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夢を叶えるために - 小平市教育委員会

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夢を叶えるために - 小平市教育委員会
平成25年度
卒業証書授与式
式辞
「夢を叶えるために」
小平市立小平第十四小学校
校長
村松
守夫
ものみな躍動の春を迎えたよき日、小平市立小平第十四小学校、平成25年度 第44
回卒業証書授与式を挙行いたしましたところ、小平市教育委員会指導主事:若尾 美暢
(わ
かお みのぶ)様、小平第一中学校校長:五十嵐 浩子(いからし ひろこ)様をはじめ、
多数のご来賓の皆様のご臨席を賜り、高いところから誠に失礼ですが、心より御礼を申し
上げます。本当にありがとうございます。
卒業生78名のみなさん、ご卒業おめでとうございます。今、皆さんにお渡した卒業証
書は、小学校の全ての学習を修了したという証(あかし)であります。胸を張って、中学
校生活に羽ばたいてください。
さて、小学校最後の授業でもあるこの卒業式では、私が小学生時
代に読んだ伝記の中で、一番印象に残っている「シュリーマン」と
いう人について話しましょう。
ハインリッヒ・シュリーマンは1822年、今から約200年近
く前にドイツで生まれました。シュリーマンは8歳のときに父から
聞かされた、「ギリシア神話」のトロイ戦争の話がずっと忘れられ
ませんでした。
その神話というのは、ホメロスという人が4000年前に書いた
もので、ギリシアとトロイ(今のトルコです)の、10年にわたる
戦いが描かれています。その中のお話には、木で作った大きな馬、
木馬が出てきます。城の外に置いてあったその大きな木馬を、トロイの兵隊が大きな城の
中に入れたところ、みんなが寝静まった夜中に、その木馬の中から50人ほどのギリシア
兵が出てきて、城の内側から攻め込んで見事勝利したことなどが書かれています。
子供のときにこの話を聞いたシュリーマンは、このトロイの城があるにちがいないと思
って、お父さんにそのことを聞いてみました。するとお父さんは「それはホメロスという
人の作り話だよ。」というのです。でもシュリーマンは、「そんな大きな城がすっかりなく
なってしまうのはおかしい。大きくなったらトルコへ行って、この城を探そう」と決意し
ます。
しかし、城を探すと言っても4000年前のものです。たとえあったとしても、すべて
土の中です。さらに発掘するには、莫大なお金がかかります。シュリーマンの家はとても
貧しく、学校へ通うお金さえ困るありさまです。
シュリーマンは学校へ行くことをあきらめ、一生懸命働くことにしました。朝から夜遅
くまで小さな食料品店で働きました。しかし働きはじめてから5年後の19歳のときに、
心臓の痛みで倒れてしまいます。もう無理はできません。しかたなく、小さな事務所に勤
めて、夜は勉強する時間にあてました。その間の2年間に、英語、フランス語、オランダ
語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語の計6カ国語を身につけていきました。
ちなみにどうやって勉強したかを紹介しましょう。「毎日必ず勉強すること、声をだし
て読むこと、覚えた言葉を使って作文を書くこと、それを先生に直してもらったらすべて
暗記すること」だそうです。
6カ国語を覚えたシュリーマンは、貿易会社に勤めます。いろいろな国の言葉がわかる
ので、どんどん仕事がまいこみました。一生懸命働いたおかげで、遺跡を発掘するだけの
充分なお金もできました。
そして46歳になったとき、ついにトロイの城を探すため、トルコへ出かけます。いろ
いろと調べていくと、ホメロスが書いた景色と同じ場所があるではありませんか。必ずト
ロイの城はある、そう確信を深めてまた2年間準備をします。
48歳になった1870年、日本では明治維新のときです。十分な準備をして発掘に向
かいます。40年間の夢を実現するためです。雇った
100人以上の人が掘り始めます。しかし出てくるの
は、ギリシア時代より新しいローマ時代のものばかり
です。あきらめそうになりましたが、何とか発掘を続
けていくと、ついに「古い石のかべのようなもの」が
出てきました。トロイの城の一部です。「こ、これだ
ぞ!」とシュリーマンは叫んだと言われています。
こうしてシュリーマンは、40年かけて夢を実現し
ました。また、伝説だと思われていたトロイの戦争が、
本当にあったこととして証明してみせたのです。
自分の夢を実現するために、しっかりと計画をたてて努力したシュリーマン。これから
中学生になるみなさんも、自分の夢を実現するためにはどうしたらいいかをしっかり考え
て進んでいってください。みなさんには、輝かしい未来が待っています。その輝かしい未
来に、きょうの話が少しでも参考になればと思います。
最後になりましたが、保護者の皆様にお慶びを申し上げます。
本日はまことにおめでとうございます。これからお子さんは思春期という人生において
最も多感な時期に入ります。楽しみの多い反面、保護者として悩むことも多いかと思いま
す。しかし、大人が一生懸命に生きる姿が、必ずお子さんを勇気づけ、良い方向に向けて
いきます。お子さんががんばる姿を、どうぞ温かく見守り導いてください。そして、私た
ち大人は、いつまでも「子供たちがお手本とする存在」でいましょう。これまでいただき
ましたご厚情に深く感謝いたしますと共に、今後ともよろしくお願い申し上げます。
では、卒業生のみなさん。羽ばたきの時です。胸を張って、夢は必ず実現するという気
持ちで、笑顔で巣立っていってください。ご卒業おめでとう、以上で私の式辞といたしま
す。
平成26年
3月25日
小平市立小平第十四小学校
校長
村松
守夫
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