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第2章 エネルギーと環境

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第2章 エネルギーと環境
第2章 エネルギーと環境
第2章
エネルギーと環境
2.1 エネルギー情勢と地球環境問題
2.1.1 世界とわが国のエネルギー情勢
世界のエネルギー消費動向は、年々増加傾向にあり、特に、アジア地域の開発途
上国の伸びは著しいものがあります。
一方、わが国のエネルギー消費量も大きな伸長をみせ、現在世界第 4 位のエネル
ギー消費大国で、最近では民生と運輸部門の消費量の増加が顕著となっています。
エネルギー自給率は約 18%と先進国のなかでは最も割合が低くエネルギー・セキュ
リティ上問題です。ただ、一次エネルギー供給に占める石油の割合は年々減少し、
エネルギー源の多様化が進んでいますが、全エネルギー供給に対する新エネルギー
の導入割合は未だ 1%程度に過ぎません。
1975 年以降の世界のエネルギー消費動向は、年々増加しており、特に近年では中国
などの途上国の経済成長によるアジア地域の消費の伸びが大きくなっています (図
2.2.1-1)。
北米
アフリカ
中南米
中東
欧州OECD
アジア
エネルギー消費
(石油換算百万t)
10,000
9,000
7,815
8,000
7,000
6,000
5,000
4,000
6,480
欧州非OECD
オセアニア
8,597
9,043
6,971
5,519
3,000
2,000
1,000
0
1975
1980
1985
1990
1995
2000
年
【出典:2002 エネルギー・経済統計要覧(財団法人省エネルギーセンター)】
図 2.2.1-1 世界の一次エネルギー消費
わが国は、現在世界第4位のエネルギー消費大国で、エネルギー消費の動向は、石油
危機の影響が大きい 1973 年から 1986 年を除いて、ゆるやかな伸びを見せています(図
2.2.1-2)。
3
第2章 エネルギーと環境
6
(10 GJ)
最終エネルギー消費
18,000
最終エネルギー消費
16,000
14,000
2001年度
15,792
12,000
10,000
第一次
石油危機
8,000
6,000
第二次
石油危機
4,000
2,000
0
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000 年度
【出典:総合エネルギー統計平成 14 年度版(資源エネルギー庁長官官房総合政策課)
】
図 2.2.1-2 国内の最終エネルギー消費
わが国のエネルギー消費の内訳は、1973 年の第一次石油危機以前は製造業を中心と
した産業が占めていたのに対して、危機以後は産業界の省エネ化の努力により産業部門
の占める割合が減少し、かわりに民生と運輸部門の割合が増しています(図 2.2.1-3)。
(106 GJ)
産業部門
民生部門
運輸部門
非エネルギー
18,000
最終エネルギー消費
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000 年度
【出典:総合エネルギー統計平成 14 年度版(資源エネルギー庁長官官房企画調査課編)】
図 2.2.1-3
部門別最終エネルギー消費の推移
わが国のエネルギー自給率は18%(2000 年度)と主要先進国中では最も割合が低く、
エネルギー供給構造が脆弱であり、対策が急がれています (図 2.2.1-4)。
4
第2章 エネルギーと環境
(106GJ)
25,000
国内エネルギー生産
輸入エネルギー生産
22,768
23,385
20,357
一次エネルギー生産
20,000
16,627
16,967
1992
1994
15,330
15,000
13,383
10,000
7,071
5,000
0
1973
1986
1990
1996
1998
2000 年度
【出典:総合エネルギー統計平成 14 年度版(資源エネルギー庁長官官房企画調査課編)】
図 2.2.1-4 一次エネルギー生産の自給割合と輸入割合
わが国の一次エネルギー供給における石油の割合は、石油危機以前には8割程度を占め
ていますが、石油危機以降の省エネルギー政策の推進や石油代替エネルギーの導入等に
より現在では約5割に減少しました。わが国のエネルギー源は、多様化が進んでいるも
のの、依然として化石燃料の全エネルギー供給に対して占める割合は高く、新エネルギ
ーが占める割合は 1%と少ないのが現状です(図 2.2.1-5)。
石炭
石油
ガス
水力
原子力
6
(単位:10 GJ)
新エネルギー他
7,071
13,383
15,330
16,627
16,967
20,357
22,768
23,385
1965
