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『総合的な学習の時間』 本教科での主なポイント

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『総合的な学習の時間』 本教科での主なポイント
『総合的な学習の時間』
本教科での主なポイント
■ 電力の安定供給について考える
●
私たちは、くらしの中でどのようにエネルギーとかかわっているのだろうか。
●
くらしの中で最も使用するエネルギーは何か。
●
くらしの向上とエネルギーの消費はどのようになっているのだろうか。
●
電気は、どのように家庭に届けられるのだろうか。
●
今後、電気の使用量はどのようになっていくのだろうか。
●
電気がなかったら、私たちのくらしや産業活動はどうなるのだろうか。
●
電力を安定して供給するためのベストミックスとは何か。
■ 電力会社の環境保全策について考える
じゅんかんがた
●
電力会社では、低炭素社会や循環型社会に向けてどのような取り組みをしているのだろうか。
発電所や変電所、送電線など、さまざまなところで安定供給を支えている多くの人たちがいます。
140
1.
電力の安定供給について考える
1 くらしを支えるエネルギー
2 電気の道のり
いとな
くらしや産業活動を営むのに、エネルギーの利用は欠かせません。
昔と比べて、私たちはエネルギーを大量に消費することで、快適で便利なくらしができるようになっています。
電気は、スイッチひとつで簡単に利用できますが、家庭に届けられるまでにはさまざまな電力設備を経由して届けられ
ています。
家庭に電気が届くまで
家庭で使われているエネルギー
しゅんじ
私たちは、日々のくらしの中で電気やガス、灯油、ガソリン、水など、さまざまなエネルギーを消費しています。
また、電気は、家庭の中で24時間使用し続けられています。
エアコン
(電気)
照明
パソコン
(電気)
(電気)
発電所でつくられた電気は、送電線や変電所、配電線などを経由して、工場や事務所、家庭などに瞬時に届けられてい
ます。
太陽光発電装置
換気
コンロ
(電気)
(電気・ガス)
エアコン
(電気)
電
柱上変圧器
引込線
学
風呂
(水)
校
配電線
水力発電所
超高圧変電所
送電線鉄塔
変電所
地下ケーブル
冷蔵庫(電気)
トイレ
(水)
ファンヒーター
(石油・ガス)
私たちのくらしは、さまざまなエネルギーに
支えられています。
風力発電
送電線鉄塔
配電用変電所
自動車(ガソリン・軽油)
送電線
柱
電話(電気)
火力発電所
工場
原子力発電所
家庭での電気利用
家庭におけるエネルギー源の変化
いとな
電気やガス、石油などは、私たちがくらしを営むのに直接使用するエネルギーです。
1973年のオイルショック以降、家庭の石油消費の割合は下がり、快適さの追求などにより、電気の役割が増えています。
電気は、電柱の上にある変圧器(トランス)によって家庭で使いやすい電圧(100ボルトなど)に引き下げられます。そ
して、引込線を通じて家の外側についている電力量計(メーター)から分電盤(ブレーカー)を通り、各コンセントまで送
り届けられています。
電気が家庭に届くしくみ
家庭でのエネルギー消費量(熱源)の推移
家庭用電力需要の伸び
エアコン
普及率100%超
(億kWh)
(1010kcal)
60,000
2,000
1973年→2007年 全体 2.32倍
50,000
カラーテレビ
(2台目)
普及率50%超
使
電力(3.75倍)
40,000
用
1,250
電 1,000
電力
30,000
力
量
20,000
最近のその他の主な機器は
・衣類乾燥機
・温水洗浄便座
・食器洗浄乾燥機等
電子レンジ
普及率50%超
1,500
太陽熱
その他の機器(28.5%)
ルームクーラー
普及率100%超
1,750
太陽熱(4.04倍)
電気カーペット
(4.3%)
ルームクーラー
普及率50%超
冷蔵庫(16.1%)
冷蔵庫
普及率100%超
エアコン・クーラー
(25.2%)
750
ガス(2.07倍)
ガス
500
石炭等(0.05倍)
10,000
照明用(16.1%)
250
灯油
石炭等
灯油(1.67倍)
テレビ
(9.9%)
0
0
73 75
80
85
90
95
2000
72
75
80
85
90
95
00
03(年度)
引込線取付点
(色つきチューブ)
05 07年
(注1)
ガスはLPG、都市ガスの合計。石炭等は、石炭、練豆炭、薪、木炭、
その他の合計。
(注2)太陽熱の伸びは1975年と2007年の比較。
出典:EDMC/エネルギー・経済統計要覧(2009年度版)
(注)
( )内の数字は2003年度実績の構成比
四捨五入の関係で合計値が合わない場合がある
この調査は2003年度で終了したので本データが最新データ
引込口配線
メーター
出典:資源エネルギー庁「電力需給の概要(2005)」
Work
Work
なぜ、電気の使用量が伸びているのか、
時代の変化や電気の持つ特性などから考えてみましょう。
141
電灯引込線
1,909億kWh
電気と同様にガスにも送り届けられる道のりがあります。
どのような設備を通ってやってくるのか具体的に調べてみましょう。
142
1.
