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120 青果物混載輸送のためのエチレン除去システムの最適化 寺野香穂
青果物混載輸送のためのエチレン除去システムの最適化 ○寺野香穂・梅野裕太・田中史彦 1) ・内野敏剛 1) ・濱中大介 1) (九州大院生資環・ 1 ) 九州大院農) 応の反応速度定数 k の値は 4.4×10-2 とし,反応領域 【目的】 近年,船舶によるカキの輸送が盛んに行われてい は除去装置の電極間とした。リンゴ積荷内の 1 点か る。しかし,カキ単品目でコンテナを満載する程の らエチレンガスが 1.98×10-7 kg s-1 で発生するとし, 需要は望めず,他品目との混載が避けられないのが 積荷はともに多孔質媒体とした。解析手法は非定常 現状である。カキはエチレン感受性が高く,エチレ 条件,計算ステップは 1 s とした。初期条件は,空 ンを発生しやすい青果物と混載すると急速に軟化が 間内に窒素が 0.77,酸素が 0.23 の質量分率で存在す 進行することが問題となっている。農産物のエチレ るものとした。 ン対策としては吸着材,光触媒技術,1-MCP の利用 除去装置 などが挙げられるが,これらは長期間の船舶輸送に は不向きである。そこで,著者は高電圧プラズマを 用いたエチレン除去装置に着目した。コンテナ内に 装置を設置する際は,いかに効率よくエチレンを除 去するかが重要な問題となってくる。そこで本研究 では,数値流体力学を用いてコンテナ内におけるエ 補助板 エチレン供給点 図1 実験装置の概略図 チレンの拡散,分解を予測し,庫内の最適な設計指 針を提示することを最終目的とする。今回は,基礎 実験として小型コンテナを用いて CFD 解析の妥当 積み荷(カキ) 積み荷(リンゴ) ファン :エチレン測定点 【結果および考察】 図 2 にカキおよびリンゴ積荷内の実験より得られ 性を検証したので報告する。 た実測値,CFD モデルより得られた予測値を示す。 【材料および方法】 実測値は測定開始から 20 分はエチレンが検出され ず,その後急速にエチレン濃度が上昇した。一方, mm,高さ 372 mm とした。コンテナ内にはカキおよ 予測値は解析開始から時間が経過するにつれ一定の びリンゴ積荷を想定した段ボール箱を配置し,エチ 割合でエチレン濃度が上昇した。実測値において測 レン除去装置をカキ積荷上部に設置した。ファンを 定開始から 20 分間エチレンが検出されなかったの 2 つ設置し,内部の空気を循環させた。リンゴ積荷 は,測定用の電動ポンプの流量が多すぎて周囲のガ の中央付近に外部から電動ポンプを用いてエチレン ス濃度分布を乱していた可能性が挙げられる。予測 ガスを 1.98×10 kg s で供給し,供給開始と同時に 値と実測値は完全に一致しているわけではないが, 除去装置を稼働させた。供給開始からエチレンガス 測定時間のラグを考えると両者は近似しているとい 濃度を 10 分ごとに 1 時間測定した。 測定点はカキお える。以上より,CFD モデルは妥当性があると結論 よびリンゴの段ボール内の 2 点とし,電動ポンプを した。 -7 -1 用いて測定点付近のガス濃度を外部で測定した。測 定にはガスクロマトグラフ (GL Science,GC390) を 使用した。実験装置の概略図を図 1 に示す。 解析に用いたジオメトリは,実験装置をもとに作 成した。ファン吹出口で 10 Pa の圧力上昇が起こる とするファン境界条件を設定した。エチレン分解反 エチレン濃度 (ppm) アクリル製コンテナの寸法は幅 380 mm,長さ 993 350 300 250 200 150 100 50 0 :実測値 (リンゴ) :実測値 (カキ) :予測値 (リンゴ) :予測値 (カキ) 0 10 20 30 40 50 60 時間 (min) 図2 エチレン濃度の実測値および予測値 ─ 120 ─ p105-124postercs6.indd 120 2014/07/31 15:47:51