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
【出典:エネルギー2003(資源エネルギー庁編)】
図 2.2.1-5 発電種類別の一次エネルギー供給
5
第2章 エネルギーと環境
2.1.2 地球環境問題
地球環境問題の中でも地球温暖化の問題は、化石燃料の燃焼により発生する二酸化
炭素(CO2)濃度の増加が主要因で、わが国においても CO2 の排出量は増加傾向にあ
ります。CO2 の排出量がこのままの推移で増加すると、2100 年までに地球表面の
平均気温は 1990 年比で「1.4∼5.8 度上昇する」と予測されています。
地球温暖化防止京都会議(COP 3)では、先進国の温室効果ガス排出量について国
際的な取り決めによる数値目標が各国毎に設定され、これを受けて日本では、2010
年までに 1990 年比で温室効果ガスの 6%を削減するという目標を掲げました。そ
の後、モロッコ・マラケシュで開催されたCOP7、イタリア・ミラノで開催された
COP 9 において京都議定書の運用ルールがまとまり、一刻も早いロシアの批准が望
まれています。
地球環境問題とは、
「人類の将来にとって大きな脅威となる地球的規模あるいは地球的
視野にたった環境問題」を指し、現在では地球温暖化、砂漠化・土地荒廃、オゾン層破
壊、生物多様性 (野生生物種) の減少、熱帯林の減少・森林破壊、海洋汚染、有害廃棄物
の越境移動、酸性雨等が問題となっています。
地球表面は、太陽から供給される熱で暖められる一方、地球からの熱の放出によって
冷やされます。放出された熱の一部は、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素などの気体に
よって吸収され、再び地表に放出されて地球表面は暖められ安定した気温となっていま
す。このような機能によって表面が暖められることを「温室効果」と呼び、その機能を
有する気体は「温室効果ガス」と言われています。
適度な温室効果
温室効果ガスが濃い場合
図 2.1.2-1 地球温暖化の仕組み
6
第2章 エネルギーと環境
地球温暖化の問題は、化石燃料の大量消費に伴う二酸化炭素(CO2)濃度の増加が主要因
とされており、わが国においても二酸化炭素の排出量は、増加傾向にあります(図
総排出量(百万t-C)
2.1.2-2)。
二酸化炭素排出量(百万t-C)
350
340
330
320
310
300
290
280
270
260
250
309
293
310
317
316
310
313
311
296
304
290
287
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 年度
【出典:「今後のエネルギー政策についての報告書」、総合エネルギー調査会】
図 2.1.2-2 わが国のエネルギー起源 CO2 排出量の推移
2002 年末までの世界の年平均気温差データ(図 2.1.2-3)からも、地球の気温の上昇
は明らかであり、
「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第 3 次報告書によれば、温室
効果ガスの排出増大に起因する地球温暖化現象の結果、2100 年までに地球表面の平均
年
平
均
地
上
気
温
の
平
年
差
0.80
0.60
0.40
0.20
0.00
-0.20
-0.40
-0.60
-0.80
-1.00
平均気温(世界)
移動平均(5年)
2000
1995
1990
1985
1980
1975
1970
1965
1960
1955
1950
1945
1940
1935
1930
1925
1920
1915
1910
1905
1900
1895
1890
1885
1880
気温は 1990 年比で「1.4∼5.8 度上昇する」と予測しています。
年
過去100年間で約0.7℃の上昇
【気象庁「気候変動監視レポート」資料より作成】
図 2.1.2-3
地球表面の平均気温の推移(1971∼2000 年の平均気温基準)
地球温暖化防止京都会議(COP 3)では、先進国の温室効果ガス排出量について国際的
な取決めによる数値目標が各国毎に設定されました(「京都議定書」と呼ばれる)。これを
受けて日本では、2008∼2012 年の平均の温室効果ガス排出量を 1990 年比で温室効
果ガスの 6%削減するという目標を達成するため、官民一体となった削減努力が要求され
ています(表 2.1.2-1)
。その後、数回に及ぶ気候変動に関する国際連合枠組条約締約国
7
第2章 エネルギーと環境
会議(COP)の結果(図 2.1.2-4)、2001 年 10 月にモロッコ・マラケシュで開催さ
れた COP 7 において京都議定書がまとまりました。その一方で、議定書は 2001 年 3
月に議定書からの離脱を表明した世界の二酸化炭素排出量の 25%を占めるアメリカ合
