架構の併用が合理的です。
1960年生まれ。1985年入社。構造設計室長
他には、東南アジア地域でも、スタジアムや展示場等の大
SHINGO TORII
Born: 1960 Joined: 1985; Chief Structural Engineer
Structural Engineering Section
空間構造など、様々な取り組みを展開しています。
森伸之・國津博昭
2011年竣工予定のドバイマリタイムシティ/ランドマークタワーは都市を象徴するICONとして計画されている。
Dubai Maritime City/Landmark Tower scheduled for completion in 2011
In overseas structural design projects, it is important to respond to natural conditions and circumstances that are often significantly different from
those in Japan.
In the Middle East, for example, it is possible to
adopt reinforced concrete for super high-rise buildings because structures there are much less likely to
be impacted by strong earthquakes and wind forces. Making good use of these advantages, we often
deploy lateral force resistance elements around the
cores of buildings and implement the beam-free
style, taking into account functional changes to be
made in the future.
Nikken Sekkei has also participated in a number
of projects in China, including super high-rise buildings, over the years. The design code in China
emphasizes damage control in relatively small
earthquake events. Therefore, we have proactively
adopted a hybrid structural approach, characterized by a reinforced concrete center core and a steel
peripheral frame. In Southeast Asia, Nikken Sekkei
projects have included structural design for large
open spaces such as stadiums and exhibition halls.
吉江慶祐[よしえ・けいすけ] P18
1965年生まれ。1990年入社。構造設計室 主管
KEISUKE YOSHIE
Born: 1965 Joined: 1990; Senior Structural Engineer
Structural Engineering Section
山脇克彦[やまわき・かつひこ] P18
1968年生まれ。1992年入社。構造設計室 主管
KATSUHIKO YAMAWAKI
Born: 1968 Joined: 1992; Senior Structural Engineer
Structural Engineering Section
小野潤一郎[おの・じゅんいちろう] P40
福島孝志[ふくしま・たかし] P40
1963年生まれ。1988年入社。構造設計室 主管
KATSUHIDE MURAKAMI
Born: 1963 Joined: 1988; Senior Structural Engineer
Structural Engineering Section
吉澤幹夫[よしざわ・みきお] P30
1959年生まれ。1984年入社。構造設計室長
MIKIO YOSHIZAWA
Born: 1959 Joined: 1984; Chief Structural Engineer
Structural Engineering Section
TAKASHI FUKUSHIMA
Born: 1978 Joined: 2005; Structural Engineering Group
長瀬 悟[ながせ・さとる] P42
1959年生まれ。1985年入社。構造設計室長
SATORU NAGASE
Born: 1959 Joined: 1985; Chief Structural Engineer
Structural Engineering Section
角田義雄[つのだ・よしお] P42
1949年生まれ。1968年入社。構造設計室主管
山野祐司[やまの・ゆうじ] P30
1960年生まれ。1986年入社。構造設計室長
YUJI YAMANO
Born: 1960 Joined: 1986; Chief Structural Engineer
Structural Engineering Section
YOSHIO TSUNODA
Born: 1949 Joined: 1968; Senior Structural Engineer
Structural Engineering Section
原 克巳[はら・かつみ] P43
1948年生まれ。1974年入社。構造設計室長
深井 悟[ふかい・さとる] P30
1956年生まれ。1981年入社。構造設計室技術長
SATORU FUKAI
Born: 1956 Joined: 1981; Principal Structural Engineer
Structural Engineering Group
KATSUMI HARA
Born: 1948 Joined: 1974; Chief Structural Engineer
Structural Engineering Section
二宮利治[にのみや・としはる] P43
1958年生まれ。1982年入社。構造設計室主管
大野富男[おおの・とみお] P34
1949年生まれ。1975年入社。構造設計室長
TOMIO OONO
Born: 1949 Joined: 1975; Chief Structural Engineer
Structural Engineering Section
TOSHIHARU NINOMIYA
Born: 1958 Joined: 1982; Senior Structural Engineer
Structural Engineering Section
石井正人[いしい・まさと] P44
1964年生まれ。1991年入社。日構造設計室主査
田代靖彦[たしろ・やすひこ] P34
1965年生まれ。1989年入社。構造設計室 主管
YASUHIKO TASHIRO
Born: 1965 Joined: 1989; Senior Structural Engineer
Structural Engineering Section
MASATO ISHII
Born: 1964 Joined: 1991; Senior Structural Engineer
Structural Engineering Section
篠原達巳[しのはら・たつみ] P44
1977年生まれ。2003年入社。構造設計室
西澤崇雄[にしざわ・たかお] P34
1966年生まれ。1992年入社。構造設計室 主管
TAKAO NISHIZAWA
Born: 1966 Joined: 1992; Senior Structural Engineer
Structural Engineering Section
TATSUMI SHINOHARA
Born: 1977 Joined: 2003; Structural Engineering Group
大竹 透[おおたけ・とおる] P45
1962年生まれ。1988年入社。構造設計室主管
多賀謙蔵[たが・けんぞう] P22
1956年生まれ。1979年入社。構造設計部門 副代表兼構造設計
室長
KENZO TAGA
Born: 1956 Joined: 1979; Deputy Principal
Structural Engineering Department
Principal Structural Engineer
Structural Engineering Group
慶伊道夫[けいい・みちお] P38
1948年生まれ。1973年入社。構造設計室長
MICHIO KEII
Born: 1948 Joined: 1973; Chief Structural Engineer
Structural Engineering Section
原田公明[はらだ・ひろあき] P22
HIROAKI HARADA
Born: 1961 Joined: 1987; Senior Structural Engineer
Structural Engineering Section
加賀美安男[かがみ・やすお] P38
YASUO KAGAMI
Born: 1957 Joined: 1981; Principal Structural Engineer
Structural Engineering Group
徳田幸弘[とくだ・ゆきひろ] P22
Nobuyuki Mori, Hiroaki Kunitsu
YUKIHIRO TOKUDA
Born: 1962 Joined: 1988; Senior Structural Engineer
Structural Engineering Section
MASAYUKI AWANO
Born: 1958 Joined: 1984; Senior Structural Engineer
Structural Engineering Section
森 伸之[もり・のぶゆき] P46
1953年生まれ。1978年入社。構造設計室長
小西厚夫[こにし・あつお] P38
1963年生まれ。1989年入社。構造設計室 主管
1962年生まれ。1988年入社。構造設計室 主管
阿波野昌幸[あわの・まさゆき] P45
1958年生まれ。1984年入社。構造設計室主管
1957年生まれ。1981年入社。構造設計室技術長
1961年生まれ。1987年入社。構造設計室 主管
TORU OOTAKE
Born: 1962 Joined: 1988; Senior Structural Engineer
Structural Engineering Section
ATSUO KONISHI
Born: 1963 Joined: 1989; Senior Structural Engineer
Structural Engineering Section
NOBUYUKI MORI
Born: 1953 Joined: 1978; Chief Structural Engineer
Structural Engineering Section
國津博昭[くにつ・ひろあき] P46
1963年生まれ。1987年入社。構造設計室主管
HIROAKI KUNITSU
Born: 1963 Joined: 1987; Senior Structural Engineer
Structural Engineering Section
上海で2000年に竣工した中銀大厦。RC造のセンターコアを外周鉄骨架構で囲む。
Shanghai’s Bank of China Tower, built in 2000.
46
FACT NIKKEN SEKKEI 構造デザインの最前線
構造デザインの最前線 FACT NIKKEN
SEKKEI
47
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