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北海道版緑肥物語(P11)
雪印種苗は創業以来一貫して “土づくり”を提唱しています。 自 然 ・ 環 境 と の 共 生 を 常 に 意 識 し て 行 動 し ま す 。 私 た ち は 、 こ の 理 想 を 実 現 す る た め に 、 農 業 が あ る べ き 基 本 的 な 姿 を 表 し て い ま す 。 健 全 な 食 料 が 健 全 な 人 間 を 形 成 す る と い う 健 全 な 土 地 が 健 全 な 食 料 を も た ら し 、 ﹁ 健 土 健 民 ﹂ と は 、 ﹁ 健 土 健 民 ﹂ を 理 想 と し て い ま す 。 【目 次】 私 た ち は 、 創 業 者 黒 澤 酉 蔵 翁 の 精 神 緑肥作物の効果と選定 p. 4 緑肥の作付体系 p. 4 緑肥作物の導入方法 p. 5 緑肥作物質問コーナーQ&A p. 6 センチュウ対抗作物 ヘイオーツ (エンバク野生種) p. 9 Biofumigation Crop 辛神(チャガラシ) p.12 小麦後作のマメ科緑肥作物 まめ助(ベッチ類) p.14 防風や隔離作物に とちゆたか (エンバク) p.14 マメ科緑肥の混播セット まめゆたか p.15 ハウスの線虫対策に つちたろう (ソルゴー)、 ねまへらそう (スーダングラス) p.16 タマネギの後作緑肥に R−007(ライムギ) p.17 小麦後作に最適な景観作物 キカラシ (シロガラシ) p.18 春播きの景観緑肥 アンジェリア (ハゼリソウ) p.19 アーバスキュラー菌根菌で地力対策を デルソーレ (ヒマワリ) p.20 深紅の花がきれいな景観緑肥 くれない(クリムソンクローバ) p.21 秋播き小麦の間作緑肥に はるかぜ(アカクローバ) p.21 花と緑で美しい景観作り スノーミックスフラワー p.22 畑作物・野菜にバイオの力を!! ネぢからアップ、SS−374 p.22 農薬飛散(ドリフト) ガード作物を利用する! p.23 環境保全に向けたさまざまな緑肥の活用事例 p.24 雪印の緑肥とその使い方 p.26 の物 改理 善性 緑肥作物の効果と選定 最近、園芸作物や小麦等の畑作物を中心に、有機物不足や連作による土壌病害の多発、低収が問題化しています。これらの問 題を解決するために、手軽で安価な緑肥作物の栽培が普及してきました。緑肥の施用効果と最適品種は以下のようになります。 物 理 性の改 善と団 粒 構 造の形 成 緑肥の粗大な有機物は土壌中の気相・液相を増大し、孔隙率を増加させ、団粒構造形成に役立ちます。ここに有用微生物群が繁殖するので す。全ての緑肥に共通の効果ですが、特にイネ科作物に期待されます。 ! 緑肥作物の導入方法 1月 2月 ■秋播き小麦への後作緑肥 秋播き小麦 3月 4月 豊富な根系のイネ科や深根性のマメ科作物は土壌を耕します。 トウモロコシ、つちたろう(ソルゴー)、ねまへらそう(スーダングラス)、ヘイオーツ(エンバク野生種)、R−007(ライムギ)、 はるかぜ(アカクローバ) クリーニングクロップ 施設ハウス内での過剰塩基を緑肥に吸収させ、搬出することにより、土壌の塩基バランスを保ちます。 つちたろう(ソルゴー)、ねまへらそう(スーダングラス) 8月 9月 10月 11月 12月 ヘイオーツ、 辛神、 キカラシ、 まめ助、 まめゆたか、 R−007 (9月播種) ◎∼∼∼◎ = = = = = = = = = × × × × 注:8月下旬播種はキカラシが多収。 ■ダイコンのキタネグサレセンチュウ対策 春ダイコン ◎∼∼∼∼◎ ヘイオーツ ◎∼∼∼∼◎ = = = = = = = × × × × ■ニンジン・ゴボウ・ナガイモの線虫対策 ヘイオーツ ◎∼∼∼◎ = = = = = = = = = × × × 夏ダイコン ◎∼∼∼◎ 春播きニンジン ◎∼∼∼∼◎ マメ科作物による空中チッソの固定 ゴボウ(前年秋にヘイオーツ) ◎∼∼∼∼◎ ナガイモ(前年秋にヘイオーツ) ◎∼∼∼∼◎ マメ科作物の根には根粒菌が着生、空中チッソを固定し、土壌中のチッソを肥沃化させます。 まめ助(ベッチ類)、はるかぜ(アカクローバ) 小麦の後作でイネ科の連作を防ぎ、輪作体系を確立させます。 まめ助(ベッチ類)、まめゆたか ■トマトやキュウリのサツマイモネコブセンチュウ対策とハウスの土づくり トマト・キュウリ(ハウス) ▽∼∼∼▽ ヘイオーツ ◎∼∼∼◎ = = = = = = = = × × × × つちたろう、ソイルクリーン ◎∼∼∼◎ = = = = = = = = = = = = × × × × 定植 有用土壌微生物相の形成 環 境 保 全 7月 播種期 栽培期間 鋤き込み 収穫、麦稈処理 土壌に鋤き込まれた緑肥作物は微生物に分解され、腐植を増大させます。この腐植はマイナスに帯電しており、肥料成分のうち、大切な肥 料成分のプラスイオン(アンモニア、カリ、カルシウム、マグネシウム等)を吸着し、土壌の保肥力を増大させます。 トウモロコシ、つちたろう(ソルゴー)、ねまへらそう(スーダングラス)、ヘイオーツ(エンバク野生種) 輪作体系の改善 生 物 性 の 改 善 6月 土 壌の耕 運 保肥力の増大 化 学 性 の 改 善 5月 ◎∼∼∼◎ ==== ×××× 全ての緑肥作物は根系よりムシゲル(糖類の一種)を放出します。その結果、豊富な微生物群がムシゲルをエサとして増殖します。 土壌病害の軽減 前作と異なった種類の緑肥の導入は、連作を輪作体系化し、主作物の土壌病害を軽減します。 ヘイオーツ(アズキ落葉病、ジャガイモそうか病、アブラナ科野菜類根こぶ病)、トウモロコシ(メロンえそ斑点病) 辛神(テンサイ根腐病、ホウレンソウ萎凋病) 有害線虫の低減 キタネグサレセンチュウを撃退(ダイコン・ニンジン・ゴボウ、ナガイモ等で問題化) ヘイオーツ(露地) キタネコブセンチュウを減少(ニンジン・ゴボウ等) 全てのイネ科作物に効果があります。 サツマイモネコブセンチュウを撃退(トマト・セロリ・キュウリ等で問題化) つちたろう(ソルゴー) ■小麦間作緑肥(ダイズシストセンチュウを抑制) 秋播き小麦 収穫、麦稈処理 はるかぜを畝間に中播き ◎∼∼∼◎ = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = × × × × ■秋播き小麦への後作緑肥でダイズシストセンチュウ対策を 秋播き小麦 収穫、麦稈処理 くれない ◎∼∼∼◎ =========×××× ■ハクサイ・キャベツの根こぶ病対策と土づくり 前年夏にヘイオーツ ◎∼∼∼◎ = = = = = = = = = =× × × × 翌年にハクサイ ◎∼∼∼◎ 土壌保全 貴重な表土を風害より保全します。美しい花は環境美化にもつながります。 アンジェリア:ハゼリソウ(紫)、キカラシ:シロガラシ(黄)、くれない:クリムソンクローバ(深紅色)、デルソーレ:ヒマワリ(黄) 翌年にキャベツ ▽∼∼∼▽ 定植 防風作物・隔離作物 園芸作物の防風やタネバレイショの隔離作物として最適です。 とちゆたか(エンバク)、R−007(ライムギ) 緑肥の作付体系 ■野菜の土づくり ■タマネギ畑の土づくり 緑肥作物導入の方法を紹介します。輪作体系を確立させる緑肥だけでなく、さまざまな作型や条件に応じた品種群が用意さ れています。 現在北海道で最も多いタイプは小麦収穫後の後作緑肥です。これは小麦を8月上旬までに収穫、麦稈を処理し、8月中旬には辛神・キカラシ・ まめ助・まめゆたか(8月下旬まで) ・ヘイオーツ・デルソーレ(できるだけ早く:7月下∼8月頭)を播種するタイプで、生育日数は降霜まで の約2ケ月、生収量で2∼4トン/10アールを確保できます。 