衆国や同じく離脱を表明したオーストラリアの問題、さらには温室効果ガスの削減義務
が課されない途上国の問題を抱えています。このため、2002 年 10 月には、発展途上
国で初めて第 8 回締約国会議(COP 8)がインドのニューデリーで開催され、発展途上
国にも二酸化炭素など温室効果ガスの排出削減を初めて促しました。2003 年 12 月に
はイタリア・ミラノで第 9 回締約国会議(COP 9)が開かれ、「マラケシュ合意」で積
み残されていた森林吸収源CDM(クリーン開発メカニズム)実施の細則が決まり京都
議定書の運用ルール案全てがまとまりました。COP10 は 2004 年 11 月 26 日にブ
エノスアイレスで開催されます。
なお、ロシアは 2003 年 12 月時点でまだ条約の批准時期について言及していません。
京都議定書の発効要件
① 55 ヵ国以上の国が締結すること
② 締結した先進国の二酸化炭素排出量合計値が先進国全体の 55%以
上を占めていること
以上の 2 つの条件を満たしてから 90 日後に、京都議定書を批准した国
に対して発効します。
* 2003 年 11 月 26 日現在では、120 の国・地域が批准し、締結した先進国
の CO2 排出量の割合は 44.2%となっており、ロシアが批准した段階で発効
となる。
第 3 回締約国会議
(COP3)京都
「京都議定書」採択
1997 年 12 月
第 4 回締約国会議
(COP4)ブエノスアイレス
「ブエノスアイレス行動計画」採択
1998 年 11 月
第 5 回締約国会議
(COP5)ボン
COP6 までの段取り確認
1999 年 10 月
第 7 回締約国会議
(COP7)マラケシュ
京都議定書の詳細ルール(運用方法
や資金メカニズム等)について決定
「マラケシュ合意」 2001 年 10 月
第 6 回締約国会議再開会合
(COP6 PartⅡ)ボン
「ボン合意」が成立
2001 年 7 月
第 8 回締約国会議
(COP8)ニューデリー
発展途上国にも二酸化炭素など温室
効果ガスの排出削減を初めて促した
2002 年 10 月
第 9 回締約国会議
(COP9)ミラノ
森林吸収源 CDM*実施の細則が
まとまる
2003 年 12 月
図 2.1.2-4
*CDM:クリーン開発メカニズム
京都議定書の合意までの流れ
8
第2章 エネルギーと環境
表 2.1.2-1 温室効果ガスの種類と排出削減対策
ガスの種類
人為的な発生源
主な対策
エネルギー起源(産業、民生、運輸部門などにおける
燃料の燃焼に伴うもの)が全体の9割以上を占め、温
エネルギー利用効率の向上、新
二酸化炭素 暖化への影響が大きい。
エネルギーの利用やライフスタ
○ 石油、石炭や天然ガスなどの化石燃料の燃焼
(CO2)
イルの見直し等
○ セメント製造時の石灰石使用
○ 大規模な森林伐採 等
稲作、家畜の腸内発酵などの農業部門から出るものが
半分を占め、廃棄物の埋立てからも2∼3割を占める。
メタン
飼料の改良、糞尿の処理方法の
○ 家畜の反すう
改善、埋立て量の削減等
(CH4)
○ 水田土壌、埋立廃棄物
○ 下水処理 等
燃料の燃焼に伴うものが半分以上を占めるが、工業プ
亜酸化窒素 ロセスや農業からの排出もある。
○ 化石燃料の燃焼
高温燃焼、触媒の改良等
(N2O)
○ 窒素系肥料の施肥
○ 土地利用の変化(草木の焼失)等
ハイドロフルオロ エアゾール製品の噴射剤、カーエアコンや冷蔵庫の冷 回収、再利用、破壊の推進、
代替物質、技術への転換等
カーボン(HFC) 媒、断熱発泡剤などの使用
パーフルオロカーボン 半導体等製造用や電子部品など不活性液体などとして 製造プロセスでの回収等や、
使用
代替物質、技術への転換等
(PFC)
○ 半導体のエッチング、半導体製品の洗浄剤 等
六フッ化硫黄 変電設備に封入される電気絶縁ガスや半導体等製造用 (絶縁ガス)機器点検時、破棄
などとして使用
時の回収等や代替物質、技術へ
(SF6)
○ 電気絶縁ガス、半導体のエッチングガス 等
の転換等
9
第2章 エネルギーと環境
2.2 新エネルギーの概要
地球温暖化問題に加え、エネルギー資源が少ないわが国にとってエネルギー源の確保
は重要な課題であり、これらを解決する手段の一つとして新エネルギーの有効な活用が期
待されています。ここでは、新エネルギー導入の意義・留意点及び導入上の課題について
整理するとともに、新エネルギーの概要について取りまとめました。
2.2.1 新エネルギーの導入意義と課題
新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(平成 14 年 4 月施行)では、14種類
のエネルギー源が新エネルギーとして位置付けられています。
新エネルギーは、「環境に与える負荷が小さいクリーンエネルギー」、「エネルギー安