電力の安定供給について考える
3 電力の安定供給
電力の安定供給を支える人々
私たちが便利で快適なくらしをおくる陰で、その供給を日夜支えている人たちがいます。
今後とも、電気に対する利用ニーズが高まっていくことが予想されますが、電気は貴重なエネルギー資源からつくり出
されることから、利用する人たちも大切に使用していく必要があります。
諸外国と比較した1戸あたりの年間停電時間
(事故停電の場合)
電気使用量の見通し
高齢化や情報化社会の進展に伴い、電気の果たす役割はますます重要になっています。
四国地域の電気使用量は、エアコンやパソコンをはじめとする電気製品の普及などに伴い、10年前と比べて17%増加
しており、今後ともゆるやかに増え続けていくものと予想されています。
電気使用量の実績と見通し
(億kWh)
350
(台)
300
電力(産業用・業務用など)
電灯(家庭用など)
カラーテレビ
76
234
62
(2007年)
ドイツ
200
日本
ルームエアコン
200
(見通し)
電気冷蔵庫
四国
131
128
105
97
85
100
100
パソコン
VTR
(見通し)
50
1990
1995
2000
2005 2009
2019
(年度)
(2009年)
送電線の点検をする人々
電力の流れを監視する人々
配電線の工事をする人々
14
(2009年度)
150
150
発電設備の点検をする人々
17
(2008年)
250
0
1985
23
(2008年)
フランス
265
電力の安定供給を支える人々
417
(2008年)
250
275
アメリカ
〈カリフォルニア〉
〈ニューヨーク〉
イギリス
主な電気製品の保有状況の推移(中・四国)
301
300
電気は、貯めておくことができないため、常に使用量に合わせて発電する必要があります。また、電圧や周波数を維持
し、質の高い電気を効率的に供給する必要があります。
このため、いつでも電気を安心して使えるように、電気を「つくる」
・
「送る」
・
「使う」場面で安定供給を支えている人た
ちがいます。
7
0
20
40
60
80
100 120 140 400
(分/戸)
50
温水洗浄便座
0
1985
1990
出典:
「海外電気事業統計2010」他
DVD
プレイヤー
1995
2005
2000
(注)保有状況:100世帯あたりの保有台数。
2009
(年度末)
ベストミックスによる効率的な発電
出典:内閣府「消費動向調査(2010年3月末現在)」
四国の電気の使われ方
日本のエネルギー自給率はわずかに4%しか
なく、エネルギー資源のほとんどを海外からの
輸入に依存しています。
電気の使われ方は、時間と季節によって異なるなど特徴があります。
電気は、その日の気温や工場の稼動状況などをもとに、発電する量を計画的に決めています。
1日の電気の使われ方
(%)
100
15
こうしたエネルギー事情のもと、エネルギー
資源を安定して確保することは極めて重要な課
題となっています。
1年間の電気の使われ方
(万kW)
600
このため、水力・火力・原子力発電などの発電
方法の特性に合わせて、バランスよく組み合わ
せて効率的に電気をつくっていくことが重要と
なっています。
500
2008年度
598.8万kW
400
発受電電力量の構成比と見通し(四国)
26
14
12
18
24
(時間)
水力
8
石油など
6
LNG
40
60
15
40
31
石炭
20
40
74
39
36
41
原子力
44
1975年度
255万kW
0
100
4
5
6
7
8
9
10
Work
11
12
1
2
3
(月)
1975
1985
1995
2005
2009
2019 (年度)
(見通し)
Work
なぜ、電気は時間と季節により使われ方が異なるのか考えてみましょう。
また、夜間にも一定の使用量がある理由についても考えてみましょう。
143
1
新エネルギー
29
47
200
10
9
29
20
6
7
80
300
0
9
1
1
8
諸外国と比べて、何故、
日本の停電時間が短いのか考えてみましょう。
また、電気が使えなくなった場合の社会的な影響についても考えてみましょう。
144
2.
