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【セッション2】製造業のサービス事業強化に必要な

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【セッション2】製造業のサービス事業強化に必要な
セッション2
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製造業のサービス事業強化のコツ
製造業のサービス事業強化に必要な“変化”
2015年3月
企業・経営部門 統括室 事業推進グループ
主任研究員 大川真史
Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.
スナイパー or コンシェルジュ
製造業のサービスモデルは、保守・復旧モデル(スナイパー型)とソリューション提供モ
デル(コンシェルジュ型)に分けることが出来る
コンシェルジュ型
スナイパー型
ソリューション提供モデル
保守・復旧モデル
製造業のサービスモデル
現実の業務では、保守・復旧モデルとソリューション提供モデルが並存する。
両方の型の混在を認め、さらに製品事業も含めた会社全体最適の観点で事業コア
を明確にし、サービス事業、サービス商品の位置付けを共有する事が重要である。
その上で、それぞれの「マネジメント構造」と「業務プロセス」を設計していくことが、サ
ービス事業強化の要点(コツ)と考える。
Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.
1
製造業のサービス要求/類型とIT化の対応関係
サービス要求
サービス類型
業務機能
スナイパー型
IT機能
共通IT機能
有償
ソリューション型
機能改造
顧客・インストールベース情報管理
オーバホール、清掃
部品販売型
ユニット交換
要員スキル情報管理
保守部品販売
ナレッジマネジメント
消耗品販売
無償
保守契約型
保守契約点検
コールセンター型
オンコール修理
プロジェクト型会計
モバイル化、ディスパッチ
リクエスト/コール・トラッキング
苦情
販売支援型
保守部品・消耗品受発注在庫管理
現地据付
販売応援・技術支援
製造支援型
保守営業型
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KPIマネジメント
保守サービス請求管理
保証期間点検
コントラクトマネジメント
現地対策、リコール
SLA/KPIマネジメント
巡回検査
作業計画(WBS)共有
2
顧客・インストールベース情報管理
スナイパー型
 顧客・インストールベース情報は、保守サービス事業における基本情報であると同時に、買替え需要探索な
どといった販売戦略実施のための重要な情報資産でもある。
 重要であるにも関わらず、多くの保守サービス部門では、社内に点在する多くのシステムから顧客・インスト
ールベースに関する情報を取得し、繋ぎ合わせなければ基本的な情報も把握できない。
 特に、マスタ類が複数存在するため、繋ぎ合わせる事が非常に困難である。
顧客情報
サービス情報
インストールベース情報
案件
顧客(法人)
自社品
工場
施設
区画、
詳細場所・・・
設備種別、新規導入日・・・
機械種別、機番・・・
案件関係者
技術担当、営業担当・・・
補助機械
補機種別、機番・・・
日付
引合日、見積日、遂行日・・・
サービスBOM
冶具、部品・・・
金額
請求額、見積額、原価・・・
実施時間
標準作業時間・・・
発注先
法人名、与信、支払条件・・・
チャネル
社内他部署、代理店・・・
設備種別、新規導入日・・・
既存の情報システム
マスタ類
更新、部品供給、派遣・・・
主要機械
他社品
保守サービス
管理システム
作業内容
基幹系(会計)
システム
拠点独自
システム
Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.
顧客管理
システム
スタンドアロン
商流情報
3
スキル管理/人的リソースの適正配置
スナイパー型
 サービス企画、サービス管理(サービス拠点長)を行う人材は表れにくい。意識的に育成する必要がある。
 現場では、自社スタッフで行う業務と、他社に依頼する業務が混在している。自社スタッフでも誰が担当
すべきか、高度な判断を要する場面が多い。
 まず、現状のリソースに対して、サービス業務の作業種別と、それごとに必要なスキルとスキルレベルを定
義することで、作業量から推計したスキルの過不足を把握する重要がある。
装置やソフトウェアなどで、難易度を決めてみる。
リソースポートフォリオ
ハイ・
スキル
本社リソース
対応でSLA
を締結
自社スタッフ
による対応
4
3
Setting Up
Upgrade
Installation
Parameterize
2
Repair on Site
ロー・
スキル
社外リソース
の活用
新人育成の
機会に利用
Operation Support
Call Handling
1
偶発的
計画可能
作業種別
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0
0
4
1
2
3
4
5
6
7
8
保守部品在庫管理
スナイパー型
 サービス事業の部品在庫管理は、以下のような理由で複雑なものになるため、別途管理が必要になる。
 無償保守や修理によるサービス部品の流通が存在する
 保守契約(SLA)で約束した復旧時間を守るための配備(車載在庫等の手持ち在庫)が必要