定供給の確保に資する石油代替エネルギー」などの特長を有するものの、
「経済性」
、
「出
力安定性」などの面で課題を抱えています。
私たちは省エネルギーの一層の努力や温室効果ガスの排出を抑制できるエネルギー源
の使用を推進していくことが必要です。太陽光発電や風力発電に代表される「新エネルギ
ー」は、CO2 排出削減に有効なエネルギー源であり、その積極的活用が期待されていま
す。
「新エネルギー」は、供給サイドのエネルギーと需要サイドのエネルギーに分類でき
ます(図 2.2.1-1)。
技術面、経済
性から実用
化、普及して
いるもの
供給サイドのエネルギー(再生可能エネルギー)
自然エネルギー
リサイクル
エネルギー
水力発電
地熱発電
新 エ ネ ル ギ ー
廃棄物発電
廃棄物熱利用
廃棄物燃料製造
温度差エネルギー
太陽光発電
太陽熱利用
風力発電
雪氷熱利用
技術面、経済性
から実用化の段
階に達していな
需要サイドの
エネルギー
バイオマス発電
バイオマス熱利用
バイオマス燃料製造
クリーンエネルギ自動車
クリーンエネルギ−
自動車
(輸送用代替燃料)
燃料電池
天然ガス
コージェネレーション
天然ガスコージェネレー
ション
燃料電池
海洋エネルギー
(波力・温度差等)
地域新エネルギー
(広義の新エネルギー)
いもの
図 2.2.1-1 新エネルギーの分類
10
第2章 エネルギーと環境
「新エネルギー」は、地球温暖化対策に加え、資源が少ないわが国にとって有益なエ
ネルギー資源で、導入することによって大きなメリットがあります。この新エネルギーの
導入の意義・留意点及び導入上の課題は以下のとおりです。
新エネルギー導入の意義
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
環境に与える負荷が小さいクリーンエネルギー
エネルギー安定供給の確保に資する石油代替エネルギー
潜在量が豊富で、循環再生可能なエネルギー
新規産業・雇用創出への寄与
分散型のエネルギーシステムの利点
電力の負荷平準化(ピークカット効果)への寄与の可能性
新エネルギー導入の留意点
(1) 需要地に近い分散型であるため地域完結型・補完的な利用形態に適用するのが望ましい。
(2) 新エネルギーは一般的にエネルギー密度が低く大規模システムの建設が難しいため、他の
エネルギーや系統電源との組み合わせが必要となることが多い。
新エネルギー導入上の課題
(1) 経済性
新エネルギーは競合するエネルギーに比べてコストが高い。
(2) 出力安定性
自然条件に左右される新エネルギー(風力、太陽光など)の出力は不安定である。
(3) 利用効率
エネルギー変換効率や設備利用率が低い。
(4) その他の課題
環境影響(景観、生態系、騒音、振動、悪臭等)、各種規制の遵守、住民への啓発の必要性等
2.2.2 新エネルギーの導入目標値
静岡県では、「しずおか新エネルギー等導入戦略プラン」(平成15年3月)のなかで
新エネルギーの導入目標値を 2010 年度において県内の最終エネルギー消費量の 5.1%
以上と設定しています(天然ガスコージェネレーションを含め、クリーンエネルギー自動
車、燃料電池を除く)。
一方、国においては、新エネルギーの導入目標値を「今後のエネルギー政策について」
(総合資源エネルギー調査会
総合部会、2001 年 7 月)の中で一次エネルギー総供給
の 3%程度と設定している(需要サイドの新エネルギーを含まない)
。
これらの達成は容易ではなく、達成に向けた全国民の協力と努力が必要です。次ペー
ジに参考として新エネルギーの国の導入目標を掲載しました。
11
第2章 エネルギーと環境
表 2.2.2−1 新エネルギーの導入実績及び導入目標
(供給サイドの新エネルギー)
2000 年度実績
エネルギー分野
2010 年度導入目標
原油換算
設備容量
原油換算
設備容量
(万 kl)
(万 kW)
(万 kl)
(万 kW)
太陽光発電
8.1
33.0
118
482
風力発電
5.9
14.4
134
300
廃棄物発電
115
103
552
417
バイオマス発電
4.7
6.9
34
33
太陽熱利用
89
−
439
−
4.5
−
58
−
廃棄物熱利用
4.5
−
14
−
バイオマス熱利用
−
−
67
−
その他
490
−
494
−
722
−
1,910
−
1.2%
−
3%程度
−
未利用エネルギー
(雪氷冷熱を含む)
(黒液・廃材等)
合計
一次エネルギー総供給に
占める割合
(需要サイドの新エネルギー)
エネルギー分野
クリーンエネルギー
自動車
天然ガス
コージェネレーション
燃料電池
2000 年度実績
2010 年度導入目標
8.2 万台
348 万台
170 万 kW
464 万 kW
1.2 万 kW
220 万 kW
12
第2章 エネルギーと環境
2.2.3
主な新エネルギーの概要
(1) 新エネルギーとは?