主として生産物が過剰な場合や新墾地、また病害や有害線虫が多発した場合に緑肥を導入する方法で、1年間主作物を休んではるかぜ(ア カクローバ)、トウモロコシ、つちたろう(ソルゴー)、ねまへらそう(スーダングラス)を栽培します。この休閑緑肥は粗大有機物の確保が 可能で、ソルゴーやトウモロコシでは約6トン/10アール以上の有機物(生草収量)を確保できます。 R−007 ◎∼∼∼◎ = = = = = × × × × 播種量を20㎏と多めに、簡易耕起を検討する。 ヘイオーツ ◎∼∼∼∼◎ = = = = = = = × × × × ヘイオーツ ◎∼∼∼◎ = = = = = = × × × × つちたろう・トウモロコシ・ねまへらそう・デルソーレ ◎∼∼∼∼◎ = = = = = = = = = =× × × × 小麦 ◎∼∼∼◎ ねまへらそうはキタネグサレセンチュウを抑制 ■バレイショの隔離と防風作物 休 閑 緑 肥( 短 期 ) 春播きの休閑緑肥は栽培期間が50∼60日前後で、主作物を栽培する前の有害線虫防除(ヘイオーツ)や、短期で有機物を鋤き込んだり、景 観美化(アンジェリア・キカラシ・くれない・デルソーレ)を目的に用います。 タマネギ ▽∼∼∼▽ つちたろう・ねまへらそう・トウモロコシ・はるかぜ ◎∼∼∼∼◎ =======================×××× ■小麦の休閑緑肥 休 閑 緑 肥( 長 期 ) ヘイオーツ ◎∼∼∼∼◎ = = = = = = × × × × 秋野菜 ◎∼∼∼∼◎ 定植 ■遊休地の土づくり 後作緑肥 春野菜 ◎∼∼∼◎ ヘイオーツ ◎∼∼∼◎ = = = = = = = = × × × × 種子バレイショ ▽∼▽ とちゆたか ◎∼◎ = = = = = = = = = = = = = = = ▲ ▲ 隔離作物 ■キャベツへのドリフトガードクロップ 間作緑肥 刈倒す キャベツ ▽∼∼∼▽ 定植 とちゆたか ◎∼◎ = = = = = = = = = = = = = = ▲ ▲ 間作緑肥とは主作物の畦間に緑肥を中播きし、主作物の収穫により、地上部が明るくなってから緑肥が生育するタイプで、小麦に対する はるかぜ(アカクローバ)の間作がポピュラーです。 ドリフトガード効果 刈倒す つちたろう、ねまへらそう ◎∼∼◎ = = = = = = = = = = = = = = = = = = ▲ ▲ ハウスへの緑肥 ドリフトガード効果 ハウスでは線虫対策や過剰塩類の除去を目的として、主作物を休閑してつちたろう、ねまへらそうを2ケ月程度導入します。 ■ホウレンソウの萎凋病対策に 越冬緑肥 夏作物収穫後にライムギのR−007を播種、越冬させ、翌春の土壌侵食の防止や有機物確保を目的とします。 4 辛神 ◎∼∼∼∼◎ = = = = × × × × 灌水、ビニール被覆 5 ホウレンソウ ◎∼∼∼◎ 刈倒す " Q1 緑肥作物質問コーナーQ&A Q3 緑肥作物を鋤き込むと、土壌の物理性(土壌がフカフカになり団粒が形成される)、化学性(保肥力が増し、鋤き込まれた肥料成分に より、土壌が肥沃化される)と生物性(菌の種類が多様化する)が改善されると言われています。一般に肥料的な効果をすぐ期待するに はクローバやまめ助のようなマメ科緑肥が良く、物理性を改善するには炭素率(C/N比)が高いイネ科緑肥が適しています。ヘイオー ツを2作栽培し(休閑緑肥)、その後にジャガイモを栽培、その収量を比較しましたが、連作区に比べイモが大きくなり、1∼2割の多収 となりました。 最近、線虫の被害が甚だしく、困っています。 その生態と有望な対抗作物はありますか? 線虫は土壌微生物の一種で、体長は1mm内外、顕微鏡でないと見えません。一般には春になると卵から孵化し、作物の根に侵入し て脱皮を繰り返し、成長し、成虫になります。土の中には有機物を分解する有益な線虫の方がはるかに多いのですが、農薬の施用はこ れらの有益な線虫も死滅させてしまいます。作物を加害する線虫には口針があり、これで作物の根に侵入し養分を吸収しながら成長 します。このため細胞が破壊されたり、肥大したりします。外観的症状としては作物の根部にシミやコブが形成され、商品化率が低下 します。道内で問題になっている主な有害線虫と対抗作物は以下の通りです。 線虫の種類 被害作物 キタネグサレセンチュウ キタネコブセンチュウ サツマイモネコブセンチュウ ダイズシストセンチュウ ジャガイモシストセンチュウ ダイコン、ニンジン、ゴボウ、ナガイモ ニンジン、ゴボウ トマト、キュウリ、セロリ(施設ハウス) ダイズ、アズキ バレイショ 緑肥作物の増収効果について教えて下さい。 対抗作物 ヘイオーツ、アフリカントール ヘイオーツ、イネ科作物 つちたろう はるかぜ、くれない ジャガイモ抵抗性品種で対応 4000 ジ ャ ガ イ モ 収 量 ︵ kg / 10 a ︶ 112 3500 117 3000 100 2500 2000 1500 清里町 1000 大樹町 500 0 ジャガイモ ヘイオーツ ジャガイモ ヘイオーツ 連作 休閑緑肥 連作 休閑緑肥 図2.ヘイオーツ休閑緑肥導入後の後作ジャガイモ収量(雪印種苗 1999) Q4 ジャガイモ連作 ヘイオーツ栽培後のジャガイモ(大樹町) 塩類濃度(1:2.5)ms/cm 0.5 1.0 1.5 10 層 位 ︵ cm 20 ︶ ダイコンのキタネグサレセンチュウの被害 ヘイオーツ→まめ助 ハウスで連作が続き、ECが高く、最近は線虫も心配です。 なにか良い作物はありませんか。 0 キタネグサレセンチュウ 大 樹 100 30 イネ科作物 2 たん水100 /m 無処理 施設ハウスでは肥料のやりすぎにより、作物に吸収されない肥 料成分が過剰な塩類として土壌に集積、ECが特に高くなり、塩基 飽和度が100を超え、作物の生育が悪くなり、大きな問題になっ ています。このような場合、ソルゴーの「つちたろう」、スーダング ラス「ねまへらそう」や暖地型牧草の「ソイルクリーン」を導入し、 これら過剰の塩類を吸収させ、ハウスの外に搬出させると、土壌 中の塩類濃度は明らかに低下します。これをクリーニングクロッ プと言います。 「つちたろう」と「ソイルクリーン」は施設ハウスで 問題になるサツマイモネコブセンチュウの対抗作物です。 図3.クリーニングクロップによるハウス土壌の除塩効果 (愛知県農総試 園研) ニンジンのキタネコブセンチュウの被害 Q2 トマトのサツマイモネコブセンチュウの被害 畑作物の連作により土壌病害が多発して困っています。緑肥作物で防除できますか? 大変、難しい質問です。土壌病害は病原菌が土壌中に生息するため、防除が極めて困難な病害で、一度発生すると慢性的被害が続き ます。緑肥の鋤き込みは土壌の物理性を改善したり、輪作体系を確立して、菌の種類を多様化することにより長期的防除法の確立には 有効と思われます。北海道農業フロンティア研究会で元北海道大学の小林教授によりヘイオーツがアズキ落葉病を抑制する成績が発 表され、着目されました。この作用機作は当社を含めて現在研究中ですが、アズキ落葉病の効果的な防除対策として、ヘイオーツが実 用化されれば北海道のアズキ生産に大きく貢献するものと思います。11ページにその成績を纏めました。 400 Q5 緑肥作物の栽培方法のポイントを教えて下さい。 緑肥作物の多くは短期で多収を狙うため、種子が大きく、播種量も多めになっています。ヘイオーツ・キカラシ・まめ助のようなもの は散播が原則で、ロータリーやデスクで整地後、ブロードキャスターやドリルで播種、その後必ず軽い覆土を行い、鎮圧します。キカラ シのように種子量が2kg/10aと少ないものは肥料と混ぜて播種するときれいに播けます。一般に覆土は種子の厚さの3∼5倍が適切 で、アンジェリアやソイルクリーンのような種子が細かいものはレーキで土と混ぜるだけで十分です。