代理店・他の保守会社
他メーカ部品拠点
自社生産拠
点
納品
パーツ購入
修理再生
納品
振替
自社製品倉庫
パーツ購入
社内振替
修理依頼
修理再生
パーツ受注/出荷
修理依頼
中央倉庫
修理センタ
販売原価
修理用部品払出
棚卸減耗
⑨在庫移動
在庫移動
デポ倉庫
顧 客
パーツ要求/
在庫移動
RMA/返
却修理
エンジニア
部品要求/
在庫移動
エンジニア
修理非対象品の廃棄
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棚卸減耗
5
在庫移動
在庫移動
デポ倉庫
修理交換
現地修理/交換
保守原価
在庫移動
修理不能による廃棄
デポ倉庫
棚卸減耗
リクエスト/コール・トラッキング起点の保守管理システム
スナイパー型
 顧客からのお問合せ(コール、メールなど)の受付から対応完了までの管理は、サービス事業で最も重要
な機能のひとつであるが、一元的に管理することが大変難しい。
 例えば、問合せ業務のうち顧客からの連絡方法をみても、コールセンターへの電話、担当エンジニアの携
帯、全社窓口メールアドレス、担当営業のメールアドレス、別件訪問時での問合せ(担当エンジニア以外
が対応)など、非常に多岐に渡る。
 ITシステムをみると、コールセンター向けの製品は多いが、エンジニアのスケジュール管理、保守パーツ・
冶具などの在庫管理、保守契約と連動した請求処理などの業務まで一体化したシステム/業務管理は
殆どない。各社、独自のシステムを手作りしている状況である。
テクニカルセン
ター
顧客からコール
コール受付
設置予定
設置作業計画
保守契約
点検作業計画
保守エンジニア選定
保守要求/
タスク作成
保守パーツ予約
保守エンジニア
予定確認
冶具・ツール予約
保守要求
保守作業
保守
エンジニア
予定回答
保守パーツ、冶具・
ツール準備
バック
オフィス
保守契約受注
保守パーツ
受発注
保守パーツ
在庫管理
パーツ
配送
保守契約請求
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完了判定
移動
保守作業
現地作業
保守要求
作業報告
パーツ返却
請求書送付
請求書作成
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作業計画(WBS)共有
スナイパー型
 作業計画(WBS)の共有が必要となる業務は、装置の据付や交換保守(オーバーホール)などで、保守サ
ービス部門だけでなく、設置に伴う委託工事(内装、床補強、配線や給排水など)や輸送業者、場合によ
っては同時導入さえる購入品の設置業者に対する日程指示が必要な業務である。
 作業計画(WBS)の構造は、顧客の使用開始日を決めた上で、設置開始と輸送・搬入日程、旧装置の搬
出日程と工事期間、各種作業や物品ごとの調達手配日程を決めていくバックワード型である。
 機能的には、関係部門とWBSを共有できるシステムであれば、他のシステムとの関係はほとんど無くても
よいので、例えば、MS-Projectをネットワークで共有するという方法も考えられる。
営業提案構成および事前下見に合
わせて、物品(本体、オプション、購入
品)、各種工事、物流業者や設置担
当者の作業を手配(発注)する。
手配済みの物品(本体、オプシ
ョン、購入品)、各種工事、物
流業者や設置担当者の作業の
実施日程を確定する。
設置場所での作業が開始
されている期間で、各作業
が予定通り終了したかを把
握する必要がある。
標準化された全作
業を記録したテン
プレートから、商談
で必要な作業を選
ぶ。(漏れ防止)
見積手配
WBS上
の見え方
各品目、
作業別に
見ると
テンプレートファイル
納期調整
現地作業
工程表生成
標準LT
本体
据付
物品手配
搬入日確定
作業員手配
作業日確定
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商談情報
設置、取
扱説明
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初期の工程表完成
コンシェルジュになるために:3つの重要なポイント
コンシェルジュ型
 製造業がコンシェルジュになれるのは、既存顧客に対してのみと考えるのが自然である。
 つまり、インストールされた機器がある顧客(アフターマーケット)に対してのみコンシェルジュになり得る。
 アフターマーケットでの対応力強化のポイントとして、以下の3点が挙げられる。
① サービス化(メンテナンスとサービスの分離)
② アフター営業体制(営業と保守サービスの連携)
③ 商品開発(顧客価値起点の商品開発)
ポイント
①サービ
ス化
②アフ
ター営業
体制
③商品
開発
メンテナンスとサービスの分離
契約を作りこむ
 メーカーとして必須な保証・修理・部品供給
 顧客価値活動の有償化、収益性把握
営業と保守サービスの連携
顧客の胸を借りる
 顧客接点の業務分担
 チーム型営業、評価制度の見直し
顧客価値起点の商品開発
きちんと試行錯誤する
 製品設計開発とは異なるコツ
(コンシェルジュ型に限らず)
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①サービス化のポイント
コンシェルジュ型
 製造業にとって、無償保証期間対応や、故障・クレームなどの製品品質保証の延長線にあるため、メンテ
ナンス(設置された装置を原状復帰させること)は、明らかな消耗部品の交換以外は、利益を上乗せした