主な新エネルギーについてその原理や特徴を簡単にまとめました。
1) 太陽光発電
太陽光発電は、地球にやさしい無尽蔵のエネルギーです。
【原
理】
シリコン半導体等に光が当たると電気が発
生する現象を利用し、太陽の光エネルギーを
直接電気に変換する発電方式です(図
2.2.3-1)。
【特
徴】
太陽光発電システムは、設置する広さにあ
わせて自由に規模を決ることができます。シ
ステムの規模と発電量は単純に比例するため、
スケールメリットを考慮することなく、家庭
出典:NEF
図 2.2.3-1
太陽光発電の利用
用から大規模まで、その施設にあったシステ
ムを設置することができます。
また、発電した電力が余った場合に、電力会社に売ることができます。3∼4kW のシ
ステムを設置すれば、平均的な4人家族が使用する電気の大部分を賄えます。
・発電も電気の売り買いも自動的に行われ、また機器のメンテナンスもほとんどいり
ません。
・家庭の屋根や学校の屋上等、あまり使われていないスペースを有効に活用できます。
・山小屋や自然公園等、電気の通っていない地域の電源としても利用可能です。
・災害などで電力供給が止まったときに、非常用電源として機能させることもできま
す。
2) 太陽熱利用
太陽熱は、家庭や熱利用が多い施設での給湯や暖房に適しています。
【原
理】
太陽熱温水器は家庭の屋根等に設置して、太陽の熱エネルギーを集め温水をつくり、
風呂や給湯に使用します(図 2.2.3-2)。ソーラーシステムでは温水をそのまま使う他、家
の中を循環させて床暖房等に利用します。家庭用だけではなく学校や福祉施設等、大規
模な太陽熱利用システムも導入されています。
13
第2章 エネルギーと環境
また、吸収式冷凍器等を使えば、熱で冷
房することも可能です。
【特
徴】
太陽熱を使えば天気のいい日には、約
60℃の温水が得られます。これは燃料や
電気を使わなくても家庭で使う暖房や給
湯を賄える温度です。冬季には、これほ
ど高い温度にはならず追焚が必要な時も
あるものの、冷水から温水を作るよりも
出典:NEF
燃料が少なくて済みます。
図 2.2.3-3
太陽熱エネルギーの利用
・手頃な価格で設置でき、メンテナンスもほとんど不要です。
・使用するのに特別な操作がいりません。
・温水を貯めておくので、断水時にもお湯が使用できます。
3) 風力発電
風力発電は、現在最も商業化が進んでいる新エネルギーのひとつで日本各地において
導入が進んでいます。
【原
理】
風力発電は「風の力」で風車を回し、そ
の回転運動を発電機に伝えて「電気」を起
こすシステムです(図 2.2.3-3)。風力発電
は、風力エネルギ−の約 40%を電気エネ
ルギーに変換でき、比較的効率が高い発電
方式です。また、大型の風車だけでなく定
格出力が数kW以下の小型の風力発電機は、
補完型の分散電源として利用されています。
出典:NEF
図 2.2.3-3 風力発電機の構造
【特
徴】
日本の風力の特性を活かし、安定した風力(年平均風速 6m/s 以上)の得られる、北海
道、東北、九州などの海岸部や沖縄の島々で多く設置され、日本全国で 580 基以上
(2003 年 3 月末)が稼働しています。風力発電システムを設置するには、その場所ま
での搬入道路のあることや、近くに高圧送電線が通っている等の条件を満たすことが必
要です。
14
第2章 エネルギーと環境
・設置コストが年々下がり、経済性が良好となってきました。
・地域のシンボルともなり、「町おこし」に一役買っています。
4) バイオマス発電・熱利用
バイオマス発電・熱利用は自然循環型のエネルギーです。
【原
理】
植物等の生物体(バイオマス)は有
機物で構成されているため、エネル
ギー源として利用することができま
す。これらの燃料を使って電機や熱
を作ります(図 2.2.3-4)。植物の場
合、太陽の光を受けて光合成を行い、
水分と空気中の二酸化炭素から有機
物を生成するため、バイオマスは太
陽エネルギーが形を変えたものとい
出典:NEF
えます。
図 2.2.3-4 バイオマス発電・熱利用
【特
徴】
植物は、光合成によってCO2(二酸化炭素)を体内に有機物として蓄えます。エネル
ギー資源としてバイオマスを利用しても、植物を育成すれば、大気中のCO2は再び光合
成によって有機物に生まれ変わり大気中のCO2の量は変わりません(カーボンニュート
ラル)。
・自然エネルギーの中では必要に応じてエネルギー量を調整しやすいエネルギーで
す。
