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本日の意見交換における主な論点(案)(桑原主査)
資料4 本日の意見交換における主な論点(案) 2011年1月7日 主査 桑原 雅夫 これまでの議論のまとめ(1) 道路交通事故の概況 1.平成21年の交通事故死者数は57年ぶりに5,000人を下回 る。交通事故の件数・死傷者も減少傾向にあるものの、平成21 年にはそれぞれ約73万件、約91万人に上る。 2.自動車乗車中の死亡者が減少する一方、歩行中・自転車乗車 中の死者の減少は緩やか。また、65歳以上の高齢者死亡者数 が全体の約半数を占める。 3.死亡者数の95%以上が一般道での事故。特に、生活道路で は歩行者・自転車を巻き込んだ死傷事故率が高い。 → 交通事故死亡者数のさらなる減少のためには、交通事故件数そのものを 減らすことが必要。特に、高止まりしている生活道路における事故、歩行 者・自転車を巻き込んだ事故を減らすことが重要。 1 これまでの議論のまとめ(2) 交通安全対策における課題 1.交通事故(衝突)そのものを減らすための総合的な取組が必要と なっている。 (例) ・ ・ ・ ・ ・ 道路施設(幹線道路、街路、歩道、信号機等)の整備 生活道路における交通規制 地域住民の交通安全に対する理解・協力の増進 交通安全教育(特に歩行者や高齢者の教育機会の確保) IT(ITS)による交通安全対策 2.ITSについては、衝突回避のシステムに加えて、オンライン・リア ルタイムではないITSも必要である。 ・ 安全運転支援システム(車両単独の自律型、路車間・車車間協調型)、歩行 者支援システムによる衝突の回避 ・ 衝突過程の観測や分析を行うためのデータベースの構築。(「治療」の前提と なる「病変の状況と部位」の特定) 2 これまでの議論のまとめ(3)安全運転支援システムの現状と今後のトレンド 1.様々なタイプの安全運転支援システムが開発・実用化されている。 ・ 自律型運転支援システム(車両単独) ・ 協調型運転支援システム(路車間・車車間通信) ・ 交通弱者のためのシステム(歩車間通信等) 2.今後のトレンドは、通信の活用と個別適用型の運転支援。 ・ 通信の活用(車載センサー、インフラセンサーのみで検出できな い危険への対応) →通信を用いた協調型システムについては、関係者の「協調」と対応する車 載機・車両の「普及」が不可欠 ・ 個別適合型の運転支援(ドライバーの認知、判断、操作の根底 にある安全意識、モラルを上昇させる支援) →人間と機械の関係(HMI)への慎重な配慮が必要 (運転責任があるドライバーの運転能力を低下させる支援は避け、使う人の 立場に立った支援を行うこと。) 3 安全運転支援システムの将来像(1) 1.グランドデザインの共有 交通事故の発生原因を分析することで効果的な交通安全対策の方策を 検証した上で、交通事故対策の一つとして期待されるITSによる安全運転 支援に係る車両・車載機・インフラのあり方について関係者でグランドデザ インを共有するべきではないか。 2.人間中心の交通安全対策の推進 ドライバーの主体的な安全行動を補完・支援する安全運転支援システムを 設計・導入するとともに、歩行者やドライバーに対するきめ細かな交通安全教 育を推進することが必要ではないか。 3.歩行者等の交通弱者対策 歩行者・自転車の安全を確保するため、車載機や路側インフラによる検知シ ステムに加え、歩車間通信システムの開発が必要ではないか。 4 安全運転支援システムの将来像(2) 4. 路車・車車システムの連携・統合化 交差点等における効果的な衝突防止対策の実現のため、既存の路車中心 のシステムに加えて、広い範囲で連続して通信を行うことができる路車・車車統 合システムの導入に着手することが必要ではないか。 5.車載機の統合化と通信メディアの効率的な利用の推進 車載機の統合化とその普及を図るとともに、周波数帯等の通信メディアの効 率的な利用を推進することが必要ではないか。 6.国際的な整合性の確保 安全運転支援システムについては、将来の国際展開や車両・車載機の輸出 入の円滑化のため、欧州・北米において検討中の路車・車車統合システムとの 整合性を確保していくことが必要ではないか。 5 今後取り組むべき課題(1) 1.交通安全対策におけるITSの役割の明確化 ・ 交通安全対策において課題となっている、高齢者、生活道路での歩行者・自 転車の事故への対応について、道路施設の整備、交通規制、交通安全教育 等に加えて、ITSによる対策としては、路車・車車・歩車間の協調システムが期 待される。交通事故原因の調査・分析を踏まえて、これらシステムの開発・整 備を進めることが必要ではないか。 ・ 安全のみならず、環境・利便にも活用できるようなシステムの設計をするべき ではないか ・ 安全運転支援システムを設計・構築していく上で、個人情報に配意しつつ交 通事故に関するデータベースを整備し、活用することが必要ではないか。 2.路車・車車統合システムに関する技術的検証 ・ 2011年度までに車車間システムの指針が策定されることを踏まえ、2012 年度以降、路車・車車統合システムの実証実験と効果検証を、産学官が連携 して行うべきではないか。このため、本年夏までに、実証実験の内容について 関係者が合意形成することが必要ではないか。 ・ 実証実験においては、ドライバーの主体的な安全行動を補完・支援できるよう、 十分な検証を行うことが必要ではないか。 6 今後取り組むべき課題(2) 3.車載機・車両の導入、路側インフラの整備 ・ 上記の技術的検証を踏まえ、自動車メーカーは、路車・車車統合システム に対応した車載機・車両の開発・装備を進めることが必要ではないか。 ・ 政府においては、路車・車車統合システムに対応した路側インフラの計画 的な整備を推進するべきではないか。 ・ 歩車間通信の実用化に向けて、官民が協力して技術開発や実証実験を進 めるべきではないか。 4.海外展開 ・ 交通事故の態様、路側インフラや利用可能な周波数帯の状況等は国ごとに 異なることから、現地の状況を十分に把握するとともに、国際標準化、海外 展開について産学官の関係者が連携して検討・推進するための仕組みが必 要ではないか。 ・ 2013年に東京で開催される第20回ITS世界会議において日本のITS技 術を広く国内外にアピールし、海外展開の契機とすることが必要ではないか。 5.交通安全教育の推進 ・ 安全運転支援システムに関する理解の促進を含め、ドライバーや歩行者 に対する交通安全教育の充実・強化を図ることが必要ではないか。 7