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MRI | 三菱総研倶楽部(2006年7月号) | 研究員

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MRI | 三菱総研倶楽部(2006年7月号) | 研究員
研究員群像
メディアの可能性
メディアの将来を切り拓いていく
情報通信技術研究本部 次世代社会基盤研究グループ 主任研究員
安江憲介
高度成長期、一般家庭にテレビが普及した。1990 年代
中頃には商用インターネットが登場し、2000 年前後
からは、
「iモード 」
「ipod」
「地上デジタル放送」と、さ
らなる新しいメディア、機器、サービスが誕生している。
シンクタンクの業務の一つに、新しい技術、産業、マー
ケットなどを、新規性、独自性、規模、景況などから俯瞰
的に予測することがある。情報技術分野は今後も進展が期待できる分野であるが、そのなかの、メ
ディアの今後について、情報通信技術研究本部 主任研究員 安江憲介に概観してもらった。
研
究
員
群
像
ついての議論がある。両者は対
コンソーシアム活動に関わっ
立する面があり、過去何度も議
ている。デジタル放送とネット
論されてきているもののその
ワークの融合もターゲットに
結論は未だ出ていない。しかし、
含まれており、たとえばテレビ
して、
地上デジタル放送がスター
どちらも必要なことであり、ど
で放送されている番組に関連
トした。地上デジタル放送は、
こかで折り合いをつけなけれ
する情報を調べたいとき、その
多チャンネル、高画質・高音質、
ばならない問題ではある。いろ
場で映像をクリックすると、
イン
双方向などが主な特徴で、今後、
いろな考え方があると思うが、
ターネットに自動的に接続し
これらの特徴を活かしたさま
米国では民間企業である 4 大
て知りたい情報にアクセスで
ざまなサービスが期待される。
ネットワークが実質上、公共的
きたり、ショッピングができた
地上デジタル放送開始とと
な役割も果たしており、ここに
りすることが考えられている。
もに、放送に関わる業務が増え
も一つのヒントがありそうだ
テレビとインターネットの融
てきたと語るのは、当社 情報
と言う。公共性と競争性の具体
合については、テレビに代わっ
通信技術研究本部 次世代社会
的な組み合わせが見えてくる
てインターネットだけが残る
基盤研究グループ 主任研究員
と面白いと考える。
ことはない。しかし、テレビは
デジタル放送と
インターネットの融合 2003 年、新たなサービスと
18
安江憲介である。総務省情報通
昨年は、
「デジタル・インフォ
インターネットの世界に進出し
信審議会等での調査をはじめ、
マーシャル・サービス」という、
てきているし、ヨーロッパでは、
法制度や新技術の応用開発に
デジタル化・IP 化が進んだ時代
ADSL テレビや IP テレビなど
関わる業務に携わっている。
における情報流通に関する調
インターネットの技術が着実
もともと放送業界には興味
査を行った。今年は“情報大航海
にテレビの世界でも使われ始
を持っていた。たとえば、放送
時代”と銘打った日本発の次世
めている。両者のパワーバラン
分野では公共性と競争促進に
代検索技術の開発についての
スは変わっていくだろう。
Vol. 3 _ No. 7 _ 2006 . 07
さらには、映像検索の可能性
さまざまな展開への
新たな可能性
な仕掛けがなされていますが、
も示唆する。すでにサッカーの
オンデマンド型やダウンロー
試合を録画し、映像の変動や音
ド型など、タイムシフトやシチ
いまやすっかり定着したイ
の大きさなどからゴールシー
ュエーション・シフトのサービ
ンターネットだが、登場した頃
ンを検索し、その部分だけをつ
スのほうが実はシェアは大き
は、こんなにも私たちの生活に
なぎあわせてダイジェスト版
いかもしれない。付加価値とし
入り込んでくるとは多くの人
を構成するような取り組みも
ても後者のほうが大きくなる。
が想像していなかったに違い
進められているとのことだ。エ
だから劇場公開は宣伝効果の
ない。普及した理由の一つに、
ッセンスだけを見たい多忙な
位 置 づ け で 、あ と は む し ろ
ブラウザ「モザイク」の登場が
現代人はこのダイジェスト版
DVD で儲けている最近の映画
あげられる。その後、商用 ISP
を見ればいい。映像のナナメ読
のように、テレビもなっていく
の登場で本格的に浸透し、さら
みが実現できるかもしれない。
可能性もある」と話す。さらに
には、
「iモード」など、携帯電
他にも、テレビを見る時間や
は、番組の中に広告対象を入れ
話端末での接続で、新しい使わ
場所を変えることで新たな可
てしまう「プロダクト・プレイ
れ方が提案された。
能性を探ることができる。安江
スメント」などの可能性など、
今後のサービスは、魅力ある
は「テレビは、現段階ではリア
さまざまな展開が考えられる。
端末の登場にあると言う。デジ
ルタイムで見ることの影響力
メディアという大きな世界
タル放送は薄型テレビ、
「iモー
が大きいとの前提でいろいろ
研
究
員
群
像
の将来を見据えていく。
ド」は携帯電話の普及のもとに
あった。
「ハードが魅力的なら
専門分野
普及は加速します。よってハー
ドをどうしていくか。このあた
りは日本の強みの部分でもあ
ると思う」と安江は言う。
また、一方で、テレビとイン
ターネットをブレークスルーす
■情報通信産業、メディア産業に関する政策調査、事業コン
サルティング
■情報通信技術の利用分野に関する調査
■放送分野における諸外国の外資規制に関する調査研究
主な
プロジェクト (総務省)
実績
■放送分野における諸外国の免許制度に関する調査研究
(総務省)
■地上デジタル放送がもたらす地域社会への影響に関する
調査研究(総務省)
るような技術の登場について
■メディア戦略に関する調査(在京キー局)
も考えることができる。すでに
■デジタル・インフォマーシャル・サービスに関する調査研
パソコンでは、検索機能を使っ
究(経済産業省)
■デジタルコンテンツの生産と流通を促進する法制度に関
て、
大量のファイルから該当デー
する調査((独)経済産業研究所)
タを探しているが、5 年後、10
■ IPTV の動向に関する調査((財)マルチメディア振興セ
年後は、テレビでも番組(情報)
ンター)
■ユビキタスネットワーキングにおける IPv6 基本ソフト
をホームサーバーやネットワー
ウエアの研究開発と基本戦略実施((独)情報通信研究機構)
ク上のレコーダーにためて、そ
■次世代インターネットにおけるネットワーク・アーキテ
の中で気に入ったものだけを
好きな時間に見るようになる。
クチャに関する研究開発(総務省)
■次世代ネットワーク(NGN)基盤技術の研究開発計画策
定((独)情報通信研究機構)
Vol. 3 _ No. 7 _ 2006 . 07
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