・植物の持つ有機物は、太陽エネルギーが形を変えたものなので無尽蔵です。
5) バイオマス燃料製造
バイオマス燃料製造は、生物からエネルギーを作り出すことです。
【原
理】
植物等の生物体(バイオマス)は有機物で構成されているため、固体燃料、液体燃料、気
体燃料等のエネルギー源として利用することができます。木屑や廃材からは木質系固化
燃料、さとうきびからメタノール、家畜の糞尿等からバイオガスを作ります (図 2.2.3-5)。
15
第2章 エネルギーと環境
出典:NEF
図 2.2.3-5 バイオマス燃料製造
【特
徴】
バイオマスを構成するものは、石油や石炭と同じ有機物です。人工的に有機物を作り
出すのは大変難しいのですが、植物を利用すれば比較的簡単に燃料を作り出すことがで
きます。
・産業廃棄物となってしまう木くず、バガス(サトウキビのしぼり滓)、家畜糞尿等を
エネルギー源として有効活用できます。
・固体、液体、気体に加工可能なので、保存と運搬が容易です。
・加工された燃料は、自動車や発電等様々な用途に利用できます。
6) 廃棄物発電・廃棄物熱利用
廃棄物発電・廃棄物熱利用は、資源の有効利用という面から導入を推進すべきエネル
ギーです。
【原
理】
ごみを焼却する際の「熱」で高
温の蒸気を作り、その蒸気でタービ
ンを回して発電したり、焼却の廃熱
を利用したりします(図 2.2.3-6)。
最近では、発電効率を上げるた
めにガスタービンエンジンと組み
合わせた「スーパーごみ発電」の導
入が進んでいます。また、発電した
後の熱は、周辺地域の冷暖房や温水
として有効に利用できます。
出典:NEF
図 2.2.3-6 廃棄物発電・廃棄物熱利用システム
16
第2章 エネルギーと環境
【特
徴】
廃棄物発電を行うには、ある程度まとまった量のごみを必要とします。したがって、
規模の小さい地域では単独ではなく、近隣の地域と協力して導入を図らなければなりま
せん。そのためには、地域住民が地域をバックアップすることが重要です。
・ごみ処分場の問題と環境エネルギー問題の解決に貢献します。
・高温で安定的に燃焼させるため、ダイオキシンの発生が抑止されます。
・熱供給も行えば、周辺地域の施設も充実します。
7) 廃棄物燃料製造
ゴミは活かせば「資源」になります。
【原
理】
家庭等から出される「燃えるごみ」を細かく砕き、乾燥させ、添加剤を加えて圧縮す
ると、廃棄物固形燃料(RDF:Refuse Derived Fuel)ができます(図 2.2.3-7)。固形燃
料は、廃棄物発電の燃料、工業用の熱源等に利用されます。また、廃プラスチックの油
化や天ぷら油等の廃食油をディーゼル自動車用の軽油の代替燃料とすることも廃棄物燃
料製造に含まれます。
図 2.2.3-7 廃棄物燃料製造の工程
【特
出典:NEF
徴】
ごみ処分の問題は、切実な問題で、ごみを減らす努力が大切ですが、どうしても出て
しまう「ごみ」を加工し、燃料の形にしておけば好都合です。そして、コストを低く抑
え、且つ安定させるためには、製造、流通、利用の地域体制を整備しておくことが重要
です。
・保存が可能で、腐らず、悪臭もなく、運搬も容易です。
・燃焼時にも有害物質の発生が抑えられます。
・固形燃料を燃やした後の灰は、容積も小さく、アスファルト等に混ぜて路盤材とし
て再利用されます。
8) 温度差エネルギー 等未利用エネルギー
温度差エネルギー等の未利用エネルギーは、様々な熱源、色々な使い方が可能です。
17
第2章 エネルギーと環境
【原
理】
海や川の水温は、夏も冬もあまり変化がなく、外気との温度差があり、これを温度差
エネルギーといいます(図 2.2.3-8)。また、工場や変電所等から排出される熱もエネルギ
ーとして利用されます。このような今まで利用されていなかったエネルギーは「未利用
エネルギー」と位置づけられています。これらのエネルギーは、ヒートポンプや熱交換
器を使用して冷暖房等に利用することができます。
注)ヒートポンプ:水のポンプが、水を低いところから高いところへ移動させる役割を果
たすのと同じように、温度の低いものから温度の高いものへ熱を移動させる役割を果
たす装置。
出典:NEF
【特
徴】
図 2.2.3-8 温度差エネルギー、未利用エネルギー
温度差エネルギーは、ヒートポンプを利用して、冷暖房等の熱供給やその他様々な熱
源として利用可能です。その他の未利用エネルギーは、熱交換器を利用して、温室栽培、
水産養殖等の地場産業や寒冷地の融雪用熱源として有効利用されます。