施肥量は各品種の栽培ポイン トを参照してください。 アカクローバ:はるかぜの間作緑肥では覆土が出来ないので発芽率が50%前後となります。そのため、播種量を多めに設定してく ださい。トウモロコシは通常のコーンプランターで条播し、除草剤を散布します。ハウスにソルゴーの「つちたろう」やスーダングラス 「ねまへらそう」、 「ソイルクリーン」を導入する場合、ビニールを外さず、灌水後なるだけ高温にして下さい(適温:25∼30℃)。 鋤き込みはプラウかロータリーで行います。出来れば分解を考えるとチョッパーで細断し、プラウで鋤き込み、その後2∼3回程度 のロータリーで整地を行うときれいな播種床が確保されます。 3.0 350 2.5 300 収 量 ︵ 250 g / 200 3 2 m 150 ︶ 2.0 アズキ収量 発病指数 1.5 発 病 指 数 1.0 100 0.5 50 0 アズキ連作 ヘイオーツ導入 0 図1.ヘイオーツ導入によるアズキ収量と発病指数の変化 (帯広市大正試験圃場 北大 1997) アズキ落葉病に対するヘイオーツの効果 (手前がアズキ連作区、奥がヘイオーツ栽培区。帯広市大正試験圃場) 6 播種 鋤き込み 7 Q6 緑肥作物の分解と腐熟期間について教えて下さい。 0 土壌中に鋤き込まれた緑肥作物はまず糖類→セル ロース→リグニンの順に分解されます。この糖類の 分解はピシウム菌によって行われるため、鋤き込み 後すぐ播種すると、後作に発芽障害が起きます。その ため、後作は分解が落ち着いた3∼4週間後に播種す べきで、この期間を緑肥の腐熟期間と言います。 3 7 13 20 ≠ + エンバク ≠ + − + + テンサイ ≠ + − +:障害発生 −:発生なし 図4.アカクローバ鋤き込み後の後作物の障害発生(沢田 1969) Q7 緑肥の炭素率と後作のチッソ飢餓について教えて下さい。 表1.各種有機物の炭素率(C/N比)(雪印種苗 1994) 堆厩肥を含めて、有機物の分解速度は炭素とチッ ソの比率(炭素率:C/N比)で決まります。最も分解が 早く肥効が期待できるのは炭素率が10∼20のアカ クローバ・まめ助・堆厩肥等です。逆に炭素率が30を 超える、出穂したトウモロコシやソルゴーでは翌年 の肥効の期待は難しく、むしろ土壌中のチッソがこ の分解に使われてしまいます。そのため、後作にチッ ソ飢餓が生じ、生育不良となります。これらの作物で は鋤き込み時に硫安や石灰チッソの施用を行います。 Q8 作物:C/N比 作物:C/N比 作物:C/N比 作物:C/N比 トウモロコシ:44 エンバク:28 アカクローバ:15 レンゲ:9 ヘイオーツ:18 キカラシ:21 まめ助:12 クリムソンクローバ:16 ソルゴー:51 秋小麦桿:72 クロタラリア:46 イタリアンライグラス:18 ビートトップ:21 堆厩肥:14 いなわら:61 モミガラ:100 注:いくつかの成績を集めて作成したため、目安とされたい。 緑肥作物の減肥量について教えて下さい。 炭素率が30以下の緑肥作物を鋤き込むと後作の肥料(チッソとカリ)の減肥が出来ます。翌年のチッソの放出は全体の3割程度で、そ の肥効は3年目の春まで続きます。その量は鋤き込まれる緑肥の収量と炭素率によって決まりますが、この基準を示しました。逆にこれ を行わないと作物が出来すぎて、テンサイでは糖度が落ちる事がありますので注意して下さい。 ①チッソの減肥:ヘイオーツを栽培し、生収量で5トン、乾物収量で500kg/10aを確保、炭素率が20であれば(未出穂)、その減肥量は3㌔ になります。一方、まめ助では生収量:3トン、乾物収量で300kg/10aでも、炭素率が12と低いため、10で計算すると8㌔にもなりま す。 ②カリの減肥:カリについては土壌診断を行い、決定します。 全体に多めだと思いますので、注意してください。 表2.緑肥鋤き込み後の後作物のチッソ減肥可能量 (北海道農政部 2004) 緑肥の乾物収量(kg/10a) 緑肥のC/N比 (T・N%) 200 400 600 800 10(4.0−4.4) 5.5 11.0 16.0 − 15(2.7−2.9) 2.5 5.0 7.5 9.5 20(2.0−2.2) 1.0 2.5 3.5 4.5 25(1.6−1.8) 0.5 1.0 1.5 2.0 表3.緑肥の鋤き込みに伴う後作へのカリの施肥対応 (北海道農政部 2004) 区分 基準値以上 基準値 基準値以内 交換性カリ (mgK2O/100g土) 施肥対応 緑肥に含まれるカリの80%を評価、 減肥する。 緑肥へのカリ施用量の80%を評価、 15以上∼30未満 減肥する。 30以上 15未満 緑肥に含まれるカリは評価しない。 後作にテンサイ・バレイショが作付けされる場合は、基準値以内 であっても、緑肥に含まれるカリを評価して減肥する。 減肥量は各々に含まれるカリの80%とする。 表4.各種緑肥作物の鋤き込み特性と北海道における減肥可能量 作物タイプ 収量 チッソ 炭素率 生(kg/10a) 乾物(kg/10a) 飢餓 放出時期 減肥可能量 チッソ カリ kg/10a 注 3,500∼5,000 3,000∼4,500 400∼600 350∼550 15∼25 12∼20 無 無 当年秋又は翌年春∼ 翌年春∼ 2∼5 4∼6 0∼6 0∼6 全道 全道 ヘイオーツ 休閑又は前作 後作 3,500∼5,500 2,500∼4,000 500∼800 400∼600 20∼30 15∼25 無* 無 翌年春又は夏∼ 翌年春又は夏∼ 0∼4 0∼4 0∼4 0∼4 全道 全道 エンバク 休閑 後作 3,500∼5,500 2,500∼4,000 500∼700 400∼800 20∼30 15∼25 無* 無 翌年春又は夏∼ 翌年春又は夏∼ 0∼4 0∼4 0∼4 0∼4 全道 全道 300∼550 11∼15 無 翌年春∼ 5∼6 0∼4 全道 400∼700 120∼300 13∼16 10∼13 無 無 翌年春∼ 翌年春∼ 6∼8 2∼4 0∼4 0 全道 全道 翌年春又は夏∼ 0∼4 0∼8 細断・鋤き込み 翌年夏∼ 翌年春∼ − 0 0∼4 − 0∼8 細断・鋤き込み 0∼6 細断・鋤き込み − 無施肥・刈出し 当年秋又は翌年春∼ 翌年春∼ 1∼3 2∼4 0∼6 0∼6 ソルゴー 4,000∼6,000 600∼800 20∼30 無∼有 休閑 (秋まき小麦前作) 6,000∼8,000 800∼1,400 30∼45 有 休閑 3,000∼8,000 400∼1,400 20∼40 無 ハウス − − − 有 ハウス(除塩用) 辛神 休閑 後作 2,000∼3,000 2,000∼4,000 200∼400 200∼400 10∼20 10∼20 無 無 注:北海道緑肥作物等栽培利用指針(2004)を参考に作成 注:辛神は雪印種苗(株)北海道研究農場 2009∼2011年調べ (エンバク野生種) 根 物 作 物 の 有 害 線 虫 対 策 に 抜 群 !! キ タ ネ グ サ レ セ ン チ ュ ウ 対 抗 作 物 キカラシ 休閑又は前作 後作 アカクローバ 2,500∼4,000 休閑 (秋まき小麦前作) 3,000∼4,500 休閑 1,000∼2,000 間作 Hayoats ヘイオーツ 全道 全道 * (C/N比30以上の場合 有) 平 成 3 年 北 海 道 普 及 奨 励 事 項 ヘイオーツの特性 ●エンバクの野生種です。 ●ダイコン・ニンジン・ゴボウ・ナガイモ等の大敵:キタネグサレセンチュウ を退治します。 ●ニンジン・ゴボウ等の大敵:キタネコブセンチュウを抑制し、 被害を少なくします。 ●ジャガイモそうか病、アズキ落葉病、バーティシリウム病、アブラナ科野菜 類根こぶ病等の被害を軽減します。 ●緑肥用エンバクに比べ分けつが多く、茎葉豊富で極多収。 ●出穂が遅く、炭素率が低いため、鋤き込み後の分解が早い。 ●種子が小さく、栽培が容易です。 栽 培 の ポ イント Q9 後作物との組み合わせで注意が必要な緑肥作物はありますか? ヒマワリはバーティシリウムの宿主になるので、発生地域で栽培しないで下さい。また、そうか病を助長する恐れがあるため、ジャガ イモ前作にキカラシを栽培しないで下さい。 8 ■播種量 10∼15kg/10a(線虫対策には15kg/10a) (9月播種は20kg/10a) ■播種期 4 月下∼ 6 月中旬(春播き)7 月下∼ 8 月中旬(夏播き) ■鋤き込み時期 播種後 50 ∼ 60 日後 ■施肥量 N:5、P:5、K:0 ∼ 5kg/10a ●軽い覆土と鎮圧を行なってください。 ●夏播きで多収を狙うにはお盆前播種がポイントです。 9 プラウによるヘイオーツの鋤き込み ヘ イ オ ー ツ で 有 害 線 虫 を 退 治 し よ う !! 線虫の生態と作用機作 ヘイオーツの栽培・鋤き込みで 土壌病害の被害を軽減しよう 試験成績の紹介 200 ●道内において根菜類で最も問題になっているのはキ タネグサレセンチュウです。土壌中で越冬した成虫 及び幼虫が作物の根に侵入、そこで作物の組織内を 移動して、生活します。雌成虫は組織内に卵を生み、 これから孵化した幼虫は加害を続けます。その後作 物の組織が死ぬとここから土壌中に脱出します。こ の線虫が寄生して加害した場所は黒褐色のシミ状に なり、商品化率を低下させます。 ●ニンジン・コボウ等に被害を与えるキタネコブセン チュウが作物の根に侵入すると、甚だしい奇形とコ ブを形成します。このコブから多くのヒゲ根が出て 分岐根となり、商品価値が低下します。ヘイオーツ はイネ科作物で、この線虫が寄生しないため、栽培 後線虫密度が激減します。 ●ヘイオーツはキタネグサレセンチュウを根に侵入さ せますが、その後生育が抑えられ、成虫にならない ため、卵ができず、その増殖を抑えます。線虫密度 は当初の頭数の10%程度まで低下します。この効 果はダイコン2作まで持続します。 土 壌 中 の 線 虫 密 度 ︵ 100 % ︵ ︶ ※ ︶ ダイコン 連作 緑肥用 エンバク (※※) マリー ゴールド ヘイオーツ 0 5/18 6/4 (緑肥播種) 6/20 7/2 7/14 7/18 8/8 (夏ダイコン播種) (緑肥鋤き込み7/16) (※)播種時の値を100とすると、ヘイオーツは線虫密度を低下させているのが分かる。 (※※)緑肥用エンバクは6/20∼7/14の間、土壌中の線虫密度が減少しているが、実際 には根中への寄生量が多く線虫を増殖させる。 図5.土壌中の線虫密度の時期別推移(中央農試 1990) 100 100 100 ダ イ コ ン の 商 50 品 化 率 ︵ % ︶ 線 虫 密 度 及 び 50 ネ グ サ レ 指 数 100 線虫密度 (※) 栽培上の注意点 0 0 ●栽培のポイントは線虫の侵入する根系を十分発達 させる事、また雑草等の根に線虫が寄生するとこ こで増殖するため、雑草のないきれいなヘイオー ツの畑を作ることです。 ●栽培日数は50∼60日を基準とします。栽培期間を 検討した試験によると、春播きでは50日でダイコ ンの商品化率が8割、夏播きでは100%の結果が得 られ、60日では十分な収量と100%の商品化率が得 られています。 ●春播きで後作を栽培する方は必ず3∼4週間の腐熟 期間を設けて下さい。 100 ネグサレ指数 (※※) ヘイオーツ マリーゴールド 0 緑肥用 エンバク 裸地 (※)緑肥用播種(5/18)の線虫密度を100としたときの収穫時 (10/16) の値 (※※)0:被害なし∼100:被害甚 図6.春播きヘイオーツ跡地のダイコンの被害程度(中央農試 1990) 100 100 100 ネグサレ程度 85 商品化率 ●本病に罹病したアズキは下位葉から落葉し、着莢や 子実の肥大が不良となるため、収量が低下します。 本病はキタネグサレセンチュウ、ダイズシストセン チュウが多い圃場で発病が助長されることが知られ ており、抵抗性品種を侵すレースの存在が知られて います。 ●秋播き小麦の後作に各種緑肥を夏播きで導入、翌年 にアズキを栽培して発病程度を比較したところ、ヘ イオーツ跡の被害程度が軽くなり、アズキの収量も 約1割多収となりました。 % 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 ダイコンバーティシリウム黒点病 ●バーティシリウム病菌は多犯性の病原菌として知ら れ、宿主範囲が広いことが特徴です。また、植物寄 生性線虫の存在(特にネグサレセンチュウ)により 発病が助長される例も報告されています。 ●当社ではヘイオーツに着目、栽培と鋤き込みにより 病原菌であるバーティシリウム・ダーリエの微小菌 核(休眠体)密度が低下することがわかり、現地試 験でもヘイオーツの導入により微小菌核密度の低下 とダイコン黒点病の発病率も低くなることが確認さ れています。 120 無栽培 ヘイオーツ シロガラシ ベッチ類 100 ヒマワリ 罹病個体率 初 期 密 度 対 比 ︵ % ︶ 図8.緑肥作物の違いによるアズキ落葉病発病軽減効果 (雪印種苗 士幌町 2001) ジャガイモそうか病 60 50 46 36 33 40日 20kg 40日 30kg 26 50日 15kg 50日 20kg 60日 15kg ※キタネグサレセンチュウ発生圃場におけるヘイオーツの栽培期間・播種量と後作 ダイコンのネグサレ程度・商品化率との関係(夏播き 1997) 図7.夏播きヘイオーツの栽培日数と被害程度 ポット 品種 発芽 率 % ヘイオーツ 線虫 の推移 % 圃場試験 生収量 Kg/10a 倒伏 % 前作 線虫 ダイコン の推移 の被害 % % 100 1.4 4,900 40 38 36.3 他品種A 98 6.8 5,325 70 78 46.3 他品種B 78 4.1 4,250 35 55 50.0 他品種C 88 5.4 − − − − 他品種D 98 9.5 − − − − 127.0 − − − − 裸地区 収量 kg/10a 比 発病軽度 収量1 比 kg/10a 80 60 40 20 ●塊茎表面にあばた状の病斑を生じ外観品質が低下す るため、特に生食用では商品価値を失います。 ●当社のスクリーニング試験では緑肥の種類により発 病軽減効果が異なり、中でもヘイオーツ2作栽培で 安定した発病軽減効果が得られました。 ●さらにこの効果は道内の試験場でも認められ、緑肥 の利用を含めた総合的なそうか病対策として、平成 16年北海道の普及堆進事項となっています。 0 無栽培 ヘイオーツ 鋤き込み2週間後 鋤き込み4週間後 図9.ヘイオーツ栽培・鋤き込みによるバーティシリウム病菌の低減効果 (雪印種苗 2004) 35 30 発菌 病核 率 ︵数 ︵ %個 ︶/ g 乾 土 ︶ 表6.ヘイオーツ休閑緑肥利用跡のジャガイモそうか病の抑制効果と収量 (雪印種苗 士幌町 2002) 表5.他社類似品種との比較(石狩南部普及センター 1995) 10 ●本病はキャベツ、ハクサイ、ブロッコリーなどのア ブラナ科野菜に発生して甚大な被害をもたらします。 ●岩手県農業研究センターでは、ヘイオーツをおとり 作物として栽培すると、土壌中の病原菌の胞子の密 度が低下することを明らかにしています。 ●ただし、根こぶ病対策で利用されるフルスルファミ ド剤は病原菌の発芽を阻害する作用があるため、前 作で使用されていた場合にはおとり作物の機能が十 分発揮されない可能性があるので、留意する必要が あるとされています。 