電力会社の環境保全策について考える
じゅんかん
1 低炭素社会に向けた取り組み
2 循環型社会等に向けた取り組み
電力会社では、電力の安定供給の中で低炭素社会の実現に向けた取り組みを積極的に進めています。
電力会社では、資源の有効活用や自然との共生に向けた取り組みなども積極的に行っています。
発電時の取り組み(火力・原子力)
省資源・リサイクル活動
発電するときに二酸化炭素を排出しない原子力発電の利用は、化石エネルギーの節約だけでなく二酸化炭素の排出量
の削減にもつながります。このため、運転にあたっては、安全を最優先に取り組んでいます。
また、坂出市の火力発電所では、環境に優しいクリーンなエネルギーである液化天然ガス(LNG)を利用しているほか、
西条市にある火力発電所では、製材所で発生する木くずなど(木質バイオマス)を石炭と混ぜて発電の燃料に使用する工
夫をしています。
火力発電所から発生する石炭灰は、セメ
ント原料やコンクリート製品などに使う
など、99.8%有効利用しています。
また、古くなった電線を新しいものにし
たり、コンクリート電柱は粉砕して建設用
資材として100%再利用しています。
このほかにも、森林資源の保護に協力す
るため、紙の使用量を減らしたり、再生紙
の利用や古紙分別回収、休憩時の消灯など
省資源・省エネルギー活動も行っています。
原子力発電所(愛媛県西宇和郡伊方町)
コンクリート柱の粉砕
再建された建設用資材
再生処理前の電線
再生された電線
液化天然ガスを利用する火力発電所(香川県坂出市)
発電時の取り組み(水力・新エネルギー)
水力発電は、自然の恵みを活かした貴重なエネルギーであり、発電するときに二酸化炭素を排出しないことから、水資源
を有効に活用するため、設備更新時に、
水車(ランナー)を効率のよいものに取り替えて発電効率を高めています。
また、太陽光や風力発電は、自然条件に左右されるなどの課題がありますが、発電するときに二酸化炭素を排出しないク
リーンなエネルギーです。このため、メガソーラー発電の導入に加え、普及に向けた取り組みを積極的に行っています。
電気自動車の活用
森林保全活動
運転時に二酸化炭素を排出しない電気自動車を業務用
車両として積極的に利用しています。
地域の次世代層を招いた間伐などの森林整備活動や、二
酸化炭素削減に向けた国内外での植樹・植林活動も行って
います。
電気自動車の積極的な利活用
次世代層と協力した間伐作業
かんばつ
かんばつ
水力発電所の水車(ランナー)の交換
風力発電の利用(高知県室戸市)
太陽光発電の利用(愛媛県松山市)
Work
Work
施設見学などの機会を利用して、電力会社の社員に
詳しい取り組み状況についてインタビューしてみましょう。
145
電力会社のその他の取り組みについても、ホームページなどで詳しく調べてみましょう。
146
むすびにあたって
アジアの国々を中心とした経済成長や人口増加、さらに国境を越えた経済活動などが活発になるなか、資源エネル
ギー問題や地球環境問題を解決しながら、
「持続可能な社会」を実現していくことは、21世紀を担う私たちに課せら
れた重要な課題の一つです。
多くの資源を海外からの輸入に依存している我が国も、先進国の一員として、率先して温室効果ガスの削減をはじ
めとした環境問題への取り組みを積極的に進めていかなければなりません。
日本では、現在、地球温暖化の防止に向けて、これまで以上に省エネルギーを進めるための取り組みや、非化石エネ
ルギーの利用拡大に向けた研究・開発も進められています。
はいきぶつ
また、廃棄物の発生抑制(リデュース)、製品・部品の再利用(リユース)、原材料としての利用(リサイクル)など、省
資源に向けたさまざまな取り組みも進んでいます。
はいきぶつ
しかし、近年の地球規模での環境問題や廃棄物問題は、私たち一人ひとりのくらし方とも密接に関係してくるため、
む だ づか
エネルギーや資源の無駄遣いなどによって、私たち自身も加害者であり、被害者になるという複雑な問題となってい
ます。
このため、国や企業だけでなく、私たち自身も省エネルギーや省資源につながる取り組みを、日々のくらしのなか
で進めていくことが重要です。
私たちのくらしや経済は、エネルギー資源などの資源に支えられていますが、資源には限りがあります。こうした
なかで、私たちは未来の世代のことも考えて、資源を大切に使うとともに、将来のエネルギーのあり方について考え
たり、調べたり、話し合っていくことが必要です。
147
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