・温排水を捨てずに利用する場合が多いため、自然界の温度を上げずにすみ、生態系
の保護に繋がります。
・熱を得る際に燃料を燃やさないためクリーンです。
9) 燃料電池
燃料電池は、いろいろな用途がある夢のエネルギーです。
【原
理】
水素と酸素を化学反応させて、直接「電気」を発電する装置です(図 2.2.3-9)。
18
第2章 エネルギーと環境
燃料電池の燃料となる水素は、天然ガスや
メタノールを改質して生成されるが、酸素
は大気中から取り入れるシステムとなって
います。また、発電と同時に熱も発生する
ため、その熱を利用してエネルギー効率を
高めることが可能です。
【特
徴】
燃料電池は、大型のタイプは発電施設と
して、中規模のものは地域コミュニティや
出典:NEF
図 2.2.3-9 燃料電池のしくみ
オフィスビル等に、小型のものは家庭に備
え付けられ、電気と熱を供給することができます。もっと小型のタイプは、自動車、船舶
の動力源に使用されます。
・電気と熱の併用が可能なため、総合エネルギー効率が高くなっています。
・発電の際には水しか排出されず、振動・騒音もありません。
・都市ガス・メタノール等の燃料や水の電気分解等、様々な方法で燃料となる水素を
取り出すことが可能です。
10) 天然ガスコージェネレーション
天然ガスコージェネレーションは、単独に発電・熱利用するシステムや天然ガス以外
の化石燃料利用のコージェネレーションに比べクリーンです。
【原
理】
発電機で電気を作るときに発生す
る冷却水や排気ガス等の「熱」を温水
(給湯利用)や蒸気(暖房利用)の形で同
時に利用するシステムです(図
2.2.3-9)。電気と熱を無駄なく利用可
能なため、燃料が本来持っているエネ
ルギーの利用効率(総合エネルギー効
率)は 70∼80%に達します。
【特
出典:NEF
図 2.2.3-10 天然ガスコージェネレーション システム
徴】
天然ガスコージェネレーションシステムは、病院やデパート等、電気や熱を多く使い
停電等に備えて自家発電設備を備えている施設の常用の電源及び熱源として適していま
す。また、燃料として天然ガスを使用するため、他の化石燃料を使う場合に比べ二酸化
炭素の発生量も少なく、硫黄酸化物等の有害物質も排出システムです。
19
第2章 エネルギーと環境
・総合エネルギー効率が高く、燃料の使用量が抑制されます。
・天然ガスの使用により排気ガスは他の化石燃料の場合に比べクリーンです。
・自家発電設備として、危機管理体制作りを担うことができます。
11) クリーンエネルギー自動車
クリーンエネルギー自動車は、クリーンで効率が良い。
【原
理】
石油代替エネルギーを利用したり、ガソリンの消費量を削減したりすることで、排気
ガスを全く出さない、または排出しても量的に少ない車を「クリーンエネルギー自動車」
と呼んでいます(図 2.2.3-11)。
〔クリーンエネルギー自動車の例〕
電気自動車:バッテリーからの電気でモーターを動かして走る車
ハイブリッド自動車:ガソリンエンジンと電動モーターの2つの動力を効率良く切り替
えて動かす自動車
天然ガス自動車・メタノール自動車:ガソリンの代わりに天然ガスやメタノールを燃料
とする自動車
出典:NEF
図 2.2.3-11 クリーンエネルギー自動車の種類
【特
徴】
自動車から排出されるガスの中には、二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOX)、硫黄酸化
物(SOX)等、地球温暖化や大気汚染の原因となる有害物質が含まれていますが、クリーン
エネルギー自動車はこれらの問題の解決に有効です。
・電気自動車は排ガスを一切出さず、音も静かです。
・ハイブリッド自動車は、燃費が良くガソリンの使用量を削減し二酸化炭素の排出を
減少させます。
・天然ガス自動車は、有害物質や二酸化炭素の排出量を減少させます。
20
第2章 エネルギーと環境
(2) 主な新エネルギーのコストと技術課題
新エネルギーを導入する際には、コストや技術上の課題を考慮し導入の適正を検討
する必要があります。そこで、ここでは主な新エネルギーについて技術動向を調査し
た結果を表 2.2.3-1 に「主な新エネルギーの概要と課題」としてまとめました。
表 2.2.3-1 主な新エネルギーの概要と課題(その1)
【供給サイドのエネルギー】
種 別
概
要
コ ス ト
シリコン等の半導体に光が当たると電 設置コスト:72 万円/kW
気が発生する光電効果を利用
発電コスト:66 円/kWh
太陽光発電
家庭用電燈の 3.0 倍