アズキ落葉病 褐変率 100 90 ネ 80 グ サ 70 レ 程 60 度 ・ 50 商 品 40 化 30 率 ︵ % 20 ︶ 10 0 アブラナ科野菜類根こぶ病 一度発生すると防除が困難な土壌病害…。 へイオーツを利用することで、 これらの被害を軽減し、 従来の有機物効果で土づくりにも貢献します。 キタネグサレ センチュウ密度2 頭/25g土壌 25 20 15 10 ヘイオーツ 4,098 115 1,813 123 2 5 緑肥用エンバク 3,392 95 1,272 86 71 0 ダイズ 3,552 100 1,477 100 155 ジャガイモ 3,648 103 948 64 49 ヘイオーツ春作 ヘイオーツ春+夏作 発病率 ジャガイモ後作 微小菌核数 図10.ヘイオーツによるダイコンバーティシリウム黒点病の抑制効果 (旧南羊蹄農業改良普及センター 2005) 1:発病程度の軽いジャガイモ収量。 2:ジャガイモ収穫時 ヘイオーツを導入して、キタネグサレセンチュウと バーティシリウム菌の密度を併せて低減させましょう。 11 新発売 Biofumigation Cropとは アブラナ科の緑肥には辛味の成分:グルコシノレートが含有され、これが土壌中に細断・鋤き込ま れるとイソチオシアネートというガスを生じます。このガスは土壌中の病原菌や有害線虫を減らすこ とが知られており、鋤き込むことで病害虫の被害軽減を期待する作物です。 従来のアブラナ科緑肥「キカラシ」よりも有効成分を豊富に含んでいます。もちろん、緑肥ですの で有機物の供給にもなります。 辛 栽 土 軽 Karajin 発病指数:0 4 基部に黒褐色の病斑が形成され、ついで株全体の 葉柄に病斑が拡大、葉がしおれて倒伏・枯死しま す。後期には地下部の病斑が黒褐色の乾腐症状を カラ 示し、表面から亀裂を生じて腐敗します。 ジン 辛神 ●秋播き小麦後作に辛神を播種する場合には、麦 (チャガラシ) 辛神 1 5 2 写真1.後作テンサイの根腐病発病程度(左:無処理、右:辛神導入区、 雪印種苗(株)北海道研究農場、2010年)発病指数0:ほぼ健全∼5:枯死 収穫後できるだけ早く播種作業を行い、生育量を 確保することがポイントです。麦収穫後、播種前 品種登録 申請中 ■播種期 露 地 5 月(春播き)、 8 月(夏播きはできるだけ早めに) ハウス 2∼ 4 月、8 月 ■播種量 1.0 ∼ 1.5kg/10a(コート種子) ■播種方法 散播 ■施肥量 NPK で各 8 ∼ 10kg/10a前後 (ハウス等残肥が多い場合は無施肥) ■鋤き込み時期 着蕾∼開花始の茎葉部の多い時期 栽培上の注意 無処理 辛神 テンサイ根腐病 ●テンサイに発生する病害で、最初に数本の葉柄 栽 培 の ポ イント 3 の ・鋤き込みで 病害の被害を しよう テンサイ根腐病 Biofumigation Crop 無処理 神 培 壌 減 ●周囲にアブラナ科野菜がある場所は、栽培を避けてくだ さい。 ●鋤き込み時にはチョッパーなどでできるだけ細断、細断 後はできるだけ早めに鋤き込んでください。 ●アブラナ科野菜類根こぶ病発生圃場では、ヘイオーツに 切り替えてください。 ●ハウスで利用する場合は風通しをよくして鋤き込みを行 い、細断・鋤き込み後に十分に灌水してからビニール被 覆すると効果が安定します。 播種後のローラーによる鎮圧 に堆肥散布を行う、あるいは肥料を若干増量する と肥料切れになりにくくなります。播種後の覆土 はケンブリッジローラーのみあるいはロータリー の浅がけとして播種深度が深くならないように気 をつけましょう。 ホウレンソウ萎凋病 ●ホウレンソウの本葉が展開する頃から収穫まで 発症し、罹病すると萎凋して下葉は枯れ、生育が 不良になります。夏季や初秋における高温下で多 ハウスにおける辛神の鋤き込み く発生するカビによる病害です。 ●鋤き込みはできるだけ細断したほうが望ましい ですが、難しい場合はロータリーの2回がけで土 壌になじませてください。辛神鋤き込み時に十分 な灌水をしてシートで被覆、約2週間程度腐熟さ せてシートを除去、さらに1∼2週間放置します。 鋤き込み後は殺菌されていない土(下層土)が混 ざらないよう、できるだけ簡易耕起栽培にしてく ださい。 鋤き込み後の灌水 写真2.後作のホウレンソウ萎凋病発生程度 (左:無処理区、右:辛神栽培区、雪印種苗(株)技術研究所、2010年) 12 13 Mamesuke まめ助 (ベッチ類) イ ネ 科 同 士 の 連 作 を 回 避 し 、 地 力 増 進 に 最 適 !! まめ助の特性 ●ベッチの中でも生育が旺盛。 ●夏播きでも緑肥用エンバクと大差ない生収量(3∼4トン) が確保できます。 ●小麦後作のマメ科作物の導入によりイネ科同士の連作を 回避できます。 ●アズキ粒大の豊富な根粒菌が空中チッソを固定し、土壌 を肥沃化します。 ●緑肥用エンバクに比べ分解が早く、肥効が即効的です(チッ ソで6∼8kg/10aの減肥ができます。) ●豊富なカルシウムやマグネシウム等中身が濃い緑肥作物 です。 ●土壌の被覆が早く、雑草抑制や表土の流亡防止に役立ち ます。 まめ助の分析結果 表7.まめ助の成績 (雪印種苗 1993)8/5∼10/28 まめ助 エンバク アカクローバ 品種 4,789 4,393 615 Kg/10a 生収量 109 100 14 % 461 787 94 Kg/10a 乾物収量 59 100 12 % 16.5 11.1 3.8 Kg/10a チッソ収量 149 100 34 % 3.59 1.41 4.04 チッソ 1.10 0.29 1.68 Ca 0.42 0.22 0.32 P 含有率 0.23 0.30 0.11 Mg 3.18 2.14 2.89 K 12.6 32.1 11.6 C/N比 Tochiyutaka 栽 培 の ポ イント ■播種量 5kg/10a ■播種期 5月上旬∼6月中旬、7月下旬∼8月中旬 ■鋤き込み時期 栽培後50∼60日後 ■施肥量 N:2∼5、P:5、K:0∼5kg/10a とちゆたか (エンバク) 種 バ レ イ シ ョ の 隔 離 作 物 と し て 最 適 !! とちゆたかの特性 ●初期生育が良好な中生エンバクです。 ●耐病性、耐倒伏性に明らかに優れる直立性エンバクです。 ●出穂が緑肥用エンバクより1週間遅いため、春播きでタネ バレイショの隔離に使っても翌年、自生のエンバクが少ない。 ●カボチャの畝間に敷ワラ緑肥として最適です。 ●テンサイ直播栽培の防風、防砂対策に利用できます。 栽培のポイント ■播種期 4月下旬∼6月中旬、7月下旬∼8月中旬 ■播種量 15kg/10a ■施肥量 N:4∼6、P:5∼10、K:0∼5kg/10a ●必ず覆土・鎮圧を行ってください。 Mameyutaka まめゆたか 8月中∼下旬でも播種できる マメ科緑肥の混播セット 直 立 性 の エ ン バ ク : と ち ゆ た か と ま め 助 と の セ ッ ト で す 。 まめゆたかの分析結果 ●まめ助:5、とちゆたか(エンバク) :3kg/10aの混播セット です。 ●8月中∼下旬でも播種できます。 ●まめ助単播に比べ、3∼5割多収が得られます。 ●まめ助が耐倒伏性に優れるとちゆたかに絡まり、草姿が立 性になるため、鋤き込み易くなります。 栽 培 の ポ イント ■播種量 8kg/10a(20アール分で16㌔包装です) ■播種期 5月上旬∼6月中旬、7月下旬∼8月下旬 ●その他はまめ助に準じます。 カボチャの敷ワラ緑肥の導入方法 ●まず早春にとちゆたかを全面に播種します。 ●ベッドを張り、定植する時点でそこの部分のみ帯状にロー タリーをかけます。 ●蔓が出てきてから畝間のとちゆたかを刈り捨てるかロー タリーで耕起します。 