有償請求を顧客にするのが難しい。
 実際、保守サービス員が実施したメンテナンス作業についての有償・無償判定を、現場の管理者が休日
出勤して処理しているといった例もある。
サービス(商品)
 装置操作教育
 パラメータ設定
 運用代行
 アップグレード、改造
 廃棄品引取り・再生
・・・
メンテナンス(作業)
 点検・検査
 故障修理
 部品交換
 オーバーホール
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サービス商品
 装置操作教育 ・・・
 保守契約による点検、
修理、部品交換
 保証期間外の修理、
部品交換
契約(バリューパッケージ)の
整備・見直し
有償・無償、利益上乗せの境目
 インストールベースビジネス
• 明らかな消耗部品であれば、定期的な交
換時に収益実現
 製造品質起因の修理、
部品交換
 故障・クレーム
• 通常の利用で、消耗部品以外が、装置の
利用可能期間に故障するのはおかしい
 保証期間内の点検、
修理、部品交換
 無償保証
• メーカーの基本責任で実施
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②アフター営業体制・役割分担(事例)
コンシェルジュ型
 外資系A社のビジネスモデル(ソリューションビジネス)は、3種類の顧客分類と、プロフィットゾーンの主要
顧客に対するアカウントマネージャを主体とした商談別チーム型営業で取り組んでいる。
外資系A社のビジネスモデル(ソリューションビジネス)
• 3種類の顧客を定義
• コーポレート顧客には、製品技術・保守技術・サービス技術それぞれのエースを送り込み、カスタマイズ
も含めた赤字ありの商談を遂行
• コーポレート顧客で成功したサービスを、ターゲット顧客(プロフィットゾーン)に拡販して収益向上
• 一般顧客、ノーネーム顧客に対しては、標準サービスと保守・復旧型保守サービスを提供
サービスの妥当性を検証
コーポレート顧客
(胸を借りる顧客)
専任アカウント営業
商談別チーム
ターゲット顧客
(プロフィットゾーン)
保守技術
一般顧客営業
一般顧客
保守(アライアンス先)
ノーネーム顧客
ディーラ
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アカウントマネージャ
ディーラ営業
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製品技術
保守技術
サービス技術
顧客知識・サービス
商品の流れ
ソリューション技術
サービス商品開発:コンシェルジュでもスナイパーでも進めるべき




精緻な事業(サービス)計画や市場/技術調査を行う前に、サービスのユーザー体験仮説を検討すべき。
さらにサービスのユーザー体験仮説が出来た段階で、速やかに試行/評価を開始すべきである。
はじめに考えたサービス(アイデア)は必ず修正される。時には、ピボット(軌道修正)を行う必要がある。
以下は、サービス商品開発の進め方である。
1.サービスアイデア抽出/評価
2.サービス試行/評価
2.新サービス設計
 高評価のアイデアの試行を行う。
 何度かのサービス試行によるサービ
 組織内(主に前線のサービス担当
ス変更を経て、試行顧客から評価を
者)に埋もれている新サービス仮説を  試行にはいくつかのやり方があるが、
試行業務環境の整備が必要である。
得たら、新サービス設計に進む
洗い出し、磨きあげる。
1-①アイデア抽出
内容
対象顧客 きっかけ
悩み
アイデア
1
2
3
4
5
6
7
1-②サービス設 1-③アイデア評
計(仮説)
価(取組優先度)
2-①試行準備、実施
3-①調査分析
ロールプレイ
業界動向調査
プロトタイプ
顧客調査
実際の顧客と協業
事業貢献
試行環境(クラウド)
2-②試行評価
難易度(主観)
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3-②コンセプトと
ビジネスモデル
CVT
分析
事業コンセプトの 3要件
現状レビュー
差異化
価値
儲ける ノウハウ蓄
仕組み 積の仕組み
3-③サービス商品計画策定
業績計画
(投資、売上、利益)
サービス提供代替案
の検討・評価
サービス提供実現に
至る課題の抽出
実行スケジュール
(続きはセッション4で)
【参考】製造業のサービス化の新潮流:IoT
顧客価値
(他者と共に)
 価値共創(コ・クリエーション)
創出価値
顧客価値
(意図した価値)
⾃社競争⼒・
QCDR改善
 顧客動向分析
 O&M代⾏サービス
 Industrial Internet
 デジタルマーケティング
 事前・予防保守
 企業間EC
 Industrie4.0
 デジタルサプライチェーン
クローズドネットワーク
オープンネットワーク
ネットワークの広がり
デバイス、
センサー
IoTネット
ワーク
クラウド、
ストレージ
要素技術
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セキュリ
ティ保護
ビッグデー
タ解析
本資料に関するお問い合わせ先
株式会社 三菱総合研究所 企業経営部門
統括室 事業推進グループ
主任研究員 大川真史 [email protected]
TEL : 03-6705-6060
FAX: 03-5157-2149
〒100-8141 東京都千代田区永田町二丁目10番3号
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