(一般住宅用)
太陽の熱エネルギーを集め、給湯、 設置コスト
冷暖房などの分野に利用
太陽熱温水器:30 万円
ソーラシステム:90 万円
太陽熱利用
熱量当たりのコスト
太陽熱温水器:4.1 円/MJ
ソーラシステム:6.7 円/MJ
灯油、都市ガス、LPGの 1∼3 倍
風の運動エネルギーを風車により回 設置コスト:20.7∼41.1 万円/kW
転運動の形に変え、発電機を動か 発電コスト:10∼24 円/kWh
風力発電 し、電気エネルギーへと変換
火力発電単価の 1.5∼3 倍
技術課題
変換効率の向上・シス
テム全体の標準化が必
要
民生用はほぼ技術が確
立
産業用で若干改良の
余地あり
風車本体の高効率化・
長寿命化・軽量化・低
騒音化・低コスト化
台風や山岳性気象条
件下での信頼性
中小河川等における水の位置エネル 初期の建設費が割高
流量の大幅な変化に対
中小水力 ギーまたは運動エネルギーをタービ
応でき、低流量におい
発電
ン等により電気に変換
ての効率低下の少ない
システムが必要
地熱蒸気による発電及び温泉熱水の 設置コスト:80 万円/kW
深部地熱資源採取技
熱利用
発電コスト:13∼16 円/kWh
術、高温岩体発電シス
地熱
火力発電単価の 2∼2.2 倍
テム、バイナリーサイク
エネルギー
ル発電システムの開発
が必要
生物体を構成する有機物(太陽エネ 生産コストは原料価格に大きく依存 収集・輸送コストの低減
ルギーが植物により変換され生物体 し、また、製品エタノールの用途と 及 び エ ネ ル ギ ー コ ス ト
バイオマス
に蓄えられたもの)を利用してメタン発 品質、流通段階により大きく変動す の低減が必要
エネルギー
酵、直接燃焼等によりエネルギーを る
取り出す
一般には河川水・下水等の比較的温 設置コスト:規模等により異なる
都市再開発などに際
度変化が小さく大容量の熱源と外気 (初期投資は割高)
し、きめ細かく開拓して
温度差
との温度差を利用
熱量当たりのコスト:10 円/MJ
いくことが必要
エネルギー
ガスの 1.1 倍(廃棄物熱利用を含
む)
廃棄物の焼却時に発生する高温燃 設置コスト:規模により異なる
ボイラーの高温腐食防
焼ガスにより蒸気を作り、タービンを 発電コスト:9∼13 円/kWh
止による高効率化
廃棄物
回して電気を発生させる技術
火力発電の 1.2 から 2 倍
ダイオキシン排出量の
発電
低減
コストの低減による事業
性の確保
21
第2章 エネルギーと環境
【需要サイドの新エネルギー】
種 別
コージェネ
レーション
概
要
燃料を燃やして得た熱をピス
トン・エンジンやガスタービン
等を用いて動力や電力に変
換し、その排熱をプロセス蒸
気や冷暖房、給湯等の熱源と
して利用
水素と酸素を化学的に反応さ
せることによって直接発電す
る
コ ス ト
設置コスト:規模により異なる
発電コスト:15∼35 万円/kW
業務用電力の 1 倍
技術課題
適正容量の導 入、一層
のコストダウン、高効率
化、コンパクト化などある
クリーンエネルギー自動車
設置コスト:70 万円/kW
信頼性、効率の向上、軽
発電コスト:22 円/kWh
量化、メンテナンス簡易
燃料電池
(100kW 級)
化、多燃料化等がある
業務用電力単価の 1.1 倍(りん酸
型)
蓄電池に蓄えられた電気によ 同クラス車比 2∼3.5 倍
走行性能の向上(走行距
りモーターを回転させて走行
離、最高速度、加速性
電気自動車 する自動車
能、登坂性能等)
長寿命、低コストの電池
の開発が必要
天然ガスを燃料とする自動車 同クラス車比 1.4∼2 倍
軽量な高圧容器の開発
で、貯蔵形態によって圧縮天
が必要
然ガス自動車(CNG 車)、液
燃料充填施設の整備が
天然ガス自動車
化 天 然 ガ ス 自 動 車 (LNG
必須である
車)、吸着天然ガス自動車
(ANG 車)がある
天然ガスや石炭から合成され 同クラス車比 2 倍
有害排ガス成分の低減、
耐久性・信頼性の向上等
たメタノール(常温で液体のた
メタノール
がある
め可搬性に優れ、長距離走
自動車
行に適す)を燃料とする自動
車
従来の自動車のようにエンジ 同クラス車比 1.04∼1.7 倍
高性能、低コストのバッテ
ハイブリッド ン単独ではなく、エンジンとモ
リー、エンジン等の開発
ーターなど複数の動力を組み
が必要
自動車
合わせて走行する
22
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