14 16 1,150 まめゆたかの特性 1,100 1,050 糖 量 ︵ kg 1,000 / 10 a ︶ 950 糖量 糖分 117 15 糖 14.5 分 ︵ % ︶ 107 100 14 107 13.5 900 まめ助+エンバク減肥区は 後作ビート糖度も高く最多収を示しています。 減肥を心掛けましょう。 15 15.5 間作 間作 アカクローバ アカクローバ 慣行区 減肥区 まめ助 + エンバク 慣行区 まめ助 + エンバク 減肥区 図11.まめゆたか栽培後のビートの収量(北見普及所 1998) R-007 Tsuchitarou つちたろう (緑肥用ライムギ) 秋 播 き 緑 肥 の 決 定 版 !! (緑肥用ソルゴー) 土 壌 流 亡 お よ び 有 害 線 虫 対 策 と 土 づ く り に !! サツマイモネコブセンチュウ対抗作物 北 海 道 指 導 参 考 事 項 !! 成績紹介 R−007の特性 ●従来のライムギと比べて、越冬利用でネグサレセンチュウ 密度を減らします。 ●秋遅くなっても利用できる越冬タイプのイネ科緑肥です。 ●越冬利用で、早春の土壌流亡を抑制します。 ●9月播きであれば、エンバクよりも生育が旺盛です。 つちたろうの特性 ●ソルゴーとしては低温での発芽、初期生育が良好!! ●道内では出穂しない晩生種で、鋤き込み易く、土壌 中での分解が早い。 ●生草収量で7∼8トンの粗大有機物を鋤き込めます。 ●トマト、キュウリの大敵:サツマイモネコブセンチュ ウを抑制!!(北海道指導参考事項) ●ハウスの塩類集積除去としてクリーニングクロップ に最適!! ●遊休地の休閑利用でキタネコブセンチュウも退治!! R−007 成績紹介 100 90 100 栽培日数 92 80日 80 ネ コ 70 ブ 程 60 度 50 40日 40 栽 培 の ポ イント 30 ■播種量 5kg/10a ■播種期 露地は6月∼7月、 ハウスでは5月∼8月の随時 ■施肥量 原則としてハウスは無施肥、 露地はN:8∼10、P:8∼12、K:0∼10kg/10a 33 20 栽 培 の ポ イント ■播種量 15kg/10a ■播種期 8月下旬∼9月上旬(年内利用)、 9月中∼下旬(越冬利用) ■施肥量 N:4∼6、P:5∼10、K:0∼6kg/10a ●必ず覆土と鎮圧をしてください。 ●鋤き込みはプラウなどでしっかりと鋤き込んでください。 ※種子は低温、低湿場所に保管してください。特にライムギは発芽が低下しやすい草種のため、 常温・多湿条件での保管は避けてください。 10 0 0 0 0 8 無栽培 つちたろう ソイルグリーン ネコブ程度 図12.つちたろう栽培後の後作トマトのサツマイモネコブセンチュウの被害程度 (雪印種苗 1996) 0 トマト Nemaherasou ねまへらそう (スーダングラス) 有 機 物 供 給 と 休 閑 利 用 で の 線 虫 対 策 に 最 適 !! ねまへらそうの特性 栽培のポイント ●キタネグサレセンチュウをヘイオーツに準じて減らし、 ソルゴーやトウモロコシに代わる線虫対抗作物です。 ●休閑利用でバーティシリウム病菌の密度を低下させます。 ●小麦休閑利用でトウモロコシやソルゴー並みに乾物で 約1㌧と多収です。 ●耐倒伏性、耐病性に優れます。 ●無施肥栽培で、塩類集積ハウスのクリーニングクロッ プとしても利用できます。 ●夏場の農薬飛散ガード作物として利用できます。 16 ■播種期 5∼8kg/10a ■播種期 6∼7月(露地)、5∼8月(ハウス) ■施肥量 ハウスは残肥を利用、 露地はN:6∼10、P:6∼10、K:0∼10kg/10a ●必ず覆土と鎮圧をしてください。 17 卵率(%) 25 20 15 10 5 0 R−007 他品種A 他品種B 初期密度は66頭/20g土壌 ※R−007は他社品種に比べて卵率が低く、線虫抑制に効果を発揮します。 図13.2カ月栽培したライムギ根内のキタネグサレセンチュウ卵率の比較 (雪印種苗 2008) Kikarashi キカラシ (シロガラシ) 生 育 旺 盛 ・ 短 期 で 極 多 収 な 景 観 緑 肥 !! き れ い な 黄 色 い 花 と 短 期 ・ 極 多 収 で 秋 播 き 小 麦 の 後 作 緑 肥 に 最 適 !! キカラシの特性 栽培方法と注意点 ●発芽・初期生育が良好!! ●播種後50∼60日で黄色い花を咲かせ景観緑肥として 大好評!! ●お盆を過ぎるとエンバク以上に収量性に優れ、有機物 の確保に最適!! ●耐倒伏性に優れる。 ●炭 素 率 が低く鋤き込み後、土壌中で速やかに分解し ます。 ●近くにアブラナ科の野菜がある場合にはヘイオーツ等 他の緑肥に切り替えてください。 ●排水不良地の栽培を避ける。 ●吸肥作物であるため、チッソを必ず施肥してください。 800 8 月下旬 9 月上旬 9 月中旬 700 草 (119) 葉 600 乾 物 500 (100) 収 量 ︵ 400 (112) kg 300 (100) (103) / 10 200 a (100) (109) ︶ 100 栽 培 の ポ イント ■播種量 2∼3kg/10a ■播種期 4月下旬∼6月中旬、7月下旬∼8月下旬 (景観利用の場合は8月上旬までの播種を お勧めします。) ■施肥量 N:5∼8、P:5∼10、K:0∼7kg/10a 0 緑肥用 キカラシ 緑肥用 キカラシ キカラシ 緑肥用 キカラシ エンバク 2kg/10a エンバク 2kg/10a 4kg/10a エンバク 4kg/10a ※( )内の数字はエンバクを100とした時の対比である。 図14.キカラシの多収性(雪印種苗 1995) Angelia アンジェリア 紫 色 の 花 が き れ い な 春 播 き 専 用 景 観 緑 肥 !! アンジェリアの特性 3 色 の お 花 畑 を 楽 しも う ! ! ●紫色の花が咲き景観緑肥に最適!! ●発芽・初期生育が良好!! ●土壌を早期に被覆し表土流亡防止や雑草を抑制します。 ●春播き専用で、エンバク以上に多収で、十分な有機物を確保 できます。 春にくれないを播種後、5日後にアンジェリアを播種し、 14日後にキカラシを播種すれば開花期が重なり、 3色同時に楽しめます。 栽 培 の ポ イント ■播種量 2∼3kg/10a ■播種期 5∼6月(春播き) (きれいに開花させるため早めの播種をお勧めします。) ■施肥量 N、P、Kで各5kg/10a くれない 栽培方法と注意点 ●種子が小粒なため、増量材として過石(20kg/10a)を使うと、 きれいに播種できます。 アンジェリア 18 (ハゼリソウ) 19 キカラシ Delsole デルソーレ Kurenai (ヒマワリ) ア ー バ ス キ ュ ラ ー 菌 根 菌 で 土 壌 中 の リ ン 酸 を 有 効 利 用 !! くれない (クリムソンクローバ) き れ い な 黄 色 い 花 で 環 境 美 化 と 土 づ く り !! デルソーレの特性 栽 培 の ポ イント ●大柄な品種で有機物の補給に最適 ●アーバスキュラー菌根菌を増殖させ、土壌中のリン酸 を有効利用できます。 ●後作にはトウモロコシ、小麦、タマネギ等の菌根菌共 生作物が適します。 ■播種量 1kg/10a ■播種期 5∼6月中旬(春播き)、 7月下旬(夏播き、道央南部のみ8月上旬まで) ■施肥量 N:4∼6、P:8∼10、K:0∼10kg/10a ●必ず覆土と鎮圧をしてください。 ●バーティシリウム半身萎凋病には強い品種ですが、発生 圃場への作付けは避け、エンバク野生種「ヘイオーツ」 に切り替えてください。 ※種子は低温、低湿場所に保管してください。特にヒマワリは発芽が低下しやすい草種の ため、常温・多湿条件での保管は避けてください。 春 、 夏 使 え る ダ イ ズ シ ス ト セ ン チ ュ ウ 対 抗 作 物 深 紅 の 花 の 一 年 生 ク ロ ー バ くれないの特性 栽 培 の ポ イント ●ダイズやアズキに被害をもたらすダイズシストセンチュ ウの密度を減らす。 ●一年生の極早生クローバ。 ●深紅の花が景観緑肥に最適!!(春播きのみ) ●根粒菌によるチッソ固定により土壌を肥沃化します。 ■播種量 2∼3kg/10a ■播種期 4月下旬∼6月中旬、7月下旬∼8月中旬 ■施肥量 リンサン、カリを主体にする。 N:3∼4、P:8∼12、K:0∼6kg/10a Harukaze ●排水不良地や小麦の間作には適しません。 ●くれないは土着の菌により根粒が形成されます。 はるかぜ 栽培上の注意点 (アカクローバ) 秋 播 き 小 麦 の 間 作 緑 肥 に 最 適 ! はるかぜの特性 ●緑肥用に開発された早生のアカクローバです。 ●緑肥用アカクローバに比べて生育が旺盛で、 極多収です。 ●根に着生する根粒菌が空中チッソを固定します。 ●深根性植物ですので、土壌の透水性が改善さ れます。 ●ダイズシストセンチュウの対抗作物です。 ●遊休地の地力対策や秋播き小麦の間作緑肥に 最適です。 小麦間作緑肥の導入方法 ■播種量 3∼4kg/10a、 小麦の間作は発芽率が落ちますので 多めにしてください。 ■播種期 4月、適 度 に 土 壌 水 分があるうちに 播種します。 ■施肥量 リンサンを5∼10kg/10a 20 100 90 80 70 残 60 卵 50 率 ︵ % 40 ︶ 30 春小麦単作 アカクローバ 間作 小麦・クローバ播種 (4/25) 小麦刈り取り(8/10) クローバ鋤き込み (4/30) 20 10 0 ジャガイモ栽培 クローバ生育大 4/21 6/16 7/27 1995年 8/30 10/9 5/1 6/1 7/1 1996年 注 線グラフは、1996年5月1日時点の卵密度を100とした密度推移 図15.アカクローバ間作によるダイズシストセンチュウ卵密度低減効果 (北海道農試 1997) 21 8/1 スノーミックス フラワー ド リ フ ト 農薬飛散ガード作物を利用する! ド リ フ ト 農 薬 飛 散 ガ ー ド 作 物 の 利 用 体 系 花 と 緑 で 美 し い 環 境 づ く り 春 ま き 一 年 草 を ブ レ ン ド し た 短 期 利 用 タ イ プ ス ミック スノー ーで フラワ 化を! 景観美 ファンタジー エレガンス ●播種時期 ●草 丈 ●開 花 期 ●播 種 量 4∼6月 約40∼80cm 7∼10月 2 1.5∼2.0g/m (わい性タイプ) ●播種時期 ●草 丈 ●開 花 期 ●播 種 量 4∼6月 約20∼40cm 7∼10月 2 2.0∼3.0g/m コスモス スーパーグラディション ●播種時期 ●草 丈 ●開 花 期 ●播 種 量 4∼6月 約50∼120cm 7∼10月 4.0∼5.0g/ml 畑作物・野菜にバイオの力を!! 闘根種子粉衣タイプ 特 長 使い方 利用後は鋤き込んで緑肥として利用できます。 乳酸菌培養液から抽出して濃縮した成 分 (闘根 )に、当社のロングセラー「ス ノーグローエース 」の成分を加えてい ます。 発芽直後から根張りが促進され、初期 生育が安定します。 ◎ 播種期 × 鋤き込み期 緑肥作物 1月 とちゆたか 乾燥種子重量の0.3%を基準に、種子 に均一に乾粉衣してお使い下さい。 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 つちたろう ◎ × 草高150∼180cm ねまへらそう ◎ × 草高150∼180cm アミノ酸液肥 R-007 12月 ◎ × ◎ × 草高90∼100cm × × ◎◎ 草高100∼130cm 特 長 使い方 ■播種幅はロータリー幅より、やや狭くします。 ■「とちゆたか」と「R-007」は出穂後3週間以内に鋤き込んでください。 ■ガード作物の生育状況によっては、日陰ができる場合がありますのでご注意ください。 いろいろな植物に対して、初期 生育から収穫期まで幅広く使え ます。 発根や茎葉の生育促進に、スト レス下にある作物では光合成を 活発にすることで増収が期待さ れます。 ご注意 原液を500倍から1,000倍に希釈して、葉面散布してご使用下さい。 雪印種苗の植物活力資材は、すべて天然物から有効成分を抽出・濃縮した製品です。 ホームページに詳しい説明がありますので、是非ご覧下さい。 http://www.snowseed.co.jp/ “「畑作園芸事業」⇒「植物活力資材」のページ” 22 ここで紹介したドリフトガード作物は農薬の飛散を完全に防止するものではありません。以下のドリフト低減対策(農林水産省/ 農薬の飛散防止対策の手引き)および農薬使用基準の遵守にご留意いただき、合わせてご利用くださいますようお願いいたします。 また高い障壁作物は、栽培作物が日陰となる場合がありますので、ご注意ください。 ■ドリフト低減対策 ・散布時の風向きと風速 ・作物に近接した適性散布 ・圃場の端での散布 ・散布圧力、風量 ・近接栽培作物との連携 ・散布ノズルの交換 ・ドリフトしにくい農薬の利用 ・遮蔽シート、ネット 23 環 境 保 全 に 向 け た さ ま ざ ま な 緑 肥 の 活 用 事 例 ※ リビングマルチ への利用 カバークロップ ※※ への利用 そ ば へ の ア カ ク ロ ー バ の 導 入 ■秋播き小麦の前作に緑肥作物を導入 する場合は(休閑緑肥)、小麦播種の ■アカクローバの播種量は 3kg/10a と 約 1ヵ月前に鋤き込む。 し、播種深度が深すぎにならないよう、 ■秋播き小麦収穫後、夏播きの緑肥作 注意する。 物はできるだけ早く播種作業を行う。 ■極端な酸性条件(pH5.5 以下)やリン 酸不足の場合は、土壌診断に基づき 土壌改良材を施用する。 ◎∼∼∼◎ ==== ×××× 緑肥作物 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 播種期 栽培期間 鋤き込み 11月 12月 ◎∼∼◎ = = = = = = = = = = = = = = = × × × × そばと同時播種 アカクローバ はるかぜ ◎∼∼∼◎ ==== ×××× 緑肥作物 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 ヘイオーツ 辛神 キカラシ まめ助 まめゆたか 8月 9月 10月 11月 播種期 栽培期間 鋤き込み 12月 ◎∼∼◎ = = = = = = × × × × ========================== デルソーレ つちたろう ねまへらそう ==================×××× 秋 播 き 小 麦 へ の ア カ ク ロ ー バ の 導 入 ◎∼∼◎ = = = = = = × × × × タ マ ネ ギ 後 作 緑 肥 ■アカクローバの播種量は3-4kg/10a ■施肥は硫安10kg/10a程度とする。 とし、適度に土壌水分がある時期に ■播種は収穫前日あるいは当日とし、 播種する。 タマネギの収穫作業で種子を土に混 ■除草剤はアカクローバ本葉2葉期以降 ぜる。 に処理する。 ■乾燥傾向にある年は鎮圧を行う。 ■秋播き小麦収穫後は麦稈を搬出し、 ■ロータリーの2回がけあるいはストロー アカクローバの生育量を確保する。 チョッパーで細断を行い、プラウで ■鋤き込みはプラウ耕でしっかりと鋤 きちんと鋤き込む。 き込む。 ◎∼∼∼◎ ==== ×××× 播種期 栽培期間 鋤き込み ◎∼∼∼◎ ==== ×××× 播種期 栽培期間 鋤き込み 9月上旬播種のライムギ(R-007)の根張りの様子 10月末撮影 緑肥作物 アカクローバ はるかぜ 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 緑肥作物 ◎∼∼∼∼◎ =============================×××× 起生期の追肥に合わせて ※ 土壌浸食防止、景観の向上、雑草抑制などを目的として、主として栽培する作物とは別の作物の播種を行い、 主作物の生育期間中も生育を続けさせて地表を植物で覆わせるのに使われる、被覆植物のこと 24 1月 2月 3月 4月 5月 6月 R-007 7月 8月 9月 10月 11月 12月 ◎∼∼∼◎ =====×××× ※※ 土壌浸食防止、景観の向上、雑草抑制などを目的として、農作物を栽培していない時期に露出する地表面を覆 うために栽培される作物(農林水産省HPより) 25 雪印の緑肥作物特性表 緑肥のタイプ 品 種 名 作 物 名 科 名 ヘ イ オ ー ツ 野エ 生ン 種バ ク イ ネ 科 キ カ ラ シ シ ロ ガ ラ シ ア ブ ラ ナ 科 辛 神 チ ャ ガ ラ シ ア ブ ラ ナ 科 ● ま め 助 ベ ッ チ 類 マ メ 科 ● ま め ゆ た か まめ助:5kg とちゆたか :3kg 混播セット 短 期 休 閑 ● ● ● ね ま へ ら そ う ス ー ダ ン グ ラ ス イ ネ 科 つ ち た ろ う ソ ル ゴ ー イ ネ 科 く れ な い クク ロリ ーム バソ ン マ メ 科 ● ア ン ジ ェ リ ア ハ ゼ リ ソ ウ ハ ゼ リ ソ ウ 科 ● と ち ゆ た か エ ン バ ク イ ネ 科 R 0 0 7 ラ イ ム ギ イ ネ 科 デ ル ソ ー レ ヒ マ ワ リ キ ク 科 は る か ぜ ア カ ク ロ ー バ マ メ 科 エ緑 ン肥 バ用 ク エ ン バ ク イ ネ 科 ト ウ緑 モ肥 ロ コ用 シ ト ウ モ ロ コ シ イ ネ 科 ︱ 後 作 緑 肥 ● 休 閑 緑 肥 間 作 緑 肥 線虫の抑制 越 冬 緑 肥 ● ● ● ● ● 有 空 菌 機 中 根 物 固チ 菌 の 定ッ の ソ 増 補 の 殖 給 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 豆 類 ● ● 園 芸 作 物 ● ● 5 ● 8 ● ● ● ● ● ● ● ● 長 ね ぎ タ マ ネ ギ ● ● ● ● ● ● ● ● ● タ マ ネ ギ 5 P 5 休閑: 5∼10 5∼8 後作: 5∼10 5∼8 休閑: 5∼10 8∼10 後作: 5∼10 8∼10 2∼5 休閑: 4∼8 後作: 3∼6 5 6∼8 K 0∼5 N 0∼4 K 0∼4 炭 素 率 播種期 (月・旬) 鋤き込み期 (月・旬) (ベッド跡) 7上∼8中 10中∼下 10下 初期生育旺盛、細茎・多葉で極多収 15∼30 4下∼6中 7下∼8中 8下∼9上 生育旺盛で多収 0∼7 2∼5 0∼6 15∼25 4下∼6中 6下∼7下 0∼7 4∼6 0∼6 12∼20 7下∼8下 10月 0∼7 1∼3 0∼6 10∼20 露地:5月 ハウス:2∼4月 露地:6下∼7上 ハウス:4∼6月 0∼7 2∼4 0∼6 10∼20 8月(ハウスも) 0∼5 3∼5 0∼4 10∼15 0∼8 0∼4 0∼6 20∼30 7中∼8中 10中∼下 5上∼6中 7中∼8中 6∼8 0∼6 7下∼8下 0∼5 15∼25 0∼4 0∼8 露地:6∼7月 20∼30 ハウス:5∼8月 2∼4 0∼8 30∼45 5 0∼4 0∼6 20∼40 ハウス:5∼8月 8∼12 2∼4 0∼5 15∼20 15 5 4∼6 4∼6 5 5∼10 5∼10 0∼6 0∼5 0∼5 0∼6 0∼4 0∼4 2∼3 露地:6∼7月 線虫対策は15kg/10a、9月播きは20kg/10a 鮮やかな黄色い花をつける 辛味の成分含量が高いアブラナ科緑肥 着蕾∼開花始の茎葉部の多い時期にできるだけ細断して鋤き込む ハウス等残肥が多い場合は無施肥でも可 景観緑肥にはキカラシのほうが良い テンサイ根腐病の発病軽減効果が期待できる8月上旬までにできるだけ 播種を終える 小麦や早出し作物後に播種できるマメ科緑肥 根粒菌も着生 直立性エンバク「とちゆたか」とベッチ類「まめ助」と 10中∼下 露地:8∼9月 ハウス:播種2ヵ月後 露地:8∼9月 ハウス:播種2ヵ月後 根粒菌の着生と8月下旬播種でも可能なセット ヘイオーツに準じてネグサレセンチュウを減らす 秋播き小麦の休閑に最適 栽培期間が長く、極多収 ドリフト対策の障壁作物として利用 低温伸長性に優れ、初期生育が良好 種子が小粒でスタンド形成が良好 ドリフト対策の障壁作物として利用 クリーニングクロップは無施肥 ダイズシストセンチュウ対抗作物 4下∼6中 7下∼8上 7∼8月 10月 15∼25 5∼6月 開花後 春播きで生育旺盛、 被覆が早く雑草対策となる 綺麗な紫色の花が咲き、蜂花植物としても最適 花は8月まで楽しめる 前作で栽培するとネギの生育が良好(府県で実証) 0∼4 15∼30 4下∼6中 7下∼8中 播種60日後 出穂を目安 耐病・耐倒伏性の直立性エンバク 園芸作物や早春の防風作物に最適 カボチャの間作やタネバレイショの隔離作物として好評 ドリフト対策の障壁作物として利用 0∼5 8下∼9上(年内) 15∼20 9中∼下(越冬) 年内あるいは 翌年5下∼6上 (出穂を目安) タマネギの後作緑肥に最適(保水力の増加や土を軟らか くする)、無施肥越冬させて早春の土壌侵食防止に最適 ドリフト対策の障壁作物として利用 ネグサレセンチュウを抑制 開花後1週間 を目安 大柄なため、 土壌の有機物補給に最適 後作には菌根菌の共生関係が強いトウモロコシ、小 麦、 タマネギが最適 バーティシリウム半身萎凋病に強いが、発生圃場へ の作付けは避ける 0∼4 根粒菌により空中チッソを固定し、地力を増強 深紅の花が景観美化に最適(春播きのみ開花) 1 4∼6 8∼10 0∼10 2∼4 0∼8 5上∼6中 15∼30 7下 8上(道央・南) 休閑:2∼3 2∼4 8∼12 0∼5 5∼6 0∼4 11∼15 5∼6月 9∼10月 小麦間作: 3∼4 0∼2 0∼5 0 2∼4 0 10∼13 4月 9∼10月 小麦間作は適度に土壌水分があるうちに播種する 15∼20 4∼6 5∼10 0∼5 0∼4 0∼4 15∼30 7下∼8中 10中∼下 低価格の早生エンバク(春播きは不適) 5∼6月 9∼10月 根粒菌により空中チッソを固定し、地力を増強 ダイズシストセンチュウ対抗作物 (出来るだけ早く) 遊休地の地力対策に最適 2∼3 8∼12 12∼16 0∼12 0 0∼10 30∼35 ●:より適する ●:適する 最適な後作物の無印は普通とする。 26 キタネグサレセンチュウ対抗作物 の混播 0 2∼3 9月下∼10月 5上∼6中 7下∼8中 露地: 8∼10 8∼12 0∼10 ハウス: 3∼8 3∼8 0∼8 3∼4 特 性 テンサイの前作に最適(収量性を改善) 6∼10 6∼10 0∼10 後作・休閑: 10∼15 間作:5∼8 ● N 減肥の目安 5∼8 2∼3 ● ● ● 10∼15 1∼1.5 ● ● 播種量 (kg/10a) 2∼3 ● ● ● 小 麦 施肥量(kg/10a) ● ● ● ● ● ジ ャ ガ イ モ ● ● ● ● ビ ー ト ● ● ● ● ● ● ● ● ● 防 景 土 壌 作風 観 保 物・ 美 隔 全 離 化 ● ● ● 最適な後作 ● ● ● ● ● ● 塩 類 除 去 ● ● ● ● 透 水 性 の 改 善 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キ タ ネ コ ブ 緑肥の効果 ダ イ ネサ ズ コツ シ ブマ イ ス モ ト ● ● ● 施 設 ハ ウ ス キ タ ネ グ サ レ 27 除草剤による簡単な管理で、粗大有機物を確保